亜美・真美「二人の時間」 (18)
「もしもし……亜美?久しぶり……」
「うん久しぶりだけど、どうしたの?」
「いや、なんとなく亜美と話がしたくなってさ、
電話したんだけど今大丈夫?」
「いつもなら寝てる時間なんだけどね……今日は眠れなくて
眠れるように本をよんでたところ」
「そっか……」
「うん……」
「……」
「なんか、久しぶりすぎて、あんま喋ることないね?」
「そうだね……じゃあ最近の出来事とか報告しあわない?」
「最近の出来事?うん、いいよ」
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「んっふっふ~。それではトップアイドル双海亜美の赤裸々マル秘エピソードを聞かせてもらいましょうか?」
「ハハハ、真美なにそれ昔みたいじゃん!?」
「へへ、懐かしいでしょ?昔よく言ってた口癖」
「ホント懐かしい。あ、最近の出来事だったね」
「うん」
「最近はね~。なんと言うか……普通?
忙しいんだけどCMくらいで、あんまり変わった仕事はないかな」
「CMってなんのCM?」
「なんか新商品のオレンジジュースみたい
あんま詳しいことは分からないけど」
「へぇ、そうなんだ。他には?」
「他にはって普通のいつも通りの仕事だよ」
「……」
「どうしたの真美、突然黙って?」
「ごめん亜美、こんなこと言っていいのか分からないけど
亜美の言ってる普通の仕事が分からない……」
「あ……そっか、そうだよね。
昔みたいに一緒にいるわけでもないんだし、当り前だよね。
私の方こそ気づかなくてごめん……」
「ううん、大丈夫」
「さっき言ってた普通の仕事っていうのは
ライブとか雑誌の撮影のことね。
私、今度武道館で単独ライブやるからさ、
今は毎日レッスンと取材の毎日ですよ!!」
「うん。知ってる○○から聞いた」
「じゃあ、なんで聞いたのさ!?」
「ごめんごめん、本当になんとなくだって」
「ほほぅ~。流石は大手事務所の敏腕プロデューサーの奥様。
アイドルのスケジュールなど手に取るように分かるということですな?」
「ハハ、何?また昔のものまね?」
「さっきのお返し」
「ホントに悪かったって。このとうり!!」
「電話越しじゃ見えないよ!!」
「そっか」
「そうだよ!!」
「ハハハ、本当に今のは昔みたいだった」
「だね。なんか久しぶりな感じがする」
「でもさ真美は本当にアイドル辞めてよかったの?
いくらプロデューサーがいたって言ってもアイドル続けられたんじゃないの?」
「うーん。まあ、世間の風当たりもあるしね。
結婚してる奴がアイドルやるなとか」
「そんなものかな?私は気にしないのに……」
「でも悪いことばかりじゃなかったよ。
アイドル活動してた時は余り勉強できなかったけど、
辞めたおかげで、私今、大学生だよ?あの成績だった私が!?」
「ホント、私より成績の悪かった真美がね。信じられないよ!!
まさか、私を超えていくとはな!?さすが真美隊員!!」
「いや、亜美と成績あんま変わらなかったからね…
超えたとしても低いハードルだったよ!!」
「ハハハ、ナイスツッコミ!!
で、今の私ら、似てなかった!?」
「何?そういう流れ?
時々、昔のモノマネを挟んでいく感じなの?」
「うん、うん。そんな感じ。だってそっちの方が楽しいじゃん」
「まあ、楽しいけど」
「それでプロデューサーとは上手くいってるの?」
「まあまあ」
「まあまあって、それじゃ分からないよ。
新事務所に配属されてから顔見てないんだから」
「私は毎日見てるよー」
「それは、当り前じゃん!!」
「そだね、でも仲良くしてるよ。
○○、はプロデューサーだし私もまだ学生だから
たまに、会えない日もあるけど」
「あっ私、分かっちゃったよ。真美が電話してきた理由。
プロデューサーが帰ってこなくて寂しいからでしょ?」
「そんな、突然なに言ってるの!?」
「あっ、この反応は図星だな」
「いや、違うから」
「嘘だー!!」
「ホント違うから!!」
「まあ、帰って来てないっていうのは本当だけどね」
「それは最初から分かってたけど」
「な、なんで!?」
「なんだろ双子だから?」
「理由になってないよ」
「ホントに?」
「え……考えてみると双子だからってのも分かる気が……」
「だよね。生まれてからずっと一緒だったんだもん」
「まあね」
「まぁ、本当は噂でプロデューサーとラブラブだって聞いてて
それなら、この時間に…?って考えたんだけどね」
「もう、亜美!!」
「ハハハ!!真美が怒った!!」
「でも、まさかプロデューサーと真美が結婚するとは思わなかったな」
「なんで?」
「だって真美は何だかんだ言ってアイドル続けると思ってたもん」
「そう?」
「うん。だって最年少でグランプリ受賞でしょ」
「亜美だって取ったじゃん」
「確かに取ったけど真美より遅かったし…」
「それでも翌年でしょ?」
「そうだけど。ずっと一緒だったから、
あの時は本当に悔しくて真美の背中が大きく見えたもん」
「ああ、だから遊びに行くとか言って
一人で自主練してたんだ」
「し、知ってたの!?」
「知ってるよ。私たち家族なんだから」
「そっか、そうだね」
「でも恥ずかしいな。まさか知られていたとは……」
「だって汗だくの練習着がカゴに入ってるんだもん
気が付かないほうがおかしいよ」
「確かに……今、思うと私バカだった……」
「つまりは私の背中を見て育たってことだね。
じゃあ、人気アイドル双海亜美を育てたのは実質私ってことに!?」
「なりません!!」
「なんで!?」
「そこは私の頑張りでしょ!!」
「そだね」
「え!?いや、そこは『なんだと!?』ってくると思ったんだけど……」
「だって、今の亜美がいるのは
亜美が頑張ったからじゃん」
「うん……」
「真美ってアレだね。少し合わないうちにプロデューサーに似てきたね」
「そ、そう?」
「うん。だってプロデューサーも同じこと言ってたよ」
「そうなんだ……なんか恥ずかしいな……」
「……」
「……」
「はぁ、じゃあそろそろ電話きろうかな?」
「え?なんで?」
「だって時計見てみなよ」
「あ……そっか」
「まあ、真美がプロデューサーと幸せに暮らしていることも、
なんとなく分かったし私としては大満足だよ」
「ふん。私だって亜美の仕事ぶりが分かったし、
自主練のこと知ってたのも言えた訳だから良かったよ」
「……」
「……」
「……あのお姉ちゃん?」
「ど、どしたの亜美!?今、お姉ちゃんって!?」
「いや、なんとなくだけど。
今日はホントに電話してくれてありがとう」
「ふーん」
「え、何?そのリアクション?」
「だって亜美だって本当は最初から電話する気だったんでしょ?」
「え!?なんで知ってるの?」
「そりゃ妹の事なら何でもわかるよ」
「そっか……私たち…そうだね」
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