八十稲羽（やそいなば）市

今時珍しい『田舎』である

そんな市に建つ一軒の公立高校

『八十稲羽高校』通称『八高（はちこう）』

この物語は、世界と宇宙を繋ぐ一本の塔がもたらす『オワリ』の物語である

新学期初日
八高、2年E組

長く美しい黒髪、気が強そうでありながらも優しい顔立ち、色気の漂う豊満な肢体

これほどの美少女でありながら、男性経験は0、なぜならば『稲羽市警察署署長』の父と、『○○県警きっての敏腕刑事』の従兄弟が居るからである

それだけではない、彼女を手に入れるには『トップアイドル』『天才女流探偵』『顔の怖い手芸屋店主』『モールの店長とその嫁』『ゆるキャラ』『従兄弟の嫁にして、旅館の女将』これらを皆突発しなくてはならない

彼女の名は『堂島菜々子』

これから始まる一連の物語の重要な部品である

柏木「それじゃ、カワイイテンコーセー君を紹介するわね、入って」

八高のケバいばーちゃんの二つ名を持つ名物教師に呼ばれ、少年は教室の扉を開ける

ハルオ「た、珠衣春雄です！今後とも宜しくお願いします」

この物語の主人公だ

カップリングはアニメ版基準です

二十代はアイドルです、いいね？

柏木「珠衣君は堂島さんの隣ね、ほら、あの乳の大きい子」

ハルオ「あ、はい」

ナナコ「ハルオ君、今日から宜しくね」

ハルオ「おう、よろしく」

ｷｰﾝｺｰﾝｶｰﾝｺｰﾝ

柏木「はぁい、始業式は15分後だから早めに体育館に集まっておくように、いいわね？」

若作りの酷い50代の教師は妖艷（笑）な足取りで教室を出ていった

？？？「おう！宜しくな！ハルオ！！」

前の席に座っている少年が後ろを振り向き話しかけてくる

少しはねた頭の、満面の笑みが良く似合う好青年といった印象だ

キヨヒコ「俺、高田清彦。俺も中学の時にコッチに転校してきたんだ、何もねぇけどいいところだぜ？」

ハルオ「そ、そうか」（なんだこいつ、やけに馴れ馴れしいな）

？？？「くぉらキヨヒコ、転校生君引いてるじゃんよ！」

キヨヒコの側頭部に、女子のものと思われる拳があてがわれ、グリグリと動く

顔を上げると、髪を両側で結んだ活発そうな少女が居た

キヨヒコ「いでででで……ん？この後頭部に当たる感触……Cかっ！！」

？？？「えっ？C？」

少女はキヨヒコの後頭部に目を落とすと、顔をみるみる赤らめていく

？？？「なっ……！！死ね！エロヒコ！！」

拳を離し、胸を手で抑えながら一歩退き、キヨヒコの頭を蹴飛ばす

ハルオ（白地にオレンジの水玉……）

キヨヒコ「ぐはぁ！！」

普通に首を悪くしそうな勢いで、ハルオの机に倒れ込む

蹴飛ばして足をあげたままなので、自分の角度からはパンツが丸見えである

ナナコ「さっちゃん、パンツみえてるよ」

？？？「あっ……見た？」

ハルオ「……ご馳走様でした」

？？？「最っ低！！」

綺麗な右アッパーが顎を捉える、そこでハルオの意識が途切れた

ハルオ（さ、災難だ……）

ナナコ「さっちゃんどうするの？これから始業式なのに……」

？？？「……保健室にでも置いときゃいいでしょ。モブA、お願いね？」

モブ「えぇ～……柚木が行けよ」

サツキ「柚木沙月16歳、か弱い乙女です！」

ナナコ「それ、ハルオくんが起きてるときにやろうよ……」

サツキ「……」

ナナコ「……」

サツキ「あ、もう時間ないよ！行こ、ナナコ」

ナナコ「え？あ！ちょっと！」

腕を強引に引っ張って半ば引きずるように連れていってしまった