まどかマギガ バグ (33)
雲間から差し込んだ月明りが、暗闇を切り裂いた。
地上から十数メートルの高さで、紫色の輝きが瞬く。満月の月明かりを反射して
紫に輝くそれは、ゆっくりと地上に向かって降りてくる
風に舞う紙切れのような不規則な落下は、真新しいビルの屋上で止まった。
「・・・」
彼女は声を出さずフェンスの上からただビルの隙間を注意深く見る、こういった場所に現れるのを
経験から知っている
ギィっと扉が開くおとが聞こえ
静寂に包まれていた屋上にぐぐもった声が聞こえてきた、ゆっくりとこちらに近ずいてくるのが分かる
懐中電灯の明かりが、何かを探すようにゆれている
「誰か、いるのか?」
フェンスの上に何かいるのをきずいたのだろう緊張した声が聞こえる
懐中電灯を私に向けその姿を映す
「ひっ!」
亡霊でも見たかの様に驚いた声を上げ懐中電灯を落とし、あわてて拾おうとする
「だ、誰だ!」
再び懐中電灯を向ければ誰もいなかった
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別になんのトリックも使ってない、懐中電灯を落としたすきにただ飛び降りただけだ
地上に落下しながら、このまま地面にぶつかってしまおうか、とそんなことを考える
このまま落ちてしまうの悪くない、自分の命も、希望さえも
誰にも知られず跡形もなくなってしまえる、どうせ私を覚えていてくれる人間なんて
誰一人もいない、私の周りには誰もいない
地上に落ちる彼女の服装が変わっていくスニーカーがブーツにラフなウェアとホットパンツが
本来行くはずだった学校の制服を少しアレンジしたような服に髪がほどけストレートに
そして腕に丸い楯、その手には彼女の身長より長い弓が現れる
そして体に魔力が流れていくのが分かるこの魔力が流れていく感覚が彼女は好きだった
消耗してボロボロになった体が生き返ったような錯覚をおぼえる
「なにか落ちきてるの?」
ようやくきずいたのだろう地上にいた少女達が目を向ける、真夜中の路地には絶対にふさわしくない
ふりふりのドレスのようなものに身を包んだ‘魔法少女’に向かって魔法で作った矢を放つ
正確無慈悲な矢はブレスレットになっているソウルジェムを打ち砕く
「え、なに」
その少女が最後に話した言葉で、その後ゆっくりと地面に向かって倒れていく
「お前、なにしやがんだ」
倒れていく少女を見ていたもう一人の魔法少女がこっちらに振り向くと
もう目の前に黒髪の少女が右手に矢を持って右肩のソウルジェムに突き立てたところが映った
「え、嫌」
そう呟いた少女はその場で両膝をついて動かなくなった
「こいつも違う」
彼女達からグリフシードを奪いながら吐き捨てるようにいう
元の姿に戻った彼女の指にソウルジェムの指輪がはまる
「・・はぁっ、はぁっ・・・」
魔法を解いた瞬間に脱力感が襲い、肩で息をしながらゆっくりと
息を整える、ろくに動かない体に苛立ちを覚えるが
罪悪感はない
「貴方達はちゃんと奇跡をかなえてもらったんでしょ?」
「それだけでも幸せよ」
ゆっくりと身体を起こして夜道を歩いていく
魔法少女
理を超えた願いを1つをかなえる代わりに
魔女と戦い一人で誰にも知られずに魔女との戦いに負け死んでいく、いや魔女に殺されるていうのはましな方
同じ魔法少女に殺されたり、仲間に裏切られ殺されたり、絶望して魔女になって
ただ絶望を振りまく存在になる
ただ私は少し違う、QBと契約せずに魔法少女になったいわゆるバグだ
いままで調べて分かったことは、契約がちゃんとしてなかったせいか私の体は前ほとんど変化なく
あえてあげるとするなら魂が石ころにかわったぐらいな些細なこと
そして私を魔法少女にしてと願った存在がいるということ
おそらく暁美ほむらを秘密裏に魔法少女にしてほしいとでも祈ったのだろう
だからこれだけ調べ上げてもなかなか見つからないし、もしQBに聞いたとしても意味がないだろう
私がここまでわかったのは魔法少女という条理を覆す存在になっているからであって他の普通の子に
頼んだとしても何も分からなかっただろう
「まあ、頼む相手もいなんだけどね」
病室のベットで横になりながら自嘲気味につぶやく
魔法少女
理を超えた願いを1つをかなえる代わりに
魔女と戦い一人で誰にも知られずに魔女との戦いに負け死んでいく、いや魔女に殺されるていうのはましな方
同じ魔法少女に殺されたり、仲間に裏切られ殺されたり、絶望して魔女になって
ただ絶望を振りまく存在になる
ただ私は少し違う、QBと契約せずに魔法少女になったいわゆるバグだ
いままで調べて分かったことは、契約がちゃんとしてなかったせいか私の体は前ほとんど変化なく
あえてあげるとするなら魂が石ころにかわったぐらいな些細なこと
そして私を魔法少女にしてと願った存在がいるということ
おそらく暁美ほむらを秘密裏に魔法少女にしてほしいとでも祈ったのだろう
だからこれだけ調べ上げてもなかなか見つからないし、もしQBに聞いたとしても意味がないだろう
私がここまでわかったのは魔法少女という条理を覆す存在になっているからであって他の普通の子に
頼んだとしても何も分からなかっただろう
「まあ、頼む相手もいなんだけどね」
病室のベットで横になりながら自嘲気味につぶやく
昨日は大変だった、なんせもう少しで病院の見回りに見つかりそうになるわ
戻って薬を飲んだらその量が減っているといって主治医に追求されたりとても
疲れた
身体を起こし鏡を覗きこむと、蒼白の顔が映る、いくら昨日の狩りで疲れ果てていても
こうはならないだろう、また目つきが13歳とは思えないほどの鋭さだ
夜中にみた警備員の反応も仕方ない
再び身体を横にして、瞼を閉じるとすぐに意識が飛んだ
検診の時間がきて起こされた、よほど疲れていたのか目を閉じたすぐに
起こされた感覚がしたが、もう5時間はたっていた
「・・・・ら・・・ね」
何か言っているがどうでもいいどうせ大したことはいってない
頑張ろうとか、薬は控えろとかそんなことだろう
無言で窓を見ている私を主治医が嘆息した
ほむらはかなり扱いにくい患者だろう
ほむらがこの病院に入院して半年以上たっていた経緯はどうでもいい話なので割愛するが
東京のいいとこの中学に通っていたら持病の心臓病が悪化、いろいろあってこちらの
大学病院に入院まあ纏めるとそんな感じだ
私の家は結構大きい、この辺の家より一周りか二周り大きい家が東京にあるといえば分かるだろうか?
かなりこの大学病院に献金を行っているからか、私の機嫌を損ねるわけにはいかないのだろう
そして一番大きなことだが、私が自身の病状を完璧に把握しているということだろう
私の体は度重なる薬の使用による副作用で器官そのものが弱っている、今この場で発作をおこしてもふしぎでないどころか
心臓が止まってもなにもおかしくない
「身体の免疫機能そのものを上げていこう、そしたらいつか退院できるようになるから」
微笑を浮かべ、子供を諭すように言うがもう聞きあきた言葉だ
「・・・」
無言でいると「午後にくるよ」といって病室を出て行った
私の朝は空虚から始まる
退屈に殺されそうになる毎日だ
私がベッドで過ごす日々の先には何もない、あるのは薬の時間と問診、そして消灯だけだ
もともと通院で休みがちだったために、小学校でも友達と言える存在はなく、中学校に入って
一か月もしないうちに入院,転校してからは一度たりとも登校してない。そのため見舞いに来る
友人は皆無、両親は仕事がとても楽しいのだろう、家でいた時ですら年に数回しか会ったことがない
一日後、一ヶ月後、一年後にやってくる日々を予想しても今と変わったことがおもいつかない
それは夜になっても変わらない、ただ獲物を探して狩るだけ、なにも変わらない
私を魔法少女にした子を探すのもほんのわずかしか進んでない
夜に備えてわずかしかない体力を温存しなければいけない、魔法で強化出来るっていっても
それを扱うエネルギーは私のものだ
ソウルジェムをみるとわずかな汚れもみれないあの程度の雑魚では汚れることすらない、
問題は私の体力であり身体だ、グリフシード吐き捨てるほどある、今はダース単位で箱にいれ楯に保管してるのが現状だ
もう寝よう疲れた
午後の問診を終えた私は窓にゆっくりと近づいていこうとすると
急に足から力が抜け倒れそうになるが魔力を足に込め無理やり立つ
ただでさえ少ない寿命を縮める行為だって言うのは分かるが無視をする
「最後くらい私の思うようにさせてよ」
そう、つぶやいたセリフを聞いてくれる人もいない中
まどに足を掛け空に向かって跳ぶ
ほむらの朝は、今日もまた空虚で始まった。
「少し寝たほうがいね、顔色が良くない」
主治医はそう言って棚のガラス瓶をみる薬の量が減っているのが分かり
少しだけ嘆息するがそれだけだった
ドアを閉じる音が個室に響く
「・・・」
昨夜の狩も失敗だった
目的の魔法少女を見つけることも出来ず
別の魔法少女を殺して終わった
誰もいなくなった病室に奥歯をかみしめるおとが響く
この近くにいるのは確かなのに・・・なぜ見つからない?
力を込めた指がシーツに食い込む
自問自答しながらもその答えは分かっている、魔法少女の能力は素質や経験もそうだが願いが大きく影響する
秘密裏に魔法少女にするという願いを抱いたのなら、隠蔽の能力は高いだろうこの近くにいるという
のが分かっただけでも奇跡に近い それだけの情報のためにどれだけの絶望を振り撒いてきたのかも分かっている
ほむらに魔法少女を探す能力がなければ魔法少女をみつけることすら難しかっただろう
当然と言えば当然の現状だがほむらは苛立ちを抑えられない、上手くいくはずないと分かっていても
打開できないのはとても悔しい
ベットにもぐり頭から布団をかぶり、苛立ちと焦燥感で、全身がふるえる
「時間がない、時間がないのよ!」
ベットの中で声を出す
そうもう自分には時間がない
これまでの空虚と退屈しかなかった変わらない日々が変わりつつあったほむらははっきりとわかる
よくない方向にいっていると
身体がふるえる、先ほどの苛立ちなどではなく、隠しようのない恐怖と不安によって
すぐにグリフシードを取り出し汚れを浄化するグリフシードを使いかけも含め4つも使った
昨日狩の後グリフシードを使ったので綺麗なままだのに4つも使用したのは初めてだった
「身体に力がちっとも入らなくなってきてる、一昨日よりも昨日、昨日より今日のほうが・・・
きっと明日はもっと! どうなってるの私の身体はなんでこんなにぼろぼろなの!
どうして私だけ・・・!」
ほむらの声は最後は自らの嗚咽にかき消える
怖い
死ぬのが怖い
このまま誰にも知られず、誰の記憶にも残らず、このまま跡形もなく消えてしまうのがどうしようもなく恐ろしい
それとも私は最初から誰もいなかったのと同じこと?
頭によぎった不吉な考えに背筋が凍る
そんなのいや私はここにいる、暁美ほむらはここにいる
考えるほどに絶望が足元から忍び寄ってくる
この誰も来ない、誰も知らない部屋に私はいる・・・いるのよ
死にたくない、ただ死にたくない
大切な人もいない、大切に思ってくれる人もいないならば、ならばせめて
この死の恐怖と不安だけでも消えてくれなければ不公平だ
窓の外には私のことなど知らず楽しい人生を送っている人々が大勢いるのに
またグリフシードを取り出し浄化する今度は8つ必要だった、QBと知り合ってない私は
このグリフシードは砕くしかない魔力を手に込めすべてを砕く1ダースすべて使ってしまった
私は空の箱を机に置く、昨日だけで1ダース以上手に入れているしこのペースで
使ったとしてもグリフシードが尽きるより私の命が尽きるほうがはるかにはやいだろう
もう眠りに就くことにしよう
ドアをノックする音で目を覚ます
「・・・」
どうせ主治医だほっておいても勝手にはいってくるだろう
自分の服装と涙の跡がないことを確認する
泣けるだけ泣いただけあって気持は平穏に落ち着いた
否、空虚が胸を埋めただけだった
どうせなるようにしかならない、その程度のこと自分に言い聞かせる
しばらくまっているとまたノックが聞こえた
「・・・?」
なぜ入ってこない?いつもなら私の声など待たず入ってくるというのに
するとドアの外から声が聞こえた
「寝てるのかな?それなら出直した方がいいかな?わざわざ起こしても悪いよね、
何事も第一印象が大事ってママも言ってたし」
ますます訳がわからない、何がドアの外にいるのだ
「え、具合が悪くて倒れてるとか・・いやそんな・・でも、まさか・・もし
そうだったとしたら、うん、ゆっくり、ゆっくり開けて寝ていたら明日こよう」
「おじゃましまーす」
小さなこえであいさつをしながらそろそろっと病室のドアが開いた
「・・・」
ほむらは唖然としてその珍客を見つめた
「・・・」
珍客の方もとってをもったまま、ほむらの顔を凝視する
見詰め合った状態で沈黙がおきる
・・・・誰?・・・・
ほむらの頭が疑問符でいっぱいになるが、その直後それらは一瞬にして吹き飛んだ
「・・こんにちは?」
自らの奇行をごまかそうとしたのか否か、少女が満面の笑みとともにいう
一言もしゃべれず、曇りない笑顔に身入ってしまった
それが暁美ほむらと、鹿目まどかとの出会いだった
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