絹旗「上条!暗部で超独立しましょう!」 (1000)
上条「卵が…1パック25円…だと…⁉︎」
家に届いたチラシを見た途端、上条当麻は走っていた。誰よりも何よりも速く。ウ○インボルトよりも速く。
上条「個数制限無し!時間の問題もギリギリ無し‼︎10分あれば、裏道通れば間に合う‼︎」
稀に見る幸運の匂いにつられた上条に、そうやすやすと幸せの女神は降りる筈が無い。何故なら、
スキルアウトA「アァン!?犯っちまうぞガキがァ!!!」
「超きもいです近寄らないでください!!」
スキルアウトB「ハァハァ…キミかわいいねぇ…ハァハァ…」
「ひいぃ!?それ以上近付いてみなさい!超ぶっ殺しますよ!!?」
上条「」
───────彼はこの世の誰よりも不幸だからである。
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最初からやり直すのか?
url貼って続きからでもいいのよ
嗚呼、忌々しきかな右腕。
神様の加護や幸せなるものを自動で拒絶するのだ、と居候シスターに上条は教えられた。
…まぁイギリスに強制送還したのだが。
理由は簡単である。短期間でのエンゲル系数急上昇が原因だ。
上条は、ロリコン錬金術師の件が片付いた直後、赤毛神父と痴女風聖女に縛り上げた腹ペコ怪獣を引き渡したのだ。
上条「…」
携帯をチラ見する上条。
タイムサービス開始まで8分を切ったのがわかった。
上条「すまないタンパク質…!俺は、俺はぁぁぁぁぁぁっ!!」
スキルアウトA「…アァン?」
上条「えーっと、俺の連れなんで離してもらっていいですかねー…?」
スキルアウトB「…お前この前のツンツン野郎!!」
スキルアウトA「なんだ知り合いか?」
スキルアウトB「このウニ野郎、いつも同じ手口で俺達スキルアウトから女逃がしてますぜ。」
上条「」
>>2
頑張って貼り終わってから
6年間の分を次スレで書いてみます
上条「不幸だァー…」
スキルアウトB「きっちりとケジメつけさせてもらうぜウニ野郎。俺は発かn能力LEVEL3だ!」
上条「え?発火?」
スキルアウトB「…いや、…その、…発汗…」
そういうとスキルアウトBは大量の油汗をかきだした。
上条「…なんかごめん」
スキルアウトB「…気にすんな…うん…。俺帰るわ…なんか…」
上条「…これ、タオル使えよ。」
スキルアウトB「…ありがとよ」
スキルアウトBと上条の間に奇妙な絆が生まれた。
「超なんなんですかこの状況」
スキルアウトA「」
上条「…の、残りはお前だけだぞ!その子を離せ!!」
スキルアウトA「お、おおお!?離すわけねぇだろ!!俺は正真正銘の発火能力だぞ!」
スキルアウトAの掌にハンドボールサイズの火球が出現した。LEVEL2…といったところだろうか。
上条「ほう」
火球を投球するスキルアウトA。しかし上条が右手ではらった途端にその空間から消失した。
「!?」
スキルアウトA「打ち消しただと!?まさか都市伝説は本当d」
上条「そげぶ!!」
スキルアウトAの言葉は顔面にめり込んだ上条の拳によって途切れた。
上条「ふぅ、死ぬかと思った。」
「超窒素パンチ!!」
上条「はい?」
暗い裏道に鈍い音が鳴り響いた。
上条「……あれ?」
「やっと目を覚ましやがりましたか」
目を覚ます上条の眼前に、可愛らしい顔立ちをしたショートボブの少女の顔があった。
上条「な、なんでこんな事に…君はどなた様??」
絹旗「絹旗最愛といいます。足が痺れてきたので超早く起きてください。」
上条「のぉっ!?ななな何故膝枕!?」
絹旗「超気にしないでください」
上条「気にするよねぇ!?確かスキルアウトを追い払った後に……、あ。」
絹旗「ち、超すみませんでした。あなたが能力を打ち消した様に見えたのでつい試したくなってしまいまして…」
ばつが悪そうに目を逸らしつつ指を弄る絹旗。
上条「あ、あぁー。キミも能力者なのね。…俺の右手には幻想殺しって能力が宿っててだな、どんな能力も魔術も神様の加護よ打ち消しちまうんだ」
グー、パーと掌を広げて右手の感覚を確かめなが説明する上条。
絹旗「ほえぇ…超すごい能力じゃないですか。無敵ですよ無敵!」
その時、ふと絹旗の本能が【上条をアイテムに誘えば…】などと考えた。
絹旗「おっと…一般人を巻き込もうなんてどうかしてますね私。」
上条「?…まぁ能力者相手じゃなければ効果なしだし、日常生活には何ももたらさないからな。LEVEL0認定で奨学金も雀の涙で…うぁ、泣けてきた。」
絹旗「ちょちょ、大丈夫ですか?!」
上条「ありがとう…その優しさだけでも、いつも不幸な上条さんは救われますよ…」
絹旗「何か悟ったような雰囲気ですね…と、とりあえず助けてくださったお礼がしたいのですが。」
絹旗は助けられる必要なんてなかった、というのはLEVELと戦闘経験のみに視点を当てた場合である。
まだ中学生程のうら若き乙女は、どうしても性的変質者には抗体が無い。
絹旗はあのまま襲われていたら、と考えるだけでぞっとした。
上条「いいよいいよ、いつもの事だ。」
絹旗「…いつもああやって、誰かが困っていたら助けに入るんですか?超危ないのに?」
上条「誰かが困ってたら助ける、当然の事だろ??」
絹旗「…!」
眩しい。
学園都市の闇に生きている絹旗には、上条が太陽よりも眩しい存在に感じた。
それでいて、上条当麻という人間に溢れださんばかりの興味が湧いてきた。
絹旗「…で、では。後日にでもお礼がしたいので、れれ連絡先をおしおし、教えていただけままませんかかか?」
絹旗は困惑した。
私は何を緊張しているのでしょう、何でこんなに超恥ずかしいのでしょうか。
何故こんなに顔が熱いのでしょうか。
上条「上条さんの携帯に…ついに女の子の連絡先が…っ!!おぉぉぉ…心なしか神々しく感じる…!」
携帯を天高く掲げる上条。むしろ今までなかったのが不思議である。
絹旗「ふふっ、超なんですかそれ。あははっ。」
上条「か、上条さんだってそういうのは気になるお年頃なんです!」
絹旗「ほほう?」
絹旗の脳裏をよぎったアイデアはお礼にもなれば、上条当麻という人間のことを更に知ることもできそうな、グッドなものだった。
上条「じゃ、俺はこれで……あ。タイムセール…不幸だ…」
絹旗「超待ってください!上条…えーっと…」
上条「当麻、上条当麻。改めてよろしく。それじゃ。」
絹旗「あ、はいよろしくお願いします…じゃなくて!……上条当麻さん!」
上条「は、はい!?」
絹旗「────私とデートしてみませんか?」
上条「はい!!……はい?」
清々しいくらいの笑顔の絹旗と、目が点になった上条の姿がそこにはあった。
翌々日、金曜日の放課後。
青ピ「カミやーんゲーセン行こうや→」
土御門「今日は負けないにゃ→」
上条「あー…すまん。今日はちょっと用事があってだな。」
青ピ「付き合い悪いでカミやーん…」
上条「悪い、また今度誘っ」
「上条ぉおぉぉぉーー!!当ォォォ麻さァァァァン!!!!」
上条「」
土御門「な、なんだにゃー!?」
土御門、青ピ、青ざめた上条の3バカが窓の外に顔を出すと、やはりそこにはショートボブの少女が校門前で腕を組んで立っていた。
土御門「女の子…だにゃー…」
青ピ「なんやと!?」
上条「はははー上条当麻って誰だろうなー」
棒読みで後ずさりする上条。このままやり過ごして校門へ行…
絹旗「お!上条ー!早くしてくださいよー!!」
…けなかった。
上条「きっ、絹旗ぁ…!」
震えた声で唖然とする上条。
しかしその声を土御門と青髪ピアスは聞き漏らさなかった。
土御門「カミやん。」
青ピ「ちょっと屋上いこか」
上条「」
しかしそれだけではない。土御門や青髪ピアス、その他男子クラスメート全員が詰め寄って来ているのだ。
上条「ふ、不幸だ…」
土御門「捕まえるにゃー!断固としてカミやんをあのちっちゃい子の所に行かせるのを阻止だにゃー!!」
「「「うぉおおぉぉぉぉ!!!!」」」
男子の心が、大覇星祭を迎えるよりも早く、一つになった瞬間であった。
上条「…」
絹旗「超遅すぎですよ上条!……上条ですよね?」
上条「よぉ絹旗。なんでこんなところにいるんだ?」
校舎から出てきたのは、痣やらコブを拵えた上条当麻その人だった。
絹旗「今日デートする約束をしたじゃないですか!レディ自ら迎えにきてあげたんです。あと、顔が超ぐちゃぐちゃになってますけど大丈夫ですか?」
上条「多分大丈夫だ。というか早く離れないとまた奴等が来」
土御門「カーミー…」
青ピ「やんゴラァァァ!!」
上条「ゴッ!?」
上条は始めにツインラリアットを両サイドから受け、どこから現れたのかクラスメート達に再びリンチに会うのだった。
青ピ「デートってどぉいうことやカミやんドラァァアアァァ!!!」
土御門「…はっ、待つんだにゃーおまえら!!」
土御門の号令で進行形の地獄絵図がピタリと止まった。
やはりこの男ただならない。
土御門「よーく考えると…これはチャンスだぜぃ…。」
青ピ「ど、どういうこっちゃ?」
土御門「もしカミやんの彼女ならば尚良しだにゃー…そこのショートボブの女の子!」
絹旗「は、はい!超私ですか?」
上条を助け起こそうとしている絹旗を見て、土御門のサングラスは輝きを増した。
土御門「…カミやんの彼女ちゃんかにゃー?」
絹旗「は、はいィ!?違いますよォ!!?」
上条「ん…ォガッ…!?…ぐはっ」
あたふたして振り回す拳が上条の溝に潜り込み、意識を取り戻しかけていた上条は再び目の前が真っ暗になった。
土御門「成る程…」
青ピ「つっちー!早よどういうことか説明してやー!殺意が湧いてきて止まらへん!!」
土御門「よし、よーく聞けにゃー?」
土御門「あの様子を見るからに、”まだ”付き合ってはいない…だがしかし!!」
青ピ「しかし…なんや?」
土御門「あの子とこのままくっつけてしまえば…カミやんのフラグ建てられ被害者も減るんだにゃーー!!」
青ピ「な、なんやてーー!!?」
土御門「そうと決まれば…我々邪魔者はた退散だぜぃ。」
青ピ「くっ、何か腑に落ちへんけど…今日のところはこのくらいにしといたるわカミやん!!」
土御門を1人残し、青ピとその他男子クラスメートはぞろぞろと校門前を立ち去った。
土御門「…カミやんは気絶してるのか。」
おちゃらけた表情が、突然シリアスな雰囲気に変わった土御門。そしてその変貌ぶりに背筋に寒気が走る絹旗。
絹旗の本能が、危険なアラームを鳴らしている。
絹旗「え、あハイ。では私達はこれで…」
土御門「カミやんにもしもの事があれば、俺はお前を全力で叩き潰すぞ。絹旗最愛…いや、アイテム構成員幹部。」
絹旗「ッ!?」
絹旗「な、何故その事を…ッ!」
土御門が周りの生徒には聞こえない声量で口にした一言。
──────アイテム構成員幹部。
学園都市の”裏”。
光と希望に溢れた表の世界と対立した、殺人違法取引なんでもござれに荒れ果てた闇の部分。
その世界で暗躍する部隊の内、有力なチームの一つが、『アイテム』。
絹旗最愛は、その幹部である。
絹旗「あなたは一体何者ですか!!」
声を荒げる絹旗と土御門に周囲の目が集まり始めた。
絹旗「くっ…!」
土御門「そう荒ぶるな。オレはカミやんのクラスメートで…ただのカミやんの親友だぜぃ。」
再びおちゃらけた表情に戻る土御門。
土御門「カミやんを頼むにゃー。」
絹旗「…」
絹旗「…ほんとに、なんだったんですか…」
上条「う、うわぁぁぁぁ!!あがっ!」
絹旗「あふん!?」
上条「痛てて…き、絹旗?」
何かに襲われる悪夢でもみたのだろうか。恐怖丸出しな表情で飛び起きた上条の額が、絹旗の額と衝突したのだった。
絹旗「ぁぅ…ぅぅぅ…」
上条「す、すすすみませんでしたぁぁっっ!!」
上条当麻。若干16歳にして日本一土下座が板につく高校生が、学校の眼前で本気土下座である。
絹旗「映画!!」
上条「え?」
絹旗「ひっく…映画奢ってください!!…ぐすっ…」
上条「お、おぉ…」
上条当麻は不幸で女たらし(自覚無し)ではあるものの、やはり健全な男子高校生としての反応は持ち合わせている。
例えば今の状況で言うと、絹旗の顔を見て、素直に【可愛い】と思ったことである。
上条「絹旗…ってさ」
絹旗「…っぅ…はい?」
上条「今更だけどいくつなの?」
絹旗「…一応、私は常盤台に籍を置いてますが。」
上条「ビリビリん所か…成る程。…え、中学生なの?」
絹旗「…なんですかその目は」
上条「いや、小学」
絹旗「窒素パンチPart.2!!!」
上条「ひでぶぅ!!?」
絹旗「さて、どれとどれとどれを観ましょうかねぇ…」
ガラス越しのポスターを張り付くようにして見る絹旗の側ではサイフを泣き目で見下ろす上条が居た。
上条「って、何作観るんですか!?」
絹旗「あァ?」
上条「なんでもございません姫。」
絹旗「うむ、超よきにはからってください。あ、ポップコーン買ってください上条。」
上条「うう…全奢りなんて上条さん死んじゃう…」
ここに辿り着くまでに、既にケーキやパフェ等々を奢らされている。
絹旗「超だまってください。デートの本場といえば映画でしょう。…まずはこのC級ホラーですよ!」
上条「『ゾンビ猿の恒星』なんか違う意味でホラーだけど大丈夫なのこれ」
絹旗「超面白くなさそうですよね!」
上条「え?う、うーん…え?面白さは求めてないのか!?」
絹旗「超当然です!」
無い胸をえっへんと張り上げる絹旗。
ショートボブに白のワンピースがよく映えている。
絹旗には何でも似合いそうだ、胸は無いが。と心の中で呟いた。
絹旗「何か今失礼な事を考えませんでしたか?」
上条「気のせいだぞー?あはは」
絹旗「むぅ…何か…まぁいいです。早くチケット買いますよ。」
上条「…あ、絹旗。相談なんだけど」
絹旗「なんですか?」
上条「小学生のフリしてくれない?兄妹で来たってことで。何より割引がすごいから。」
涙ながらにキメ顔をする上条。
絹旗「はァァァ!?なンで私がそんな……うーん…、…超仕方ないですね。奢って頂くんだから文句はいいません。」
上条「絹旗…お前いい子だな!また来ような!!」
絹旗「え!?あ、はははい!この最愛ちゃんを誘う時は奢りですからね!覚悟してくださいよ!!」
店員「えー、小学生1名」
絹旗「ぐぬぬぬぬ…」
上条「絹旗、絹旗抑えて抑えてぇぇっっ」
店員「高校生1名ですね。兄妹割ですか?」
上条「あ、はい。」
絹旗「当麻兄ちゃん、早く観ましょう!」
上条「ぅおっ…」
店員「112番シアターになりまーす」
絹旗「さっきはどうしたんですか?」
上条「いや…当麻兄ちゃんって…破壊力があるなぁ。なんかすっげぇイイ。」
絹旗「はァ?!き、今日だけですよ!?…まぁ今後も映画観る時は…呼ぼうかなぁ、とは思いますけどね?映画の為でふからね!?……あっ」
上条「でふ?」
絹旗「早く行きますよ!!!!!! 」
────上映開始。
上条「宇宙船の外壁に広告張り付いてる…、うわぁストーリー序盤がまんま惑星じゃねぇか」
絹旗「この雑な感じが超たまりませんねぇ」
上条「そういう楽しみ方もあるのか…」
上条「あっあれがゾンビ…怖ッッ!?」
絹旗「なんでゾンビだけクオリティがこんなに高…ッッ!?ひぃぃぃぃ!!?」
絹旗が上条の左手を掴んだ。
上条「あっ……ぐぁぁぁぁっ!?嬉しいシチュエーションなのに絹旗の握力がやべぇぇぇぇぇ!!!」
絹旗「ちち超すみません!無意識で能力使ってしまいましたっ!」
上条「怖がり過ぎだろ…」
絹旗「う…怖がってないです!」
上条「じゃあ手を離していい?」
絹旗「上条が超恐がりなので握っておいてあげますね!!!」
─────
絹旗「はー…超面白かったですねー!」
上条「ポップコーン全部こぼした…不幸すぎる…」
絹旗「さてさてお次の映画はーー…」
絹旗の指がポスターに向けられる前にどこからか電子音が鳴り始めた。
絹旗「おや私ですね。…もしもし、あぁ麦野ですか。どうしました?わかりましたから怒らないでくださいよ……仕事ですね?わかりました。向かいます。」
上条「絹旗ー?」
絹旗「すみません…超用事が入ってたようです。」
上条「あ、あぁ…そうか…」
絹旗「あ、そうでした。…差し上げます。」
上条「これは?」
上条が絹旗から受け取ったのはハリネズミのようなキャラのキーホルダー。
絹旗「助けてくれた時のお礼、です。超大事にしてくださいね。上条にピッタリですから。」
上条「いいのか?」
絹旗「もし突き返そうものなら超窒素パンチの刑ですから」
上条「ありがとう。大事にするよ」
絹旗「はいっ。それでは、また後で超メールしますね」
上条「おう、絹旗(のメール)をずっと待ってる」
絹旗「ちょっ、そんな恥ずかしい事真顔で言わないでください!」
上条「!?」
絹旗の走っていく姿を見送る上条。
手の中のハリネズミのキーホルダーが、持ち主の表情を真似るようにして笑っていた。
絹旗「超帰りましたー!」
「遅ぇよ絹旗ァ!!!」
アジトの扉を開けて最初に迎えたのは、容赦のない回し蹴り。
絹旗「っァ…む、麦野…超何すンですか…ッ!」
麦野「黙れ。アタシは今最高にイラついてんだ。…第二位殺ス…」
理不尽極まりない。
怒ると周りに当たり散らす様がまるで子供である。
麦野「フレンダァ!!」
フレンダ「ひぃ!何って訳よ…?」
麦野「殴らせろ。腹で”いい”」
フレンダ「嫌ぁ、嫌って訳ガホッ!?ゲホッ…!!」
「フレンダ…大丈夫…?」
フレンダ「たきつぼぉ…お腹痛いって訳よ…」
滝壺「よしよし…痛かったね。」
「麦野!お前身勝手過ぎるぞ!!」
麦野「はぁーまづらぁ。テメェいつからアタシにもそんな事言えるくらい偉くなったんだ?」
浜面「みんなはお前のサンドバックじゃねぇんだぞ!!」
麦野「ブ・チ・コ・ロ…死ね」
麦野の言葉を引き金に、浜面と呼ばれた少年に向けて光線が放たれた。
浜面「っおわたぁ!!」
浜面はモンスター狩猟ゲームよろしく、緊急な回避をすることで即死コースに伸びた光線から万死に一生を得た。
麦野「チッ、よけてんじゃねぇよ。」
浜面「よけなかったら死ぬだろうが!!」
麦野「PPうるせぇよこの童貞×××」
浜面「どど、童貞ちゃうわ!」
麦野「えマジで童貞なの?傑作だなぁオイ!なぁ絹旗!!」
絹旗「…」
麦野「返事くらいしろよ絹旗。股広げで真ん中焼くぞオイ」
絹旗「…そ、そうですね。傑作…です」
絹旗は奥歯を噛み締め、拳を握りながらボソリとつぶやくように言った。
麦野「…絹旗。テメェ今日、男と歩いてたなァ。」
絹旗「!」
麦野「いつから色気付くようになったのかにゃーん?仕事の支障になるようならアタシが殺」
絹旗「やめてください!!!……ちゃんと、仕事、できますから。」
彼はこんな地獄の様な日々に現れた希望。何故か自分を救ってくれるような、大切にしてくれるような、そんな人なのだ。
殺させたりしない。何があっても。
麦野「…!…たりめぇだろうが。さっさと今日の標的潰しに行くぞ。」
絹旗「…はい。浜面、足は?」
浜面「あ、あぁ。裏の方に停めてある。」
絹旗「フレンダ、滝壺、行きますよ。」
フレンダ「げほっ、げほっ…わかったって…訳よ。」
滝壺「フレンダ、手をかすよ?」
フレンダ「ありがと…」
浜面「ま、待てよ、おーい!」
麦野「絹旗のやつ…いつからあんな目をできるように…。フフ。」
すいません次からフレンダ全角でカキコします
上条「…メールが来ない…」
時刻は午後10時30分。
上条は広々と使えるベットの上で携帯の受信BOXを開いたり閉じたりを繰り返していた。
上条「昨日は8時ごろにきたのに…今日は遅いな…もう寝たのか?」
棘だらけの頭を書きながらボタンを連打する。
上条「…あと30分だけ待ってみるか。」
結局、その日の内にメールは来なかった。
翌日。
「とーまー!起きるんだよー!!」
上条「…んぁ…」
「とーま!おはよー!」
上条「…おぅ、インデックスか。…7時半……絹旗からメールは…!」
禁書「とーまーご飯ー!」
上条「来てないな…やっぱりもう寝てたか…。」
禁書「とーま!ご、飯!!」
上条「…何で俺は絹旗の事を考えてんだ…相手は中学生だぞ?」
おかしい。と感じた。
昨日から絹旗のことで上条の頭はいっぱいになっているのだ。
禁書「…上条さん?」
上条「あーダメだ。たまには朝から散歩でもしてみるか…」
上条はシャツとジーパンに着替えると、サイフと携帯を乱雑にポケットに突っ込んで外に出た。
風が心地よい。
上条「んー!…はぁ。どこに行くかな…」
禁書「…折角驚かせようと思ってお邪魔したのに…とーまのばか…」
上条「…あ、そういえばインデックスは元気でやってっかな。…どうでもいいか。」
とあるお嬢様に側面を何度も蹴られて、段々と凹みが目立ってきた自動販売機に千円札を入れる上条。
上条「…おぉ、飲み込まなかった。…絹旗とあってから不幸も減ったなぁ。天使だわ絹旗。なんか気になるし。」
しみじみと嬉し涙を流しながらヤシの実サイダーとお釣りを取り出す。
上条「絹旗最愛マジ天使…さいあいってこれでいいんだよな?」
携帯で文字列を打ち込んで眺める。
上条「ハハ、…あっ」
送信するつもりが間違えて削除する、なんてことはよくある。
今回上条は当の本人宛にメールを送信してしまったのだった。
上条「やっちまった…やべぇ…これ嫌われるんじゃね……」
『上条超キモいです近寄らないでください』
上条「うぎゃぁぁぁぁそんなこと言われたら死ぬ!首釣って死ぬ!!」
「ちょろっとー。アンタ何ゴロゴロ転がってんのよ騒々しいわね」
上条「うぎゃぁぁぁぁ……なんだビリビリか。」
短パン。スカートの下に短パン。
御坂「なんだとはご挨拶ね。リアル電子レンジ試してみる?」
今ちょうど「ちぇいさー!」の掛け声と共に自動販売機を蹴りつけた少女が、学園都市第3位、【レールガン】の異名を持つ超能力者…御坂美琴である。
お嬢様校の常盤台中学にて、容姿端麗 成績優秀 品行方正 加えて誰にでも人気のあることから、極一部の生徒からは「お姉様ぁ~hshsもっと罵ってくださあbbbbbb」と慕われている。
品行方正、に関しては、少し訂正せざるを得ないのだが。
御坂「よっしゃー!ヤシの実サイダーゲット~」
上条「お嬢様ならお金入れろよ…」
御坂「前にも言っただろうけど、アタシは万札飲まれたのよ。その分はタダで頂くわ。」
上条「あーそーですか。そんじゃなビリビリ。」
そそくさとその場を立ち去ろうとする上条。
御坂「待ちなさい!」
上条「なんだよ…俺は絹旗探さないといけないの!」
御坂「…絹旗って誰よ」
上条「えっと…、…友達?」
御坂「ふーん…随分と親しげねぇ。女の子?」
上条「そー…だけど…?」
御坂「へぇー(棒」
何故か頬に怒りのマークが浮かばせながら、体中からスパークし始める御坂。
上条「えーっと…ビリビリ?」
御坂「アタシにはぁ…御坂美琴って名前があるって言ってんでしょうがぁぁぁぁぁ!!!!!」
上条「いぎゃぁぁぁ不幸だあァァァ!!!」
一方、昨夜にメールを送れなかった絹旗はというと。
絹旗「今日のことがあってから…な、なんてメールをすればいいのか超わからなくなりました…あぁ!とっくに夜が明けてます!?」
目の下にクマを作っていた。
絹旗「ううぅ…もう8時です…上条は起きていますかね…?あぁ…メールを送る勇気がなかった私を超許してください…」
ボフボフ、と自分の中の悶々を枕にぶつける絹旗。暗部や、裏の世界の事なんて知らないような乙女っぷりである。
絹旗「超なんなんですかこの変な気持ちは…!頭の中が超上条です…」
携帯につけたキーホルダーはどこかの誰かと同じ、ハリネズミ。
弄れば弄るほど、彼の事を思い出さずにはいられない。
絹旗「上条ぉ…。…そ、そうです!散歩に行きましょう!そうすれば気分もすっきりするはずです!!」
この数分後、
『絹旗最愛マジ天使』
とのメールが届き、1人の少女が「ぬぁぁぁぁなんなんですかぁぁぁ!!!」と真っ赤な顔で叫びながら自動販売機を1台ぶち壊すのだった。
絹旗「ぬぁぁぁぁなんなんですかぁぁぁ!!!」
鈍い音を立てて、何の罪もない自動販売機が殉職した。
絹旗「はぁ…はぁ…!」
左手に握られた携帯。
画面には【絹旗最愛マジ天使】と表示されている。
絹旗「上条ぉぉぉ…昨日の夜から随分と私を苦しめてくれるじゃないですか…っ!!」
頭突き。それは確実にビルの外壁なんかにぶつけるものではない。常人であれば連続頭突きしたところで、壁にヒビなど入らないのだから。
絹旗「なんでいきなりこんなメールを…まさか告白っ!?わわわわ私にですか!!?」
上条『最愛…マジで天使のようだぜ…』
絹旗「うわぁぁぁぁぁぁぁぁおるァァァァァ!!!!!」
とうとう壁の四方2m程が崩れ落ちる。
無人ビルで、人通りも少ないのが幸いした。
絹旗「おぉぉぉぉ…!スッキリするどころかモヤモヤが超加速してきましたよ…!!」
そしてまたも携帯が電子音を鳴らした。
絹旗「上条!?」
音速に近い速度で携帯のディスプレイを見つめる絹旗。
浜面『もしもし、絹旗か?』
絹旗「…はぁーまづらぁ…超シバき倒しますよ…」
浜面『なんでだよ!?』
絹旗「…まぁいいです。で、何のご用ですか?はぁ。」
露骨にガッカリする絹旗だった。
浜面『滝壺を知らないか?ずっと見かけないんだわ。』
絹旗「滝壺さん?超知りませんよ。浜面の元仲間のスキルアウト使って探せばいいじゃないですか。」
浜面『いや、俺にもメンツってもんがあってだな…あんまりあいつらを頼るのはちょっと…』
絹旗「それでは。」
半ば強引に通話を切った。
絹旗「滝壺さん…いつもフラフラしてますし…ちょっと心配ですね。超探してみましょうか。」
大量の瓦礫の山を残して、絹旗は歩きだした。
上条「…んん?」
滝壺「南南西から信号が来てる…」
上条「なんかあのジャージの子フラフラしてるな…大丈夫か?」
滝壺「あなたこそ。所々焦げてるけど、大丈夫?」
上条「聞こえてたのか…ちょっとビリビリさせられてな、物理的に。」
滝壺「お疲れ様だったね。」
上条「困ったもんだよ…まったく。」
滝壺「それじゃあ私はこれで」
可愛らしいお腹の虫が鳴いた。
滝壺「お財布忘れた…」
上条「…俺も朝食うの忘れたし、ファミレスでも行くか?」
滝壺「いいの?」
上条「気にするな。腹ペコ怪獣インデックスというのをイギリスに送り返したおかげで食費ならなんとかなる。」
滝壺「じゃあ御言葉に甘えようかな…あ、でも。」
上条「ん?」
滝壺「私、好きな人がいるよ?」
上条「ナンパじゃないナンパじゃない。」
滝壺「ならよかった」
上条「…意外と腹ペコキャラだった感じか?」
積み上げられた皿、皿、皿。
一体何食食べたのか。
滝壺「昨日は忙しくて夜ご飯抜いちゃったの」
上条「そりゃ仕方ないな。まぁ安心しろ。インデックスの1/8も食ってない。」
滝壺「?」
上条「ごちそーさまでした」
滝壺「ごちそーさまでした」
上条「じゃ、お勘定済ませるから。気をつけて帰れよー」
滝壺「ありがとう」
滝壺「今度は北北東から信号が来てる…」
絹旗「あっ、超滝壺さんじゃないですか!浜面が探してましたよー!」
滝壺「…きぬはた。分かった、すぐ帰る。」
絹旗「滝壺さん?ジャージに超シミがついてますよ」
滝壺「…知らない人にご飯食べさせてもらったの。優しかったよ。」
絹旗「だ、大丈夫ですか!?どんな人でしたか!!?」
滝壺「うーん…普通?かな?」
絹旗「普通…」
滝壺「あ、でも頭がツンツンしてたよ」
絹旗「!?ど、どっちにいるんですかその人!」
滝壺「あっち…」
絹旗「わかりました!超ありがとうございます!!」
滝壺「絹旗は忙しいんだね」
絹旗「ツンツン頭といえば…どれだけ学園都市が広しといえど超上条しかいません!!」
やけに説得力のある結論だった。
絹旗「この辺の筈なんですけど…。上条~!超どこですかー!あっ、電話してみれば…」
返事がない。電源が切れているようだ。
絹旗「くぅぅ…そういえば昨夜は充電器をつけないでメールを考えていたような…超ついてないです…!」
食い入るように携帯の画面を見ながら地団駄を踏む。
それだけで周囲の目を引いた。
絹旗「うぅ…上条どこですか~!超出てきてくださいよ~!!」
上条「絹旗?」
絹旗「」
上条「なにやってんだよこんなとこで。」
絹旗「上条ぉ…!」
上条「よーしよし、寂しかったな~」
絹旗「子供扱いしないでください!私の頭を撫でようなんて1年遅いです!」
上条「遅いのか」
絹旗「超遅いです。だからまだ撫でてください。1年分」
上条「どれくらいだよ…1年分…」
撫で回すこと10分
上条「手がつった。」
絹旗「さてところでby the way上条。」
上条「どんだけ話を変えたいんだお前は…あれ?バイザウェイって”ところで”だよな?」
絹旗「合ってますけど上条は勉強できない人なんですね。超わかりました。」
上条「言ってくれるな絹旗…」
絹旗「今は何時ですか?」
上条は携帯を開いた。
上条「昼過ぎくらいだな。」
絹旗「お腹空きました。昨日の晩忙しくて朝も食べ損ねてお腹空きました。」
上条「…今そんなに手持ちが無いんだが…」
絹旗「私には奢ってくれないんですね……ジャージっ娘が好きなんですね上条は…しょぼん…」
上条「ぐぁっ…見てたのでせうか!?」
絹旗「あの人は私の友達ですから。ツンツンの人にご飯食べさせてもらった、と聞いて上条だと確信しました」
上条「ツンツンで分かるのか俺は…」
絹旗「ご・飯♪ご・飯♪」
犬の耳と尻尾が見えるような気がした。
上条「…じゃあウチ来るか?」
絹旗「え?」
絹旗「いやっ、その、私達にその段階は超早いというか何というか!」
上条「?何言ってんだ絹旗」
と、その時。
「あれー絹旗。まーたデートかい?」
上条「え?」
絹旗「む…!!」
茶色の髪を背中まで伸ばしたやけにスタイルの良い女性が立っていた。
絹旗「…麦野、なんであなたがこんなところにいるんですか」
麦野「あらー?お邪魔だったかにゃーん?」
絹旗「くっ…!」
上条「絹旗。このお姉さん知り合いか?」
絹旗「あっ」
上条は何かの地雷を踏み潰したような気がした。
麦野「テメェにお姉さん呼ばわりされる歳じゃねぇんだよこの童貞野郎ォォォ!!!」
上条「ひぃぃ!?」
直感的に動かした右手が、光速で迫った謎の怪光線を打ち消す。
LEVEL5といえど、単純に攻撃したのであれば、上条の幻想殺しを破れないのは御坂で実証済みである。
上条「死ぬかと思った…!」
麦野「あぁん?何だそりゃぁよぉ!!」
上条「やめろマジで死ぬから!!」
器用に右手を振り回して、光線を打ち消しつつ麦野に近づいていく上条。そして…
上条「とった!!」
とうとう麦野の体に触れた。上条の幻想殺しが触れている間、相手は能力使用の一切を封じられる。一件落着である。
そう、一件落着…
麦野「おい…どこ触ってくれてんの…?」
絹旗「上条…?なァにしてるンですかァ…??」
上条「へ?あ…」
右手が掴んだものはやはり不幸(?)にも災いの種だった。
上条「ええー…っと…、結構なものをお持ちで…」
麦野「テメェ…っ!!…能力が使えな…?」
絹旗「窒素パンチィィィ!!!!」
上条「くわらばっ!!?」
絹旗「胸か!超胸がいいんですかエロ条ォォォ!!!」
上条「おうひあえおあいあえんえいあ。(申し訳ありませんでした)」
絹旗「大きな胸より小さな胸!さんはい!」
上条「おおいあうえおいいいああうえ!」
絹旗「貧乳はステータスだ!貴重価値だ!……誰が貧乳ですか!!」
上条「ぐばあぁ!?」
絹旗「まったく…私は成長途中なんです!超馬鹿にしないでください!!」
絹旗によって顔面をボコボコに殴られた上条は公園のど真ん中で正座させられていた。
絹旗「…もうエロ条なんて大嫌いですから。超実家に帰らせてもらいますからっ!!」
上条「嫌わないで絹旗ぁぁぁ!!俺が悪かったぁぁぁぁぁ!!」
道の真ん中を引きずり回しながら、麦野から距離を取り、そのまま逃走。
幻想殺しの存在に呆気にとられていたのが幸運だった。
絹旗「しかし困りましたね…麦野に上条の能力を知られてしまった恐れがあります…」
麦野のことだ。きっと上条を利用するに違いない。幻想殺しなんて対能力者戦闘において便利な能力、放っておくわけがないのだ。
絹旗「さて…どうしましょうか」
上条「…何が?」
絹旗「帰る家を超無くしたかもです。」
上条「はい!?」
麦野から上条を引きずって逃走した事、今まで報告しなかった事。確実に麦野はキレる。そしてその怒りの向く方向は、絹旗で間違いない。下手をすれば殺される。
上条「ど、どーすんだよ絹旗。」
絹旗「あぁ、大丈夫です。ホテルくらい泊まれます。これでもLEVEL4なので金銭的にも超無ー問題です。」
上条「…サイフは?」
絹旗「…よく考えたら手ぶらでした…。」
上条「えーっと……と、とりあえずウチ来る…か…?」
絹旗「ち、超おお邪魔させてもらいます…ふちゅちゅか者ですがよろしくお願いします…」
上条「おぉぅ…」
上条「──────という事でやって参りました上条さん宅でーす」
絹旗「寮なんですねー結構狭いかもですー」
上条「とりあえずご飯たべるかーもう夕方だしなー」
絹旗「わー超楽しみですー上条は料理できるんですねー」
上条「…じゃ、作ってくるわ」
絹旗「…い、行ってらっしゃいです」
上条は初めて…いや、あのシスターは例外として、部屋に女の子を連れて来た事に緊張していた。
絹旗はというと…
絹旗「かっかかっ、上条の部屋っ…!」
こちらもこちらで緊張していた。
絹旗「こ、これが上条のベットですか安物使ってるんですねぇ。布団も超安物ですねぇ。安物つかってないから、たたたた試してみましょうかねぇ。えぇ、試すだけです。超寝心地を試すだけです」
そしてゆっくりと、しかし確実に。
ベットと布団に潜り込んだ。
絹旗「上条の…匂いですか…」
全身を包む彼の匂い。
いつもこの布団で寝ている…匂い…
絹旗「にょわぁーーーっ!超無理です無理無理!!心臓が破裂します!!!」
布団を蹴り上げてベットから転がり落ちて、机の角に頭をぶつける。
両手で押さえた顔が熱があるほど熱かった。
絹旗「私は何を…?!」
上条「絹旗ー!め、飯できたたぞ!?」
絹旗「わ、わぁー!超超おいしそそうですねー!!」
会話がギクシャクしている。
今までのの調子はどこに消え失せたのか。
絹旗「あ…超おいしいです。」
上条「え、マジで?その肉じゃが自信作なんだわ。」
絹旗「なんか…女子力高いですね上条。本当に男ですか?」
上条「ちゃんと付いてるっつーの!!」
絹旗「超馬鹿ですか!?食事中に何を言ってるんですかこのエロ条!!」
上条「なんだとこのちんちくりん!色々と小さいくせに!!」
絹旗「きーっ!!言ってはいけない事をいいましたね!?超許しませんよ!!決闘です!!!」
上条「絹旗の身体に触れちまえば俺の勝ちだ!!能力なんて使わせるかぁぁぁ!!!」
絹旗「ぎゃぁぁぁぁ襲われるぅぅぅ誰かー!たーすーけてー!!」
上条「やめろぉぉぉお!!!」
土御門「うるさいぞカミやん!!」
勢いよく突入してきた隣人が目にしたものは、この部屋の住人がどこぞで会った少女を押し倒している光景だった。
土御門「襲われるー…とか…聞こえたぜぃ
…?」
上条「いや、これは、その、だな…」
土御門「うん…俺が悪かったぜぃ。ごめんにゃーカミやん。」
上条「違うんだ土御門ぉ!誤解だぁぁ!!」
土御門「いや、大丈夫。オレも舞華とシたりするからさ…」
上条「お前なに手ェ出してんの!?仮にも妹だよ!!?」
土御門「避妊は…するんだぜぃ?それじゃーにゃー」
上条「土御門ぉお''おぉぉおぉ!!!!」
上条「終わった…俺の平穏なマイライフ…」
上条は真っ白に燃え尽きてしまった。
リトライできないゲーム、それが人生。
絹旗「超ご馳走様でした」
上条「お粗末様…洗うからお茶碗は水に浸けといてくれ…」
絹旗「それくらいやりますよ。上条もさっさと食べ終わってください。」
上条「はい…グスン…」
絹旗「…土御門…でしたか。あの人には注意が必要ですね…」
上条「お風呂沸かしといたから先に入ってくれ。ちょっとコンビニ行って来るから。」
絹旗「…でも着替えが…」
上条「コンビニにあるかなぁ…とりあえず俺のシャツで我慢しといてくれ」
絹旗「ち、超…わかりました。」
上条「えーっと、買い忘れは、無いよな。さっさと帰って風呂入るか…」
店員「ありがとうございましたー」
上条「そういえば…絹旗の帰る家を無くした…ってどういうことだってばよ。」
麦野「そりゃぁアレだろ。私に殺されるからだろ?」
上条「おいおい物騒だな……!?」
麦野「やっほー☆」
不意打ちの一閃。
上条「っ!?」
シャツの裾を少し掠ったようで、白い生地がほんのちょっぴり焦げていた。
上条「あんたは…麦野とかいう人!」
麦野「おぉ、覚えててくれたのかにゃーん?まぁ当然だよなー。あたしの胸を揉みやがったからなぁぁぁぁあ!!!」
上条「不本意ですごめんなさい!」
四方八方から放たれる不気味な色の怪光線を避けて、打ち消して、土下座して対処する。
とてもでないが平凡高校生の身体能力のソレではない。
麦野「チッ…絹旗はどこだ。滝壺がいねぇからあたし直々に探しに来てやったぞ。」
上条「お前は”絹旗を殺す”って言ったからな、教えるわけねぇだろ!!」
麦野「おーおーかっこいいねぇ。あいつの事を何にも知らないくせにねぇ。…滑稽なウニだなオイ。」
上条「絹旗がなんだってんだよ…関係ねぇだろうが!!」
麦野「あるんだよなぁコレが…
あたし等は暗部だからなぁ!」
上条「?」
絹旗「上条超遅いですね…折角この最愛ちゃんが上条を誘惑する方法を109個も考えたというのに…!」
ベットの上でゴロゴロと転がる絹旗。
上条に貸してもらったシャツ一枚というのは凹凸が無くても際どい。
絹旗「上条ぉぉ…とっとと帰ってきなさい!!」
上条「ま、まさかそんな…」
麦野「あたし等は殺しでもなんでも依頼されたらヤるの。それは絹旗も変わらないんだよ馬鹿が」
上条「あの絹旗が?…そんな事あるわけないだろ…?」
麦野「女に夢を見過ぎだっつーの。これだから童貞の男は嫌だねえ」
上条「……やっぱり絹旗を。」
麦野「ウチらの問題だ。口を出すな」
上条「……嫌、だ」
麦野「あぁん!?まだ言うかテメェ!!」
麦野が原子崩しの能力を発動させる際の、球体を出現させた。
麦野「いつまでも調子にッ」
上条「なんでもする!!」
突然、球体が消滅した。
麦野「……あ?」
上条「俺にできる事ならなんでもする!…だから、絹旗を殺さないでくれ。」
麦野「もし断ったら?」
上条「刺し違えてでも、あんたを止める」
上条が発したのは、悪魔のような剣幕、凄まじい威圧。明確な殺意と守るべき意思。
麦野「…殺さないでおいてやる。」
上条「本当だな!?」
麦野「あぁ、ただし…」
それは悪魔をも飲み込む闇。
麦野「…お前も暗部堕ちだ。」
上条「…ただいま」
絹旗「遅いですよ上じょ…」
麦野「にーはおー☆絹旗えっろーいカッコしてんなぁおい」
自分の目の前に麦野がいる。
それだけで絹旗は自分の能力を使って臨戦態勢をとった。
絹旗「上条!離れてください!!」
麦野「あー大丈夫。あたしそんな事しなーい。むがーい」
絹旗「何を言って…」
麦野「紹介するぜ絹旗。」
道化よりも不快な笑顔。
麦野「新しいアイテムのメンバー……上条当麻だ。」
上条「…」
絹旗「なっ………」
絹旗が恐れていた事が、現実になった。
『風紀委員よりお知らせです。今までに失踪した以下の生徒を探しています。3ヶ月前にも3人の生徒が失踪しました。ご協力ください。』
───────────
・
・
・
土御門元春
青髪ピアス
上条当麻
───────────
,
どうも>>1です。
思ったよりも余裕が出るようなので、
無理矢理6年後に繋げるのはやめて、もーちょっとストーリーを入れようと思っています。
申し訳ないしばし席を外します
俺がいるssの雪ノ下「卒業してから十年……」てスレ思い出した
俺がいるssの雪ノ下「卒業してから十年……」てスレ思い出した
麦野「ぷははは、上条ォ、お前TVに出てんぞ」
上条「マジか…」
絹旗「上条…本当に、本当にごめんなさい…」
上条は、服の裾を握って泣き出す絹旗をそっと撫でた。
上条「気にするな。俺はお前の側にいられるだけでいい。」
絹旗「上条…っ」
上条のアイテム加入後3ヶ月。
上条「…」
上条は何度も”掃除”をさせらされた。
何人も殺めた。
今でも、[ピーーー]か殺されるかの現場が怖い。
浜面「大将、腹減ったー」
上条「はいはーいっと…材料足りんがな。浜面、足だしてくれ。スーパーまでちょちょいっと。」
浜面「あいよー」
フレンダ「鯖も買ってきて欲しいって訳よ!」
何より、自分がこの場所を心地よいと思い始めるのが怖かった。
麦野「ぷははは、上条ォ、お前TVに出てんぞ」
上条「マジか…」
絹旗「上条…本当に、本当にごめんなさい…」
上条は、服の裾を握って泣き出す絹旗をそっと撫でた。
上条「気にするな。俺はお前の側にいられるだけでいい。」
絹旗「上条…っ」
上条のアイテム加入後3ヶ月。
上条「…」
上条は何度も”掃除”をさせらされた。
何人も殺めた。
今でも、殺すか殺されるかの現場が怖い。
浜面「大将、腹減ったー」
上条「はいはーいっと…材料足りんがな。浜面、足だしてくれ。スーパーまでちょちょいっと。」
浜面「あいよー」
フレンダ「鯖も買ってきて欲しいって訳よ!」
何より、自分がこの場所を心地よいと思い始めるのが怖かった。
浜面「もう着くぞ。」
上条「やべぇポイントカード忘れた…」
浜面「…大将」
上条「ここら辺に入れ…ん、なんだ?」
浜面「アンタ、本当によかったのか。」
浜面は進行方向を見つめながら、悔しそうに尋ねた。
上条「何が?」
上条は質問の意図に気付いていながら、とぼけているのか、本当に分からないのか。
浜面「…暗部に入って、本当によかったのか。」
上条「当たり前だろー?俺はお前達といるのはそれなりに楽しいし、経済的にも困らな」
浜面「そうじゃねぇよ!!!」
上条「…」
浜面「あっちに、未練は無かったのかよ」
上条「あ、着いたな。荷物持ち手伝え浜面」
浜面「大将!」
上条「無かったわけ無いだろ!!!」
浜面「!」
上条「無かったわけ無いだろ?表から存在を消すんだぞ?皆と会えないんだぞ?未練が無い訳無いだろうがぁぁぁ!!」
上条は助手席で叫び散らした。
諦めた希望を。未練を。浜面に八つ当たりでもするかのように。
浜面「…」
上条「…すまん」
浜面「いや、俺が考え無しだった。悪い」
上条「…」
浜面「…」
上条「…でもな」
浜面「…?」
上条「…それくらい、絹旗(あいつ)の命が大事なんだ」
浜面「…そっか。」
上条「ただいまーっとっと」
フレンダ「上条!お帰りーって訳よ!浜面は帰れ!」
絹旗「上条、超おかえりです!浜面は…うん…」
浜面「おかしい。なんかおかしい。」
滝壺「はまづら。おかえり」
浜面「たきつぼぉおぉ~!!!」
滝壺「よしよし。とりあえず荷物を台所に運ぼうね」
上条「上条当麻の~2日間クッキング~はっじまっるよ~」
浜面「今から2日間!?」
上条「おうよ!極上の料理食わしてやるぜ!!」
フレンダ「流石にそこまで待ってたら餓死するって訳よ…」
絹旗「できれば2分クッキングで超お願いします…」
上条「えぇぇ…」
上条「チッ、2時間しか無かったからこれくらいのモンしか作れなかったぞ…」
浜面「」
フレンダ「」
絹旗「」
麦野「」
テーブルに並べられたのは10数もの皿に乗せられた満漢全席。
日に日に進化していく上条のお料理スキルは違う意味で異質であった。
浜面「これを2時間で…?」
絹旗「上条は2日間かけて何を作り出すつもりだったんでしょうか…」
フレンダ「よく我慢した!よく2時間も我慢したって訳よ私のお腹!!…これは中華風鯖の味噌煮!?」
麦野「あたしは最近とんでもないモンを脅迫してアイテムに入れてしまったような気がしてきた…」
上条「はい、手を合わせ…フゥゥゥレンダァァァァ!!!」
フレンダ「はいぃっ!」
上条「食べる時には皆でだ!あといただきますも言う!守れなければご飯抜き!!」
フレンダ「ご、ごめんなさいって訳よ!!」
上条「良い子良い子。はい、いただきまーす」
「「「「いただきます」」」」
上条「洗うからお皿持ってこいお前ら」
フレ「上条が来てから食生活やら麦野の暴力が改善されていいことだらけって訳よ!」
上条「ありがとよ。後ろで麦野が睨んでるぞ」
麦野「フレンダァ…」
フレ「ぎゃぁぁぁぁぁっっ!」
上条「…」
俺は絹旗の命の為にここにいる。
それ以上でもそれ以下でもない。
フレ「許してって訳よー!」
麦野「待てやフレンダぁぁぁ!!!」
滝壺「はまづら。あーん」
浜面「滝壺!?」
絹旗「この映画はレンタル延長しましょうかね…」
それ以外に理由なんて…
フレ「上条ぉお!助けてって訳よ!!」
上条「フレンダ!?」
麦野「上条。だまってそいつを差し出せ」
フレ「麦野の暴力が酷かったのは事実って訳よ!」
麦野「ほほう…」
麦野の額に青筋が立つのに反応してかせずか、3つの球体が麦野の周囲に浮かんだ。
上条「麦野!上条さんとのお約束第2条!アジトの中で能力は使っちゃダメ!忘れたのか。」
麦野「む…忘れてねぇよ。飯が食えなくなるのはご免だからな。」
フレ「本当に上条が来てからアイテムは変わったって訳よ…」
上条「やるなら能力無しでやれ」
仲間とは時に非情である。
フレ「上条!?」
麦野「了解だにゃーん☆フレンダあーそーぼー!」
フレ「きゃぁぁぁぁ上条は結局鬼って訳よぉおぉぉ!!!」
上条「やり過ぎもダメだからな。上条さ」
麦野「17条だろ分かってんよ。」
上条「流石むぎのんだな。」
麦野「もぐぞテメェ」
浜面「マジか…麦野アレ全部覚えてんのか…」
上条「お前も覚えなくていいからなんとなくでもやっていい事と悪い事くらい区別しろよ」
皿洗いに従事しながら浜面と会話を交わす上条。もう主夫である。
浜面「えぇー…それ暗部に言うかー…」
上条「俺が来た時の荒れ具合といったらなかったからな。説得が通じてよかったよ」
浜面「いや…あれは説教だったと思うぞ。まさか麦野を正座させるとは思わなかった。」
上条「麦野は鮭が死ぬ程好きだったからなぁ。最初の夕食でオール鮭料理にしてから『約束を守らないなら二度と作らない』って脅し返した。」
浜面「だからあんなに鮭尽くしだったのか。飽きなかったのが正直不思議だったぜ大将」
上条「そこは上条さんの実力ですよ」
フレ「上条ー!今暇?」
上条「ちょっと待ってな……よし、何だ?」
布巾で拭い終わった最後の皿を戸棚に直す。戸棚の皿は、大中小だけではなく、色や形に合わせて綺麗に整えられていた。
フレ「…仕事って訳よ。」
上条「……分かった。」
フレ「…ごめんね、あんまり好きじゃないよね。」
申し訳なさそうに髪を弄るフレンダ。そんな仲間の頭を上条は撫でた。
上条「汚れ役はもう俺だけで十分だよ。お前達の手はこれ以上汚させない。」
フレ「…うん、ありがと。でも、サポートくらいはちゃんとするって訳よ!」
上条「今日のは”掃除”か?」
フレ「うん」
絹旗「…私も行きます」
上条「絹旗?」
絹旗「上条をフレンダと2人きりにするわけには…ではなくて。上条のサポートなら私1人で超足りてます。フレンダは今日はお休みしててください。」
突然名乗り出た絹旗。
しかしチラチラとテレビの画面に目をやっている。
フレンダ「え、でも…映画見たいんじゃ…」
絹旗「がるるるるる…」
フレンダ「な、何か良くわからないけど分かったって訳よ…じゃあよろしくね。」
絹旗「超了解しました。」
滝壺「私は、行った方がいい?」
上条「いや、AIMストーカーは必要ないかもしれない。代わりに浜面連れて行くよ」
浜面「何で!?」
いきなりのご指名に椅子からひっくり返って頭からホットなコーヒーを浴びた浜面。
上条「あ・し」
浜面「あぁ…」
麦野「…いやあたしも行くんだが?」
上条「え?いや、でもだな」
麦野「この手はとっくに真っ黒だっての。黒に黒重ねても何も変わんねぇよ。」
上条「…ごめん」
麦野「謝んなよ。寧ろ立場逆だわ。……少しだけだけどな、その、…汚いやり方でテメェを巻き込む事になってさ…柄にも無く気持ち悪いっつーか、後悔してるっつーか…それなのに良くしてくれて感謝して……あぁもうわけわかんねぇ!!早く行くぞ!!!」
上条「麦野…」
俺は、本当に絹旗の為だけに暗部にいるのか?
じゃあ俺は何の為に?
あぁ、怖い。
上条「…今考えても、仕方ねぇよな。……とりあえず俺は、」
絹旗「上条、行きましょう」
上条「あぁ。」
こいつの笑っている場所にいれればいい。
たとえそれが闇のなかであっても。
────────────
土御門「…」
「オイオイ。例の暗部落ちが来てからなンかあそこ変わってねェかァ?本当ォに第4位ン所かよォ」
土御門「あぁ、変わってる。……だけどなカミやん。お前の居場所はそんな真っ黒な所じゃない。……どんな事をしてでも光に連れ帰ってやる」
「つっちー、それは裏の秩序のため?それとも、ボク等の親友を救うため?どっちや?」
土御門「ははは、愚問だにゃー。オレ達は3人そろってデルタフォースだぜぃ?」
「せやったね。…早よ一緒に帰ろな、カミやん。ボクはまだ、カミやんとゲーセン行き足りてへんよ。」
土御門「…キーパーソンは、やっぱり絹旗最愛か。現時点でカミやんと1番距離が短い筈だ。」
「つっちーいつもそのクールモードで喋ればええやん。かっこええよ?」
土御門「男に褒められても嬉しくないにゃー!」
「うわぁぁぁぁ!やめ、やめてくれ!!」
上条「…ごめんな。でも、お前らは関係無い女の子を何人も犯して殺してたんだろ?せめて謝りに行ってやれ」
血に塗れた部屋の一室に、乾いた銃音と断末魔が響いた。
上条「こっちは潰した。ほぼ全員が能力者だったから焦ったよ」
麦野「…銃、慣れてきてるな。」
上条「…? あぁ。」
麦野「…民間人から風紀委員にタレコミがあったらしい。お前ら引き上げるぞ!」
浜面「いやもう来てるんだけど。」
上条「マジでか」
「風紀委員ですの!!」
突然何もない空間から緑の腕章をつけたツインテールの少女が現れた。
空間移動系能力者だろう。
しかしそれ以上に、その人物には見覚えがあった。
上条「…ビリビリと一緒に居た…」
麦野「おいっ!!」
白井「…あら?あなたはもしや…」
麦野「はまづらぁぁぁ!!車を出しやがれ!!!!」
浜面「くそったれぇ!!!」
白井「なっ!?ちょっとお待ちなさい!!…くっ、風紀委員として現場を離れるわけには…!!!すみませんお姉様…」
麦野「馬鹿かテメェ!表の人間と容易に関わるんじゃねぇよ!!お前は失踪した事になってんだぞ!!?」
上条「すまん…」
浜面がどこからか借用してきた大型バンの中で、上条が珍しくもお叱りをうけていた。
麦野「絶対に見つかんなよ?風紀委員はちと面倒だ。」
上条「あぁ、気をつける。」
.
「…え?今、なんて…?」
白井『ですから、件の”上条当麻”という高校生を見かけましたの!』
「黒子、…それどこで?」
白井『いけません!それ以上踏み込んではなりませんわ!!それにもしわたくしがバラしたことが発覚したら風紀委員としての立場がないですの!!』
「……分かった、ごめん無理言って。」
白井『いえ…これだけはどうしてもお伝えしたかったので…』
「でも生きてる事と、学園都市のどこかにいる事が分かっただけで儲け物よ。サンキュー黒子。」
白井『…いえ…、それでわですの』
「さぁ、絶対見つけ出してやるんだから。覚悟してなさいよねあのバカ!」
上条「ちょっと買い出しに…」
麦野「行かせるとでも?」
上条「煙草吸いに…」
浜面「大将吸ってないだろ…」
上条「アジトに篭って早2週間。気が滅入って来たんだぜ…外に出たいんだぜ!!うひょひょひょぴよ」
フレンダ「上条が壊れたって訳よ…」
絹旗「も、もう風紀委員の捜査も期限が切れてるようですよ?麦野。」
麦野「あと…最低1週間くらいで熱りは冷める筈だ。そしたら外に出してやんよ」
上条「やだー!出たい出たい出たい出たい!!」
麦野「うるせぇ!!」
上条「お願いしますちょっとでいいんで上条さんをそとに出してやってくだざい」
麦野「泣くなよ…わーったよ!ただしあまり目立つ行動はせず、2時間で戻って来い。それが条件だ。」
上条「ありがとう麦野ぉぉお!!!」
麦野「バッ、おま抱きつくな!!」
上条「最初の方は露骨に警戒しまくってたけどお前結構いいやつだよなああなんかいい匂いが」
絹旗「超ーーーッ!窒素キック!!」
上条「ぐがぁピンクだった!!!」
暗部という闇に堕ちた上条がさらに変態という深淵まで一瞬堕ちかけたが、絹旗のパンチラキックによってギリギリ止められた。
例のワンピースで上段回し蹴りなんぞ放てば見えるもんも見えるのである。
絹旗「」
上条「…あー、ミテナイデスヨ?」
絹旗「ピンクって!ピンクって超言いました!!」
上条「気のせいジャナイデスカ」
絹旗「…黒いリボンが超大人っぽかったでしょう?」
上条「え?小さいリボンしかついつなかっ……、!」
上条は死神のカマが首ににかかっていたのに気付くのが遅すぎた。
絹旗…恐ろしい(ry
絹旗「こンのエロ条がぁ!」
上条「おぼぅ!?」
絹旗「超超超大っ嫌いです出かけてきます!!」
絹旗は上条の脇腹にワンパン入れた後に、火照った顔を両手で隠しながらアジトを出て行った。
上条「絹旗ぁぁぁぁ!!出来心だったんだ許してくれぇぇぇぇ!!!」
フレンダ「まーた始まったって訳よ」
浜面「一週間に何回かは喧嘩するよな大将達。直ぐに仲直りするんだろうけどよ」
上条「うぉぉお…絹旗に嫌われたぁぁぁ」
アジトの床にうつ伏せのまま滝のような涙を流す上条の姿に、全員が引いていた。
上条「うっ、うっ、絹旗に土下座してくる…」
滝壺「多分、奢らされるから…サイフ持ってけたいしょー。」
浜面「!?」
上条「ゔん…行ってぎます…」
麦野「あの2人にも困ったもんだ」
フレンダ「床が水浸しって訳よ…浜面掃除して」
浜面「滝」
滝壺「そんな浜面は応援できない」
浜面「…壺!応援しててくれよな!」
滝壺「うん。」
絹旗「ばかばかばーか。ホントにばーか。上条は超愚か者です!『大きい胸より小さい胸!』って高らかに宣言したくせに!」
絹旗の脳内では、上条に関するありとあらゆる思い出に全自動フィルターがかかっております。
絹旗「いかに丸くなったとはいえ麦野ですよ!?やっぱりあの超ビックサンダーマウンテンのせいですか!!?垂れてしまえ!!!」
絹旗は般若の如し形相で壁パンを繰り返す。こうして第19学区で2棟目の無人ビルが犠牲となった。
絹旗「あぁぁぁぁ!麦野に上条超取られたらどうしましょう…何となく……嫌です!」
電子音が鳴った。
絹旗「上条!?」
最近の絹旗はこの調子である。携帯がなれば驚くべきスピードで取り、上条かどうかを確認する。
浜面が電話をかけたらなおのこと機嫌が悪い。…しかし今回は、にやけた顔から察するに上条からのメールと見て違いない。
絹旗「なになに、『絹旗、さっきは悪かった』……え、これだけですか?」
そうじゃない。そうじゃないのだ上条当麻。今の乙女絹旗が求めている文はそれではない。
絹旗「…超イライラしてきました。『超大っ嫌いです!もう一生話しかけないでください(¬_¬)』…っと、送信。」
ご丁寧に顔文字付き。
絹旗「こうなったら超映画でも見に行きますか!超久しぶりに悶々としてきましたし…C級映画でリフレッシュです!」
絹旗は携帯の電源をOFFにして、映画館へ向かったのだった。
上条「うぉぉ…『超超超超大っ嫌いです!もう一生金輪際、何があってもなくても話しかけて来ないでくださいエロ条!!!』とか来た…死にたい」
絹旗もそこまでは言っていない。
お前の目は節穴かとでも言いたくなるくらい全ての事柄がネガティブに見えるように思考が傾く上条。げっそりとしていた。
上条「うぉぉ…絹旗…本当にすまなんだ…何で怒ったのかは分からないけどこんな俺を許してくれ…」
周囲の目を引きまくる上条。
自分が今表の世界では指名手配のように追われている身だということを覚えていないのだろうか。
「ねぇ初春…あの人失踪したっていう人じゃない…?」
「え?……あぁ!お手柄ですよ佐天さん!!」
「よーっし!そうと決まれば尾行だね!」
上条「ん?…?…絹旗ぁ…許してくれ…」
『えー、風紀委員より第7学区の皆様にお知らせだにゃ…お知らせです。』
上条「?ここの事だよな?」
初春「風紀委員から?どうしたんでしょうか??」
ザワザワと騒ぎ出す周囲の人々。
何だ、何か事件でもあったのかとの声もあがる。
『今セブンスミストという施設の入り口前に立っている、パーカーのフードを被った男は3ヶ月前に失踪した学生と思われます。』
初春「!?」
佐天「!?」
上条「何でばれて!?……あっ」
自分で驚きの声をあげたのは失敗である。
一気に全視線が上条に向いた。
上条「あ、あはは…それじゃ!」
『確保のご協力を要請します』
上条「不幸だぁぁぁぁぉぁ!!!!」
上条「何でいきなりばれて…、てか風紀委員ってあんな放送もするのか」
上条が逃亡して来たのは、河原。
なかなかに痛いくて思い出深い場所である。
上条「…そういえば、ビリビリは元気してっかな…」
御坂「えぇ、とっても元気よ?」
元気なら良し。人間は健康が第1だ。
上条「そうか、そりゃあよかった。見ろよお前のレールガンの跡。まだ残っ…て…」
御坂「やっほー♪」
御坂美琴。常盤台のビリビリ電撃娘がそこに居た。
上条「なっ、なっ、ご、ゴホン。おぉ、あなたは常盤台の御坂美琴様ではないですか!僕はただのファンですサインください!」
無理がある。
御坂「あははー。何でただのファンがアタシとあいつの決闘の事知ってるのかなー?しかも」
御坂の放電が始まった。右手にコインを構えての、一撃必殺の攻撃体勢。
御坂「あんた今ビリビリつってただろうがーーーーっ!!!」
…細かな点を指摘すると実際のソレではないのだが、御坂とその周囲はそう呼んでいる。
年端もいかない頃から血の滲むような努力を積み重ねてきた、彼女にのみ許された最強の矛であり、代名詞。
それが”学園都市、第3位のレールガン”である。
上条「くぉあ!?」
場慣れしてきたといっても、所詮はただの元男子高校生。
音速に達するレールガンを右手で対処する事ができる反射神経など持ち合わせる筈がないのだが…
上条「…あ、危なかった…久し振りに食らってびびった…」
上条は受け止めていた。
だが、攻撃を受け止めた反動か、それとも風か何かか。
上条の頭をすっぽり隠していたフードはとれ、ウニ針がピン、と天を指した。
上条「あっ…」
御坂「いたいたいやがったわね、アンタ。やっと見つけたわよ上条当麻!」
上条「なんなんだよ!出会い頭にレールガンなんて…[ピーーー]気ですかぁ!?」
御坂「アンタが失踪なんてするからでしょうが!!…アンタん所の先生、っていうちっちゃいピンク髪の子が訪ね回ってるわよ。」
ちっちゃいピンク髪の子で、上条の先生。
該当するのは1人しかいない。
『上条ちゃーん』
上条「小萌先生…か。」
上条の涙腺が少し緩んだ。
小萌という教師の存在をきっかけに、捨てきれなかった未練が、次から次に涙となって溢れてくる。
御坂「ちょ、ちょっと…何泣いてんのよ…」
上条「俺は…俺は…」
俺は何のために光に背を向けたんだ?
上条「分からねぇよ…ぉぉ!!うぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーっ!!!!!!!」
御坂「…」
泣き崩れる上条。そっと背中を抱く御坂。
2人しかいるはずの無い河原を、ショートボブの影がじっと見つめていた。
上条「…すまない」
目を泣き腫らした上条は落ち込んでいた。
まさか女子中学生にあんな無様な姿を見られるなんて…と。
御坂「いいわよ、別に。アンタにも事情があったんでしょ?」
上条「…あぁ。」
御坂「じゃあアタシは聞かないし止めない。……でもこれだけは約束しなさい。」
上条「?」
御坂「絶対に帰ってくること」
上条「…」
御坂「それじゃあね。また、会いましょ。」
上条「また、な…。」
,
ここでVIPにカキコしていないストーリーを最初に挟みたいと思います。
すこしずつペース合わせということで…
∧,,∧
(;`・ω・) 。・゚・⌒) 回鍋肉作るよ!!
/ o━ヽニニフ))
しー-J
書きだめしたものを全消ししてしまった…
もう諦めて6年間書いてしまえよ、って心の中でナニカが囁い…ぐぁぁぁっ!!
内容を忘れるのが怖い…
学校行って来ます
御坂が立ち去った後、フードを被り直した上条は川をボーッと眺めていた。
上条「…はぁ。」
中学生の女の子に弱音をぶつけてしまった事もそうだが、道行く女子学生2人組に写メられた事が何より恥ずかしい。
頭に花が咲いている子とロングヘアの子が、面白そうに携帯にて撮影していたのだ。
上条「ビリビリの知り合いだったら消してもらおう…」
違う意味の涙が出てきた。
上条「……はぁ、俺は何をやってんだかなぁ。」
何の為に闇に堕ちたのか。
絹旗の為に決まっているじゃないか。
今更そんな事を自問自答しているのか。
光に帰りたいか?帰りたいに決まっている。だが、絹旗が隣にいないのであれば意味がない。
上条「絹旗が闇に居るなら、俺は這いつくばってでもついて行く。それでいいだろ。」
上条は、何故絹旗にここまで執着するのかまだ自覚が無い。
絹旗共々、その気持ちに気付くのはもっと先になりそうだ。
ふと、盛大に腹が鳴った。
上条「…昼飯食いに行くかな。 」
今まではひょいひょいファミレスにも行くことすらも難しかったが、インデックスの帰国と、仕事の給料によって大分金回りも随分と良くなってきた。
もっとも、闇の仕事での給料が一番金回りを良くしているし、上条自身それを受け取っているので今更暗部についてとやかく言う資格はない。
上条「……」
珍しく考える事がいっぱいである。
上条「ファミレスにするか…それともたまには自分にご褒美って事でちょっとお高い所に行くべきか……」
ふらふらと歩きながら思考を巡らせる。
ちょっとお高いと言っても、大手チェーン店から普通のレストランに変わる程度。
豪華な店に行く事……いや、そんな店があるという事を都市伝説くらいにしか考えていなさそうだ。
金回りが改善しても、そこら辺の貧乏根性は抜け切れていないご様子の上条だった。
上条「んー。」
「上条」
後ろから聞き慣れた声に呼び止められる。
上条「絹旗…」
絹旗「…」
何とも言えない表情を浮かべた絹旗と上条の間に微妙な空気が流れる。
上条「…」
絹旗「……」
上条「えっと、そのだな…さっきはゴメ」
絹旗「それは超いいです。気にしてませんから。」
上条「え、」
正直なところ、激怒されると思っていた上条は間抜けな声をあげた。
絹旗「それより話があるので超ついてきてください。」
連れて来られたのは、初デートでも訪れたあの映画館。
上条が暗部に入った後も、何度か2人で映画を観に来ていた。
上条「…な、何かの映画を見るのか?」
絹旗「……」
絹旗は何も言わずに、映画館前のポスターを見つめている。
上条「…ええっと」
何故だ。
何故この子は黙りこくっているんだ。
また何か怒らせただろうか。
上条は冷や汗をだらだら流して、その時を待った。
絹旗「私が。」
上条「…!?」
絹旗が話を切り出したのは、15分程立った頃。上条は待った時間が長かったところに驚いたのではなく、振り返った絹旗が涙を流していた事に驚いた。
絹旗「私が上条の超枷になってるんじゃないですか」
上条「…枷?」
いきなり何を。と続ける上条の言葉を絹旗が話を続けることで遮った。
絹旗「私が、上条の表に帰りたいという想いを超押し潰してませんか……?本当は、泣き出したいほどに、表に帰りたいと思っていませんか!?」
上条「…!」
河原での件を見られていたのだろう。
一見しても精神感応能力でもない限り、御坂とのやりとりから上条の本心を悟る事はまず不可能に近い。
…だが。
運命の悪戯か否か、短い期間でお互いの1番近い距離辿り着いてしまったが故に、相手の考える事に早く気付き易くなってしまった。
それが今、絹旗と上条の双方に心の迷いを生じさせている。
上条「…お、俺はそんな事。考えて無いぞ。」
そして上条は、間違った選択肢を選んだ。
絹旗「…ッ⁉︎」
上条「……絹旗?」
絹旗が目を見開いた。
信じられないとでも言いたげな目だった。
上条「絹」
絹旗「信じでだ…のに…」
上条「!」
絹旗「ホントの事、言っでぐれるって、超、信じてた、のに…っ!」
上条「…違う、違うんだ」
絹旗「じゃあ!何で超嘘なんてつくんですかっっっ!!!」
これが上条が選んだ選択の代償。
相手の事を思いやる『嘘』は、時に相手の心を無情にも斬りつける事がある。
そしてそれは、2人の関係にも傷を付ける。
上条「嘘じゃ…ない…。俺は”ここ”も好き、だ」
絹旗「私は!この数ヶ月ずっと一緒にいたんです!上条の嘘をつくときの癖くらい超分かってるんです!!」
泣きながら、周囲の目も気にせず、喉が潰れるくらい叫んだ。
どうしてこの人は自分にも『帰りたくない』なんて嘘をつくのか。
…分かりたくもない。胸が余計に苦しくなるだけだ。
上条「……」
悔やんだ。
今、上条は己の過ちを死ぬ程後悔した。
しかも、泣いている女の子を前にして、何と声をかければいいのかすらも分からなくなっていた。
絹旗「……先にアジトに、帰ります」
上条「……あぁ」
,
フレ「上条~!仕事行くって訳よー!」
上条「あぁ、分かった。」
フレ「もう1人助っ人が欲しい…んたけど。……絹旗は来る?」
絹旗「…私は超遠慮しておきます。今日は暇そうなので映画に行って来ますね」
上条「…っ」
フレ「じゃ、じゃあ麦野頼むって訳よ」
麦野「……最初からそのつもりだ」
浜面「……なんか、最近大将と絹旗の距離感を感じずにはいられないんだが。気のせいかね滝壺?」
滝壺「喧嘩、したのかな」
上条-絹旗間の無会話、無接触がついに1週間を突破した。
無理に名前を全角二文字に揃えなくて良いぞ
フレメアもいるしフレンダで問題ない
>>140
了解
フレンダ「空気が重くて耐えられないって訳よ…」
上条と絹旗はそれぞれが何処かへ出かけたようだ。
麦野「アイツ等が顔合わせるとよ、上条は声かけようとするんだろうが…絹旗のヤツが露骨にスルーしやがるんだわ。ありゃ何かあったな」
滝壺「あんなに、仲良かったのにね」
浜面「仕事の方に問題は無い……いや、あるか。」
上条と絹旗が組んで仕事をすると、コミュニケーションがとれず、殆ど失敗に終わって後始末の必要が生まれる事になる。
麦野「とっとと何とかしてもらわねぇと、だな」
フレンダ「誰かどうにかしてって訳よ…はぁ…」
「「「はぁ…」」」
アイテム一同が溜息をついたところで、ミーティングは終わった。
一旦お休みなさいということで。。。
明日の夕方に再び俺参上します
明日ってか今日でしたお休みなさい
回鍋肉が好きすぎる…
∧,,∧
(;`・ω・) 。・゚・⌒) 回鍋肉作るよ!!
/ o━ヽニニフ))
しー-J
でも今日はカレーなんです
ということで投下に参りました
上条「さて、ちゃっちゃと書きますか。」
上条はネットカフェに居た。
会員登録をしなければ利用ができない店舗らしく、住所は今住んでいるアジトに、名前は『東條上真』と本名を入れ替えただけの偽名で登録しておいた。
上条「………こんなもんでいいのかな」
ボールペンと筆ペンを使って、書類と手紙を書き終えた。
今日の夕方から夜の間で、この手紙をある人物の家にポスト投函するのが今日のミッションである。
依頼主は自分。
これは朝のニュースを見た事がきっかけで、表に未練を感じている自分と本当に決別するために、かみ自身が己にかしたミッションだった。
上条「まだかなり時間があるな…」
思えば、人目を避けて書類を書く場所を探してネットカフェに入ってから、既に4時間以上も経っていた。もうお昼過ぎである。
上条「最期に、本当の本当に最期。……表を見て回ろう」
まず最初に向かったのは、暗部に入る前まで住んでいた男子寮。勿論周囲に気付かれないように、フードを深く被っている。
学校のある平日の昼下がり、やはり誰もいないようだ。
上条「………、そういえばインデックスは元気でやってるかな。」
自分の元部屋がある階目指して階段を上りながら、ふと思う。
「……よォ」
上条「!」
そんな上条を部屋の前で迎えたのは、いつかぶち当たった学園都市最強の壁。
己が能力故に、白髪・赤目が特徴的な少年。
学園都市第1位、一方通行だった。
一方通行「…お前がアイテムに入った暗部落ちって聞ィてよォ。耳を疑ったぜェ、上条」
上条「ア、一方通行!?」
一方通行「上条…やっぱなンか違ェな。お前は永久に三下だァ。」
細い指でこちらを指しながらニヤリと笑う。
だが昔のように、残虐性に満ちた表情では無く、本当におかしいことを普通に笑う自然な笑みだった。
上条「…お前、何か丸くなったか?」
一方通行「あァン?喧嘩売ってンなら買いますけどォ?」
ニヤリ、と残虐性の戻った表情の一方通行は、首に巻いたチョーカーに手を伸ばした。
前に見た時は巻いていなかったが、能力を使用するスイッチのようなものだろうか。
上条「売ってねぇよ!……ていうか上条さんの暗部落ちを知ってるって事は…」
一方通行「今まで殺りあう事が無かったのが不思議なくらいだな三下ァ。俺は暗部ッて世界なら三下より先輩だぜェ?一方通行先輩って呼べやァ」
上条「不気味だな、却下。」
一方通行「チッ、…まァそれはどォでもいいンだわ。今日はその呑気なツラを拝みに来ただけだァ。」
上条「ならアイテムのアジトにでも……って、敵になるのか…」
一方通行「たりめェだろォが。…それに、なンかここに来そうな予感がしてたからなァ。これ見ろよォ」
再び細い指で指したのは、扉についているポスト。
山程の手紙が挟まっていた。
一方通行「朝のニュース見たンだろォ?ちっこいピンク髪のロリが………、ピンク髪のガキがこの場所で『上条ちゃん!上条ちゃぁぁん!!』って叫んでたからなァ。」
上条「……あぁ。」
確かこの場所で、上条の担任は泣き崩れていた。
後ろには懐かしい顔触れが何人か映っていたような気もする。
そして、学園都市最強がそのキャラを揺るがしかねない発言をしたような気もする。
一方通行「だがなァ。ここに来ちまったッて事は、諦めがついてねェッて事だぜェ三下。」
上条「…俺は、最期に見て回ろうとしてるだけだ。2度と来ないさ。」
一方通行「ハッ、どォだかなァ」
上条「………それじゃあ、また裏で会えたら会おう」
一方通行「オイオイ、手紙は持ってかねェのかァ?」
上条「……来たことがばれたら面倒だからな。」
一方通行「……テメェは俺に丸くなったって言いやがったが、どォやら変わったのは俺だけじゃねェみたいだなァ。」
上条「……」
一方通行「……早く行っちまえ」
上条「………あぁ。」
,
上条「……」
一方通行の言葉が胸に渦を巻いていた。
『どォやら変わったのは俺だけじゃねェみたいだなァ』
『諦めがついてねェッて事だぜェ』
上条「そんな、事は、無い。俺は諦めたからこうして最期に見て回ってるんだ…!」
振り払うように走り出した上条。
次の行く先は、多少危険を伴うものの、毎日通ったあの学校だ。
上条「……1度見たら、すぐ帰ろう」
そんな事を考えて走っていた矢先。
「きゃっ!?」
上条「おわっ!?」
人とぶつかった。
上条「ごめん、大丈…、……⁉︎」
「っ…どこを見て歩いていた!?もし姫神にまで当たっていたらどうしてくれる!!!」
「…吹寄さん、大丈夫?」
尻餅をついた少女に伸ばしかけた手を引っ込めて、上条は駆け出す。全力で、全速力でその場を離れた。
幸いにも顔を隠すフードはとれなかった。
完璧にはばれていないだろう。
上条「何であいつらが!今日は学校の筈だろ!!?」
携帯のカレンダーを確認してみる。
…なんと祝日。
盲点だった。
下手をすれば寮に行った段階で、知り合いに見つかるかもしれなかったのだ。
上条「不幸だ…」
「待て貴様ァァァァァ!!!!!」
上条「!?」
吹寄「謝るという日本語も分からんのか!!止まれぇぇぇぇ!!!!」
後ろを振り返ると、先程の少女が修羅を思わせる形相で、とてつもない速さで迫っていた。
周りの男共は揺れる胸に釘付けになっているが、今はそんな場合ではない。
上条「うぉぉぉぉぉ!!?不幸だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
吹寄「…⁉︎絶対に逃がさんぞ貴様!話があるから止まれ!!大覇星祭実行委員の命令だ!!!」
上条「何でこんな事にッッ!?」
どこぞのサイボーグのように、さらに加速して追いかけてくる少女を振り切る為に上条は裏道に入った。
飯食って来ます
家帰宅しますた
上条「……なんでだろーなぁ。嫌な予感がする」
急に足音が途絶えた事に、逆に不安を感じた上条は、恐る恐る来た道を戻ってみた。
スキルアウト1「よぉねーちゃん。こんなところ通ったらダメだぜー?」
スキルアウト2「俺達みたいな悪い奴に捕まっちゃうってばよー?」
スキルアウト3「うは胸デカwwwwww」
「くっ…離せ!」
やはり絡まれていた。
スキルアウト3「その台詞かよwwwwww誘ってんのかwwwwww」
「汚い手で私に触れるな!」
スキルアウト1「おいおい俺はLEVEL3の発電能力だぜ?逆らうな…っての!」
スキルアウトの1人が少女の肩に回した手から、スタンガンの要領で一瞬だけ電気を流した。
「ち…くしょう…」
しゃがみ込むも、少女はかろうじて意識を保った。
だが、身体が痺れてうまく動けなければ、助けを呼ぶ大声を出せそうにない。
最低限の抵抗として自分の体を両手で抱き、睨みつける。
スキルアウト1「さて、と。お持ち帰りといこうか。」
スキルアウト2「こんな上玉久しぶりだぜ!」
スキルアウト3「おいおいwwwwその台詞死亡フラ、ぎゅ!?」
細い路地で、1番奥の方にいたスキルアウトが突然顔に衝撃を受けて吹き飛んだ。
完璧に入ったようで、一撃で意識を手放したようである。
スキルアウト1「なっ…?誰だ!!」
上条「……吹寄を放せ、クズが」
吹寄「!」
スキルアウト2「俺達は【ライダー】のメンバーだぞ!!分かってて言ってんのか!?あぁん!?」
上条「……聞いた事が無いな。とりあえずとっとと消えろよ、逃がしてやるからさ」
スキルアウト2「舐めやがって…!俺は肉体強化能力のLEVEL2だぞ!!」
筋肉がレスラー並みに盛り上がったスキルアウトが殴りかかり、上条の頬に突き刺さる。
スキルアウト2「!?」
しかし、上条の顔に触れている腕どころか全身の筋肉が元に戻っている。
理由は簡単である。先に上条の右手が相手の水月に入っていたのだった。
スキルアウト1「……くそっ!覚えてやがれ!!」
倒れた2人の仲間を引きずって逃げて行く残ったスキルアウトを見送った上条は、吹寄に駆け寄った。
吹寄「……貴、様…!やはり、上条!」
身体に問題は無い。
外傷も擦り傷だけのようだ。
上条「……」
吹寄「なんとかっ!言え!フードをとれっ!!姫神が、小萌先生が、私が!どんな思いでお前を探していたと…っ!!」
上条「…ごめん、吹寄」
吹寄「待て!どこに行く卑怯者!!」
少し困ったように笑って後ずさりしていく上条。
これ以上友人に関わるのは、いやもう手遅れなのかもしれない。
それでも、今は迅速に目の前の元クラスメートから逃げる事が最善だと判断した。
─────────その夜。
幼い容姿で、周囲からも人気がある1人の教師の元に生徒の1人から電話が届いた。
「はいはい吹寄ちゃーん…、…ふぁい?」
話の内容は、片手に持っている缶ビールを取り落とす程に驚くものだった。
吹寄『上条がっ!居たんです!!私をスキルアウトから、助けてくれたんですけど…』
「上条ちゃん、を、見たんですか…?」
吹寄『私も行方を探ってみます!一応、先生にも言』
カタン、と。
扉についたポストに何かが投函される音がした。
こんな時間に郵便が来るのは不自然。
何かを感じた月詠小萌は電話そっちのけで、急いで扉を開けた。
小萌「上条ちゃん!」
見慣れたツンツン頭はそこにはなく、フードをすっぽり被った人影が駆けて行くのが見えた。
吹寄『先生!先生!?聞いてますか!!』
小萌「…これ、は。」
ポストから取り出したのは一通の封筒。
中に入っていた手紙には『今までありがとうございました』と、一文だけ書かれており、書類には『退学届』と表記されていた。
小萌「そんな…上条ちゃん!」
靴を履くことも忘れて外に飛び出る。
小萌「上条ちゃん!上条ちゃん!!」
視界が霞む。
涙だ。涙がとめどなく溢れて止まらない。
小萌「待って、待ってくださいです!!」
走って行く人影はもう見えない。
それでも走る事をやめなかった小萌は、躓いて転んだ。
小萌「上条ちゃあ゛ぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
身勝手ですみませぬ
本日はこれまででご勘弁の程を。。。
少々熱気味で文がうまくまとまりません
おやすみなさいでございます
明日も夕方、早くて昼過ぎに参上いたします
m(_ _)m
吹寄「先生っ!」
十数分経った頃、電話越しから異常を感じた吹寄は、小萌の家に走って来ていた。
小萌「……吹寄ちゃん…ですか。」
目を泣き腫らし、頬と膝小僧を擦りむいて、身も心も疲れた様子の小萌が迎えた。
吹寄「先生…大丈夫ですか…?」
小萌「えへへ…走ってたら転んでしまったのですよー。先生としたことが、うっかりさんでした」
照れたように舌を出す小萌の、吹寄を見上げる顔に浮かぶのは作り物の笑み。
悲しくてやりきれない本心が見え見えだった。
吹寄「……上条が来たんですね」
小萌「………はいです」
吹寄「そうですか…。それは?」
小萌に俯かれて、行く場を失った吹寄の目が、小萌の手に握られたクシャクシャの紙に止まった。
小萌「……上条ちゃんからのお手紙と、これです」
もうひとつの書類を吹寄に見せる。
退学届、と書かれたものだ。
小萌「先生は、わかってる、です。上条ちゃ、も。大事な用がっ、ある、です…っ」
吹寄「先生!……上条当麻。貴様、勝手にも程があるぞ!!!」
泣き崩れる小萌を抱きとめ、吹寄はどこにいるのかもわからない上条に吠えた。
吹寄「絶対に貴様を見つけだして見せるぞ!上条!!」
,
小萌先生宅から逃げるようにして走っていた上条は、公園のベンチにいた。
辺りは真っ暗で、時間こそ確認していないが遅い時間だろう。
街灯の明かりがひどく頼もしいようで、頼りなく感じた。
上条「…よし」
「何が『よし』だテメェオイ」
上条「え?」
後ろを振り返った上条の顔から数cm横を独特の色をした光線が通った。
上条「⁉︎……⁉︎⁉︎」
麦野「絹旗泣かしといてよくもまぁ元気になりやがって。表とも関わり過ぎだボケ。禁固2ヶ月の刑だ。いや、もう[ピーーー]よ」
上条「む、麦野…」
麦野が髪を夜風に靡かせ、呆れたようにジャングルジムの上から見下ろしていた。
ジャングルジムとベンチの距離が異常に違い事にも驚いていた。
上条「振り向き様になんてことすんだ…よ………」
麦野「あん?何処見てんだよ」
何本かの街灯が照らしたのは姿形だけではなかった。
上条「……ええっと。その、だな…」
麦野「…あ?……!?」
スカートを抑えた麦野。
上条の脳裏には黒のレースな逆三角形が刻み込まれた。
おぉ、そういえばそうでした…
死ね
こうですかね?
,
小萌先生宅から逃げるようにして走っていた上条は、公園のベンチにいた。
辺りは真っ暗で、時間こそ確認していないが遅い時間だろう。
街灯の明かりがひどく頼もしいようで、頼りなく感じた。
上条「…よし」
「何が『よし』だテメェオイ」
上条「え?」
後ろを振り返った上条の顔から数cm横を独特の色をした光線が通った。
上条「⁉︎……⁉︎⁉︎」
麦野「絹旗泣かしといてよくもまぁ元気になりやがって。表とも関わり過ぎだボケ。禁固2ヶ月の刑だ。いや、もう[ピーーー]よ」
上条「む、麦野…」
麦野が髪を夜風に靡かせ、呆れたようにジャングルジムの上から見下ろしていた。
ジャングルジムとベンチの距離が異常に違い事にも驚いていた。
上条「振り向き様になんてことすんだ…よ………」
麦野「あん?何処見てんだよ」
何本かの街灯が照らしたのは姿形だけではなかった。
上条「……ええっと。その、だな…」
麦野「…あ?……!?」
スカートを抑えた麦野。
上条の脳裏には黒のレースな逆三角形が刻み込まれた。
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小萌先生宅から逃げるようにして走っていた上条は、公園のベンチにいた。
辺りは真っ暗で、時間こそ確認していないが遅い時間だろう。
街灯の明かりがひどく頼もしいようで、頼りなく感じた。
上条「…よし」
「何が『よし』だテメェオイ」
上条「え?」
後ろを振り返った上条の顔から数cm横を独特の色をした光線が通った。
上条「⁉︎……⁉︎⁉︎」
麦野「絹旗泣かしといてよくもまぁ元気になりやがって。表とも関わり過ぎだボケ。禁固2ヶ月の刑だ。いや、もう死ねよ」
上条「む、麦野…」
麦野が髪を夜風に靡かせ、呆れたようにジャングルジムの上から見下ろしていた。
ジャングルジムとベンチの距離が異常に違い事にも驚いていた。
上条「振り向き様になんてことすんだ…よ………」
麦野「あん?何処見てんだよ」
何本かの街灯が照らしたのは姿形だけではなかった。
上条「……ええっと。その、だな…」
麦野「…あ?……!?」
スカートを抑えた麦野。
上条の脳裏には黒のレースな逆三角形が刻み込まれた。
麦野「上条ォォ…」
上条「す、すみませんでしたッッ!不本意です!!」
麦野「…あのな、アタシだって女なんだわ。それともテメェにはアタシがパンツ見られていい思いをする変態にでも見えてんのか?」
上条「ごめんなさいごめんなさい!だから原子崩し連射はやめて!!」
麦野が連射を止めたのと、上条が土下座した事で腹部に風穴が開く代わりにウニ棘が数本、この世から消失した事が同時だった。
麦野「……まぁいい。テメェが今日すべき事はまだ他にもあんだろ」
上条「え、あ…?」
麦野「……はぁ?分かんねぇのか?」
上条「いや、その、絹旗…の事だろ?」
麦野「分かってんならとっとと探しに行けや。融解させんぞ」
上条「………でも」
麦野「デモもストライキもあるか。男がナヨナヨしてんなよ、その股には何もぶら下がってねぇのか?」
上条「女の子がそんなはしたないことを言うんじゃありません!!」
麦野「それともなんだ?絹旗が全部悪ぃ訳か?それならそうと先に言」
上条「絹旗は悪くない!」
麦野「あ?悪ぃだろうが。テメェと絹旗がここ1週間で仕事しくじる原因作ってんのぁ、絹旗だろ?」
上条「違う!それは全部俺が悪いんだ!!絹旗には俺が迷惑をかけてるだけ、なんだ…」
麦野「へぇ。なら絹旗の事は大嫌いな訳かよ。」
上条「そんな事ない…、今の俺にとって絹旗は全てだ!!」
麦野「……おぅ。やっといつも通りになったな。」
してやったり。とでも言うような表情を浮かべた麦野。
最初から演技だった様である。
告白を誘導したのも演技。
上条の前進に、冷や汗が流れた。
,
何度も訂正すみませぬ
,
麦野「分かってんならとっとと探しに行けや。融解させんぞ」
上条「………でも」
麦野「デモもストライキもあるか。男がナヨナヨしてんなよ、その股には何もぶら下がってねぇのか?」
上条「女の子がそんなはしたないことを言うんじゃありません!!」
麦野「それともなんだ?絹旗が全部悪ぃ訳か?それならそうと先に言」
上条「絹旗は悪くない!」
麦野「あ?悪ぃだろうが。テメェと絹旗がここ1週間で仕事しくじる原因作ってんのぁ、絹旗だろ?」
上条「違う!それは全部俺が悪いんだ!!絹旗には俺が迷惑をかけてるだけ、なんだ…」
麦野「へぇ。なら絹旗の事は大嫌いな訳かよ。」
上条「そんな事ない…、今の俺にとって絹旗は全てだ!!」
麦野「……おぅ。やっといつも通りになったな。」
してやったり。とでも言うような表情を浮かべた麦野。
最初から演技だった様である。
告白を誘導したのも演技。
上条の前進に、冷や汗が流れた。
上条「」
麦野「絹旗のやつが聞いたら卒倒しそうなセリフだなぁ上条?また今度聞かせてくれや」
上条「おま、お前」
麦野「絹旗はあの映画館前にあるベンチにずっと座ってる。さっさと行け」
上条「…あぁ!」
麦野「……見守ってやるのも、リーダーの役目かにゃーん…ってな。」
上条「…絹旗」
絹旗「…」
ベンチに体育座りで座っている絹旗の姿を見つけた。
上条が声をかけるとピクリと少し動いたが、顔はあげてはくれなかった。
上条「…お、おーい絹旗ちゃーん」
反応が無い。
いじけているのか愛想をつかされたのか。
もしも後者の場合なら上条は迷わず川に身を投げた事だろう。
それがどちらにせよ、絹旗の子供っぽさは上条に何かを訴えていた。
絹旗「…」
上条「…わ、わー。子供だなー。そんな座り方してるとピンクのパンツ見えちゃうぞー………黒だと」
大人だった。
絹旗「……っ」
しかし反応はあった。
流石に恥ずかしいのか、素早く体育座りから女の子座りにジョブチェンジした。
上条に背中を向けてはいるのだが。
上条「…なぁ、絹旗…」
背中を向けているということは、『顔も見たくない』ということを意味しているのだろうか。
上条「巫山戯て悪かった。……話だけでも、聞いてくれないか」
絹旗「……」
相変わらず反応は無い。
それでも上条は続けた。
上条「俺は正直、表に帰りたかった。」
絹旗「…!」
絹旗の肩が一瞬動いた。
上条「だけどそれは…さっきまでの話だ。」
絹旗「……」
上条「俺は……まぁ、不意打ちではあったけど、答えを見つけた」
麦野の誘導尋問には、ある意味では感謝することになった。
絹旗「……」
上条「俺は裏に居れる。俺の1番大事なものが”こっち”にあるって気付いたから。」
絹旗「……」
上条「だから、もう表に未練なんて無い。それよりも裏に未練があって、離れられそうにないぜ。ははは」
絹旗「……」
上条「さっきは嘘ついてゴメン。……信用できないかもしれないけど、これだけは命にかけても誓う。
俺はもう、お前を迷わせない」
絹旗「……」
上条「……」
絹旗「…それは」
上条「!」
絹旗「それは本当ですかァァ…?」
振り向いた絹旗の顔が…無い。
目も鼻も眉毛も、無かった。
口だけだった。
上条「」
絹旗「ヒヒヒヒヒ…上条ぉ…?」
上条「嫌ァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!」
絹旗「待ってくださいよォォォ…超止まってくださいよォォォ!」
上条「絹旗ぁぁぁぁ助けてくれぇぇぇぇ!!!」
しばし夕食を食べて参ります
∧,,∧
(;`・ω・) 。・゚・⌒) 炒飯作るよ!!
/ o━ヽニニフ))
しー-J
このAAをくださった方に超感謝です
のっぺらぼうと上条の追いかけっこが始まった。
絹旗「超待ってくださいよォォォケタケタケタ」
上条「畜生ぉおぉ!魔術師か!?魔術師のせいなんですかだったら出てこいぶっ殺してやる!!」
絹旗「上条ォォォォォォ」
上条「あっ、絹旗に触れば元に戻るんじゃ…」
魔術師の攻撃ならば、影響の出ている絹旗に触ることで元に戻る筈。
希望を得た上条が立ち止まって振り返る。
絹旗「おォ追ォ雄ォォォ!」
上条「」
怖すぎて無理のようである。
上条「しかも何かダッシュが速い!?絹旗ってあんなに足速かったの!!?」
走り出した上条にぐんぐん追いついてくるのっぺらぼう。
…そしてついに。
絹旗「つゥゥゥかァァァァまァァァァァえェェェェェェたァァァァァァァ!!!」
上条「うぉぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
絹旗「ケヒヒヒヒヒヒ!」
上条「あかんあかんあかんあかん!待ってやめて食べないでーーーっ!?」
背中にしがみつかれて、若干ちびった上条。耳元に息がかかる度に寒気が走る。
絹旗「食べられたくなければ…もう最愛ちゃんを裏切らないと違いますか!」
上条「誓います!」
絹旗「今まで以上に仲良くしてくれますか!」
上条「仲良くしますぅぅ!!」
絹旗「明日は映画に連れて行ってくれますか!」
上条「わかりましたっ!!!」
絹旗「新しく出たデラックススーパーゴールドポップコーンも買ってくれますか!」
上条「買いっ……ん?」
口以外に何も無いのっぺらぼうの顔をまじまじと見つめる上条は、不自然なシワを顔の横に見つけた。
無言でそこを思い切り引っ張ると。
絹旗「あぅっ…超痛いじゃないですか!」
作り物の皮の下から、愛くるしい絹旗の顔が出てきた。
上条「」
絹旗「ふっふっふ…びっくりしましたか?超びっくりしてましたね??作戦超成功です!!」
上条「な、は?」
絹旗「嘘つきさんは少し懲らしめてやろうと思いましてねぇ。麦野と協力して超ドッキリをしかけました!」
なんと麦野まで仕掛け人。
視線を感じて絹旗の後ろを見遣ると、麦野がニヤニヤ笑ってこちらを見ていた。
上条「お前なぁ…」
絹旗「元はと言えば上条が超悪いんです!」
おんぶの体勢のまま上条の後頭部にチョップを繰り出す絹旗は、頬を膨らませて叱り始めた。
絹旗「そもそも私に超嘘なんてつかなければ喧嘩なんてしなくてもすんだんです!」
上条「あの時は仕方なかったんだもの…」
絹旗「正直、愛想を尽かしかけました」
上条「それはやめて!?」
本当に投身自殺をやりかねなかったようである。
絹旗「さっき言った約束、ぜーんぶ守ってくれるなら最愛ちゃんは機嫌が良くなるかもしれませんねぇ…?フフフフフ」
上条「で、デラックスなんちゃらは勘弁してくれ…アレ確か3000円する豪華ポップコーンだったような気がす」
絹旗「上条には愛想が尽きまし」
上条「是非買わせていただきます!!」
絹旗「それと!」
まだあるのか、と頬が引きつる上条。
どんな要求でも甘んじて呑み込むつもりだった上条は、絹旗の次の言葉に一瞬フリーズした。
絹旗「わ、私はもう超大人ですから…!黒も履くんですっ」
上条「」
絹旗「絶対に超忘れてください!!」
上条「…おっと」
思い出し笑いならぬ、思い出し鼻血とでも言うべきだろうか。
上条がサラッと見てしまったショーツは、確かに若干の色気を感じさせた気もした。
上条「絹旗もあんなの履くんだなぁ…」
絹旗「⁉︎どおぃう事ですかァ上条!!」
上条「え?はい!?」
絹旗は突然キレた事に焦った上条の背中から脱出、見事な着地をキメた。
上条「こ、今度は何故怒ってらっしゃるのでせうか姫…」
絹旗「『絹旗もあんなの履くんだなぁ』…成る程上条が私の事を超子供に見ていたのはよく分かりました。ですがもっと気に入らないことがあります!!」
脱出の際に前のめりにぶっ倒れてしまった上条の背中に飛び乗って、拷問を始める絹旗。
絹旗「私以外にも、誰かのを超見たんですか?」
上条「…?」
絹旗「とぼけないでください!また嘘を付くんですか!!」
上条「べ、別に何も言ってないから嘘じゃないもーん…」
絹旗「屁理屈をォォ!!!」
上条「ぎゃぁ禿げるっ!!」
棘を毟る毟るまた毟る。
しかし相当根が強いらしく、なかなか抜けずに引っ張っていた。
申し訳ございません
またも熱がぶり返してきたようですので早めに寝ます。。。
明日こそはきちんと今日より早く俺参上して連投致しますので…
ご勘弁のほどを…
それではまた明日m(_ _)m
でわこれで。。。
ご指摘ありがとうございます
遅くなってしまってすみませぬ
酉…これで大丈夫ですかね
上条「許し!許して!!禿げるのは超嫌ですー!!」
絹旗「超真似しないでください!窒素装甲で引っこ抜きますよ!?」
上条「分かりました!分かりましたから!!よくわからないけど分かりましたーーっ!!!」
絹旗「じゃあ誰のを見たんですか!白状してください!!」
上条「えっと……、麦野、です…」
絹旗「」
上条「…え、ちょっと絹旗さん?能力使ってませんか??上条さんが宙に浮いてるのでせ」
絹旗「超Gドライバーー!!」
絹旗による強烈なプロレス技により、頭からコンクリートに投げ飛ばされた上条。
だが制裁は止まらない。
上条「白状…した、のに…」
絹旗「超とどめェェ!左腕もらってやります!!」
上条「腕拉しぎ十字固めなんて初めて痛だだだだだだ!!!?」
絹旗「よりによって!麦野に手を出したんですかァ上条ォォ!!!」
上条「誤解だーーーっ!?事故です事故!!」
麦野「の割にはじっくり舐め回すように見てくれたよな、上条?」
上条「麦!おま!」
背中をヒールで踏み躙る麦野は、好機とばかりに誤解の種を植え付ける。
絹旗の想像力を水と養分の代わりにして、すくすく伸びる誤解の木。
絹旗「な、なめ!?なめまわ!?かかかか上条は変態ですね!!!麦野のそんなとこ舐め、舐め回すなんて超変態なんですね!!!」
上条「ひぃぃぃ誤解ですからぁぁぁ!!」
じたばたと暴れる上条。
ふにっ。
絹旗「」
上条「」
絹旗にがっちり固められた上条の左腕の手首から先が激しく動いて、絹旗の逆鱗を鷲掴みにしたのだ。
絹旗「」
上条「…これも誤解なんです」
絹旗「…で?」
上条「…成長途中なんだなーって…はは」
絹旗「~~ッ!!」
鼻血を出しつつも乾いた笑いで誤魔化そうとする上条を絹旗は許さなかった。
絹旗「とりあえずその手を超離しなさいこのエロ条が!!!」
,
上条「ずびばべんべびば(すみませんでした)」
絹旗「デカい胸なんかくそくらえ!さん、はい!」
上条「べばいぶべばんばぶぼぶばべ…」
またもボコボコに顔を腫らした上条はデジャヴを感じていた。
勿論、今回も己の過失なのだが。
絹旗「小さな胸ほど夢がある!はい!!」
上条「ひいははぶべぼぼひゅべばばぶ…」
絹旗「私のはこれから超大きくなるって言ってるでしょうが!!」
上条「ひぎぃ!?」
この流れからの顔面パンチ。
既視感を感じずにはいられない上条であった。
絹旗「はァ…はァ…」
上条「…う、ぐ…」
絹旗「次、麦野でしょうがフレンダでしょうが、私以外の誰かにセクハラをはたらいたりすれば…超KILLしますから」
上条「…え、絹旗ならいいのか?」
絹旗「は、はァ⁉︎すること前提ですか!?とんだ変態ですね本当に!!!!」
上条「ち、違う言葉の綾だ!」
そういやみさきちは出すん?
絹旗「上条がその、おおお年頃だというのも超考慮してはいます!エッチな事を考えてしまう歳だということも麦野に超教えてもらいましたから!!」
麦野「いぇーい」
上条「あんた絹旗に何教えてんだ!!」
麦野「ナニだけど?」
上条「」
絹旗「だからですね?ししし仕方なくですよ?!上条が『やじゅー』にならないようにこの最愛ちゃんが人肌ぬぬぬ脱いで」
上条「大丈夫だからっっ!!そんな心配必要ないから!!!」
>>222
いぇあ
大覇星祭がやってくるのでその時にでも
>>232でしたごめんなさい
絹旗「うぅ…でも…」
上条「なんだよ…そんなに心配かよ…」
チラチラと上条に目を向ける絹旗の顔が赤い。何かあったのだろうか。
絹旗「おと、男の人がエッチな事を考えると…っ、お、おっきくなるって…!」
上条「!」
目を自分の股間に下ろした上条。
しかし、反応していなかった。なんのことやら。
絹旗「朝上条が寝てる時っ、布団が、下の方がふふ膨らんでました!」
上条「」
上条「…なぁ、絹旗」
絹旗「は、はい!」
上条「…人体って不思議だよな…」
絹旗「…は、はい?」
何かを諦めたような、それでいて子供を見つめる親のような優しい眼をした上条が空を見上げて呟いた。
上条「心臓は、何で動いてるんだろうな?」
絹旗「へ?」
上条「男にとってはそれくらい、普通の事なんだよ絹旗。確かに、変な事を考えるとそうなる事もある。だがな、朝起きた時のは単なる生理現象なんだ…わかったか?」
絹旗「ほ、ホントですか…?」
上条「…あぁ。この眼が嘘を言ってるように見えるか?」
絹旗「…一応、信用はしますから」
麦野「以上、上条当麻の性教室でしたっと」
上条「麦野…頼むから絹旗に変なことを教えないでくれ…」
麦野「どうせいつかは絹旗も股ぁ開くんだからな。大人の女性として教えといてやろうと思っただけだ」
上条「……大人の女せ」
麦野「テメェと歳は殆ど変わらねぇけどな?殆ど変わらねぇけどな!?」
上条「…おう」
ここら辺は地雷のようだ。
触らぬ神に祟りなし、潔く引き下がることにした。
滝壺「おーい。みんなー」
滝壺が車から呼んでいる。浜面も運転席からこちらを見ていた。
麦野「帰るか」
上条「そうだな。……絹旗」
絹旗「はい?」
上条「帰ろうか」
絹旗「…はい!」
先に歩く麦野を追って、上条と絹旗は手を繋いで歩き始める。
このまま何事もなく、隣のパートナーとずっとこんな日々を送っていきたい。なんて2人は考えていた。
絹旗「あ、とりあえず明日は映画ですからね上条」
上条「わかってるって」
絹旗「デラックススーパーゴールドポップコーンもですからね」
上条「わ、わかってるって…」
絹旗「ちゃんと時間守ってくださいよ」
上条「わかってるって」
絹旗「ずっと一緒にいてくださいよ」
上条「わかって……えっ?」
絹旗「ふふふっ…─────むーぎの!」
麦野「おわっ!?」
上条の手をほどいて、麦野に後ろから抱きつく絹旗。
聞き間違いかどうか、上条の質問に答えるつもりはないようだ。
上条「…まったく…」
絹旗「上条!お腹すきましたよ!!」
上条「はいはいよーっと」
しかし世界は残酷だ。
幸せな時間は、そう長くは続かない。
,
上条「…やらかした」
絹旗「どうしたんですか?」
上条「………スーパーから帰る途中で…卵割っちまった…」
台所で袋を覗き込みながらしくしくと泣く上条。
絹旗「あらら…ちなみに被害はどれくらいですか?」
上条「タイムセールの8個入り75円パックが…4パックとも壊滅した…」
絹旗「どれどれ…、うぉっ」
ビニールの中は、それはもう酷い事になっていた。
割れた卵の中身の海に、肉やら野菜やらが浸かっているのだ。
絹旗「これは…ちょっと…」
上条「…またスーパー行ってくるわ…」
絹旗「ちょーっと待ったァァ!」
上条「?」
絹旗「今は何時ですか?」
上条「昼の…1時?」
絹旗「上条は今帰って来ましたよね?つまりご飯は作ってー?」
上条「ない」
絹旗「ところがどっこい!なんと最愛ちゃんが超手料理を作っておきましたよ!!」
上条「マジで?」
女の子の手料理は男の夢。
さぞや美味しいことだろう、と上条は幸せを噛み締めた。
フレンダ「絹旗が一昨日上条と仲直りした後から…うぷっ…やけに積極的って訳よ…」
上条「フレンダ!?」
絹旗「あ、お手洗い長かったですねフレンダ」
フレンダ「う、うん。美味しすぎて戻してしまったって訳よ…」
絹旗「それは超いけませんねぇ。まだお代わりもあるから食べてくださいねー」
フレンダ「⁉︎」
上条「フレンダ…な、なんでそんなに震えているんだよ…」
げっそりとした表情のフレンダの全身を恐怖に似た何かが支配していた。
フレンダ「”アレ”は危険って訳よ上条!その威力や麦野の原子崩しすらも凌駕するって訳よ…っ!!」
上条「”アレ”って…なんだ」
フレンダの鬼気迫る勢いに固唾を飲む上条。
フレンダ「それは…絹」
絹旗「はーい、2人の分よそいましたよー」
フレンダ「ひぃ!」
上条「」
絹旗が笑顔キラキラの手で差し出した2枚の皿の上には地獄が広がっていた。
明らかに健康を害しそうな紫色。
異臭をはなつ、何かの足のようなもの。
上条「き、絹旗さん?これは何、かな…?」
絹旗「え?いやですねぇ見ればわかるでしょう上条。
───────カレーですよ!」
上条「カレー…なのか?」
絹旗「はい!ちなみに麦野達はもう食べましたよ?」
絹旗が指で示したのはリビング。
皿の上の地獄は、どうやら現実にも影響を及ぼすようで。
平和なリビングが死屍累々な事になっていた。
麦野「もう…ころ…せ……」
浜面「滝壺…あいし…て…」
滝壺「…はま……づら…」
上条「」
絹旗「もう、食べてすぐに寝たら牛になるって超知らないんですかねェ」
全ての元凶たる絹旗は呆れていた。
上条「絹旗…味見は、したのか?」
絹旗「してませんけど上条のやってた通りにやりましたよ!」
寝落ちていてしまいました…
申し訳ございません
上条「そ、そうかーよくできたなー」
絹旗の満面の笑みと、溢れんばかりの自信に、笑顔を返すものの本能が何かの非常ベルをガンガンに鳴らしていた。
フレンダ「上条…私は一口目でお手洗いに駆け込んだから無事だったって訳よ…だけどもし、一皿完食してしまおうものなら…人生を捨てる事になるわ」
上条「…」
フレンダ「上条!?」
少しの、間の後。
上条は皿の上のカレーにスプーンを入れた。
フレンダ「そんな!無茶はダメって訳よ!!」
絹旗「?」
上条「いいんだ…いいんだよ!コレは絹旗の気持ちなんだ!!いただきます!!!」
フレンダ「上条…!」
絹旗「ど、どうでしょうか上条…?」
上条「…ん?なんだよ普通に美味し……、!!!?」
上条は咀嚼する顎を止めた。
フレンダ「時間差攻撃…っ!」
上条「むぉ…ぐぐぐぅ…」
口の中に甘味辛味苦味酸味そしてよくわからない味が渦を巻く。
吐き出すまいと口を抑えて無理矢理飲み込んだ。
絹旗「…超、美味しくなかったですか」
上条「そんなことは、っ、ないぞ絹旗?すっごく美味すぎて感動してるっううっだげだっ!」
絹旗「ホントですか!?超嬉しいですっ!」
フレンダ「感動するって訳よ…ぐすっ。絹旗がいなかったら私上条に惚れてるって訳よ…っ」
絹旗「あァン?何訳のわかンない事言ってやがンですかフレンダ?」
正直、上条×フレンダも書きたくなってきたって訳よ…
じゃんじゃん書けばいいよ
駆け足か放置か
絹旗メインはそういうの多いし
とりあえず学校ってきますノシ
乙
ちょくちょく出てくる6年間って何?
ただいまでごさんす
>>264
VIPで書いた時のレス不足によって急展開エンドを迎えてしまった事です
>>265
皆様の応援のかいあって終わらせる事ができたのですが、不完全燃焼だったのでこちらに立たせて貰いました
フレンダ「冗談!冗談って訳よ!!」
絹旗「…ならいいですけど」
上条「…ごち、そうさま!」
皿をそっとおく上条の手は震え、顔は青ざめ、嫌な汗が全身から吹き出してもなお絹旗の前という事もあってか爽やかな笑顔を無理矢理浮かべていた。
酉が変わってわかりにくいなあ
上条「おいしかったよ絹旗…!」
絹旗「えへへ。超お代わりもあったんですけどねぇ。フレンダも早く食べてくださいね」
フレンダ「わ、わかったって訳よ…!」
絹旗「デザート…あれ?すみません、買い忘れましたみたいです。超コンビニまで走ってきますね!」
上条「お、おう!行ってらっしゃい!!」
絹旗「はいっ」
絹旗が外に出てから数分。
フレンダ「…上条、吐きたかったら吐いてもいいって訳よ?」
上条「そんな訳にはいかん…誰しも最初はこんなもんなんだ。それに、失礼だからな。食材にも絹旗にも。」
フレンダ「…そう」
ガツガツとご飯をよそおっては、カレーをかけて食べ。お代わりを繰り返して行く上条。
上条「んくっ、よし、だいぶ慣れてきたぞ…!」
明らかに無理をして食べている。
>>271
すみません間違ってました
浜面「話は聞かせてもらったぜ大将…!」
匍匐前進で台所に現れたのは浜面。
若干やつれている。
上条「浜面!お前、大丈夫なのか?」
浜面「あぁ。とにかく、絹旗が帰ってくるまでにそのカレーをこの世から抹消することが最優先事項だ…!!」
上条「…手伝って、くれないか。すまない、俺だけの力(腹)じゃぁ、どうあっても量が…!!」
浜面「当たり前だぜ大将。俺達は仲間だろ…?」
上条「浜面ぁ!」
浜面「大将ぉ!」
フレンダ「……えぇー…」
しかし食べる人数が2人になったのは心強い。少しづつとはいえ、確実に、目に見えてカレーの量は減っていった。
上条「うぉぉぉぉお!!!」
浜面「!!!!!」
フレンダ「…う、うぅ…。わ、私も食べるって訳よ!!」
上条「!」
フレンダ「い、いただきま…うっ…ごくん。…うううううーーっ!!」
上条「フレンダ…ありがとう!」
ここに来て、仲間の絆が更に深まった3人。
浜面「…くっ…そ…」
フレンダ「もう、ダメって訳よ…」
上条「浜面!フレンダ!…お前達の頑張り、無駄にはしないぞ!!」
2人が倒れた後も上条は戦い続けた。
襲い来る胃痛と、別次元の味を相手に。
上条「俺は負けるわけにはいかない!浜面とフレンダの為に…なにより絹旗のために!!!」
絹旗「超ただいまですよー。デザートのティラミス買ってきましたー!…って、あれ?みんな何でこんなところで寝てるんですか?」
上条「…おう。お帰り、絹旗」
絹旗「ただいまで…って、全部食べ終わったんですか!?」
絹旗の作った地獄直行便カレーは、上条の皿からも鍋の中からも、その姿を消していた。
上条「あぁ。…美味しかったぜ絹旗。ごちそう様」
絹旗「い、いえいえそんな!超お粗末様です!」
上条「…すまん。少し、寝かせて…くれ」
浜面とフレンダの方へよろよろと歩み寄り、倒れこむ上条。
偶然か必然か。
3人の手は、しっかりと重ねられていた。
絹旗「…ふぅ。仕方のない人達ですねぇ。…というか、私のカレーはそんなに美味しかったんですかね?」
ぺろり、と鍋の淵についていたカレーを指ですくって舐めた。
絹旗「うっ、なんですかこの味は!!?」
明らかに激マズ…いや、テラマズだった。
上条は美味しくて食べたのではなく、絹旗を気遣って、無理にでも完食したのだ。
絹旗「…上条、あなたは超優しすぎますよ。……ありがとうございますね、次こそ美味しいカレーを作りますから」
上条の頬に、軽くキスをする。
絹旗「!?わ、わわわ私は空気に流されて何を…ッ?!」
兎にも角にも、それは絹旗の映画の見過ぎが災いした、幸せな事故だった。
,
浜面「不思議だ」
上条「あぁまったくだ」
フレンダ「この漲る元気ときりょ」
,
浜面「不思議だ」
上条「あぁまったくだ」
フレンダ「結局、この漲る元気と気力は何なのって訳よ…!」
2人だけではない。
麦野「肩こりが治ってる…?」
滝壺「…元気もりもり」
上条「これはもしかして…」
浜面「あぁ、もしかしなくてもそのようだな…」
フレンダ「そんな馬鹿な…って訳よ」
アイテムの全員の体調が絶好調の枠を飛び越えて、超好調になっているのだ。
絹旗「おや、超お目覚めですか皆さん。」
上条「エプロンかわいい」
上条はまず最初にウサギさんのエプロンと絹旗を同時に脳に刻み込んだ。
絹旗「は、はいィィッ!?」
上条「す、すまん!心の声がッッ!!」
浜面「絹旗、お前のカレー…」
絹旗「それは、超ごめんなさいです。あんな美味しくないものを無理して食べてもらってしまって…」
上条「そ、それは」
絹旗「分かってます!…私の為ですよね、上条?大丈夫ですから、今度こそは上条が度肝抜かれるようなカレーを超作りますから!」
上条「…あぁ。楽しみにしてるよ」
浜面「いや、そうじゃなくてだな。絹旗、お前あのカレーに、何入れた?」
絹旗「え?皆さんの健康を第一に考えて、栄養たっぷりにメニューを超考えましたが…」
挙げられた材料には、たしかに体力や気力、勢力等等。血の巡りを良くする梅干しまで入っていた。
上条「…なんてこった」
浜面「…マジかよ」
フレンダ「…良薬は口に苦しって訳よ…」
絹旗のカレーは、どんな薬よりも効く対価として絶望的な味の魔法の料理として上条達に認定された。
絹旗「なんてことがあってですね」
「最愛ちゃんって…料理が苦手な子だったんだね…」
「意外ですね…」
絹旗「超うるさいです!人にも得手不得手はありますから!!」
「で?どうしたいの?私達に協力できることならなんでもするよ?」
「友達ですからね!」
絹旗「うう、超ありがとうございます。
涙子、飾利。」
佐天「まぁ、大方予想はつくけどね。ねー初春」
初春「…とりあえずウチでやりますか?食材を買って行きましょう!」
個人の物語は他人の物語と幾重にも交差する。
裏表なんて存在せず、人と人を絆という繋がりだけが橋としてかかっている。
世界がどんなに裏切ろうとも、見放そうとも、それだけは変わることのない形なのだから。
,
ということで今日は終わります
ノロノロですみません
,
麦野「…オイ」
絹旗「おや麦野。こんな超夜遅くにどうしたんですか?」
麦野「どうしたんですか?じゃねぇよ!!迎えに来いって電話があったから来てみりゃ、一般学生の寮じゃねぇか!!!」
表の人間にはかかわらないよう、何度も注意を流しておいてこの調子だと表を捨てて来た上条に示しがつかない。
絹旗「ちょ、近所迷惑ですよ。静かにしてください」
麦野「あ、わりぃ……って違うだろ!」
初春「あっ、絹旗さんのご家族の方ですか?こんばんは、初春飾利といいます…あぅ」
佐天「佐天涙子でー……最愛ちゃんちょっと来て」
台所から顔を出した初春に続いて佐天も同じく顔を引きつらせた。
絹旗「はい?」
佐天「なになにあのナイスバディ女性。戦闘(乳)力高すぎでしょ…」
絹旗「あー…親戚のお姉さんなんですよ」
初春「ううっ…あんな大きなものを見てしまうと将来が絶望的に感じます…」
佐天「初春は元々絶望的だから大丈夫だよーぅ」
初春「どういう意味ですか佐天さん!」
佐天「怒るな怒るな、需要はあるさー」
初春「もー!」
麦野「……オイ」
絹旗「あっ、そうですそうです。麦野を呼んだのは超理由がありまして」
エプロンを外して麦野の元に何かを持ってくる絹旗。
気持ちのいい笑顔である。
麦野「だろうな。それは?」
絹旗「超カレーです」
麦野「」
絹旗「今日丸一日頑張って練習してたんですよ」
麦野「何でアタシを呼んだ…」
サッと、顔を青ざめる麦野は一歩、また一歩と後ずさりを始めた。明らかに恐怖している。
絹旗「ちょっ!今度は超美味しくできましたから!……多分」
麦野「上条に頼めよ!!」
うるうるした目で見上げる絹旗が、麦野には小悪魔以外の何ものにも見えない。
また昨日の夕食みたいな目にあうのかと思うと、本能的にドアノブへ手をかけざるを得なかった。
絹旗「だって…、上条には最高のカレーを超食べさせてあげたいんですもん。…なんて、あ!か、上条には超ナイショですよ!?恥ずかしいですからっ!!」
麦野「…」
絹旗「だから麦野に味見を…と思いまして。ですね、超お願いします!」
麦野「…はぁ」
気になる彼のためなら周りを気にせずなりふり構わず走り切る、まさに恋する乙女だった。
麦野「…ただし、今度ははっきり『マズイ』って言うからな?……もしかしたら吐くからな?」
なればアイテムのリーダーとして、協力してやらねばなるまい。
初春「あ、お姉さん。絹旗さんのソレはだいぶ美味しくなりましたよ!」
佐天「最愛ちゃんがんばってたもんねー。…彼氏の為に」
絹旗「涙子!上条は超そんなんにゃないれふ!!」
噛んだ。それはもう思い切り。
初春「れ」
佐天「ふ?」
絹旗「う、うぅぅぅぅぅーっ!」
佐天「こらこら地団駄踏まない。初春ん家の下の人怖いんだからねー」
麦野「………うめぇ」
麦野はあまりの驚きにスプーンを持つ手が震えていた。
上条に届く…とまではいかないが、それでも美味しくはなっている。驚くべき成長の幅である。
絹旗「!」
初春「やりましたね絹旗さん!」
佐天「でもまだまだだよ最愛ちゃん!彼氏のハートをゲッチュする為にはもっと頑張らなきゃ!今がやっとスタート地点だよ!!」
絹旗「はいっ!」
初春「じゃあ今から徹夜ですよ!明日はお休みですからね!」
佐天・絹旗「「おー!」」
麦野「……え?アタシもか?」
絹旗「え、当たり前じゃないですか」
麦野「」
──────その頃のアイテムのアジト。
上条「お前ら飯だぞー!皿並べるの手伝ってくれー」
クマのエプロン装備の上条がリビングのテーブルに皿を並べていく。
浜面「あいよー。おぉ、肉じゃがか!」
滝壺「美味しそうな、匂いだね」
フレンダ「さっき麦野と絹旗から、今日は帰らないってメールが来たってわけよ」
絹旗、麦野を除く全員が席に着いてからフレンダが切り出した。
上条「そうなのか?…デザート余っちまうな…」
滝壺「デザート?」
上条「あぁ、珈琲ゼリー」
浜面「買って来てたのか?買い物袋には入って無かったよな?」
上条「…作ったけど?」
浜面「…」
滝壺「…やっぱり、かみじょうはすごいよね。私を養って?」
浜面「⁉︎」
滝壺「ふふっ、冗談だよ。はまづら」
浜面「ううっ…滝壺ぉお…」
一通り滝壺のプチドッキリが終わった所で、
フレンダ「結局、珈琲ゼリーをかけてじゃんけんって訳よ!!」
学校の給食レベルでの、仁義なき戦いが始まった。
フレンダ「…ふぇぇ…っ」
結果、フレンダは1番最初に負けた。
上条「言い出しっぺが負ける法則」
フレンダ「なんで皆してグー出すって訳よ!」
上条「さぁ…?神のみぞ知るだな」
滝壺「はまづら。あーん」
浜面「あーん」
フレンダ「うわぁぁぁん上条ぉ!色んな意味で見せつけてくるって訳よぉぉぉ!!」
確かに、桃色オーラが浜面と滝壺を中心に部屋を彩っていた。
おのれリア充、なんて呟く権利は貴様にはないぞ上条当麻。
上条「よしよし、俺のあげるから泣くなー」
フレンダ「やっほぉう!上条愛してるって訳よ!!」
上条「急いで食べると喉に詰まるぞー」
フレンダ「大丈夫って訳……ごッ、かっ…⁉︎⁉︎⁉︎」
上条「言ったそばから!?」
苦しそうに首元を抑えていた様子が嘘だったかのように舌を出した。
フレンダ「うっそーん☆」
まぁ、ようするに嘘だった。
上条「」
フレンダ「結局騙されたって訳……か、上条?怖いってわ」
上条「食事中に遊ぶんじゃありません!明日はフレンダだけデザート抜き!!」
フレンダ「こ、ごめんなさいって訳よ上条!反省してるって訳よ!!」
上条「もう知らんもんなーフレンダの分まで俺が食べる」
腕を組み、そっぽを向く上条。
聞く耳持たず、といった感じだ。
フレンダ「うわぁぁぁお手伝いでもなんでもするから許して欲しいって訳よぉ!!」
この一言が上条の悪戯心を加速させた。
上条「…ふーん?なんでも?」
フレンダ「…えっ?」
中々進みませんな。
明日はもちっと書きダメしてから投下します。
お休みなさいませ。。。
上条「本当に、何でもしてくれるんだな?」
フレンダ「え、いや、その…」
フレンダをじっと見つめる上条の目が、雰囲気が、全て『本気』だった。
上条「ここんとこずっと忙しくてさ…もうギリギリなんだよ…」
フレンダ「ひっ⁉︎か、かか上条…?」
浜面「大将⁉︎」
滝壺「…?」
この空気の中突然肩を掴まれて、フレンダはどうしようもなく困惑した。
周りのギャラリーも唖然としている。
上条「もうさ、大分溜まってるんだよ…。絹旗と出かける時もお願いしようと思ったりもしたんだけどさ…」
フレンダ「た、溜まっ⁉︎なぬなな何がって訳…って絹旗に何お願いしようとしてるって訳よ!?」
酉は気にせんでくらはい
上条「…すまん。こーいうの良くないとは思うんだけどさ、もう俺我慢できないんだよ…!!」
フレンダ「う、そ、そんな…きゃぁっ⁉︎」
身を乗り出したことで、バランスを崩したフレンダ共々フローリングの床に倒れこむ。
フレンダについては、後頭部を強くぶつけてしまった。
フレンダ「痛たた……!?あ、ぅ…」
顔を瞬間的に紅潮させたフレンダの心境と今の状況を分かっているのかいないのか、それでも上条は顔を近づけた。
浜面「大将がマジでフレンダを押し倒してる…!?」
滝壺「…んー…?あ、そっか…もういっぱい溜まってそうだよね、かみじょう」
浜面「!?」
滝壺「フレンダにお願いするの?私とか、きぬはたとかいるのに?」
浜面「!!?」
上条「あぁ、折角のフレンダの申し出だしな。…なぁフレンダ、俺がして欲しい事は一つだけだ」
フレンダ「ひぅ…っ」
反射的に目をきゅっとつぶってしまい、上条の次のアクションを待つフレンダ。
,
上条「フレンダ…
──────────明日の家事、全部頼まれてくれ!!この通りだっっ!!」
浜面「」
フレンダ「…はい?」
滝壺「福引き、明日までだったよね。何枚溜まってるの?」
上条「…20枚、だ…!これを無駄にするわけにはいかないんだよ!!」
エプロンのポケットから取り出したるは、黄色い文字が印刷された赤い紙束。
1000円買い物する毎に1枚配布される、上条当麻が通いつめているスーパーの福引き券である。
フレンダ「ま」
上条「ま?」
フレンダ「紛らわしいって訳よーーーーっ!!!!!」
上条「くはぁんっ!?」
(自称)脚線美を誇るフレンダの蹴りが上条の股を蹴り上げた。
浜面「滝壺ぉぉ…俺は心配したぞぉぉぉぉっ…!!!」
滝壺「…?よくわからないけど、よしよしはまづらは甘えん坊さんだね」
泣き付く浜面をあやす滝壺。
たまに買い出しに付き合っていた彼女には、何のことか分かっていたようである。
…フレンダと浜面は何か勘違いしていたようだが。
上条「…ぉぉぉ…っ」
フレンダ「このっ!このっ!!」
上条「やめ、ぐぁぁっ!?」
股間を抑えてのたうち回るウニ頭を、何度も何度も踏みつける。これでもかと踵を落としたりもした。
フレンダ「くぅぅぅぅっ!結局、絶対に許さないって訳よ!!!」
上条「なん、で、痛い痛い痛い痛い痛い!!!頼むから明日の家事は変わってくれ!俺の当番を代わってもらうのは良くないのは分かってるけど明日までなんだ!!絹旗にお願いしても映画優先って事で行くのを許してくれなかったんだよぉぉぉぉぉ!!!」
フレンダ「ひぎぃっ!?か、髪が刺さったって訳よ!?」
急に頭を上げた上条の髪がドスッとタイツを貫き、そのままフレンダの土踏まずに突き刺さった。
フレンダ「にゃぁぁぁ!!めちゃくちゃ痛いってわけよーーーっ!!?」
今度はフレンダの方が足をおさえてのたうち回った。
椅子やらなんやら頭をぶつけまくっている。そして今スカートから転がり出たのは、特性ハンドメイド爆弾である。
フレメア「うるさい、にゃあ。もぐもぐ」
浜面「アレ…刺さるのか…」
滝壺「ほんとに髪なのかな…」
上条「頼む!フレンダ様!!」
土下座。
普通、回数を重ねる毎に土下座の意味が薄れていくのだが上条のソレはその度に魂から全力の土下座である。
何故か意味が薄れない。
フレンダ「と、とりあえず誰かこの髪(?)とって欲しいって訳よーーー!!!」
上条「頼む!頼むから!!」
何かを崇めてでもいるかのように、土下座して一心不乱に「頼む!」を繰り返す上条。
叫びながら床を転がり回るフレンダ。
呆然とする浜面。
マイペースに箸を進める滝壺。
グリンピースを皿の端にどけながら、次々と料理にありつく金髪の幼女。
なにからなにまでカオスな空間だった。
フレンダ「うぅっ…痛いって、あうっ、訳よ…」
ソファに座って土踏まずに刺さったままの髪の毛を一本一本丁寧にピンセットで抜き続けるフレンダを尻目に、箸を進めていく4人。
滝壺「かみじょう。お醤油とって」
上条「あいよ」
滝壺「ありがと」
醤油を差し出す。
浜面「大将、ソースくれ」
上条「俺の料理に何か文句でもあんのかこの野郎」
浜面「ぶべらっ!」
浜面を殴る。
フレメア「上条。大体、グリンピースは入れないで欲しい、にゃあ」
上条「グリンピースも食べないと大きくなれませんのことよ。上条さんは好き嫌いを許しません」
幼女を叱る。
フレンダ「やっと終わったって訳よ…!」
上条「代わってくれ!!」
フレンダ「ど、土下座しないでって訳よーー!!」
土下座のままフレンダを追跡する。
しかし、なんら変わらぬ日常の風景の中に、上条は少しだけ違和感を覚えた。
上条「…?…まぁ、いいか」
フレメア「にゃあ」
フレンダ「こらっ!結局グリンピースだけ私の皿に移さないの!好き嫌いはダメって訳よフレメア!………フレメア?」
フレメア「にゃあ?」
フレンダ「」
浜面「…あれ?」
滝壺「?」
上条「ん?」
フレメア「上条。大体、おかわりよそって。にゃあ」
上条「おう。……おう?」
普通にご飯茶碗を受け取り、立ち上がろうとして、違和感の正体に気づく。
フレメア「にゃあ?」
上条「」
フレメア「……上条?」
上条「いやいやいや、確かに俺は上条さんですけど。……き、キミは誰?なんでここにいるのかなー…?」
フレメア「早くおかわり。にゃあ」
上条「あ、はいはい…じゃなーーーい!」
フレメア「ひゃわっ!?」
フレメア「フレンダお姉ちゃん久しぶり」
フレンダ「うん久しぶり…じゃなくて!ちフレメア!何であんたがここにいるって訳!?」
浜面「フレンダ…、知り合い?」
フレンダ「あー…うー…私の妹って訳よ…」
上条「へー妹ねぇ…。……妹!?」
よく見れば髪の色も、顔立ちも確かにそっくりである。
滝壺「かわいいね、よしよし」
フレメア「頭を撫でられるほど子供じゃないにゃあ!」
浜面「歳はいくつなんだ?」
フレメア「大体、8歳!」
浜面「大体って何だよ…」
フレンダ「結局、口癖だから気にしないで欲しいって訳よ…」
浜面「あー成る程ね」
フレンダ「何でこっちを見る訳よ!?」
フレンダ「…どうしてフレメアがここにいるって訳?」
フレメア「んーと、道に迷っちゃった?」
フレンダ「どうして道に迷ったらここに辿り着くって訳よ!?」
フレメア「フレンダお姉ちゃん、ずっと帰ってこないから学校が休みの日は探しに行くことにしてたの。…見つかってよかった、にゃあ」
フレンダ「フレメア…」
これっぽっちも嘘の混ざっていない無垢な笑顔に、フレンダもつい頬が緩んだ。
上条達にとっても状況が状況ではあるもののフレンダの妹という少女に興味をもったようで、ついつい聞きいっている。
上条「…ってかさ、これまずいんじゃないのか」
浜面「表の人間…だよな?」
滝壺「むぎの、怒る…かな」
上条「どうだろうな…怖くて想像もつかん」
フレンダ「うっ…と、とにかく!もうここには来ちゃダメって訳よ!」
フレメア「えー」
駄々をこねるように足をバタバタと揺らす度にテーブルの下でスカートの端が揺れる。
姉妹揃って似たような服を着ているようである。
フレンダ「お姉ちゃんはお仕事してるから、ここに来ちゃダメって訳よ」
フレメア「何のお仕事してるの?かっこいい?」
フレンダ「かっこいい…かどうかは分からないって訳よ。でもね、ここにはもう来ちゃダメなの」
フレメア「にゃあー…」
フレンダ「たまにはお姉ちゃんもフレメアの寮に顔を出すって訳よ。ね?」
フレメア「うー…分かった、にゃあ」
上条「さて、と。そんじゃあフレメアちゃんを送ってきてやれよフレンダ」
いつの間にか台所でせっせと皿を洗っている上条がフレンダに話しかける。
しかし手は止まらず、余所見しながらでもテンポ良く洗われていく。
フレンダ「えっ?」
上条「もう外も暗いし、久しぶりに姉妹水入らずで明日辺りに出かけてみればどうだ?」
フレンダ「……そう、ね。そうするって訳よ」
フレメア「ホント⁉︎」
フレンダ「うん。遊園地にでも行こうか!」
フレメア「やったーっ!じゃあ明日は寮まで迎えに来てね!!」
浜面「妹って、いいもんだな」
滝壺「はまづら…?」
浜面「ん?あ、そ、そういう意味じゃないぞ!!?」
,
フレンダがフレメアを送る為にアジトを出て数分。
浜面「しかしよ大将、本当によかったのか?それとも単に忘れてるだけ?」
上条「ん?」
皿10数枚を拭き終わり、食器棚に戻している上条に浜面が話しかける。
上条にとっても、確かに何かを忘れているような気もしないでもなかった。
上条「俺、何か忘れてたっけか?」
浜面「いやさ、………福引きは?」
上条「」
滝壺「やっぱり、忘れてただけだね」
上条「…しまった…」
しかもフレメアと遊びに行くように提案しのは上条自身。
今更、遠慮してもらうようになんて口に出せる筈がなかった。
滝壺「私が代わろうか?」
上条「マジで!?」
地獄に仏…いや、滝壺。
露骨に喜ぶ様子を見せる上条に、滝壺は静かに微笑みつつ、こう続けた。
滝壺「そのかわり、明後日のデザートはかみじょうの手作りプリンを5個」
上条「」
滝壺「嫌なら、いいよ?」
浜面「滝壺…恐ろしい子…っ」
アイテムの人数分プリンを作るのに手間は殆どかからないのだが、追加で4個となると使う材料諸々の関係で結構かかる。
この場合の材料費は、上条の給料から引かれることになるだろう。
上条「う…ぐぐぐ…」
滝壺「……遅いから+1個」
上条「なんですと!?くそっ、だが福引きで逆転できるようなものが引ければ…っ!」
滝壺「さらに+1個」
上条「分かった!分かりましたから!!」
滝壺「ふふ…合計6個だからね」
上条「なんでこったい…」
上条はその夜、泣き寝入りをしたそうな。
吹寄制理は焦っていた。
吹寄「…」
大覇星祭前ということで学園都市内の公道から歩道にまでかける規制や、各施設や屋台を出す店等の予定をスケジュールに纏めつつも、傍らで別の行動もとっていた。
教師の1人と協力して失踪した同級生を1人探しているのだ。
吹寄「どこにいるんだあいつは…!」
小萌「うぅ、上条ちゃん見つかりませんね…土御門ちゃんも青髪ちゃんも、上条ちゃんを見つければ何か分かるような気もするのですが…」
吹寄「大丈夫ですよ先生、必ず見つけましょう!」
小萌「…はいです!」
吹寄「そうと決まれば、聞き込みですね。あの日、上条が姿を見せた時間より前にどこにいたのか調べましょうか」
小萌「…あ!そーなのでした!」
ポンと手を叩いてから、肩から下げた子供向けのポーチを漁る小萌。
吹寄「…?」
小萌「これなのです!」
取り出したのは、上条が1文、『今まで、ありがとうございました』とだけ書いた便箋。
吹寄「これが、どうしたのですか?」
小萌「この便箋はですねー、第7学区の隅の方にある文房具屋でしか取り扱っていないはずなのですよ!」
吹寄「…成る程。まずはそこから聞き込みをするべきですね、何かヒントが見つかるかも」
小萌「はいなのです!…じゃあ、また先生の車で行くのですよー」
吹寄「えっ」
小萌「?」
吹寄「…」
月詠小萌のドライビングテクニックはもはやカーレーサーのそれだった。
急カーブなんてなんのその。危険を察知して追いかけて来る警備ロボットですら、ドリフトかましてぶっちぎったのである。
小萌「うー、先生は悪い事をしてしまったのですよ…でも、上条ちゃんを見つけるためですから…吹寄ちゃん?」
吹寄「……」
体の中をおもいきりシェイクされるような衝撃を連続でくらった吹寄は少しの間、ぐったりとしていた。
小萌「吹寄ちゃーん?」
吹寄「あ、はい、大丈夫です…多分」
大丈夫ではない。
小萌「…?」
吹寄「…それで、ここがその文房具店ですか?」
寂れたビルの一階にこじんまりとした文房具店が店を出していた。
小萌「そーなのです!早速聞き込みですよワトスン君!」
吹寄「あぁ、先生は形から入るタイプですか」
いつの間に着替えたのやら、探偵風のコスチューム(子供用)に身を包んだ小萌がズカズカと文房具店に入って行った。
「あー?上条当麻?それってアレだろ、失踪した学生」
話に全く興味を示していない文房具店の店長と思しき男性は、成人向け雑誌に鼻の下を伸ばしている。
小萌「そーなのです!知りませんかー?」
「お嬢ちゃんみたいなのが探すって事ぁ、兄妹か何かかい?悪いけど知らないねぇ。」
小萌「うぅー!先生はもう大人なのですよ!」
腕を振り回して抗議をするも頭を撫でられて終わった。
「そうさなぁ……あぁ!フード被ってたけどそれっぽいのは見かけたかなぁ。便箋と筆ペンだけ買っていった学生ならいたぜ。」
吹寄「!」
小萌「それです!何か言ってましたか⁉︎」
「うーん…ネットカフェがどうとか…言ってたような気がするねぇ…」
小萌「ネットカフェ…ですか」
吹寄「どこの学区でしょうね…?」
ネットカフェ等の施設なんてありふれている。一体学園都市だけでも何店舗あるのか分かったものではない。
小萌「…これは、虱潰しにいくしかないようですねー…」
吹寄「おじさん、ありがとうございました。これください」
「まいど」
シャーペンを2本購入して月詠ホームズと文房具店を出る。
吹寄「グレーのパーカーを着てたんですよね?」
小萌「外灯頼りですけど…多分そうなのです」
吹寄「あの日に、上条がいたネットカフェを見つけることからですね」
小萌「上条ちゃん…絶対に見つけるのですよー!」
「あのバカ…全ッ然帰ってくる気配ないじゃないの!痺れさせてやるわ!!」
「おのれ類人猿…お姉様より先に見つけて血の制裁を…!!」
「あの人をなんとしても見つけるのです、とミサカは意気込みます。」
上条を探し出すために、色々な人が動いていた。
担任、元同級生、学園都市第三位。風紀委員や約1万人を誇るクローンまでもが捜索に当たっていた。
上条「っくしょん!……誰か上条さんの噂でもしてんのかねーっと…」
そうとも知らず、上条当麻は闇に紛れて仕事と日常を繰り返す。
上条を中心とする物語が、再び交差を始めた。
上条「絹旗からメールの返事が来ない…いや、別に気にしてないけどね?」
浜面「落ち込みすぎだろ…」
滝壺「かみじょうの周りだけジメジメしてる」
見てるだけで気分が暗くなるようなオーラを背負った上条がリビングの隅っこに体育座りで座っていた。
上条「なんだよ…麦野とどこに行ってるんだよ…」
浜面「さーなぁ」
上条「ううっ…ちょっとシャワー…」
滝壺「きらーん」
滝壺が無表情で拾い上げたのは上条の携帯。勝手に操作している。
浜面「おいおい何やってんだよ滝壺…」
滝壺「うん、ちょっとね」
何度か宙に目を漂わせ、考える素振りを繰り返しては携帯に目を落とす。
どうやらメールを考えているようである。
滝壺「なんか違う…」
浜面「?」
滝壺「ここはあえて私宛にしてみようかな」
浜面「イタズラはほどほどにしとけよ滝壺…大将凹むぞ」
滝壺「だいじょぶだいじょぶー」
カッと目を見開きメールを打ち込んでいく。あっという間にできた10行程度の文面を何度も見直して、頷いた。
浜面「メールか?」
滝壺「うん。…はまづら、そこの棚からスタンガンとって?はやくはやく」
浜面の後ろの戸棚を指差して急かすように手を動かす滝壺。
浜面「スタンガン⁉︎何でそんな物騒なものが…あったよマジかよ」
滝壺「…よし」
浜面「おいおい何するつもりだよ…」
滝壺「きぬはたとかみじょうを、もっと仲良くさせる」
浜面「嫌な予感しかしねぇよ滝壺さん…」
上条「ふぃー…すっきりし」
滝壺「てへぺろ」
上条「たbbbbbbbbbbbbbbb⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎」
浜面「滝壺さーーーーーん!!!?」
風呂上がりで、若干濡れている上条の背後から滝壺が電圧MAXのスタンガンを押し付けた。
言うまでもなく、上条はその場に気絶した。
滝壺「かみじょうの手に携帯を持たせて…送信っ」
一件のメールが上条の携帯から絹旗宛に送信された。
浜面「大将、大将大丈夫かーー!?」
滝壺「きぬはた、どう思うかな…?」
,
絹旗「上条!?」
とある女子中学生の寮で朝からせっせと料理修行に励む絹旗の元にメールが届いた。
反射的に叫んだ名前の本人からのメールのようである。
自然とにやけてしまう。
絹旗「ううっ、でも料理が上手になるまでは上条とはメールをしないと……あれ?」
件名に違和感。
絹旗「【滝壺へ】…?なンですかなンですかもう!私宛じゃなくて間違いですか!!上条の馬鹿!!」
携帯を壁にぶん投げた。
よほど頑丈にできているようで、携帯は無事である。
麦野「うるせーぞ絹旗…寝かせろ…」
絹旗「あぁっ、超すみません!」
絹旗の料理の味見役として昨夜から泊まり込んでいる麦野が毛布越しにクレームを発した。
絹旗「くぅぅっ…麦野に怒られたのも上条のせいです!超許せません!!……間違いだろうがなんだろうが知ったこっちゃないですね、見てやりましょう」
携帯を拾い上げてメールの受信ボックスを開く絹旗。
絹旗「なになに…?」
【絹旗ってめちゃくちゃ可愛いよな】
絹旗「」
【嫁に欲しい】
絹旗「ちょ、は、はァ!?」
一瞬で顔を真っ赤に染めあげる絹旗。
数ヶ月前の【絹旗最愛マジ天使】以来の不意打ちメールである。
絹旗「な、何を言ってるンですか上条ォオ!?」
【最愛マジ最愛】
絹旗「最愛!?最愛ってェえ!!?」
遠回しの告白のような、愛の囁きのような文が10行程羅列していた。
絹旗「ぬがぁぁぁあ何のつもりですか上条!!一体何を言ってるンですかァァァァ!!!」
靴に履き替え、外に飛び出した直後に叫ぶ。照れと羞恥の入り混じった魂の叫びだった。
絹旗「はぁ、はぁ、負けませンよ…どうせ悪戯か何かでしょう…ですよね?」
上条『絹旗ってめちゃくちゃ可愛いよな』
絹旗「にゃぁぁぁぁ超やめてくださいってばぁぁぁぁ!!!!もぉぉぉーーっ!!」
勝手に脳内再生した上条の声を振り切るように駆け出した。
どこに向かって走っていたのかはもはや覚えていないものの、先日倒壊させてしまった無人ビルと同じような建築物の立ち並ぶ、寂れてしまった第19学区に辿り着いた。
絹旗「オーケィ、一旦落ち着きましょう私。クールダウンクールダウン」
何故かラマーズ法で呼吸を整える。
絹旗「…よし」
携帯を再度開けて、メールの受信ボックスを開く。滝壺に送るつもりだったらしいメールをもう一度、開いた。
上条『嫁に欲しい』
絹旗「ふンッ!!」
壁パンの常識を覆すようなパンチを廃ビルの外壁に繰り出す。
絹旗「…うぅ」
たった一発で外壁が半壊一歩手前にまで及ぶパンチの衝撃で、空気が振動する。
絹旗必殺の窒素パンチである。
絹旗「一体全体、何のつもりなんですか…本当に…」
取り乱してしまわないよう、ちらっとだけメールを見る。
上条『最愛マジ最愛』
絹旗「ぬがぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」
結局取り乱した挙句の窒素パンチ。
ビル外壁のHPがもう1ケタまで下がってしまった。
つまるところほぼ半壊。
上条のメールを見たとき限定で無意識のうちに繰り出す窒素パンチが、明らかに普段の2倍近く威力が出ているようである。
絹旗「なんで上条のメールだけこんなに心臓が早く動いたり頭が熱くなるんですか…超風邪ですかね…?上条病ですか?」
間違っているようで間違ってはいない。
逆に言えば上条は絹旗病である。
絹旗「しかもこんなインパクト大の文が…あと7行くらいあるんですよね…っと!みませんよ!見ませんからね!!」
そう言いつつ携帯の画面をチラチラと見やる。絹旗の純な心が、次の言葉を求めていた。
【でも理后が1番可愛いぜ】
絹旗「…はい?」
しかし、目に飛び込んで来たのは予想だにしなかった言葉だった。
絹旗「理后?…滝壺さんですか!?」
皆様超おやすみですぅ
元々書いてたSSに繋げれるのか…?
>>366
なんくるないさー(白目
あまりに急展開を迎える文に呆気にとられてしまって、つい携帯の画面をまじまじと見つめる。
【理后本当可愛い】
【理后の事を考えると胸が苦しくなる】
絹旗「……」
足元に転がっていた石を拾い上げ、能力を発動。直後に握り潰す。
絹旗「……なンで上条ォが滝壺さンに超デレデレしてやがるンですかねェぇ…?」
血管がブチ切レるかと思った。
それ程までに怒りによく似た感情が絹旗の中で勢い良く渦を巻いていたのだ。
絹旗「直前まで私のこと超嫁に欲しいとか言ってたじゃないですか上条のバカーーーーッ!!!」
ちょっとだけ目に涙を浮かべて、何の罪もない携帯を空にぶん投げた。
絹旗「あっ、おっとと…っぷぎゃ!」
我に返った絹旗が携帯をキャッチしようとして空きカンに躓いて転ぶ。
絹旗「痛たたた……あうっ!?」
そして顔面から倒れこんだ絹旗の後頭部に携帯が落下。絹旗の目の前に着地した。
絹旗「……うぇ…何から何まで…ぐすっ…超ついてないですよ…ひくっ…全部上条のせいです…超ぶわぁぁぁぁかぁぁ…」
とうとう本格的に泣き出してしまった。
心に押し寄せる感情の波が止まらない。
頭の中で上条が手を振るビジョンを勝手に想像して、余計に泣けてきた。
絹旗「ふぇぇぇぇぇぇん」
一通り泣いた後、顔を上げると携帯の画面。
絹旗「…上条の、ゔぁか…」
操作してメールを読み下げていく。
【いや、やっぱり絹旗だな。絹旗がナンバーワンでオンリーワンだ】
絹旗「はァい!?」
そして言葉の切り返し。
もう訳がわからな
一通り泣いた後、顔を上げると携帯の画面。
絹旗「…上条の、ゔぁか…」
操作してメールを読み下げていく。
【いや、やっぱり絹旗だな。絹旗がナンバーワンでオンリーワンだ】
絹旗「はァい!?」
そして言葉の切り返し。もう訳が分からなかった。
【絹旗が1番可愛い。世界で1番かわいい。誰よりも可愛い】
絹旗「えへ、そんなぁ…えへへへへ」
さっきまでの号泣が嘘だったかのようにモジモジとしだす絹旗。読み下げていけばいく程濃い文章が一時的に荒んでしまった絹旗の心を潤していった。
絹旗「うへへへへ…おや、もう最後ですか」
身をくねらせてなおもメールを読み下げた。
【なお、このドッキリはむぎのによって録画されています。滝壺理后より】
絹旗「」
焦ったように後ろを振り向く。
麦野「あ、やっとかにゃーん」
絹旗「なっ…なぁぁぁぁっ!?」
麦野「予想以上のもんが撮れたよ…これは観賞会だわ」
絹旗「やめ!やめぇぇぇぇ!!!」
絹旗「超不幸ですーーーーーっ!!?」
数十分後、アイテムのアジトに2人が帰ってきた。
麦野「ういーす」
滝壺「あ、むぎのお帰」
絹旗「滝壺さァァァーーン!!!!」
滝壺「がなは」
浜面「え?なん、ごっは!?」
ダッシュ&ラリアットをモロに受けた滝壺がリビングの隅まで吹き飛ぶ。
途中で通りすがりの浜面も巻き込んだようである。
絹旗「ふしゅるるるぅ…」
麦野「フレンダ、上条はどこだ?見せたいもんがあるんだけど」
絹旗「麦野!?それは超勘弁してくださいって言ったじゃないですか!!!」
麦野「言われたけど了承はしてない」
絹旗「鬼!鬼がいますよここに!!」
数十分後、アイテムのアジトに2人が帰ってきた。
シリコン「ういーす」
滝壺「あ、シリコンお帰」
モアイ「滝壺さァァァーーン!!!!」
滝壺「がなは」
浜面「え?なん、ごっは!?」
ダッシュ&ラリアットをモロに受けた滝壺がリビングの隅まで吹き飛ぶ。
途中で通りすがりの浜面も巻き込んだようである。
モアイ「ふしゅるるるぅ…」
シリコン「フレンダ、上条はどこだ?見せたいもんがあるんだけど」
モアイ「シリコン!?それは超勘弁してくださいって言ったじゃないですか!!!」
シリコン「言われたけど了承はしてない」
モアイ「鬼!鬼がいますよここに!!」
フレンダ「あー麦野?上条だったら…」
上条「」
フレンダ「…そこで気絶してるって訳よ」
麦野「」
絹旗「な、何で半裸なんですか!?」
いい感じに痺れて、意識が闇の底に沈めさせられた後の上条がタオル一枚腰に巻いた状態のまま放置されていた。
風邪を引くことはまぬがれない。
滝壺「わたしです。キラッ」
絹旗「滝壺さん!あのイタズラメールはあなたの仕業ですね!?私の探偵としての直感が超ビンビンにきてますよ!!」
麦野「いつから探偵なんてやってたんだよ…つか、上条風邪引くぞ?浜面ぁ、毛布とかかけてやらなかったのか?」
浜面「滝壺が…」
麦野「あぁ…」
滝壺「ということで、きぬはた。最初のミッション」
麦野と浜面を尻目に、絹旗の肩を叩いて親指を立てる滝壺。
ぱっと見ぼーっとしていそうないつもの表情の裏に、黒い何かを感じた。
絹旗「…ミッション?」
滝壺「かみじょうをベットまで運ぶ。それだけ」
絹旗「はァァ!?」
滝壺「ほら早く、かみじょう風邪引いちゃうよ?」
フレンダ「わ、私はフレメアと約束があるから行ってくるって訳よー」
絹旗「ちょォォフレンダァァ!!」
滝壺「やらないなら、私がやるけど」
絹旗「超ダメです!」
即答だった。
滝壺「じゃあ、よろしくね」
絹旗「ううぅ、何で私がこんな目に…」
窒素装甲を発動させて、上条を背負う。
石鹸の匂いが絹旗の鼻を刺激した。
絹旗「っ」
滝壺「頑張ってね。きぬはた」
上条の部屋前まで辿り着いたものの、部屋に入るか否か戸惑っている絹旗の姿がそこにはあった。
絹旗「おおお落ち着きなさい最愛ちゃん。大丈夫です、上条の部屋なら超入った事はありますでしょうににに」
意を決してドアノブに手をかける。
その瞬間、偶然か必然か、上条の右手が揺れた。
ガラスの砕けたような音。
上条の幻想殺しが絹旗の窒素装甲を打ち消した音だった。
絹旗「え?…なっ!?」
それに伴って、上条の重みに耐え兼ねた絹旗が押しつぶされるように倒れこんだ。
絹旗「…なんてこったいですよ…とりあえず抜け出さないと…!」
上条の下でモゾモゾ動いてみるものの、何故か仰向けになった途端に行動不能に陥ってしまった。
運命の悪意を感じる。
上条「……んむ?」
しかし悪意は止まらない。
絹旗「ちょっ」
上条「あれ?…絹旗!?お前帰って来て」
立ち上がろうとした上条の、腰に巻いてあっただけのバスタオルがハラリと床に落ちたのだ。
…ちょっと、すいません
風に当たってきますね…
だってだってー
ラーメンが伸び…っなんでもないです
既にのびのびぐちゃぐちゃだったどうしてくれる
40分しか放置してなかったのに…
そんなに麺が気になるならもうラーメンスレにしたらどうよ?
>>396
堪忍してくださいよ兄貴
俺、走り切るって決めたんです
絹旗「」
上条「たの…か…なんかスースーする…」
絹旗「あわ、あわわわわ」
突然の出来事にうら若き乙女の思考回路HDがオーバーヒートを引き起こした。
絹旗「け、ケダモノですーーーッ!!?」
上条「ひぃ誤解だ!」
絹旗「いやぁぁぁーーっ助けて汚されるぅぅぅ!!!!」
上条「やめてぇぇぇぇぇ!!!」
浜面「大将どうし」
上条「」
滝壺「」
麦野「」
上条「誤…解、なんです、みなさん…」
上条は2日目の泣き寝入りとなった。
夜。
絹旗はある人物に呼び出されていた。
それも唐突に。
,
絹旗「……私に何の用ですか」
土御門「…カミやんを解放しろ」
月の光を反射してサングラスが光る。
おちゃらけた様子はどこにもなく、”仕事”モードというやつだろうか、殺気と本気に満ちている。
絹旗「…超どういうことです」
土御門「カミやんはこっちにいるべき人間じゃな」
轟音。
それは絹旗が能力を使って、土御門めがけて公園なんかに置かれているベンチをぶん投げた事によるものだった。
絹旗「……」
土御門「カミやんはこっちにいるべき人間じゃない。分かっているはずだ」
宙に舞う土煙の中から、無傷の土御門が言葉を続ける。
絹旗「うる、さいですよ。超黙ってください、さもなくば次は本気で当てますから」
土御門「…なら一つだけ聞かせろ。カミやんが大事かどうか」
絹旗「超当たり前です。だからどうしたってんですか」
土御門「…カミやんの事を思うなら、なおのこと解放するべきだ。カミやんがどんな思いで表を捨てたとおもっている」
威圧するように銃を向けた土御門。
その声は様々な感情が入り混じったものだった。
絹旗「上条は、1番大事なものがこっちにあるって、言ってくれましたから…」
土御門「じゃあ、”それ”は何なのかカミやんの口からはっきりと聞いたのか?」
絹旗「ッ!」
確かに、聞いていないことは事実。
上条は今でこそ明るく振舞っているものの、本当は表に帰りたいと思っているのでは…と心の奥に封じ込めていた本音を土御門は的確に刺激した。
土御門「上条が居なくなった事で、涙を流した奴も沢山いる。お前は、都合のいいように上条を自分の側に縛り付けているだけだ」
絹旗「やめ、やめてください!」
土御門「もう一度言う、カミやんを解放するんだ。いや、解放しろ」
絹旗「いや…いやです…」
土御門「お前も見た筈だ。第3位の胸で泣き崩れるカミやんをな…!」
絹旗「っ」
絹旗の心が少しだけ揺らいだ。
その一瞬の隙をついて土御門は畳み掛ける。
土御門「カミやんを大事に思っているなら…解放してやってくれ…!頼むっ!!」
絹旗「う、あ…かみじょ、上条…」
いつの間にか心の中心には常に彼が居た。
行動基準の殆どを彼が掴んでいたと言っても間違いでは無い。
常に彼の幸せの為に。それだけが全てだった。
絹旗「あ、あ、あぁぁぁぁっ!!!」
ついに絹旗の心が決壊した。
狙った通りの結果に、土御門はほくそ笑む顔を隠すように俯いた。
絹旗「…」
土御門「分かって、くれたか」
絹旗「……ぁ…い」
涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃに濡らした絹旗は、小さく頷く。
土御門「それならば今から、迎えにいく。早いほうがいいだろう、オレにとってもお前にとってもな」
絹旗「……」
土御門「…カミやん、恨むなら好きなだけ恨め。それでもオレ達は無理矢理にでもお前を連れ帰るぜぃ…」
────────────
絹旗「上条、起きてください」
上条「……んぁ?絹旗か、どうした」
絹旗は無言を貫いて、応えない。
上条「…絹旗?」
絹旗「玄関です、着替えたらすぐに来てください」
「「「「「……」」」」」
慌てて玄関にたどり着くと、アイテムのメンバー全員が待っていた。
上条「お、おお、お前らどうしたんだ?仕事か?じゃあ俺も行」
麦野「その必要は無ぇ。」
リーダーの言葉。それは絶対を意味する。
上条は次の言葉は聞いてはいけないような気がした。
だが、もう遅い。
麦野「────上条、お前はクビだ」
上条「…は?」
麦野「テメェ、あれ程言ったにもかかわらず第7学区でとんだ騒ぎ起こしやがったな」
上条「は?な、なんのことだよ!?き、絹旗!?」
縋るように絹旗に目を向けるも、強く睨みつける視線に上条は押し負けた。
絹旗「…今まで助けてくれた事は感謝してます。…でも、超さよならです」
上条「きぬ…はた…?…ふ、フレンダ!」
フレンダ「…」
上条「何とかいえよ…滝壺!」
滝壺「…かみじょうを、いつも応援してるよ」
上条「はま、浜面!」
浜面「…あばよ、大将。」
上条「そん…な…」
唐突にアジトのチャイムが鳴り、扉が開かれた。
麦野「上条、光から迎えだ。」
上条「は…?何を言って…」
土御門「…カミやん。帰るぜぃ」
青ピ「小萌てんてーも心配しとるで」
上条「土御門、青ピ…何でここに…」
懐かしい面子。
居るべき場所への迎え。
青ピ「迎えに、来たんや」
土御門「さぁ、帰りはゲーセン寄るにゃー…って、もう夜だぜぃ」
上条「オイ、オイオイ!俺の居場所はこっちの筈だぞ!!!」
麦野「上条、テメェの居場所はこっち(裏)じゃねぇ。そっち(表)だ。」
急に。たった数十cmの上条と麦野達の距離が何km先にも錯覚した。
遠い。遠すぎる。
上条「…待て…待てよ!待てって!俺はまだ絹旗に」
絹旗「もううんざりです!!!」
上条の伸ばした手を払う絹旗。
そこには明確な”拒否”を感じた。
上条「そん、な…絹旗…」
絹旗「超ウンザリなんですよ!絹旗絹旗絹旗!しつこいったらありゃしません!!よくもあんなセクハラしてくれましたね!!金輪際近づかないでください!!!」
上条「きぬ…」
土御門「すまんカミやん」
上条「がっ…!?」
土御門が上条に押し当てたのは改造スタンガン。いかに御坂の電撃に耐えるような上条であっても、先刻のように、強力過ぎる電圧の前では、意識を手離さざるをえなかった。
上条「…は……た…」
青ピ「…日常に帰ろか、カミやん。今までよーく頑張ったでぇ。もうおやすみ。」
土御門「青ピ。先にカミやんを車に運んどいてくれにゃー」
青ピ「了解や。」
土御門「今までカミやんの世話をしてくれて感謝する。…何故急に手放してくれた?」
麦野「…あいつには借りがあんだよ。アイテムをあたし等の本当の居場所にしてくれた。」
フレンダ「何より、結局上条は心の底では表に帰りたがっていたって訳よ」
土御門「…そうか。」
浜面「じゃ、大将の事よろしく頼むな、グラサン。」
土御門「当たり前だ。……俺たちはカミやんの親友だからな。」
絹旗「上条を………お願いします…」
土御門「……じゃあにゃー」
土御門「…分かっているとは思うが、もし表に帰ったカミやんに何かしようと思ってるなら…」
麦野「そんなつもりは毛頭無ぇよ。上条の身は陰ながらでも支えてやる。…それに暗部のグループと第6位を同時に相手取んのは、めんどくせぇ」
土御門「…オレはともかく、青ピの素性はバレてるはずないと思ったんだけどにゃー」
麦野「…なんとなくな」
土御門は去った。
玄関に残された5人は、暗い表情のまま各々がアジトの中に入る。
浜面「…くそ…」
滝壺「……」
浜面は車のキーを握りしめて、ソファでしばらく俯いていた。
滝壺は浜面に寄り添うように、ずっと隣に座っている。
麦野「……フン」
フレンダ「……上条」
麦野とフレンダは台所で上条を思い出し、
絹旗は…
,
絹旗「…っひぐっ…かみ、かみじょ…っ!……超ごめんなさい…っ!…でも、でも上条はっ…上条はっ…、こっちに居ちゃ、いけ、ないんです…っ!…さよならです…上条…かみ…っ、うぁ、ッッ!!嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
上条の使っていた部屋のベットで、携帯を握りしめて1人、泣いていた。
携帯のハリネズミも、絹旗の涙に濡れつつ、哀しく揺れた。
────そして、時は1週間ほど流れる。
土御門「カミやんおはようだにゃー」
上条「おう、土御門。早いな」
土御門「…舞華と…喧嘩したんだぜぃ…」
上条「おおっと、ざまぁみろ。暇さえ見つければギシギシアンアンやりやがって。響くんだよボケが」
土御門「好きだからにゃー」
上条「…好き、ね…」
土御門「…スマン」
上条「いや、いいんだ。俺はフられたんだし、もう関係ないさ」
青ピ「でも最初の頃は会うたびにタコ殴りにしてくれたわぁ。ボクの鼻折れたんやで?」
上条「青ピ。お前も早いな」
青ピ「一刻も早く小萌てんてーに会いたいねん!」
上条「揺るぎねぇな…」
ふらりと戻って来たデルタフォースの3人は、記憶喪失で3ヶ月間の事を一切忘れている、と嘘を流して周囲に対しての処置を施した。
最初は皆不審がったが、1週間という時間がそれを消し去ってくれた。
上条自身、忘れようとしている。
それでも。
上条「………」
土御門「…カミやん」
青ピ「…つっちーにカミやん!今日は学校フけようや!ゲーセン行くで!!」
土御門「お、おーだにゃー!」
上条「お、おいおい上条さんは今日放課後補修が…不幸だぁぁぁぁ!!」
絹旗『上条!映画行きますよ!!』
上条「あ……絹、旗」
あの笑顔だけは忘れられる訳がなかった。
上条「────────で?」
ステイル「もう一度この子を匿ってはくれないか」
禁書「えへへー」
上条「だが断る」
笑顔ですり寄って来た銀髪シスターをすっぱり跳ね除けた。
禁書「!?」
ステイル「僕だって不本意だ!たった数日とはいえキミみたいなウニにこの子を預けるだなんて…!」
上条「だが断るつってんだろ!帰りなさい!!」
禁書「うっうー!とーまのバカー!!」
上条「ほら、出てっちまったぞ」
ステイル「インデーックス!!貴様敵の魔術師に見つかってしまったらどうしてくれる!!!」
上条「知るかぁぁぁ!一般生徒の上条さんを巻き込むんじゃありません!!」
ステイル「何だと!?その右手は何の為にあると思っている!!」
上条「あぁ?この右手は絹旗をだな」
絹旗『超ウンザリなんですよ!』
上条「…っ」
ステイル「…上条当麻?」
上条「分かった。手を貸してやる」
ステイル「ではインデックスを…」
上条「とりあえずその敵魔術師ってのを潰せばいいんだろ」
ステイル「!?……キミはそんなに好戦的だったかい…?」
上条はベットの下から何かの箱を取り出した。
上条「八つ当たりにはもってこい、だろうな」
麦野「おい絹旗。仕事行くぞ」
絹旗「………あ、はい!超了解です」
麦野「…」
フレンダ「上条がいなくなってからずっとこの調子って訳よ…」
麦野「…どうしたもんかねぇ」
滝壺「…たまに、陰で泣いてるみたい」
浜面「…大将がいないと、なんかしまるもんも締まんねぇのも確かだけ」
滝壺「はまづら。それ以上はだめだよ。上条も絹旗も裏切っちゃう。」
浜面「わ、悪い。つい…」
上条『俺はお前の側にいられるだけでいい。』
絹旗「……上条…」
浜面の言うとおり、最近のアイテムは確かに気合いのようなものが入っていない。
絹旗については、仕事中であっても虚空を見つめる始末である。
浜面「場所は?」
麦野「第10学区」
フレンダ「うげぇぇ…お墓があるって訳よ…」
麦野「よく分かったな。仕事場は墓場だぞフレンダ」
フレンダ「!?」
浜面「なんでそんなとこにいるんだよ侵入者…」
ヒクヒクと頬を引きつせるフレンダと浜面。滝壺は鼻提灯を作って立ったまま夢の世界に居るご様子。
麦野「…絹旗」
絹旗「…わかってます。やることは、ちゃんとやりますから」
麦野「…」
浜面「着いたぞ。ここでいいんだよな」
麦野「おう」
フレンダ「な、なんで霧が出てるって訳!?結局不気味すぎるって訳よ!!」
麦野「…」
絹旗「…おや?」
麦野「どうした絹旗」
絹旗「なんかお札みたいなのがここに貼ってあるんですけど…あ、剥がれた」
フレンダ「絹旗ーー!?お札剥がしたらだめって訳よ!?おおおお化けが出るって訳よ!!」
絹旗「そんな馬鹿な。ほら超先に行きますよ」
若干目を輝かせながら自ら霧の中に飛び込んで行く絹旗。
フレンダ「何か絹旗楽しそうって訳よ…」
麦野「映画みたいな体験ができて嬉しいんだろ。さっきまでの落ち込みはどこに行ったんだが…行くぞフレンダ」
フレンダ「嫌ーー!?まだ死にたくないって訳よーーーっ!!フレメアー!ごめんねお姉ちゃんもう会いに行けないかもしれないって訳よーー!!!」
浜面「…俺は後ろの席で寝てようかな…」
絹旗「リアル霧ですね…超初めて見ました…!」
やはり興奮気味の絹旗。ズンズンと進んでいく。
絹旗「『ゾンビ猿の恒星』と同じくらい濃ゆい霧ですね…一寸先は霧とはよくいったものです」
闇である。
絹旗「これは…またDVD借りてみるべきでしょうか…確か主人公のジェームズはこういう時、耳に全感覚を集中していたような気が…!」
その場に立ち止まって目を閉じる。
絹旗「…!そこですね!!」
能力発動。窒素の装甲をまとった凶悪なパンチが絹旗の背後に近づいて来ていた人影の腹部を貫いた。
絹旗「超手応えあり…あれ、殺しちゃうのはいいんでしたか?…まぁいいです…あれ?」
右手が抜けない。
いや、抜けないのではなく、どうやら掴まれている。
絹旗「え?」
ゾンビ「ァァァ…」
絹旗「」
絹旗「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ステイル「魔女狩りの王!」
炎が形作る巨人が右手を振り、ゾンビ数体を纏めて焼き尽くすものの、何事もなかったかのように蘇る。
ステイル「くそっ、キリがない!上条当麻!キミの右手で触ってみたか!?」
上条「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!!……あれ?」
上条の連撃をモロに受けたゾンビは1度崩れるが、やはりすぐに元通りになる。
上条「ステイルゥゥゥッッ!!話が違うぞてめぇぇぇ!!!だから魔術師に関わるのは嫌なんだよォオオォ!!!」
ステイル「うるさい!『フッ…八つ当たりにはもってこいだろうな…』とか自信満々で銃を取り出しながら言ってた上条当麻はどこにいった!!」
上条「おま、右手効かねえじゃ仕方ないだろうが!!どういうことだ!!!いやぁぁぁ噛まれたぁぁぁゾンビの仲間になっちゃうぅぅ!!!!」
ステイル「この土地自体に魔術がかけられている!何処かにあるコアを叩けばこの魔術は止まる!!うわ近づくな上条当麻!!ゾンビ入りは御免だ!!」
上条「お前神父だろうがぁぁ!助けろよ?!」
ステイル「ここは僕に任せてコアを探しに行け!!」
上条「腑に落ちねぇぇぇぇけど分かった!」
醤油も忘れんな!
麦野「…なんじゃこりゃ」
フレンダ「むっ、むぎっ、麦野、ぞぞぞゾンビがいるって訳よ!!?」
四方八方どこを見てもゾンビ。
眼球を垂らしたもの、腹部から腸が飛び出ているもの。不愉快極まりない。
麦野「原子崩しぶち込んでも消えねぇってんじゃ…困りもんだな」
何の能力だろうか。
死体を蘇らせるなんて聞いたことがない。そもそも骨しか埋まっていない筈だ。気持ち悪い肉体はどこから付属したのか。
麦野「あぁもうめんどくせぇな!消えるまでぶち込んでみりゃいいんだろ!!」
原子崩しの乱射。
数は減るどころか増す一方だが、それでも進行は徐々に遅くなっている。
フレンダ「麦野がかっこいいって訳よ…」
麦野「絹旗が心配だな。この場はさっさと切り抜けるぞ。テメェも爆弾使えよフレンダ」
フレンダ「わ、分かったって訳よ…とりゃぁぁーっ!!」
フレンダが前方後方至る所にばら撒いたのは、四次元スカートから取り出した40にも至る数の爆弾。
「のわぁぁぁぁっ!?」
フレンダ「あり?」
麦野「ん?」
コピペはダメぽ
orz
時間かかってもいいから丁寧に練って練って見直して書き直してくれ
>>446
そさせていただきます…
しばし暇を頂きますゆえ…
このSSまとめへのコメント
メール来なかったくらいで探すっていくらなんでも気持ち悪いにもほどがあるでしょww
面白いよー!
最愛と上条ssが増えてきたね(^^)
はよ続きーー
続きー
超早くしてください
もうそろそろ出てきてもおかしくないよねー
てか出て欲しい(-_-;)ウーン
普通にもう帰ってこないだろ
現実をみろよ
荒らし死ね
超早くしてください
はやくしろや誰でもいいからかけ
>>11貴様誰でもいいと言ったな?
まだかにゃーん
無理ですね
まだか‥‥
え!まだまってるの?
続きが気になるな‥‥
いいえ、ちっとも
出す気があるかどうかの方が気になる
もうどうでもいいや
荒らし超気持ち悪い。乙www
モアイさん乙www
ばいばいき~ん
>>23
おいアンタ、ひょっとして絹旗に親でも殺されたのか?
絹旗スレに焦点を絞って荒らしコメをしてるようだけど…
完結すました
あきらめるにゃーん
終わったのかよォ。途中で終わるたァ随分と勝手なヤローだなァ?あァん!?
続きのスレないの?
エタったのに続きなんてあるわけないだろks
そして2年が経った....。
いや5年だぜ