午前三時
ピルルルルルル
俺「……誰」
ぴっ
俺「もしもし」
女「……起きてる?」
俺「……」
俺「ばりばり起きてます」
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女「ライン見た?」
俺「あー、ごめん、見てない」
女「起きてますかーって送った」
俺「後で返しとく」
女「いらんわ」
俺「どしたの? 急に」
女「うーん」
女「元気?」
俺「元気だよ」
女「大学どう?」
俺「専門学校な」
女「どっちでもいいじゃん」
俺「よくねえよ」
俺「そっちは?」
女「うーん」
女「元気かな」
俺「フェイスブックに彼氏との写真のっけてたね」
女「うん」
俺「続いてるん?」
女「そろそろ半年かな」
俺「ほう」
女「結構続いてる」
俺「ほんとにな」
女「そっちは?」
俺「四カ月目で別れました」
女「まじで」
俺「まじまじ」
女「どうして」
俺「なんかさ」
俺「昔好きだった男の子と会っちゃって」
俺「俺との恋愛はその時のとなにかが違うなってなって」
俺「萎えたらしい」
女「なんじゃそりゃ」
女「それ結構つらいね」
俺「ほんとにな」
女「あんたが悪くないあたりがまた」
俺「同情してくれ」
女「かわいそうに」
俺「お前笑ってるだろ」
女「ばれた?」
俺「そっちは幸せそうで」
女「まあね」
俺「どんな人?」
女「えっとね」
女「しまちゃんにも言われたんだけどね」
俺「あいつに紹介したのかよ」
女「いいじゃん、で、なんて言われたかっていうと」
俺「うん」
女「あんたに似てるなーって」
俺「俺に?」
女「うん」
俺「どのあたりが」
女「趣味とかも結構似てるんだけど」
女「なんだろ、なんとなく」
女「似てる」
俺「そうなんか」
女「事実私もそう思ってる」
俺「どうなんだそれ」
女「別に、似てるってだけで」
女「あんたとは違う」
俺「あっそうですか」
女「電話切った後なくなよ」
俺「泣かねえよ」
俺「ていうかなんでこんな時間」
俺「夜にしては遅すぎると思いますけど」
女「課題が終わらないの」
俺「それでなんで電話」
女「しゃべってないと寝そう」
俺「彼氏としゃべれよ」
女「もう寝てるし」
俺「彼氏は課題は?」
女「夏休みの宿題は初めの一週間で終わらすタイプ」
俺「なるほど」
女「眠かったら寝ていいよ」
俺「別に眠くないよ」
俺(ていうかこんな時間の電話なのに)
俺(なんでこんなに喜んでるんだろ)
俺(こいつの人の都合を考えないところも何も変わってないのに)
俺(頭がおかしい)
女「それとさ」
俺「うん」
女「なんとなく、今日話したいなと思って」
俺「なんで?」
女「いろいろとごめんというか」
女「あんなに好きって言ってくれたのにね」
俺「……」
俺「別にいいよ」
女「まだ私のこと好きなの」
俺「……」
俺「答えにくい質問するね」
女「好きなの」
俺「……」
俺「星座占いでさ」
女「うん」
俺「かに座見ちゃうんだよね」
女「へー」
俺「カレーの染みみたいに君がこびりついてる」
女「気持ち悪」
女「あ、こないだカップヌードルのカレーワンピースにこぼした」
俺「どんまい」
女「まあ着るけど」
俺「着るんかい」
女「カーディガン羽織ればなんとか」
俺「今までの彼女の誕生日さ」
女「うん」
俺「誰一人覚えてなかったんだ」
女「最低」
俺「でも君のは覚えてるんだよね」
女「……ふーん」
俺「課題できてんの」
女「ちまちま」カタカタ
俺「パソコンでしてるんか」
女「うん」
俺「終わりそうなの」
女「七時くらいまではなんとか」
俺「次からもっと早くやりましょう」
女「はい」
女「でさ」
俺「うん」
女「なんか質問ないの?」
俺「質問?」
女「今しかきけないようなこと」
俺「えー」
女「ほら、いいチャンスだよ」
俺(なんのつもりだ本当に)
俺「ちゃんとご飯食べてるの?」
女「食べてるよ、はい次」
俺「……」
俺「彼氏とはどんなデートを」
女「秘密、はい次」
俺「答えられないようなことしてるんだ」
女「はい次」
俺「やらし」
女「はい次」
俺「それ言いたいだけだろ」
女「はい次」
女「なに、もっとききたいことないの?」
俺「いや、ないことはないけどさ」
俺「いざいわれると」
俺「バイトは?」
女「してない、はい次」
俺「会話広げる気皆無だな」
女「はい次」
俺「じゃあさ」
女「うん」
俺「彼氏のこともうちょっと詳しく教えてよ」
女「えー、うーん」
女「すっごいかわいい」
俺「かわいいんだ」
女「かわいい」
俺「学校でもいちゃついてるの」
女「いや、学校では適度な距離を保ってますよ」
俺「ああ、そうなんだ」
女「いちおう世間の目は気にしますよ」
俺「そらな」
女「まあ学校出たらデレデレですけど」
俺「あっそ」
女「手とかもさ、すっごいつなぐ」
俺「うん」
女「全部私から」
俺「うん」
女「そこがあんたとの大きな違い」
俺「どういうこと?」
女「あんたには私から手をつなぎたいとは思わないの」
俺「そうかよ」
女「もうさ、時間が過ぎるにつれてどんどん好きになって行くんだ」
女「他にもね、作曲とかしてるの」
俺「ほう。カッコいいじゃん」
女「でしょ」
俺「で、どうなの」
女「私には難しくてよくわからん」
俺「それってどうなの」
女「でも作曲はすごいことじゃない」
俺「そらな」
女「毎日好きって言ってる」
俺「うん」
女「でもそれ言うたびに」
女「いつまでそういうこと言ってくれるのかなって」
女「そういうこと言う」
俺「なにかつらい恋愛でもしたんかねえ」
女「そうみたい」
女「日曜日にね、バイトがあるの彼氏の」
俺「うん」
女「それでね。電車でお弁当持ってバイト先まで行くんだ」
俺「まじか」
女「すごい喜んでくれる」
俺「高校時代は女子力低いとか嘆いてたくせに」
女「あんがいあった」
女「あと結構自分が尽くすタイプなのも」
俺「なんか明るくなったね」
女「そうかな」
女「うん、そうかも」
俺「今までで一番好きな性格だ」
女「どうも」
女「でもね、私嘘はつきたくないから」
女「ちゃんと今日電話したこと彼氏に言うつもり」
俺「了解です」
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