('a`)「ほ……本当にカーチャンが俺の許嫁なのか……?」
j('ー`)し「本当よたかし……黙っていてごめんなさい」
('a`)「う、嘘だ!母親と結婚なんて認められるわけないだろっ!!」
j('ー`)し「……実はね、カーチャンはあんたのお母さんじゃないのよ……」
('a`)「えっ……?」
j('ー`)し「たかしの本当のお母さんはね、あんたが産まれてすぐトーチャンと離婚しちゃったの……」
('a`)「そ、そんな……」
j('ー`)し「今は石油王と再婚しているそうよ」
('a`)「」
j('ー`)し「将来の結婚相手を自分好みに育てるのは悪くなかったわ。まるで光源氏ね」
j('ー`)し「たかしももう三十路でしょ?彼女もいないみたいだし、もうそろそろ身を固めなきゃね」
('a`)「か……彼女ならいるよ……」
j('ー`)し「なら、そのあずにゃんって人に会わせてちょうだい。たかしのお嫁さんに相応しいなら、カーチャンも諦めるから」
('a`)「……」
j('ー`)し「……」フゥ
j('ー`)し「本当はいないんでしょ、彼女なんて。たかしの嘘なんてお見通しなんだからね」
('a`)「ウッ……ウッ……」
('a`)「いやだ……カーチャンと結婚なんて……」
j('ー`)し「別に、結婚して子どもをつくるならカーチャンとしなくてもいいのよ」
('a`)「……」
j('ー`)し「でも、もう無理でしょ。もう何年間も引きこもって、出逢いなんて少しもなかったじゃない」
('a`)「……」
j('ー`)し「あなたの血は絶やしちゃいけないの。たかしは子孫を残す義務があるのよ」
('a`)「……ウソダ……」
j('ー`)し「だからね……早くきて……」ヌギヌギ
('a`)「ウッ、ウアアアアアッ!」ダッ
たかしはカーチャンの前から逃げ出した。
ぎこちない動きで、裸足で外に出た。実に十年ぶりの外出である。
たかしは泣いた。カーチャンがずっと自分を男として見ていたことに。
たかしは泣いた。叫ぶことしかできない自分の不甲斐なさに。
たかしは泣いた。自分の運命の理不尽さに。
たかしは慟哭しながら、あてもなく走り続けた。
井戸端会議をしていたオバチャンが、たかしの叫びを聞いて顔をしかめる。
スカートの短い茶髪jkが、たかしの泣きっ面を見て嘲笑う。
それは、かつてたかしが恐怖していたものだった。
しかし、たかしは走り続けた。今の彼を支配しているのは、ただ絶望のみであった。
走る。走る。たかしは走る。体が動かなくなるまで走り続ける。
やがて、たかしは初めて見る公園で、固く冷たい地面に崩れ落ちた。
もう時刻は夜である。しかし、街灯と、どこかの家から漏れる光が、星の瞬きをかき消していた。
たかしはゴロンと仰向けになる。彼の真上には、まんまるとした月が浮かんでいた。
('a`)「ハァ……ハァ……」
子供の頃から変わらない月の姿に、たかしは懐かしさを感じていた。
しだいに、濁流のように荒れていた彼の心が穏やかになっていく。
('a`)「……カーチャン……」
たかしは脱力感に包まれ、やがて意識を手放した。
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