花陽「9等分ってどうやってやるんだろう……」
凛「そんなの大変そうだにゃー」
にこ「そうよ。ぱぱっと適当に分けちゃえばいいのよ」
海未「いいえ。みんなに平等に分けないとダメです」
海未「穂乃果もそう思うでしょう?」
穂乃果「……え? あ、うん。そう思う、よ?」
にこ「ちょっと!何さりげなく味方増やしてるのよ」
ワーワー
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真姫「あれ、いつになったら終わるの?」
絵里「まだまだ続きそうよ……そして嫌な流れだわ」
希「にこっちがあんなにイライラしてるのも久々やね……」
絵里「いざとなれば止めないといけなさそうね……」
ワーワー
にこ「もとはといえば……」
にこ「ことり!」
ことり「はいっ!」ビクッ
ことり「な、何でしょう……?」
にこ「練習の休憩に差入れを作ってきてくれるのはとっても助かるわ」
ことり「……」
にこ「……でも、それがピザ1枚だけってどういうことよ!」
にこ「今すぐ説明しなさい」
ことり「えっと、それは……」
ことり「どうしてかはよくわからないの」
ことり「でも、きのう、今がピザを作るのにとってもいい最後のチャンスで」
ことり「それを逃したらこんないいタイミングは二度と来ないかもっていう気がしたの」
ことり「だから、」
にこ「なによその理由は」
ことり「……」
にこ「そのせいで」
絵里「……ちょっと。にこ」
にこ「……」
絵里「ことりも困ってるじゃない」
絵里「せっかくことりが一生懸命作ってきてくれたんだからみんなで楽しく食べないとだめよ」
にこ「……」ハァ
にこ「わかったわ」
にこ「悪かったわね。ことり」
絵里「ありがとう。にこ」
絵里「ところで、ことりはみんなでちゃんと分けたほうがいいと思うの?」
ことり「……う、うん」
ことり「やっぱりちょっとでもたくさん食べられる人とそうでない人が出ちゃうのはよくないかなって」
絵里「いいわ」
絵里「ことりが9等分しようって言うのだからみんなもいいわよね?」
穂乃果「いいよ!」
海未「当然です」
凛「それならOKだにゃ」
真姫「いいけど、早くしてちょうだい」
希「ええよー」
花陽「はい!」
にこ「……」コク
絵里「そうすると、ピザを9等分する方法が問題になるわね……」
ことり「それなら大丈夫」
ことり「もしもと思って調べてきておいたの」
にこ「なーんだ。それならもっと早く言いなさいよね」
希「にこっち、さっきのは言い出せる雰囲気じゃなかったんとちゃう?」
にこ「う……」ショボン
凛「どうやるのか早く見せてほしいにゃ!」
海未「私も気になります」
穂乃果「穂乃果も!」
ことり「ちょっと待ってね……」ゴソゴソ
ことり「このメモだよ♪」
-----------------
360度 ÷ 9人 = 40度
40度 = 20度 × 2
ヘ・ ,,
/ ヽ ヽ` ヽ 、
/ ヽ ヽ 、 ` ヽ 、
a a. ヽ 、 `ヽ 、
/ ヽ ヽ 、 ` ヽ 、 20度↓
/ ヽ ヽ、 ` ヽ 、
/ ヽ ヽ `ヽ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「a」と書いてあるのは長さの等しい辺
-----------------
穂乃果「な、なにこれ……」
凛「凛はこういうのは苦手だにゃ……」
海未「…………」ジー
ことり「海未ちゃん、どうかしたの?」
海未「ことり、これは本当に20度なのですか?」
ことり「えっ……」
ことり「そこまではちょっと……」
海未「それなら証明しましょう」
ほのりんにこ「え?」
穂乃果「証明って……」
凛「まさか……」
にこ「証明……思い出したくもないにこ……」
海未「心配無用です」
海未「絵里と真姫がいますから」チラ
えりまき「え?」
希(証明……角度……なんか心当たりがある気がするんやけど……)
海未「さあ、証明してください!」
真姫「そんなに簡単に言われてもね……」
絵里「まあ、見るぐらいはいいでしょ?」
真姫「……見るぐらいならね」
海未「このメモです」
えりまき「……」
海未「どうです?証明できそうですか?」
真姫「……ちょっと待ってて」
真姫「どう?できそう?」
絵里「たぶん大丈夫だと思うけど……今、ここには紙とペンしかないのよね」
真姫「やっぱり簡単な計算じゃないのね」
絵里「そうよ。まだ私達が学校で習っていない方法を使うわ」
真姫「……ハラショー」
絵里「すごいでしょ」ドヤチカ
真姫「……」
絵里「……」
絵里「どこかに電卓はないかしら」
真姫「持ってる人はさすがにいないわよ」
絵里「……紙とペンでも無理ではないのよ」
絵里「ただし、すごく手間がかかるわ」
真姫「どんな計算なの?」
絵里「足し算と引き算と掛け算と割り算よ」
真姫「確かに紙とペンだけでもできはしそうね」
絵里「そうよ。ただ、計算の桁数が手作業だとちょっとつらいのよ」
真姫「桁数が問題ならみんなに頼めばいいんじゃない?」
真姫「計算自体はそこまで難しくなくて手間がかかるだけなんでしょ」
絵里「そうね。みんなの力を借りるわ」
真姫「あと、もう1ついい?」
絵里「? いいわよ」
真姫「……なんだか海未、様子が変なのだけど」ヒソヒソ
絵里「……なんだか急いでるようね。何かあったのかしら」ヒソヒソ
絵里「きいてみましょう」ヒソヒソ
真姫「そうね」ヒソヒソ
真姫「海未」
真姫「証明はなんとかできそうよ」
海未「そうですか!それなら早速」
絵里「海未、ちょっといいかしら」
海未「はい。何でしょうか?」
絵里「あなた、だいぶ焦ってるようだけどどうかしたの?」
海未「!? そ、そんなことは」
真姫「なんだか怪しいわね」
真姫「何か思うことがあるなら素直に言っちゃいなさいよ」
にこ「向こうの3人は何を話してるの?」
凛「早くしてほしいにゃー」
ことり「もうちょっと落ち着いたほうがいいんじゃないかな?」
花陽「そうだよ、急かすのはよくないよ」
にこ「むー」
凛「かよちん……」
希(……なんやったろか……)
希(早く思い出さんと大変なことになる気がする……)
海未「……」
海未「……先ほどにこを怒らせてしまったのは元をたどれば私のせいです」
海未「私があれほど強く言わなければことりもとばっちりを受けることはなかったでしょうし……」
海未「ただ、にこが謝ってくれた今となっては、ちゃんとピザを9等分するよりないです」
海未「そして、もしも9等分できなければ、またにこが怒ってしまうかもしれません」
海未「でも、みんなを待たせるわけにもいかないと思って……」
海未「ああ、私はどうすればいいのでしょうか……」
絵里「海未……」
穂乃果「あれ?どうしたの?」チラ
穂乃果「海未ちゃんなんだか困ってるみたいだけど……」
絵里「実は……」カクカクシカジカ
穂乃果「……。あ!それなら穂乃果に任せて!」
穂乃果「穂乃果、今日はおまんじゅうを持ってきたの」
穂乃果「おまんじゅうでみんなのごきげんをとってくるよ!」
海未「い、いいのですか?」
穂乃果「もちろん!困ってる海未ちゃんのためだもの」
海未「穂乃果……」
絵里「……どうやら私達が急いで証明をする他ないわね」
真姫「……そのようね…………」
えりまき(どうしてこうなっちゃったのかしら)
にこ「そろそろ限界よ……」
凛「凛も……」
穂乃果「みんなー!」
穂乃果「おまんじゅうどうぞ!」
にこ「……こんなにたくさんいいの?」
穂乃果「うん。どんどん食べてね」
にこ「いっただきま~す」
凛「やったー!」
凛「かよちんも食べるにゃ」
花陽「わぁ、やっぱりいつ見てもおいしそう」ジュル
ワイワイ
希(……忘れちゃったみたいやな……)
希(まぁ、今はおまんじゅう頂いとこか)
絵里「穂乃果がうまくやってくれたみたいね」
海未「ええ、助かりました」ホッ
真姫「それで、どうやって証明するの?」
絵里「これから説明するわ」
絵里「でも、その前にきいておきたいのだけど」
絵里「真姫は三角関数を使えるの?」
真姫「三角関数?……まあ、基礎ならわかるわ」
絵里「さすが真姫、頼もしいわ」
真姫「褒めても何も出ないわよ……」
絵里「海未は2年生だから三角関数は大丈夫よね」
海未「もちろんです」
絵里「なら大丈夫ね。説明にうつるわ」
絵里「いい?よく聴くのよ」
絵里「まず 20度 を弧度法にしましょう」
真姫「……ええと…… π/9 ね」
絵里「……OK、あってるわ」
絵里「そして、高校の数学の範囲には入っていないのだけど、四則演算だけで三角関数の値を計算する方法があるの」
海未「そんなものがあるのですか」
絵里「そうよ。これから使うものはマクローリン展開といって、それを使えば sin(π/9) の値を求めることができるわ」
真姫「それがさっき言ってた方法なのね」
絵里「そういうこと」
絵里「マクローリン展開の説明はだいぶ難しいのだけど、計算自体は量が多いだけだからみんなの力を借りるつもりよ」
真姫「……それはいいのだけど、 sin(π/9) を求めていったいどうするのよ」
絵里「角度が同じならその三角関数の値も同じであることを使うのよ」
海未「では、図形から三角関数の値を求めるということですか」
絵里「その通り、海未と真姫にはことりのメモの図形から問題の角のsin関数の値を求めてもらいたいの」
絵里「そして、最後に2つの計算結果を比べて等しかったら 20度 だと証明できるわ」
絵里「私は早速マクローリン展開の計算を始めるから。頼んだわよ」
【図形組】
うみまき「……」
海未「……さて、どうしましょうか」
真姫「とりあえず、まずはそれぞれの角に A から E の名前をつけて」
真姫「各辺にも a から g の名前をつけるわ」
A
ヘ・ ,,
/ ヽ ヽ` ヽ 、
/ ヽ ヽ 、 ` ヽ 、
b. c. e 、 ` .d 、
/ ヽ ヽ 、 ` ヽ 、
/ ヽ ヽ、 ` ヽ 、
/ ヽ ヽ `ヽ
B ̄ ̄ ̄ ̄a ̄ ̄ ̄ ̄C ̄ ̄ ̄f ̄ ̄ ̄ ̄D ̄ ̄ ̄ ̄g ̄ ̄ ̄E
真姫「こうすれば、各辺の長さについて a = b = c = f = g よ」
真姫「そして、 △ABC は正三角形、 △ACD は二等辺三角形ね」
海未「辺 a の長さを 1 として基準にするのがよさそうですね」
真姫「そうね」
海未「 △ABC が正三角形ですから、 ∠ACB は 60度 で、 ∠ACD は 120度 ですね」
真姫「 △ACD は二等辺三角形だから ∠CAD = ∠CDA で、三角形の内角の和は 180度 になるから」
真姫「 ∠CAD = ∠CDA = 30度 ね」
A
ヘ・ ,,
/ ヽ ヽ` ヽ 、
/ ヽ.30 ヽ 、 ` ヽ 、
b. c. e 、 ` .d 、
/ ヽ ヽ 、 ` ヽ 、
/ ヽ ヽ、 ` ヽ 、
/ 60ヽ120 30 ヽ `ヽ
B ̄ ̄ ̄ ̄a ̄ ̄ ̄ ̄C ̄ ̄ ̄f ̄ ̄ ̄ ̄D ̄ ̄ ̄ ̄g ̄ ̄ ̄E
海未「ええと…… ∠CAD から 線分AD に垂線を下ろすと 1 : 2 : √3 が使えそうです」
海未「 AC = 1 としていますから、 1 : AD/2 = 2 : √3 です 」
海未「 AD/2 * 2 = 1 * √3 より、 AD = √3 になりますね」
C
../...!...\
../'60 ! 60....\
../' ! ... .\
c = 1 /' ! .... \ f = 1
../' ! .... \
../' ! .... \
../' ! .... \
../' 30. 90 !90 30.. \
A ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄D
真姫「なかなか順調ね」
海未「ええ、いい感じです」
【マクローリン展開組】
絵里「……マクローリン展開を日常生活で使うことになるなんてなんだか不思議な気分ね」
絵里「さあ、みんなのためにも早く解くわよ」
絵里「まずsin(x)のマクローリン展開は……」
sin(x) = Σ(n = 0 -> ∞) ( ( (-1)^n) / (2n+1)! ) * x^(2n+1) )
絵里「こうね」
絵里「 x = π/9 だから」
sin(π/9) = Σ(n = 0 -> ∞) ( ((-1)^n) / (2n+1)! ) * (π/9)^(2n+1) )
絵里「これを解けばいいのだけど……」
絵里「これを手作業でやるとなると相当な量ね……」
絵里「 n = 3 ぐらいまでやれば十分かしら」
sin(π/9) ≒ (-1)^0/1! * (π/9)^1
. + (-1)^1/3! * (π/9)^3
. + (-1)^2/5! * (π/9)^5
. + (-1)^3/7! * (π/9)^7
絵里「符号については簡単にして」
sin(π/9) ≒ 1/1! * (π/9)^1
. - 1/3! * (π/9)^3
. + 1/5! * (π/9)^5
. - 1/7! * (π/9)^7
絵里「これでいいわ」
絵里「……式はできたけど……やっぱり早々に助っ人を呼ばないとダメね」
ワイワイ
絵里「……」チラ
絵里(だれを呼ぼうかしら……)
絵里(穂乃果はおまんじゅうのこともあるし向こうにいてもらわないとダメね)
絵里(希はにこ、花陽は凛とうまくやってくれてるから……)
絵里(ことりがちょうどよさそうね)
絵里「ことり!ちょっといいかしら」
ことり「はーい」パタパタ
絵里「ちょっと計算を手伝ってもらいたいのだけど、いい?」
ことり「もちろん♪」
絵里「これなんだけど……」
ことり「……」
ことり「これを手でやるの……?」
絵里「そうよ」
絵里「ことりは π/9 から計算してもらえるかしら」
絵里「有効数字は4桁でいいと思うから π = 3.1416 でお願いね」
ことり(なんだかすごいことになっちゃった……)
【図形組】
真姫「 ∠ADC が 30度 だから ∠ADE は 150度 になるわね」
真姫「でも、 ∠AED が 20度 という保証はないし、 ∠EAD も求まりそうにないわ」
真姫「海未、ここからどうすればいいのかしら?」
海未「……」ジー
真姫「……海未?」
海未「……いけます」
海未「余弦定理が使えます」
A
ヘ・ ,,
/ ヽ ヽ` ヽ 、
/ ヽ ヽ 、 ` ヽ 、
b. c. e 、 ` .d 、
/ ヽ ヽ 、 ` ヽ 、
/ ヽ ヽ、 ` ヽ 、
/ 60ヽ120 30 ヽ150 `ヽ
B ̄ ̄ ̄ ̄a ̄ ̄ ̄ ̄C ̄ ̄ ̄f ̄ ̄ ̄ ̄D ̄ ̄ ̄ ̄g ̄ ̄ ̄E
a = b = c = f = g = 1
e = √3
海未「下図のような三角形があるとき」
海未「 a^2 = b^2 + c^2 - 2bc*cosα 」
海未「が成り立ちます。これが余弦定理です」
真姫「そういえばそんなものもあったわね」
真姫「すっかり忘れてたわ」
α
ヘ,
/ ヽ
/ ヽ
b. c
/ ヽ
/ ヽ
/ ヽ
γ ̄ ̄ ̄ ̄a ̄ ̄ ̄ ̄β
a^2 = b^2 + c^2 - 2bc*cosα
(b^2 = c^2 + a^2 - 2ca*cosβ)
(c^2 = a^2 + b^2 - 2ab*cosγ)
余弦定理は他の辺と角の組み合わせについても成り立ちます
海未「余弦定理を使うと d の長さがわかります」
真姫「 d^2 を余弦定理で求めて平方根を使うのね」
海未「その通りです」
海未「やはり真姫は物分かりがいいですね」
海未「とっても助かりますよ」
真姫「……! と、当然よ!」
【マクローリン展開組】
ことり「できた! π/9 ≒ 0.34907 だよ」
絵里「ありがとう」
絵里「ここからが大変なのだけど……少しは楽になるわね」
ことり「?」
絵里「ことりが π/9 を計算している間に 3! 、 5! 、 7! を計算したの」
絵里「その結果、 5! と 7! はそれぞれ 120 と 5040 になったわ」
絵里「ここから 1/5! と 1/7! はそこそこに小さい値になることがわかるわ」
絵里「あと、 π/9 が 1 より小さいから、 (π/9)^5 や (π/9)^7 もずっと小さい値になりそうでしょ」
ことり「そうだね」
絵里「だから」
sin(π/9) ≒ 1/1! * (π/9)^1
. - 1/3! * (π/9)^3
. + 1/5! * (π/9)^5 ← (1)
. - 1/7! * (π/9)^7 ← (2)
絵里「 (1) と (2) は計算しないようにしようと思うわ」
絵里「求めてもきっととても小さな値だもの」
ことり「わぁ、絵里ちゃん頭いい!」
絵里「すごいでしょ」ドヤチカ
ことり「……」
絵里「……」
【図形組】
海未「 150度 は弧度法で 5π/6 なので、余弦定理から」
d^2 = (√3)^2 + 1^2 - 2*√3*1*cos(5π/6)
= 3 + 1 - 2√3 * (-√3/2)
= 4 + 3
= 7
真姫「 d = √(d^2) だから d = √7 ね」
海未「これで向かい合う角と辺の値がわかりました」
真姫「今度は正弦定理ね」
海未「そうです!」
A
ヘ・ ,,
/ ヽ ヽ` ヽ 、
/ ヽ ヽ 、 ` ヽ 、
b. c. e 、 ` .d 、
/ ヽ ヽ 、 ` ヽ 、
/ ヽ ヽ、 ` ヽ 、
/ 60ヽ120 30 ヽ150 `ヽ
B ̄ ̄ ̄ ̄a ̄ ̄ ̄ ̄C ̄ ̄ ̄f ̄ ̄ ̄ ̄D ̄ ̄ ̄ ̄g ̄ ̄ ̄E
a = b = c = f = g = 1
e = √3
d = √7
真姫「えっと、正弦定理は……」
真姫「下図のような三角形があるとき」
真姫「 a/sinα = b/sinβ = c/sinγ = 2R 」
真姫「だったわね」
真姫「……でも今は外接円は関係ないから2Rはなくてもいいわね」
α
ヘ,
/ ヽ
/ ヽ
b. c
/ ヽ
/ ヽ
/ ヽ
γ ̄ ̄ ̄ ̄a ̄ ̄ ̄ ̄β
a/sin(α) = b/sin(β) = c/sin(γ) (= 2R)
真姫「問題の角をαとして」
√7/sin(5π/6) = √3/sin(α)
真姫「これを sinα について解けばいいわ」
真姫「……」カリカリ
sinα = √3 / √7 * sin(5π/6)
= √3 / √7 * 1/2
= √3 / 2√7
sinα = √21 / 14
海未「やりましたね!真姫!」
A
ヘ・ ,,
/ ヽ ヽ` ヽ 、
/ ヽ ヽ 、 ` ヽ 、
b. c. e 、 ` .d 、
/ ヽ ヽ 、 ` ヽ 、 ↓問題の角α
/ ヽ ヽ、 ` ヽ 、
/ 60ヽ120 30 ヽ150 `ヽ
B ̄ ̄ ̄ ̄a ̄ ̄ ̄ ̄C ̄ ̄ ̄f ̄ ̄ ̄ ̄D ̄ ̄ ̄ ̄g ̄ ̄ ̄E
a = b = c = f = g = 1
e = √3
d = √7
【マクローリン展開組】
ことり「絵里ちゃん、計算できた?」
絵里「……もうちょっとよ」
絵里「……ことりって筆算速いのね」
ことり「えへへ、ちょっと頑張っちゃった♪」
絵里「ありがとう。助かるわ」
絵里「……できたわ。計算結果を比べましょう」
ことり「 (π/9)^3 ≒ 0.042534 になったよ」
絵里「私も (π/9)^3 ≒ 0.042534 だわ。よさそうね」
絵里「これを 3! = 6 で割って……」カリカリ
絵里「できたわ。第2項は 1/3! * (π/9)^3 = 0.007089 ね」
ことり「あとは簡単なのかな?」
絵里「そうね。引き算するだけよ」
sin(π/9) ≒ 1/1! * (π/9)^1 - 1/3! * (π/9)^3
= 0.34907 - 0.007089
【図形組】
sinα = √21 / 14
海未「14はいいのですが√21はどうしましょうか」
真姫「簡単よ」
真姫「 √21 = √3 * √7 だから、あとは語呂合わせでわかるわ」
真姫「 √3 は『人並みにおごれや』、√7は……」
真姫「…………」
真姫(どうしよう……わかんない……)
海未「……真姫、√7は『菜に虫いない』ですよ」
海未「困ったときはお互い様です」
真姫「海未……ありがとう」
√3 = 1.7320508
√7 = 2.64575
真姫「……ところで、有効数字は何桁がいいのかしら?」
海未「さっき絵里が4桁と言っていましたよ」
真姫「4桁ね。わかったわ」
sinα = √21 / 14
= √3 * √7 / 14
≒ 1.732 * 2.646 / 14
= 4.586 / 14
= 0.3276
海未「終わりましたね」
真姫「絵里の方はどうなってるのかしら」
海未「見に行ってみましょう」
【マクローリン展開組】
sin(π/9) ≒ 1/1! * (π/9)^1 - 1/3! * (π/9)^3
= 0.34907 - 0.007089
= 0.3420
ことり「求まったね」
絵里「ええ、有効数字も4桁にしたからこれでいいわ」
海未「調子はどうですか?」
ことり「海未ちゃん!ちょうど今終わったところだよ」
海未「こちらも今終わったところです」
絵里「タイミングはバッチリね」
真姫「それで……いくつになったの?」
絵里「ええと……」
絵里「 0.3420 よ」
真姫「えっ!?……」
ことり「真姫ちゃん!? えって……もしかして……」
海未「……こちらの答えは 0.3276 です……」
えりことうみまき「……」
絵里「……どうやら 20度 じゃないようね……」
ことり「ど、どうしよう……」ウルウル
海未「そんな……」
ことり「ちゃんとみんなで分けられると思ってたのに……」グスッ
真姫「……まだ大丈夫よ」
ことり「えっ……」
真姫「計算結果は確かに違ってるけど差は 0.015 程度じゃない」
真姫「逆を言えばことりのメモの図形はほぼ 20度 ってことになるわ」
ことり「……」
真姫「だから、ことりのメモが 20度 だったってことにしちゃえばいいのよ」
真姫「そうすればみんな楽しくピザを食べられるわ」
真姫「『ほぼ』9等分のピザだけどね」
真姫「でも今はそれで十分じゃない?」
ことり「……うん!」
ことり「みんなー!9等分できたよ!」
穂乃果「ほんと!? すごいすごい!」
凛「やっと食べられるにゃー」
にこ「ずいぶん待たされたけど9等分できたなら待った甲斐があるってものね」
花陽「9等分の証明できたんだ……すごい」
希「よかった。9等分できたんや」ホッ
希(なんかひっかかるけど……今は気にしないほうがよさそうやね)
こうしてμ'sのみんなは楽しい休憩のひとときを過ごすことができました。
めでたしめでたし。
【練習後】
絵里「みんなも帰ったし私達もそろそろ帰りましょう」
希「そうやね」
- - -
希「美味しいピザやったね」
絵里「ええ、また食べたいわ」
希「……ところでえりち、ひとつ聞きたいんやけど」
絵里「なに?」
希「さっき思い出したことなんやけどね」
希「角の3等分ができないことはすでに証明されてるはずなんや」
希「ウチは魔法陣について調べとったときに知ったんやけど」
希「さすがにえりちはもとから知ってたんとちゃう?」
絵里「……」
希「ピザの9等分、なにがあったん?」
絵里「……」
絵里「……やっぱり希にはかなわないわね」クス
絵里「ことりのメモの図、あれは20度じゃないのよ」
希「ってことは……」
絵里「そうよ。9等分っていうのは嘘ね」
絵里「計算の結果からもちょうど20度でないのは明らかだったわ」
希「……」
絵里「でもね、逆に図の角は『ほぼ』20度ってこともわかったの」
絵里「そこで真姫が機転を利かせてくれたのよ」
絵里「9等分できたことにしちゃえばいい、ってね」
絵里「……本当に一時はどうなるかと思ったけど」
絵里「楽しい休憩になってよかったわ」
希「……角の3等分、ひょっとしたらできるのかもしれんね」
絵里「ん?なにか言った?」
希「なんでもない」
希「明日からも頑張ろうな、えりち」
絵里「なによ、急に改まって」
絵里「まぁ、希らしいわね……ええ、頑張りましょう」
なんか中途半端な感じもしますがおしまいです。
もとは3月中に完成させる予定だったのが間に合わなかったネタです。
ただ、完成させないのももったいなかったので、完成させて投下することにしたものです。
読んでくださった皆さん、ありがとうございました。
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