5月。
清澄高校一年、須賀京太郎。
巨乳美少女の原村和を目当てに麻雀部に入ったけど、正直麻雀には興味がない。
だけど、麻雀をしないと巨乳美少女の顔や胸元をじっくり見られない。
そんな動機の俺が頑張って麻雀を強くなろうとか、真面目に取り組むとかはなかった。
だから、部活自体は楽しいものでも、面白いものでもなかった。
麻雀牌に触れる時間より部室のパソコンでのネット麻雀や他の雑務を任せられる事が多くなり、それが当たり前となりつつあった。
そして、自分以外の四人が部活にいる時は麻雀牌に触れない日が殆どだった。
こうなったのは入部動機も不純であり、入部してからもやる気を見せない自分のせいだが、さすがに面白くはない。
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そして、そんな面白くない部活の部員も紹介しておく。
清澄高校三年、麻雀部部長で学生議会長の竹井久。
唯一の三年生という事もあり、良くも悪くもこの麻雀部は部長が完全支配している。
この人、しきりに団体戦に出たいといってるわりにメンバーを揃えようとしない。
いや、頭数だけじゃなく全国大会も狙ってるみたいな事をたまに言ってるから、一応は本気なんだろうけどこの清澄で全国大会なんて正直、無理な話だ。
女子で麻雀が強い人材は強豪の風越女子や去年県予選を優勝し全国大会三位の龍門渕に行くだろうから。
けど、今年は全国インターミドルチャンプの原村和が清澄に入ってきて事情が変わったと、よく興奮気味に洩らしている。
この人は周囲の状況に任せて自分では何もしない人だから、俺は正直好きになれない。
清澄高校二年、染谷まこ。
唯一の二年生で、去年は部長と二人きりだった、との事。
実家が家業をやってるせいか部活自体の出席率はそれほど高くない。
当たり障りのない事を言って、部の雰囲気が悪くならないようにしているが、基本部長よりの人間だ。
俺以外で部長が団体戦に出たい事を唯一知ってる人でもある。
かといって、部長のために何かをしてるのかといえばそういうわけでもない。
部長の悲願であるはずの団体戦のための部員探しとかしていないし。
部活に来たら来たで麻雀打ちながらダラダラしてるだけの置物みたいな人。
それが俺の印象。
清澄高校一年、片岡優希。
清澄高校の学食にタコスがあるという理由でこの学校に入学したらしい。
そういう自分の欲望に忠実なところとか、俺は嫌いじゃない。
ただ、最近は部長が雑用を押し付けてくるのに乗じて、タコスの買い出しまで頼んで来る時がある。
ほんと、何度タコスの中の具を少し食べてやろうかと思ったことか。
清澄高校一年、原村和。
俺が入部したきっかけを作った巨乳美少女のインターミドルチャンプ。
同じ中学の片岡優希に誘われて清澄高校に入学を決めたとのことだが、もっと頭のいい高校や麻雀の強豪校からのお誘いもあっただろうに、何故清澄?
まあ、無口だったり、人付き合いが下手だったりすると、その時、仲の良かった友達に依存し易くなるっていうやつなのかもしれないな。
俺なんか未だに原村和とはまともに喋った事ないし、俺の推測ももしかしたら結構いい線であたってるかもしれない。
入部当初は麻雀卓を囲んで、間近でよく胸元とか見ることが出来たけど、ここ最近は離れた場所からチラ見するくらいしか出来なくなってる。
こうなると俺は何のために麻雀部に入ったのか全然わかんねえ。
咲「京ちゃん、それ何してるの?」
京太郎「麻雀のゲーム」
咲「ふーん。京ちゃん、麻雀するんだ」
京太郎「ああ。一応、麻雀部に入ってるしな」
咲「私、麻雀って嫌い」
京太郎「へー。咲って麻雀打てるのか?」
咲「打てるっちゃ打てるけど…、家族麻雀で嫌な思い出しかないし」
京太郎「そっか。そいつは悪かったな」パタン
咲「あれ?麻雀ゲームやめちゃうの?」
京太郎「べ、別に咲のために閉じたんじゃないからな。負けたから途中で投げ出しただけなんだからな」
咲「何、その変なツンデレみたいな台詞は」
京太郎「忘れてくれ。俺もちょっと後悔してる」
咲「でも、京ちゃんが麻雀部に入ってるのかー」
京太郎「どうした?」
咲「いや、今日さ、欲しい本の発売日なんだけど、また今度でいいよ」
京太郎「咲は筋金入りの方向音痴だからな。本屋にも辿り着けないか」
咲「ふ、古い本屋なら普通に行けるよ!!」
咲「でも、新しく出来た本屋はまだ道を覚えてないだけで!!」
京太郎「はいはい。そうだな、一応、俺と一緒に二回行ってるけど、まだ覚えてないだけだよな」
咲「むぅ」
京太郎「しょうがないから今日は咲に付き合ってやるよ」
咲「それは嬉しいんだけど、部活はいいの?」
京太郎「いいのいいの。言っても大した事してないし、部活なんて基本自由参加だから」
咲「じゃあ、お願いしよっかな」
京太郎「お任せください。お姫様」
咲「はぁう////」
清澄高校一年、宮永咲。
俺と同じ中学のやつで、家から近いから多分迷わずに来られるというかなり特殊な理由で清澄高校に決めたらしい。
読書好きでボーっとしてて高性能な迷子能力付き。
昼休みとかしょっちゅう一緒にいるせいか、クラスメイトに俺の嫁扱いされてちょっと怒ったりしている。
気持ちはわからんでもないけど、冗談で言ってるだけだから放っておけばいいんだよ。
それに俺からすれば咲は出来た嫁というより出来の悪い妹の感じの方が強い。
その印象は主に迷子能力のせいだけどな。
あれから一ヵ月後の6月。
我が清澄高校麻雀部は結局団体戦に出場する事は出来なかった。
これは清澄高校の麻雀部の部員なら誰もがわかっていたことだった。
麻雀をするなら風越女子か龍門渕、あとは裾花高校あたり。
頭数でもいいから誰かいないかと部長に詰め寄られたとき、一瞬だけ咲の事が脳裏に浮かんだが、俺は首を横に振った。
そもそもこの清澄高校を選んだ時点で麻雀をちゃんと出来るやつがいる事に期待するのが間違ってるのだ。
そして、仕方なしに出場した県予選の個人戦では原村和が一年生で2位という快挙を成し遂げた。
一位は風越女子三年の福路美穂子という優しそうな美人だった。
三位は今年も優勝した龍門渕高校の二年生で龍門渕透華という目立ちたがりの人だった。
個人戦の初日は片岡優希も東場のみという彼女にとって最高に近い条件で麻雀する事ができ、圧倒的な点数で1位となったが、二日目に大崩れして10位以下に落ちていった。
染谷先輩も奮闘したが片岡優希のような見せ場もなく、終始10位以内に入ることはなかった。
竹井部長は団体戦に出られなかった事の影響が大きかったせいか、初日は酷いもので下から数えた方が早い順位となり、二日目では頑張るものの結局清澄麻雀部の中では一番下の40位くらいとなった。
俺?
俺は当然、県予選のさらに予選で負けて一回終了だ。
男子の俺は順位がつくところまで辿り着けなかったから、そういう意味じゃ女子の部長とかは結構恵まれてる。
だって、初戦で最下位を取ってるのは俺と部長くらいだったけど、俺は人数が多い男子って理由なだけで予選の予選落ちしたんだから。
逆に人数が適正らしい女子に関しては県予選の予選落ちがなかったわけだから。
まあ、俺が麻雀に真面目に取り組んでたら、これも悔しいと思えたのかもしれないけど、生憎この清澄の麻雀部に入部してから真面目にしようと思ったことは一度もない。
だから、予選落ちが少し恥ずかしいって思うくらいで、他に特別な感情は持ってない。
咲「京ちゃん?」
京太郎「どうした?咲」
咲「うん。少し考え事をしてたように見えたから…」
京太郎「気のせいだよ」
咲「ほんと?もし、何か心配事があるなら私に相談してくれたらいいからね」
京太郎「ああ。相談したい事があったらすぐに咲に相談するよ」
咲「でも、こんな事言ってるの見られたらまたからかわれるかもね」
京太郎「そうだな」
8月。
清澄高校の全国大会。
原村和のためにぞろぞろとついていくだけの部長とその他の部員達。
俺は雑用はないけどついてくるか?と聞かれたけど、それは断った。
部費はそこそこあったから俺が増えても特に問題なかったらしいけど、ついていって何が出来るのかって言われたら、原村和のために出来る事はきっと何も出来ない。
男子の麻雀部員として出来るのはせいぜい買い出しとかちょっと重い荷物を持ったりするとか、その程度。
それだけのために何日拘束されるかもわからないとか、ちょっとキツい。
そしてその程度なら俺がついて行く必要はないしな。
あと、東京で無駄に過ごすくらいなら、地元で仲のいい連中と遊んでた方がよっぽど有意義だ。
咲「あ。京ちゃん」
京太郎「悪い、待ったか?」
咲「ううん。さっき来たところだよ」
京太郎「それにしても咲がプールについてくるなんて珍しいな」
咲「たまには身体も動かさないとね」
京太郎「ほほう。脚やお腹の贅肉が気になってきた、と」
咲「ち、違うよ!!二の腕とかお尻とかは元々だから!!」
京太郎「ほう。カマをかけてみたけど、咲が気になってるのはそっちだったのか」
咲「うう~っ。京ちゃんのばか!!えっち!!////」
9月。
夏休み中は殆ど部活に顔を出さなかったから知らなかったけど、片岡優希から原村和が東京の高校に転校した事を聞かされた。
なんでもインターハイで優勝できなかったら父親に従い転校を受け入れるという条件で清澄高校に通っていたらしい。
なんというか、俺が部活に入部した理由が消失して、俺はこの日から麻雀部へ顔を出すことはなくなった。
元々、麻雀に対しては興味があったわけじゃないから、自分は部活に行かなくなった事に後ろ髪を引かれたりもしなかったし、後悔もしなかった。
ただ、たまにすれ違う片岡優希と目が合うと、俺は少しだけ居心地が悪くなった。
咲「どうしたの?京ちゃん」
京太郎「あ、あー、いや、なんでもないんだ」
優希「……」ジー
京太郎(…片岡)
咲「もしかして、あの子、京ちゃんに用事があるんじゃないの?」
京太郎「あ、あるわけないだろ。だって、俺、部活をやめたしさ」
咲「あれ?京ちゃん、麻雀部やめたんだ」
優希「……」
京太郎「ああ、どうせ入ってても意味ないしさ」
優希「…っ!!」グッ
優希「……」スタスタ
咲「…あの子、行っちゃったよ」
京太郎「いいよ。俺に何か用があるなら話しかけてきただろうし、それがないって事は用事がなかったってことだから」
咲「それならいいんだけど」
京太郎「だから咲が気にする事じゃねえよ」
京太郎「それよりも咲は部活に入ったのか?夏休み前は部活に入るみたいな事言ってたけど」
咲「うーん。京ちゃんが部活をやめてるなら入らなくてもいいかなって思ってるんだよね」
京太郎「なんで俺の部活が関係あるんだよ」
咲「だって、京ちゃんが帰宅部ならこれからはずっと一緒に帰れるから////」
京太郎「そ、そうか////」
咲「そういう事だから、今日は一緒に帰ろ」
京太郎「そうだな。これからはずっと一緒だな」
咲「そういえば久しぶりに東京にいるお姉ちゃんから手紙が来てね」
京太郎「ああ。照さんか」
京太郎「そういえば咲は照さんと仲直りしたのか?」
咲「うん。夏休みに東京に行って麻雀打って仲直りしてきたよ」
京太郎「へー。麻雀で仲直りとか、ある意味すげえ家族だな」
咲「真面目にやってお姉ちゃんに勝ったら…許してくれたんだ」
京太郎「そっか」ナデナデ
久「………………」ジィー
久(なに?麻雀出来る知り合いはいないって言ってたのに…)
久(それもインハイチャンプの宮永照の妹?そんなの強いに決まってるじゃない!!)
久(それに非公式とはいえ、宮永照を負かすなんてとんでもない逸材なのに…)
久(なんで私が聞いた時に嘘をついたの?冗談じゃないわ…あいつがちゃんと宮永さんを入部させてればっ……!!)
久(須賀京太郎っ!!あいつのせいで私の三年間は…)ギリッ
と、今日はここまで
次の投下辺りから閲覧注意のR-18(エロとは言ってない)に突入します
あと、内容が内容なので基本sageで更新します
こっからR18に持ってくの楽しみ
これはGがつく方のR-18わ(戦慄)
いや、エロじゃないグロとかだったりしたらちゃんとR-18Gって入れるべきなんじゃねーの?
おいおいまだプロローグの段階で周りが喧々囂々かよw
こういう意欲作も読みたい気分やな。
楽しみにしとくわ!
他校とかでると、それはそれで楽しそうだ。
このスレは荒れる
そして外野が騒ぎ過ぎて完結しない
ネタがマイノリティだからあんまりレスが来ないだろうと思って酉つけなかったけど
ここまでレスがつくとは予想外すぎです
まあ、初回の物珍しさという事でしょうが実にありがたいです
>>27
R-18(エロがないとも言ってない)
>>31 >>54
R-18GではないからGつける必要はないです
自分、そういうの苦手なんで
>>56
喧々囂々の意味がわからなかったのでググッたら四字熟語図書館とかに辿りついた
これはころたんのSSとか書くときに便利そうだと思った(KNM感)
いや、書かないけどね
>>64
そういう事を言われると本当にそうなりそうで怖いんですが
今日は眠気が酷いので今のうちに投下します
翌日の放課後。
俺は校内放送で学生議会室に呼び出しを食らった。
学生議会室は正直、竹井部長のイメージがあるからあまり近寄りたくはない。
だけど、さすがに無視するわけにはいかないから、渋々行くことにした。
それにしても俺に学生議会が何の用なんだよ。
学校で呼び出しを食らうようなそんなふざけた事とか、最近はしてないんだけどな。
京太郎(はー。こういう部屋に入るのってどうにも緊張するんだよな)コンコン
「どうぞ」
京太郎(この声…。もしかして……)
京太郎「失礼します」ガチャッ
久「待ってたわ、須賀君」
京太郎「……どうも」
久「遠慮は要らないわ。そこの席に座ったらどう?」
京太郎「…いえ。それよりも俺に何か用ですか?」
久「用がなかったら呼んじゃいけないのかしら?」
京太郎「わざわざ校内放送で呼ばれたんですから、そりゃあそうでしょう」
久「あはっ。ごもっともね♪」
何が楽しいのか俺の方を見てニヤニヤと笑みを浮かべている竹井部長。
人を見下したような目をしているが、その瞳は笑っていない。
竹井部長からはそんな奇妙な雰囲気を感じた。
そして、ゆっくりと俺に近づいて来る竹井部長。
俺よりも20センチは背が低く、見下ろす感じになっているにもかかわらず、何故か竹井部長が近づいてくる姿に威圧感のようなものを覚えた。
いつの間にか俺の手には汗が溜まり、暑くもないのに頬を汗が伝う。
そして徐々に間合いを詰めてきていた竹井部長はゆっくりと俺の右手の甲に指を伸ばしてくる。
俺はビックリして慌てて手を引っ込める。
久「やだ。何を警戒しているの?」
笑顔ではある。
だが目が笑っていない。
京太郎「い、いえ」
俺はジリジリと後ずさる。
久「私が須賀君に何か酷い事をすると思う?」
優しげな声ではある。
笑顔が引き攣ってはいるけど。
京太郎「そんな事…」
久「するけどね♪」
あ。物凄くいい笑顔だ。
言ってる事はどう考えてもおかしいけど。
俺の背筋がゾクリとする。
このままいたら危険だと、今ようやく理解した。
俺は慌てて竹井部長に背を向けて、後ろの扉に逃げ出す。
久「あはっ♪」ガッ
竹井部長が足の裏で思い切り俺の膝裏を蹴ってきた。
不意の痛みと衝撃に耐えられず、俺は思わず呻き声を上げて前のめりに倒れこみ、床に両膝をつく。
そこに間髪いれずに竹井部長の拳が俺の後頭部にヒットする。
さらに俺の背中に拳や蹴りによる打撃が何度も加えられ、俺は思わず四つん這いになってしまう。
四つん這いのまま逃げ出そうとするが、竹井部長が俺の頭頂部の髪の毛を容赦なく掴み、俺の頭を後ろに引っ張る。
その容赦のない攻撃に俺の頭部には激しい痛みが走る。
竹井部長の俺の髪を掴む力には異常なまでに力が込められていて、立ち上がろうにも立ち上がれない。
京太郎「…が、学生議会長ともあろう人がこんなことして無事に済むと思ってるんですか!?」
久「ええ、思ってるわ」
京太郎「お、俺がここで叫べば、誰かが異常に気づいてこの部屋に入ってきますよ…」
久「じゃあ、叫んでみる?」
久「その代わり、叫んだら私は自分のストッキングを破るから」
京太郎「?」
久「そしてこの部屋に入ってきた人に言ってあげるの」
久「須賀君に襲われそうになった、ってね♪」
京太郎「…なっ、そんな嘘が通用するわけ…」
久「学生から多くの信頼を集めている学生議会長で部活での夢が破れた可愛そうな麻雀部の部長と」
久「特に真面目でもなく部活にもろくに参加せず大した貢献もしなかったいい加減な男子生徒」
久「普通の人はどっちの言い分を信じると思う?」
京太郎「!?」
京太郎「あんたって人は…!!」
久「お望みなら私のシャツを破ってさらに状況を悪化させる事も出来るのよ」クスクス
京太郎「…くっ!!」
久「大人しく言う事を聞くなら悪いようにはしないわ」
京太郎「すでにだいぶ悪い状態…なんですがね」
久「この程度で?」ギリギリッ
京太郎「うぐっ…、色々と痛いんですけど…」
京太郎「だから髪を掴んでる手を離してくれると、嬉しいかなって…」
久「逃げないって誓ってくれるなら離してあげてもいいわよ」
京太郎「は、はい。逃げません、逃げませんから」
俺はここであえて抵抗しなかった。
少なくとも今の状況は下手に抵抗しても被害が増えるだけで、この場を上手く逃げ切れる自信がなかったからだ。
なら、ここは一旦凌いで後で職員室にでも駆け込めばいい。
竹井部長の暴力程度じゃ俺の身体には痣とかは出来てないだろうけど、さすがに教師達に俺が他の生徒に暴力を受けたと訴えれば事実確認くらいはしてくれるだろう。
そして相手は三年生とはいえ、女子に暴力を受けて職員室に駆け込むのは格好悪いかもしれない。
だけど、竹井部長の策で停学とか退学に追い込まれるよりは全然マシだ。
久「じゃあ、逃げない証拠を見せてくれる?」
京太郎「しょ、証拠?」
久「ええ」
そういって俺の髪を掴んだまま、俺の目の前に差し出してきたのはストッキングと上履きを履いた左脚。
家族以外でこんなに間近で女性の太ももや脹脛を見るのは初めてなので、自分の状況を忘れて思わず見とれてしまった。
久「あら?和の胸だけじゃなく私の脚にも興味があるの?」
京太郎「あの…いえ…」
久「まあ、須賀君も男の子だし仕方ないわね」
否定の言葉とともに俺は小さく目をそらす。
そりゃあ、俺だって年頃だし、目の前に異性の脚を見せ付けられたら気にならないわけがない。
俺を蹴った脚だけど。
京太郎「それで俺はどうすればいいんですかね?」
とりあえず土下座までなら悔しいけど許容範囲だ。
部長の力じゃ俺の腕や脚を折られることはないから、多分、物理的に何かしてきても耐えられるだろう。
久「足、舐めてくれる?」
京太郎「……え?」
久「美味しそうに音を立てて舐めてちょうだい」
あれ?
俺にはそういう性癖はないけど、その手の性癖の人にはこれってご褒美ってやつじゃないのか?
確かに人の足を舐めるなんて普通だったら屈辱的かもしれないけど、この場がそれで乗り切れるなら、俺はプライドを捨てて部長の足を舐めるさ。
竹井部長が俺の事をどうしたいのかはわからないけど、俺は少しでも自分へのダメージを少なく済ませるため、竹井部長の左足の靴底に指を伸ばす。
さすがに靴を履いてたんじゃ足は舐められないし。
それを察してくれたのか、竹井元部長は小さく左足を上に上げてくれた。下から俺の指が入る程度には。
久「♪」ギリッ
京太郎「ぎゃあっ!?」
久「なんで上履きを脱がそうとしてるの?ふふっ」
竹井元部長は俺の両手の指を踏みにじりながら楽しそうに笑っている。
逆に俺は目には涙を浮かべ、歯を食いしばりながら竹井元部長の脚を睨みつける。
久「足を舐めるなら、手を使う必要はないでしょ」
京太郎「うぐぅ…」
久「口で犬みたいにペロペロ舐めるだけでいいのよ」
京太郎「……」
久「ペチャペチャと音を立てながら餌を舐めとるようにね」
久「当然、上履きの上からだけど」
京太郎「はは、じょ、冗談、ですよね?」
久「須賀君には私が冗談を言ってるように見えるのかしら?」
俺が恐る恐る竹井部長を見ると、酷く冷たい目で俺を見下していた。
言葉はどこか飄々としているが、俺に期待しているのは自分の言う事を聞くかどうか、それだけ。
そして竹井部長はそんな俺の何かを探るような気配を察知したのか、俺の髪を掴んでる腕をグイッと下に押し付け、俺の目の前には竹井部長の足の甲と床しか見えない距離まで近づいていた。
もう逃げられない。
俺は―――。
ゆっくりと部長の上履きに舌を伸ばし、
「……っ」ペチャッ
竹井部長の上履きを舐めた。
と、今日はここまで
そういや咲と照の話をしてる時、なんで久はいたんだろう。
部活にこない京太郎を心配して見にきたのか、それとも雑用たまってたから?
てか、久は何で本当に清澄に入学したんだろうなぁ。風越はともかく、せめて人数足りてる学校行けよと。
一から十まで自分の力でっていうなら、それこそ自業自得で努力が足りなかっただけだしな。
>>104
原作では家庭の事情ってことらしいし、清澄高校だけが自分の家から唯一交通費を使わずにいける学校だったんじゃないかな。しらんけど
投下します
惨めで情けないという思いより、この場を何とかして逃れたい。
その思いだけで俺は部長の上履きを舐めていた。
久「須賀君もようやく素直になってくれたのね」
京太郎「…もう、いいですか?」
久「まだ全然満足はしてないし、気分も晴れてないけど、足を舐めるのはもういいわ」
久「靴の上からじゃ全然気持ちよくなかったしね」
京太郎「…ふう」
久「じゃあ、次はズボンとパンツを脱いでくれる?」
京太郎「はっ!?」
何言ってるんだ、この人は。
こんな場所でズボンとパンツを脱げって、それこそ誰か入ってきたら俺は間違いなく停学か退学になってしまう。
久「何を心配してるのかは知らないけど、今日は学生議会のメンバーは誰も来ないわ」
久「ようするに誰かが大声をあげない限り、ここには誰も来ないから」
京太郎「……」
久「それに別に両手両足が塞がってるわけじゃないし自分で脱げるでしょ?」
さすがに何かに着替えるわけでもなく、一人きりでもないこの状況でズボンを脱ぐというのは俺にも抵抗があった。
その上、パンツまで脱げとか一体、何を考えているんだ、この人は?
だが、それをやらなければ俺は竹井部長に暴行を加えたという罪を被せられる。
わかってはいたが、ここまでは完全に相手のペースだ。
久「須賀君がズボンを脱がないなら、私がスカートを脱いだ方がいいのかしら?」
久「当然、助けを求める悲鳴つきでね」
京太郎「っ……!!」
久「須賀君がいくら馬鹿でも私がそれを行動に移せばどうなるかの想像くらいは出来るわよね?」
久「想像が出来ないなら試してみてもいいわよ」
俺がズボンに手をかけるより早く、竹井部長は俺の髪を掴んでる手を離すと、自分のスカートに手をかけて、スカートをストンと下ろした。
俺が頭を上げると、黒いストッキングに覆われた下半身と薄い色の無地のパンツが視界に入った。
高校生になって初めて見る母親以外の女性の下着に俺は思わず目をそらす。
久「あら?あれだけ和の胸をやらしい目で見てたわりに、私の下着姿には顔を赤くして目を逸らすなんて意外と初心なのね」
京太郎「……」
久「それはともかく、今ここで私が悲鳴を上げれば、どうなるのかしら?」
久「試しに叫んでみよっか?」
京太郎「それはしないって…」
久「だから須賀君がズボンとパンツを脱げば叫んだりしないわよ」
京太郎「……」
京太郎「脱げば…いいんですよね」
久「ええ♪」
京太郎「…くっ」
俺は仕方なしにズボンのベルトに手をかける。
知らない人が今の状況を見たら美人の学生議会長とエッチしようとしてる様に見えるかもしれない。
だが、俺に関しては脅迫されて脱ぐ事を強要されているに過ぎない。
ベルトを外し、ズボンを下ろす。
前が少し突っ張ったトランクスに手をかけたまま、俺は竹井部長を一瞥する。
久「さっさと脱いだら?」
京太郎「……」
久「ここまで来たら私の悲鳴一つで須賀君の人生はメチャクチャになるのよ?」
久「そうなりたいなら脱がなくてもいいわ」
京太郎「…くそっ!!」
俺は羞恥と屈辱に耐えるようにトランクスを脱ぎ捨てた。
俺の逸物は部長の露出した下着のせいで半立ちになっていて、ビンと竹井部長の方を向いていた。
久「あら?もしかして私の下着姿に欲情しちゃったの?」
久「須賀君ってもしかして女子なら誰でもいいのかしら?」
京太郎「……」
久「まあ、そんな事はどうでもいいわ」
久「それじゃ、そこの椅子に座って自慰行為をして見せてくれる?」
京太郎「…なっ!?」
久「もしかして恥ずかしいから出来なかったりする?」
京太郎「当たり前でしょう!!こんな所で[田島「チ○コ破裂するっ!」]なんて出来るわけ…」
久「窓にはカーテンが掛かってるし、扉には特別に鍵もかけてあげるわ」カチャン
久「須賀君の自慰行為を直接見るのは私だけ」
久「須賀君が自慰行為を見せてくれれば、私からはもう何もしないわ」
久「悲鳴もあげないし、須賀君が帰るのも自由よ」
京太郎「……」
京太郎「本当ですか?」
久「嘘はつかないわ」
この人、本当に何を考えてるんだ?
まさか学校の学生議会室で[田島「チ○コ破裂するっ!」]を強要されるとは考えた事もなかった。
だけど、これで終わりにしてくれるというなら、どんな屈辱も我慢して竹井部長の提案を呑むしかない。
久「これ、和が寝てる時にたまたま撮った写真なんだけど、オカズに使っていいわよ」
そう言って竹井部長が差し出してきたのは原村和が丸いペンギンを抱いて寝ている写真だった。
特に服装のどこが乱れているとかはなかったが、久しぶりに見る原村和はやっぱり可愛かった。
寝顔だけど。
>>138-139の再投下
久「もしかして恥ずかしいから出来なかったりする?」
京太郎「当たり前でしょう!!こんな所でオナニーなんて出来るわけ…」
久「窓にはカーテンが掛かってるし、扉には特別に鍵もかけてあげるわ」カチャン
久「須賀君の自慰行為を直接見るのは私だけ」
久「須賀君が自慰行為を見せてくれれば、私からはもう何もしないわ」
久「悲鳴もあげないし、須賀君が帰るのも自由よ」
京太郎「……」
京太郎「本当ですか?」
久「嘘はつかないわ」
この人、本当に何を考えてるんだ?
まさか学校の学生議会室でオナニーを強要されるとは考えた事もなかった。
だけど、これで終わりにしてくれるというなら、どんな屈辱も我慢して竹井部長の提案を呑むしかない。
久「これ、和が寝てる時にたまたま撮った写真なんだけど、オカズに使っていいわよ」
そう言って竹井部長が差し出してきたのは原村和が丸いペンギンを抱いて寝ている写真だった。
特に服装のどこが乱れているとかはなかったが、久しぶりに見る原村和はやっぱり可愛かった。
寝顔だけど。
久「あと、床が絨毯だから精液は撒き散らさないように」
久「あとは…そうねえ。須賀君の精液は机の上にでも出してちょうだい」
興味がない目で俺を見下す竹井部長。
だけど、ここを乗り切れば解放されるならと思った俺はゆっくりと自分の逸物をしごき出す。
俺は目を閉じて、
緩急をつけ、
一心不乱に、
早く終わりたい思いで
上下に扱き、
京太郎「うっ…」ビビクン
机の上に、和の写真にかからない様に俺は精液をぶち撒けた。
息を整えながら俺は竹井部長を見上げる。
京太郎「これで、もう…いいんですよね?」
久「ええ」
部長はいつの間にかスカートを穿きなおしていて、机を挟んで俺の向かい側に立っていた。
そして、俺のほぼ正面に置いてあった箱をどけて、その中で動いていたものをカチリと停止した。
京太郎「た、竹井部長!?それは…?」
久「うん。いい絵を撮らせてもらったわ」
京太郎「ビデオ…カメラ?」
久「ええ。ちゃんと須賀君の自慰動画は撮れてるから、ちゃんと編集してネットにアップさせてもらうわ」
京太郎「な…んで?オナニーしたら許すって…」
久「あら。そんな事は言ってないわよ」
久「私が言ったのは、『私からは何もしないし、須賀君は帰ってもいい』。ただそれだけよ」
久「それに私が須賀君の事を許すはずないじゃない」
久「私の三年間を台無しにしたんだから、少なくとも須賀君にも台無しになってもらわないと」
京太郎「え?…」
京太郎「部長の三年間を台無しって?…俺は何もしてないのに…」
久「でも、嘘はついたわよね」
久「あんなに麻雀が強い女友達がいるのに、私に聞かれたときは知らないって」
京太郎「……」
久「須賀君は私を騙したけど、私は須賀君を騙してないから」
久「これでも生温いとは思うけど、私って優しいからちゃんと約束は守るわ」
久「だからもう帰っていいわよ」
京太郎「うわあああああああああああっ!!?」
久「あら?せっかく私も大人しくしてたのに須賀君が叫んでいいの?」
久「ほら、聞こえない?この部屋の異変に気づいて誰かが駆け寄ってくる足跡が」
京太郎「!!」
京太郎「し、しまった…!!」
久「でも、これ見られたら須賀君は終わりよね」
久「鍵は閉めてあるけど、机の上にぶち撒けた精液と脱ぎ散らかしたパンツとズボン。あとは部屋に漂う精液の臭い」
久「早く処理しないと大変な事になるかもね」クスクス
京太郎「あ、ああ…」
京太郎「い、いや、その動画がある!!」
京太郎「そのビデオカメラが俺が来る前から設置されていたのなら、俺が竹井部長に暴行を受けた証拠になる!!」
京太郎「それにこのオナニーだって無理矢理やらされた証拠に…」
久「あはっ♪」
久「あははははっ」
京太郎「な、何がおかしいんですか!?」
久「ごめーん。このビデオ、電源が入ってなかったわ♪」
京太郎「え……?」
久「須賀君の痴態をネットにアップしようと思ってたのに残念だなー」
久「でも、約束だからもう私からは何もしないし、残念だけど須賀君は帰ってもいいよ」カチャン
京太郎「ちょ、……」
久「ほら。鍵は開けたし、もう自由の身だよ」
久「それともこの部屋に入ってきた人に言い訳してみる?」
久「もしかしたら信用してもらえるかもしれないわよ。この部屋に入ってきたのが宮永さんならね」
ああ。
これはもう終わりだ。
ガチャッ
と、今日はここまで
了解っす
あと酉あったほうがいいんじゃない?
>>171-172
了解です
残り少ないですがもう少しだけ続くので一応今回の投下分から酉付けます
明日は早いので今から投下します
京太郎「ぐっ…」
バタンッ
俺は外側から開けられた扉が開けられた瞬間、ドアノブを掴み慌てて閉める。
京太郎「はぁ…はぁ…」
教師A「おい、竹井、さっきの叫び声みたいなのは何だ?」
教師B「どうした、竹井?扉を開けないか」ガチャガチャ
京太郎「ひっ…」
久「あらあら♪」
外から聞こえる教師の声に俺の顔から血の気が引いていくのがわかる。
ここで教師に突入されたら、間違いなく俺は終わる。
少なくともトイレでない場所で下半身を露出させ、机には俺の精液が付着している。
この状況でどんな言い訳をすれば助かるかなんて、とてもじゃないが考え付かない。
だからこの部屋に突入されないように俺は必死に扉を押さえる。
そして、この状況に怯える俺のすぐ後ろでは竹井部長が楽しそうに小さく笑う。
久「ねえ、須賀君」ボソッ
京太郎「……ぐっ」
教師B「おい、竹井!!」
久「助けてほしい?」
京太郎「…は、はい」コクコクッ
この状況を逃れるには自力では無理だ。
たとえ、この状況を作り上げた張本人でも、俺が助かるには竹井部長に縋るしかなかった。
久「じゃあ、今日から私が卒業するまで、須賀君は私の命令には絶対服従するなら助けてあげる」
絶対服従。
どんな事を要求してくるのか、どんな事をさせられるのか、想像もつかない。
そして、面白そうに笑みを浮かべながらこの状況を楽しんでる時点でこの人はまともじゃない。
それに今は助かっても、どうせまた酷い目に合わされるに違いない。
色々と最悪な状況が予想出来る。
だけど―――。
京太郎「…竹井部長の…命令には…逆らい…ません」
京太郎「だから…助けてください」
京太郎「お願い…しますっ」
俺は泣きながら部長に懇願した。
久「じゃあ、私の奴隷になった証として、これ、須賀君の精液だけど舐めてくれるわよね」
京太郎「!?」
竹井部長が俺の眼前に突き出した細い指先には少し黄色がかった白濁の液体が纏わりつくように付着してた。
生ぐさい臭いに思わず俺は顔を背ける。
久「出来ないなら、指に着いたこの汚い精液を私のスカートに塗りたくるだけよ」
京太郎「……」
久「須賀君が選びなさい」
久「ここで何もかも終わるのか、半年の間、私の奴隷として生き延びるのか」
俺は自分の精液を前に、震えながら、ゆっくりと舌を伸ばした。
京太郎「……」
京太郎「…っ」ペロッ
京太郎「…うえっ」
久「指についた精液は全部舐めなさい。これは命令よ」
京太郎「……」
京太郎「…うっ」ペロ
京太郎「……」ピチャ、ンムッ
京太郎「…ぷはっ」
久「うふっ♪」
久「まあ須賀君にしては上出来ね」
教師A「竹井!!いい加減にあけろ!!」ドンドン
京太郎「ひっ」ビクッ
久「すいませーん。ちょっと着替えていて開けられると困るんですが」
教師B「な、そ、そうか、それは悪かった」
教師B「ところでさっき大声がこっちの方から聞こえたみたいだが」
久「えっと、この部屋じゃなくて別の部屋からじゃないですか?」
教師A「そうなのか?それは済まなかったな」
久「いえ。もし何かあれば私は必ず報告に行きますから安心してください」
京太郎「……」
久「ふふっ。先生たちはもう行ったわよ」
京太郎「……はぁ…はぁ…」
京太郎「ふううっ…」
京太郎「助かった…」
久「それじゃあ、早速私のいう事を聞いてもらおうかしら」
京太郎「あ、あの…」
久「なあに?」
京太郎「俺、…本当に大丈夫なんですか?」
久「ええ。もう大丈夫よ、私の言う事を聞いてる限りはね」
京太郎「はい。…もう、竹井部長には逆らいません」
久「じゃあ、二人きりの時は私の事をご主人様と呼ぶように」
京太郎「わかりました。た…」
久「ご主人様、よ」
京太郎「わかりました、……ご、ご主人様」
久「よろしい♪」
久「あとはそうね、麻雀部にもちゃんと来てもらおうかしら、まだ退部届けは受け取ってないしね」
京太郎「は、はい…」
久「みんながいる前ではいつもどおりの須賀君でいいわ。部活にやる気をみせないただの雑用係で」
京太郎「はい…」
久「そして、最後」
久「宮永さんと二度と話さないように」
京太郎「え…?」
久「何故、不思議そうな顔をしてるの?須賀君」
京太郎「竹井部長!!俺はともかく、あいつは何の関係もないのに…」
久「ご主人様でしょ」
京太郎「くっ…どうしてですか、ご主人様?」
久「須賀君。私と彼女の優先順位、この状況でもどっちが高いかとか、もしかしてわからないのかしら?」
久「私が卒業するまでは須賀君は私の命令には絶対服従。それが従えないのなら、ここから職員室への直通電話で教師を呼ぶだけよ」
京太郎「……っ」
京太郎「すいません…でした。咲とは…二度と話しません」
久「わかればいいのよ、わかれば」
久「じゃあ、パンツとズボンをさっさと穿きなさい。これから部活に行くわよ」
京太郎「…はい。ご主人様」
久「机の上の精液は内木君の席だし、一日置いてれば乾くだろうし、放っておいても多分大丈夫よね」
京太郎「……」
久「ああ、あと、二人きりでも外を歩いている時は部長呼びでいいわ。周りで聞いてた子に変な勘違いされても困るしね」
京太郎「…わかりました」
俺は部長と旧校舎にある部室に向かう。
その途中、校門前で咲が誰かを待ってるかのように立ち尽くしていた。
誰を待っているか、俺にはわかっていたが、俺から声を掛けることは出来ない。
声を掛けたら竹井部長が何をしでかすかわからないからだ。
俺は咲に見つからないように出来るだけ音を出さず、静かに歩いていった。
咲「京ちゃん、遅いなぁ。今日は一緒に帰る約束をしてたのに」ハァー
咲「学生議会でどんな話をしてるんだろ」
咲「あーあ。こんな時に携帯電話を持ってたらすぐに京ちゃんに電話できたのに」
咲「お父さんにお願いして買ってもらおうかな」
咲「……」
咲「ほんと、いつまで待たせるんだろ。京ちゃんは…」プンプン
咲「もしかしたら京ちゃん、学生議会とかに入ったりするのかな?」
咲「ううん。そんな事ないよね、これからはずっと一緒だって言ってたし…」
咲「一緒に帰れないのは今日だけ、だよね。…多分」
咲「……」
咲「…京ちゃん…」
咲がいつまで待ってたかはわからない。
その日、部活には俺と部長しかいなかった。
ただひたすら本を読んだり、雑用をさせられただけ。
そして意味のない部活が終わったのが七時を少し過ぎた頃。
校門前で何かを待っていた咲は既にいなくなっていた。
と、今日はここまで
投下します
翌日。
俺は咲に会わないように時間を早めて学校に登校する事にした。
登校中にさえ会わなければ、竹井部長に話をしている所を見つかる事もないし、何かされる事もない。
咲には事情をある程度伏せて休み時間に話せばいい。
さすがに一年と三年は教室がかなり離れているし、逐一チェックされることもないだろうから咲と話してもばれないだろう。
咲が納得してくれるかどうかはわからないけど、何とか説得しないといけないのは確かだし。
だが、その俺の予定は簡単に崩れ去った。
咲「おはよ、京ちゃん」
咲が俺の家の前で待っていたからだ。
京太郎「さ、咲…」
咲「ご、ごめんね。昨日は先に帰っちゃって」
咲「六時頃まで待ってたんだけど、お父さんが私の事を心配して学校まで来ちゃったから…」
京太郎「あ、い、いや…」
京太郎「そ、それで、なんでここに?」
咲「昨日、一緒に帰れなかったし、た、たまには一緒に学校に行こうと思ったんだけど////」
咲「……駄目?」
京太郎「……」
俺の頭の中で色んな思考が駆け巡る。
咲は悪くない。
悪いのは俺と竹井部長のはずだ。
俺は竹井部長の三年間を台無しにして。
竹井部長は俺の半年間を台無しにするといって。
俺はそのせいで咲を無視しないといけない。
竹井部長に見られない場所なら大丈夫なはず。
けど、すでに咲がここにいて。
一緒に登校すれば竹井部長に見つかる可能性が高くて。
竹井部長はきっとそれを許さないだろう。
だから俺は咲と一緒に登校は出来ない。
それは俺が竹井部長の言いなりだから。
でも、咲と一緒に登校できないと断るための理由がない。
本当は理由はあるけど、それは俺と竹井部長の問題であって。
咲は何も悪くないのに。
昨日は何時間も校門で待っていてくれて。
今日は一緒に帰れなかった事を謝りに来てくれた。
悪いのは俺と竹井部長なのに。
いや、違う。
悪いのは俺だ。
竹井部長に屈したのも。
咲を無視したのも。
俺が自分でそう決めたから。
だから悪いのは俺だ。
だったらどうすればいい?
ああ。
そうか。
簡単な事だったんだ。
俺が、自分が傷つく事を恐れなければいいんだ。
たとえ、それがどういう結果になろうとも。
自分がどうなろうとも。
京太郎「なあ、咲」
咲「どうしたの?京ちゃん」
京太郎「部屋、上がってくか?」
咲「え?確かに学校が始まるまではまだ時間があるけど…」
咲「あー、でも久しぶりにカピちゃんをモフモフしたい気持ちはあるし、それなら今日の帰りにでも出来るしな~」
京太郎「いいから来いよ」グイッ
咲「やっ…、きょ、京ちゃん!?痛いよ」
京太郎「学校なんかサボっちまおうぜ」
京太郎「で、俺さ、ちょっと溜まってるからヤラせろよ」
咲「京…ちゃん?や、やめっ…」ドンッ
京太郎「ってぇな。何だよ、ヤラせてくれねーのかよ」
咲「え…?な、なに?」
京太郎「ちょっと仲良くしてりゃ簡単にヤラせてくれる女だと思ってたのにガッカリだわ」
咲「な、何言ってるの?京ちゃん?」
咲「そんな事言うなんて京ちゃんらしくないよ!!」
京太郎「あ?俺らしいって何だよ」
京太郎「お前に俺の何が判るっていうんだよ」
京太郎「せめて俺に抱かれた後で言えよな、そういう彼女みたいな台詞は」
咲「やだ、…こんなのおかしいよ、京ちゃん」グスグス
京太郎「グズグズ泣いてんじゃねえよ、鬱陶しい」
ごめん。
京太郎「もうアレだ。鬱陶しいから俺に二度と話しかけるんじゃねーぞ」
俺にはもう咲と話す資格がないから。
京太郎「中学校の頃から我慢して遊んでやったけど、ヤレねえなら意味ねーわ」
お前と一緒に遊んだ三年と半年、俺は楽しかった。
俺との思い出を台無しにしてすまない。
こうでもしておかないとお前を巻き込みそうで怖いんだ。
だから本当に、ごめん。
俺は泣いている咲の横を通り過ぎ、学校へ向かった。
俺の家の前で咲はただ泣いていた。
俺の足は咲の嗚咽が聞きたくないと言わんがばかりにいつもより早く家から遠ざかった。
そしてその日、咲は欠席した。
咲に酷い事を言った。
その罪悪感と自分の無力さにいてもたってもいられず暴れそうになるが、感情を爆発させるのはここじゃない。
俺は授業を上の空で受けながら、今日中に部長と決着をつける事だけを考えていた。
放課後。
部室にやって来た俺を出迎えたのは片岡優希だった。
優希「京太郎!?お前、なんで部活に!?」
京太郎「来ちゃいけなかったか?まだ退部届けを出してないし、出席率は悪いけどこれでも麻雀部員なんだよ」
優希「そ、そうか、じゃあ、久しぶりに麻雀を打つか!?」
京太郎「さすがに二人じゃ打てないだろ」
優希「まあ、そうだけど…」
優希「だ、だけど京太郎が来てくれて私は嬉しいじょ」
京太郎「今まで悪かったな。暫く来られなくて」
優希「ぜ、全然気にしてないじぇ。それにこれからはずっと来てくれるんだろ?」
京太郎「……」
優希「……京太郎……?」
そうか。
この麻雀部には引退間近の竹井部長と、実家のバイトであんまり部活に顔を出さない染谷先輩しかいないから、俺みたいな奴でも部員としては大事なんだろうな。
だから、こんなに嬉しそうな顔をして…。
京太郎「なあ」
優希「どうしたんだじぇ?」
京太郎「麻雀部、楽しいか?」
優希「た、楽しいに決まってるじぇ」
優希「部長は引退するけど、私と染谷先輩、それに京太郎で頑張って部員を増やして、来年も県予選に出るじぇ!!」
優希「そんでもって県予選の個人戦か団体戦を優勝して、東京に引っ越したのどちゃんと麻雀で戦うんだじぇ!!」
京太郎「そっか」
京太郎「いいな、それ」
お前の思い描いた世界にきっと俺はいないだろうけど。
久「おっはよー」
優希「おはようだじぇ、部長!!」
京太郎「おはようございます。竹井部長」
久「うん。こうして部員がある程度揃ってた方が色々出来るし楽しいわね」
優希「部長。今日は染谷先輩は?」
久「なんかお店の方が忙しいらしくて暫く来れないって」
久「早く引継ぎしたいんだけどねー」
優希「そっかー。でも、今日は三麻だけど久しぶりに麻雀が打てるじぇ!!」
久「そうね。私も久しぶりだから優希に足元救われないようにしないとね」クスクス
京太郎「……」
竹井部長。
そういえば言ってましたよね。
俺に麻雀部での三年間を台無しにされたって。
だから俺の半年間を台無しにするって。
でも、部長の台無しになってるのは二年半ですよ。
だから、部長の残りの半年も台無しにしますね。
俺の全てと引き換えに。
久「……」ゾクッ
京太郎「どうかしました?竹井部長」ニコッ
久「…あ、ううん。なんでもないわ」
優希「それじゃあ、久しぶりに麻雀打つじぇ!!」
久「ええ!!」
と、今日はここまで
次で終わると思いますが、少し長めになると思うので
もしかしたら明日の投下はないかもしれません
これ京太郎が咲を誘った時に咲が
「OK!!朝から寝床で運動会と行こうか!!」みたいな反応だったらどうするつもりだったんだろ
>>232
某R18咲スレの咲ちゃんみたいになり、部長は和のようになるんじゃないかな。多分
あと、今回で終わると思ってましたが思いのほか進まず終わりませんでした
という事で投下します
最初の半荘が終わった。
俺は麻雀部員ではあるが真面目に取り組まなかった初心者という事もあり、予想通り最下位に終わった。
その後、片岡優希が俺の打ち方についてミスを指摘したり、指導してくれた。
竹井部長も片岡がいる間は、俺に対しても普通に接してきていた。
二学期以降は顔を出していなかったが、久しぶりに麻雀部員らしい部活動をした気がする。
その後、二回ほど三人で半荘をするが、俺は全ての半荘を最下位に終わった。
久「それじゃ、そろそろお開きにするわよ」
優希「え~。もっと打ちたいじぇ」
久「わがまま言わないの。明日も打てるんだから」
優希「まあ、そうだけど」
優希「京太郎は明日も来れるのか?」
京太郎「……」チラッ
久「……」ジロッ
京太郎「…ああ」
優希「部長は?」
久「当然、来るに決まってるじゃない」
優希「そっか。それならしょうがないから今日はこれくらいで勘弁してやるじぇ」
久「ふふっ」
京太郎「……」
優希「それじゃあ、京太郎!!今日は途中まで一緒に帰るじょ」
久「あ。待ってくれる?」
久「須賀君にはお願いしたい事があるんだけど」
京太郎「……わかりました」
京太郎「悪いな、片岡。俺はちょっと雑用で残らないといけないから」
優希「む~」
久「ごめんね、優希。明日はみんなで帰れるようにするから、今日は我慢してね」
優希「わかった。……今日は一人で帰るじぇ」
片岡優希はそう言って落胆した様子を見せ付けるかのように大きく溜息をつき、自分の持ち物を片付け始めた。
そういえば原村和が転校したから、片岡優希は部活中も帰るときもずっと一人だったんだな。
もっと俺が真面目に部活に参加してれば、こいつと一緒に帰ったりとかしてたのかな?
片岡優希の帰る姿を見送りながら、そんな事を思った。
だけど、今となってはどうしようもない事だ。
それに今日だけじゃなく明日以降も俺がお前と一緒に帰る事はきっとないだろうな。
竹井部長との決着をつけたら俺はきっとここには来られなくなるだろうから。
久「どうしたの?須賀君、優希の後姿をずーっと見て」
久「あなたにはあんなにも可愛い女友達がいるのに」
京太郎「…別に」
久「あら?宮永さんの事を言われてもう少しむきになるものと思ってたのだけど意外と冷静ね」
昨日やられた事を思い返してもそうだが、この人は他人や状況を利用するのが上手い。
だから俺みたいなあんまり頭の悪い人間はコントロールがされやすい。
多分、策を練ったとしても俺だけじゃ上手くやり込められるだろう。
だから、部長に対抗できるのは単純な力技。
頭じゃどう対処すればいいのかわかっていても、それすらも出来ない状況にすればいい。
久「それじゃあ、須賀君には今日も早速奴隷になってもらおうかしら」
京太郎「……」
久「……須賀君。返事は?」
京太郎「……」
久「あら、もしかして昨日の今日で私に逆らうつもりなのかしら?」ニヤニヤ
京太郎「……」
久「何とかいいなさいよ、このっ!!」
竹井部長が手を振り上げるよりも早く、俺は脚をあげ、竹井部長の腹部めがけて思い切り蹴飛ばした。
久「ぎゃんっ!?ぃぎゃあっ!!」
竹井部長は俺の蹴りでそのまま後ろにあった麻雀卓に腰をぶつけ、痛みと衝撃のせいか蹲って悶絶している。
久「ぐううっ、……す、須賀ぁ…」
京太郎「……」
久「あんた、こんな事をしてただで済むと思ってるの!?」
俺を睨み付ける竹井部長の頬を手の甲ではたき、さらに振り抜いた手の平で振り子のように竹井部長の頬をはたく。
竹井部長の顔から鼻血が流れ、手の平ではたいた唇の右端も切って血を流している。
竹井部長はようやく自分の置かれている状況を理解したのか、俺がもう一度手を構えると、イヤイヤと首を横に振る。
京太郎「……じゃあ、どうなるんですか?」
久「た、退学よ、退学!!それに暴行罪で訴えてやるわ!!」
京太郎「そうですか。じゃあ、退学ついでにもっと殴っておきますね」
俺は涙目で訴える竹井部長の頬を叩く。
悲鳴をあげるが叩く。
両手で押しのけようとされるが、それでも叩く。
逃げようとするが、竹井部長の髪を掴んでさらに叩く。
俺の手が竹井部長の血で汚れても止まらず叩く。
京太郎「はあ……はぁ……はあ……」
久「や、やめてよぉ……お願いだからぁ……」ボロボロ
竹井部長は頬を叩いていた俺の右腕にしがみ付きながら、泣いて懇願している。
俺は竹井部長の髪を掴んでいた左手を離し、その左手で竹井部長の頬に手の平を軽く触れさせる。
頬は真っ赤に腫れ、痛みと苦痛で歪んだ顔には普段の飄々とした竹井部長の面影は一切ない。
久「ひぃっ……!?」ビクゥッ
京太郎「顔が腫れ上がってまるで醜女のようですよ」
久「や、やめ…もう、殴らないで…」
京太郎「……」
久「お願い…訴えるとかしないから、須賀君の事を許すから…」
京太郎「竹井部長」ニコッ
久「…う、うん」
京太郎「許さなくていいですよ。好きに訴えてください」
京太郎「だから気が済むまで殴り続けますね」ニコッ
久「ひいっ!!」
京太郎「…あ。でも、本当に気が済むまで殴ったら部長はきっと死んじゃうかもしれませんね」
久「いやぁ…、助けてよぉ。もう酷い事、しないから…ぁ…」
京太郎「でも、まあいいか」ニヤッ
久「ああぁぁっ…、やめ…」
俺の嗜虐心に満ち溢れた表情に、竹井部長は怯えた目でイヤイヤと首を横に振る。
パァン。
今までで一番大きな音が部室の中に響き渡る。
竹井部長は両手で頭を庇い、これ以上顔を殴られないように頭を下げる。
久「ごめんなさい、ごめんなさい、もう叩かないで…」グスッグスッ
久「お願いだから、…何でもするから許してぇ…」ウエエェン
京太郎「……」
京太郎「……わかりました」
久「ほ、本当に許してくれるの!?あ、ありがとう、須賀君!!」
京太郎「俺も咲の事で頭に血が昇ってたってのもありますが、ここまで殴るったはやりすぎかもしれませんね」
久「ありがとう!!本当にありがとう、須賀君!!もう酷い事はしないから…」ホッ
京太郎「……」
京太郎「俺も竹井部長に酷い目に合わされたけど、さすがにこれ以上はもう殴りませんよ」
久「…ほ、本当?」
京太郎「はい。もう殴りません」
京太郎「でも、さすがにこれだけ竹井部長を殴っておいて、このままのうのうと部活に参加する事は俺には出来ません」
久「…あ、う、うん」
京太郎「だから麻雀部をやめます。退部届けは顧問の先生に出しておきます」
久「……え、ええ。わ、わかったわ」
京太郎「ああ、片岡には適当に理由をつけて謝っておいてください。一緒に部活やれなくて済まなかったって」
久「…う、うん」
京太郎「それじゃあ…」ガチャッ
バタン
久「……」フゥー
久「……」
久「た、助かった…の…?」
久「……」
久「痛っ、…顔が凄く腫れてる…」
久「これ、明日とか化粧とかで誤魔化せるかしら…」
久「……」
久「それにしても須賀の奴…」
久「絶対に許さない!!教師に言って退学に追い込んでやる!!」
久「その前に運動部の連中を嗾けて須賀を無茶苦茶に痛めつけてやる!!」
久「あは♪明日が凄く楽しみだわ」
久「それにしても私にここまでしておいてただで済むとか思って、見た目どおりバッカじゃないの?」
久「……」
久「あとは宮永咲、あの女も許さない。絶対に!!」
久「あの女のせいで私がこんな目に遭わされて…あいつもただじゃおかないわ!!」
久「……そうね。宮永さんの前で須賀を痛めつけたら、宮永さんは号泣するのかしら?」
久「それとも須賀の目の前で私と同じくらい痛い目に遭わせた方がいいのかしら?」
久「ああ。そっちの方がいいわね、須賀の奴が狂ったように私に止めて欲しいって懇願する姿が簡単に想像できるわ」
久「勿論、土下座しても許さないけどね♪」
京太郎「まあ、そうでしょうね」
久「え?」ビクッ
久「す、…須賀君、帰ったんじゃ…?」
京太郎「今更君付けとか取り繕わなくてもいいですよ」
京太郎「全部聞いてましたから」
久「な、なんで…?私の事、許してくれたんじゃ…」
京太郎「やだなあ。許すとか、そんな事、一言も言ってませんよ」
京太郎「それにあそこまでしておいてなんで勝手に許されてるって思ってるんですか?」
久「で、でも、殴るのは……もう、しないって…」
京太郎「殴るのはね」
京太郎「だから…」
ドゴッ。
久「おぐぉっ…!!」
京太郎「蹴りました」
久「ひいいぃっ」
京太郎「あとは踏んだり、捻ったり、折ったり、絞めたりは使えますから心配しなくても大丈夫ですよ」
久「い、いや、た、たすけ…」
京太郎「それは無理じゃないですか。ここにいるのは俺とあなただけですから」
京太郎「言いましたよね。許さなくていいって」
京太郎「だから、俺もやめるつもりはありませんから」ニコッ
久「」
>>256
×京太郎「言いましたよね。許さなくていいって」
○京太郎「それに言いましたよね。許さなくていいって」
と、今日はここまで
ようやく次で終わりです
まあ、エピローグだけですが
投下します
俺は小休止のためにベッドに腰を下ろす。
目の前には途切れ途切れの嗚咽を漏らす竹井部長がうつ伏せで倒れている。
顔は血と涙と鼻水と涎まみれで、腕や脚には内出血の痕があり、制服は床の埃と俺の足跡でドロドロ汚れている。
それにしても部長に暴力を振るい続けて、どのくらい時間が経ったのだろうか。
俺がふと時計に視線をやると、校内に残っていられるタイムリミットが近づいてきている事に気づいた。
このまま残っていれば、そのうち見回りの教師がやってきて、ここまで部長に暴行を加えた俺は退学処分されるだろう。
だけど、それは構わない。
実際、俺は退学にされるような事をしでかしたのだから。
ただ、あそこまでやられた俺がこの程度の仕返しで退学になるのは割に合わない。
だから―――。
京太郎「そろそろ見回りの教師が来る時間ですね」
久「うえっ……うぇぇっ…もぉいやぁ…」
京太郎「……」
久「ごめんらさい…ほんろぉにごめんらさい…」
久「…もぉけらないでぇ…」
京太郎「大人しく人の話聞いてくださいよ。でないと蹴りますよ」
久「!?」ビクッ
久「……っ」ガタガタ
京太郎「それでいいです」
京太郎「それでさっきも言ったけど、見回りの先生が来る時間だからもうタイムリミットですね」
久「ほ、ほんろぉ?」
京太郎「はい。残念ながら」
久「た、助かったぁ…」
京太郎「……」
京太郎「何を馬鹿な事言ってるんですか?」
久「へ…?」
俺は倒れている竹井部長の前に屈み、髪を掴んでテラスまで引きずっていく。
久「いぎゃあっ!!?」
京太郎「ははっ。助かるわけないじゃないですか」
久「な、なにをするつもりなろ?」
京太郎「運がよければ生きて会いましょう」
久「―――え?」
俺の笑顔に竹井部長の表情が強張る。
京太郎「さようなら」
俺は竹井部長を抱え、勢いよく外に放り投げた。
久「あ―――」
グシャッ。
京太郎「…ふう」
ガチャッ
教師「なんだ、須賀。残ってるのはお前だけか?」
京太郎「はい。俺だけです」
教師「なら、時間も遅いしさっさと帰れよ」
京太郎「わかりました。もう部室を閉めて帰りますから、先生、部室の鍵を職員室に返しておいてくれませんか?」
教師「ああ、それならさっさと閉めてくれ。俺は新校舎の方も回らないといけないしな」
京太郎「すいません。それじゃ、あとはお願いします」
バタンッ
俺は何事もなかったかのようにそのまま家に帰り、
いつも通り晩飯を食べて、
風呂に入って、
眠りに着いた。
翌朝。
学校に向かう途中―――。
ドスッ
京太郎「―――っ!?」ゴボッ
背中に焼けるような痛みと口から吐き出る熱く赤い液体。
京太郎「ぐふっ……!!」
久「このっこのっこのおおおおおおおっ!!」
ザクッ!!ザクッザクッザクッ!!
久「この人殺し!!人殺しめええええっ!!」
背中が死ぬほど痛え
だけど
俺の一生をかけてあんたを台無しに出来てよかった
たぶん俺は命を失うけど、あそこまでやったし、別にいいか
ただ、咲に謝れなかった事だけが心残りだな
咲も他人からこんな恨みを買う人間に謝られても迷惑だろうけどな
でも
許されるなら最後に咲の笑顔を見たかっ―――
ということで、これにて終わりです
本当は長々と部長救済エンドを書いてたんですが、コレジャナイ感が酷かったので、短いですがエピローグだしこれでいいかなと思いました
次は前から言ってる京×憩(構想中)を書ければいいなって思ってます
というか、京×憩が書けないから違うスレばかり立ててますが、もし待ってる方がいたら本当に申し訳ないです
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません