学園都市群像劇 (15)

とある魔術の禁書目録・とある科学の超電磁砲のSSです。
科学側を舞台にしたとある世界のパラレルワールドが舞台なので原作とは似て非なるものです。
キャラの性格、生い立ち、交友関係とか別物になりそう。
魔術サイドが好きな人にはお勧めしません。
キャラ祭りがしたかっただけのSSなので内容には期待しないでください。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1399542369

4月上旬。

佐天涙子は、第七学区の路上を一人歩いていた。一人とはいっても、周りにはたくさんの同じ制服を着た学生
であふれている。

彼らは皆、同じ場所を目指して歩いていた。

今日は『とある学園』の入学式。

なんでも、佐天ら新一年生が入学することで生徒総数が120万人ほどに跳ね上がるらしい。

佐天はその120万分の1の新入生という訳だ。こうしてみると吹けば飛ぶような数字である。

「えーっと、第1キャンパスに集合だよね」

佐天は手元のパンフレットを見ながら、確認するように呟いた。

数年前―――学園都市で開発された能力者を求めて、外の研究機関から子供が連れ去られるという事件が発生
した。

佐天が小学校低学年の頃の話で、彼女は知らなかったのだが、そのことが問題視され、学園都市から子供を取
り返そうという動きが活発化した。

その後学園都市側と保護者側との対談が持たれ、いろいろあった末に学園都市から学生を返すことが認められ
ると、230万人ほどいた学生たちは190万人ほどまでに減少。

それから学園都市側は二度とこのような問題が起きないようにするために、街中に点在していた学校の統合化
を計った。

そして生まれたのが、学園都市唯一の教育機関・とある学園。

生徒総数120万人、うち約半数の55万人が中等部の学生、残り65万人が高等部の学生たちである。

初等部・置き去りの施設も統合化されたが、まだ意志の弱い彼らはそのほとんどが外へ返され、残ったのは約
30万人だけだった。

統合化の目的は、そのほとんどが警備の強化にある。

多くの学生を一箇所に集めることで一括管理することが可能になり、連携が取れるため、効果はかなりのもの
だった。

事実、数年前の一件以来学生が誘拐されるという事件は一度も起きていない。

問題があるとすれば、大きすぎるマンモス校であるために一人ひとりに目が行き届かないという点にあり、落
ちこぼれてスキルアウトになる学生や少年犯罪を引き起こす学生の減少が叶わなかったこと等が挙げられる。

佐天は横断歩道を渡り、モノレールの陰になる道を選んで歩いた。

とある学園には5つのキャンパスがあって、第1キャンパス(本館)から第5キャンパスまでのすべての校舎
がモノレールで繋がっている。

パンフレットには学生たちはモノレールを使って移動するとあったが、今日は入学式の朝。

混んでいるだろうことはすぐに見当がついたため、わざわざ歩きを選択したという次第だ。

第1キャンパスまで、残り1km。集合時刻まではまだ40分もの時間があった。

電柱の代わりに建てられた風力発電が白いプロペラを回し、清掃ロボットが街を巡回している。

何気ない近未来都市の風景を眺め、気を取り直して学校を目指そうとしていた佐天の肩に、向かいから走って
きた男子高校生がぶつかってきた。

突然のことにびっくりして尻餅をついた佐天に、男子高校生は悪びれた様子で駆け戻ってくる。

ツンツン頭の見慣れない少年だった。

「あ、ごめん。追われてたもんだから」

少年は申し訳無さそうな顔で詫び、佐天に手を差し出してきた。

急いでますと言わんばかりに足踏みしながらキョロキョロする彼を見て、佐天も慌てて彼の手を取り立ち上が
る。

「い、いえ。こっちこそよそ見してましたから。それより、その…追われてるって?」

なんとなく彼の尋常ではない様子を勘ぐった佐天が尋ねると、少年はなんでもないと両手を振る。

なんか怪しいな、と佐天が訝しんだところで、元気な声が二人の横から聞こえてきた。

少年の来た道、そして佐天がこれから向かう方向から現れたのは、彼女と同じ中学の制服に身を包んだ少女だ
った。

茶色の髪は肩に掛かる程度で、結構な美人だ。健康そうな外観と、どこか怒ったような表情。

「あ、アンタ次はその子に!?は、離れて!そいつは痴漢よ!」

ビシッと少年を指さしながら吼える少女は、佐天に危険を伝えてくる。

「え、ち、痴漢!?」

バッと飛び退く佐天に涙目を向けてくる少年。彼は両目を制服の袖でゴシゴシ拭った後、茶髪の少女に向き直
った。

どうやら逃げることは諦めたらしい。、

「痴漢じゃねえ!上条さんは潔白ですのことよ!?」


「嘘!じゃあなんでアンタは中等部の校門で女の子の胸に顔をうずめてた訳!?アンタ、制服見たところ高等
部よね?今日第1キャンパスで入学式やるのは中等部。春休みのうちから誰でも知ってることなんだけど、ア
ンタは知っててわざと待ち伏せしてたんでしょ!!」


「間違えたんだって!それで帰ろうとしたら偶然ぬかるみに足を取られてだな、その場にいた子が受け止めて
くれただけだっての!!大体な、むやみに能力使って追ってくるテメェの方がよっぽど治安乱してるぞ」


「う、うっさいわね!そんな言い訳があるか!警備員《アンチスキル》に連絡してすぐに引き取ってもらうん
だから!」


「バカ言え!上条さんはこれから第2キャンパスで入学式があんだよ!青春が俺を待っているのだわはははは
ーっ」




………


とある学園第5キャンパスは、第18学区のほぼ中央に位置する。

高等部の教室(約2000室)をメインに、体育館が20館、グラウンドが20面、プールが各棟の屋上に展
開されている。

15階建ての校舎が20棟、A~T棟まで連絡橋で繋がっているため、敷地を端から端まで歩くだけで相当な
時間を要する。

そんな広大な第5キャンパスの最端、T棟の上から2階は『治安部』が占領していた。

設立当初、教師たちからは嫌な顔をされたものだが、結果的に学園長アレイスターに判子を押させることに成
功。

以降、T棟の14、15階は治安部の部室、他として幅広く学生たちに知られていた。

ちなみにT棟の屋上にあるドーム屋根付きのプールは、下二階を治安部が占領したおかげで彼らのプライベー
トビーチとなっている。

第1、第2の両キャンパスで新入生歓迎の式典が行われている中、治安部の面々は15階の会議室に集まって
いた。

広い部屋の内側に、並べられた長机が真ん中を繰り抜かれた長方形を描いている。

部屋の一番奥の特等席に座っているのは、治安部部長の結標淡希だ。

あら>>5>>6の間が抜けてました。


言い終えぬうちに走りだすツンツン頭の少年。

ほんとに人間なのか疑うような速度で脱兎のごとく走って行く彼の姿はあっという間に見えなくなる。

茶髪の少女も一瞬追おうとしたが、直後気がついたように佐天の元へやって来た。

「大丈夫だった?アイツに変なことされてない?」

少女はハンカチを取り出し、優しく佐天のスカートを拭う。尻餅をついたおかげで付いた汚れは簡単に取り払
われた。

佐天は人が変わったかのように親切になる少女にやや面食らいながら、

「い、いえ何も。それよりスカートありがとうございます」

「ううん、気にしないで。それより新入生?」

「はい。あ、えっと、佐天涙子です。あなたは?」

「ああ、私は御坂美琴」

御坂と名乗った少女は思わず見惚れてしまうような笑みを浮かべ、きれいな白い手を佐天の前に差し出してき
た。

「よろしくね、佐天さん」

佐天は手を取り、同時にこの学園で楽しいことがたくさん起こりそうな予感を覚えるのだった。






………


とある学園第5キャンパスは、第18学区のほぼ中央に位置する。

高等部の教室(約2000室)をメインに、体育館が20館、グラウンドが20面、プールが各棟の屋上に展
開されている。

15階建ての校舎が20棟、A~T棟まで連絡橋で繋がっているため、敷地を端から端まで歩くだけで相当な
時間を要する。

そんな広大な第5キャンパスの最端、T棟の上から2階は『治安部』が占領していた。

設立当初、教師たちからは嫌な顔をされたものだが、結果的に学園長アレイスターに判子を押させることに成
功。

以降、T棟の14、15階は治安部の部室、他として幅広く学生たちに知られていた。

ちなみにT棟の屋上にあるドーム屋根付きのプールは、下二階を治安部が占領したおかげで彼らのプライベー
トビーチとなっている。

第1、第2の両キャンパスで新入生歓迎の式典が行われている中、治安部の面々は15階の会議室に集まって
いた。

広い部屋の内側に、並べられた長机が真ん中を繰り抜かれた長方形を描いている。

部屋の一番奥の特等席に座っているのは、治安部部長の結標淡希だ。

「みんな、よく集まってくれたわね」

結標が全体に響く声で挨拶をすると、全員の視線が彼女に集まった。

「あの、自分を含めてもメンバーは半分も集まっていませんが?」

「うるさいわね、少し黙っててくれるかしら」

話の途中で噛み付いてきた爽やかな少年を制し、結標は言葉を続ける。

「最近警備部や風紀委員、生徒会なんかが出しゃばっているようだけど―――」

警備部とは、ここ治安部と同じく元をたどれば風紀委員だった組織のことだ。

自由が重んじられる学園都市で、次第にルールからの開放や派閥の確立などの諸問題によって分裂していった
という経緯が存在している。

よって三組織は名前こそ違えど、やることはほとんど同じ。

風紀委員が決まりを守って治安維持に関わるグループだとすれば、警備部や治安部は少々のルールは目をつぶ
る寛容さを兼ね備えている。

なにより治安維持と犯罪の阻止、犯人の検挙を目的としている。

ときには(というか常に)検挙率などの成績で互いに睨み合うため、三つの治安維持組織の関係の危うさは学
園では有名なことだった。

つい先日も警備部と治安部が小競り合いを起こしたばかりなのだ。

原則として能力者同士の戦闘は禁じられているのだが、もうそんな些細な事は日常茶飯事となっていた。物騒
な話である。

結標の言葉に、また爽やかな少年・海原光貴が噛み付いた。

「生徒会が出しゃばるのは当然だと思いますが。それが彼らの職務なわけですし」

海原のもっともな指摘に、結標はわかってないわねとでも言いたげに肩を落とし、短く息をつく。

「やつら、校内の仕事だけやっていればいいのに治安維持にまで手を出してくるんだもの。鬱陶しいにも程が
あるわ。適材適所って言葉をあの忌々しい生徒会長様に教えてあげたいところね。いっそのこと生徒会も潰し
てしまおうから」

「そんなことをしてしまえば、むしろこちら側が悪者になってしまいますけどね」

海原は諦めたように微笑むと椅子に深く腰掛け、とりあえず黙った。

「ボクは風紀委員と再戦できるならなんでもいいんだけど」

持ち込んでいたノートパソコンから顔を上げた少年、工山規範《くやまきはん》が突如として会話に混ざる。

結標はチラッと工山を一瞥すると、抑揚のない声で、

「風紀委員はルールに則ったチームだから、ムカつきはするけど直接戦闘にはならないでしょう。それより工
山君、あなたは一度守護神に負けて捕まっているんだから下手なことはしないように」


「まだボクには試していないコンディションがあって―――


「はいはい。でもそれより先に超電磁砲《レールガン》対策をお願いするわ。今後も彼女に電子介入で邪魔さ
れると厄介よ」


工山自身も守護神との圧倒的な力量差を感じているのだろう。彼は小さく頷くと、もう食い下がることはなか
った。

結標は今度こそ全員に向き直り、声を大にして言う。

「それよりこれはチャンスよ。今日から中等部に入学する新入生、高等部に上がってくる新入生。使えそうな
人員を見つけたらできるだけスカウトしてきて頂戴。他の部も人員補充に躍起になるでしょうし、やっぱり人
手は多いに限るわ」

それに…と結標は再び腕を組み考える。

学園の間で時折話題に上がる、リセッターの噂について。

―――どんな能力も、発動前に強制的に時間を戻されたかのように次々と無効化してしまう能力者がいる。

結標も半信半疑で書庫を覗いたことがあったが、そんな能力者は登録されていなかった。

だが、書庫のデータが全て正しいという保証はない。

実際、治安部の端末からは超能力者《レベル5》についてのデータを閲覧することはできなかった。

ゆえに、彼女が知っている超能力者はただ2人だけ。ともに学園都市の広告塔とされる、あの2人の人間だけ
だった。

(それにしても…リセッターね…)

(本当にいるとしたら間違いなく超能力者の誰かね。…面白いじゃない)

結標は立ち上がり、窓の外の風景に目をやる。

入学式典が終わったのか、モノレールから降りてきた高等部の連中がうじゃうじゃといた。

彼女は人混みを眺め、空を眺め、そして思うのだった。


(この街は、まだまだ私の知らない刺激であふれている)





………


とある学園第3キャンパスは、第七学区の隅に位置していて、第10学区と隣接する場所にある。

敷地面積は5つのキャンパスで2番目に大きく、上に第1キャンパスがあるだけだ。

A~Tの15階建て20棟の校舎に加え、ゴムトラックに人工芝のグラウンドが30面、体育館が20館、第
1キャンパスに続いてショッピングモールが発達している場所でもある。

特に中高のクラスが混在するこのキャンパスにはカフェを中心とした喫茶店からファミレスまでの外食産業が
発達しており、第22学区の地下街までも徒歩で行ける距離にあった。

上条当麻は、はれて高等部1年196組になり、現在教室へ向かっている最中だ。

途中にすれ違った人間を数えていれば、その数は数百を超え、千や万に届いたかもしれない。

上条は一番空いていたF棟の校舎へ入り、階段を登りながら連絡橋を渡り、なんとかH棟にたどり着く。

エレベーターが混み合っていたため自力で階段を上がり、ようやくH棟12階の一番奥、196組の教室へ入
った。

集合時刻まであと30分弱ある。少し早かったかな―と思いながら辺りを見渡すと、見知った顔がいくつかあ
った。

「吹寄っ!?と土御門?」

「にゃー!カミやーん、去年に引き続きまた同じクラスですたい!」

と肩を組んでくる土御門。入学式の今日も変わらずサングラス装備だった。

「なんか…作為的なものを感じるわね」

と吹寄。それについては上条も同感だった。

吹寄制理と土御門元春とは中学時代からの腐れ縁だ。吹寄とは一年と三年のとき、土御門とは3年のとき同じ
クラスになった。

一学年1000単位で存在するクラスで同じになったのは奇跡というレベルをはるかに超えているわけで…

上条は一人、あのいい加減な白髪の学園長・アレイスターを疑うのだった。

「今年は担任誰になるんでしょうね。まあ知らない先生なんでしょうけど」

「いや、これが作為的なものならまた知り合いって線もあるぜい」

「え…上条さんとしてはもう災誤先生は嫌なのですが…」

「あ、でも上条。さっき聞いたんだけど災誤先生高等部の担当に上がってきたって」

「にゃー、これは濃厚な旗が立ってるぜよ」

「ま、あたしとしても災誤先生はパスね」

春休み明けに集った仲良し三人組が談笑する中、入り口からまた一人輪の中に入ってくる者がいた。

無造作にハネた青い髪、第二ボタンまでが開けられた詰め襟―――

「カミやーーん!つっちーも!えっ!?吹寄も!?」

口をあんぐり開けて硬直する青髪の額を吹寄が小突く。

「はぁ、とうとうバカ三人が集まったわね」

「ははっともあれよろしくなクソ野郎ども!」

「あったりまえだぜーーい!楽しくなりそうだにゃー!」

「ボクもこれから楽しみやー、担任は可愛い女の子がええわー」

「はぁ、騒がしくなりそうだけど素直に嬉しいわ」

「お、吹寄センセーがデレたー!」

上条が指をさすと、バカ二人も便乗して野次を飛ばす。

「馬鹿っ!見知った顔がいてよかったって意味よッ!」

「あべしっ」

そしてなぜか殴られる上条であった。

一応ここまでしか書き溜めありません。
読んでくださった方はありがとうございました。また。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom