土御門「今度こそ…カミやんを守ってみせる」(583)

注意

上嬢×土御門

1,ホモスレではない

2,女体化注意

3,更新不定期

4,>>1は地の文入りのSSは初めて


それでもいいって人は見ていってください

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1368348958

最初はただ利用しようと思っていただけだった。

あの右手。幻想殺し。

あれ程の力を利用できればそれだけで他の奴らへの牽制になる。

だから俺は上条当麻に近づいた。

俺はそこまで馴れ合う気はなかった。

利用するつもりでいたし、馴れ合うだけ無駄だと思っていたからだ。

しかし俺たちは親友になった。

なってしまった。

今は上条当麻と俺、そして青髪ピアスを加えた三人でよくバカをやる。

学校では三バカデルタフォースなんて呼ばれている。

しかしあまり変な気分にはならない。

いつの間にか俺は三人でバカをやる事に楽しさを感じていた。

ありえない、こんな事はありえない。

俺は必死にその感情を殺そうとした。

でも出来なかった。殺してしまうと俺たちの関係を否定してるみたいで。

偽りの友情だったバズだ。利用して利用して、そして捨てる。

俺のやってきた事だ。今まで何の問題もなかった。

しかしその考えは上条当麻によって壊されてしまった。

俺はあそこまで純粋な人間を見た事がない。

職業柄、俺は人の汚い部分しか見た事がなかった。

裏表のない人間を見るのは本当に久しぶりで、利用するという事に罪悪感を感じるようになっていった。

だから、だから上条当麻が記憶を失ったと聞いたとき、俺は愕然とした。

原因は禁書目録の自動書記による記憶破壊。

今までの事が、たった一人の少女を助けた事だけで壊された。

既に俺の知っている上条当麻は死んだ。

今までやってきたようにまた利用する立場に戻るだけ。

そのはずなのに…何故こんなに苦しいんだ。

その後、記憶を失った上条当麻と一緒に深く関わった事件はエンゼルフォールの時だ。

そこで俺は上条当麻の過去を知る事が出来た。俺は初めて神様とやらを憎んだ。

他の人より不幸だからという理由で、何故ここまで酷い目に遭う事が出来る。

けどあいつは、不幸じゃないと言った。不幸である事が幸せだと言った。

俺たちと出会えた事が幸運だと言ってくれた。

そして気付いた。あいつは、俺の守るべき人たちに含まれている事に。

それを守る為なら、俺は何でもしてやる。そう誓った。

けどその誓いはすぐに破られる事になった。

オルソラ奪還、大覇星祭、イタリア女王艦隊、9月30日、C文書、後方のアックア、そしてロシア…

すべて巻き込んでしまった…それも右手を持っているという理由だけで。

それからも、新入生、グレムリン、それ以降も多くの事に巻き込んでしまった。

俺には、助けられないのか…

そして、今も…

「上条当麻、仕事だ」

そう言ったステイルは、今回の仕事内容を簡潔に説明する。

「またか…」

上条はうんざりしながらも、彼の性格上断る事はしないので渋々ながらも承諾した。

「はぁ…平和な日はいつ来るんですかねぇ…」

上条はここ一ヶ月、ほとんど休みなしで働いている。戦争が終わったと言えど、未だ残党が絶えないのだ。そしてそのほとんどが魔術師である。異能を打ち消す力を持つ『幻想殺し』はその度に使われている。しかし上条当麻は人間だ。当然疲れがたまる。そしてその疲れは人の判断力を鈍らせる。今回はそれが仇となった。


上条当麻は、敵魔術師によって、大きな怪我を負い、脳に大きなダメージを受けてしまった。

診察室には冥土帰しと土御門元春がいる。

「上条当麻の容態は?」

「一命は取り留めたよ」

その言葉に土御門は安堵する。しかし、

「ま、一命を取り留めただけで、一つ…いや二つかな?問題が出来た」

と、冥土帰しは続ける。

「問題?」

「こればかりは説明のしようがないね、なにせこんな事は僕にとって初めての事なんだから」

そう言って彼は上条の病室を示す。

「実際に見てもらった方が理解できるかな?」

「まさか…上条当麻に何か障害が…!」

「そんな事はない、至って健康体だ」

「じゃあ何が起きている!?」

冥土帰しはひと呼吸置き、

「見てみるかい?」

土御門は頷く。

「そうか、ならせいぜいショックを受けないように気をつける事だね。」

その言葉に返事もせず、俺はいつもの病室に向かっていた。冥土帰しの最後の言葉に引っかかりを覚えながら、歩く早さをあげる。

「ここか」

病室の前。ネームプレートには上条当麻の文字。間違いない、ここだ。

「カミやん」

外から声をかけても反応がない。寝ているのだろうか。

「寝ているなら入るぞ」

と、言いながら扉を開ける。すると






「どちらさまですか?」






空気が凍った、気がした。

土御門は困惑する。上条当麻は男だ。なのに、何故こんなに声が高い?そして、目の前にいる女は誰だ?

「えっと…上条、当麻?」

「えっ?『私』の事を知ってるんですか?」

私。上条当麻の一人称は『俺』。『私』なんて使わない。

『「ショックを受けなきゃいいが」』

ここで冥土帰しの言っていた言葉をようやく理解する。ああ、受けたぜ。思いっきりどでかいショックを。

「あ、あの…」

「あ、ああすまんすまん」

女となった上条が話しかけてくる。

「ここは一体何処…なんですか?」

「え?」

そこに冥土帰しが入ってくる。

「土御門君、詳しい話は他で話そう」

「あ、ああ…」

「上条君…いや、上条さんかな」

「は、はい」

「すまないが少しの間土御門君を借りていくよ」

そう言って冥土帰しは、病室から出て行った。土御門もそれに続く。去り際に見た彼女の表情は、困惑の色で塗りつぶされていた。

「記憶喪失?」

土御門が問う。

「正確には脳にダメージを負った事によるショックで一時的に記憶が混乱している、というのが正しいかな」

「そ、それで記憶は戻るのか?」

冥土帰しは難しい顔をする。

「戻るかもしれないし、戻らないかもしれない」

「どういう事だ」

「君も見ただろう?上条君の現状を」

見た。ああ、見たよ。けれど土御門の中では信じられないという考えで埋め尽くされていた。

「僕にもよくわからないんだ。完全に女体となってしまっている」

「それは、ありえない事なのか?」

「普通ならありえないよ、男性と女性では身体の構造が違いすぎる」

そういって冥土帰しは何か書類を取り出し、土御門に渡す。

「これを見たまえ」

「こ、これは…!」

なんだ…これは…。こんな事があるのか?

「細胞が…全然違うじゃねえか!どういう事だ!?」

「だから僕に聞かれても分からないと言っただろう」

「じゃあなんで…」

そこには一人の検査結果が出ていた。もちろん上条のものだ。しかし今回はそれに問題がある。

「なんで…なんで細胞が全くの別物になっている!?」

そう、そこには上条が最初に入院したときの記録と、今回の入院で検査された記録で明らかに別人の者へと変わっていた。

「そして一番の問題は性格だ」

「性格?」

そういえば、俺が病室に入ったときにあいつは、自分の事を私と言った。

「記憶喪失だけなら、なんの問題もない、時間をかければ次第に思い出していくからね」

冥土帰しはそう言う、しかし、

「ただし性格は別だ。一朝一夕で治る様なものじゃない。それに記憶喪失した所で性格まで変わるなんて事はありえないんだ」

「じゃあ…」






「最悪…上条君は一生あのままかもしれない」

頭に衝撃を受けた気がした。一生、あのまま?

「たとえ記憶が戻った所で、それは自信の脳で別人として処理してしまう」

「それを…治す方法は…?」

土御門は聞いてみる。

「……わからない」

「そんな…」

「それと…最近上条君はしっかりとした睡眠を取っているのかな?」

「睡眠?」

「彼…いや、彼女の体はもうボロボロだよ、これ以上無茶をしていたら最悪死んでいたかもしれないってぐらいにね」

冥土帰しは淡々と言う。表情こそ変わらないが、口調には怒りの感情が混ざっていた。

「彼女は最低でも3ヶ月は安静にしていてもらう、いいね?」

「ああ、わかった」

そう言うと土御門はこれ以上ここにいても無駄と思ったのか、さっさと部屋を出て行った。一人になった冥土帰しは一人になったのを確認するとおもむろに電話に手を伸ばす。そして…

「やあアレイスター、久しぶりだね」

「おや、これは冥土帰し、貴様からかけてくるなんて珍しい事もあったものだ」

「前置きはいい、君、また僕の患者をおもちゃとして使ったね?」

「何の事だ?」

「とぼけても無駄だよアレイスター。僕は今怒っているんだ」

「……」

「その様子だと何があったのかぐらいは知っているみたいだね」

「ああ、幻想殺しの女体化だろう」

アレイスターはいつも通り、淡々と話す。

「言ったはずだよアレイスター、たとえ君でも、僕の患者をおもちゃにして遊ぶ様な事は許さないと」

「おもちゃになどしていない、ただ私は見ているだけだ」

「……」

冥土帰しが無言になる。呆れているのか、それとも憤っているのかその表情からは読み取れない。

「アレイスター、君の思っている以上に上条君の持っている力は強大だ、すぐに足下をすくわれるぞ」

「ああ、肝に命じておくよ」

そういったきり通信は切れた。後に残っているのは電話の無機質な音だけだった。

土御門はまたあの病室の目の前に来ていた。そして扉を開く。

「あ、さっきの人ですか?」

やはりそこには変わらず女となった上条当麻の姿だけがあった。

「えっと…土御門…さん?」

上条はおそるおそる聞く。

「ああ、そうだ、俺の名前は土御門元春」

返事が来た事でほっとしたのか、色々と質問してくる。土御門は一つ一つ丁寧に答えていく。

「じゃあ最後の質問、いいですか?」

「ああ」










「貴方と、私の関係は?」










「俺は、お前の……親友だ」

あらすじ終了ー
地の文入りって難しいです…
書ける人はよく書けますね、羨ましいです

さて今回は女体化した上条さんと、土御門さんの物語です

そして投下はここまで

次はいつになるのやら…

どうも>>1です

そうです、だいたいAAの上嬢さんをイメージしてもらえるといいかと

とりあえず今日の分投下

「親友…?」

上条が首を傾げながら、問い返す。

「ああ、俺とお前は親友だ、上条当麻」

へぇ…、と上条は声を漏らす。驚いているのだろう。目の前に現れた人が突然自分と親友だったと言ったのだ。驚かない方がおかしい。

「じゃあ、私と貴方は同じ年なの?」

「ああ、それどころか同じ学校で同じクラスだぜい」

「へぇ~」

そう言った上条は考え込む。大方自分が学校に行っている姿を想像したのだろう。

「う~ん、全然思い出せない…ねぇ、学校での私はどんな感じ?」

土御門はすぐには答えられなかった。ずっと一緒のクラスにいたのは『男』の上条当麻だ。だから、どう答えていいのか分からない。

「そうだにゃー、カミやんは結構おっちょこちょいだったところがあってにゃー…」

「にゃー?」

しまった。いつもの調子で口調を変えてしまった。

「あ、いやそれは俺の口調であっていつもは違うんだけどたまたま今出てしまったのであってああもう俺は何を言ってるんだ!?」

土御門は焦りからかうまく言葉が出てこない。こんなに焦ったのは久しぶりだ。上条の反応は、

「…ぷっ」

「へっ?」

「あはははは!」

上条は笑い出した。土御門は久しぶりに見る上条の笑顔に自分の事などどうでもよくなったのか

「笑うなんて酷いぜよ」

「だ、だって…にゃーって…そ、それになに?そのへんな口調」

上条は笑いをこらえながらも言葉をつないでいく。

「あははっ、土御門さんって面白いね」

「そうかにゃー?そうだったら嬉しいぜよ」

「うん、本当に…面白い…」

沈黙。記憶がない事が今になって不安になったのだろう。それにそろそろ面会時間も終わりだ。また上条は一人になる。

「じゃあ、俺はそろそろ失礼するぜよ」

「え?」

「面会時間も終わりだし、色々と説明をしなきゃ行けない事もあるからにゃー」

「そう、なの?」

「ああ、だからこれで」

「ま、待って!」

立ち上がりかけた土御門の服の裾を上条はつかむ。

「まだ…ここにいて…」

そう言った上条の声はか細くて、今にも消えてしまいそうな、そんな弱々しい声で、こんな声を出させているのが俺たちだと思うと、酷く自分を殺したくなってくる。

「カミやん、我儘はいけないぜい、病院には病院のルールがある」

「…」

「安心しろ、明日も来てやるから」

「…ホントに?」

「ああ」

「…わかった」

上条は手を離す。土御門はそれに少し名残惜しさを感じながらも病室をあとにする。

「絶対に…来てね?約束だよ?」

「ああ、約束だ」

そう答えたら、上条はようやく笑顔になった。

今度こそ、今度こそカミやんを、上条当麻を守ってやる。

この笑顔を壊させない、絶対にだ。

土御門は病室を出るとすぐに電話をかける。神裂とステイルにだ。時間と集合場所だけ伝えて切る。電話の向こうで何か文句を言っていたが無視。

まずはこの二人からだ。

「土御門」

来たか。

「土御門、一体どうしたのです。場所と時間だけ伝えられて」

「おおよそ見当はついているはずだ、ステイル、神裂」

土御門の口調に一気に気を引き締められるステイルと神裂。

「…」

二人はいまだ無言だ。ならこちらから言うまで。

「上条当麻の事だ」

そう言うと、神裂は少し目線が下がった。ステイルはいつものまま無表情。

「今あいつがどんな状況にあるか知っているか?」

「いつもの通り怪我をして入院しているだけだろう。怪我の回復次第、次の仕事を…」

それからの言葉は聞こえなかった。土御門が思いっきりステイルの顔面を殴っていたからだ。

「ステイル!土御門!一体なにを……ッ!?」

神裂はそこで口を閉ざした。彼の表情に怒りの表情があらわになっていた。神裂は驚愕した。いつもなら彼はこんなに怒りを感情に出さない。

しかし、これは…

「ふざけやがって…!」

「土御門、一体…上条当麻の身になにが…」

「……ボロボロなんだよ…」

「え?」

土御門はステイルに近づき、胸ぐらをつかむ。

「あいつは!これ以上無茶をしたら死んでしまうほどボロボロなんだよ!」

「どういう…事だ…」

ステイルは訳が分からないという様な顔で土御門に問う。

土御門は、上条当麻の怪我に自分たちは関係ない、そんな態度のステイルにさらに腹が立った。

「お前らが、事あるごとにあいつを使って!何度も無茶をやらせて!それで!」

「土御門!落ち着きなさい!一体…なにがあったと言うのですか!?」

「知らないなら教えてやる!上条当麻は記憶喪失だ!」

神裂の眼が信じられないといった色になる。

「記憶…喪失?破壊じゃなく喪失か、なら戻せばいいだろう?」

ステイルは大した事ないじゃないか、と言いたげな表情だ。

「それだけじゃねえんだよ…上条当麻は性別まで変わっている」

「ありえません!男性が女性に変化するなど前例がありません!」

神裂がさすがにと思ったのか、土御門の言葉に反論する。

「それがあるから言ってんだろうが!」

「しかし…」

そこにステイルが横やりを入れる。

「馬鹿馬鹿しい」

「上条当麻が女になった事などどうでもいい、それより『幻想殺し』はちゃんと機能しているのか?」

「ステイル!」

神裂はステイルの配慮のない言葉に憤りを感じ、戒めようとするが

「ぐっ!」

土御門がその前に殴る。土御門は理解できなかった。俺らが、お前らが上条当麻をあんな状況にしたくせに、それを気にかけずに『幻想殺し』の心配だと?

ふざけるな。

「もういい…」

そう言い、土御門の手からステイルが離れる。

「お前の考えはよくわかった」

「土御門…」

「神裂…今日はステイルを連れて帰れ」

土御門は神裂のそばを通り抜ける。

「土御門、貴方は…」

神裂が何か言いかけたがやめる。

「ステイル、いきますよ」

ステイルは無言のままだ。

「…ハァ。すみませんでした、土御門。この話はまたいずれ」

そう言って二人は消える。

これでいい、少なくともこれでこれからの戦いに巻き込まれる可能性は減る。

土御門はこれからの事を考えながらその場をあとにした。

次の日、土御門元春は学校の担任、月詠小萌の所を訪ねていた。

「土御門ちゃんが家にくるなんて珍しいですねー。何かあったんですかー?」

小萌は来客用にコーヒーを入れながら聞いてくる。

「はい…上条当麻の事で…話があります」

そう言うと小萌は動きが止まる。しかしすぐに作業を再開して持ってくる。

「それは…最近の上条ちゃんの欠席についての事ですか?」

「…はい」

「そうですか…」

そう言う小萌の顔は少し悲しそうだった。

「じゃあまずは今の上条当麻の現状から…」

土御門は今までの事を全て話した。

魔術の事、今までの欠席の理由、そして今現在記憶を失い、性別が変わってしまっている事。

聞いている小萌は何度か信じられないといった表情をしていたが、最後まで黙って聞いていた。


「これが…全てです」

「……」

小萌は無言だ。表情も硬い。それもそうだろう。ここは科学の町、学園都市。

そんな場所で魔術なんて言われても理解できるはずがないだろう。

しかし

「わかりました、信じます」

「!!本当ですか!?」

今度は土御門が驚く番だ。こんなに簡単に信じてもらえるとは思っていなかった。

「はい、本当です」

「え、でも…何で…」

「生徒たちの言葉を信じるのが先生の役割ですよ」

「…ありがとうございます」

土御門は心から感謝した。

「それに、別に信じる為の根拠がない訳でもないのですよー」

そう、小萌は禁書目録を助けたとき、大覇星祭のときと、魔術に触れる機会がない訳ではなかった。

「それに土御門ちゃんの目がとても真剣でしたから」

「でも上条ちゃんが女の子になったって言うのがやっぱりまだ信じられないですねー」

「じゃあ、お見舞いがてら見に行きますか?」

「…そうですね、行きましょう」

病院に着いた土御門と小萌はまず先に上条の病室へと急いだ。

「いいですか先生、驚かないでくださいよ」

「はい」

そう前置きをした土御門は、上条の病室の扉を開ける。そこには

「やぁーカミやん元気にしてたかにゃー?ってええ!?」

「え?」

そこには、検査服を脱ぎ、病院が用意したパジャマへ着替えようとしていた上条の姿があった。

「な、なんで…土御門さんが…」

上条の顔がみるみる赤くなる。だんだんと上条の口が悲鳴を上げる様な形になっていく。

それを見てヤバいと思った土御門は

「ごごごごごめんなさい!事故だにゃー!」

と言いながら急いで病室を出る。

「土御門ちゃーん?」

「あ、あはは…」

小萌がジト目で土御門の事を見る。

「はぁ…こんな事は上条ちゃんだけかと思っていましたが…」

「うぐっ…」

数分後、土御門がノックをすると小さく返事が返ってくる。

あんなことがあった手前、入りづらい、がそんなことも言ってられないので、意を決して入る。

「か、カミやん?」

「……」

そこには未だに顔を真っ赤に染めた上条がうつむいていた。

「えっと…」

どう切り出そうか迷っているとそこに小萌が助け舟を出す。

「上条、当麻ちゃんですね?」

「え、あ、はい、上条当麻です」

まだ恥ずかしさが残っているのか、ちょっと勢いがない。

そんなことはお構いなしに、小萌は上条の体を上からじっくりと観察していく。

「な、なんですか?」

小萌はもう一度上条と視線を合わせる。

「完全に女の子ですねー」

「あの、土御門さん、一体この子供は…」

「むっ、先生は子供じゃないのです!ちゃんとした教師なのですよ!」

「ええ!?」

上条が土御門に視線を向ける。

「カミやん、噓じゃない、この人は俺らのクラスの担任の先生だ」

「月詠小萌です。よろしくお願いします」

「よ、よろしくお願いします、小萌先生?」

「はい、よろしくされましたのですよ」

小萌はにっこりとした笑顔で答える。上条もその笑顔につられて笑顔になる。

やっぱり小萌先生に話して正解だったみたいだ。

「それでですね上条ちゃん、あとどの位で退院できますか?」

「あ、えっと検査で何も異常がなかったらあと一週間ぐらいで出来るって言われました」

「そうですかー、じゃあ一週間後、うちの学校の教室でまた会いましょう」

「は、はい!」

小萌はそう言うと上条の頭を撫でてこう言った。

「大丈夫です、記憶を失った所で、上条ちゃんは先生の生徒であるのは変わらないです。それに、うちの生徒たちはみんないい子ですから、きっと上条ちゃんもすぐに仲良くなれると思いますよ」

「ありがとうございます、小萌先生」

「じゃあ先生は仕事があるのでこれで失礼します、一週間後を楽しみにしてますねー」

「はい!」

小萌は病室を出る。そこには土御門も一緒だ。

「先生…」

「噓じゃないみたいですね…ちょっと寂しいです」

「すみません…」

「どうして土御門ちゃんが謝るのですか?上条ちゃんは自分のしたいことをやったんですから、気にする事はないのですよ」

そうは言ってくれているが、やはり一人の先生として、生徒一人を失うという事はくるものがあるのだろう。

死んではいないのだが、あれでは完全に別人だ。

上条当麻を知っている人に、彼女が彼だったと言っても信じては貰えないだろう。

「学校の皆にも説明しなきゃいけませんね」

「先生、その役、俺がやります」

「土御門ちゃん?」

小萌は土御門の表情に何かを感じたのか

「…わかりました」

と、承諾した。

「じゃあ俺はもう少しカミやんと話していきますので」

「はい、じゃあよろしくお願いしますね」

「はい」

そう言って土御門は病室に戻る。

土御門と離れていたのが幸いし、気付かれなかった。

小萌が去った後の床には小さな水滴が少し落ちていた。

投下しゅーりょー

とりあえずここまで

土御門の小萌先生と話す時の口調が迷走気味…こんなんだっけ?

ラッキースケベ発動はこんな感じ

今まで上条さんから動いていたけど、女になった事で上条さんに向かって動いていく感じ

では次の更新の日まで

読み返したらちょっとステイルを悪く書きすぎたかな…

投下いきますー

小萌と別れた土御門は、上条の病室へ戻る。そこで少しばかり世間話をしているうちに面会時間の終わりが来た。

「じゃあ今日はこれで」

「うん、今日もありがとう、土御門さん」

そう言って上条は笑う。上条自身、少しずつ不安がとれてきたのか、笑顔が増えてきた。

記憶はないが、周りの人たちのおかげで思ったより早く元気になりそうだ。

しかし、笑ってばかりではいられない。上条はいずれ学校に行く。

男だった友達がいきなり女になった、ではパニックを起こす事もあり得る。

説明は受け持ったが、一人では少々役不足だ。

「青ピのヤツが一番かにゃー」

青髪ピアス。上条の古くからの友人で、土御門よりも付き合いが長い。

この問題に青ピの力は必要不可欠だ。いつもはおちゃらけている人だが、友人の事になると人一倍真面目になる。

クラスの奴らはそんな青ピの性格をよく知っている。

土御門は話をするべく、青ピに電話をかける。

「あっ、もしもし青ピか?」

『おー、つっちー、こんな時間にどないしたんや?』

「ちょっと話がある」

『なんや、改まって。も、もしかして告白か!?あかんでつっちー!僕らは…』

「真面目な話なんだ」

そういうと電話の向こうで沈黙が起きる。

『…何かあったんか?』

青ピの口調が真面目なものへと変わる。

「…ああ、少しばかり厄介な問題がな」

『…わかったで』

「悪いな」

『ええよ、ほな明日そっち行くわ』

そう言って青ピは電話を切った。

「感謝するぜい、青ピ」

次の日、青髪ピアスと土御門は上条の病室まで来ていた。

「いいか青ピ、これから目にする事は現実だ」

「な、なんやのその言い方、まるでカミやんが別人になったみたいな…」

鋭い。間違ってはいない所がまたすごい。

「あたらずも遠からずってとこか…」

そう言って土御門は病室の扉を開ける。

「あっ、ちょっと待ち…」

「あ、土御門さん!」

青ピが何か言いかけたが、その後の女の人の声を聞いて固まる。

「そちらのかたは…?」

「紹介するぜよ、俺のクラスメイトであり、同時に俺たちの親友、青髪ピアスだにゃー」

「え、あ、えーっと…青髪ピアス言います、よろしゅう…」

「青髪ピアス…さんですね、私は上条当麻と言います、よろしくお願いします」

青ピ、絶句。

「…僕、ちょっとトイレ行ってくるわ…」

「あ、はーい」

「あ、案内するぜよ、カミやん、悪いがちょっと待っていてくれ」

「はい、わかりました」

二人は病室を出る。青ピはまだ信じられないのか未だ無言だ。

土御門はどう話そうか考えていると、青ピから話してきた。

「あれが…カミやんなんか?」

「…信じられないかもしれんがな」

「そりゃ…信じられへんよ…」

まあ、そうなるだろうとは思っていた。簡単には信じてくれないだろう。

だがこれはまぎれもない事実なのだ。けれど

「でも、雰囲気は違うけども、あの女の子はカミやんや。それだけははっきりしとる」

そう言う青ピの言葉にはしっかりとした強さがあった。

話が絶対脱線するwwwww
てか、青ピがただの一般能力者なのか?

>>66一応普通の学生って設定です

「どう思うぜよ…」

「……」

沈黙。そりゃそうだ。男の友人がいきなり女になったのだ。

「受け入れられへん…そんな簡単には…」

答えは至極真っ当なものだ。青髪ピアスの表情は硬い。

いつものおちゃらけた表情とはまるで別人だ。青髪ピアスは腕を組み、少しの間考える。

「わからんなぁ…カミやんはここ最近休みが多くて…帰ってきた思とったらいつの間にかまた入院してて…挙げ句の果てには女子になってる、なんてどこの漫画の世界やと…」

青髪ピアスは続ける。

「それにカミやんが休みの時は決まってキミも休んどる。カミやんも心配をかけるのがうまいけど、君も大概や」

この言葉に土御門はなにも言い返せない。

上条が休んでいる事にはほとんどに土御門も一緒だったからだ。

「ボクが言うのもおかしいけど、もう少し普通の学生生活を送れないんか?お二人は…」

「…ド変態がよく言うぜよ」

「そうやのうて!」

「…すまん」

おそらく、青髪ピアスは上条当麻が女体化してしまっている事を既に受け入れている。

でなければ最初にあれは上条当麻だ、とはっきり言ったりはしない。

「お互い、これから苦労しそうやな」

「本当にな…」

二人はこれからのことを考えて、うなだれながらも笑う。

たとえ女子になった所で、上条当麻が俺たち二人の親友である事に違いはない。

「ま、うちのクラスは良くも悪くもバカばっかりだからにゃー、案外あっさりと受け入れてくれそうぜよ」

「せやね、まあそこらへんはボクらの腕の見せ所やな」

「期待してるぜい、学級委員長様」

「まかせときや」

そう言葉を交わした二人は、いつもの表情に戻り、病室へと戻っていく。

「ただ今戻ったぜよ、暇だったかにゃーカミやん」

「土御門さん、おかえりなさい、青ピさんも」

「さん、なんてつけなくてええで。ボクとカミやんの仲やないの」

「そうですか?」

「そうや、いつものように青ピでええで!」

病室には、いつも通りとはいかないが、そこには確かにデルタフォースとしての日常があって、三人全員が笑顔で話していた。

土御門は思う。

(これで学校の方は問題なくなった。あとは…)

禁書目録。おそらく一番の難関だろう。

上条当麻が怪我をしたという情報は、おそらく既に彼女の耳にも入っている。

ただし、知っている事は怪我をして入院したという情報だけだ。

(今はイギリスにいるがいつ来るか分からん。それまでになんとかしないとな)

「土御門さーん、何してるんですー?」

ただ今はこの日常を楽しもう。ここにいない人の事を考えても仕方がない。

「すまんにゃー、ちょっと考え事してたぜよ」

「まさかつっちー…カミやんで色々といやらしい想像してたんちゃうか?」

「ええ!?」

「なっ!?するかボケ!」

「わー!つっちーが怒ったー!」

「まてこのヤロウ!」

「わあ!駄目ですよ二人とも!病院で暴れちゃ!」

青髪ピアスがボケて、俺が突っ込んで、カミやんが笑う。

いつもの日常だ。なにも変わってない。そう、何も…

一方その頃イギリスでは

「え!?とうまが怪我で入院!?」

「はい…」

禁書目録の問いに答えたのは神裂だ。

しかし神裂は状態を聞いているものの、実際にその状況を見た訳ではない。

土御門には悪いが、どうにも信じられないのだ。

「それで!?とうまは大丈夫なの?」

「命に別状はないとの事ですが、私も詳しくは聞いていないので…」

「そうなの?」

少しがっかりとした表情になる。その顔に少し罪悪感を感じながらも、神裂は話す。

「はい、そのうち私もお見舞いに行くつもりなので、よかったらインデックスもどうですか?」

「もちろん行くんだよ!」

禁書目録は即答する。

「では行きましょうか」

「うん!」

「では準備をしましょう」

そう言って神裂は部屋を出る。

しかし、土御門のあの表情が、頭から離れない。

あそこまで土御門が怒ったのは初めて見る。

「私たちは…知らず知らずのうちに上条当麻に頼ってばかりだったみたいですね…」

私たちは馬鹿だ。特別な右手があるからと言っても、彼は一人の人間だ。

そんな簡単な事にも気がつかないで…。

「救われぬものに救いの手を…」

魔法名。これではただの飾りだ。

救うべきものが近くにいながら、私はそれに気がつかなかった。

本当に救うべき人は目の前にいたのに…。

「ならば…私はもう間違えない」

神裂は決意する。

上条当麻。

土御門が彼女を守る盾ならば、私は彼女を守る剣となろう。

もう二度と、同じ過ちは繰り返さない。

「かおりー!ちょっと手伝って欲しいんだよー!」

「はい、今行きます!」

その為に、私はもっと頑張らなきゃいけないようです。

今回の分しゅうりょー

すみません、短くて…

結構地の文入れながら書くのって疲れるんだ…

ではまた書き溜めてきます

レスありがとうございます!

今回の分、投下いきますー

「ステイル」

「…神裂か」

神裂は、日本に行く準備をすませた後、ステイルのもとを訪れていた。

「何の用だ?」

「いえ…私とインデックスはこれから上条当麻の所に向かいますが、貴方はどうします?」

彼の名前を出したとき、ステイルは少し反応した。

「…僕が今更行った所で、土御門のヤツが許してはくれないだろう」

そう、一度ステイルは配慮の欠けた言葉を使ってしまい、土御門に思いっきり殴られたのだ。

あれ以降、ステイルは口数が少ない。禁書目録に対しても少しよそよそしい感じだ。

「それに…僕は何も間違った事は言っていない」

「ステイル!?」

「怪我をしたのはヤツ自身の失態だ。疲れていて判断が鈍ったなど言い訳にしかならない」

「ステイル!いくら貴方でも、これ以上言うなら!」

神裂は思わず刀をとる。しかしステイルは動じずに言葉を続ける。

「ただ…」

「ただ?」

「上条当麻が疲れを溜めた原因をつくった僕たちが、彼の事を避難する資格はないだろうね」

「ステイル…」

ステイルも、悔やんでいるのだ。彼に多くの負担をかけてしまっていた事を。

「僕らは人間だ、間違いは起こすし、疲れもたまる。僕たちは勘違いしていたんだ。いくら世界を救った英雄でも、その正体はただの学生だ。けれどその英雄という言葉に僕たちは欺かれ続けていた」

英雄。ヒーロー。正義の味方。

漫画やゲームの中におけるこのような存在は、人が困っていると必ず手を差し伸べて助けてくれる。

しかし結局は架空の存在だ。

間違えない人間などいない。疲れない人間などいない。完璧な人間などいないのだ。

「なあ神裂、僕はどうすればいい…」

「…そんなの、簡単な事です」

救われぬものに救いの手を。

「ステイル、強くなりなさい。今度は私たちが守る番です」

神裂は答える。ステイルはその答えに意外そうな顔をしながらも、納得した様な表情をしていた。

「さあ、行きましょう」

「そうだな」

神裂はその後、土御門に連絡を取る。

「すみません、土御門」

『どうかしたか?』

「いえ、上条当麻のお見舞いをしたいと思いまして」

『…』

土御門は無言だ。電話の向こうの彼はどのような表情をしているのか分からない。

けれど思ったよりも返事は早かった。

『…わかった。禁書目録は来るのか?』

「はい、私とインデックスそれと……ステイルも」

『なに?ステイルもか?何故だ?』

土御門は明らかな怒りを表した声で答える。

「土御門に話がある…と」

『俺に?』

「はい」

『……わかった、来るのはいつだ?』

「これから出ますので、おそらく明日の昼頃には」

『了解、その時は俺が迎えに行く』

そう言ったきり、彼は電話を切ってしまった。

まだステイルの事を許せていないのか、少し口調が強めだった。

「頑張ってくださいよ、ステイル」

土御門は部屋で電話をしていた。神裂からだ。

(思ったよりも早く来たか…)

禁書目録がいつかは見舞いに来るだろうとは考えていたが、ここまで早いとは予想外だ。

それに、禁書目録にはまだ説明をしていない。

何とかして禁書目録を納得させるだけの言葉を考えなければ…。

空港についた神裂、ステイル、禁書目録の三人は、土御門に案内され、すでに車の中へと移動していた。

車内は無言。禁書目録でさえ居心地が悪そうだ。耐えきれずに禁書目録が口を開く。

「ね、ねえもとはる!とうまの所には後どのくらいでつくのかな!?」

「あと20分だ」

「そ、そう、ありがと…」

会話終了。禁書目録は泣きそうな表情になりながら隣に座る神裂に助けを求める。

(そ、そんな顔をしないでください!)

一方のステイルは窓の外をボーッと眺めている。

何か思う所があるのかその表情はどこか哀愁漂っている。

(うう、不幸です…)

神裂は彼の言葉を借りて心の中でつぶやく。

早く病院に着いて欲しいと切実に願う神裂だった。

病室に行く前に禁書目録に土御門が現状について説明する。

「禁書目録、今、上条当麻がどんな現状にいるか知っているか?」

「え?し、知らないんだよ…」

禁書目録は土御門の真剣な表情になにか感じ取ったのか、体がこわばるのを感じた。

「そうか……」

「もしかして…とうまに何かあったの?」

「…」

土御門は答えない。答えて事実を伝えて、禁書目録がどう思うか分からない。

言うべきか、言わないべきか。

「聞いたら、ショックを受けるどころの話じゃないぞ」

そう前置きをする。

「これを聞いたら後悔する事にもなるかもしれない、それでも聞くか?」

「…うん。…聞かせて」

支部で書いてた人かな?
ずっと待ってた

禁書目録は確かにそう言った。その目はしっかりと前を見ている。

「…わかった、まずは…上条当麻は現在、記憶喪失だ」

「!」

それを聞いた途端、禁書目録は顔色が悪くなる。

意識がなかったとはいえ、彼女は一度上条の記憶を破壊してしまっているのだ。けれど

「安心しろ、今回の件にお前は無関係だ。原因ではない」

土御門がそれを否定する。

「でも…」

「心配するな、記憶『喪失』であり、『破壊』ではない。時が過ぎたら治る事もある」

その言葉で少しは安心したのか、顔色が少し明るくなる。

「ただ、問題はもう一つある」

「もう一つ?」

「……正直これは現実ではありえない様な事なんだが…」

禁書目録は息をのむ。

「……上条当麻が、女になった」

「え………ええええええええええ!!??」

絶叫。神裂とステイルが何事かとこちらを見る。

「とうまが女の子になっちゃったって…ええええ!?」

禁書目録は唖然とした顔になり、呆然とする。

「事実だ、こればっかりは見てもらって納得してもらうしかないが」

病院の門をくぐり、上条の病室へと歩みを進める。

禁書目録は混乱しながらも、土御門に続く。

その後ろに神裂とステイル。

病室の前まで来て、土御門が禁書目録と並びながら扉を開ける。

そして…

半信半疑だった。

上条当麻が女になったなど、悪い冗談にしてはたちが悪い。

しかし土御門がそれを言っているとき、いつになく真剣な表情であり、とても土御門が嘘を言っているようには見えなかった。

だけど、やっぱり信じられなくて…

「こんにちは、土御門さん。そちらの方々は…?」

絶句する三人。ステイルに関しては口にくわえていた煙草を思わず落としてしまった。

「上条…当麻、です、か?」

「?はい、私は上条当麻ですけど…」

「とうま…?」

ぽかんとする上条と、驚愕の表情を浮かべる三人。

「…………ねえ…かおりに、ステイル」

そんな中、禁書目録が口を開く。

「私と、とうまの二人きりにさせてくれないかな」

「インデックス、それは…」

「神裂」

神裂が異議を唱えようとするが、ステイルが止める。

土御門は禁書目録が何をしようとしているのか早々に理解したのか何も言わない。

「…大丈夫ですか?」

「うん…」

その返事を聞いた神裂たちは病室を出て行く。

残ったのは禁書目録と上条当麻の二人。

「えっと…イン、デックス…さん?」

「っ!」

「えっと…」

言葉が出てこない。本当に忘れてしまったのだろうか。

「ねえ、とうま、本当に忘れちゃったの?」

「…ごめんなさい、私は、目が覚めたらここにいて、自分の名前以外何も、覚えていませんでした」

「本当に…覚えてないんだね…」

ああ、ダメだ。我慢しようと思っていたのに、涙が出てくる。

土御門から聞いて、覚悟はしていたはずなのに、やっぱり覚えていないというのは悲しくて、どうしようもなくて…

「うぅ…とうまぁ…ひぐっ、ぐすっ…」

「…」

ダメだ、名前を呼ぶたびに、涙があふれて、声がうまく出せなくなる。

「とう、まぁ…」

忘れてしまって事がただただ悲しくて、私の事を覚えていない事がただただ寂しくて…

「インデックスさん…」

そうしていたら、いきなり何かに包まれた。

いや、上条に抱きしめられているのだ。

「とう、ま?」

「…ごめんね、インデックス」

そういう上条の目からは涙が流れていた。

「どうして…とうまが泣くのかな…」

「どうしてだろうね…ただ、貴女の泣いている姿を見ていたら、こっちまで悲しくなってきて…」

上条の抱きしめる強さが強くなる。

「私には記憶がないから、貴女の事は知らない。でも、貴女は泣いているよりも笑っている方が似合うと私は思うよ」

「とうま…」

「それになんだか…貴女とは初めて会ったって気がしないんだ」

「!!」

「だからね…インデックス」

「なぁに?」

「私と、もう一度、友達になってくれないかな?」

その言葉にインデックスは上条を抱きしめる。

ああ、全くこの人は。いつも泣かせてばっかりだ。でも…

「うん!うん!もちろんなんだよ!とうまぁ!」

記憶を失って、性格が変わっても、魂は変わらない。

上条のこの言葉に、以前の上条当麻としての魂を感じ取ったインデックスは、この少女を上条当麻として受け入れた。

「ほらインデックス、笑って笑って」

「ふぇ…?」

「言ったでしょ?貴女に泣き顔は似合わない、笑顔の方がいいって。だから、ね、笑お?」

「うにゅ…ぐすっ……にっ!」

涙でぼろぼろになった顔で精一杯笑顔を作る。けれどその笑顔は今までのどんな笑顔より、眩しかった。

「一件落着…みたいですね」

「全く、一時はどうなるかと思ったけどにゃー」

神裂たちは病室前のソファーで状況を見つめていた。

「本当にね…あの子に涙を流させてしまった自分を殴ってやりたいくらいだ」

「ステイル…」

「すまなかった、土御門」

そう言ってステイルは頭を下げる。

「僕らは、彼…いや、今は彼女か…彼女に今まで多くの負担をかけてしまっていた」

「だから?」

「だから…守られるばかりではない、あの子を守る事は、あの子の周りの人間も守る事。それは、上条当麻とて例外ではない!」

ステイルは力強く宣言する。

「…その言葉。覚えとくぜよ」

「土御門、礼を言う。僕に間違いを気付かせてくれた事を心から感謝する」

「俺は何もしてないにゃー」

土御門はいつもの調子に戻る。

神裂は笑う。ステイル、貴方も正解にたどり着いたようですね。

「あ、かおりにステイルー!もういいんだよ!」

「はい!」

「今行く!」

平和な日常は続いていく…

しゅーりょー

今回はここまでー

ちなみに>>98
支部では書いてません、すみませんが別人です

インデックスとの邂逅、こんな感じでいいよね?

じゃあまた書き溜めてきますので

また次の時まで

一方通行「あのレベル0が女になった……だとォ!?」




一方通行(結婚しよ)

御坂「アイツが女になったですって!?」



御坂(百合はないけどアイツなら結婚しよ)

海原(エツァリ)「上条当麻が女になったんですか……!?」



エツァリ「ショチトル、この人があなたのお義姉さんになる上嬢当子さんです」
ショチトル「お兄ちゃんどいて!そいつ殺せない!」

建宮「上条が女に・・・?」

建宮「五和には悪いが結婚するのよn」

五和「たーてーみーやーさーん?」

>>113>>114>>116>>117
そげぶ

この時間人いるかな?

一日あけてごめんなさい
投下いきます

「では私たちはこれで失礼します」

「はい、神裂さん、ステイルさん、それにインデックス。今日はありがとうございました」

「また来るからね、とうま!」

「うん!」

各々が挨拶をすませて病室を出る。

ステイルだけは何も言わなかったが、病室を出る直前に深々と頭を下げて出て行った。

「じゃ、俺もあいつらを送らなきゃいけないし、そろそろ失礼するぜよ」

「はい、また明日」

そう言って、土御門は出て行く。

一人になった上条は、先ほどのインデックスの様子から、おそらくまだ自分が知らないだけで、自分の事をしっている人がいるだろうと考えていた。

「…記憶がないって嫌だなぁ…」

これから何人に悲しい思いをさせなくてはいけないのだろうか。

説明するたびに悲しい顔を見ると思うと、気分が沈んでしまう。

しかし、しずんでばかりもいられない。

「…でも、逃げちゃダメ」

せめて自分だけでも明るくいよう。そう思った上条は、布団に潜った。

次の日、土御門から電話があり、少し来るのが遅くなると聞いた。

「暇になっちゃったな…」

上条が入院しているという事実は、少数の人しか知らない。

だから見舞いにくる人はごく一部なのだ。

「ちょっと飲み物でも買ってこよう」

上条は一階まで降りて、自販機まで行く事にした。

「えーっと…ヤシの実サイダーでいいかな…あっ!」

小銭を投入口に入れようとした時、上条の指が滑ったのか、小銭を落としてしまい自販機の下へと入ってしまった。

「しまった…落としちゃったよ…取れるかなぁ…」

上条は小銭をとろうと奮闘するが、隙間が狭いのか中々腕が入っていかない。

「これは諦めた方がいいのかなぁ…」

これ以上やっても無駄だと思い、また新しくお金を出そうかなと思っていた所に、上から声が降ってきた。

「何してるのってミサカはミサカは話しかけてみる」

「え?」

そこにはちょこんとアホ毛をさげた幼い少女がいた。

「そんな所に手を突っ込んで、何してるの?」

「あ、えっと、お金が下に入っちゃって…」

「ふ~ん、ちょっとどいて」

「え、あ、ちょっと…」

上条を押しのけて、自販機の前に立った少女は、その隙間に手を伸ばしお金を取り出した。

「はい、これ」

「あ、ありがとう」

「いいのいいの、困っている人を助けるのは当たり前なんだからってミサカはミサカは胸を張って言ってみたり」

「へぇ~立派だね」

上条は渡されたお金を確認する。

「あれ?」

「どうしたの?」

「これ、500円玉だ」

「違うの?」

「うん、私が落としたのは100円玉だから」

「へぇ、じゃあラッキーだね!」

確かにこれはラッキーだ。落としてしまった100円が気になるが、それはもういいだろう。

「うん、ラッキーだよ。そうだ!お礼に何かジュース買ってあげる」

「本当!?」

「うん!」

「やったー!ってミサカはミサカは喜びを全身で表現してみたり!」

可愛い。なんだかんだ大人っぽいこと言うけど、やっぱりまだ子供なんだなあ。

「何がいい?」

「えっとね、じゃあ…ヤシの実ジュース!」

「うん、わかった」

上条は今度こそしっかりとお金を入れて飲み物を買う。

「はい、ヤシの実ジュース」

「ありがとう!お姉ちゃん!」

「いえいえ」

「じゃあミサカは待たせている人がいるから戻るねってミサカはミサカはしょんぼりしながら言ってみる」

「ふふっ、きっとまた会えるよ」

そう言うと少女は笑顔になり、

「そうだね!じゃあまた会おうね!」

そう言って元気に走っていった。

「さて、私も買って戻ろうかな」

「たくよォ、クソガキ。テメェ今まで何処に行ってた?」

「自販機の前で困っている人がいたから助けてましたってミサカはミサカは正直に答えてみる」

病院のとある一角。そこには先ほど上条と話していた少女と、透き通る様な白髪と赤い眼が特徴の一人の青年がいた。

「ハァ…勝手に一人になってンじゃねェよ、見つけるのが面倒だろォが」

「…心配してくれてるの?」

「ンなわけあるか、うぬぼれンなクソガキ」

「むぅ…」

「ほら、行くぞ打ち止め<<ラストオーダー>>。今日はアイツの見舞いに来たンだろォが」

「あ、待ってよ一方通行<<アクセラレータ>>!」

一方通行と打ち止め。かつて上条当麻に救われた二人。

その二人が今、とある病室へと歩を進めていた。

「っと、ここか」

二人が上条の病室の前に来る。もちろん二人は上条が女になった事など知らない。だから…

「三下ァ、見舞いに来…て…」

「ヒーローさん!お見舞いに来たよってミサカはミサカ…は…」

そこには、一方通行の知っている上条当麻はいなくて、代わりに見知らぬ少女がいた。

打ち止めの知っているヒーローはいなくて、代わりに先ほど助けたお姉さんがいた。

「あ、さっきの女の子」

「さっきの…お姉ちゃん?」

「オマエ、上条…か?」

「?はい、私は上条当麻ですけど…」

「「……」」

「ええええええええええええ!?」

「ハァァァァァアアアアア!?」

絶叫。

「えっと、もしかして…記憶なくす前の私の知り合い?」

「は?」

上条は話し始める。目が覚めたら記憶がなかった事。目が覚めてからの数日間、土御門が色々と面倒を見てくれた事。

「…つまり?オマエはここ数日の間の記憶しかなくて、それ以前の記憶が全く無いって事でいいンだな?」

「うん、まあそんな感じ」

(ねえ、一方通行)

(なンだ)

(男の子から女の子になったって追う事は知らないのかな?)

(…おそらく、そのへンの認識も全て記憶と一緒に無くなったンだろォよ)

「なにしてるんです?」

「何でもねェよ」

「あ、そう言えば名前を聞いてませんでしたね」

そう言うと打ち止めが我先にと飛び出してくる。

「ミサカの名前はラストオーダーだよってミサカはミサカは元気に自己紹介してみる!」

「よろしくね、ラストオーダーちゃん」

「よろしく!」

「アクセラレータだ」

「よろしくお願いします、アクセラレータさん」

その言葉に一方通行は少し顔をしかめた。

「敬語」

「はい?」

「敬語なンか使わなくていいし、アクセラレータで構わねェ」

「うん、わかった」

そうして話しているうちに土御門がやって来た。

「にゃー、遅くなってすまんぜよカミやん」

「よォ、土御門」

「一方通行!?何でここに!?」

「なンだァ?俺が見舞いに来たら可笑しいですかァ?土御門くゥン」

「土御門さん!一方通行って面白い人ですね!」

その言葉に今度は一方通行が驚いた。

「ハァア!?俺が面白い!?テメェの目は節穴ですかァ?」

「うん、確かに面白いよねってミサカはミサカは全面的に同意してみる!」

「クソガキ!オマエも何言ってやがる!」

「あ~…一気に騒がしくなって来たにゃー」

「まあ、いいじゃないですか土御門さん。こうしてみんなでわいわい過ごすのも悪くないと思いませんか?」

「…ま、それには同意するぜよ」

「一方通行」

「アァ?」

「これから、よろしくね!」

「……俺も、よろしくゥ」

やまなし、オチなし

と、いうわけでここまで

ダメだ、話が作れない…

とりあえずお見舞い編はここまでで次からは日常に入っていきます

次の更新はいつになるか分かりません

ではまた~

質問がありましたらどうぞ気軽に

あ、上嬢さんの髪型は黒髪ストレートです
詳しくはAAを参照

どうも>>1です

とりあえず生存報告をば

申し訳ない、書き溜めが全然進まないんだ…

もう少し書いてから投下します

早ければ明日か明後日ぐらいには投下します

あと本編の話が全然作れないのでちょっとショートストーリーみたく

間に入れていくので、ネタを提供してくれると嬉しいです

こんばんわ、とりあえず書けた分だけ投下します

上条当麻が入院してから一週間、ついに学校に登校するときがやってきた。

「カミやん」

「青髪さん…」

教室の扉の前には青髪ピアスと土御門元春の姿がある。

「安心しいや、僕らが何とかするさかい、カミやんは緊張を少しでもほぐしとき」

「そうだぜい、緊張してたら喋れる事も喋れなくなるからな」

「青髪さん、土御門さん…ありがとうございます」

「…ほな、つっちー行くで!」

「おう!」

その頃の教室では小萌先生により、ホームルームが開かれていた。

「…というわけで、先生の話は以上なのです」

小萌先生が話の終了を告げる。クラスのみんなはそこからザワザワと話し始めるが、小萌先生の一言によって動きが止まる。

「あとは、青髪ちゃんと、土御門ちゃんがみんなに重大なお知らせがある様なので、しっかりと聞いてくださいね」

「先生」

その言葉にいち早く反応したのは、青髪ピアスと同じく、1年7組の学級委員の吹寄制理だ。

「一体あのバカ二人から何の話があるって言うんですか?それに上条当麻もここ一週間学校に来てないし」

「それも含めて、全部説明するのですよー、入ってきてください二人とも」

小萌先生がそう声をかけると、いつになく真剣な表情の二人が入ってくる。

その様子に吹寄は何も言えなくなる。

そんな中、青髪ピアスが黒板に何か書き出した。それを吹寄が読み上げる。

「上条、当麻は、この一週間に、なんらかの事件に巻き込まれ、記憶を失い、さらには性別が生物学上から変化したぁ!?」

吹寄が素っ頓狂な声を上げる。

「青髪!貴様いつになく真剣な表情かと思えば!さっさとこの寒い妄想小説を書くのをやめなさい!小萌先生も何を考えているんですか!?」

吹寄がたまらず小萌先生に抗議する。しかし小萌先生は真剣な表情を崩さない。

青髪ピアスや土御門がふざけた時はいつも苦笑いをしていたのに、今回はそれがない。

「吹寄ちゃん、残念ながらこれは全て真実なのです」

「小萌先生まで…!」

吹寄は驚愕する。まさか小萌先生までこんなトチ狂った話を信じているなんて思わなかった。

「委員長」

そんな吹寄に土御門が声をかける。

「何よ…」

「悪いが、これは冗談でも妄想話でもない、全て真実だ」

「……」

吹寄はそれ以上口を開けなくなった。土御門の口調が普段と全く違うからだ。

「つっちー、説明するよりも見てもらった方が楽やない?」

「そうだな、ちょっと連れて来るから待ってろ」

「……わかったわよ」

「よし、カミやん、入っていいぞ」

そう土御門が扉越しに声をかける。すると、カラカラ…とゆっくり扉を開けて、一人の少女が入ってくる。

少女はキョロキョロしながら教壇の前まで来て立つ。

「さ、カミやん自己紹介」

そう青髪が促すと、意を決したのか喋り始める。

「え、っと、上条当麻、です」

そのいつもと違う高い声に様々な所から驚きの声が上がる。

「はいはい、静かにしてなー。戸惑うかもしれへんが、この女の子はカミやん本人や。みんなよろしゅうな」

「えと、記憶が無くて、迷惑かけるかもしれませんが、よろしくお願いします!」

その声にクラスの皆が次々と声を上げる。

「よろしくー!」

「あ、私と一緒に遊びにいこうよ!」

「上嬢…アリだな…」

「ねえ!今どこに住んでるの?」

矢継ぎ早に上がる声に暖かい物を感じたのか、上条は少し安心する。

小萌先生も、安心したのか笑顔が戻っている。土御門と青髪も同様に笑顔になっていた。

「上条ー!俺と付き合ってくれー!」

そんな中、一人の男子がそんなことを言う。

「え、あ、い、いいですよ?」

その言葉に即答した上条。他のクラスメイトがええーー!?と一斉に声を上げる。

が、

「それで…どこに付き合えばいいんですか?」

「「「「あー…」」」」

「え?あれ?」

その言葉にクラス全員が、この少女が上条当麻である事を確信した。

この鈍感さは上条そのものだな、と。

その空気が耐えられなかったのか、一人が吹き出すと同時にクラスが笑いに包まれる。

その様子に上条は戸惑うも、つられたのかついつい笑顔になる。

吹寄もその様子に安心したのか柔らかい笑顔を浮かべていた。

「吹寄」

「え?」

「吹寄制理よ、このクラスの委員長。よろしくね上条」

「あ、よろしくお願いします」



「つっちー」

「何だ?」

「どうやら心配いらへんようやね」

「みたいだにゃー」

ホームルーム後、クラスメイトの一人が上条に声をかける。

「上条君」

声をかけたのは姫神だ。以前上条に助けられた一人でもある。

「あ、えと…」

「姫神秋沙」

「え?」

「私の名前。姫神秋沙」

「姫神…さん、どうしたの?」

姫神はその問いに答えず、じっと上条の姿を凝視している。

「な、なんでしょうか?」

「……かぶってる」

「へ?」

その言葉に上条はポカンとなる。

「キャラが。私と。かぶってる」

「え、ええ!?」

「清楚系。黒髪ロングは。私のキャラ」

「そ、そんな事言われても…」

「むむむ。元々空気な私が。さらに空気になる。なんとか。しないと」

そんな姫神に青髪ピアスが一言。

「おお、珍しく姫やんが燃えてるやん」

姫神の苦悩が増えた一日だった。

短いけどここまでです

なにか質問があったら答えます

とりあえず生存報告をば

もう少しで書き溜めが少し出来るのでそれまで待ってください

早ければ土曜日に

だうー…

野球見に行ったら延長12回までやって負けるとは…

とりま報告を

書き溜めが進みません、のでちょっと即興で考えた小ネタを投下

書き溜めてないので少し遅いです

台本形式になります

上嬢「そういえば土御門さんの口調っていつからそんな猫っぽく?」

土御門「俺の口調?」

青ピ「そういや僕らが出会った頃にはもうつっちーその口調やったね」

吹寄「最初に聞いた時は何だコイツって思ったけどなんかそれが無いと土御門って感じがしなくなるまで浸透したわよね」

上嬢「土御門さん、教えてください」

土御門「う~ん…いつからだったかにゃー?」

青ピ「やっぱり何か裏付けとかあるん?実は猫っぽい喋りは表の顔で実は裏の顔があるって感じ?」

土御門「(鋭い…)そんな事あるわけないぜよ。俺は俺でしかないにゃー」

上嬢「じゃあ何かきっかけとか?」

土御門「きっかけか…」

青ピ「じゃあじゃあ、つっちーの初恋の女の子が実は猫で今でも未練タラタラなんてオチなんてどうや?」

土御門「アホか」

吹寄「そんなことあるわけないでしょうに」

上嬢「でも結構初恋の女の子って線はありえるんじゃないでしょうか?」

土御門「違うぜい。そもそも俺は今まで恋なんてした事無いからにゃー」

上嬢「へぇー、意外」

吹寄「どうして?」

上嬢「え?だって土御門さんってカッコいいからモテそうじゃないですか?」

青ピ「つっちーがもてるぅ?ないない、そんなの」

土御門「はったおすぞ貴様」

青ピ「おお怖い怖い」

上嬢「猫かぁ…私上条当麻だにゃーなんて…」

土御門「」

青ピ「」

吹寄「」

上嬢「あ、あれ…?」

青ピ「カミやん…」

上嬢「は、はい?」

青ピ「頼む、今のもう一回やってください!」

上嬢「ええっ!?」

吹寄「私からもお願いするわ」

上嬢「吹寄さんまで!?」

土御門「(うっかりときめく所だったぜい…カミやん恐るべし…)」

男子1「俺からもお願いします!」

男子2「ぜひその猫語を貴女の口から!」

女子1「私からもお願い!」

上嬢「ええー!?そそそそんなもう一度なんて無理です!///」

姫神「大丈夫。貴女なら絶対に可愛いから」

上嬢「そう言う事じゃなくてですね!」

男子「「「「ねーこ!ねーこ!」」」」

女子「「「「ねーこ!ねーこ!」」」」

上嬢「わ、わかりました!わかりましたから騒がないでください!」

男子女子「「「「「………」」」」」ピタッ

上嬢「一瞬で静かに!?」

土御門「さ、カミやんどうぞ一言」

上嬢「うぅ~…」

上嬢「か…」

男子女子「「「「「…」」」」」ゴクリ…

上嬢「上条、当麻だ…にゃー///」カァァ

男子「「「「ぶはっ!!」」」」ぶしゅうううう!!

女子「「「「」」」」きゅーん

吹寄「ふっ…大した事ないわね」だらだら

姫神「吹ちゃん。鼻血」だらだら

吹寄「貴女もよ秋沙」だらだら

青ピ「」ドクドクドク

土御門「青ピ!しっかりしろ!死ぬな!」

青ピ「わ…」

青ピ「我が人生に…一片の悔い無し…ッ!」ガクッ

土御門「青ピいいいいいいいい!!」

上嬢「うぅ~…///」

クラスメイト「上嬢さん!!」

上嬢「な、なんですか!?///」

クラスメイト「次からその口調でお願いします!!」

上嬢「お断りですッ!!」

土御門「(さすがカミやん…恐るべし…)」

とりあえず小ネタ一つ終了

もしかしたらもう一つぐらい投下するかも

あ、本編はまだです。ごめんなさい

  。゜::       。.゚: : : : : : : : : : : : : :`: .        
   。:.         〃..: : : : : :i : : ||: : :|i: : : : :ヽ      i *
   。:        /:..: : :..i: : : :| : : ||: : :||: : : i: : : :.     人
    。:.     ,': : : : : :|: : : :| : : ||: : :||: : : l: :i: : :.  ̄ `Y´ ̄
    。:..    l: : i: : : :|: : : :| : : ||: : :||: : : |: :! : : i   * |
     ゚ i 。:...|: : l!: : : |: : : :| : : ||: : :||: : : |: :!: : :.|!        スれッドが立ってしまいました・・・

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上じの胸スーハースーハー

>>206
インデックスさん自重してくださいwww

ちょっとネタ思い浮かんだんで小ネタ投下

ちなみに小ネタは大体台本形式で行きます

上嬢「へぇ~、ガラナ青汁!すごいね~」

吹寄「全く飲めたもんじゃないわよそれ…」

姫神「苦いとか。そういう次元の問題じゃない。ただの毒」

上嬢「う~ん…。そうかなぁ、結構美味しいと思うんだけど…」ゴクゴク

姫神「君には。いつも驚かされる」

上嬢「へ?」

吹寄「上嬢。貴女味覚とか狂ってないわよね?」

上嬢「そんなことないと思うんだけど…」

姫神「その青汁を。美味しいと言って飲む人は。おそらくこの学校には居ない」

上嬢「そんなに酷いの!?」

吹寄「土御門ー」

土御門「なんだ吹寄」

吹寄「アンタこの青汁美味しいと思う?」

土御門「こんな青汁が美味しいとかありえないにゃー」

土御門「舞夏ですら飲めないんだぜい?」

上嬢「え~…。そんなに美味しくないかなぁ…」ゴクゴク

姫神「上嬢さん。そろそろ。やめた方が…」

土御門「カミやん…。すごいと思うがそろそろ次の授業の準備しなきゃ間に合わないぜい?」

上嬢「次の授業って…」

吹寄「体育よ」

上嬢「あ、じゃあ急いで着替えないと」

土御門「じゃあ俺は先に行ってるにゃー」

吹寄「ええ。遅れないようにね」

女子更衣室

吹寄「そもそもこの学園都市には変な飲み物が多いのよ」ぬぎぬぎ

上嬢「そんなに多いの?」ぬぎぬぎ

姫神「時々。開発者の顔を見たくなる」ぬぎぬぎ

上嬢「そこまで!?」

姫神「む…」じぃっ

上嬢「な、なんでしょう…?」

吹寄「ふむ…」じぃっ

上嬢「ふ、吹寄さんも、何でじっと見つめるんですか?」

吹寄「秋沙」

姫神「了解」むにゅっ

上嬢「ひゃわっ!?」ビクッ

姫神「こ、これは…!?」

吹寄「どう?」

姫神「吹ちゃんほどじゃないけど。大きい…」

吹寄「やっぱりね…」

上嬢「い、いきなり何するんですか!?」

姫神「ずるい」

上嬢「そ、そんな事言われても…」

姫神「こうなったら。徹底的にバストアップについて。調べようか…」

上嬢「え?なに、バスト?」

吹寄「上嬢、今度一緒に下着見に行かない?」

上嬢「え、別に、いいですよ?最近小さくなったのかちょっとキツくなってきましたから…」

姫神「まだ。大きくなる…だと?」

上嬢「そ、それより早くしないと遅刻しちゃうよ?」

吹寄「おっと」

姫神「大丈夫。もう着替えた」

上嬢「いつの間に!?」

吹寄「さ、行くわよ」





校庭

黄泉川「今日は男子はサッカー、女子はソフトボールを各々やってもらうじゃん」

男子1「っしゃあ!青ピ!今日こそお前を抜かせてもらう!」

青ピ「出来るもんならやってみい!返り討ちにしたるわ!」

男子2「今度こそ土御門から一点奪うぜ!」

土御門「俺が居る限りゴールは絶対にわらせないにゃー!」

女子1「頑張ろうね!」

上嬢「はい!」

黄泉川「元気があるのはいい事だが、まずはグラウンドを2周してもらうじゃん」

「「「「はーい」」」」




上嬢「はっはっ…!」

吹寄「はっはっ…!」


男子6「おい見ろよあの二人…」

男子8「上嬢さんと吹寄…すごい、大きいです…」

男子3「上嬢って元々男だったよ…な?」

青ピ「つっちー。あれは反則やとボカァ思うんやけど…」

土御門「二人ともそれなりに胸があるからにゃー、こうなるのは必然ぜよ」

男子1「それにしてもおかしくねぇ?男だったのにあんなにあるなんて…」

女子4「正直羨ましいです…」

女子3「元男子に負けた…ッ!」

土御門「罪作りな男…いや女だにゃー、カミやん」

授業中盤

上嬢「んっ…」ぶるっ

吹寄「どうしたの?上嬢」

上嬢「ううん。なんでもない…」

上嬢「(うー…。体育の前の青汁かなぁ…。飲み過ぎたせいか、トイレに行きたくなっちゃった…)」

上嬢「心配しないで!大丈夫だから!」

吹寄「…ならいいけど、調子悪かったら早めに言ってね?」

上嬢「うん!ありがとう吹寄さん」

吹寄「じゃあ私は戻るわね」

上嬢「うん」

上嬢「あと授業終わるまで40分か…我慢できるかな…」

上嬢「んっ…」もじもじ

姫神「上嬢さん。貴女の番」

上嬢「あ、うん。ありがとう…」もじ

上嬢「せーのっ…えいっ!」カンッ

ひゅっ ぽてん

吹寄「いいわよ上嬢!その調子ー!」

上嬢「ありがとうー!」

上嬢「(でも…、うぅ…。今のでまたもよおしてきちゃった…)」ぶるるっ

女子5「じゃあいくよー!」

上嬢「(はやくおわらないかなぁ…)」

カィンッ

女子5「あーダメだった…」

上嬢「(よかった。これで…)」

上嬢「あの、黄泉川先生」

黄泉川「上嬢か、どうしたじゃん」

上嬢「すいません、ちょっとお手洗いに行ってきてもいいですか?」

黄泉川「別に構わないじゃん。ここからだと職員入口にあるトイレが一番近いじゃん」

上嬢「ありがとうございます」

吹寄「どうしたの上嬢」

上嬢「吹寄さん、ごめんなさい。私ちょっとお手洗いに…」

吹寄「わかったわ、いってらっしゃい」

上嬢「ありがとう」

職員入口

上嬢「うぅ…。やっぱり飲み過ぎたかなぁ?」もじもじ

上嬢「えっと…トイレは…何処に…」もじもじ

上嬢「あ、あれ?何処にあるの?」きょろきょろ

上嬢「あ…」ぶるるっ

上嬢「だ、ダメ…。結構限界が…近い…」

上嬢「あ、あった!」たたたっ

上嬢「えっと…女子トイレは…ええっ!?使用禁止ぃ!?」

上嬢「う、噓でしょう…?」

上嬢「ここから校舎内のトイレは遠いし…それに行くまで我慢できない…」

上嬢「なら…」ちらっ

上嬢「男子トイレ…」

上嬢「じゅ、授業中だし…誰も、来ないよ…ね?」

上嬢「…ッ!?」ぶるるっ

上嬢「ダメ…もうなりふり構っていられない!」

男子トイレ個室

キィ~バタン

校庭

青ピ「こいやぁ!」

男子1「行くぜ青ピぃ!」

青ピ「ずえいっ!」バシッ

男子1「ああっ!」

青ピ「ボクを抜こう言うても簡単には抜かせへんで?」

男子1「くそ~」

土御門「青ピー!その調子だにゃー!」

青ピ「まかしときやー!」

青ピ「と、その前に…」

青ピ「黄泉川せんせー、ちょっとボクトイレ行ってきますー!」

黄泉川「了解したじゃんよー!」

青ピ「ごめんつっちー。一回抜けるわ」

土御門「了解だぜい」

男子トイレの個室

上嬢「よかった、間に合って…」

上嬢「漏らしたなんて嫌だもんね」

上嬢「っと。誰か来る前に早くでないと…」

職員入口

青ピ「ふぅ…。まさか体育の時にもよおしてくるとは思わんかったわ~」

青ピ「はやく戻って続きしよ」

青ピ「トイレトイレーっとここやね」

男子トイレ

青ピ「ここでええか」

男子トイレのとある個室

青ピ「しっつれいしま~す」ガチャッ

上嬢「え?」

青ピ「へ?」

上嬢「」←下着をあげている途中

青ピ「」←何が起きてるか理解できてない青ピ

上嬢「…ッ!?」←今の状況に気付き一気に顔が赤くなる

青ピ「」←目を背けなきゃいけないと思いつつもついつい純白の下着に目がいってしまう青ピ

上嬢「ぁ…ゃ…!」←顔が赤いままどんどん口が悲鳴の形に動いてく

青ピ「ぁ…ぇ…」←ようやく状況を理解しなんとか謝ろうとするがうまく言葉が発せない青ピ

上嬢「い、いや…」←恥ずかしさのあまり下着をあげる事も忘れてただただ…

次の瞬間、校舎全体に一人の少女の悲鳴が響き渡った

この後この悲鳴を聞いて駆けつけた吹寄に青ピが頭突きをくらったのは言うまでもない…

小ネタ終了です

上嬢さん巨乳かー…ちょっと残念だけど可愛いから良いや。

前の方で上嬢さんイメージAAのサイト貼ってた人いたけど見れなかったから誰か貼ってくれないかぬ

この上嬢さんは姫神みたいな髪型なんだよね

生きてますよ~

ごめんなさい。自分の文才の無さの所為で待たせてしまって…

書いてるんですけど、文章が作れなくて止まっちゃってます…

もう少し…もう少し待ってください…

完結はさせます。たてた以上途中で終わらせるつもりは無いです。

みんな待たせては悪いので、途中まで書き溜めた分を投下。

その後展開を作りながら投下します

御坂美琴は苛立っていた。ここ一週間、とある人物に会えていないのだ。もちろん上条当麻の事である。

「くっそー…ここにもいないか…」

今彼女はいつもの自販機の目の前にいる。

「あーのど乾いた…せーのっ…ちぇいさー!」

軽やかなステップの後、自販機の側面を思いっきり蹴りつける。

ガコン、という音の後、一つの缶が落ちてくる。

「うぇ…黒豆サイダーか…まぁいいや」

お目当ての物ではなかったのか、顔を少し歪めるが、気にせずに飲んでいると、

「お姉様」

「ぶっ!」

いきなり後ろから声がかかり、御坂美琴は少し吹き出してしまう。

「いきなり話しかけないでよね、全く」

「お姉様、またその自販機ですか…」

「い、いいじゃない別に!」

美琴と会話をしているのは白井黒子。

美琴と同じ常盤台中学に通う中学生であり、彼女のルームメイトでもある。

「それとも…」

「な、何よ…」

「もしかしてあの殿方の事でも考えていましたの?」

「なっ、そ、そんなわけないじゃない!!」

美琴は顔を真っ赤にして否定する。けれどその様子で図星である事は明らかだ。黒子はやれやれ、と頭を振る。

「お姉様…そんな態度ではバレバレですわよ」

「噓っ!?そんなに顔に出てる!?」

「ええもうはっきりと」

黒子としてはお姉様をたぶらかす悪い虫は軽く潰したい所だが、上条当麻は一応彼女の恩人でもある為、強く否定は出来ないでいた。

「ふむ…」

「な、なによ…」

美琴は突然黙った黒子に少し恐怖を感じる。

「ではお姉様、その憤りをこ・う・や・っ・て」

「え?…ひゃうっ!?」

黒子は美琴の後ろに空間移動し、美琴の体に抱きつく。そのまま黒子は彼女の体をなで回すように手を動かす。

「あ、ちょ、黒子!」

「ああん、お姉様のお体は何とも…」

「やめんかああああああ!!」

と、叫びながら美琴は電撃を放つ。すると

「あうんっ!」

「きゃうっ!」

という、黒子の悲鳴の他に奥の方からもう一人の悲鳴があった

「やばっ…!誰か巻き込んじゃった?」

その悲鳴に美琴は心配になり、慌てて巻き込まれた人を探す。

「えっと…確かこの辺から…いた!」

茂みの裏には、セーラー服を来た一人の少女が目を回して倒れていた。

恐らく皆さんは予想できるであろうこの少女は上条当麻本人である。

しかし女体化した事など知らない彼女はそのまま介抱しようと運ぶ。

美琴は目を回している少女をベンチに寝かせ、起きたときの為に一つジュースを買って来た。

そして彼女の頭を膝に乗せ、頭を撫でる。

数分後、彼、いや彼女である上条当麻が目を覚ました。

「ん…あれ?私…」

「あ、気がついた?よかったぁ…」

「貴女は…?それに私なんで気絶して…」

「えっと…ごめんなさい。それ私の所為です…」

「え?」

美琴は少女、上条当麻に先程の出来事を説明する。

美琴が少し機嫌が悪かった事、思いっきり電撃を走らせてしまった事、少女がいるのに気がつかなかった事。

「というわけなの、本当にごめんなさい!」

「ああうん、もう大丈夫だよ、気にしないで。それより…」

「?」

「あの娘は…?」

そう少女が指を指す先には、先程の上条と同じように痺れて目を回している少女、白井黒子がいた。

「あー、いいのいいの、あれは自業自得」

「そ、そうなんだ…」

上条は苦笑する。ふと、美琴の横顔になにか寂しい物を感じたのか一言尋ねる。

「…何か悩んでる?」

「えっ?」

美琴は驚いた。まさか会って数分の少女に心配されるとは思っていなかったからだ。

しかしこの少女はもとは上条当麻である。好意には鈍感だが、その代わり人の悩みを察するのは得意だったりする。

「あー…、わかっちゃった?」

「うん、なんだか寂しそうな顔してた」

「そっか…」

「私でいいなら聞くよ?」

「会って数分の貴女に話す事じゃないと思うけど…」

そう美琴は苦笑しながらポツリポツリと話しはじめる。

「えっとね…どうしたら、素直になれるのかなって思ってさ」

「素直に?」

「うん」

美琴は顔を空に向ける。横になっている上条からその表情は読めない。

「私ね、気になってる人がいるんだけどさ、会うたびになんか突っかかっちゃって…」

そう美琴は続ける。

「それで、いっつもアイツには逃げられてばっかでさ、ゆっくりと話も出来なくって、なんかうまくいかないのよねー」

「そんなこと、ありませんわ」

そんなセリフに、何時の間にか意識を回復させた黒子が小さくつぶやく。

「あ、黒子。起きてたんだ」

「ええ、先程から。続けてくださっても結構ですわ、お姉様」

「いや、もう言いたい事は言ったし、大丈夫よ」

「そうですか…」

「えっと…」

今まで黙っていた上条が口を開く。

「もしかしなくても貴女は、その男の人の事が好きなんだね」

「ええっ!?そそそそんな事あるわけ…」

「好きなんだね?」

その言葉に逆らえずつい

「…はい」

と、答える。

答えた美琴は赤くなって俯いてしまう。

上条はそんな彼女の様子に微笑んでいた。

「そっかー、貴女はツンデレちゃんなんだ」

「そっ、そんな事無い!」

「いいえ、お姉様はツンデレですわ」

「黒子まで!?」

まさかの黒子にまで言われてしまった美琴は、ガクッとうなだれる。

「ああ、別に悪い意味で言ってるんじゃないよ。ただ可愛いなーって」

「可愛いって…褒めてるのそれ?」

「うん、褒めてるよ」

「ええ!お姉様はとっても可愛らしいですわ!」

「ええい!引っ付くな!」

黒子が美琴に抱きつく。先程のことがあったからか、電撃は流さない。

「だぁもう!」

「ああん!」

「ええとごめん。それでなんだっけ?」

「えっとね…。美琴ちゃんはある男の子が好き。それは間違いないよね?」

美琴はその言葉に顔を真っ赤にしながらも「うん…」と頷く。

「でも美琴ちゃんはその男の子に対して素直になれずに困っていると」

「うん…」

今度は少し沈む。

「そっかぁ。じゃあ貴女は素直になりたいんだね」

「素直に…。うん、そうかもしれない…」

「だったら簡単だよ」

「え…?」

上条が体を起こして美琴と向き合う。

「一度、手紙でも出してみたらいいんじゃないかな?」

「手紙?」

「うん。手紙でもメールでもなんでもいいけど、私は貴方の事が好きです、みたいな文章を送ればいいと思うよ」

「しかしそれではなんの解決にはならないのでは?」

黒子がそこに意見する。

「大丈夫だよ。面と向かっていうのが恥ずかしいなら文面で」

「そういうものでしょうか…」

「そういうものだよ。それに…」

「?」

「あなたが好きってことを打ち明けちゃえば、後は結構素直になれると思うよ?」

「どうして?」

「だって一番伝えたい大切な気持ちを既に伝えてるじゃない」

「あっ!」

ここから書き溜め無しです

そうなのだ。

今美琴が伝えたいことは一つ、上条当麻のことが好きということである。

それが伝えられないから、いつも出会い頭に電撃を与えたり、変に意地を張ったりしてしまうのだ。

だったらその気持ちをどんな方法であれ相手に伝えてしまえばいい。

手紙でもメールでも話す意外にはいくらでも方法がある。

一度伝えてしまえば、次に話す時、いくらか楽になるだろう。

「面と向かっては言えなくても、手紙やメールとかなら言えるんじゃないかな?」

「うん…。多分、大丈夫…だと、思う」

「そっか」

「うん」

「お姉様。私も応援させていただきますわ」

「ありがとう、黒子」

美琴の表情に少し元気が戻る。

「よし!じゃあ一度帰ってやってみるわ!」

「その意気ですわお姉様!」

「私にも応援させて!」

「もちろんよ!」

その後完全下校時刻がやってくる。

「あら、もうそんな時間ですの?」

「本当だ。もうこんな時間」

「そろそろ帰らないとね」

それぞれが帰り支度を行なう中、美琴が上条に向かって

「今日はありがとね」

「ううん、力になれたなら嬉しいよ!」

「私からもお礼を言わせてもらいますわ」

「そんな私はただ励ましてあげただけだから…」

「その励ましが私には助かったのよ」

「…そっか」

その言葉に上条は嬉しそうに笑う。

「さーて、帰りましょ、黒子」

「そうですわね」

「じゃあ私も帰ろうかな」

「あ、そう言えば名前」

「え?」

美琴が不意にそんなことを言う。

「だから名前よ。貴女の名前」

「私?」

「うん」

「今日は色々お世話になったし、また何処かで会うかもしれないじゃない?」

「確かにそうかも」

「だったらさ、名前だけでも知っといた方が良いかなーって」

「そうだね。じゃあお互い自己紹介しようか」

「うん。じゃあ私から…」

そう前置きをして話す美琴。

「私の名前は御坂美琴。常盤台中学の二年生です」

そして黒子。

「私の名前は白井黒子。同じく常盤台中学の一年生ですわ」

「美琴ちゃんに、黒子ちゃん。よろしくね」

そして…

「じゃあ最後に、私の名前は…」














「上条当麻。とある高校の一年生です」













「「……え?」」

というわけでしゅうりょー。

待たせてしまってすいません…。

また書き溜め作業に入りますのでまた次のときまで。


最後に少しレス返し

>>223
個人的にこっちの方が良いと思って書きました。

>>224
そうです。姫神さんみたいな黒髪ロングです。

乙でした

姫神さんのアイデンティティーがまた一つ……

姫神さんが息してない!

ね、燃料投下!女体化土御門も混ざってるけどな!

http://upup.bz/j/my19610qHjYt58bG4u1wkE_.jpg

ついでにこっちにも投稿しておこう、燃料だ!

http://upup.bz/j/my20185CPqYt58bG4u1wkE_.png

>>276>>280
支援ありがとうございます!

>>264>>265
姫神さんはまだ出番はあります(予定)

短いですけど投下

「これからよろしくね」

そう言い、上条は背を向けて歩き出す。

しかし、後に残された二人の少女はその場から動けずにいた。

今目の前の少女は何と言った?上条当麻?

今、自分の目の前にいる少女が、あの上条当麻だというのか?

「上条…さん?」

思わず隣にいた黒子が名前を反復する。

黒子も信じられないでいるのだろう。

当たり前だ、今まで話していた少女が、彼女、御坂美琴の思い人であるなんて信じられるわけがない。

「あ、ちょっと待っ…!」

そんな中美琴が上条に声をかけようとするが、その上条の背は既に小さくなっていた。

追いかけなくては、先程の発言の真意を問わなければ。

そう思っているのだが、ショックだったのか身体が全く動かない。

そうしているうちに、上条の姿は、消えていった…。

そこからはあまり覚えてない。どうやって寮に戻ってきたのか、どんな道を使ったのか、誰と会ったのか…。

隣のベッドに座る黒子の様子からしてみても、おそらく私と同じだろう。

私たちは黙っていた。いや、喋れなかったという方が正しいかもしれない。

「どういう…ことでしょう…」

唐突に黒子が話し始める。

「あの女性の言うこと…、上条当麻という名前…」

「…」

「端から見れば冗談にも聞こえますが…あの方は冗談を言う人ではありません」

黒子自身、表では上条のことを敬遠しているが、上条の人間性は不本意ながらも認めている。

美琴自身もそれは同じで、あの男がたちの悪い冗談を言う様な人ではないと知っている。

だからこそ、だからこそ信じられないのだ。

それに、上条は美琴たちのことを覚えていなかった。

美琴にとって、上条当麻が女になってしまった以上に、それが一番ショックでもあった。

記憶がない。それは今まで彼と共に解決してきた問題や、彼との思い出が全て消えてしまったことでもある。

考えたくなかった。けれど、彼との思い出が、全て一人の物となってしまったことに、美琴は悲しみを隠せなかった。

もう…アイツの中に、私はもういないのかな…。

嫌だ…、そんなの、嫌だ…っ。

「お姉様…?…っ!?」

様子のおかしい美琴に気付いた黒子が近づいた時、黒子は信じられない物を見た。

美琴が、人前では絶対に涙を見せない彼女がいつの間にか涙を流していた。

「ゴメン黒子…、今日はもう寝るね」

「お姉様…」

涙声でそう言う美琴。黒子はその様子に何も言えなくなる。

背中を丸めるように布団に包まる姿は、とても小さく見えた。

次の日、黒子はある人物の元を訪れていた。

「で、僕の所に来たと」

「はい」

冥土帰し。おそらく上条のことについて一番詳しいのはこの人以外いないだろう。

そう思い、黒子は病院に来ていたのだ。

「単刀直入に聞きます。一体、上条さんに何があったんです?」

「…聞きたいかい?」

「…っはい!」

「そうか…」

「お願いします!」

そう言って黒子は頭を下げる。

冥土帰しは彼女のその姿に負けたのか、

「後悔しないね?」

そう前置きをし、顔を上げた彼女が頷くのを見ると、淡々と話し始める。

その内容はここでは省略させていただく。

彼女は冥土帰しの話す言葉に何も言わず、ただ真剣に耳を傾けていた。

そして…

「これで僕の知っていることの全てだよ」

「…まさか、そんなこと」

「信じられないかもしれないが、これは全部真実だよ」

「でも!…でも…」

黒子は何を言えば良いのか分からなかった。

冥土帰しもその様子を察したのかそれ以上口を開くことはなかった。

一方その頃、御坂美琴は街をふらついていた。

何も考えず、無気力のまま、ただ歩き続けていた。

もし普段の彼女を知るものがいるのならその姿はとても異様に映っただろう。

いつもの様な姿勢の良さはなく、背中は丸まり、ただ俯いているだけ。

そして彼女の顔色は悪く、瞳は赤く腫れていた。

そんな中、離れた場所から何か言い争う声が聞こえる。

おそらくまた不良たちが女の子をナンパでもしているのだろう。

美琴は、そういえば初めて会ったときもこんな感じだったなーなんて考えながら、とりあえず放っておくわけにはいかないので仲裁に入ろうとする。

すると美琴の耳に最近聞いたある声が聞こえてきた。

「貴方たち、恥ずかしくないんですか!」

美琴はすぐに分かった。この声は、昨日公園で聞いた、あの少女と同じだ。

美琴は急いで声の元に向かう。そこには、数人の不良と、それに囲まれる上条と一人の少女の姿があった。

上条はその少女を背に、不良たちの前に出てきて口論をしている。

「たった1人に対してこんな大勢で囲んで…」

「うるせぇんだよ!」

すると不良のうちの1人が上条をはたこうとしたのか、手を振り上げる。

が、その不良たちは後ろからいきなり来た電撃にその場に全員気絶する。

何が起きたのか、上条は電撃が来た方向を見ると、昨日公園で出会った御坂美琴の姿を確認した。

「美琴ちゃん!」

その上条の笑顔に美琴は…

「こんなとこで…何やってんのよ、アンタ…」

こんなセリフしか、返せなかった。

投下終わり

また次の投下の時まで

保守ついで生存報告しておきます

待ってる人もう少し待って下さい

もしかしたら本編投下前に小ネタ投下するかも…

というわけなのですみません

ちょっと本編の続きで行き詰まってるので息抜き程度に小ネタ投下

妄想をそのまま文章にするのでちょっと遅いです

小ネタなので台本形式


『雷』

ザァー

上嬢「今日も雨…か」

吹寄「ここ何日かずっと続いてるわよね…。いい加減嫌になってくるわ…」

姫神「それでも。ずっと暑い日が続くよりは。断然いい」

吹寄「まぁね」

上嬢「雨が降る事で空気が冷えて少し涼しくなるからね」

姫神「そう」

上嬢「でもこう雨が続くと洗濯物が乾かなくって…」

吹寄「あー…それはあるわ。もう着るものがギリギリでね…」

上嬢「そろそろ下着の方も…ね」

姫神「巫女服が乾かない。ちょっと憂鬱」

吹寄「巫女服って…」

ガララッ

土御門「いやー、参ったぜい」ビショビショ

青ピ「もう嫌や…」ビショビショ

吹寄「土御門に青ピ!?」

上嬢「一体どうしたの?そんなにビショビショになって」

土御門「いやーちょっと厄介な事があってにゃー…」

青ピ「もう着替え殆ど残ってないで…」

姫神「またなにか。企んでる?」

土御門「違うぜい」

青ピ「聞いてくれるんか三人とも…」

吹寄「どうしたのよ、いつもの青ピらしくない…」

上嬢「そこまでショックな事が?」

青ピ「いや実は…」

土御門「いつも通り、俺たちは購買まで行こうと思ったんだにゃー」

上嬢「うんうん」

青ピ「ただ、購買まで行くには一度外に出なアカン」

姫神「それはよく分かる。何回か利用してるから」

土御門「で、今日もこの通り空は雨模様」

吹寄「ここ何日か続いてるわね」

青ピ「もちろん傘を使うやん?」

上嬢「濡れるのは嫌だからね」

土御門「それで傘を使ったわけなんだが…」

姫神「が?」

青ピ「今日は一段と風が強くて…傘の意味が殆どあらへんかったんや…」

吹寄「それで?」

土御門「それで、まあ一応購買までは行けたんだが、帰りに…」

上嬢「か、帰りに…?」

青ピ「購買で買ったものが…全部風に飛ばされていったんや…っ!」orz

姫神「それは…」

吹寄「御愁傷様」

土御門「こりゃあ今日は雷あたり何処かに落ちそうぜよ」

上嬢「かみなり…」ピクッ

吹寄「どうしたの上嬢」

上嬢「い、いえなんでも…」

ピカッ

上嬢「」ビクッ

姫神「あ。光った」

ドォン

土御門「言ってるそばから落ちたみたいだにゃー」

上嬢「そ、そうだね…あはは」

吹寄「上嬢?顔色が悪いわよ?」

上嬢「だ、大丈夫だよ吹寄さん!」

吹寄「そう?ならそれで…」

ピカッ        ドォン

上嬢「」ビク

青ピ「あ、また光ったで」

上嬢「そそそ、そう、だね…光った、ね」プルプル

姫神「上嬢くん?」

上嬢「ななな何かな姫神さん!?」

姫神「もしかしなくても。雷怖い?」

上嬢「ふぇっ!?」

上嬢「ななな何を言ってるのかな姫神さん!?」

姫神「だって。顔色悪いし。震えてるし。それに」

上嬢「そ、それに…」

姫神「空が光る瞬間。一瞬反応する」

吹寄「確かに…」

土御門「カミやん…」

青ピ「雷怖いん?」

上嬢「そ、そんなこと…ある、わけ…」

カッ ドォーーーン

吹寄「わっ!」

青ピ「今のは結構近くに落ちたなー…ってあれ?」

姫神「上嬢くんは?」

土御門「」チョイチョイ

カーテン「」フルフルフルフル

青ピ「カミやーん?」

カーテン「」ビクゥッ

カーテン「終わった?」

吹寄「は?」

カーテン「雷…」

吹寄「雷…はさっき落ちたけど…」

姫神「やっぱり上嬢くん」

土御門「雷が怖いみたいぜよ」

カーテン「こ、怖くない!」

青ピ「そんなカーテンに包まりながら言うても説得力ないで…」

上嬢「だ、だって…」ウルウル

土御門「大丈夫ぜよ、カミやん」

上嬢「本当?」

吹寄「まぁ雷なんて滅多に落ちるものではないから…」

ピシャァァン!!

上嬢「いやああああああ!!」

土御門「へっ?おぐぅっ!?」ドスッ

吹寄「ちょっ!」

青ピ「カミやん!?つっちー!?」

上嬢「」ガタガタガタガタ  ギュー

土御門「か、カミやん…苦しい…」

姫神「雷が怖い上嬢くん。いい」

土御門「言ってないで、助けて欲しいにゃー…」

上嬢「つ、土御門さぁん…」フルエゴエ

土御門「な、なんぜよ?」

上嬢「怖かったぁ…」ウワメヅカイ ナミダメ

土御門「」ズキューン

青ピ「ほぉ…」

土御門「」ハッ

青ピ「羨ましいなぁつっちー?」

土御門「あ、青ピ?」

青ピ「僕らを差し置いて…なにカミやんといちゃついてるん?」

土御門「ふ、不可抗力ぜよ…」

青ピ「裏切り者には…」

男子その他「「「「「死の鉄槌を!!」」」」」

土御門「お前らどっからわいて出た!」

青ピ「捕まえろ!」

男子その他「「「「「おおーーー!!」」」」」

吹寄「上嬢はこっち」

上嬢「うぅ…グスッ」

姫神「大丈夫。多分もう来ない」

土御門「だーっ!!捕まってたまるかーーー!!!」

青ピ&男子その他「「「「待てぇぇえええええええ!!」」」」

土御門「くそっ!役得だったけど不幸だにゃーーーーー!!!」

小ネタ終了です

保守ついでに生存報告です。

結構待たせてしまって申し訳ないです。

金曜日…あたりに一度投下します

報告
金曜日中には無理そうなので、今進めてる安価スレを進めた後に投下します

日付跨いだくらいに来ると思います

超電磁砲見たいし…(小声)

投下いきます

「あの、ありがとうございました!!」

「いいよー。次から気をつけてね」

「はい!」

上条の後ろに隠れていた女の子はお礼を言うと、去って行った。

「えっと、上条さん」

「なに?」

「ちょっと話がしたいんだけど…」

女の子が去ったのを確認すると、美琴が切り出す。

美琴はこの上条当麻という少女に色々と聞きたい事があるのだ。

「うん、いいよ」

上条はあっさりと承諾した。

美琴はその様子に少し驚きの表情を見せるが、すぐにもとの表情に戻る。

「じゃあ、まずは…」

そう美琴が切り出そうとしたら、どこからか、きゅるる、なんて可愛い音が聞こえてきた。

美琴が上条の方を見ると、顔を少し赤らめ、恥ずかしそうにお腹をおさえてる上条の姿を見た。

「はぁ…」

そんな姿に呆れたのか、美琴は溜息を漏らしながらある提案をする。

「ファミレス、行く?」

場面は変わってファミレスのある一角、そこにはサラダを頼んだ上条とアイスコーヒーをドリンクバーから持ってきた美琴が向かい合って座っていた。

「それで話ってなに?」

と、そこに上条が話を進める。

「ああうん。聞きたい事があるんだけど、聞いてもいい?」

「いいよ」

上条の承諾を貰い、美琴は問に入る。

「で、どうしてあんなことしてたの?」

「あんなこととは?」

「っ…、女の子が、一人で大勢の男に向かってったことよ」

「ああ、あのことね」

軽く答える上条の気楽さに美琴は少しいらだちを覚える。

一歩間違えれば上条の方が襲われてたのかもしれないのだ。

なのに、どうして上条はこうもあっさりと…。

「うーん…、まぁ勝手に体が動いたから…って言うのが無難かなぁ…」

「勝手に体が動いたって…それじゃまるで」

「まるで?」

「いや…何でもないわ…」

「?」

まるで…そう、まるで上条みたいと言いそうになってしまった。

けれど、何度も言うがこの少女は上条本人である。

美琴はまだ完全には信じられていないが、この言葉には以前の上条の影を思わせる言葉であった。

「まぁ体が勝手に動いたって言うのもあるけど…」

「え?」

「やっぱり、『困ってる人を助けるのは当然』なんじゃないかなって思ってさ」

「!!」

「だからかな。考える前に、体が動いちゃった」

同じだ…。アイツと同じ…、後先考えずに突っ込んでいくこの性格…。

「なんで…」

「え?」

「なんでそんなことが出来るのよ!」

気付いたら美琴は大声を上げていた。

周りの客から奇異の視線を向けられるが関係ない。

「アンタ、もしかしなくても記憶無いんでしょう?」

「!!…どうしてそのこと…」

「私はね、アンタのこと、知ってるわ」

たった半年程度の付き合いだけど…、と心の中で付け足す。

「そっかぁ…、美琴ちゃんは私の昔を知ってるんだね」

「ええ…」

二人の間に沈黙が出来る。

カラン、とグラスの中の氷が音をたてる。二人は何も話さない。

「きゃぁああああああああ!!」

「「!!」」

その沈黙を破ったのは、美琴の声でも、上条の声でもなく、一人の女性の悲鳴だった。

「だ、誰か!その人を捕まえて!」

見るとそこには道に倒れた女性が一人、反対側には荷物をもって走り去っていく人影。

「ひったくりか!」

美琴がそう認識する。しかしそれより速く動いたのは誰でもない上条だった。

「っ…!」

「え、あ、ちょっと!!」

名前ミスりましたけど>>1です

一方、上条はひったくり犯を捕まえるために走り続けていた。

上条はそれなりに体力はあるほうだ。少なくとも普通に運動をしている人ほど走ることは出来る。

けれど今は女性の体。いくら元男性とはいえ、性別の壁は高いものである。

いつもよりも早く、上条の体に限界が訪れた。

「はぁっ…はぁっ…!」

上条が限界を感じていると、突然前を走る犯人が立ち止まる。

行き止まりか、それとも諦めたのか。

とにかく上条はこの機を逃さず、犯人を捕まえる。そう思っていた。

けれど犯人が止まった理由は行き止まりでも、諦めたのでもない。

ここはとある路地裏。路地裏と言えば不良のたまり場になっていることもある。

つまり…

「お、来たか」

「何だソイツ。結構可愛いじゃん」

「コイツ、ずっと追いかけてきてたんですよ」

どこからか数人、不良たちがゾロゾロと出てきた。

しまった…。上条はここまで犯人に誘導されていた。

行き止まりでも、諦めたわけでもなく、ただここに、仲間がいたから止まったのだ。

ジリジリと上条は後ろに下がるが、既に後ろにも回り込まれていた。

上条はそのまま追いつめられ、背中には建物の壁、周りには下品な笑みを浮かべた不良たち。

上条の足が震える。いや、足だけじゃない。体も震えている。段々と足に力が入らなくなり、その場にへたり込む。

(なんで…震えてるの…。どうして…動かないの…。)

上条は分からない。何故震えているのか、何故体がこうも動かないのか。

目尻に涙がたまってくる。元男性とはいえ、今の本質は女性だ。

おそらく男性よりも恐怖を感じる感覚が鋭くなっているのだろう。

だから体が動かない。体が言う事を聞かない。

結局、上条は壁を背に、その場にへたれこむしか出来ない。

男たちの手が目の前に迫る。

ああ、もうダメだ。

上条がそう諦めかけた時、一瞬の光が目の前を横切る。

「ああ?」

不良たちが光が来た方向を見る。遅れて上条もその方向を見る。

そこには、息を切らせた女の子、電気を全身に巡らせた雷神こと、常盤台の電撃娘、御坂美琴の姿がそこにはあった。

投下終了です

なんか…前回と終わりが似てる気が…

上嬢さん最初に不良たちに向かっていったじゃんって話は後に補足します

ではでは

冥土返し「上条君、これ以上のダメージの蓄積は非常に危険だ。もう戦ってはいかん!」

上嬢「でも…インデックスを狙う魔術師たちはあとをたたない。私が逃げたらあの娘は…!」

冥土返し「上条君、今は自分のことを考えるべきだ。…これ以上の戦いは、死を意味するんだよ…?」

上嬢「…もう元の身体にはもどれないの…?」

※何のパロディーでしょう?

どうも>>1です。

保守ついでに生存報告と、三レスくらいの本編投下いきます。

美琴と上条が路地裏で争っていた裏。

ここは窓のないビル内部。そこにいる人物は、学園都市統括理事長であるアレイスター=クロウリー。

そしてもう一人。現在女性となってしまっている上条当麻の親友であり、多角スパイである土御門元春。

「何の用だ、アレイスター」

土御門が問う。しかしアレイスターは口を開かない。

二人の間には沈黙が続く。

「おい。お前がここに呼んだんだろうが。用件がないなら俺は帰らせてもらうぞ」

土御門が強い口調で言葉を発するが、やはりアレイスターは口を開かない。

「おいアレイスター!ふざけてるのか!?」

「ふざけてなどいない」

土御門の問いに、初めてアレイスターが口を開く。

「ならさっさと用件を言え。こちらもこんな事をしている時間はないんだ」

「そうか、なら話しておこう」

アレイスターはそう言い、ゆっくりと話し始める。

「極秘にだが、上条当麻に護衛をつける事にした」

「護衛だと?何故だ?」

「今の上条当麻は、魔術について何も知らない。全ての記憶を今は失っているからな」

「っ…」

軽い口調で言うアレイスターに、思わず土御門は唇を噛む。

「だからこその護衛だ」

「どういうことだ?」

「分からないか?幻想殺しの使い方を理解していない上条当麻を狙う輩がいないとも限らないからだ」

「…っ!!」

「そして問題はもう一つある」

「もう一つ…?」






「上条当麻の右手に、今現在幻想殺しは宿っていない」






「なっ…!?まさか…っ!」

「そのまさかだよ。私も最初は目を疑ったがね」

「上条当麻に幻想殺しがないとするなら…なぜ狙う輩がいると…。幻想殺しは上条当麻から他の人に移ったんじゃ…」

「違うな。幻想殺しは上条当麻にしか宿らない。それ以外にはありえないからね」

「じゃあ何故…」

「幻想殺しは今は上条当麻の中にある」

「中?」

「性別が変わった影響か、幻想殺しが表に出せなくなっているようだ」

「待て…。じゃあ上条当麻を狙う目的ってまさか…!」

「そのまさかだ。幻想殺しそのものを、狙う可能性が高まってきている」

「だからこその…護衛ってことか…」

「その通りだ」

「なら…その護衛は一体誰なんだ…?」

「既にここに呼んでいる」

土御門の背後に人の気配。土御門が振り向くとそこには…。

「お前は…っ!」

ここまでです。

書き溜め無しで投下するのは結構大変ですね。

さて、上嬢さんを護衛するのは一体誰なのか。

ヒントは魔術師側の女性です。

幻想殺しについては独自解釈してます。

このSSにおいて幻想殺しの現在の状況は、上嬢さんの右手にはなく、上嬢さんの体の中に、核としてある状態です。

なので幻想殺しの恩恵は受けておらず、上嬢さんは普通の女子です。不幸でもありません。

ではでは、今回はここまで。

さて超電磁砲が終わってからそこそこたった そろそろペースを上げてもいいんじゃないか?

>>91
日本人(神裂&土御門)「上条への配慮が足りなさ過ぎた。アイツの性格はわかってたのに・・・」
欧米人(ローラ)「ただ働きさせても文句言わない異教徒の奴隷が手に入ったww」
白人なんかみんな[ピーーー]ばいいのに・・・

どうも>>1です

前回の投下からもう二週間ですか…

時間が経つのは早いですね。で、これだけ間開けたのにあまり書き溜めがない…。

今回もそんなにレス消費しないんじゃないんでしょうか…。

ではでは今回の分投下いきますー。

さて、土御門とアレイスターがそんな話をしていた頃の上条サイド。

そこには泣きじゃくる上条と、それをあやす美琴の姿があった。

美琴は上条のいつもと違う姿に少し戸惑いながらも、しっかりとその小さな体を抱きしめていた。

こうして抱きしめていると、少しこの少女の事が愛おしく感じる。

美琴はほんの少し、本当にほんの少しだけど、黒子の気持ちがわかったような気がした。

あくまで気がしただけである。

それはさておき、美琴は上条の髪を撫でながらこれからの事を考える。

美琴は今回の出来事で、この少女は上条当麻と確信していた。

後先考えずに厄介ごとに突っ込んで行く性格は彼そのものだ。

中にはそう言う性格の女性もいるかもしれない。けれど、美琴の中でそういう性格を持つ女性は知らない。だからこその確信だった。

だけど、今の彼女、上条には、その厄介ごとを解決できる力を持ち合わせていない。

先程の不良たち。いつもなら持ち物を取り返した後、彼なら一目散に逃げるだろう。

だが彼女は違う。数人の不良に囲まれただけで腰が抜けてしまうほどの、か弱いただの女子高生なのだ。

このままではいずれ取り返しのつかないことになるかもしれない。

「(だったら…、私がコイツを、今まではコイツに助けられてきたけど、今度は私が助ける番だ!)」

彼との思い出はもう無くなってしまったけれど、またこうして彼女と共にこれからを作って行けばいい。そして、もう二度と失わせない。

彼との初恋は終わってしまったけれど、これからは彼女と今まで以上に親密になればいい。大切な親友になってやればいい。

そう、なにも二度と上条当麻と会えなくなったわけじゃない。

性別こそ変わってしまったが、目の前には変わらない上条当麻がいる。それで充分じゃないか。

そう考えると、さっきまで落ち込んでいた気分が一気に楽になった。

美琴は思わず笑ってしまう。

それを見るのは少し落ち着いた上条。

彼女の笑う姿につられて上条もクスリと笑みをこぼす。

路地裏に女の子の笑い声が二つ。端から見るとおかしな光景だが、笑っている女の子たちは、とても幸せに見えた。

「ごめんね、みっともないとこ見せちゃったね」

少し顔を赤らめながらそう言う上条。目元はまだ少しだけ赤い。

「別にいいわよ。アンタを知ってる側から見れば、珍しいものが見れたし」

ちゃかすように美琴が言う。その言葉に上条はさらに顔を赤くしてしまう。

「うぅ~…、美琴ちゃんのいじわる…」

「うっ…」

赤い顔で涙目でこちらを見ながらそう言われると、女の子に興味がないはずの美琴に変な感情が沸いてくる。

「(な、なんなのよこの破壊力は!?か、可愛い…って違う!私は黒子じゃない!!)」

このままではどうにかなってしまいそうだ。だからとりあえず移動することにした。

「ごめんごめん。ほら、戻りましょう」

「うん。そうだね」

そう言って二人は並んで歩き出す。

二人は路地裏を出て、当てもなく歩き出す。当たり前のように二人並んで。

ふと美琴が一つ気になることがあった。記憶喪失のことだ。以前の記憶喪失は失っただけでなく破壊。つまりもう既に修復は不可能。

ならば今回は…?

「ねぇ、ちょっと一つ聞いてもいいかしら?」

「ん?いいよー」

「アンタさ、記憶、ないんだよね?」

「…うん」

美琴の問いに一瞬だけ表情を曇らせたが、上条は頷く。

「それは、只の記憶喪失なの?」

「え?うんそうだよ?病院の先生はそのうち記憶が戻ることもあるかもしれないって言ってた…かな?」

「それじゃあ、記憶が破壊されたってわけでもないのね?」

「う、うん多分…」

普通の記憶喪失。もしかしたら、あの女に頼めば何か掴めるかもしれない。

思い立ったが吉日。とにかく行ってみることにする。

「ねえ、これから寄りたいとこあるんだけどいい?」

「うん、いいよ」

「ありがとう」

そう言い、美琴は彼女の手を取って歩き出す。目的は常盤台中学。

そして目的の人物。

「~♪」

学舎の園。そこの一角にあるとあるカフェテラスに、その人物はいた。

「見つけたわよ」

美琴の声にその人物はゆっくりと顔を向ける。長い金髪に、中学生離れのプロポーションを誇る彼女。

その人物がゆっくりと口を開く。

「はぁい御坂さん。そろそろ来る頃だと思っていたわ。それと…」

「ようこそ学舎の園へ。上条さん」

「…!」








学園都市のレベル5の7人のうちの一人

学園都市最高の精神系能力者

第5位 『心理掌握』 食蜂操祈






ここまで。

うーん短い…。このペースじゃあ完結はいつになるのやら…。

最初から見てくれてる人には本当に感謝ですね。

もうスレ立ててから5ヶ月経ってます。もう少しで半年になりそうです。

こんな亀更新ですが、最後までお付き合いいただけるととても嬉しいです。

>>387
ペースあげることは善処します…。1週間に1回ペースで投下できたらいいですね…。
ただ>>1がSS書く事自体初心者に毛が生えた程度なのであまり期待はしないでください…。
一応安価スレはやってますが…


こんなところでしょうか。ではまた次回の投下の日に会いましょう。
安価を見てくれてる人はそちらで会うこともあると思います。
ではでは

>>404
『 1週間に1回ペース 』

………。

………………。

……………………………………ッッ!!!!!!!!!!!!!!

>>1です

生存報告します…

>>413
マジでごめんなさい…。
一週間に一回を目標にして結局出来ず…
火曜日までには投下できるようにします…
というか火曜日までに一度投下します

>>1です
投下は22時半頃を予定しています

そろそろ投下いきます

今回も二週間経過した割には短いです、ごめんなさい

「食蜂…操祈…?」

そう呟く上条。食蜂を見据える美琴。そして、こちらを眺めている食蜂。

美琴にとって、彼女はあまり関わりたくない相手であったが、この緊急事態だ。そんな事言っている場合ではない。

「冥土帰しから話は聞いていたから、そろそろと思っていたわ」

と、食蜂が口を開く。

「冥土、帰し?」

聞き慣れない名前に美琴は反応するが、食蜂は気にしないでとだけ言い、カップを置く。

そしてそのまま立ち上がり、上条の方へ近づいてくる。その距離はどんどん縮まり、制止する美琴の声を無視し、上条の目の前にまで来る。

その距離は顔と顔がくっ付いてしまいそうなほどにまで接近していた。

「ふぅん…」

「あ、あの…なんですか?」

食蜂は顔を離し、じっと上条の姿をゆっくりと確認する。その行動に上条は戸惑うばかりで、美琴は訝しげな表情で彼女の行動を見つめていた。

「話には聞いていたけど、本当に女の子になっているみたいね」

食蜂は納得したように頷く。そしてその頷いている食蜂の表情が少し寂しげな表情になるが、すぐにいつもの彼女に戻る。

「えっと…、食蜂さん…話を聞いていたって…」

「ええ、私はあなたのことを知っているわ」

その言葉に上条は驚きを隠せない。このようなお嬢様みたいな人が自分の知り合いだったことに上条は何も言葉が出なかった。

「今日ここに来たのは、私に上条さんの記憶を見てもらいたいってことかしら?」

「…!何でもお見通しってわけ…?ええ、そうよ」

美琴の反応に食蜂は笑みをこぼす。その表情にますます美琴は苛立ってくるが、いちいち反応していてはキリがないので我慢する。

それよりも、今は上条の記憶がどうなるのかが問題なのだ。

「どうにかして、コイツの記憶喪失を治したいの。それにはアンタの協力が不可欠よ。お願いできるかしら」

美琴は苛立ちを押し殺し、精一杯食蜂に頼み込む。これでダメなら、力ずくでと思っていたが、彼女の答えは意外なものだった。

「ええ、いいわよ」

即答。

その答えに驚いたのは上条はもちろん、美琴も驚く結果になる。

美琴はこう言った面倒な事柄は彼女は渋ると考えていた。

だから今回彼女が簡単に依頼を快諾してくれたのは美琴にとって異様なことのように映ってしまう。

「アンタ…何か企んでいるんじゃないでしょうね…」

だからこんな質問がつい美琴の口から出てしまう。

「企んでいるなんて酷い。私はただ純粋に、彼…いえ、彼女の役に立ちたいだけよ」

そう言って食蜂は上条の方へ目を向ける。じっと見つめられた上条は身体が硬くなるのを感じていた。

食蜂の綺麗な瞳に思わず上条は見蕩れてしまうが、食蜂はすぐに美琴の方へ向き直る。

「それじゃあ移動しましょうか」

「移動?」

「ええ。誰にも邪魔されない場所に…ね」

常盤台中学のとある寮の一室。寮の一室となっているが、今現在この部屋は使われておらず、ベッドと椅子程度しか置いていない。

「ここでいいかしら」

「ここは…」

「使われていない部屋の一つ。今回もしかしたら私の能力をフルに使う可能性があるし、それなら静かで誰にも邪魔される可能性は少ない方が良いからね」

そう言って食蜂はベッドの上に枕を置き、少ししわのあるシーツを整える。

それから椅子をベッドの近くに寄せ、位置を確認する。そしてそれが完了したのか、上条の方へ身体を向ける。

「じゃあ、ここに横になって頂戴」

「えっ…。でも…」

上条は心配そうに美琴の方に首を向ける。美琴は少し難しい顔をしていたが、不安げな上条の顔を見ると、表情がすぐに柔らかくなる。

「大丈夫よ」

その言葉にホッとしたのか、上条はゆっくりとベッドの上に横になる。そしてその額に食蜂が手を置く。

「御坂さん」

「何よ」

「これからは一歩も誰一人この部屋に入れないでね」

「…わかった」

「じゃあ…いくわよ上条さん」

その言葉に上条は小さく頷く。

「能力…発動…」

次の瞬間、世界から二人の意識は切り離された。

上条当麻の記憶、その中に食蜂操祈はいた。

その様子を例えて言うなら某錬金術師が某扉に行ったときのような感じだろうか。

今食蜂の目の前には、夏休み以降の上条当麻の記憶が一つ一つ塊となって流れている。

三沢塾、妹達編、エンゼルフォールなど、これだけ見ると食蜂が知らないだけで、半年程度で様々な事件に巻き込まれていることが分かる。

「上条さん…一体何をしていたの…」

その中には大覇星祭の時の様子も残っている。

オリアナ・トムソンとの戦闘や、御坂美琴の件でも走り回っており、食蜂としては見逃せない記憶ばかりであった。

「でも、これを上条さんに戻せば…」

そう思い、手を伸ばして記憶に触れた瞬間、電気が走ったように食蜂の手がはじかれた。

「ッ…!」

何が起きたのか一瞬理解が出来なかった。

食蜂が記憶に触れた瞬間、その記憶が拒否するように手の侵入を阻んだのだ。しかしもう一度食蜂は手を伸ばそうとする。

「何度やっても無駄だぜ」

声が、聞こえた。そんなまさか、この中には自分しかいないはず…、気のせいだと思い、もう一度手を伸ばした所で…。

「無駄だって言ってんだろ」

幻聴じゃない。今度こそはっきりと聞こえた。だがそんなことはありえない。食蜂だけが入り込める記憶の中に誰かが入り込むなど。

「それとも、アンタは俺の主様を殺す気でいるのかい?」

気配。感じる。今、食蜂の後ろに誰かがいる。

その姿を見るべく、食蜂はゆっくりと後ろに振り返る。

「え…!?」

「よう」

その特徴的なツンツン頭で、特に特徴のない、平凡な容姿。中肉中背だがやや筋肉質な体格。そこにいた人物は…。

「上条…さん…?」

そう。以前の、女性になる前の男性としての上条当麻がそこにはいた。しかし

「上条当麻?いいや違う。それは俺の主様の名前だな」

食蜂のつぶやきを上条に似た人物は否定する。

「そうだな、俺の名前は…」












「幻想殺し。お前には、イマジンブレイカーと言った方が分かりやすいか?」










「イマジン…ブレイカー…」

「聞いたことくらいあるだろ?上条当麻の右手に宿っていた、異能を消す力の事を」

もちろん聞いた事がある。しかし、食蜂が今気になっているのはそこではない。

「上条さんを…殺す気って…どういうことかしら?」

「あ?」

「私はただ、上条さんの記憶を元に戻すだけよ。それを…」

「だから、それが主様を殺すことになるって言ってるんだよ」

意味が分からない。

「意味が分からないって顔してるな」

「ッ…!」

見透かされている。学園都市最高の精神系能力者である彼女が。

「ていうかさ、アンタ学園都市で最高の精神系能力者なんだろ?だったら分かるはずなんだけどな。仕方ないから教えてやるよ」

「何を…」

「上条当麻、主様の記憶は戻らない。絶対にな」

そんな…。思わず食蜂はポツリと呟く。

「記憶って物を脳に定着させるにはそれ相応の器が必要になるんだよ。水が器に入っていないとこぼれてしまうようにな。つまり、今の主様に、今までの記憶を思い出させることは出来ない。男のときと比べて、キャパシティが格段に落ちているからな」

「そんなの…やってみないと分からないじゃない…」

食蜂は反論する。しかし幻想殺しは分かっていたように返す。

「なら、やってみるがいいさ。おそらく脳が処理しきれずにパンクを起こして、廃人になるだろうけどな」

「噓よッ!噓に決まってるッ!」

「噓じゃねえ」

「冥土帰しはただの記憶喪失だって言ってたわ…。破壊じゃない限り、まだ戻る可能性は…」

そこまで言った所で、イマジンブレイカーは溜め息をつく。

「まだ分かんねえのか?」

「どういう…こと」

「いいか?今の主様は何だ?」

「今の、上条さん…?そんなの普通の女の子に決まって…」

「そう、普通の女の子なんだよ。幻想殺しが無い、ただのそこらにいる一般人と同じ、普通の女の子だ。そんな主様が、あんな膨大な量の記憶を一気に戻されて無事でいられると思うか?」

その言葉に食蜂は何も返せない。

「男のときはまだ俺という存在が表に出ていたから無事だっただけだ。今の主様は俺の影響を受けていない、ただの女の子だ」

「影響を受けていない…?」

「ああ。今の主様に、幻想殺しは使えない。今の主様の右手は何の変哲もないただの右手だ」

「……」

「分かったか?お前がいくら優秀な能力を持っていたとしても、主様の記憶は戻らねえよ」

思わず食蜂は歯ぎしりする。こんなにも、自分の力が無力に感じたのは初めてであった。

「それよか、お前に面白いものを見せてやる」

「面白いもの?」

「ま、面白いものと判断するのはお前次第だがな」

食蜂と幻想殺し。二人が来た場所は記憶とは他の空間であった。

目の前には大きな扉

「ここは…?」

「よっと」

幻想殺しがその扉を開ける。

「ッ…!これはまさか…!」

「そう。主様の心だよ」

そこにあるのは二つの光。一つは真っ白なもの。そしてもう一つはドス黒く濁ったもの。

まるでその二つは光と闇のように対になっている。

「上条さんの心が、二つ…?」

「本来ならありえないことなんだがな。主様が女の子になった時に、分裂したのさ」

「分裂…?」

「ああ。白い方は今の主様の心。穢されていない純粋な心」

「じゃあ、もう一つ…は」

「男だったときの上条当麻の心だ」

「…ッ!!」

食蜂はもう一度その光を見る。男だったときの心は既に、もう元には戻れないほどに濁っていた。

「幻想殺しがあったおかげで主様はどんな目にあったかお前は知っているか?」

幻想殺しは唐突にそう聞いてきた。

「それは…昔の上条さんのこと…かしら?」

「昔でも今でも…今まで主様がどんなことに巻き込まれてきたか知っているか?」

「…子供の頃から、大人を含む殆どの人から迫害を受けてきた…のよね」

「半分正解って所か」

「半分…。じゃあ残りの半分は…」

「いじめを受け、大人達からは疫病神と忌避され、命に関わるような出来事や見世物扱いされる事などもあったことと同時に、主様は悪意や憎しみを全部吸収してんだよ」

「悪意や憎しみを…吸収?」

「俺の力の性質上、悪意や憎しみを集めやすくてな、主様は15年間、悪意や憎しみを自分の心の中にため続けてきたんだよ。そして今までそれを続けて無事だったのは、俺がその悪意や憎しみと言った感情を抑えつけていたからな」

「そして今の心の分裂…。もし、悪意や憎しみの感情が今の上条さんの心に流れてしまったら…」

「ああ。本来ならありえない心の分裂。今は俺の力のおかげで均衡を保っているが…、もし俺という壁が無くなって黒い心が白い心に喰われたら、その時はもう主様は主様じゃない」






「ただのバケモノだ」





ここまでです。

後半駆け足になって何か文章が所々おかしいかもしれませんけど、気にしないでください…。
>>1の力不足なので。

ではまた

次の投下の目標は来週の火曜日で
頑張ります

ではまた


質問などありましたら、遠慮なくお願いします。
出来る限り答えていきますので

今日は眠いので投下しません。
明日投下します。

待ってる人すみません。
眠いので今日は投下しません。明日投下します

>>1です。

安価スレ&E-3クリアしたら来ます。
ので、おそらく日にち跨ぐ頃に投下します。

E-3クリアやったぜ!
投下いきますー。

バケツの消費がマッハでヤバい…。もう20切りましたよ…

「バケモノ…って、そんな大袈裟な…」

「俺が冗談を言ってるように見えるか?」

「っ…」

「そうだな…、ここで一つ問題を出そう」

「問題?」

「そう、問題。主様が男の時は右手にだけ幻想殺し、俺の力が宿っていた。これはまあ言い換えると主様の身体がそうなるように命令していたからだ」

上条当麻の右手に幻想殺し。逆に言うと、右手にだけ幻想殺し。

「命令していた?」

食蜂は疑問を投げかける。

「そう、命令していた。考えてもみろ。もし主様の体全体から力が放出されていたらどうなる?」

「異能の力が…上条さんに全く届かない…?」

「そう。異能に対しては絶対的な防御を誇るイマジンブレイカー。逆に言うと、人の悪意や憎しみに無防備ってことだ」

幻想殺しの性質は不幸を呼び寄せる。もし幻想殺しが全身から出ていたのなら、今既に上条当麻は死んでいるだろう。

そうならないために、上条当麻自身が無意識のうちにそれを調整していたのだ。

「まあだからと言って、主様がこの力を自由に扱えるわけも無いんだがな」

「自由に扱えない…?無意識のうちに調整してるのなら、自分で力の制御くらい出来てもおかしくないはずじゃ…」

「それが無理なんだな。そうだな…この記憶をみてみろよ」

「これは…?」

「三沢塾で起きた、アウレオルス=イザードとの戦闘の記憶だ」

そこには、黄金錬成に立ち向かう上条当麻の姿と、赤髪の神父、ステイル=マグヌスの姿。

「これが何だというの…?」

「まあ見てろって」

『死ね』のアウレオルスの一言で黒髪の少女、姫神秋沙の身体がゆっくりと崩れ落ちる。そこへと走る上条の姿。そしてその後…。

「ッ…!!」

上条当麻の右腕が吹っ飛んだ瞬間だった。

「いつ見ても、綺麗に吹っ飛ばされてるねぇ。だが見なきゃいけねえのはここじゃねえ。この後だ」

「この…後…?」

正直、食蜂としてはもうこの記憶から目を背けたかったが、続きを見続ける。

「こ、これは…」

竜王の顎。通称、ドラゴンストライク。上条当麻自身は、この力に対してあまり深く考えてはいないようだが、事実、幻想殺しそのものである。

「竜の…力…?」

「竜とは少し違うな。そして、これだ」

そう言い、幻想殺しはもう一つの記憶。右方のフィアンマとの戦闘の記憶。その時には、フィアンマが恐怖を感じるほどの力を見せていた。

「何よ…これ…」

そしてその記憶でも、上条当麻の右腕は切り取られていた。

切り取られた右腕からは、先述の通りに幻想殺しとは違う『なにか』が出現しようとしていたが、上条当麻の意思によってそれを阻まれ、右腕が再生された。

「右腕が…再生してる…?」

そこで記憶は途切れた。幻想殺しが止めたからだ。

「…どう思った?」

「どう思ったって…何を、言えば良いのよ…」

食蜂は頭の中が混乱していた。無理も無い。いきなり衝撃的な物を二つも見せられたのだ。混乱しないはずが無い。

「この二つの記憶を見て、何か気付くことはあるか?」

「気付く…こと?」

「この二つの記憶。つまり、主様の右腕から出てきた謎の力。二つとも、主様の感情が爆発したことによって力が具現化しているんだよ」

「!!」

「主様が右腕を再生させた時に抑え込んだ力は、俺にも分からんがな」

ただ…、と幻想殺しは言葉を続ける。

「竜王の顎…、三沢塾のときの力は、あれは主様の悪意と憎しみが形となって出てきた力だ。おそらくあの時…」

そのまま幻想殺しは口を紡いだ。続きを言わない幻想殺しに食蜂は

「…続けて」

と言った。

「……あの時、主様はアウレオルスを、殺そうとしたんだろう」

「……っ」

やっぱり。

それが食蜂の最初の気持ちで、次にどうして、と感じた。

最初に記憶を見ていたときから、あの時の上条さんには殺気があると感じていた。

けれど、信じたくなかった。あの優しい上条さんが、人を殺そうとするなど。きっと自分の勘違いに違いない。そう思っていたかった。

でも、その幻想は先程の幻想殺しの表情によって壊された。

「ねえ…」

最後の疑問。

「何だ?」

「あの二つの心。もし、白い心が黒い心に飲み込まれたときは、どうなるの?」

「…俺という力をも抑え付け、悪意や憎しみの心は力となって表に出る」

「じゃあ、もしかして…」

「ああ…。幻想殺しの力の暴走。その力が何処まで及ぶのか、俺には分からねえ。だけど…もし、そんなことになったら確実に言えるのが…」

ー呼吸置き、続ける。

「―――世界の崩壊だ」

「ありがとう…」

「礼を言われるようなことはしてねえ」

「そうね…。じゃあ私は戻るわ」

「ああ…。主様を頼んだぞ」

「当たり前じゃない…」



その言葉とともに、能力の使用を終了する。と同時に、食蜂の意識は元の世界に戻った。

目を覚ました食蜂が最初に見たのは、気持ちよく寝てる上条当麻の姿。そして、反対側で心配そうに上条のことを見つめている御坂美琴。

なんとも微笑ましい光景であるが、あの話を聞いた後に、そんなことを思っている暇はない。

食蜂は立ち上がり、扉に向かって歩いていく。

「あ、ちょっと!終わったの!?コイツは大丈夫なの!?ねえ!?」

その姿に気付いた美琴は、質問を次々と投げかける。だが、食蜂はこれを無視し、ある場所へと電話をかける。

「…こんにちは。ええ、私よ。土御門さんを呼んで頂戴。伝えることが出来たから。ええ、ありがとう」

そう相手に伝え、電話を切る。

「ちょっと、今の電話誰に…」

「御坂さん」

美琴の声を遮り、食蜂が美琴の名を呼ぶ。

「上条さんの記憶は、戻らないわ」

「え…」

「いえ、正確に言うと、戻せないのよ」

「戻せない…?」

終了ですー

幻想殺し、前にも言いましたが、個人的な見解を入れています

今日はこれで終わりです。また来週の火曜日に。ではでは



参考までにE-3突破時の編成を

旗艦:瑞鳳
他:金剛、山城、伊勢、大井、北上

これで7/8くらいでボス行きました

乙、とE-3突破オメ
俺もE-3までは終わったけど、バケツはそんなに使わなかったような…
編成よりも、よければレベルが知りたい

幻想殺しの見解、興味深いね
どうも新約9巻は上条さんのことが深く書かれそうな感じだし

>>459
レベルは瑞鳳改:52 金剛改:58 山城改:47 伊勢改:36 北上改二:54 大井改二:59
です

バケツはイベント開始時は42個、今現在20個です

乙、
上条さん女体化はコメディが多いけど、この展開は新鮮だな。
ただ、記憶を戻せない理由がいまいち理解できなかったけど。

俺提督、E-4クリアを諦め、E-3でレア艦掘りに移る模様…

>>1です

今日は投下しません、ていうか出来ません。
明日の夜投下します。

>>463
明日の投下で少し分かりやすく説明する予定です。分かりづらくてすみません。

申し訳ない。水曜日とか言っといて結局日跨いでるし…

あと少ししたら投下しますので、もう少々待ってください

そろそろ投下いきます

「戻せないって…どういう事よ食蜂!」

「どういう事も何も、そのままの意味よ」

淡々と食蜂は話す。

「今の上条さん、女性としての身体に、男性として今まで生活していた記憶を戻すことは出来ないわ」

「…どうしてって聞いても?」

「構わないわ。分かりやすく説明すると…そうね、御坂さんジグソーパズルをご存知かしら」

「馬鹿にしないでくれる?それくらい知ってるわよ」

「そう。次に御坂さんが風景画のジグソーパズルを作ろうとしてる姿を想像してみて」

「ん…。想像したわよ」

「御坂さんはどんな風景を想像したかしら?」

「そうね…。まあオーソドックスに街中かしら。それと雲一つない真っ青な空」

「なるほど」

「でも、真っ青な空って結構面倒なのよねー」

「それはどうしてかしら」

「そんなの、空に使うピースが全部青一色で一つ一つハマる場所が違うじゃない。結構探すのが面倒になっちゃうのよねー」

「確かに面倒ねそれは」

「で、これが何の意味があるの?」

「まだ想像は続けて。次は、青空を作るピースが残り十数個程になった時かしら」

「はぁ…、まあいいけど」

「で、なかなか残りがハマらない」

「あー…簡単に想像出来るわその光景…」

「そこで面倒になった御坂さんはある方法を思いつく」

「その方法は?」

「合いそうな所にピースを無理矢理入れようとするの」

「じれったくなったらやりそうね…私」

「ここで問題。ピースが合わない所に無理矢理力任せに入れようとすると、一体何が起こるかしら?」

「そりゃ、周りのピースが押されて他の所にも余計な力が入ってそのままパズルが崩れて…崩、壊……ちょっと待って、それってまさか…」

「気付いたかしら。そうよ、今の上条さんに元の記憶を戻そうとすると、記憶と肉体が拒絶反応を起こして、最終的には死を迎えるわ」

「っ…!!」

「たとえ上手く死を回避した所で、そのまま目覚めないことになるでしょうね」

「アンタでも…それを覆すことは無理なのね…」

「ええ、不可能よ…悔しいことにね…」

そう言った食蜂の口からは血が流れていた。口を切る程にまで下唇を噛んでいた。

「そう。…なら仕方ないわ…。今日はとりあえず解散しましょう」

「ええ…そうね…」

「今日はありがとね」

「…いえ」

「とりあえず、起きるまで待ちますか」

「私は外させてもらうわ」

「ん…。まあ程々にね」

「ええ…」



どんっ!!




壁を殴る音がする。立て続けに何度も、何度も。常盤台の寮の廊下、そこでは一人の少女が壁を殴り続けていた。

「何をやっている!!」

音を聞きつけたのか、寮監がやってきた。

「何をやっていると聞いているのだ!」

少女は答えない。

「答えろ!『食蜂』!!」

「…別に」

彼女自身、びっくりするぐらい冷たい声が出た。

壁を殴っていた食蜂の手からは、血が滲んでいた。壁にも少し、血が付いてしまっている。

食蜂は殴っていた手で鞄に手を伸ばし、リモコンを取り出す。そしてそれを寮監に向けてボタンを押す。

「食蜂、そろそろ完全下校時刻だ。暗くならないうちに帰れ」

「はい」

寮監を操り、面倒ごとにならないうちに外に出る。

出た先には一台の車が。

その車のドアが開く。開いた扉から見える人物は、金髪にサングラス、そしてアロハシャツを着た男、土御門元春。その男がいた。

「乗れ」

その言葉に何も応えず、車に乗るという行動で答える。

「話せるか」

「ええ、問題ないわ」

「そうか。なら聞かせてもらえるか…。上条当麻の、現状を」

「…」

少女は、話し始める。

短っ…。

終了です。

年内にはとりあえず終われたら終わらせたいですね…。

頑張ります。


あれ、おかしいな…もう三週間経つぞ…?

>>1です。
保守ついでに生存報告します。

それと現状報告。
最近リアルで忙しくなってきたので書き溜める時間が取れません。
安価スレ中、ながらが出来ないので進めながら書き溜めができない状態です。
おそらく年内に終わることは出来ません。

本当に申し訳ないです。

どうも>>1です
保守がてら生存報告します

こんな亀更新でも見てくれるだけでありがたいです。
とりあえず今日は予告っぽいことやって終わろうと思います。



「久しぶり…いや、この場合は初めましてが正しいのかしらね、上条当麻」
            ー彼女となった彼を護衛に来た魔術師・???ー


「俺は…一体何をしていたんだ…ッ!!」
            ー上条当麻の親友の一人・土御門元春ー


「酷い顔しとるで、つっちー」
            ー上条当麻の親友の一人・青髪ピアスー


「この…バカ兄貴がっ!!!」
            ー土御門元春の義妹・土御門舞夏ー


「アンタとは…そのうち決着をつけなきゃいけないと思っていたから!!」
            ーレベル5第三位超電磁砲・御坂美琴ー










「…………お願い…誰か…助けて…」
      ー女性となり、記憶を失ってしまったかつての英雄・上条当麻ー

終わりです

この続きはまた来年に

皆さんよいお年を

どうもみなさんこんばんわ>>1です。
生存報告、ついでに保守。
あまり間開けすぎるとあれだね。前どんな内容書いたのか忘れてくるね。

今週中に一度、投下いきたいと思います。待たせてしまってすいません。

どうも>>1です

明日夜…まあ既に今日ですね…投下いきたいと思います

ま、間開けた割には全然進んでないんですけどね…

このスレはエタる
俺の予想は当たる

禁書目録のSSはだいたい亀亀更新

今日投下すると言ったな、あれは嘘だ(白目)

>>521
エタらせません、たとえ誰も見てなかろうと完結までは書きます

>>522
亀も亀、大亀ですね…私の場合…


とりあえず日付変わった後に一度投下します

では投下しますー

クオリティには期待しないで下さい

車内は重苦しい空気が漂っていた。土御門は微動だにせず、ただ一点を見つめている。
食蜂は目つきが鋭くなっており、その瞳は土御門の姿を捉えていた。

そんな中、食蜂は言葉をかける。

「随分と、無茶をやらせてきたのね、あなた達は…」

その言葉に土御門は何も答えない。

「黙っているってことは、肯定と受け取ってもいいのかしら」

思わず食蜂の語気が強くなる。当たり前と言えば当たり前なのかもしれない。先程彼女は、上条当麻の記憶をほぼ全て見てきたのだから。
あいにく三沢塾からの記憶しか残っていなかったが、たった半年程度の間に上条当麻は幾度となく命の危険にさらされていた。

「……そうだな」

ここで初めて土御門が口を開く。出てきた言葉は肯定の返事。

「俺たちは、上条当麻の力を利用し、問題を解決してきた。それは紛れもない事実であり、受け入れなければいけない」

思えば、三沢塾の時から分かっていたことだったはずだ。上条当麻は絶対に面倒ごとに首を突っ込むと。

土御門は上条当麻の夏以前の姿を知る人物の一人だ。記憶を失う前の上条と、記憶を失った後の上条の本質は変わっていない。

困っている人を助ける。自分がそうしたいからそう動く。

土御門たちは、そんな上条の性格を知ってか、問題が起こるとその性格を利用し、問題を解決に導いていた。

そのツケが回ったというと言い方が悪くなるが、その結果が今の状況であり、土御門たちが彼を利用した天罰とも言えるのかもしれない。

土御門の言葉に、食蜂は何も言わず、視線を外に向け、ただ外の景色を眺めていた。

今は平和だ。食蜂はずっとこのまま、平和な日常が続けばいいと、誰に願うわけでもなく、ただひっそりと想う。

それが長く続くとは限らないのかもしれないのだとしても…

彼…いや、彼女がただ…無事に過ごせる日常が…あればいい、と。

上条当麻が目を覚まして最初に目にしたものは知らない天井だった。

「知らない…天井…」

なんてテンプレを呟いてみたりする。起き上がり周りを見渡すと、既に食蜂の姿はなく、御坂美琴だけとなっていた。

「あ、ようやく起きたのね」

その言葉に上条は窓をのぞいてみると、すでに日が沈む頃であった。

「わ…もうこんな時間なの?」

寝ぼけているのか意識が覚醒しておらず、ぼんやりとした口調で呟く。

「調子はどう?」

「ちょっとぼんやりするけど、大丈夫」

「そっか…」

そう言って美琴は上条の近くにより、外の夕日を彼女と一緒に眺める。沈みつつある夕日はとても美しく、しかし同時に儚くも見える。

「ねえ、アンタさ…記憶、無くなって…苦しくない?」

「え…?」

ふと、美琴の口からそんな疑問がこぼれる。上条が記憶を失うのはこれで二度目。いつぞやの日には何故そこまで頑張れるのか聞いた事もあった。

『アンタが記憶喪失だって事ぐらい、私は知ってるわよ!』
『アンタの中にはそれだけ大きなものがあるってのは分かる!でもそれはアンタが一人で抱えなくちゃいけない事なの?』
『私だって、アンタの力になれる!』
『アンタ一人が傷つき続ける理由なんてどこにも無いのよ!』
『どうしてアンタ一人だけは助けを求めないのよ!』




かつての記憶が美琴の頭にフラッシュバックする。見るからにボロボロで、目の焦点もあっていないような状態で、彼は何かに立ち向かおうとしていた。
その上、美琴が必死に止まるように説得しても、彼の『芯』はブレなかった。




『以前の自分の事なんて思い出せないけど。どんな気持ちで最後の時を迎えたのか、もうイメージ出来ないけど。でも、ボロボロになるとか、記憶がなくなるまで戦うとか。自分一人が傷つく理由はどこにも無いとかさ』
『多分、そういう事を言うために、記憶がなくなるまで体張ったんじゃないと思うんだよ』

この結論こそが上条当麻の本当の『芯』。

そして上条当麻を動かせる『何か』。上条当麻の『強さ』。

御坂美琴が、上条当麻に惚れた彼の『本当の心』。

「記憶が無くなって…辛くないと言えば嘘になるかもしれないね…」

「そう、だよね…」

「うん…。周りの人は親切にしてくれてるけど…」

今の彼女はとても弱い。根本的には変わってないけれど、それを実行に移せるまでの気持ちが弱い。

「記憶が無くなって、本当はあなたは助けられるべきなのよ?それでも、あなたは人を助けたいと思う?」

我ながら酷い質問だと思う。だけれど、これくらいの質問じゃないと、きっと彼女は何も答えてくれないだろう。

「…うん。助けられるなら、助けたい」

「…そう」

「うん…。美琴ちゃん、私ね、もう分かってるんだ。記憶が戻らないってこと」

「!!」

「抱え込むって言い方は変だと思うけど、多分記憶を失う前は記憶を失いたくないからって理由で、人を助けないことはしなかったと思うの」

「…やっぱりあなたは変わらないわね」

「そうかな?」

「そうよ」

うーん…、と上条は考え込む。その様子を見る限り、無意識なのだろう。そこが彼らしい、彼女らしいと言った所か。
その様子に自然に笑みがこぼれる。

「ま、今日はもう遅いし、帰りましょうか」

「そうだね」

「送っていくわ」

「え、いいよ別に。一人で帰れるよ?」

「いいえ、送らせてちょうだい。帰りにまた絡まれたりしたらたまんないわ」

「あー酷い!」

「あはは!まーそれは置いといて、これからもし辛い事があったら私にも相談してね」

「美琴ちゃん…」

「だって、私たち友達でしょ?」

「!…うん!」

その返事に美琴は笑顔で返す。

「でも、友達って言うなら、美琴ちゃんにも私の名前、呼んでもらいたいなー」

「えっ!?あ、それはまた次の機会に…」

「だーめ」

部屋を出ようとした美琴の肩をしっかりと掴む。

「私だって呼んでるんだから美琴ちゃんも呼んでよ。最初に会った時からアンタ、か、あなた、でしか呼ばれてないんだから」

「う…」

そう、彼女御坂美琴は、まだ彼、彼女の事を名前で呼んでいなかった。

いや、呼べなかったというのが正しいか。前々から呼ぼうとは思ってはいたが、中々素直になれず、キツく当たってしまうのも少なくなかった。

「ねぇねぇー」

「う、じゃ、じゃあ…か、上条…さん…」

「それじゃダメだよ。ちゃんと下の名前で呼んで?」

「うぇぇ!?」

「ほら、早く」

「う…と…とう、ま…」

最後の方は顔が真っ赤になり、声も小さかったが、上条は満足したのか、嬉しそうな顔をしている。

「うん!やっと名前で呼んでくれたね!これからよろしく、美琴ちゃん!」

そういって手を差し出す。

「あ…うん!よろしく、と、当麻!」

そういい、美琴は上条と握手を交わす。

この日、美琴はようやく、上条当麻に少し素直になれた日だった。

「あ、ねえ記念として…」

「?」

数日後…学校で。

「上条、それどうしたの?」

「吹寄さん?それってどれ?」

「だから、それよ」

そういって吹寄は上条の髪についている一つのヘアピンを指差した。

「え?ああこれ?これは友達からもらったんだ」

「へえ。結構可愛いじゃない」

「そう?ありがと!」

「でも、どうしてもらったの?」

「改めて友達になった記念!」

「そうなの。じゃあ大切にしないとね」

「もちろん!」

上条と吹寄が楽しくしている所を覗き見している人が一人、反対側の校舎の屋上に、その人物はいた。

「ふぅん…結構楽しくやってるみたいじゃない…」

風に金色の髪をなびかせながら彼女は呟く。

その後ろに、これまた髪を金色に染めた土御門元春の姿が。

「あんまり騒ぎは起こさないでくれよ」

「分かってるわよ」

彼女がここに居る理由、それは女性となってしまった上条当麻を護衛するため。土御門はこの判断には不満を漏らしているが、上の命令ということらしい。

「いいか、お前は上条当麻の護衛として呼ばれているんだ。彼女の危険と判断したら、すぐにお前を送り返してやる」

「分かってるって言ってるだろ。そんなカリカリしないでくれる?」

その言葉に土御門は舌打ちで返す。

「さぁーて…ロシアぶりの再会といきましょうか。向こうは覚えてないようだけれど」



ローマ正教・神の右席の一人である魔術師。
神の火(ウリエル)の性質をもつ。

舌にピアスを留め、そこに腰の下まで伸びる細い鎖と小さな十字架を取り付けた若い女。



前方のヴェント。彼女がそこにいた。

次回予告


「ごめんなさいっ…」
      ー記憶を失い、女性となった元英雄・上条当麻ー




「俺と付き合ってくれないか…」
      ー上条当麻の第一の親友・土御門元春ー




「君、結構不器用なんやなぁ」
      ー上条当麻の第二の親友・青髪ピアスー




「なんだ…案外楽しそうに…でもなさそうね…」
      ー神の右席・前方のヴェントー




「で、バカ兄貴は一体何がしたいんだ?」
      ー土御門元春の義妹・土御門舞夏ー





次回、「土御門元春の葛藤」

というわけでここで終了です

読み返してみるとクオリティがががが…

こんな稚拙な文でも呼んでくれてる人、本当にありがとうございます。

ゆっくりと完結に近づけますので、長い目で見守っていて下さいお願いします。

ではまた



次回予告とかやったけど次回予告までかけゲフンゲフン

復活したので一応生存報告だけしときます

どうも>>1です

久しぶりに投下したいと思います。
今までお待たせしてホントすいません。

あと少ししたら投下します。

食蜂と上条が出会った数日後、上条の所に一人尋ねてきた。

そう、前方のヴェントである。そのヴェントはというと、上条がいる寮の一室の前にいた。

「ここがアイツの…」

考えてみたら、初めて会った時は敵同士。

二度目に会ったときは共闘した間柄という、特殊な関係であり、こうして日常で会うことは初めてでもあった。

だからなのか、ヴェントの表情がいまいち固い。どのような顔をして会えばいいのか、彼女自身分かっておらず困惑しているのだ。

「と、とりあえず…」

おそるおそるヴェントは呼び鈴を押す。

しばらくすると、奥からはーい、と一つの返事が返ってくる。

扉の奥で足音がだんだんと近づいてきた。ガチャ、と扉が開く。

「どちらさまですかー?」

中から出てきたのは髪を後ろで束ねてエプロンを着ている一人の少女。

右手に調理具を持っている所から見て料理中だったのだろう。どうみても普通の女の子にしか見えない。

「あ、あの…上条当麻…でいいのかしら?」

女の子になってしまったということは聞いていたが、その姿をしっかりと見ていないヴェントにとって、今の上条当麻の姿は別人にしか見えなかった。

「あ、はい。私は上条当麻です」

そう返事が返ってくる。少し信じられなかったが、彼女は上条当麻本人で間違いないようだ。

そして今回上条当麻の元を訪れた理由だが、護衛に来た、などと正直に言えるわけが無い。

まあ要するに…

「はーい。今日は転校生を紹介しちゃいまーす」

朝の教室に高い声が響き渡る。教壇に立つ人物はこのクラスの担任、月詠小萌先生である。

転校生という言葉に、クラスの生徒たちはざわざわと騒ぎ始めた。

「転校生!?センセー、それはつまり女子ですかー!?」

大きい声で質問する蒼髪ピアス。

「うるさい!少しは静かに出来ないの?!」

そこにこれまた大きな声で注意を与える吹寄制理。

「…ッ、くっ…」

何故か下を向いて肩を震わせている土御門元春。

上条は前日に聞いていたから知っているのか、先生の紹介をじっと待っている。

「では、早速入ってきてもらいましょう!」

ガララ、という音と共に入ってきたのはセーラー服を着た亜麻色の髪を持つ一人の少女。

「それでは、自己紹介をお願いします!」

「ヴェントです…。よろしく…」

こう言う事である。

「ブフゥッ!!」

その瞬間、今まで肩を震わせていた土御門がいきなり吹き出した。

「あはははははっ!!こいつは傑作だにゃー!!」

そこには腹を抱えて笑い転げる土御門の姿があった。

今のヴェントは、顔面のピアスを全て外しており、すっぴん状態である。

実際のところ、ヴェントは美女の部類に入る。

だが、普段の彼女を知っている者からすれば、その姿はとても異様に映り、滑稽に思えてしまうらしい。

「…っ」

騒ぎを起こす事が出来ないヴェントとしては、顔を下に向けてただ我慢するしかなかった。

「こらー!失礼ですよ土御門ちゃん!」

小萌先生が注意するが、土御門は笑いを止めない。その笑いは、吹寄が頭突きをするまで止まらなかった。

「えー、気を取り直して、今日から一緒に勉強するヴェントちゃんなのです!みなさん仲良くしてくださいねー!」

はーい。と、元気な声が教室に響く。

「では、今日はシステムスキャンからですねー。皆さん移動して下さい」

その言葉にヴェントは思わず言葉が漏れる。

「システムスキャン?」

「うん。学園都市で生活するためにはまずシステムスキャンを受けなきゃいけないの」

となりに座っていた上条から説明が始まる。

「何故だ?」

「学園都市の能力者はレベル0からレベル5まで分けられているのは知ってるよね?それを判定するためのシステムスキャンなんだよ」

「ふぅん、結構面倒なんだな」

「あはは、まあ私はいつもレベル0って言うのは分かってるんだけどね」

「分かってる?どうして?」

「どうしてって…。あれ、そう言えばどうしてだろう…」

「…」

その日のシステムスキャンはつつがなく終わった。一つの大きな結果を残して…。

「上条ちゃん、上条ちゃん、上条ちゃーん!!」

午後、とてつもなく慌てた様子の小萌先生が上条の元に駆け寄ってきた。

「どうしたんですか?そんなに慌てて…」

「じ、実はですね…か、上条ちゃんに…上条ちゃんに…」

「私に…なんですか?」

「能力が!発現したんですよーーーー!!!!」

「え…えええーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!??」




「本当、なんですか…」

「本当なのです!これ、これを見て下さい!!」

先生は上条に一枚の紙を渡した。

「こ、これはっ…!」

それと同時期、学校の屋上には土御門元春と、前方のヴェントの姿があった。

「お前はどう見る?ヴェント」

「そうだね、どうにも分からない事が多いってとこか」

ヴェントは何回か彼女の右手を触ることがあったが、幻想殺しの反応は感じられなかった。

「それと、一つ気になる事があった」

「気になる事?」

「システムスキャン…だったか。それを受ける前にアイツ、今まで能力が出た事が無いって言ってたね。記憶を完全に失ったわけじゃないのか?」

「ああ、冥土帰しが言うには、普通の記憶喪失と同じ症状らしい。だが…」

「だが、なんだ?」

「…だが、上条当麻の記憶が戻る事はありえないそうだ」

「…」

「記憶のエキスパートに頼んでみた。そいつが言うには、男の時の記憶は、今の状態の上条当麻には受け付けないそうだ。無理にでも戻そうとすると、完全に記憶が破壊され一生目を開ける事は無いそうだ」

「そうか…。で、アンタはどうするつもりなんだ?」

「俺は…」

場面は変わって上条当麻。彼女は今、土御門が帰ってくる事を心待ちにしている。

能力が発現した事をいち早く彼に伝えたかったのだ。けれど中々彼が帰ってくる様子は無い。

昼の時間も終わりに近づいてきた時、ようやく彼は帰ってきた。

上条は早速伝えようとしたが、上条が伝えるよりも早く、土御門はこう言った。

「今日、大事な話がある。放課後時間取れるか?」

「え、う、うん…。大丈夫だけど…」

「じゃあ、放課後になったら屋上に来てくれ」

「う、うん…分かった…」

そう言ったきり、今日の午後、上条は土御門と話す機会も無く、放課後を迎えた…。

そして…。

放課後、屋上には二人の男女の姿。

「大事な話って…なに?」

静かな空気の中、上条が先ずは口を開く。

「…」

しかし呼び出した本人、土御門元春は今も黙ったままだ。

「…あ、あのね!」

痺れを切らした上条が先に話そうとするが。

「わ、私土御門さんに話したい事が…」

「カミやん」

「っ…、な、なに…?」

上条の言葉を遮り、土御門が口を開く。

「…俺と」








「俺と、付き合ってくれないか」










「えっ…」




「それって…どういう…」

「そのままの意味だ…。カミやん、いや、上条当麻。俺と、恋人になってくれ」

「…」

上条は、何故か嬉しいと感じなかった。

記憶を無くしてから、とても親切にさせてもらっていたし、色々と感謝もしている。

今まで数日彼と過ごしていて、とても居心地も良く感じていた。

なのに、今は…どうしてだろう、色が、感じられない。そのまま、上条は俯いてしまう。

「…」

「カミやん…?」

何も言わない上条に土御門が問いかける。その言葉には、色があった。

ああ、そうか。何故嬉しくないのか、何故何も感じないのか。

先程の土御門の告白には…なにもこもっていない。気持ちが、色が、何も…無い。

「ねえ、土御門さん…」

「なんだ?」

「どうして…私に告白しようと思ったの?」

「どうしてって…俺は、カミやんの事が、好きだから…」

「本当に?」

「あ、ああ…」

上条は顔を上げて、一言。













「嘘つき」










「っ!?」

土御門は驚愕する。俯いていた顔を上げた上条の顔には涙が浮かんでいた。
そこで土御門は動揺する。

「嘘つきだね、土御門さんは」

「そ、そんなことは…!」

「あるよ。だって…」



「だって、土御門さん、全然私の事を見てくれてないんだもん。」



「そ、それは…」

「たまに、私に誰かを重ねてるよね…土御門さん。今も、そんな目をしてる」

「…っ!か、カミやん、それは…」

思わず土御門は手を伸ばす、が…。

「…っあ、…っ、ごめんなさいっ…!」

その言葉と共に、上条は屋上から出て行った…。

「カミやん!待っ…」

土御門の呟きに、返事は返って来なかった。

「はぁっ…はぁっ…」

廊下を走る上条の姿。幸い、校舎の中には殆ど生徒も残っておらず、誰かにぶつかるという事もそうそう無い。

しかし、やはり廊下の角など、死角はあるわけで、そのまま走るのは結構危険なのである。

だからそのまま、角から来た青髪ピアスが見えず、肩がぶつかってしまう。

「っと…!ちょ、気をつけてって…」

「す、すいませんっ…!」

「カミ、やん?」

上条当麻はそのまま走り去っていく。ぶつかった所為なのか、上条の顔が一瞬上を向く。

一瞬だけれど、青髪ピアスは見逃さなかった。彼女の顔が、涙で濡れている事を。

「この先は…屋上やな…」

上条当麻が、何故泣いていたのか。

青髪ピアスは原因を突き止めるために、土御門がいる屋上に行く事にした。

土御門はその場に立ち尽くしていた。

先程の、上条の泣いていた、悲しそうな表情が頭から離れない。

そうしている内に、先程上条とすれ違った青髪ピアスが屋上に来た。

「や、つっちー」

「青髪ピアス…」

「なんや、えらい参ってるなぁ。フラレでもしたんか?」

「っ…」

「その様子だと、図星みたいやね」

「…」

「何があったか、聞いてもええ?」

「…ああ」

土御門はさっき屋上での会話を全て話した。それを青髪ピアスは何も言わず、聞いていた。

「これで満足か…」

「ああ、満足や。つっちー、ちょっとこっち向き」

言われるがまま土御門は青髪の方を向く。その瞬間、土御門は殴り飛ばされた。青髪が思いっきり土御門を殴ったのだ。

「な、なにをっ…!」

「君、結構不器用なんやなぁ」

「不器用…だと…」

「いやぁ、つっちーがここまで不器用とは思わんかったわ。で、なんだっけ?何のための告白だったん?」

「それは…」

「カミやんを守るため?そのために近くにいれるように?…つっちー、ふざけるのも大概にせえよ」

青髪ピアスの口調が強くなる。

「っ…!」

「カミやんが泣くのも当たり前や。そんなんで告白されても嬉しくも何ともないからな。ええか?告白っちゅーのは、女の子にとって大切なイベントなんや。好きな人と恋人になるために、めっちゃ勇気が必要になることなんや。それを、そんな簡単に、そんないい加減に告白したらダメやろ」

「じゃあ、俺はどうすれば良かったんだ…」

「…自分で考えや。守るだけなら他にも方法はあったはずや。どうしてつっちーは告白という手段を選んだのか。しっかり考えな」

「…」

「つっちー。最後にこれだけは言っとくで」

「もし、次カミやんをそんな事で泣かせる様な事があったら、僕はキミを許さへんで」

そう言い、青髪ピアスは屋上から出て行った。

「…」

「どうしたー?今日は元気無いなー」

その日の夜。学生寮のとある一部屋に、土御門元春と、その妹土御門舞夏の二人がいた。

「…」

舞夏の問いにも、土御門は何も答えない。その様子に舞夏は何かを感じ取る。これは学校で何かあったな、と。

「本当に一体どうしたんだー?まさか失恋でもしたかー?」

舞夏は冗談で言ったつもりのようだが、土御門はいつものように軽く返すわけじゃなく、何かを、噛み締める様な表情をした。

「っ…!」

「…ビンゴ、みたいだなー」

「…」

「話してくれるかー?」

「…ああ」

土御門は、青髪ピアスに話した事を、そのまま話す。

舞夏も青髪ピアス同様、話が終わるまで何も言わず、じっと聞いていた。

「…これで全部なのか?」

その言葉に頷く。

「そうか。で?バカ兄貴は一体何がしたいんだ?」

「俺は…カミやんを、守りたい…」

「なんで守りたいと思ったんだ?」

「それは…」

なんで、そう言われてすぐには答えを出せなかった。

「聞き方を変えるぞー。今回、兄貴は今の上条当麻に昔の上条当麻を重ねてしまったわけだが、兄貴にとって上条当麻はどんな存在だ?」

「俺にとって、カミやんは…大切な、存在だ…」

「大切な存在か。なら、もう答えは出てるはずだぞー。あとはそれに気付くだけだな」

「俺の、答えは…」

「じゃあ私は夕飯の支度の続きをしてるからなー。後は頑張れー」









「俺は…」







次回予告


「…土御門さんの、バカ」
       ー記憶を失い、女性となった元英雄・上条当麻ー




「そうか、やっと分かった。俺は…」
       ー上条当麻の第一の親友・土御門元春ー




「土御門くん、キミは上条くんよりよっぽどバカだね」
       ー上条当麻に助けられた吸血殺し・姫神秋沙ー




「急いで、この事を土御門に伝えなければ…っ!」
       ーイギリス清教所属する聖人の一人・神裂火織ー




「うーん…、やっぱり科学って慣れないわ…」
       ー神の右席・前方のヴェントー



というわけで今日の分終わりです。

あー、もうホントすいません。時間かけて書いたのがこんな低クオリティ…

それでも完結までは頑張るので、よろしくお願いします。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年06月22日 (日) 15:26:02   ID: pL8Q_uPw

3ヶ月経ってるが…
これまだ続くのか?

2 :  SS好きの774さん   2014年07月08日 (火) 20:37:51   ID: UfnPV1bw

そんなこと言うな。それを決めるのは作者だろう?

3 :  SS好きの774さん   2014年08月22日 (金) 21:03:40   ID: xGFNAjHR

上嬢さんかわええわ~
雷が怖いのって男の時に御坂に散々電撃撃たれまくったから体が若干トラウマになってるんじゃね?www

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