一方通行「なればよかったじゃねェか」
「どうしてヤメちまったンだよ?」
木原「バーカ。ヒーローってのは、期間限定なんだよ」
「大人になると名乗るのも難しくなっちまうもんなんだ」
一方通行「なンだよ、それ。大人ってだせェな」クカカ
「しゃーねェな、代わりに俺がなってやるよ」
「 正 義 の 味 方 っ て 奴 に 」
.
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一方通行「……」パチ
「ふァ…、昔の夢か…」ノソノソ
――俺の名前は…、あー名乗るのもめんどくせェ
どこにでもいるごく普通の超能力者だ
一方通行「……」ゴソゴソ
「ちっ、コーヒーもうねェじゃねェか」
「買いに行くかァ……はァ、糞だりィ」
店員「あざーっすwwwwwwww」
ピロンピロンピロン…
一方通行「……」ズズ
「ここのメーカー、味落ちたな」
――強いて人と違ってるトコを挙げるとすりゃァ
髪が白くて目が赤いってことくらいだ
シスター「いい加減うっとおしいんだよ!」
一方通行「ンァ?」
不良「ちびがき、あんま調子乗んじゃねえぞ」
シスター「それはこっちのせりふなんだよ」
「いくら神に仕える敬虔なわたしでも、我慢の限界なんだよ」
不良B「めんどくせえよ、拉致っていつものとこでヤッちまおうぜ」
一方通行「クカカカ……」ニタァ
――それともう一つ
俺は……
一方通行「おィ、そこのお前ら」
不良C「あぁ?なんだてめぇ、何見てんだよ」
一方通行「俺か?俺はただの通りすがりの」
「正義の味方だァ!」
――正義の味方だァ!
.
ガァン!!
不良A「な、何だ今のは!?」
不良B「空き缶が弾丸みてえに飛んできて壁に突き刺さりやがった!」
不良C「てめえ、能力者か!」
一方通行「どうにもこの街はゴミが多くていけねェ」
不良A「おい、きいてんのかてめえ!」
一方通行「しかも最近のゴミはしゃべると来たもンだ」
不良B「誰のこと言ってんだ、てめえ!」
一方通行「正義の味方としちゃあ、見過ごせねェよなァ」クックッ
不良C「やってみろよオラァ!」バッ
一方通行「ゴミ掃除の時間だ」
一方通行の「ゴミ掃除」という安い挑発に乗り、
3人の不良が同時に駆け出す。
「そこの人、逃げるんだよ!」
多勢に無勢では少年に勝ち目がないことを感じ取ったのだろう。
絡まれていた少女が叫び声をあげる。
「今更逃がすかよ!」
しかし、不良の一人は拳を振り上げ、すでに一方通行の真正面に到達している。
一方通行に避ける暇はなく、大きく振りかぶられた拳が、今、一方通行の顔面へと降り下ろされるッ!
ベキリ!
「ぎゃあああぁっ!!」
辺りに一人の男の悲鳴が響き渡る。
「てめぇ…、何しやがったぁ!」
「あァ? 見ての通り何もしてねェだろォが。クカカカ」
そこにあったのは顔を殴られ倒れ伏す一方通行の姿ではなく、
殴ったはずの不良が腕を抑えてうずくまる姿だった。
「こいつ、きっと肉体強化系の能力だ! 身体を鋼鉄のように固くしやがったんだ!」
残る二人の不良は一方通行の持つであろう超能力を推察し、警戒を強める。
「なら俺に任せろ」
不良の片割れがズイと前に出て、右腕を前へと突き出す。
「俺はレベル3の発火能力者、肉体強化で耐えられるものなら耐えてみやがれ!」
不良がそう叫ぶと、呼応するように突き出した手より火の手があがる。
「燃え散れぇぇ!」
炎は一気に火力を増し、不良の掌より火炎放射機のごとく放たれる。
「あっ!」
一瞬にして炎に包まれてしまった少年を前に、少女はその一言を発するのが精一杯だった。
「へへっ、雑魚のくせに正義感振りかざすからそうなるんだ!」
「バカな奴だぜ」
無傷の不良二人は、燃える少年を前に嘲笑の笑みを浮かべる。
「この炎とその言葉、そっくりそのまま返してやンよ」
「なっ!?」
聞こえてきた声に二人はギョッとなり、思わず頬を引きつらせる。
驚くべきことに、炎を纏った一方通行もまた嘲笑の笑みを浮かべて平然と立っていたのだ。
「さァ、燃え散りやがれェ!」
一方通行がその手を指揮者のように振るうと
まとわりついていた炎は一直線に炎を放った不良へと伸びていき全身を包んでしまう。
「う、うわあぁぁ! 熱い! 熱いぃぃ!」
不良は炎を消そうとコンクリートの地面に倒れこみ転がり回る。
しかし、どれだけ転がり回ろうとも火が弱まる気配はない。
「ひ、ひぃ…。ば、化物…!」
残った一人は腰を抜かしてしまい、ひっくり返ったゴキブリのように
その場で手足をバタバタと動かすことしか出来ずにいた。
「化物? 違うなァ、俺は正義の味方、ヒーローだぜ?」
「ギャハ! 正義執行ォッ!!」
ドゴ!ズガン!バキッ!
――――
――
―
一方通行「けっ、マジで雑魚だったな」ガッガッ
不良A「うっ、ぐふっ……。俺らが悪かった…、もう許してくれ…」
一方通行「挙げ句に命乞いかよ、どンだけゴミなンだよお前ら」ハァ
少女「もうやめてあげて」
一方通行「なンだァ?」
少女「助けてくれたのは感謝するけど、やりすぎなんだよ」
一方通行「助けた…? あァ、そういやそうだったな」
少女「もしかしなくても私のこと忘れてたの!?」
「自称正義の味方が聞いてあきれるんだよ」
一方通行「わりィな。悪党退治が専門なンで、スッカリ忘れちまってたぜ」
少女「人助けが専門外のヒーローなんて初めて聞いたんだよ…」
一方通行「つーわけで。もう帰っていいぞォ、お前ら」
不良ABC「は、はいぃっ!」ダダダ…
少女「あれ? わりとピンピンしてたかも」
一方通行「当たり前だ、ちゃンと手加減してやってたっての」
「俺の相手になる奴なンざ、この世に居やしねェンだよ」
ひょっとして:正義なんて言葉、チャラチャラ口にするな!
一方通行「あァ、そうだ。これやるわ」ポイ
少女「わわっ」キャッチ
「これは……、ジュースかな?」
一方通行「ヒーローってこういうことすンだろ?」
「ボクの晩御飯をお食べよ、とかなンとか言ってよ」
少女「これが晩御飯ってひどい食生活なんだよ!」
一方通行「うるせェ、これが俺の正義なンだよ」
「悪党退治は終わったンだ、俺はもう行くぞ」
少女「うん、さよなら」
少女「……正義の味方、か」
「わたしが『助けて』って言ったら助けてくれたのかな」
「……ダメだよね。この街の人たちは魔術なんかと関わっちゃいけない」
「あの人、すごく強いみたいだけど、魔術の前じゃきっと何もできないだろうし」
「……えい」カシュ
「くぴくぴ……あうぅ、苦いんだよこれ!?」
「暗くてよく見えなかったけど、コーヒーなんだよこれ」
「うー、コーヒーはあんまり好きじゃないかも……」
「くぴ……やっぱり苦い」
一方通行「はァ、またつまンねェ雑魚だったな」
「もうヒーローごっこなンかやめちまうかなァ」
「けど木原くンとの約束だしなァ」ハァ
「どっかにいねェもンかな、強ェ奴」
――数年前。
俺はな、正義の味方になりたかったんだよ
あァ? なンだよ、その正義の味方ってのは?
木原「なんだお前、そんなことも知らねえのか?」
一方通行「ちっ、いいから教えろよ」
木原「正義の味方ってのはな、最強なんだよ」
一方通行「ほォ?」ピク
木原「悪党をばったばったと討ちのめし、みんなから感謝されるんだ」
「あとついでに人助けとかもする」
一方通行「へェ、面白そうだなァ」
木原「ククク、そうだろ?」
一方通行「木原くンにもぴったりだと思うぜ、なればよかったじゃねェか」
「どうしてヤメちまったンだよ?」
木原「バーカ。ヒーローってのは、期間限定なんだよ」
「大人になると名乗るのも難しくなっちまうもんなんだ」
一方通行「なンだよ、それ。大人ってだせェな」
木原「俺もお前ぐらいの頃は、本気で目指してたんだがな」
「気付けばいつの間にかこの年だ、時の流れって奴は残酷だぜ」
一方通行「しゃーねェな、代わりに俺がなってやるよ」
木原「あん?」
一方通行「正義の味方って奴に、だよ」
「木原くンが叶えられなかった夢、俺が代わりに叶えてやる」
木原「ククク……、ハーッハッハッハ!」ブハッ
一方通行「な、何笑ってやがンだ!」
木原「お前、ヒーローってツラじゃねえだろ」ヒィヒィ
一方通行「なっ……、木原くンにだけは言われたくねェ!」
「つーか、正義の味方やるのに顔が関係あンのかよ?」
木原「あー、ないこともないが、そこは大した問題じゃねえな」
「正義の味方なんてのは強けりゃそれでいいんだから」
一方通行「へっ、そうとわかれば……」バッ
木原「お?」
一方通行「とっとと能力開発、再開しようぜ」
「俺は最強のヒーローにならなきゃいけねェンだからよォ」
―
――
――――
一方通行「今や俺は学園都市のレベル5で、序列も1位」
「間違いなく俺は最強だ……」
一方通行「けど、俺がなりたかったのは“最強”じゃねェ」
「俺は最高ォにカッコイイ正義の味方になりてェンだ」
「そもそも、正義の味方ってどンなことするもンなンだ?」
「とりあえず視界に入った小悪党どもはボコボコにしてるが」
「俺の中のイメージと、どっかズレてやがンだよなァ」
「木原くンは俺を最強にしたらそれっきり姿くらましやがるし……」
「はァ、正義の味方も楽じゃねェンだなァ」ゴロン
――――
ゴトゴトゴト……
一方通行「ァン? なンだこの揺れは……」
ドガァン! ゴオォォォ!
一方通行「なンなンですかァ、この炎は!? って熱ッ!」
「……熱い!? 反射が効いてねェのか、この炎!」
「くっ! なンだかわかンねェがとにかくやべェ。一旦外に……」ダッ
ガシャン、バリィン!
???「フッ、ようやく出てきたね」ザッ
一方通行「あァ? 誰だァ、お前は…!」
???「僕かい? 僕は悪の魔術師、ステイル=マグヌスさ」バサッ
一方通行「魔術、だとォ?」
ステイル「君の存在は僕らの目的、世界征服の邪魔となるからね」
「真っ先に消しにきたというわけさ、正義の味方くん」
一方通行「ギャハッ! 面白ェじゃねェかそれェ!」
「そうだよ、俺はそういうのを待ってたンだよ!」
ステイル「フフッ、その減らず口、いつまで持つかな?」
「焼き殺せ、魔女狩りの王(イノケンティウス)!」
イノケン「GUOOO!!」
一方通行「炎の魔神か、20mは離れてるってのに熱気が伝わってきやがるぜ」
「つまり反射もベクトル変換も効かねェってことかァ」
「だが、そのくらいじゃねェと面白味に欠けるよなァ!」クカカカ!
???「隙ありだきゃるん♪」ヒュッ!
ズバァッ!!
一方通行「ぐあァァァッ?!」
ドサッ
一方通行「お、俺の腕がッ!」クッ
???「私は第二の刺客、魔法少女カオリンだきゃるん♪」
神崎「お命頂戴だきゃぴー♪」
一方通行「刀ぶら下げたババァが魔法少女とかなンの冗談だ…」メマイガ
神崎「黙りなさい」ザクッ
一方通行「ごふっ」
一方通行「はァはァ……、反射を無視しての一刀両断……」
「格好はともかくこいつも魔術師みてェだな…!」
神崎「魔法少女だきゃるん♪」
一方通行「片腕を失った状態で、反射が効かない魔術師二人の相手か……」
「クカカカ、俺様大ピンチじゃないですかァ?」
「けどなンでだろうなァ、逆に燃えてくるのは…!」
「さァ、始めようぜ魔術師どもォ!」
「正義と悪の最高ォにド派手な殺し合いをよォ!!」
一方通行「正義と悪の最高ォにド派手な殺し合いをよォ!」ガバッ!
「……あァ? 俺の部屋、だと?」
「……はァ、夢かよ。あほらしィ」ゴロン
ゴトゴトゴト……ドカァッ!
一方通行「あン?」
「あなたに何が分かるんですか!!」
「私がどんな気持ちであの子の記憶を奪ってきたか!!」
一方通行「表が騒がしいな……。もう夜だってのに近所迷惑な」
「二度寝してェから早く静かに、」
「それもこれも10万3000冊の魔導書を持つ彼女を護るためには必要な――」
一方通行「あ? 魔導書、つったか今?」ニヤァ…
上条「はぁ、はぁ……っ」ボロボロ
神裂「その身体でまだ戦うつもりですか」
上条「……るせぇよ」
神裂「例え私を倒せたとしてもどうにもなりませんよ」
「どう足掻こうと、」
上条「っせえっつってんだろッ!」
一方通行「っせェっつってンだろうが!」
上条「……はい?」
神裂「何者ですか」
一方通行「俺はこの近所に住ンでる正義の味方だ」
上条「正義の、味方…?」
神裂「正義、ですか……」
「それでその正義の味方が何の用ですか」
一方通行「お前ら、せっかく人が気持ちよく寝てたってのに、キャンキャン騒ぎやがってよォ」
「近所迷惑なンだよ、他所でやりやがれ」
神裂(人払いの魔術が効いていない…?)
一方通行「おい、聞いてンのか、そこのデカ女」
神裂「でか…!? コホン、それは失礼しました」
「足留めは果たしましたし、すぐに立ち去るのでご容赦を」
上条「まっ、」
一方通行「待て」
上条「……」
神裂「……まだ何か?」
一方通行「大したことじゃねェンだが……」
神裂「はい」
一方通行「俺の聞き違いじゃなけりゃ、さっきお前……」
「魔導書がどうのとか叫んでなかったかァ?」ニタァ…
神裂「…………」
キンッ!!
一方通行「はァ~~~~……。期待外れだったなァ」グリグリ
神裂「ぐぅッ……あぁぁああああッッッ!!」ミシミシ
一方通行「ちょっと全身のベクトルを下方に変換して、ちょっと地球の自転ベクトル乗せて踏みつけてるだけだってのによォ」
神裂(こ、この少年が言っていることがまるで理解できない…!)ミシミシミシ
(ただ理解できるのは……私がここで『死ぬ』というこt)ミシッ!
上条「おい! そのぐらいでもういいだろ!」ガシッ
パキィィィン!!
一方通行「あ?」
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| 帝凍庫クン |
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とニ二ゝソ____/ | `ヽ.___´, || \____(、,二つ
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|〕 続けたまえ>>1よ ||
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早く続き来ないかなw
続き早よw