名探偵の推理ファイル【安価】 (52)
fileNo.1
成田邸事件
ここは一代で莫大な財を成した大富豪、成田金蔵の邸宅。先日めでたく結婚した金蔵の次男、一朗太とその妻華子の結婚披露パーティーが行われていた
ワイワイガヤガヤ オメデトー
一朗太「ありがとうございます」
成田一朗太(なりた いちろうた) 26歳
大富豪、成田金蔵の次男。幼少時に成田家に養子として引き取られる。
この度、めでたく結婚した。
華子「一朗太さん」
成田華子(なりた はなこ) 24歳
一朗太の妻、学生時代から一朗太との交際が実を結び結婚。
華子「もう、そろそろ御義父様を呼んだほうが……
」
一朗太「ああ、そうだね……キミ、父さんを呼んできてくれないか?」
侍女「かしこまりました」ススッ
侍女(じじょ) 39歳
成田家の侍女
山田川「いやぁ、めでたいですな」
山田川政夫(やまだかわ まさお) 58歳
成田家の専属弁護士
山田川「おめでとう一朗太君」
一朗太「先生、ありがとうございます」
山田川「一朗太君も隅に置けないな、こんな可愛いお嫁さんを貰うなんて」
華子「そんな……」ポッ
『きゃああァァーーーッ!!!』
一同「!?」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1368624219
一朗太「どうしたんだ、侍女さん!?」
侍女「だ、旦那様が……」ブルブル
一同が見た光景は血だまりにうつ伏せで倒れている当主の成田金蔵の姿だった……その背には一本の剣が突き刺してあった
華子「いやァーーッ!御義父様!」ドシュッ
?「待ちたまえ!」
華子が金蔵から剣を引き抜くと、それを制止する声がかかった
?「犯行現場はそのままに、発見時の状況にしておかなくてはいけない」
華子「あ、はい」ドスッ
金蔵「うぐッ!!」
?「その剣には貴女の指紋が付着している。念入りに拭き取っておきましょう」フキフキ
華子「す、スミマセン……ワタシったら気が動転して……」
?「ハッハッハ、こんな惨状を目の当たりにしたら誰だって動揺しますよ」
金蔵「」
一朗太「あの……貴方は?」
名探偵「これは失礼しました。私は偶然この屋敷の近くを通りかかった名探偵という者です」
山田川「まさか、数々の難事件を解決してきた……あの『名探偵』!?」
警察への通報から一時間、事件現場は多数の警察官による鑑識や当事者達への事情聴取が行われてた
警部「なるほど、侍女さんが第一発見者とゆうわけですな」
侍女「は、はい……そうです」
警部「おそらく金蔵氏はこの剣で絶命したのでしょうが……この剣に見覚えは?」
執事「その剣は長男の伊知郎様が厨二病をこじらせた時に旦那様に買っていただいた聖剣エクスカリバー1/1スケール(レプリカ)です」
執事(しつじ) 70歳
成田家の執事。勤続45年。
伊知郎「フヒヒち、違うよ、たしかにそのエクスカリバー(レプリカ)はボクの物だけど、親父を殺したのはボクじゃないよぉフヒヒ」
成田伊知郎(なりた いちろう) 33歳
金蔵の長男。ニート。
名探偵「警部殿、これを見てください」
警部「君は名探偵くん!まさかキミまで現場に居合わせるとは」
名探偵「お久し振りです警部殿……それよりもこれを」
名探偵が見つけたのは金蔵の手元に血で書かれていた文字だった
『ハンニンハイチロウタ タヌキ』
警部「これは!?」
名探偵「おそらく、金蔵氏が最後の力を振り絞って書いたダイイング・メッセージでしょう」
警部「さすが名探偵くんだな、鑑識も発見できなかった血文字も見逃さないとは……ハン、ニンハイチ、ロウタタ、ヌキ?外国語か?おい、すぐにこの言葉の意味を調べるんだ!」
警官「ハイ!」
名探偵「待ってください、警部殿!」
警部「ムッ、どうしたね名探偵くん?」
名探偵の頭脳が冴え渡る!
?これは狸さんからのメッセージです!
?犯人は一朗太さんです!
?これは自殺です!
?その他
安価↓2
文字化け訂正
『ハンニンハイチロウタ タヌキ』
警部「これは!?」
名探偵「おそらく、金蔵氏が最後の力を振り絞って書いたダイイング・メッセージでしょう」
警部「さすが名探偵くんだな、鑑識も発見できなかった血文字も見逃さないとは……ハン、ニンハイチ、ロウタタ、ヌキ?外国語か?おい、すぐにこの言葉の意味を調べるんだ!」
警官「ハイ!」
名探偵「待ってください、警部殿!」
警部「ムッ、どうしたね名探偵くん?」
名探偵の頭脳が冴え渡る!
1・これは狸さんからのメッセージです!
2・犯人は一朗太さんです!
3・これは自殺です!
4・その他
安価↓2
名探偵「犯人は……貴方だ、一朗太さん!!」ビシッ
一朗太「バカな!?」ガーン
華子「そんな……嘘よ!」
執事「一朗太様が?信じられません!」
警部「どうゆう事だね、名探偵くん」
名探偵「フッ、それでは説明しましょう……あのダイイング・メッセージに隠された本当の意味を!」
名探偵の推理が始まる
名探偵「警部殿、あの血文字を覚えていますか?」
警部「モチロンだとも『ハンニンハイチロウタ タヌキ』だろ」
名探偵「その通り警部殿はこれを『ハン、ニンハイチ、ロウタタ、ヌキ』と句切って読んでいましたが実は違う読み方も出来るのです」
警部「何だって!?」
名探偵「正しくは『ハンニンハ、イチロウタ、タヌキ』と句切るのです」
警部「『ハンニンハ、イチロウタ、タヌキ』?…………ハッ!!」
名探偵「そうです『犯人は、一朗太、狸』となります」
華子「そんな……一朗太さんが犯人だったなんて……」ガックリ
伊知郎「ヒヒッ親父は何でこんな奴を養子にしたんだ?」
山田川「……一朗太君」
一朗太「違う!僕じゃない!それに『タヌキ』ってなんだよ!普通は『タ』を抜いて『犯人は伊知郎』だろッ!!」
名探偵「おそらく、金蔵氏のお遊びでしょう」
伊知郎「ウヒヒ、ボクに罪を押し付けるつもりか?最低だな」
一朗太「血まみれのシャツ着て何言ってんだ!それは父さんを刺した時の返り血ダロォーーッ!!」ガーッ
警部「コラッ!暴れるな!!ひっ捕らえろ!!」
警官達「アイアイ、サー」ガシッ
一朗太「違う!違うんだッ!僕じゃないーーッ!!!」ズルズル
ここで名探偵の決め台詞
安価↓1
名探偵「フッ、どんどろ坂の茂兵衛に改名しろ」ドヤァ
・・・と、やってみたものの>>1はバカなので元ネタを知りません……歌舞伎?
後学の為にも教えてください。お願いします。
そんなものはありません
>>13
マジで!?それじゃ俺がバカみたいじゃん……あ、バカだった
ありがとうございました。
エピローグ
成田邸での事件から一週間が過ぎた
名探偵は事務所のソファーに掛けてコーヒー(激甘)を楽しんでいた
警部「居るかね、名探偵くん」ガチャ
名探偵「これは警部殿、いらっしゃい。コーヒー飲みます?」
警部「いや結構、今日はたまたま近くに来たからキミに成田邸事件の事後報告でもしようかと思ってね」
名探偵「ほう、興味深いですね」
警部「やはり犯人は成田一朗太だったよ。あれから一朗太を24時間体制の取り調べを行ってね、最初は『やっていない、冤罪だ』の一点張りだったのだがね」
名探偵「ほうほう」ズズッ
警部「さすがに奴さんも観念したのか96時間の時点でゲロッたよ(いろんな意味で)凶器についた指紋も拭き取った形跡もあるから計画的犯行だろう」
名探偵「ハハッ、警部の落としテクはさすがですね」
警部「華子さんは一朗太と離婚するそうだよ」
名探偵「そうですか……思えば彼も可哀想だったかもしれない。養子として引き取られ、実子の伊知郎さんにずっと引け目を感じていたのでしょう」
警部「しかし殺しはイカンよ」
名探偵「まぁ、そうですがね」
警部「なにはともあれ、今回もキミに助けられたな。お手柄だよ」
名探偵「いや、私は金蔵氏のメッセージを読み取っただけですよ」
警部「またなにかあった時には頼むよ……じゃあ」ガチャン
警部が出てゆき、再び事務所は一人になる……名探偵はコーヒー(激甘)をすすった
fileNo.1
『成田邸事件』・・・完
プロローグ
邪悪な煙が充満する探偵事務所
窓辺では煙の隙間を縫うように幾筋もの光の帯が射しこんでいる
そんな幻想的な光景を産み出す煙も人体にとっては有害だ
刹那的な快楽を得て、ゆっくりと死んでいく
そんな誘惑に抗う事も、断ち切る事も名探偵は出来ないでいた
ガチャ
助手「おはよーごさい……って、なに!?この煙!?」
名探偵「やあ、お早う……ちょっとサンマをね」パタパタ
助手「ゲホッ!なんで室内で七輪使ってんですか!?死にますよ!?」ガラガラ
大急ぎで事務所の窓を全開している彼女は私の助手だ。若いながらも優秀で探偵の才能もある
名探偵「……彼女の母は私の姉。つまり助手君は私の姪にあたる」
助手「なにブツブツ言ってんですか叔父さん?」
名探偵「改めてお早う助手君。コーヒー(激甘)飲むかい?」
助手「おはようございます『叔父さん』あたしは叔父さんの助手になるつもりはありません。ママに言われて叔父さんの様子を見に来ただけです。あと、コーヒーは自分で淹れます」
名探偵「連れないな……名探偵には助手が付き物じゃないか。ホームズとワトソン医師然り、ダウリング神父とシスター・ステファニー然り」
助手「後者、知りません」
名探偵「!?」ガーン
助手「あ、そうだ叔父さん、あたしの友達の相談に乗ってくれませんか?……叔父さん聞いてます?」
名探偵「ん?あ、あぁ……相談?」
助手「そうです。友達がなんか……ストーカー被害に遭っているらしいんですよ
File No.2
『姿なき犯罪者』
名探偵「ストーカー?」
助手「詳しい話は聞いていないんだけど、スゴく怖がってるんですよ。叔父さん探偵やってるし解決してくれないかなーと」
名探偵「友達というと……大学の?」
助手「そう、大学で最初にできた友達なんです」
助手は今年の春から大学に進学した18歳。おそらく友人も同年代だろう
1・自意識過剰気味なスイーツ()の被害妄想だろう
2・これは仕事だ、相談料をいただく事になる
3・そういうのは、警察に相談するものでは?
安価↓1
名探偵「相談に乗るのはやぶさかではないが、私はボランティアで探偵をやっているわけではない……契約するのであれば料金も発生するのだがね」
助手「ケチ臭いなぁ」
名探偵「仕事だからね」
渋る助手は連絡を取り、二人は依頼人の住むマンションへ向かった
名探偵「ここか……」
助手「……デカイ」
そこは大学に通うために借りるような物件とは思えないほどの高級マンションだった。
助手はエントランスのインターホンでドアを開けてもらい二人はエレベーターで依頼人の待つ最上階へ向かう
最上階に到着すると名探偵は意外な人物に遭遇した
伊知郎「フヒヒ、探偵さん久しぶりだね」
成田伊知郎(なりた いちろう) 33歳
『成田邸事件』に登場。成田金蔵の死後、成田家の当主となる。
名探偵「貴方は伊知郎さん?お久し振りです……引っ越しでもされたのですか?」
伊知郎「違うよ、親父が死んで【成田不動産】がボクの物になったからね。自社物件をこの目で確認中だよデュフフ」
名探偵「ほう、ここは【成田不動産】の物件でしたか」
伊知郎「フヒヒ、探偵さんは仕事かい?」
名探偵「まぁ、そんな所です」
伊知郎「フヒッ、頑張ってね……それじゃ」
伊知郎はマスターキーをもてあそびながらエレベーターで降りていった
助手「なんか、気持ち悪い人ですね……」
名探偵「人を見た目で判断してはいけないよ」
助手「……そうですよね」
なにか引っ掛かる様子の助手を連れて通路を歩くと目的の部屋を見つける。名探偵は【3007】のインターホンを押した
友香「本来は私が伺う所を、わざわざいらしていただいて有難うございます」ピロリーン
姪野友香(めいの ともか) 18歳
助手の友人。貿易業を主体とした【姪野グループ】会長の孫娘。
大学に進学するにあたり念願の独り暮らしを始めた。
助手「友香、あなたの周りで起きたことを、叔父さんに話してみて」
友香「助手さん有難う、その……こんな事は初めてで……」ピロリーン
名探偵「プライバシーに関しては御心配なく、守秘義務がありますので。お辛いかもしれませんが、なるべく詳しく話していただけると調査も捗るのですが」
友香「はい……最初は気のせいかと思ったのですが、部屋に帰ってくると違和感がして……」ピロリーン
友香の話しでは部屋の雰囲気が違う時がある事や常に視線を感じる等であった……しかし、どれも友香の主観的な情報でストーカー被害といえるものではない
名探偵「フムフム……他には?」
友香「最近は朝に出しておいた私のゴミが荒らされている事がよくあるんです」ピロリーン
名探偵「ゴミが!?……確かにストーカーの可能性がありますね」
友香「やはりそうですよね。私、怖くなってきて」ピロリーン
名探偵「今さらですが何故、探偵の私に相談したのですか?親御さんや警察には?」
友香「……私の両親は過保護な所がありまして、こんな話をしたら家に連れ戻されてしまいそうで……警察に相談しても実家の方へ連絡がいきそうですし」ピロリーン
名探偵「成る程……善処しますがもし、ストーカー犯がいたとして特定したした場合や、貴女が危害を加えられる恐れがあると判断した時には警察の介入も有り得ます。これは貴女の身の安全を守る為なのでご了承ください」
友香「その時には仕方ありません、名探偵さんの言う通りにします」ピロリーン
助手「あのさ……さっきから友香のケータイ鳴りまくってない?」
先程からひっきりなしに響く電子音が気になるらしい助手は友香に質問した
友香「メールです……あら、『イケメン』さんからのメールがたまってしまいました。すぐにお返事しないと」ピロリーン
助手「メール?……友香、それ見ても良い?」
そんなやり取りをしている間にもメール到着の電子音が響く。「構いませんよ」と友香は自分のスマートフォンを助手に手渡した
from イケメン
件名 可愛い友香ちゃんへ
本文 いま、友香ちゃんの部屋に来ている人達ってダレ?
ボク知りたいな
友香ちゃんの事はゼ・ン・ブ
助手「…………」ドンビキ
友香「最近、SNSでメル友になった方なんです」
名探偵「なになに、『その靴下カワイイネ』『イチゴジャム美味しい?ボクも友香ちゃんにたべられたいな』『今日は雨が降るから傘忘れないようにネ!ライムグリーンの傘ダヨ(^-^)』……なかなか親密な感じですね」
友香「はい、メル友なんて初めてだから嬉しくて」
名探偵「楽しそうですね。私は携帯電話を持っていないから、こういうのはよく解りませんが」
友香「そうなんですか?名探偵さんもケータイ持ちましょうよ!メル友になりましょう!」
助手「おもいっっきりストーカーからのメールじゃん!!!」
助手が突然叫んだ
友香「キャッ!?」
名探偵「何事だね?」
助手「明らかにこの部屋の状況把握しすぎでしょッコイツ!!」
友香「え?」
名探偵「そう言われてみれば、そんな気がしないでもないね」
助手「気付けよ!探偵だろッ!!不審に思えよ!友香もッ!!」
名探偵「助手君、落ち着きたまえ」
友香「女の子がそんな乱暴な言葉遣いをするものではないわよ」
助手「お前らノンキすぎダロォーーッ!!」ウガーッ
30分後、助手の興奮が治まったので対策を練る事となった
名探偵「どうやら、この部屋は盗聴や盗撮されている可能性があるようだ」キリッ
友香「そんな!?私怖いわ」
助手「……」イラッ
名探偵「私はそういう事に詳しい友人に盗聴器を発見する道具を借りてくるので、助手君はここに残って友香さんの側に居てやってくれ」
助手「わかりました」
友香「名探偵さん……」
名探偵「大丈夫です。助手君と二人で居れば貴女に危険は無いでしょう……証拠品として携帯電話を預かってもよろしいですか?」
友香「はい、お願い致します」
友香からスマートフォンを受け取り部屋から出ていく名探偵の胸には、友香を護るという使命感と卑劣なストーカー犯への怒りに燃えていた
男「ん?」
名探偵が友香の部屋から出ると、ちょうど隣の【3008】の部屋に入ろうとしている男と目が合った
名探偵「(隣の住人か……ストーカー犯の可能性もある。情報収集の為にも話をしてみたいな。しかし、『私は探偵です』と名乗っては怪しまれるかもしれない)」
名探偵は友香の関係者を装う事にした
名探偵「隣の方ですか?私はここに住んでいる姪野友香の>>33です」
人間イス
>>33
おいwwwそこは父とか叔父って流れダロ!
名探偵「隣の方ですか?私はここに住んでいる姪野友香の人間イスです」
男「…………」
バタン!
男は名探偵を白い目で見た後、何も言わずに自分の部屋へ入ってしまった……どうやら失敗したらしい。もしかしたら友香の名誉に傷をつけたかもしれない
名探偵は気を取り直してマンションから出ると、そこには成田伊知郎の姿があった。伊知郎は片耳に手を当て真剣な表情をしている……よく見るとイヤホンをしているようだ
名探偵「また会いましたね。伊知郎さん」
伊知郎「ウヒィッ!?た、探偵さんか……驚かせないでくれよ」
名探偵「これは失礼、なにやら熱心に聴いていたようでしたので少々気になりまして」
伊知郎「フ、フヒヒヒ、なにも……いや、ラジオだよラジオ。好きな曲が流れていたから聴き入っていたんだよ。ヒ、ヒヒ」
名探偵「ラジオでしたか、私もテレビよりもラジオ派でしてね、リクエストで自分の好きな曲が流れると嬉しいですよね……でも、最近の流行歌は私には……」
伊知郎「じゃ、じゃあ他の物件を見に行かないといけないからこの辺で失礼するよフヘヘ」ソソクサ
名探偵「……いや、決して最近の歌手を貶している訳ではないので。実際、ももクロとか好きですし……おや?」
名探偵がひとしきり話終えた頃には伊知郎の姿は消えていた
名探偵が向かったのは警察署……の隣の店舗【盗聴屋】だった。
店先にはクリップボードがわりの段ボール紙に『業務無線各種、盗聴機材アリマス』とサインペンで書きなぐってある
ジャンク品でごちゃごちゃとした店の奥に目的の人物がいた
盗聴マニア「おっ、名探偵じゃんラッシャイ」
名探偵「久しぶり盗聴マニア、キミは私に借りがあったはずだね」
盗聴マニア「い、いきなりだな……何が要るんだ?」
名探偵「盗聴器や隠しカメラを発見する道具を借りたい」
盗聴マニア「これを持っていきな。スイッチを入れて家のあちこちに向けてみろ。針が大きく振れたらそこに『虫』がある」
名探偵「ムシ?私が欲しいのは虫を探す道具じゃなくて……」
盗聴マニア「チゲェよ!」
『虫』は彼独特の言い回しだったようだ……ちなみに盗聴器はコンセントの裏や、テーブルタップにさりげなく取り付けてある事が多いらしい
名探偵「あと、この携帯電話に来ているメールの送信元を探れないか?」
盗聴マニア「そいつは俺の専門外だ。他をあたりな」
送信元を知る事が出来なかったのは残念だったが、今は盗聴盗撮を防ぐのが先決だ。名探偵はマンションへ戻る
ピンポーン
友香『……はい』
名探偵「名探偵です。戻りました」
友香『お帰りなさい。今、開けますね』
エレベーターホールへのドアをくぐり、ちょうど1階で待機していたエレベーターに乗り込むと、派手な身なりの女が駆け込んできたので名探偵は……
1・【開】ボタンを押した
2・【閉】ボタンを押した
安価↓1
名探偵は女がエレベーターに乗り込むまで【開】ボタンを押して待った
女「アリガトー助かったわ」
名探偵「いえ、どういたしまして」
女「えっと、もう押してある……お兄さんも30階にお住まいですか?」
名探偵「知人の家に用事がありまして」
女「そうなんだー」
普通、エレベーターのような密室で男と二人きりだと、無言で気まずい雰囲気になるか警戒されるようなものだが、彼女は社交的だった
派手な身なりといい水商売関係者か、それとも単なる話好きなのだろうか
エレベーターはもうすぐ30階に到着する。名探偵がなんとなく現在階数の表示を見ていると、また女が話しかけてきた
女「そういえばお兄さんがオートロックのインターホンで話している時、わたしポストのとこにいてさ……」
名探偵「?」
女「ちょっと聞こえちゃったんだよね。お兄さんの知人って友香ちゃん?」
名探偵「(友香と顔見知りなのか?私38歳と友香18歳が知人というのを怪しんでいるのか?)」
名探偵は……
1・「私は友香様の人間イスなんですよ」
2・「私の姪が姪野さんの友達でしてね、今迎えに行くところなんですよ」
3・「友香は私の恋人なんですよ」
安価↓1
名探偵「私は友香様の人間イスなんですよ」
女「……」ガサゴソ
バチバチィッ!!
名探偵「……」ガクッ
チーン
女「……重いわね」
ズッ……ズッズッ……
ーーーーーー
友香の部屋【3007】
友香「名探偵さん、遅いですね……」
助手「どこかで道草でも食ってるんじゃないの?」
友香「でもエントランスのインターホンで話したんですよ?あれから15分は経っています」
助手「叔父さんアホだから降りる階間違えてるんじゃないの?」
友香「助手さんは心配じゃないの!?」
助手「(気にしすぎだと思うけどなぁ)」
1・「見に行くか」
2・「気にしすぎだよ。大丈夫、ダイジョーブ」
安価↓1
助手「しょうがない、見に行くか」ヨッコラセ
友香「うん!」
ガチャ
名探偵「」
女「……っんとに重いわねコイツ!」ズリズリ
助手・友香「…………」
助手と友香が部屋から出ると通路で名探偵を引きずる女の姿があった
友香「あの……戸也野(となりの)さん?」
戸也野「あっ友香ちゃん!嘘よね!?天使で穢れのない友香ちゃんが女王様のわけないよね!?」
戸也野洋子(となりの ようこ) 28歳
友香の隣【3006】の住人。
友香「天使?……女王様??」
戸也野「コイツ、友香ちゃんが女王様で自分のご主人様だから卑しい豚で椅子になったって!!」
助手「はぁ?」
友香「違います。名探偵さんは探偵で私をストーカーの人から護ってくれているんですよ」
戸也野「ストーカー!?……友香ちゃんのストーカーなの!?…………殺さなきゃ……コイツはコロさなきゃ……」
助手「あ、アレ?なんか……ヤバくない?」
戸也野「友香ちゃんはわたしの天使なの……そうだ!ここから落とせばいいんだ!」グイグイ
友香「キャーッ!名探偵さんが落ちちゃいます!!」
助手「!!」
助手は……
1・戸也野に体当り!
2・名探偵にドロップキック!
安価↓1
友香「うおぉりゃーーッ!!」
戸也野「!?」
ドスッ!
一か八かの助手の体当り!名探偵を突き落とそうとして両手が塞がっていた戸也野は、直撃を受けて壁に叩き付けられた
名探偵「う、うぅ……え!?なに、ナニコレ!?落ちる!おちる!!」
そして、上半身を塀から乗り出した状態で目を覚ました名探偵は、30階の高さから落ちそうになっていた
戸也野「」キュウゥ
助手「あたしはこの人縛っておくから、友香は警察に電話して!」
友香「……」
助手「早く!」
友香「は、はい!!」
ーーーーーー
警部「フム、姪野さんがストーカー被害を受けていて名探偵くんが調査をしていたと」
友香「はい」
警部「まったく……まず警察に相談するのが筋だろうに」
名探偵「いやぁ、面目ないです」
友香「すみません」
警察官「警部、戸也野の部屋なんですけど」
警部「どうした?」
警察官「その……ヒソヒソヒソ」
友香本人の前での報告をためらった警察官は警部に耳うちする。その内容は「部屋の壁一面に友香の盗撮写真が張り巡らせてあった」「盗撮ビデオや盗聴のデータを発見した」「受信機などの盗聴機材もあった」等々。
警部「どうやら、ストーカー犯は戸也野で間違いないようだな」
名探偵「やはりそうでしたか」キリッ
友香「戸也野さん……あんなに良くしていただいたのに……」
名探偵「元気を出してください友香さん。誰でも魔がさして道を踏み外す事もあります……彼女は罪を償って更正しますよ」
友香「名探偵さんにも危険な目に会わせてしまい申し訳ありません」
助手「大丈夫、それが叔父さんの仕事だもん!あのまま落っこちても平気だったよね、叔父さん?」
名探偵「え!?……そ、そうかな?」
警察官「警部、姪野さんの部屋のベランダから戸也野の足跡を発見しました……それと盗聴器なんですが同じタイプの物がメーカー違いでいくつもありました」
警部「なんだってそんな事を……まあ、それは取り調べで追々解るか」
名探偵「あ!?」
友香「ど、とうしたんですか?」
名探偵「決め台詞が…………言えなかった……」
助手「…………」
エピローグ
事件から数日後、名探偵と助手は事務所のソファーでコーヒーを楽しんでいた
助手「叔父さん、いい加減激甘コーヒーやめた方が良いですよ」
名探偵「フッ、助手君には大人の味が解らないようだね」
助手「それって普通、ブラック飲む人のセリフですよね?」
ガチャ
友香「こんにちは」
助手「あ、友香どしたの?」
友香「引っ越しも終わりましたので、名探偵さんにお礼をと」
結局、友香の両親にストーカー事件が知れる事となり紆余曲折の末、友香はもっと安全なマンションへ引っ越すという事で落ち着いたようだ。
名探偵「いらっしゃい友香さん。コーヒー(激甘)をどうぞ」
友香「有難うございます」
助手「あ……」
友香「美味しい!私コーヒーを飲むのは初めてですけど、こんなにも美味しい物だとは思いませんでした」
名探偵「ハッハッハ、ありがとう」
助手「(マジかよ!?)」
名探偵「新しい部屋はどうですか?」
友香「はい、凄いんですよ!核爆発の直撃を受けてもビクともしない強度で、眼下にスカイツリーのてっぺんも見えるんです!完全武装した警備員さんも各階に10名ずつ常駐しているんですよ……ただ、上下階合わせて3フロア借りたのでご近所付き合いが出来なくてチョット寂しいです」
名探偵「では今度伺いますよ」
友香「本当ですか!嬉しい!」
助手「(どんな物件だよ!?)」
友香「助手さんのアドバイス通りに携帯の電話番号とアドレスも変更しましたし、もう安全です」
助手「油断しちゃ駄目よ。掲載した画像から居場所を特定する人もいるんだから」
友香「じゃあ、SNSとかブログをやるときには助手さんに検閲してもらいますね」
助手「しょうがないなぁ……そういえばメールの差出人が不明だったんですよね」
名探偵「そうらしいね……まあ、おそらく戸也野さんだろう。それも取り調べが進めば判るよ」
メールの発信元は友香が住んでいたマンションの近くにある【ネットカフェNARITA】のパソコンからだった。どうやら使用者は偽名を使っていたようで身元が判明していない。
友香「名探偵さんのおかげです。有難うございました……あのこれは調査料です。お納めください」ドスン
友香が差し出したバッグの中には一万円紙幣100枚の札束が5つ入っていた。
助手「ちょっ、多す「友香さん」」
名探偵「……貴女は私の可愛い姪の大切な友人です。それに今回の調査は完全とは言い難い……相談料の斡旋価格だけ頂きます」
名探偵は札束を2つ友香に返した
友香「そんな……」
名探偵「私は大した事をしていませんよ」
助手「(むしろなにもしてないよね)」
友香「あと……これを」
名探偵「これは……携帯電話ですか?」
友香「今日は名探偵さんのお誕生日ですよね?プレゼントです」
助手「え?そうだったんだ」
友香「名探偵さんはケータイをお持ちじゃないとおっしゃったので。私と同じ機種で私の携帯番号とアドレスも登録してあります。その……お暇でしたらいつでもお電話くださいね」
名探偵「こんな高価な物は戴けませんよ」
友香「料金は私が持ちますから大丈夫です」
名探偵「そうですか?すみません気を使わせたみたいで」
友香「それと来月までお仕事の予定は入っていませんよね?次の日曜、遊びに行きましょうよ!」
名探偵「いや、確かに仕事は有りませんが……」
助手「どうやって調べたのよ……」
・
・
・
・
File No.2
『姿なき犯罪者』・・・完
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません