咲「そうだ、文芸部に入ろう!」 (52)
四月某日
京太郎「文芸部?」
咲「うん。私本好きだし」
京太郎「そっか。麻雀部の面子が足りないんで誘おうと思ったんだが残念だな」
咲「ごめんね京ちゃん。またランチに付き合うから」
京太郎「ああ、じゃあな」
咲「うん。バイバイ」
咲(それにもう、麻雀はもうやらないって決めたしね…)
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咲「さて、と。文芸部の部室はここかな」
男子生徒A「そこの君、うちの部に何か用?」
咲「あの、私文芸部に入りたくて…」
男子生徒A「マジで!?歓迎するぜ!」
咲「あ、ありがとうございます」
男子生徒A「さっそく部長に紹介するから入って!」ガラッ
咲「はい、お邪魔します」
男子生徒A「部長、この子うちの部に入部希望だそうです!」
腐川「あらそうなの。嬉しいわ、うちの部人数少ないから」
腐川「私は部長の腐川です。よろしくね」
咲「宮永咲です。よろしくお願いします」
男子生徒B「うおお、待望の部員キター!しかも女子!」
男子生徒A「腐川部長は3年、俺ら2人は2年なんだ。よろしくな宮永さん」
咲「はい、よろしくお願いします」
腐川「ところで宮永さんは小説とか書いたりするの?」
咲「いえ、私は読むの専門でして…」
腐川「そうなの。でも自分で文章を書いてみるのも面白いわよ」
男子生徒A「俺ら部員は皆、小説を書いて読み合いしたりしてるんだ」
男子生徒B「そうそう。文集も出したりしてな」
咲「へえ、そうなんですか」
腐川「宮永さんも試しに書いてみたらどうかしら?」
咲「そうですね。私、やってみます」
男子生徒A「おお、頑張れよ~」
咲「…とは言ったものの、小説って結構難しいんだなぁ」カキカキ
京太郎「おう咲、何書いてんだ?」
咲「あ、京ちゃん。文芸部の皆に見せる小説書いてるんだ」
京太郎「へー、咲が小説ねぇ。出来上がったら俺にも見せてくれよ」
咲「うん」
京太郎「じゃあ俺、麻雀部行ってくるわ」
咲「うん、またね京ちゃん」
京太郎「こんにちはー」ガチャッ
久「今日は須賀くんがラストね」
京太郎「すいません。ちょっと友達としゃべってて」
まこ「まだ始めとらんから大丈夫じゃ」
久「それにしても、今年も人数が足りなくて大会の出場は無理ね」ハア
和「あと一人なんですが…残念ですね」
優希「のどちゃんは個人戦には出るんだよな?」
和「ええ、そのつもりです」
和(本当は皆で団体戦に出たかったのですが…)
久「じゃあ皆で和の個人戦の応援といきましょうか」
まこ「そうじゃな」
和「ありがとうございます、皆さん」
咲「遅れてすみません」ガラッ
腐川「こんにちは、宮永さん」
男子生徒A「こんちわ~」
咲「あ、小説ですけどちょっと書いてきました」
腐川「あらそうなの。さっそくだけど見せてちょうだい」
男子生徒A「へぇー、推理小説か。結構本格的なんだな」ペラッ
男子生徒B「ふんふむ。結構面白いぜ」
咲「ありがとうございます」テレテレ
腐川「でもちょっと文章が硬いわね。もっと肩の力を抜いて書いたほうがいいわ」
咲「はい。推理物は読むのは好きなんですが、トリックを考えるのとかは苦手で…」
腐川「そうねえ。今度は特にイメージしやすいジャンルで書いてきてちょうだい」
咲「分かりました、部長」
咲「うーん、イメージしやすいジャンルといえば…何だろう」
咲「ハリー○ッターとか好きだし、やっぱファンタジー路線かなぁ…ん?」
和「」スタスタ
咲「わあ、綺麗な子だなぁ」
和「」トサッ
咲「あ、あの、何か落ちましたよ」
和「」スタスタ
咲「あれ?聞こえなかったのかな?」タタッ
咲「今の子何落としていったんだろ?」ヒョイ
咲「あ、本だ…しかも何だか薄い本…」ペラッ
マミ『ぁんっ、鹿目さんそこはダメぇ』
まどか『ウィヒヒ。そんなこと言いながら感じてるじゃないですかマミさん』
マミ『だってぇ、あっ、あぁん!鹿目さんがぁ、うまいからぁ…ゃんっ』
マミ『もっと、もっと私を目茶目茶にしてぇ…っ』
咲「」
二週間後
咲「こんにちは」ガラッ
腐川「あら咲ちゃん。今日は早いわね」
咲「えっと、また小説を書いてきたので皆に見てほしくって…」
男子生徒A「おお、咲ちゃんやる気だなー」
咲「えへへ」
腐川「じゃあさっそく小説の方見せてもらおうかしら」
咲「はいっ」
~~~~~~
霞『ちょっとそこの貴方。タイが曲がっているわ』
咲『えっ、私ですか?』
霞『ええ。身だしなみはきちんとね。マリア様が見ていらっしゃるのだから』シュルッ
霞『さ、これで良いわ』キュッ
咲『あ、あの。ありがとうございました!』
霞『ふふっ』ニコッ
咲『///』ポー
~~~~~~
腐川「…」ペラッ
男子生徒A「…」ペラッ
男子生徒B「…」ペラッ
咲「ど、どうですか?」
腐川「こ、これは…」ゴクリ
男子生徒A「すばら!」
男子生徒B「すばら!」
咲「ええと、女子高を舞台にした話なんですが…」
腐川「いいわいいわ最高よ!この『マリア様がみてらっしゃる』!」
咲「そ、そうですか?」テレッ
腐川「しかし、まさか咲ちゃんが百合物を書いてくるとはね~」
咲「私もビックリです。今までそんな世界があるなんて知らなくって…」
男子生徒A「咲ちゃん、良かったら俺のオススメのなのフェイ本貸してやるよ!」
男子生徒B「いやいや、最近の流行りはやっぱほの海未っしょ!これこれ!」
咲「わあ、色々あるんですね~」キャッキャ
数日後
咲「こんにちは、また書いてきちゃいました!」
男子生徒A「おー、見せてくれ!」
腐川「ふんふむ」ペラッ
~~~~~~~
淡『菫、このロザリオ返すよ!』
菫『あ、淡…どうして…』
菫『ああ…私はもう駄目だ』ガクッ
霞『何をそんなに落ち込んでるのよ』
菫『淡に妹をやめられてしまった。私はもうおしまいだ…』
霞『勝手に終わらないでちょうだい。黄薔薇のつぼみともあろう者がみっともない』
咲『でも淡ちゃん、一体どうしてロザリオを返したりしたんだろう?』
菫『淡…淡ぃ…』
~~~~~~~
腐川「こないだのマリア様の続きね。なかなか面白いわ」
男子生徒A「今回は黄薔薇様のお家騒動か」
男子生徒B「菫さんマジへたれ」
腐川「それにしても凄いわね。小説書いてまだ日が浅いってのにこの想像力」
咲「えへへ。書き出したら止まらなくなっちゃって」
さらに数日後
咲「こんにちは、また続き書いてきました!」
男子生徒B「マリア様?見せてくれー」
腐川「ふんふむ」ペラッ
~~~~~~~
咲『白薔薇さま大変です!』
爽『どしたの咲ちゃん、またセクハラされたくなった?』サワッ
咲『ち、違います!」
咲「そんなことよりこのいばらの森って小説、白薔薇さまがモデルだって学校中の噂ですよ!』
爽『ん?どれどれ……ほんとだ。まるで私とあの子のようだね』
爽『…ねぇ、ユキ…?』
~~~~~~~
男子生徒B「今度はタラシの白薔薇さまがスポットか」
男子生徒A「数日間でこれだけ書けるとか、凄いなあ咲ちゃんは」
咲「昨日は夜中中書いてたので流石に眠いです…」フワア
腐川「しかし相変わらずのクオリティね。私達だけで読むのは勿体無いくらい」
腐川「…そうだわ咲ちゃん!」
咲「はい?」
腐川「この小説、雑誌に投稿してみてはどうかしら?」
咲「ふえっ!?」
~~~~~
やがて月日は流れ、9月上旬
久「それでは和のインハイ個人戦ベスト8を祝して!」
まこ「おめでとう和!」
京太郎「おめでとう!」
優希「のどちゃん凄いじぇ!」
和「皆さん、ありがとうございます」
久「でも惜しかったわね。もう少しで決勝まで行けたのに」
和「いえ、十分満足してます」
優希「のどちゃん、準決勝で頭にラーメン乗っけた白糸こんにゃく娘に狙い撃ちされちゃったもんな」
まこ「こりゃ優希!」
和「いえ、いいんです。それよりこれで部長は引退なんですね…」
まこ「そうじゃな。寂しくなるのう」
久「また時々顔を出すわよ。あ、そうだわ和」
和「はい?」
久「あなたに預かり物があるんだけど…」ヒョイ
和「?一体何でしょうか…」ガサッ
和「」
久「和?」
和「い、いえ何でも。それよりこれは一体誰から…」
久「それがね、今をときめくあの宮永咲からよ!」
和「宮永…咲?」
優希「おや、のどちゃん知らないのか?」
和「ええ、まあ」
京太郎「咲は俺の中学からのクラスメートなんだよ」
和「はあ。その宮永さんは、何か有名な方なんですか?」
久「有名も有名よ!彼女ね、コバ○トって雑誌に小説を投稿して、何と大賞を取ったのよ!」
和「!?」
まこ「そのデビュー作が先月号の雑誌に載るやいなや、今や学校中で有名なんじゃが…」
優希「のどちゃんは他人に一切興味がないからなー」
久「まさかこの清澄から高校生作家がデビューするとはね。私も学生議会長として鼻が高いわ」
京太郎「クラスでも毎日質問責めでもみくちゃにされてますよ、咲のやつ」
和「……」
和(その宮永さんが、どうして私のお気に入りのまどマミ18禁本を…)
和(ん?手紙が入ってますね)ペラッ
原村さんへ
この本は渡り廊下で原村さんが落としていったのを偶然拾いました
大分前に拾ったのに、渡すのが遅くなってごめんなさい
宮永咲
PS・百合って楽しいよね!
和「……」
和「まさか学校内に百合好きなお仲間がいたなんて…」
和「まあ、文芸部だったらそういうジャンルが好きでも不思議ではないですが」
和「とりあえず、本を拾っていただいたお礼に行きましょうか」
文芸部部室
和「あの、こちらに宮永咲さんはいらっしゃいますか?」
男子生徒A「ああいるよ、あの窓際で本を読んでる子だよ。ちょっと連れてくるから」スタスタ
和(窓際…?あ。あの方でしょうか)
和「…っ!!」ドッキン!
咲「…」ペラッ
和(大人しやかで控えめな感じの女の子…正直好みのタイプです//)
和(文芸部なんて眼鏡ブスとキモオタの集まりだと思っていたのにこれは誤算でした!)
和(それに、初めて会った気がしないこのデジャブは一体…//)ドッキンドッキン
男子生徒A「おーい咲ちゃん、君にお客様が…」
咲「えっ、どなたでしょうか?」
男子生徒A「あの入り口にいる…ってあれ?」
咲「?誰もいませんけど…」
男子生徒A「おかしいなぁ。どこ行ったんだろあの子?」
男子生徒B「なになに咲ちゃんのファン?今や咲ちゃんもすっかり有名人だからな~」
腐川「そうね。私も今のうちにサイン貰っておこうかしら?」
男子生徒A「俺、単行本が出たら絶対買うからな!」
咲「ありがとうございます//」テレテレ
多々野書店
和「ええと、先月号のコバ○トは…あ、ありました」
和「宮永咲…この小説ですね」ペラッ
和「……」ペラッ
和「……………」ペラペラッ
和「……………………………すばらっ!」パタン!
和「嗚呼、彼女のあの白く美しい手から生み出される崇高な百合物語…」
和「何て素晴らしいのでしょう」ウットリ
和「はぁ、私も彼女が生み出す百合世界のお手伝いがしたいです…」
原村家
恵「和、個人戦ベスト8だそうだな。よくやったぞ」
和「ありがとうございます、お父さん」
恵「お前の麻雀にかける情熱はよく分かった」
恵「こうして立派に結果を残したことだし私ももう反対はしない。お前がこれからも麻雀を続けるというのなら…」
和「いえ。私麻雀はもうやめます」キッパリ
恵「……………は?」
~~~~~~
数年後
咲「今日から新しい担当の人が来るんだっけ」
咲「うまくやっていけるかなぁ…締め切りとか厳しい人じゃないといいけど…」
ぴんぽーん
咲「はーい」ガチャッ
和「こんにちは。本日より咲さんの担当を勤めさせて頂きます、原村和と申します」ニコッ
こうして百合小説家咲とその担当和の強力タッグにより、
次々と百合ベストセラー本を出版していくのであった
某書店 宮永咲サイン会
美穂子「宮永先生!次こそは私と上埜さんが主役の『ブルーベリー・パニック』を書いてください!」
竜華「何言うてんねん!次はうちと怜の『膝枕Trick』に決まっとるやろ!」
憧「シズとあたしの『神無月の猿』もよろしくね!」
和「…ふう、熱狂的なファンが増えて大変ですね」
咲「でもそれだけ皆が百合好きになってくれてる証拠だし」
和「それもそうですね。…ところで咲先生」
咲「なに?和ちゃん」
和「咲先生が真の百合作家になるためには、次のステップが必要です」
咲「次のステップ??」
和「はい。それは咲先生自身が百合を体験することです」
咲「え…と?具体的には何を…」
和「つまりレズセクロスです!!」グッ!
咲「」
和「さあ咲先生…私が直々に手取り足取り腰取り教えてさしあげますから…」ジリジリッ
咲「えっ…あ、あの…」アトズサリ
和「ではいただきます!!」ガバチョ!
咲「ひゃああああああ!?」
こうして身も心も結ばれた咲と和のパートナーは
いつしか百合界のカリスマと呼ばれるようになったそうな
カン
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