はるかさん「ヴぁい」  P「……ティンときた」 (92)


可愛いアイドルたちに囲まれながらも

恋愛ひとつ出来ない職場

思えば

私の精神はそれに追い詰められ壊れかけていたのかもしれません

だからこの子を見かけた時に

そんな発想が出てきてしまったのかもしれません

「かっかー」

「はるかさん……」

何も知らないはるかさんが

トテトテと可愛い四足歩行で近づいてくる

私はそのはるかさんを神速の速さで捕獲し

家に連れ帰ってしまったのです

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「今日からここがはるかさんのお家だぞ~」

「ヴぁい!」

事務所よりも広い我が家を

はるかさんが駆け巡る

「ちょっと理想と違うけど……」

「かっかー、かっかー!」

「まぁいいか」

はるかさんが元気よく走り回っている姿を見ているだけで

私としては満足だったんです

ええ、はい

本当に満足です


―――――――

――――

――


「だから許してください」

「……………………」

「……………………」

全力で土下座しながら

もうひとりのプロデューサー

秋月律子こと律っちゃんに許可を請う

「本当に不純な理由はないんですね?」

「不純な理由? あるわけないじゃないか」

「それが疑わしいから聞いてるんですよ」

「大丈夫だって! ほんと、ペット厳禁な家で一人寂しいのが嫌なだけなんだって!」

押し切れるとは思ってない

だから誠心誠意頭を地につける

「お願いします!」

「ヴぁい」


「ん~…………」

「お願いします!」

律子は意外と押しに弱く

めり込む程に強く頭を下げていると

解りました! と

少し不服ながらも許可をしてくれた

「良いですか? 何かしたらクビじゃすみませんからね?」

「解ってるよ……悪いな律子」

「まぁ、一人の家が寂しいっていうのは解りますし」

律子は苦笑しながら

そう言ってはるかさんの頭を撫でる

「何かあったらちゃんと言うのよ?」

「ヴぁい!」

「……言葉の意味解らないけど」


「っしゃー!」

事務所の屋上で叫ぶ

はるかさんとの同棲が許可された

つまり、俺ははるかさんと2人暮らし!

なぜ俺がそんなことをしようと思いついたのか

確かに一人で家にいるのは寂しい

だけど、ほぼ365日出勤の俺にとって

そんなことはほぼどうでもいいのだ

「くっくっくっくっ……」

はるかさんは我が765プロアイドル

天海春香ことはるるんこと春香と似ている

「あとは言わなくてもいいだろう」

俺=父、はるかさん=愛娘

そんな風になり

最終的には春香と夫婦であるという妄想が完成するのだ!

「ははは、はーはっはっはーっ!」

「かっかー?」

勝利の雄叫びに合わせて

はるかさんが首をかしげる

可愛い愛娘のはるかさん可愛い!


こうして、俺とはるかさんの同棲が始まったのだった


一旦ここまで


「かっかー、はるかっかー!」

「おーおーよしよし」

「はーるかっかー!」

はるかささんは元気よく鳴いて

俺の手を甘噛む

手がベタベタになるわけだが

はるかさんなりの愛情表現のようなもので

甘んじて受ける

甘噛みだけに……

「……そうだ、はるかさん」

「かっかー?」

「今日食べたいものとかあるか?」


「かっかー!」

「そっか、なんでもいいのか」

右手をはるかさんにもにゅもにゅされたまま

左手で頭を撫でてあげる

「はるかっか~」

「ははっ、気持ちいいか」

「かっか~」

「……………………」

喜ぶはるかさんを膝上に乗せたまま

ぎゅっと抱きしめる

温かいし、柔らかいし、小さいし軽いはるかさん

かなり良い抱き心地だった


「はるかさんは可愛いなぁ」

「めっ! めっ!」

「ん?」

律子が仕事に出ていて

誰もいないと思っていたら

ちっちゃんがいました

「どうかしたのか?」

「もー! もー!」

ちっちゃんはそんなことしてるなら

仕事してくれと言うけど

「する仕事がないんだよ」

「め……」

「なーんてな。営業行ってくるよ」


「もー!」

「おーすまんすまん」

からかった事でちょっとご立腹なようで

ちっちゃんの頭を撫でてあげただけだが――

「きゅぅ……」

「ちっちゃん!?」

「う゛ぁぁい」

「おぉう!?」

ばたんきゅーなちっちゃんと

なでなでを中断されたことに不機嫌を漏らすはるかさん

はるかさんの嫉妬みたいな反応は可愛いが

ここはちっちゃんを優先しよう――


――結果

「う゛ぁい」

「……ごめんな?」

営業に出てきているんだが

娘にちょっと嫌われてしまっていた

いや、はるかさんのことだから

一時的なものだとは思うけど

大事な娘のことだからな

時間で解決させるなんてあっちゃダメだ

「う゛ぁい」

「はるかさん、さっきのは仕方ないんだ。ちっちゃんが急に倒れたわけだし。な?」

「う゛ぁい!」

「!」

そっと手を伸ばすと

その手ははるかさんの口の中へと消えていった


「ちょっ」

「ぁい!」

甘噛みと言うには

僅かな痛みを伴う噛みつきだった

「っ…………」

「……………」

「はるかさん?」

「……………」

食い込むような噛みから

段々と力が弱まっていき

甘噛みへと変わっていく

なんというか、警戒している犬みたいだな……


はるかさんはその甘噛みさえも止めて

歯形の残る手首の部分をぺろっと舐める

「………………」

「………………」

「かっかー……?」

「ん?」

「かっかー……?」

はるかさんは自分で付けた傷にも関わらず

心配そうに鳴く

可愛い子だなぁ……ほんと

ちょっと反抗期には早すぎた気もするけどな

「大丈夫だ。たまには悪くない」

「はるかっかー!」

はるかさんは一際大きく鳴くと

嬉しそうに笑った


中断


……考えてる終わりが二転三転する

ちょっとやばい

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