アルミン「動物園?」(47)

エレン「なあアルミン。動物園いこうぜ」

アルミン「急にどうしたの?」

エレン「なんでも珍しいゴリラが来たんだとよ」

アルミン「ふーん」

エレン「いこうぜ!」

アルミン「まあそこまで言うのなら・・・」

アルミン(・・・?)

アルミン「ねえエレン。そういえばライナー見かけないよね?」

エレン「そういえばそうだな」

アルミン(まさか・・・非合法的に捕獲されて観賞用動物として扱われてるんじゃ・・・)

エレン「どうした?」

アルミン「いや、なんでもないよ」

アルミン(・・・気になるしいってみよう)

ライナー「ウホッ・・・ウホ」ノシノシ

エレン「すげぇゴリラだ!」

アルミン「あれはライナー・・・だよ?」

エレン「なに言ってんだよアルミン!」

アルミン「それはこっちの台詞だよ!」

エレン「大体ライナーがこんなところにいる訳ねえじゃねえか!」

アルミン「そうだけど、あれはゴリラじゃないだろ!?」

エレン「ゴリラだ!間違いねえ!」

アルミン「間違ってるよ!」

ギャーギャーギャー

飼育員「君たちどうしたの?」タッタッタ

エレン「飼育員さん・・・」

アルミン「あれはライナーですよね?」

飼育員「え?ライナー?」

エレン「違うよな?飼育員さん!」

飼育員「惜しいね。あれはね、ゴリライナーというゴリラの亜種なんだ」

アルミン「ゴリライナー・・・?」

飼育員「うん」

アルミン「嘘だ!あれはライナーだ!僕の同期で、とても頼りがいがあって・・・」

飼育員「君、誰かと間違えてない?」

エレン「よせよアルミン!馬鹿みてえだぞ!」

アルミン(一体なにがどうなって・・・)

アルミン「彼がゴリラだという証拠でもあるんですか!?」

飼育員「証拠?」

アルミン「ええ、そうです!」

アルミン「彼がゴリラだというのならその証拠を見せてください!」

飼育員「見せるもなにも、ここでゴリライナーがゴリラとして飼育されている」

飼育員「それが証拠だよ?」

アルミン「くっ・・・」

エレン「ほらみろアルミン!アレはゴリラだ!」

アルミン「いや、嘘に決まってる・・・信用できない!」

アルミン「僕が直々に証明してやる!」

アルミン「まずはバナナを与える!」ボロン

アルミン「ライナーだったら地に落ちたバナナなんか汚くて食べないはずだ!」ポイッ

ポトッ

ライナー「ウホ、ウホ」ノシノシ

ライナー「ウホッ」ヒョイッ

ライナー「ウホウホ」モグモグ

エレン「・・・普通に食べてるじゃねえか」

アルミン「くっ・・・」

飼育員「ね?ゴリラだろ?」

アルミン「まだ終わっちゃいない」

アルミン「セロリならどうだ!」ボロン

エレン「セロリ?」

アルミン「人間ならセロリをそのまま食べないはず」

アルミン「これを食べなければライナーだという証拠になる」

エレン「???どういうことだ?」

アルミン「これでどうだ!」ポイッ

ライナー「ウホ」ノシノシ

ライナー「ウホ・・・」ヒョイ

ライナー「・・・ウホ・・・」

エレン「おい、ゴリラがセロリを食うのを躊躇ってるぞ」

エレン「もしかして本当にライナーなのか・・・?」

アルミン「ほらね?彼はゴリラじゃなくてライナーなんだよ」

ライナー「ウホウホ」ムシャムシャ

アルミン「あ・・・」

エレン「・・・食べてんじゃねえか」

アルミン「そんな・・・こんなの何かの間違いだ・・・」ワナワナ

飼育員「ね?ゴリラだろ?」

アルミン「じゃ、じゃあ・・・」

アルミン「普段の生活を観察します!」

エレン「アルミン!?」

アルミン「僕が何日かけてでもライナーをこの窮地から救い出してみせる!」

エレン「ちょっと待てよアルミン。休暇は今日一日だけだぞ!」

アルミン「うるさい!」

飼育員「エレン君。やめておきなさい」

エレン「飼育員さん・・・」

飼育員「今のアルミン君は誰にも止められやしない」

飼育員「気の済むまでさせてあげよう」

エレン「いいんですか?」

飼育員「うん。いいよ」

エレン「じゃあ・・・よろしくお願いします」

アルミン(待っててねライナー!)

アルミン(僕が必ず人としての尊厳を取り戻してあげるよ!)

ライナー観察日記(3日だけ)

今日から3日間だけということで観察させてもらうことにした。
上手い具合に教官とか説得して休暇を特別に貰った。このぐらい朝飯前だ。

それで、3日間のうちに人として、ライナーとしての証拠が見つからなければすっぱり諦めろとのこと

でも僕は挫けない。
僕はライナーと共にこの動物園から一緒に帰るんだ。

初日

アルミン「ライナー・・・」

ライナー「ウホ?」

アルミン「君はライナーだろ?」

ライナー「ウホ?」

アルミン「俺はライナーだって言ってくれよ」

ライナー「ウホ?ウホウホウホ?」ドンドコ

アルミン「・・・ドラミングありがと」

ライナー「ウッホ」ノシノシ

メスゴリラ「ウホン///」

ライナー「ウッホホウッホ」サワサワ

メスゴリ「ウッホホ///」

ライナー「ウッホ?ウホホ?ウ?」

メス「ウ・・・ウホホ・・・ウホホイ///」

アルミン(畜生・・・なんなんだこれ・・・!)

1日目の観察

ライナーは結構ゴリラだった。
歩行時は常にナックルウォーキングだったし、メスゴリラにしれっとセクハラしてた。

クリスタに相手にされず、女子の人気がそれほど高くなかったライナーがここではモテてる。
ライナーもハーレムがここにあるとは夢にも思わなかっただろう。

また、客相手にパフォーマンスを繰り広げ、御布施を貰っていた。
でもこんなことできるなんて、やっぱり知能は人間のそれじゃないかな?

僕は今日一日だけで大きな収穫をしたように思えた。
明日もいいことがあったらいいな。

2日目

ライナー「ウホ・・・」ホジホジ

アルミン「呑気だなぁ」

ライナー「ウホッ」ピン

アルミン「うわっ!?」ベチャ

ライナー「ウホホwwwウホホwww」ゲラゲラ

アルミン「こんの・・・!!」

アルミン「落ち着け・・・!落ち着け・・・!」

ライナー「ウホ・・・」ノシノシ

平然と悪びれる様子も見せずにナックルウォーキングで去っていくその姿に僕は憤怒しかけた。


エリー「お兄ちゃん、あのゴリラってなんて名前なの?」

兄「えーっとな、・・・」

エリー「あ、ここに説明書いてあるよ!」

エリー「けど私読めない!」

兄「じゃあ俺が読んでやるよ!」

兄「なになに・・・」

『彼は山で偶然捕獲されたゴリラです。名前はゴリライナーといいます
 少し臆病でドラミングがうるさいですが、圧倒的パフォーマンスと
 顔面セクハラは見てて笑えるものがあります!
 好物はバナナ、セロリ、蟻です。』

兄「・・・だって」

エリー「へー」

アルミン「可愛い子だな・・・」ジーッ

2日目

今日はライナーに鼻糞をつけられた。
あんな正確な投擲力があるなんてやっぱり人間なんかじゃないか?

少しムカついたが、収穫があっただけに不問にすることにする。

さて、本日のライナーの食事メニューだが

朝 バナナ20房 蟻

昼 セロリ17キロ 蟻

夜 バナナ10房 セロリ15キロ 蟻

・・・よく食べるなぁ。

普通の人間ならこんな量食べられないよ。
ライナーがゴリラという疑惑が膨れ上がるものの、僕は気にしないことにした。

だけど、このままだと確証が得られないままライナーはゴリラとしての人生を歩むことになってしまう

・・・ので、明日はあるものを調達してもらうことにする。
そして、これに食い付けばライナーは人間だということを証明できる。

これは賭けだ。

後、可愛い子がライナーを見に来ていた。
これを見れただけでもよしとしよう。

シコッテ僕は寝ることにした。

・・・と思ったらティッシュがなかった。
不完全燃焼だ。

クレームつけてやる。

物にあたると、手とか足とか痛いので日記に愚痴ることにした。

※アルミンは動物園に住まわせて貰ってます。

3日間だけ

アルミン「ライナー、君は人間だよね」

ライナー「ウホ」

アルミン「それともゴリラ?」

ライナー「ウホ」

アルミン「oh~バナーナー」ポイッ ポトッ

ライナー「ウホッ」モグモグ

アルミン「クリスタのパンツがー(棒)」ヒューヒラヒラ

ライナー「・・・・・・・・・・・・・・・・ホ?」

アルミン「・・・嘘だろ・・・」ガクガク

アルミン「君は人間として、ライナーとしてクリスタのパンツを愛してるって言ってたじゃないか・・・!」

アルミン「パンツよりバナナを優先するだなんて・・・君はとんだゴリラだよ・・・!」

ライナー「ウホッ?」

アルミン「うう・・・うぅう・・・」ポロポロ

アルミンは昨日感じた気持ちとは打って変わって、シコッた後の気持ちを思い出していた。

ふぅ・・・という諦めのような、哀しみのような・・・。全身から力が抜けて、その場に倒れこみたいとも思っていた。

しかしゴリライナーはそんなことを意にも介さず、落ちているクリスタの縞パンを見つめながら、バナナを黙々と食らっていた。

―――この縞パンは美しい―――

ゴリライナーはバナナを食べながら、クリスタのパンツにそういった感情を抱いた。

そして、この頃から芸術の心が芽生えた。

一歩人間に近づいた・・・のかもしれない。

ゴリライナーはバナナを完全に食らった後、パンツをまじまじと見つめていた。

興奮によって鼻息を荒くなる。

しかし鼻糞が詰まっているのか、ピューッと笛を吹いたかのような音が鼻から漏れる。

ライナーは鼻糞をほじり、絶望して跪いているアルミンに目掛けて、鼻糞を指で丸めて弾き飛ばした。

鋭く命中した。

昨日までのアルミンなら憤慨するだろう。

しかし、今日のアルミンは全然気にも止めなかった。というより、気に止められなかった。
絶望していたからだろう。

そして、ゴリライナーは平然とナックルウォーキングで去り、メスゴリラにセクハラをしにいった。ぶれない。

ちなみに、確かにゴリライナーは興奮していたが、この興奮は性的なものではなくて
素晴らしく美しいものを見たときに感じる気持ちに似たようなものである。

3日目

・・・・・・駄目だった。
あんなにクリスタのパンツが好きだったのに・・・
ライナー、君はもうゴリラなんだね・・・

がっかりしたよ。頼りがいがあって、皆の兄貴分で、信頼が厚くて・・・
人としての理想像を描いて表したかのような人間、それがライナーだったのに。

もうゴリラなんだね、君は。

だから、僕としてはゴリラとしての生活を楽しく送ってくれると嬉しいな。
僕は人として接したかったけど、仕方がないよね。

僕はもう、ライナーのことをゴリライナーとして認識することにした。

明日はエレンに迎えにきてもらう。

ライナーと肩を並べて、みんなのいる場所へ帰られないのは残念だけど。

・・・もういいんだ。

ライナーにとってこの生活のほうが幸せなのかもしれない。

僕の個人的な気持ちを晴らす為に、帰り際にバナナとセロリと蟻をプレゼントすることにした。

ゴリライナーは喜ぶはずだから。

エレン「・・・アルミン」

アルミン「うん・・・」

エレン「大丈夫か?」

アルミン「大丈夫。もう平気だから」

飼育員「・・・ではお別れだ」

アルミン「・・・」

ライナー「・・・」

アルミン「飼育員さん」

飼育員「ん?なんだい?」

アルミン「ゴリラですか?というとウホッていう」

アルミン「ゴリラでしょうか?」

飼育員「うん、そうだよ」

飼育員「あそこにいるのはゴリライナーだ」

アルミン「やっぱりゴリライナーなんですか・・・」

飼育員「辛いと思うけど、別れのときだ」

アルミン「・・・ゴリライナー。ほら、バナナとセロリと蟻」ファサァァァ

ライナー「ウホウホウホホ」ノシノシノシシ ペロペロペロンペロリンチョ

アルミン「・・・と、クリスタのパンツ・・・」ヒラッ

ライナー「・・・・・・」ジーッ

アルミン「ブラジャー・・・」ヒラッ

ライナー「ウホッ」パシッ

アルミン(食い付いた・・・!?)

ライナー「ウホウホホ」ギギギ・・

アルミン「試着しようとしてる・・・!?」

エレン(・・・サイズ・・・)

アルミン「やっぱり君はライナーなんだろ!?」

アルミン「心の奥底はライナーなんだ!」

アルミン「好みが変わっただけなんだね!?」

アルミン「そうだろ!?」

飼育員「・・・」

アルミン「君は人間なんだろ!?ライナーなんだろ!?」

飼育員「・・・諦めなよ。彼はゴリラなんだ」

アルミン「あ、ほら今『彼』っていった!」

アルミン「『彼』ってことは人間扱いしてるんですよね!?」

アルミン「そこんとこどうなんですか!?」

エレン「やめろアルミン!みっともねえ!」ガシッ

アルミン「僕は人権団体にでも動物愛護団体にでもエルヴィン団長にでも訴えてやるぅーー!」バタバタ

アルミン「やっぱりライナーはゴリラじゃないんだ・・・違うんだよ・・・」ポロポロ

エレン「わかったわかった」ヨシヨシ

アルミン「何がわかったんだよ・・・」ヒグッヒグッ

エレン「とにかく落ち着けって」

アルミン「無理だよ・・・おかしいじゃないか。彼はライナーなんだよ・・・皆おかしいよ」

エレン「帰りにお土産の『ゴリライナーの鼻糞』買ってやるから、な?」

アルミン「いらないよ・・・」

僕はエレンと共に帰路についた。

僕は皆にライナーのことを話すと

『ようは野生に返ったんだろ?』クチャクチャ
『違いますよー。飼育されてるんだから野生ではありません!』クチャクチャ
『頭が、本能が野生に返ったということ・・・だと私は思う』クチャクチャ

皆意外と驚かなかった。
・・・僕だけだったのか?あんなにもみっともなく騒いでいたのは?

後、エレンがお土産に買って帰ったゴリライナーの鼻糞は意外と好評だった。

・・・あの時、僕は苦い思い出があるから遠慮しておいたけど・・・

あそこまで美味しそうに食べられると、買ってもらっておけばよかったかも。

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