モバP「ガラスの靴と魔法使い」 (77)
モバマスSSです。
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事務所
加蓮「それじゃ、お疲れさまー」
P「体は平気か?」
加蓮「んー、まぁね」
P「そうか。それじゃあな」
加蓮「ばいばい」
加蓮「…ふぅ」
周子「お、今帰るの?」
加蓮「ん?あ、そうだけど」
周子「一緒に帰る?」
加蓮「別にどっちでも」
周子「それならちょっと待ってて」
加蓮「了解」
周子「お待たせ」
加蓮「別に待ってないけど」
周子「一応ね」
菜々「な、なんでナナはここにいるんでしょうか…」
加蓮「あ、どうもー」
菜々「こんばんはー。お疲れ様です」
周子「それじゃ、どっか行こうか」
菜々「えっ、そういう流れなんですか?」
周子「そうそう」
加蓮「アタシは体に悪いもの食べたいな」
周子「油ものとか?」
加蓮「そうそうポテトとか」
菜々「えっ」
周子「体は?」
加蓮「平気。むしろその反動でそういうのが好きなんだよね」
周子「そうなんだ。菜々さんどうする?」
菜々「ま、まぁ…行きますよ」
加蓮「なんか一個上に見えない位落ち着いてるよね」
菜々「そ、そんなことないですよっ!」キャピ
周子「菜々さんわかーい♪」
菜々「そう言いながらもさん付けなんですね…」
ファミレス
加蓮「んーやっぱポテトは美味しいね」
周子「そだね」
菜々「……美味しいのは認めます」
菜々(最近ちょっとお腹周りが怖いんですよねぇ…)
周子「そういや、凛は?」
加蓮「ユニットで仕事」
周子「そうなんだ」
菜々「最近人気ですよねー」
加蓮「そうね」
周子「ん?なんかあるの?」
加蓮「別にそういう訳じゃないんだけど…」
周子「凛が忙しいのにあたしはー…みたいな感じ?」
加蓮「…まぁ、当たらずとも遠くないけど」
周子「だろうねぇ」
菜々「焦っちゃダメですって。まだ、入ったばかりなんですから」
周子「でも、ま、知り合いだったら焦るか」
加蓮「…うん」
加蓮「ってか話変わるんだけど…」
周子「うん」
加蓮「凛って絶対プロデューサーのこと好きだよね」
周子「だろうね」
菜々「ですね」
加蓮「あ、皆も知ってたの?」
周子「そりゃ、顔に出やすいもんね凛って」
菜々「ですね」
加蓮「やっぱりそうだよね」
加蓮「プロデューサーは知らないのかな?」
周子「さぁねぇ…」
菜々「どうでしょう…」
加蓮「あれ、そっちは分からないの?」
周子「ほら、あの人仕事人間だから…」
菜々「線引きはしっかりしてますから…」
加蓮「なるほどね」
加蓮「あと、変わってるよねプロデューサー」
菜々「まぁ、強ち否定は出来ませんね」
加蓮「だよねー。そもそも私を入れる時点で変わってるし」
周子「それを言うと…」
菜々「ナナ達もですよね?」
加蓮「そうなの?」
周子「うん。だって、アタシは京都でぶつかったのがきっかけだったし」
菜々「ナナは、えーと…メイドカフェで会ったのがきっかけですし」
加蓮「ふーん…」
周子「えーと、確か加蓮はサンタがどうとか…」
加蓮「…恥ずかしいからそれは秘密で」
菜々「サンタさんはいますよ?」
加蓮「うん。それは分かったよ」
加蓮「あ、そう言えば凛がスカウトされた時ってどんなのだったの?」
周子「ん?えーと、聞いた話だけど――」
加蓮「なるほどね…そら、あんなこと言うわけだ」
周子「あんなこと?」
加蓮「私は負けられないの。って」
周子「あー、言いそうだね」
菜々「ですね」
加蓮「多分、ユニットライブで負けた時泣いてたよ」
周子「っぽいね。聞いた話だと」
菜々「え、そうなんですか?」
周子「うん。頼子が言ってた」
加蓮「だよね。あの時必死に堪えてたもん」
周子「そうなんだ」
菜々「まぁ、気持ちは分からなくはないですけど…」
菜々(Pさんが言った言葉が嘘になる…?考えたくもないですね)
加蓮「次の日からさ、凛の目の色が変わったんだよねー」
周子「そうなんだ」
加蓮「元々練習の虫だったけどなんか気合いの入り方がね」
菜々「確かにそうですね。休んでる時もなにかしら違うことしてますしね」
周子「…絶対一番最初にトップになるつもりってことかな」
菜々「ですかね」
加蓮「ふーん…」
加蓮「あ、そうそう。なんで凛ってプロデューサーのこと好きなのかな?」
周子「ん?それって理由ってこと?」
加蓮「そうそう。凛だったら、選び放題だと思うけど」
菜々「ビビっと来たんじゃないでしょうかね…」
加蓮「一目惚れってこと?そうなのかなぁ…」
菜々「あとは、自分を認めてくれたとか…」
加蓮「認めて…って凛って他からもスカウトされたって聞いたけど…」
周子「みたいだね」
加蓮「認めてくれる人は他にもいたんじゃないかなって」
菜々「そこらへん凛ちゃんに聞いてみたらどうです?」
加蓮「いや、そこまでじゃないんだけどね」
周子「ふーん? ま。いつか分かるんじゃない?」
加蓮「何を?」
周子「凛ちゃんがPさんを好きな理由」
加蓮「ま、そうかもね」
翌日
加蓮「んー、いい天気だねぇ…」
加蓮「さてと…今日は一日レッスンか。頑張らないと」
加蓮「ちょっと、体が怠いなぁ…。昨日結構遅くまで話してたからかな?」
事務所
加蓮「おはようございまーす」
卯月「あ、おはよう」
周子「おは」
加蓮「早いね二人共」
卯月「たまたまだけどね」
周子「Pさんに起こされたんだよね」
P「悪かったって」
P「おはよう。加蓮」
加蓮(間違えて電話でもしたのかな…?)
加蓮「それじゃレッ――」
P「ちょっと待った」
加蓮「え…?」
P「こっちに来てくれないか?」
加蓮「別にいいけど…」
加蓮(なにかしたっけ?)
P「……」ジー
加蓮「な、なに?」
P「今日はレッスン止めとくか」
加蓮「は?なんでよ」
P「ちひろさーん」
ちひろ「はーい?」
P「体温計貸してください。一瞬で計れるアレです」
ちひろ「分かりましたー」
P「これで熱が無かったらレッスンに参加してもいい」
加蓮「はいはい」ピッ
P「37.8か。これ多分まだ上がるぞ」
加蓮「アタシこれくらいなら慣れてるから平気だって」
P「ダメだ」
加蓮「本人が大丈夫だって言っても?」
P「あぁ」
加蓮「なんでよ」
卯月「や、休むのも仕事の内だって…」
卯月(あー…ちょっと険悪な雰囲気に)アワアワ
P「焦ってるのか?」
加蓮「そんなわけないじゃん」
P「レッスンが終わった後、蓮実とかと自主練して、その後もちょっとだけ練習してたらしいな」
加蓮「…たまにね」
P「そうか。たまにか。まぁ、今はそこについては聞かないよ。とりあえず帰るぞ」
加蓮「えー…折角来たのに」
P「送るからさ」
加蓮「まぁ、そこまで言うなら…」
あ、トリップ忘れてた…
車内
P「病院に寄るか?」
加蓮「多分疲れが出ただけだと思うからいい」
P「そうか…」
加蓮「うん…」
P「自分でちょっと怠いとか感じてたか?」
加蓮「あー、まぁ、ちょっとは」
P「なら言ってくれよ」
加蓮「いけるかなーって」
P「とりあえず、相談してくれ、な?」
加蓮「はーい」
加蓮「そういや、そっちこそ休んでるの?」
P「俺か?」
加蓮「うん」
P「休んでるぞ」
加蓮「なにしてるの?休みの日」
P「そうだなぁ、買い物とか?」
加蓮「誰と?」
P「美嘉とか周子とか…」
加蓮「それって、休んでないよね」
P「仕事はしてないさ」
P「よし、コンビニで何か買ってくか?」
加蓮「思いっきり、子供扱いだね」
P「まぁ、俺からしたらな」
加蓮「凛も…?」
P「ん?どういうことだ?」
加蓮「…なんでもない」
加蓮「あー、ゼリーとかジュースが欲しいかも」
P「分かった。買ってくるな」
コンビニ
P「さて…」
ピリリリ
P「はい」
周子『お、Pさん。今平気?』
P「どうかしたか?」
周子『いや、加蓮が平気かなって』
P「そこまで大事じゃないと思うが」
周子『ふーん。ならいいや。ありがと』
P「なんだったんだ一体…」
車内
P「買ってきたぞ」
加蓮「……ん」ウトウト
P「寝るか?」
加蓮「…うん。毛布借りる」
P「着いたら起こすな」
加蓮「…ん」
加蓮「…おはよ」
P「体調はどうだ?」
加蓮「悪くはなってないかな…」
P「そうか」
P「こんな時に言うのも変な話だけど」
加蓮「…うん」
P「体力は付いてきてるし、少し差は縮まったかもしれないな」
加蓮「…凛と?」
P「おう」
加蓮「それはないでしょ。向こうは大忙しで、こっちは病気でダウンしてるんだから」
加蓮「追いつく、追い越すのは無理だったのかなぁ…」アハハ
加蓮「なんかさ、こうしているとね」
P「おう」
加蓮「二人で抜け出して遊んでる気分になるよね」
P「言いたいことは分かる」
加蓮「ちょっとイケないことしてる気分だよ」
P「まだ日が高いのに学校にいないしな」
加蓮「そうそう。ちょっとこういうのに憧れてたんだ」
P「そうなのか」
加蓮「だってやったことなかったからね。そんなに知り合いが多い訳でもないし」
加蓮「ちょっとだけ焦ってたかもしれない」
P「ん?」
加蓮「自分が足踏みしてる間に皆が先に行っちゃうからさ」
加蓮「もしかしたら、そんなことないかもしれないけど、そんなことを考えたらいてもたってもいられなくて…」
P「まぁ、焦る気持ちは分かる。ただ、凛が初めて入ってきた時に比べたら加蓮の方が良いと思うぞ」
加蓮「そうなの?」
P「あぁ」
加蓮「ふふっ、ありがとね」
車内
加蓮「……ん」
P「寝ちゃったか」
P(まぁ、熱出てたしな…)
P「焦る…か」
P「それだけ真面目にやってるってことだよな…」
P「凛の直感は間違ってなかったって訳か」
P「全快になったらオーディションとか受けさせてみるか…」
P「何が向いてるんだろうなぁ…加蓮は」
P(凛のバーターとして出して、凛を弄っても面白いかもしれないな)
P(後で凛に怒られそうだけど…)
P「ユニットを…って思ったけど、流石に凛も掛け持ちはキツいよなぁ」
P(特に誰がいいとか思いつかないし)
P「とりあえず、楓さんとかと一緒にグラビアとかも悪くないしなんとかなるとは思うけど…」
P「って、俺が焦ってもしょうがないよな…」
P「着いたぞー」
加蓮「……ん」
P「起きたか?」
加蓮「多分…」
P「熱あるんだから無理するなよ?」
加蓮「はーい…」ボケー
P(大丈夫かな…)
P「失礼します。私、加蓮さんの――」
加蓮「今、親いないって」
P「そうか。それじゃ、部屋まで補助するか?」
加蓮「…セクハラ?」ジロ
P「変な意味はない」
加蓮「ふふ、冗談だって。それじゃ、ちょっとだけお願いしていい?」
P「あぁ」
加蓮の部屋
加蓮「あんまり綺麗じゃなくてごめんね」
P「別に気にしないぞ」
加蓮「…こういう時は綺麗だぞって言うんじゃないの?」
P「ごめんな」
加蓮「別にいいけど」
P「それじゃ…」
加蓮「あ、ちょっと待って」
P「ん?」
加蓮「正直さ、寝ちゃったから眠くないんだよね」
P「なるほど」
加蓮「だからさ――」
P「話し相手か?」
加蓮「そういうこと」
P「まぁ、少しの間なら」
加蓮「最近楽しくてね」
P「あんなこと言ってたのにな」
加蓮「…恥ずかしいから止めてってば」
P「悪い悪い」
加蓮「でも、この世界に入ってよかったと思う」
P「凛に感謝だな」
加蓮「そう言えばさ」
P「なんだ?」
加蓮「凛のこと好き?」
P「回答に困る質問だな。大切なアイドルだ」
加蓮「アイドルねぇ…」
P「あぁ、加蓮も大切なアイドルだ。失いたくない」
加蓮「ふ、ふーん…」
P「どうかしたか?」
加蓮「別に。ただ、アタシが聞きたいのは……いや、結局同じ回答をするだろうしねPさんは」
P「さぁな」
加蓮「さぁって…それじゃ、女の子として好きなの?」
P「大切なアイドルだよ」
加蓮「…もう」
加蓮「そう言えば、夢を見たの」
P「夢か?」
加蓮「うん。アイドルに憧れた時の夢」
P「昔の夢か」
加蓮「そ。サンタさんにお願いしてた時の夢」
加蓮「目が醒めたらアタシがアイドルやってたって驚きだよね」
P「努力の結果さ」
加蓮「ううん。違うよ。プロデューサーのおかげ」
P「…そう言われると照れるな」
加蓮「あ、カワイイ~」ニヤニヤ
P「加蓮、手出してくれ」
加蓮「なに?手相でも見るの?」
ピタッ
加蓮「…なに?」
P「たなごころって知ってるか?」
加蓮「知らないけど」
P「手の心って書いて掌って言うんだ」
加蓮「ふーん。この状況とどういう関係が?」
P「いや、大した意味はないけど、心が通じ合う気がしないか?」
加蓮「…気障ったいね。ちひろさんに笑われるよ」
P「そうかな」
加蓮「まぁ、嫌いじゃないけどさ」
P「なら良かった」
加蓮「って言っても、アタシからしたら、掌の上で転がされてる気がしないでもないんだけどね」
P「そんなことはないと思うけどな」
加蓮「どうだか」フフ
加蓮「思ったんだけどさ」
P「うん」
加蓮「割とあたし達からしたらプロデューサーってお兄さんっぽいよね」
P「そうか?」
加蓮「うん。頼りがいがある」
P「照れるな」
加蓮「まぁ、優しいだろうってことと、プロデュースの才能は認めてるよ」
P「それだけで充分だ」
加蓮「…甘くはならないでね」
P「それは勿論」
加蓮「それじゃ、そろそろおやすみ」
P「あぁ、じゃあな」
加蓮「わざわざ、ありがと」
事務所
P「お疲れ様です」
ちひろ「あ、どうも」
杏「お」
未央「おかえりー」
P「なんだ二人だけか」
杏「いや、確か凛が仮眠室で寝てる」
楓「…落書きしてきていいですかね?」
P「それ油性なんで勘弁してあげて下さい…」
未央「どこ行ってたの?」
P「ちょっと加蓮の所にな」
杏「あー、体調よくないんだっけ」
P「まぁ、疲れが溜まっただけだろう」
杏「ならいいけど」
まゆ「まゆが風邪引いたら看病してくれますかぁ…?」
P「お、まゆか。おはよう」
まゆ「はい」
P「まぁ、まゆが事務所まで来ちゃったらちゃんと家まで送るぞ」
まゆ「その後は…?」
P「え、そうだな。まぁ、必要だったらおかゆくらいなら」
まゆ「…幸せです♪」
P「ただ、風邪はひかないようにな」
まゆ「はい。あ、そうだ。この件なんですけど――」
杏「思うんだけど」
未央「うん?」
杏「Pさんってわざとああ振る舞ってるのかな」
未央「まゆちゃんのこと?」
杏「そそ」
未央「さぁねー。ただ、慕ってくれてるだけって思ってるんじゃないの?」
杏「そうなのかね」
未央「ちょっと、積極的な妹がいるって感じじゃないの?」
杏「それもそれで凄いよね…」
頼子「このように昔から匂いは重要な立ち位置にあり――」
志希「ふーん」
頼子「…興味ありませんでしたか?」
志希「いやー、凄いとは思うよ。さっぱりだけど」
頼子「ま、まぁ、興味ないとちょっと難しいかもしれませんけど…」
志希「ま。あれだよね。匂いと記憶は密接な効果があるってことが、違う方面からも証明されたってことだよねー」
頼子「違う方面…?」
志希「そ。文学的な側面からもって感じ」
頼子「はぁ…」
事務所
ちひろ「それじゃお疲れ様です」
P「あ、お疲れ様です」
ちひろ「早く帰って下さいよ?」
P「えぇ、善処しますね」
ちひろ「結果を見せて下さい結果を」
P「手厳しいですね」
ちひろ「そんなことはないですって」
翌日
加蓮(寝過ぎてつい、早く来ちゃった…)
加蓮「って、もう誰かいるんだ。早いね」
加蓮「プロデューサーさんかな?」
ガチャ
加蓮「おっはよ…」
P「……お、加蓮か」
加蓮「…まさかとは思うけど、徹夜?」
P「いや、さっきまで寝てた」
加蓮「ずっと事務所にいたの?」
P「まぁ、そうなるな」
加蓮「人に無茶するなって言っておいてなにしてんの?」
P「ちょっとやりたいことがあってさ」
加蓮「それでも――」
P「お、いいものをやろう」
加蓮「…なに?」
P「オーディションの予定と加蓮の出演予定がある番組」
加蓮「え…?」
P「なにが『え?』だ。頑張るんじゃないのか?」
加蓮「いや、そうだけど…」
加蓮(昨日の今日でこんなこと…)
P「ちょっと寝てくるから、ちひろさん来たら教えてくれ」
加蓮「え、あ、うん。お疲れさま…」
バタンッ
加蓮「…ありがと」
仮眠室
P「良く寝たな…」
文香「…子守唄でも歌いましょうか?」
P「なんで椅子に座ってるんだ?」
文香「本を読む時は普通椅子に座るものかと」
P「その点に関しては同意だが…」
文香「う、埋まっていたんですよ」
P「はい?」
文香「事務所の方の…ソファが」
P「そうなのか」
文香「そう…なんです。だから仕方がない…ことなんです」
文香「お加減如何ですか?」
P「ただ、寝てただけだから平気だよ」
文香「少し気が抜けた姿…初めて見ました」
P「スーツで寝る訳にはいかないしな」
文香「そう…ですね。誰か見たことがある方はいらっしゃるんですか…?」
P「まぁ、いるっちゃいるんじゃないかな。覚えてないけど」
文香「そうなんですね…」
文香「あなたは…性善説を信じますか?」
P「信じたいよな。人の不幸を見過ごしたくはない」
文香「人の不幸を思いやる心のない人は人とは言えません…か」
P「流石にそこまでは言う気はないけど」
文香「冗談です…ふふっ」
P「ただ、世の中それじゃ上手くいかないってことも分かってるけどな。だけど、俺は事務所の皆は信じてるぞ」
文香「それでいいと思います」
P「ありがとな」
文香「いえ…大したことでは」
文香「あ、そう言えば…」
P「うん?」
文香「顔を洗ってから事務所に戻ってくることをオススメします」
P「…誰だ?」
文香「えっと…ご察しの通りです」
P(楓さんか…)
P「分かった。ありがとう」
文香「いえ、それでは……」
事務所
ちひろ「あ、おはようございます」
P「あ、もう来てたんですか?」
ちひろ「えぇ」
P(ソファ全然空いてるんだけど…)
ちひろ「どうかしましたか?」
P「いえ、良く寝たなって」
ちひろ「まさか、夜通しここにいるとは思いませんでしたよ」
P「運転するのマズイ気がしまして…」
ちひろ「まぁ、正しい判断かと」
ちひろ「そういえば、加蓮ちゃんに何か言いました?」
P「ちょっとだけ。どうかしました?」
ちひろ「やけにやる気だったんですよ」
P「良い兆候じゃないですか」
レッスン場
蓮実「だから、これはこうじゃないかと…」
加蓮「なるほど…」
蓮実「急にどうされたんですか?」
加蓮「練習しなきゃって思ってね。迷惑だったかな?」
蓮実「いえ、全然構わないんですけど」
加蓮「あ、このシーンで止めて」
杏「加蓮は杏と同じ側だと思ったんだけどなぁ…」
小梅「同じ…側?」
杏「だらける方」
小梅「だらける…?」
杏「こう杏みたいにさ」グデー
小梅「似てると…思います…よ?」
杏「え、加蓮も杏みたいにダラダラしてるの?」
小梅「ぎゃ、ぎゃくです…」
杏「ふぅん?」
周子「思うんだけどさ」
P「どうかしたか?」
周子「トップアイドルをシンデレラって表すんだったらさ、プロデューサーってずばりガラスの靴だよね」
P「そうか?」
周子「茨の道でも二人でやってけるみたいな」
P「随分と詩人だな」
周子「でしょ。なんかくれてもいいよ」
P「何が欲しいんだ?」
周子「あたし専用のガラスの靴かな」
P「…なるほどな」
周子「ま。嘘だけど」
P「嘘か」
周子「半分くらいは」
周子「最近、加蓮がもの凄い気迫で頑張ってるよ」
P「そうなのか」
周子「白々しい」
周子「頑張って凛に追いつこうとしてるんだなって思った」
P「お前は?」
周子「あたし?あたしは自分のペースで頑張るよ」
P「無理するなよ」
オーディション当日
P「結構長丁場のオーディションだな…」
加蓮「自分で決めた癖に今更何言ってるの」
P「いや、確かにそうなんだけど…」
加蓮「テレビ出たおかげで、皆に見られるのも慣れたし、練習も悔いがないくらいした。大丈夫だと思う」
P「そうか…」
加蓮「信じてないの?」
P「そういう訳じゃないが…」
加蓮「手出してよ」
P「ほれ」
ピタッ
加蓮「掌。私の気持ち伝わってるかな?」
P「加蓮……」
加蓮「大丈夫だから。信じてよ。あなたが育てたアイドルだから」
加蓮「間違ってないって証明してあげるから。あんな私がプロデューサーに出会えて変われたんだよ?それだけであなたは最高のプロデューサーって断言できるから」
加蓮「プロデューサーはゆっくりアタシへのご褒美でも考えておいてよ」
加蓮「魔法を掛けられた灰被りがシンデレラへの階段を登る所を見ておいて」
加蓮「皆に夢を見せるアイドルになる所を」ニコッ
P「…加蓮」
加蓮「なに?」
P「頑張れ!」
加蓮「うんっ!」
P「人は変わるんだな…」
P「頑張れ加蓮。加蓮ならきっと自分が昔憧れてた夢を見せるアイドルになれるから」
P「さて、俺も観客席の方にでも行くか…」
数日後
菜々「掌ですかー」
P「えぇ」
菜々「手のひらって聞くとこうやって透かしたくなりますよね」
P「ウサミン星人は何色の血が流れてるんですか?」
菜々「あ、赤ですよっ」
周子「随分とまぁ、懐かしい歌を」
菜々「え、歌ってませんでした?」
周子「いや、歌ってたけど」
菜々「で、ですよねぇ…」ホッ
車内
加蓮「~♪」
凛「そう言えば、オーディション通ったんだねおめでと」
加蓮「ありがとねー」
卯月「頑張ってたもんねー」
未央「アタシも頑張らなきゃなー」
加蓮「あ、そうそうプロデューサーご褒美なににしよっか?」
凛「ご褒美?」
P「まぁ、突破した記念にってことだな」
凛「そうなんだ」
卯月「何にするの?」
加蓮「えっとね。ガラスの靴かな」
P「ガラスの靴?」
未央「お洒落かもだけど足痛そうだね…」
P(どこかで聞いたようなセリフだな…)
加蓮「アタシがシンデレラガールになるために絶対必要なものなんだ」
P「そうなのか。どこに売ってるんだ?」
加蓮「売ってるものじゃないんだけどね。魔法を掛けてくれた魔法使いが持ってるのかな?それともアタシはもしかしたら、魔法使いさん自身が欲しいのかも」
加蓮「灰被りから階段を登るためにね♪」
未央「…?」
卯月「…?」
凛「……」
P「あはは…」
終わりです。
あれですね。やはり加蓮書いてると奈緒とか欲しくなりますよね。
ちょっと所用で消えますが、何かあればどうぞ。
トラプリとNGは3人居てこそ意味があるからね、NGは揃ったし後は奈緒だけだよボソッ
トップアイドルって据え置きゲームのあれ準拠で考えていいのか
SSでトップ取るだのの要素が出てくるたびに戸惑いを感じる
はじめ覚えのあるしぶりんのセリフが出てきたと思ったら古典シリーズだったのね
おつでした
番外でついに加蓮も堕ちちゃったか
お疲れ様です。
こうSSとか書いてるとイラスト化したくなりますよね。
簡単な解説。
掌:まぁ、ルーキーズとかで出てましたね。『握れば拳、開けば掌』って。意味は手の心と言う意味です。
性善説:孟子の不忍人之心から引用しています。
以下原文
孟子曰、「人皆有不忍人之心。
先王有不忍人之心、斯有不忍人之政矣。
以不忍人之心、行不忍人之政、治天下可運之掌上。
所以謂人皆有不忍人之心者、今人乍見孺子将入於井、皆有?惕惻隠之心。
非所以内交於孺子之父母也。
非所以要誉於郷党朋友也。
非悪其声而然也。
由是観之、無惻隠之心、非人也。
無羞悪之心、非人也。
無辞譲之心、非人也。
無是非之心、非人也。
惻隠之心、仁之端也。
羞悪之心、義之端也。
辞譲之心、礼之端也。
是非之心、智之端也。
人之有是四端也、猶其有四体也。」
外伝とは言え、折角出したので、一人最低一個はメインの話を作りたいかなとか思ってます。
掘り下げると色々面白そうなアイドルもいるので…。
そう言えば、今日は頼子さんの誕生日か…。
ちょっとでも、このSSシリーズで認知が増えていれば幸いです。
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません