モバP「世界レベルの5月病」 (27)

P「……」

ヘレン「そこにいるのは……Pね。何の用かしら?」

P「なんだと思う?」

ヘレン「フッ……私とあなたの間で、理解できないことなど一つもないわ」

P「そうか」

ヘレン「男であっても、女であっても。空虚な穴が心に空くことがある……埋めたいのならば、遠慮はいらない」

P「うん」

ヘレン「来なさい、どこまでもクレバーに抱きしめてあげる」

P「そこ俺のデスクだからどいてくれ」

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ヘレン「デスク……なるほど」

P「なにをどう考えてそこを占拠してるのかわからないけど、一応デスクワークもあるからさ」

ヘレン「よく聞きなさい、P」

P「うん?」

ヘレン「デスクにかじりついていては、空に輝く星も地に咲く花々も見られないわ」

P「そうか」

ヘレン「だから私を見なさい」

P「どうしてそうなる」

ヘレン「ここに世界を見せてあげる」

P「一理もなさ過ぎて逆に正しい気がするな」

ヘレン「そう。あなたにも感じられるのね……このビートが」

P「セリフと裏腹にどんどん横向きに体がずり落ちていってるな」

ヘレン「なかなかに快適よ……世界がすべて横を向いた光景はね」

P「なるほど、横を向いてるのはヘレンじゃなくて世界のほうか」

ヘレン「そして私は世界レベル……つまり、互角ね?」

P「何とだ」

ヘレン「……フッ、訂正するわ」

P「そうだな」

ヘレン「私とあなたなら、世界が相手であろうと必ず勝てる。そういうことね」

P「そういう意味じゃない」

ヘレン「……」

P「ヘレン?」

ヘレン「ヘーイ!」

P「ごまかさない」

ヘレン「そうね、あなたと私の間にごまかしは必要ない」

P「そうだな」

ヘレン「やはり私のパートナー。それでこそ、Pよ」

P「ありがとう」

ヘレン「これからも励みましょう」

P「ああ」

ヘレン「……どうしたのかしら?」

P「どうしたと思う?」

ヘレン「フッ……そうね、ほんの少しセンシティブになるのも理解できる。そうでしょう?」

P「いや、まだ俺のデスクが解放されてないんだ」

ヘレン「なるほど……」

P「そんな真面目な表情されても、まだ俺の椅子使って全力でだらけてる現実は覆せないぞ?」

ヘレン「安心しなさい」

P「何をだ」

ヘレン「やはり一流は一流を知る。この角度は最高に私を輝かせるわ」

P「そんなに気に入ったか」

ヘレン「80点、と言ったところね」

P「なかなかに高得点だな」

ヘレン「ええ。とてもいい気分よ」

P「いい気分ついでにちょっと立ち上がったりダンスしたりしたりは?」

ヘレン「明日までには始めましょう。まだイントロすら流れていないわ」

P「ああ、ちょっとばかし導入が長いなぁ」

ヘレン「ふむ……P?」

P「どうした?」

ヘレン「この状態について、気づいたことがひとつあるわ」

P「今すぐ起きてくれたら俺のデスクワークが再開できるっていう事かな」

ヘレン「椅子のバランスというのは、絶妙な一点で成り立つということよ」

P「なるほど?」

ヘレン「……つまり、私ならばもう一歩。世界へ向けて踏み出せる!」

P「より横向きになったな」

ヘレン「フッ……これが『世界』よ」

P「そこまでいくと逆に辛そうなんだが」

ヘレン「酸いも甘いもすべて受け止めてこそ、でしょう? 安心しなさい、あなたの前で私が無様をさらす筈がないわ」

P「現状が一番無様かもしれないなぁ」

ヘレン「ふぅ……」

P「ほら、ちょっと辛いだろうから起き上って」

ヘレン「安心しなさい」

P「うん?」

ヘレン「既にこの角度は会得した……問題ないわ!」

P「すごい、安心できない」

ヘレン「安心も、慢心も。自身の行動を曇らせる……それでいい。流石よ」

P「そうか、ありがとう」

ヘレン「それに……あなたとのスリリングなひと時。これもまた私にとって必要な一部」

P「俺もなかなかスリリングな気分だよ。納期間に合うかなとか」

ヘレン「異なる思考、違う意思。それでもハートビートは共鳴する……まるで絆ね」

P「そんな実感でいいのか」

ヘレン「あなたとならば、それでいい。私の世界は満ちているの」

P「満ちるついでに立ち上がったりは?」

ヘレン「しないわ」

P「そっか」

ヘレン「ねぇ、P」

P「どうした? 気分でも変わったか」

ヘレン「いいえ、変わらず最高よ」

P「そっか」

ヘレン「ええ」

P「じゃあ、なんだ?」

ヘレン「私は、世界レベルよ」

P「そうだな、ワールドクラスだ」

ヘレン「あなたは私をいっそう輝かせる」

P「そうかな。ありがとう」

ヘレン「だから、そういうこと」

P「そういうことか」

ヘレン「ええ、そういうことよ」

P「……」

ヘレン「……」

P「ヘレン」

ヘレン「何かしら?」

P「そこじゃあんまり落ちつけないだろ。ソファのほういこう」

ヘレン「その必要はないわ」

P「俺も休むからさ」

ヘレン「……」

P「一流たるもの、緩急自在じゃないとな」

ヘレン「そう」

P「そういうことだ」

ヘレン「そういうことね」

P「とびっきり濃いエスプレッソに、砂糖をドロッドロに溶かしたのでいいか?」

ヘレン「そうね、今は甘味を感じたい気分よ」


P「もうすぐ梅雨入りかなぁ」

ヘレン「その次は熱と太陽のステージ……夏ね」

P「気が早いな」

ヘレン「時は早く過ぎる……光る星は消える。だから私は行くのよ」

P「ちょっといいこと風にアンパンマンの歌詞持ってくるのやめよう」

ヘレン「流石ね、P」

P「こんなところで試されたくなかった」

ヘレン「でも、事実よ。時の速さを知らぬままではこうして過ぎ去る今の価値もわからない」

P「ゆっくりするのは嫌いか?」

ヘレン「いいえ。とても価値がある今だからこそ、ゆっくりと……贅沢に、最高の使い方をしたいの」

P「そうか」

ヘレン「あなたはどう?」

P「おかげさまで、最高かな」

ヘレン「そう」

ヘレン「空虚の穴は埋まった?」

P「おかげさまで。仕事は進んでないけどな」

ヘレン「そう。悪くないわ」

P「ヘレンのほうは?」

ヘレン「あなたと交わす言葉ひとつひとつが、私の世界の色を鮮やかにしていく……あなたと同じ気分よ」

P「そっか」

ヘレン「……いい椅子だったわ」

P「時間あるときなら、いくらでも貸すよ」

ヘレン「枕も借りられるといっそういいでしょうね」

P「ガッツリシエスタする気なんだな」

ヘレン「椅子の上が邪魔ならば、机の上へ行きましょう」

P「なおさらまずいかな」

ヘレン「あちらを立てればこちらが立たぬといったところね」

P「ヘレンは寝る気みたいだけどな」

ヘレン「適度は休息は必要でしょう?」

P「うん。枕は持ち合わせがないから諦めてくれるとありがたい」

ヘレン「最高の素材は、自然の中にあるものよ」

P「……膝?」

ヘレン「Knee Pillowね」

P「Oh,Why English……」

P「よし、十分休んだしぼちぼち働こうと思うんだけど」

ヘレン「ええ。私のリズムも再び時を刻み始めたわ」

P「そうか」

ヘレン「ええ」

P「ヘレン」

ヘレン「なにかしら?」

P「重い」

ヘレン「そう。私は悪くないわ」

P「……体きつくないのか?」

ヘレン「ダンスを踊るためには、柔軟性も必要よ。まして私は世界レベル……そうでしょう?」

P「そうか。ヘレンがいいならいいんだ」

ヘレン「ええ」

P「有言実行なんだな」

ヘレン「私は常に、理想を現実に変えてきたの……それではP、グッナイ!」

P「いや、まだ昼……まぁいいか」

P「……」

ヘレン「スヤァ……」

P「……寝つきの良さまで世界レベルか」


P「ま、いいか。ちょうどいい再起動の機会ってことで……」

P「気合い入れなおして、明日からもがんばるぞーっと」


おわり

以上、お粗末

5月病つらたん……なきにゃんのべそぽよ……

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