女「遂に卒業か…」(77)
友「部室に来るのも今日で最後だね」
女「ここで美少女三人、青春を謳歌したんだよなぁ」
友「ボクの人生で一番楽しい三年間だったよ」
女「できれば恋愛もしたかったけど」
友「女子校だしそれは仕方ないね」
女「そういえば部長は?」
友「なんか用事があるから遅れてくるみたい」
女「優等生様は大変だ」
友「部長ちゃんってホント完璧超人って感じだよね」
女「容姿端麗、頭脳明晰、炊事洗濯なんでもござれ」
友「おまけにスポーツは全国レベルで実家は金持ち」
女「なんで文芸部なんかに入ったのやら」
友「引く手数多だっただろうにね」
女「そうそう本棚物色してたら面白そうな物みつけたんだー」
友「物色って、女ちゃん…」
女「これなんだけど友のじゃないよね?」
友「ボクのではないよ」
女「軽く見た感じ日記っぽい」
友「誰のだろう?」
女「あたしの推理によるとこれは部長のである」
友「なんで?」
女「まず今この部室を使ってるのは文芸部員であるあたし、友、部長の三人」
友「そうだね」
女「そしてこの日記の始まりは三年前で最後は今年の日付」
友「つまり現文芸部員が怪しいってわけだね?」
女「そんであたしのでも友のでもないなら消去法で部長のってわけさ」
友「なるほど」
女「んでさ、この中身気にならない?」
友「まさか女ちゃん勝手に読む気?」
女「すっごく見たいんだけど一人だと罪悪感がひどくて」
友「まさかボクを共犯者にする気じゃないよね?」
女「好奇心は人を殺すって言うしこのままじゃあたし気になって死んじゃう」
友「全然意味違うと思うよそれ」
女「まぁまぁ堅いこと言わずに読もうぜ?」
友「部長ちゃんが可哀想だよ」
女「だめ?」
友「ダメです」
女「一生のお願い」
友「そんな簡単に一生のお願い使っちゃダメでしょ…」
女「部長の可愛さの秘密がわかるかもよ?」
友「うっ…気になるなぁ」
女「もしかしたら胸が大きくなる方法とかも…」
友「最初のページからでいいかな?」
女「友ちゃん大好き」
~・~・~・~・~・~・~
今日から私の新生活が始まる
どうせ今まで通りつまらない日々
人生なんて暇潰しをひたすら繰り返すだけ
その暇潰しの質を少しでも高くしようと皆努力する
とんだ茶番だわ
この先何十年もそれが続くと思とゾッとする
~・~・~・~・~・~・~
女「いきなり暗いよ」
友「部長ちゃんらしいね」
女「まだ高校生になったばかりで中二病が抜け切ってなかったのかな」
友「そういうこと言わないの」
女「さてさて次は…」
~・~・~・~・~・~・~
衝撃を受けた
信じられない
私には無縁なことだと思ってた
何度も否定しようとした
でも無理だった
私は恋におちたのだ
いわゆる一目惚れというやつなのであろう
~・~・~・~・~・~・~
女「ここって女子校だよね?」
友「ってことはつまり…」
女「部長は女の子が好きってわけだ」
友「話では聞いたことあったけど実際にあるんだね」
女「いきなりクライマックスだよ」
~・~・~・~・~・~・~
あの子の事を思うとドキドキする
あの子の笑顔を見る度に幸せな気持ちになる
あの子が女の子と話してると嫉妬している自分に気付く
あの子の瞳を自分だけに向けて欲しいと願ってしまう
話してみたいなぁ
でも中々勇気がでない
~・~・~・~・~・~・~
女「なんかもう可愛い」
友「部長ちゃん意外に奥手なんだね」
女「クールでいつもみんなを引っ張ってる姿からは想像できないよ」
友「こういうギャップにやられちゃう人は多いだろうね」
女「あたしもそういうのないかな?」
友「見かけは賢い!可愛い!って感じだけど実際はバカなとことか?」
女「……友ちゃんの胸大きくしてあげる」
友「へっ?あ、ちょっと。いやぁあぁぁぁぁぁ………」
~・~・~・~・~・~・~
あの子は文芸部に入った
今年部員がいなかったら廃部だったらしい
ここで問題がある
あの子以外にももう一人入部した
あの子の隣の席の子
二人きり狭い部室で育まれる恋なんてことになったら耐えられない
なんとしても阻止せねば
神様私に勇気をください
~・~・~・~・~・~・~
女「ととと友ちゃんまず落ち着いて」
友「ボクは冷静だけど」
女「どういうことかわかってるの?」
友「部長ちゃんが好きな子は女ちゃんかボクってことだよね?」
女「そこまでわかっててなんで落ち着いてられるのさ」
友「他人がみっともなく取り乱してると自分は冷静になれるものだよ」
女「とーもーちゃん?」
友「も、もちろん冗談だよ」
女「次悪口言ったら全身舐め回すからね?」
友「ひぃっ」
~・~・~・~・~・~・~
なんやかんやで私は文芸部の一員になることができた
結局顧問一人に部員三人という構成に落ち着く
あの子と他愛の無いことを話せる仲になれた
なぜこんなにも愛しいと思うのだろうか
あの子がおはようと言ってくれるだけで私の一日は幸せなものとなる
~・~・~・~・~・~・~
女「ピュアピュアしててキュンキュンだよ」
友「ボクの中の部長ちゃんのイメージが変わっていく」
コンコン
百合「失礼します」
友「あっ、先生」
女「百合ちゃんだー」
百合「女さん、先生に対してその呼び方はダメですと何度言えば…」
女「まぁまぁ、あたしと先生の仲じゃない」
百合「教師と生徒の関係です」
友「相変わらず仲良いですね」
百合「そうそう卒業おめでとうございます」
女「そっか、百合ちゃんとももうお別れなんだね」
百合「・・・」
友「先生もボク達の入学と同じ年にこの学校に赴任してきて、文芸部の顧問にもなってくれたんですよね」
百合「この三年間は初めてのことばかりで大変でしたけどとても楽しいものでした」
女「そういえば百合ちゃんはどうして教師になろうと思ったの?」
百合「若くて反抗的な子を調教…じゃなくて思春期の子達を正しい道に導きたいと思ったからですかね」
友「なんか変なフレーズが聞こえたような気がする」
女「この学校を選んだ理由は?」
百合「可愛い女の子が多いからです」
友「今度は隠す気すらないんだ」
女「文芸部の顧問になったのはなんで?」
百合「聞きたいですか?」
女「やっぱりいいです」
百合「ところであなたたちは何をしていたんですか?」
女「これ読んでた」
百合「何ですこれ?」
友「多分部長ちゃんの日記じゃないかと」
百合「部長さんの…」
女「先生も読む?」
百合「いえやめておきましょう」
女「つまんないの」
百合「…人の心の中など知らない方が良いことも多いです」
女「百合ちゃん?」
百合「知ってしまえばもう元に戻れなくなるかもしれない」
友「先生一体何を言ってるんですか?」
百合「日記の書き手が可哀想ですしほどほどにしてあげてくださいねってことですよ」
女「はーい」
百合「そろそろ行くことにします」
女「会いに来てくれてありがとね」
百合「そこに美少女がいるなら地球の裏側まででも行きますよ」
友「最後までブレませんね」
百合「ではまた会う日まで。三年間お疲れ様でした」
女「…お別れってすごく寂しいんだね」
友「ボク達はずっと友達でいよう」
女「約束だよ」
友「うん」
女「それじゃ気を取り直して続きを…」
友「この流れでまだ続けるの?」
女「こんなんじゃ消化不良だよ」
友「先生の言ったこと聞いてた?」
女「部長が来るまでの間でいいから、ね?」
友「しょうがないなぁ」
女「やった」
~・~・~・~・~・~・~
どうしよう、素直になれない
ありのままの自分でいたい
あの子のことをもっともっと知りたい
くだらないことを延々と話したい
でもできないの
あの子の前では強くて頼れる私でありたいから
あの子と目が合うとつい目を逸らしてしまうことがある
あの子を目の前にすると頭が真白になり黙ってしまうことがある
変に思ったりしてないかな
私のこと嫌いになったりしないよね
苦しくて切ない
好きって言いたいよ
でも言えないよ
夢の中では確かに言えたはずなのに
女の子が女の子を好きになることあの子はどう思うのだろう
気持ち悪いと思うのだろうか
困ってしまうのだろうか
あの子を困らせたくないな
でも私のことで悩んで欲しいとも願ってしまう
私のことだけを考えて欲しいから
たとえ一瞬だとしても
自問自答する
女子校で男子がいないので代わりに女の子を好きになったのだろうか?
否、それだったらボーイッシュでカッコいい相手に惚れると思う
そもそも今まで男子に惹かれたことがない
それでは逆に私は同性愛者で、それゆえ女の子を好きになったのだろうか?
否、可愛い女の子は周りに沢山いたし告白されたこともあるけど一度もなびいたことはない
私はあの子という人間に惹かれたのであろう
最後に、私はあの子のためなら何でもできるだろうか
考えるまでもない
あの子が笑ってくれるなら私は悪にだってなる
~・~・~・~・~・~・~
女「好き過ぎでしょ」
友「部長ちゃんの愛は激しいね」
女「この相手あたしか友なんだよね…」
友「あんまそこらへんのことは考えないようにしよう」
女「それが良さそうだ」
前半終了
ここから少しヤンデレっぽくなるので苦手な人注意
~・~・~・~・~・~・~
あの子が泣いていた
訳を聞いてみるとあの子が濡れ衣を着せられているらしい
繁華街で援交をしていたというタレコミがあったみたいだ
ご丁寧に写真まで添えて
あの子は可愛いくて純粋でとてもいい子だから嫉妬する人もいる
守ってあげなきゃ
でも私に何ができるだろう
~・~・~・~・~・~・~
女「そんなこともあったねー」
友「ボクと女ちゃんが疑われたんだっけ」
女「繁華街にいたのは事実だったしね」
友「それにボク達家庭の事情的に…」
女「あたしは母子家庭だし」
友「ボクはおばあちゃんと二人暮らしだからね」
女「なかなか怪しい立場ってわけだ」
友「いくら否定しても信じてくれなくて当時は精神的にきたよね」
女「文芸部が廃部にされるとかいう噂まであったし」
友「元々部員が少ない上に問題起こしたとなればね」
~・~・~・~・~・~・~
まずくだらぬ嘘をタレ込んだ犯人を探さなければ
とっちめて嘘でしたと言わせてやるんだから
職員室でそれとなく聞いたところタレ込んだ人を知ってるのは生活指導の先生だけらしい
人の話をろくに聞きそうもないおじさんだ
こんな人に凄まれたらあの子はさぞ怖い思いをするだろう
さてどうやって聞き出すか
遠回しに聞いてみたりカマをかけたりしてみたけどさっぱり
しかもこの人はあの子達が援交をしたことは疑い様のないことだと思っている
このままだと文芸部が…あの子の居場所がなくなってしまう
あの子の将来にも響きかねない
どうやら手段を選んでいる場合じゃなさそうだ
気持ち悪い
吐き気がする
食事が喉を通らない
汚い汚い汚い汚い汚い汚い
でもあの子のためなら私は頑張れる
大丈夫絶対守ってあげるから
犯人の情報は手に入れた
タレコミをした奴は同じクラスにいた
いわゆる不良グループの一人
どの集団にも何故かいる癌みたいな連中の一人
接触して説得することにした
もちろん聞く耳をもたない
どうしてもあの子の疑いを晴らしたいなら言う事を聞けと言う
無邪気な悪意を称えた笑顔で
グループの前でそいつの靴を舐めた
土下座だってした
服だって脱いだ
笑われながらも写真を取られながらも私は耐えた
一通りして満足したそいつは私に告げた
あんたこれからウチらの奴隷ね、と
そいつは元々言う事を聞くつもりなんてなかった
ただの暇潰し
あの子を嵌めた事も私を奴隷にする事も
あの子は今こうしている間にも泣いている
そいつさえいなければ
そんな邪悪な考えが頭によぎる
考えないようにしようとしても気付くと計画を練っている
私はただあの子と静かな日々を過ごしたいだけなのに
ダレカワタシヲトメテ
なんだこんな簡単なことだったのか
あんなに悩んだのが馬鹿みたい
ただ背中を一押しするだけ
それだけで人は消える
そろそろ葬式の時間ね
服装は制服でいいのかしら
心優しい私は残った連中にささやかなアドバイスをあげた
大人しく口を塞いで震えていればきっと無事に卒業できると
案外臆病者の集まりなのか私を見る目は怯えていた
いや、きっと臆病で一人じゃなにもできないから群れるのね
可哀想だから私の従順なペットにしてあげた
さて残りはあの人ね
生徒に引き続き先生まで不慮の事故で亡くなった
驚くことに生活指導の先生らしい
まぁ怖いことですこと
一連の事故のせいであの子の援交疑惑はうやむやなまま終焉をつげる
これで元通りの日々
私一杯頑張ったんだよ
なのになんであなたはキスをしているの?
目の前の光景が信じられなかった
あの子がキスをしている
ねぇなんで顔を赤らめてるの?
ねぇなんで愛しそうな目で相手を見ているの?
ねぇなんで私じゃないの?
あれだけ頑張ったのに
身体を汚し、手を汚し、心を汚し考えられる全てをあの子のために捧げたのに
ユ ル サ ナ イ
私の全てはあの子のもの
だからあの子の全ては私のもの
そうでしょう?
身体も心も声も髪も指も目も爪も唇も
全部全部全部全部全部全部全部全部
私のもの私だけのもの
あの子は私を裏切った
いや私が影でコソコソしているだけなのが悪いのね
ここに誓おう
あの子を私のものにする
私だけのものにする
高校生活中に行動を起こすのはリスクが高すぎる
バレる可能性が高いし私も色々忙しい
卒業した後が良いわね
できれば卒業式の日に
今から楽しみで仕方がない
色々道具を揃えておかなきゃ
私がここに書くのはこれで最後になると思う
三年間色々あったけど幸せな日々だった
そしてこれからあの子と私の新しい生活が始まるのね
愛しい私の…
~・~・~・~・~・~・~
コンコン
女「!?」
友「多分部長ちゃんだよ」
女「隠さなきゃ」
部長「遅くなってごめんなさい」
女「や、やぁご機嫌麗しゅう」
部長「…何を隠しているの?」
友「ボ、ボク達が部長ちゃんに隠し事なんてしたことないじゃない」
部長「そういうことにしといてあげる」
女「相変わらずクールだねぇ」
部長「あなたを凍えさせられるくらいクールだったら最高だったんだけどね」
女「最後まで手厳しい部長があたしは好きだよ」
部長「そうそう百合先生とさっき会って話したんだけどみんなで記念撮影しない?」
友「いい考えだよそれ」
女「高校生活最後の思い出だね」
部長「場所は三人でよく弁当を食べたあの木の下よ」
女「そうと決まれば早速行こう」
部長「先に行っててくれるかしら」
友「どうかしたの?」
部長「少しここで思い出を整理したいの」
女「わかったよ」
友「ごゆっくり」
女「部長にあれ読んだことばれてないよね?」
友「多分大丈夫だと思うけど」
女「あれはきっと部長が考えた創作物だ、そうに違いない」
友「部長ちゃんがあんなことするはずないもんね」
女「あそこに書いてあったことは忘れよう」
友「そうすればボク達はずっと友達…」
女「これからも三人で一杯思い出を作ろう」
友「信じなきゃだね」
女「木の下に着いたけど百合ちゃんいない」
友「ここの筈なんだけどなぁ」
女「そういえばあたし達ここでキスしたんだっけ」
友「女ちゃんがいきなりキスってどんな味なのかなとか言い出した時はビックリしたよ」
女「昼休み前でお腹空いてたんだよね」
友「そんな理由でボクのファーストキスを奪いやがって」
女「結婚しよう」
友「結構です」
部長「おまたせ」
女「百合ちゃん知らない?」
部長「あれ、居ないの?」
友「あっ、来た来た」
百合「すみません、少し用事を思い出してしまって」
部長「それじゃあ撮りましょうか」
百合「はいシャッター押しま…した」
女「ほらほらもっと近づこう」
友「先生早くしないとタイマー終わっちゃうよ」
百合「わわっ」
カシャッ
女「うんうんみんな可愛く撮れてるよ」
友「そろそろ帰ろうか」
部長「そうね」
百合「気をつけて帰ってくださいね」
女「はーい」
部長「女、鞄は?」
女「あっ、あたし鞄部室に忘れちゃったみたい」
友「待ってるから早く取りにいっておいで」
女「ゴメンすぐ戻るから」
女「あったあった」
女「そういえばあと少し読めば部長が誰のことを好きかわかったんだよな」
女「あれ、まだある」
女「…キリ悪いしね」
女「どれどれ」
女「……最後のページが切り取られてる」
女「そして代わりに走り書きが…」
~・~・~・~・~・~・~
あの子にこれを読まれてしまったようだ
ちょっと計算が狂ったけど支障はない
これを読んでどんな感想をもった?
好奇心旺盛な子猫ちゃん?
~・~・~・~・~・~・~
女「・・・」
部長「人の物を盗み読みするなんていい趣味してるじゃない」
女「!?」
部長「本棚に入ってたやつでしょ?」
女「…これ部長が書いたの?」
部長「いいえと言ったら信じてくれるのかしら?」
女「あたしと友ちゃんは部長の味方だよ」
部長「それならそんなに怖がらないでこっちにいらっしゃい」
女「あたしをどうする気?」
部長「そうね…幸せにしてあげる」
女「こ、来ないで」
部長「そう言われるとますます近付きたくなっちゃうわ」
バーン
百合「女さんこっちです」
女「百合ちゃん!」
部長「待ちなさい」
友「部長はボクが抑えるから早く逃げて」
部長「友、あなたは何か勘違いして…」
女「ありがとう」
部長「行ってはダメ!」
友「ねぇ、あれに書いてあることは本当のことなの?」
部長「その質問には答えられないわ」
友「…やっぱりそうなんだね」
部長「早合点しないで」
友「じゃあ答えてよ」
部長「無理ね、あれは私が書いたわけじゃないもの」
友「えっ…」
部長「そもそもなんで私が書いたと思ったの?」
友「女ちゃんのでもボクのでもなくて現文芸部員が書いたっぽければ消去法で…」
部長「文芸部員に限定したのはなんで?」
友「いやここに置いてあったしそもそも内容的に…」
部長「質問の仕方を変えるわ」
部長「何で顧問の百合先生を外したの?」
友「…まさか!?」
部長「悪いとは思ったけど私もサッと読ませてもらったの。矛盾点はないと思うわ」
友「確かに内容的に筋は通る気がする」
部長「だとしたら今危ないことをしそうなのは友に抑えられてる私?」
部長「それとも女と二人きりで何処かに行った百合先生?」
友「女ちゃん…!」
友「早く助けに行かなくちゃ」
部長「どこにいくつもり?」
友「それは…百合先生の家?」
部長「場所知ってるの?」
友「……職員室で聞けばわかるよきっと」
部長「教えてくれるかもわからないし、そもそもすでに先生方は皆帰ったわ」
友「じゃあどうすればいいの!」
部長「とりあえず落ち着きなさい」
友「この状況で落ち着けるわけないよ!」
友「…ごめん」
部長「大丈夫、冷静に動けば必ず助けられるから」
友「ボクにも何かできるかな?」
部長「もちろんよ」
友「女ちゃんに何かあったらボク…」
部長「まず今後どう動くか決めましょう」
友「作戦会議だね」
部長「私の家ならゆっくり話せる。行くわよ」
友「うん!」
女「怖かったー」
百合「よしよし」
女「あっ、そういえば逃げるのに必死でここがどこかわからないや」
百合「ここはわたしの家の辺りですね」
女「百合ちゃんこの辺に住んでるの?」
百合「はい。お疲れのようですし少し休んで行きませんか?」
女「お言葉に甘えようかな」
百合「着きました」
女「ひゃー、立派なマンションだね」
百合「親が管理してるので格安で住めるんですよ」
女「いいなぁ」
百合「ではどうぞ中にはいってください」
女「お邪魔しま…えっ?」
百合「歓迎しますよ女さん」
女「なんで…」
一年後
女「ただいまー」
百合「お帰りなさい」
女「遅くなってごめんね」
百合「大丈夫ですよマイハニー」
女「もう百合ちゃんったら」
百合「美味しそうなケーキ売ってました?」
女「もちろん」
百合「付き合い始めてもう一年になるんですね」
女「あの日はビックリしたよ」
百合「サプライズでしたからね」
女「家に入ったらお祝いの用意がしてあるんだもん」
百合「実は事前に部長さんに相談してたんです」
女「部長に?」
百合「何故かわたしが女さんのことを好きなのがバレてて」
女「へぇー」
百合「本当は四人で卒業祝いをして、最終的にわたし達二人にしてくれる予定だったんですけど」
百合「卒業式当日に突然、女を脅かすから助けるフリをして家に連れ込んじゃいなさいって言われたんです」
女「それで連れ込まれちゃったあたしは告白されたんだね」
百合「あれでも勇気だしたんですよ?」
女「顔真っ赤にしながら告白する百合ちゃん可愛かったなぁ」
百合「忘れてください」
百合「あの二人元気にしてますかね?」
女「部長とはたまに遭遇するよ」
女「医学部だから忙しいみたい」
百合「友さんは?」
女「お婆ちゃんが階段から落ちて亡くなってから旅にでたって部長が言ってた」
百合「卒業して割とすぐ亡くなられたんですよね」
女「しばらく音信不通だったけど最近はたまに手紙が来るんだ」
女「四行くらいでよく意味のわからない内容だけど」
百合「不思議な子ですね」
女「そういえば卒業式の日以来友ちゃんのことみてないなぁ」
~・~・~・~・~・~・~
私がここに書くのはこれで最後になると思う
三年間色々あったけど幸せな日々だった
そしてこれからあの子と私の新しい生活が始まるのね
愛しい私の友
純粋で友達思いなあの子は簡単に私に騙されてしまうだろう
いつからか私は壊れてしまった
そして今も壊れ続けてる
友が私に堕ちるまであらゆる手段を尽くすだろう
友に初めて恋した日の心が残っているうちに書いておくことにする
友…
ごめんね
~・~・~・~・~・~・~おしまい
以上です
もしかしたら自分の頭の中で完結してしまい意味がわからなくなってしまった所があるかもしれません
ともかく読んでくれた人はありがとうございます
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