西園寺琴歌「casual princess」 (28)

モバマス、西園寺琴歌のSSです

書き溜めありますので、早めに終わります

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1368592915

ごきげんよう、P様

突然のことで驚いてらっしゃると思いますが

久々にお手紙を書いてみようと思います。

ほんの少し前、美嘉さんからもこのようなものを頂いたかと思います。

手紙の主、2人目は私なんですよ?

驚かれましたか?

ふふっ。P様はここの所、私や美嘉さんが所属している所には

あまりお顔を出されませんからね。

私も美嘉さんに倣って、少しばかり昔話をしましょうか。

この事務所がまだ設立して間もない頃、P様は私に声をかけて下さいましたね。

あの頃は正直、アイドルが何なのかすら、はっきりとわからないような状態で…

そんな状態でも、私がアイドルを目指そうと思えたのは

他でもない、貴方のお陰かもしれません。

アイドルのお話を私にしてくださっていた時の貴方の瞳が

とても輝いていたのを今でも覚えていますもの。

その輝きに惹かれて、私はアイドルになる事を決意しました。

少しばかりの不安と、大きな期待を秘めて。

事務所がまだそんなに大きくなかった当時は

色々なタイプの方々とお会いしたのを覚えています。

京言葉を使う可愛らしい紗枝さんだったり。

立ち振る舞いとお喋りの差が面白い楓さんだったり。

皆の優しいお姉さんをする、藍子さんもまた。

私があまり外の世界を知らないせいか、最初は驚きの連続でした。

でも一つだけ、あの個性豊かな皆様方に共通した点があったんです。

皆様、本当に楽しそうにしてらっしゃいました。

小さな仕事やレッスン、合間の休憩時間でも

皆様はいつも笑顔でした。勿論、私もです。

きっと皆様も私と同じように、貴方の瞳に惹かれたのでしょうか?

貴方のお話や瞳には、人を変える力があるのかもしれませんね。

貴方となら、夢を叶えられるかもしれない。

皆様、そう思っておられるのでしょう。

所属するアイドルの方が増えるにつれ

事務所の規模が大きくなっていきました。

そうして事務所が3つに所属分けされ

私は今の場所に行くことになりました。

アイドルがどれだけ増えても、プロデューサーは一向に増えないものですね…

今となっては、P様のお体がとても心配です。

私たちの体調を気遣ってくれるその優しさを

少しは自分のお体にも使ってあげてくださいね?

心配をしているくせに、プロデューサーの方が増えなくて

ほっとしている自分もいます。

スカウトして頂いた貴方にプロデュースして頂かなくては

やはり寂しいですもの。

前にも申し上げましたが、私にとって

貴方がプロデューサーである事は幸運であり、幸福なのです。

お仕事で一緒になる時も今となっては少なくなりましたが…

貴方のことです、きっと

琴歌が成長した証だね、なんて上手にかわしてしまうのでしょう?ふふっ。

たまには私たちのところにも、お顔を見せて下さいね?

紗枝さんやみくさんも、お話したがってますよ?

話が逸れてしまいましたね。

事務所が大きくなって、少しずつ大きな仕事をいただく方が増えてきたのを見ていると

少しだけ、羨ましく思えました。

その大半が私の、いわゆる後輩にあたる方々ばかりでしたから…

あの時は、焦っていたかもしれません。

でもそんな時です。

息を切らして事務所に入ってきた貴方を見て

最初は何事かと思いましたわ。

アイドルliveツアー、琴歌が大抜擢だ。

と、貴方がおっしゃったのです。

最初は正直何を言っているのか、全くわかりませんでした。

ツアーの開催自体が初の試みで探り探りにもかかわらず

経験が決して豊富とは言えない私を使うなど、考えられないと思います。

そのうえ、場所はどこかと尋ねれば貴方は笑顔で

アメリカだぞ! やったな!琴歌!

なんていうのですから、ついていけなくなりそうでした。

実際、出発の前夜はあまり眠れませんでした…

故に飛行機で寝入ってしまいましたが…

いざアメリカに着いてみれば

そのスケールの前に皆さん圧倒されているようでした。

聖來さんやニューウェーブの方々は楽しんでいましたが。

私はアメリカに何度か訪れていましたので

それほど大きな驚きもないだろうと思っていたのですが…

まったくそんなことはありませんでした。

むしろ今までで一番衝撃だったでしょう。

特に私がliveをすることになったあの場所は

いい意味でも悪い意味でも思い出になりました…

正面をむいて立った時は絶景に心奪われ、感動したのですが

まさか下を見た瞬間、あんな高さがあるとも思っていませんでしたので…

思い出しただけでも、少し足が震えて来ました。

心だけでなく、体の自由まで奪われるとは…あまり笑えない冗談ですね。

あのようなお恥ずかしい姿を見せてしまい、申し訳ありません…

手を貸していただいて、ありがとうございました。

あの時に改めて貴方の手の暖かさ、実感できましたわ。

その大きな手で、私たちをこれからも引っ張って行って下さいね?

私たちアイドルの最初のファンはP様、貴方なのでしょう?

さて、沢山の思い出を書いて来ましたが

この当たりで筆をおこうかと思います。

書いてみるのも楽しいですが、やはりお会いしてお話したいものですね。

アメリカのツアー以降、中々お会いする機会もなかったので…

今度ゆっくり、お茶でもしながらどうでしょうか?

いい返事を期待していますわ。

また一緒にお仕事しようね!Pさん!

カジュアルな挨拶とは、このような形で良いのでしょうか…?
                            西園寺 琴歌

追伸
先日購入したスマートフォンとパソコンで

ブログというものを始めてみました。

是非、ご一読下さいね?

そしてこの手紙、あともう一人から届きます。

同じ年齢ということで、私や美嘉さんとも仲良くしてくれていますわ。

それにP様が担当してらっしゃるクールの子なので

もう、おわかりかもしれませんね?

以上です。

お手紙シリーズ第二弾、琴歌ちゃんでした。

色んな方から予想を頂いていましたが、いかがでしたでしょうか?

画像先輩、お忙しい中このSSを読んで下さった皆さんありがとうございます!

一応、次で手紙シリーズは完結の予定です。需要があればまたいつか投下しようと思います。

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