金剛「オゥ…70年後にタイムスリップしてしまいマシター」 (33)


金剛「太平洋のど真ん中で皆とはぐれてしまいマシタ、お腹ペコペコデース…」

金剛「ん?あの光ってるのは船でしょうか…へーイ!助けてクダサーイ!」



マッキャンベル「ねえねえ、なんかあっちから叫び声が聞こえるよ!」

ジョージ・ワシントン「どうせ漁船かなんかだろう、良いからさっさと進んでくれ」

マッキャンベル「はーい」

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金剛「あれ?無視して遠ざかって行きマス…聞こえて無いんデショウカ?」

金剛「まあいいデース。それなら、この高速戦艦金剛の速力を見せて差し上げマース!」



ステザム「ジョージさん。不審船がこちらに迫っております。距離200」

ジョージワシントン「さっきその話はしたぞ、漁船かゴミかなんかじゃないのか」

ステザム「いえ、それにしてはやたらと速度が速い。データリンクで転送します、ご確認ください」

ジョージワシントン「分かった…うん、30nt前後か。確かにこれは少し速すぎるな、軍艦か何かか」

ステザム「はい、それも物凄く古そうな」

マッキャンベル「古い軍艦?」

ステザム「はい、"バトルシップ"みたいな形をしています。と言うか、貴女は私よりも良いレーダー装置を持っているでしょう?なぜ自分ので見ないのです」

マッキャンベル「えへへ」

ジョージワシントン「映画の撮影でもやってんのかな」

マッキャンベル「映画?!すっごいじゃん、あたしも写してもらっちゃおーかな」

ステザム「貴女は機密事項をスクリーンを通じて垂れ流すおつもりですか。考えの浅はかさに辟易してしまいますね」

マッキャンベル「なんだとー!ヘキエキってのがわかんないけど、なんとなくムカついたぞー!」

ジョージワシントン「ステザムちゃん、とりあえず打電してみてくれる?」

ステザム「了解。ええっと…」



金剛「? 打電が来タネ。しかもこれは英語…『こちらはアメリカ海軍、第七艦隊である。貴艦は日本国の領海を許可なく侵犯している。直ちに所属と経緯を明らかにせよ』」

金剛「ムキー!なんだかものすごく失礼ネ!返事を打ったら、最大速力でこの「第七艦隊」のとこに…!」

ステザム「『コチラハ大日本帝国海軍、戦艦金剛デアル。』だそうです。ご丁寧に英語で打電していますね」

マッキャンベル「てーこくかいぐん?」

ステザム「日本国の旧海軍の名称。良くそんな低いレベルの知識で恥ずかしげも無く生きていられる物ですね」

ジョージワシントン「つまり…どういう事だろうか?日本の旧海軍を名乗る不審船…」

ステザム「うーん…」


金剛「ちょっと、アナタたち!あの失礼な打電をしたのはアナタたちデスカ?!」

マッキャンベル「誰?何言ってるかわかんなーい」

ジョージワシントン「すまない、私達は日本語を理解できない。英語は話せないかな?」

金剛「ああ、そう言えば打電は英語でしたね。失礼しました」

ジョージワシントン「ふむ、ウェールズ訛りだな。もっとへったくそなカタコト英語が飛び出すかと期待していたのに」

金剛「人を何だと思っているのですか?私はそもそも英国艦です、英語は話せて当然でしょう!これだから米国艦は」

マッキャンベル「へー、よくわかんなーい」

ステザム「その英国艦がこんなところで何をしているのですか」

金剛「言ったでしょう?私は大日本帝国海軍所属の戦艦金剛です。任務を終え、母港に帰投していた途中ですよ!」

ジョージワシントン「…イマイチピンと来ないな。で、その母港ってのはどこなの」

金剛「佐世保ですが」

金剛「佐世保ですが」

マッキャンベル「え?サセボ?」

ステザム「嘘を言っても仕方が無いですよ」

金剛「失礼ですね!私がどこで嘘をつきましたか」

ジョージワシントン「…サセボは君が向かってたのと逆方向だ。こっちは横須賀だぞ」

金剛「えっ」

ジョージワシントン「とりあえず横須賀まで着いてきて貰おうか。事情を説明して欲しい」


金剛「…」

ジョージワシントン「どうした」

金剛「その、燃料が少しだけ足りないのですが」

ジョージワシントン「大丈夫だ。マッキャンベルに引っ張らさせる」

マッキャンベル「えっ」



マッキャンベル「おーもーいー!!!重いしキツイよ!ステザム代わってよー」

ステザム「うるさい」

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