やえ「今日は学食か……」由華「小走先輩!」 (31)

やえ「あぁ由華。こんにちは」

由華「お疲れ様です!今学食に行こうとしたら先輩が歩いてる姿が見えたので……」

由華「先輩も学食ですか?」

やえ「うん、いつもは弁当なんだけど。今日はちょっと用意出来なくて。」

由華「そうなんですか……」

由華「あっ……あのっ……!」

やえ「ん?」

由華「も、もし良ければお昼……ご一緒しませんか……?」ドキドキ

やえ「あぁ、良いわね。私もちょうどひとりだしそうしましょう」

由華「!……ありがとうございます!」パァァァ

紀子「……」スタスタ

紀子「?」

由華「?♪」

紀子「あれは……」

良子「よう紀子。どうした立ち止まって」

紀子「……上田か。ちょうど良い所に来た。学食に行くぞ」

良子「えっ……おいちょっと待てよ、俺は今日パン食にしようと」

紀子「いいから来い」グイ

良子「なんなんだよ……」

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ほー

良子「で、学食まで来てみたわけだが」

良子「いったい何なんだ。そろそろ説明してくれても良いんじゃないか?」

紀子「お前はここへ辿り着くまでに感付かなかったのか?あそこを見てみろ」

良子「お前が強引に引っ張るからだろ!全く……で、あそこがどうしたってんだよ……」

良子「……あれは、やえだな。一緒にいるのは由華か。珍しいな。そもそもやえはいつも弁当のはずだが」

紀子「小走が弁当でないことなどどうでもいい。それよりお前はあれを見て何か気付かんか?」

良子「……?別に、いつものやえだろ?」

紀子「……話にならんな」

良子「な!?お前なんなんだ!わざわざ人を罵倒する為にこんなとこまで連れ込みやがったのかよ?」

紀子「……私が言っているのは小走のことでは無い」

良子「何?」

日菜「あらー?のりちゃんにりょうちゃん、二人きりなんて珍しいわねぇ」

晩成高校とは珍しい

期待

やえ由華のSSが読めるとはすばら

やえ由華のSSが読めるとはすばら

良子「日菜!良い所に来てくれた、コイツの言ってる事がよく分からなくて困ってたんだ」

紀子「よくわからんのはお前の考察力だがな」

良子「考察力って何だよ。というかいちいち喧嘩腰すぎるだろ!」

日菜「まあまあ落ち着いてりょうちゃん。何があったか聞かせてちょうだいなー」


良子「俺がパンを買いに売店に行こうとしたらコイツにばったり会って、そのままここまで連れてこられた」

良子「今は罵倒されてる」

日菜「あらー」

紀子「木村、こいつの話は聞くまでもない。あそこを見てみろ」

良子「てめえ……」

日菜「まぁまぁ。のりちゃんももう少しやわらかくしようよー。えと、あそこ?」

日菜「……あら」

紀子「」コクリ

日菜「なるほどなるほどー。そういうことなのね♪」

良子「えっ……?日菜、何がなるほどなんだ?」

日菜「ふふーん、りょうちゃん、あそこにやえちゃんと由華ちゃんがいるでしょう?」

良子「ああ、それは判る。コイツになんとも思わないかと言われたが……俺はいつものやえだと思う」

紀子「……全く」

良子「うるせぇ!」

日菜「まぁまぁまぁ。それじゃありょうちゃん、由華ちゃんの方をよく見てごらんなさいな」

良子「由華を?……そういえばさっき紀子はやえの事を言ってるんではないとか言ったか……」

紀子「ようやく気付きかけてきたか」

良子「ちょっと黙ってろ!……えーと、由華が……」

日菜「……なんだか、普段と違う感じがしない?」

良子「……ん、まあ確かに、部活で見る時よりどことなく楽しそうにしてるな」

良子「でも仲が良い先輩との会話ならあんなもんじゃないか?」

日菜「確かにあのふたりは仲良しさんだもんねー」

紀子「アレは只の仲良しという表現では片付けられない」

良子「そうかよ。まだ俺には趣旨が伝わらんが」

良子「なんとなく何喋ってるか気になるな……」

今日はこれで止めます、すみません
続きは明日以降書きます

乙です

乙です

ーーーーーー


由華「昨日のテレビ見ました?」

やえ「うん。私もあれをされたら怒るわね」

由華「酷かったですよね。スマホの話も実際にありそうでちょっと怖かったですね」

やえ「そもそもスマホってなんでもかんでも出来すぎるのよ。本来の目的が電話だなんてみんな忘れてるでしょう」

由華「確かにそうですね。考えさせられますよね……
でもその後のカフェ特集がかわいいお店ばっかりで良かったです!」

やえ「あそこは行ってみたいわね」

由華「そうですよね!もし良ければ今度ーーー」


ーーーーーー


良子「……」

やえ「」ワイワイ

由華「」ガヤガヤ

良子「……よく聞こえないな」

日菜「昨日見たテレビの話をしているわねー」

紀子「共通の箇所で思うところがあったようだな」

良子「二人とも聞こえたのか……」

良子「しかしそうなるとただ他愛もない話で盛り上がってる、ってだけだろ?そんなに騒ぎ立てることなのか」

日菜「でもねりょうちゃん、そうやってなんでもない会話を楽しめる相手って実はそれほどいないものだと思わない?」

日菜「そういうひとときを過ごせるのは、話が楽しいんじゃなくてその人といることが楽しいからだと思うのー」

紀子「そういうことだ。つまり巽は……」

紀子「小走に恋をしている」

良子「ふーん、そういうもんか」

良子「……って、えっ!?」

良子「こ、恋?お……おかしいだろいくらなんでも」

日菜「あらー、由華ちゃんも年頃なんだから別におかしくなんてないわよー。むしろあるべき姿だと思うわ♪」

紀子「……乙女にはいろいろあるものだ」

良子「いや恋がおかしいとは言わない。相手がおかしいんだ!恋愛というのはもっとこう、……健全なだ、男女がだな……」

紀子「顔が赤いぞ」

良子「!?う、うるさい!」

良子「そもそもお前、色恋沙汰に興味なんかあったんだな」

紀子「……たしなみだ」

良子「そうか……」

日菜「あらー、由華ちゃんどうやらやえちゃんとのデートを取り付けることに成功したようよー♪」

良子「……なんだって!?」

紀子「……」ガタッ

日菜「テレビに出てたおしゃれな店にふたりで行くみたいー」

良子「ちゃんと二人の会話聞いてたのか……」

紀子「巽、上手いな……」

良子「しかしデートとは……普通に遊ぶという感覚じゃないのか?」

日菜「由華ちゃんが頼むときの様子はただごとじゃなかったよー、ここまで緊張が伝わってきたわー」

日菜「頑張ったわね♪」

紀子「……上田、アレは先輩後輩の間柄、ましてや友情などというものを超越している。……受け入れろ」

良子「ううむ……俺にはまだ理解しがたい世界だ……」

日菜「やえちゃんは部員みんなのものだから少しフクザツだけど、」

日菜「あの一生懸命な態度を見たら、応援したくなっちゃうね♪」

紀子「私達で助力しよう」

日菜「良いわね。やっちゃいますかー」

良子「ますます俺にはわからない展開に……」

紀子「いい機会だ。恋愛について勉強しろ」

良子「ううむ……///」

ーーーーーー

やえ「そろそろ行こうか。今日はありがとう」

由華「はい!ありがとうございました!」

由華「♪」スタスタ

日菜「由華ちゃーん」ヒョイッ

由華「あ、日菜先輩、お疲れ様です!……良子先輩と紀子先輩もご一緒なんですね」

良子「おう、お疲れさん」

日菜「由華ちゃん、見てたわよー」

日菜「楽しそうだったじゃない♪」

由華「えっ?見てたって……小走先輩と一緒にいるところですか!?それなら入って来てくれれば良かったのに……」

紀子「邪魔は出来ない」

日菜「そうよー。とても良い雰囲気だったものね♪」

由華「えっ!?……どど、どういうことですか……良い雰囲気だなんて、そんな……///」

日菜「良いのよー隠さなくて」

日菜「やえちゃんはみんなのものだからちょっと迷ったけど」

日菜「由華ちゃんの姿を見てたら応援したくなっちゃってねー」

紀子「……協力する」

由華「!?そんなきょきょきょ協力だなんてそんな……///」

良子「由華、ここは観念した方が良いかも知れない」

良子「こうなるとコイツらは止まらないからな」

由華「うぅ……」

由華「……見られていたからには仕方ないですね」キリッ

由華「今度、小走先輩とカフェに行く約束を取り付けました。仲を深めるにはどうしたらいいか、アドバイスください!」ペッコリン

日菜「そう来なくっちゃ♪」

紀子「……闘争の始まりだ」

良子「大げさだな……なんにせよ、こうなると俺には何の口出しもアドバイスも出来ん。二人とも、何か良い案はあるのか?」

日菜「うーん……これぞ必勝法!みたいなものは正直言ってないんだけど……」

紀子「恋に絶対は存在しない。故に、闘争になる」

良子「深いな……」

日菜「とりあえず押さえておくポイントは上げますかー」

由華「お、お願いします……」

日菜「そうねーまず、服装はおしゃれにして行きましょう」

日菜「やえちゃんはあれでフリフリの可愛らしい服装が好きだから、その方面で攻めるのはありだと思うわよー」

由華「そうなんですか!?」

日菜「部長という立場上、普段はクールに振る舞ってるけど」

日菜「けっこうアイドルとかかわいいものが好きなのよー」

紀子「年相応の乙女ということだな」

由華「知らなかった……意外な一面です」

良子「確かにあいつは、俺らにしか見せない面があるからな……」

日菜「今回のデートで、由華ちゃんにもやえちゃんのそういうところを知ってもらいましょう」

由華「で、デート……///」

日菜「それとー、デートの目標として」

日菜「由華ちゃんには、やえちゃんのことを名前で呼んでもらいましょう」

由華「えっ!?」

由華「な、名前で……///」

日菜「呼び方は、その人との関係を表すもの」

紀子「苗字呼びと名前で呼べるのとでは親密度が段違いだ」

日菜「それに由華ちゃん、わたしたちには名前で呼べてるんだから、やえちゃんにもきっと出来るはずだわ♪」

由華「うぅ……確かに先輩方は名前で呼んでいますが、それはなんとなく呼びやすいからというか……小走先輩相手だとまた勝手が違うというか……」

紀子「だからこそ目標になり得る」

由華「うぅ……」

良子「まあなんだ、確かに目標を持って物事に臨むのは良いことだと思う。今後の部活でのことを考えても名前で呼べた方がいいしな」

由華「が、頑張ります……」

紀子「あとは、話のネタを二三仕込んでおくと良い。アイドル関連やペットの事などな」

日菜「それからー、日頃の部長としての仕事ぶりを褒めると喜ぶと思うわよー」

由華「そうなんですか?普段は淡々としてて、そこを話題にしても特に何も感じないように思っていました」

日菜「あれは照れ隠しなのよー」

日菜「やえちゃんなりの部長像があって、それにのっとる形で普段はクールに振る舞ってるけど」

日菜「褒められり、評価されるとやっぱり嬉しいのよー」

紀子「年相応だな」

由華「意外な一面です……」

日菜「そんなところかしらね。わたしたちも経験豊富というわけじゃないから、あまり実になるアドバイスは出来ていないけど」

由華「いえ、充分です!本当に、助かります!」

日菜「いえいえ♪終わったら、わたしたちに結果や感想聞かせてくださいな」

由華「はい!頑張ります!」

紀子「当日は遠くから応援している」



ーーーーーーーーーーーー



良子「……というわけで当日を迎えたわけだが」

良子「しっかり張り込みしてるじゃねえか!」

日菜「あらー、のりちゃんも遠くから、と言っただけで嘘はついてないわよー。来ないと言ったわけでもないし」

良子「そりゃそうだが……」

日菜「そんなこと言って、りょうちゃんも完璧な変装ね」

日菜「帽子も似合ってて、かっこいいよー♪」

紀子「……褒めてやろう」

良子「うるせえ!かっこいいって何だよ……///」

紀子「……来たな」

由華「……」ドキドキ


日菜「由華ちゃん、緊張してるわねー」

紀子「……良い。雰囲気がこちらまで伝わって来る」

良子「お前このテのこと本当好きなんだな……」

日菜「由華ちゃん、良い服装ねー」

紀子「フリルは付いているが控え目。レギンスで無駄な露出を控えている」

日菜「わたしたちのアドバイスを良い感じに昇華させたわねー。あれならやえちゃんのツボに入ってくれそうねー……」



やえ「おまたせ」

やえ「!」

由華「!……おっ、お疲れ様です!えと、ぜっ、全然待ってないです……」ドキドキ

やえ「ん、それは良かった……とりあえず行こうか」

由華「はいっ!」ドキドキ



やえ(よく考えたら、由華の私服姿……初めて見るけど……)

やえ(かわ……ま、まあまあね……)ドキドキ



良子「遂にスタートか……」

紀子「待ってる時間もデートのうち、という格言がある。そういう意味ではもう始まっていたということだ」

良子「そうなのか……」

日菜「とりあえず、服装はやえちゃんのツボに入ってくれたようねー」

良子「そうなのか?やえの反応は読み取れなかったな……」

紀子「アレは間違いなく動揺している。最初のアピールは成功のようだ」

日菜「ささ、わたしたちも入るわよー」コソコソ

良子「よ、よし……」コソコソ

紀子「……」コソコソ

やえ「……いろいろメニューがあるわね」

由華「そうですね……迷っちゃいますね……!」

由華「私は定番どころでカフェオレにしますっ!」

やえ「……私はキャラメルマキアートにしよう」

由華「あっ、や、……小走先輩は甘いものお好きなほうですか?」

やえ「ん、そうね。あまり他言はしていないけど、甘いものは割と好き」

やえ(……「割と」じゃないか)

由華「そうなんですね。普段のイメージと違ってかわいいです♪」

やえ「!……そ、そう……///」



ーーーーーーーーーーーー



日菜「由華ちゃん、やるわねー♪」

良子「い、今のは俺も凄いと思った……名前を呼ぶのはためらったクセに、こんな言葉はナチュラルに出るんだな……」

紀子「巽……出来る」



ーーーーーーーーーーーー



由華「んっ、、!すごい、これ……美味しいですっ!」

やえ「そ、そうね……美味しいわね」

由華「すごい……なんだか幸せな気分になりますねっ」パァァァ

やえ「!……そ、そうね……」ドキドキ

由華「……あ、あの……せっかくなので、キャラメルマキアートも、あ、味見させてくれません、か……?」ドキドキ

やえ「あっ、あぁ、良いわよ。どうぞ」サッ

由華「あっ……ありがとうございます!わ、わたしのも、もしよければ……っ」カァァァ

やえ「んっ、そうね……頂くわ」



ーーーーーーーーーーーー



良子「おっ、ここのコーヒーはなかなか旨いな……」ススー

良子「スコーンも食べやすい」バクバク

日菜「わぁ……」

紀子「……」ゴクリ

良子「?」

良子「どうした」

紀子「お前がコーヒーとスコーンに夢中になっている間に二人の仲は加速度的に進展している」

日菜「良い感じにイチャイチャしているわねー……自ら味見を申し出るなんて、由華ちゃん見かけによらず大胆だわ」

紀子「存外に攻めるスタイルのようだな」

良子「なっ……」

良子「見逃しちまった……」

由華「や、……こ、小走先輩は、犬派ですか?猫派ですか?」

やえ「私は猫派。あの自由な感じが良いのよね。あと肉球」

やえ「由華は?」

由華「私は犬派ですね!あの律儀に忠実なところがかわいいんですよー」

やえ「確かに忠実よね」

やえ「一度良子の家に遊びに行ったことがあるんだけど、」

やえ「良子は犬を飼っていてね。見知らぬ人間が来ると物凄く警戒するようで、危うく咬まれかけたわ」

由華「そんなことがあったんですね……」

やえ「流石に焦ったわね……しかも割と大きいサイズで、なんとなく飼い主に似るなと感じたわ」

由華「ふふっ、そうかも知れないですね」

由華「日菜先輩と紀子先輩は猫って感じがしますね」

やえ「そうね。二人とも、あれで勘が鋭い時は鋭いものね。そんなところは猫っぽいと言えるわね」

由華「ふふっ、そうですね」

由華「……」

由華「先輩の皆さんが自由に振る舞えるのも、部長である小走先輩がしっかりしているからだと思います」

やえ「!い、いや……///」

由華「日頃から常に部員のことを考えて行動している先輩は、 ほんとに立派だと思いますっ!」

やえ「そ、そう、ありがと……」

由華「……」

由華(効果、あったかな……)

やえ「……でもね由華。私が部長でいられることは、私の力というわけじゃない」

由華「……?」

やえ「せ、せっかくだから由華には話しておこうと思うわ」

由華「……はい。」


やえ「晩成高校には過去40年のうち39回インターハイに出場しているという歴史がある。それは先人たちが築き上げてきた偉大な歴史」

やえ「私はこれまでその重みを感じながら戦ってきたつもりだったけど、新部長に任命された時、その気持ちは紛い物だったと思い知らされた」

やえ「上級生がいない状況、自分が先頭に立ってみんなを引っ張っていかなきゃいけないという立場になった時、初めて晩成の歴史の本当の重さに気付いたの。その当時は流石に辛かったわね……プレッシャーでとても平静ではいられなかった」

由華「……」

やえ「それでも私は部長として、数ヶ月後、最後の大会に臨もうとしている」

やえ「それが叶っているのは、練習が厳しく挫けそうになっている時に良子がみんなを励ましてくれたから」

由華「……!」

やえ「遠征先で他県のエースに打ち負けて下を向いている時に紀子が強気の闘牌で勇気をくれたから」

やえ「部員の気が緩んでいる時に日菜が滅多に見せない表情で皆の気を引き締めてくれたから」

やえ「私が迷った時、良子が、紀子が、日菜が道を示してくれた。上級生として、あるべき姿を示してくれた」

やえ「もちろん三人だけじゃない。他の部員のみんなも、常に支えてくれていた。今では私を慕って晩成高校に入学したと言ってくれる子までいる」

やえ「そんなみんなに弱いところは見せられないし、見せたくない。そう考えて部長らしくあるべき行動を心掛けて来た」

やえ「そして今。晩成の歴史は確かに重いけど、もう怖くはない」

やえ「私には、仲間がついているから」

やえ「だから、私が偉いから部長として纏められているわけじゃないわ。みんながいるから部長が出来てるの」


やえ「……ま、まあ話半分に聞いてくれてたらいいわよ。あと、このことは誰にも言わないように」コホン

由華「先輩……」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



紀子「……」

良子「やえのやつ……」

日菜「……」

良子「なんというか……やえには、アイツのためにやってやりたい、と素直に思わせる魅力があるんだよな……」

良子「アイツは素直じゃないから自分の想いは隠すが……改めて言われるとやっぱ照れ臭いもんだな」

紀子「だが、そんな小走が皆好きだからこそ付いていく」

日菜「……やっぱり、やえちゃんはみんなのやえちゃんかもね」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

やえ「そしてもちろんその中にはあなたも含まれてるわ、由華。大将というポジションは簡単では無いけど、由華なら務まると思ってるわ。頑張りましょう」

由華「先輩……」

やえ「?」

由華「部員の皆が付いてきているのは、皆やえ先輩が好きだからだと思います」

由華「自分の弱いところを見せず、常に毅然とした態度で導いてくれる……先輩は皆が支えてくれたからと言いましたが、皆はやえ先輩が支えてくれている、導いてくれていると思っているはずです」

由華「こんなにも部員のことを想っている……やえ先輩のその気持ちは、必ず皆に伝わっているはずです」

由華「だからやっぱり、晩成の部長はやえ先輩でしかあり得ません。皆やえ先輩のことが大好きですから!」

由華(……私も……)

やえ「由華……」

由華「……大会、頑張りましょう!インターハイ行きましょう!」

やえ「……そうね。ありがとう」

やえ「まあ心配せずとも、私が先鋒で稼ぐから安心して」

由華「……ふふっ、ありがとうございます。じゃあ、もし先輩方に相談できない悩みがあったら言ってください。私で良ければ相談に乗りますよ♪」

やえ「あっ、あぁ、そうね……ありがとう。何かあったら相談させて貰おうかしら」

由華「はいっ!」

店員「ありがとうございましたー」カランカラーン


やえ「それじゃ、私はこっちだから」

由華「はい!今日は本当に、ありがとうございましたっ!」

やえ「こちらこそ。……そ、その……」

由華「?」

やえ「も、もし良ければ、今度また別の店にでも行きましょう、か……」モジモジ

由華「……」

由華「……はい、喜んで」

やえ「……」

由華「……」

やえ「そ、それじゃあまた。明日からまた練習頑張りましょう」

由華「はいっ。頑張りましょう」

やえ「」スタスタスタ

……



由華「……」ドクン

由華「……」ドクンドクン

由華「先輩……」ドクンドクン

日菜「ゆーかちゃん♪」ヒョイッ

由華「ひぁっ!!?」

日菜「お疲れ様。頑張ったわね♪」

紀子「……」

良子「よ、よぉ……」

由華「み、み、み、みてたんですか!?なんでそんなことするんですかぁっ!?」

日菜「まあまあまあ、見に来ない、とは言ってないから、ねっ?」

由華「そんなのヘリクツですよぉー!」プンスコ

日菜「ごめんねー」アセアセ

良子「悪かった」ペコ

紀子「……済まない」

日菜「……ところでー」

日菜「どうだった?」

由華「……そ、そんな、どうだったなんて……」

由華「……」

由華「……楽しかったです」

由華「嬉しかったです。やえ先輩のこと、」

由華「……もっと好きになりました」

日菜「そう。わたしたちも、改めてやえちゃんのこと好きになっちゃったわー」

由華「!?そ、それってどういう……」

日菜「安心してー。やえちゃんのこと好きというならそれこそ部員みんなそうだし、これからも変わらず由華ちゃんを応援しようと思うわー」

由華「あ、ありがとうございます……」

紀子「よくやった、巽」

日菜「そうねー。やえちゃん直々に次回の約束も取り付けて貰ったし」

由華「」カァァァァ

日菜「目標も達成出来たし、完璧じゃないかしら」

由華「目標……?」

日菜「ほらー、呼び方ひとつで親密度がー」

由華「……!」

由華(そうか、私、先輩のこと、名前で呼んで……)カァァァァァァァァ

日菜「そういうこと♪頑張ったわね」

由華「……」ドクンドクン

由華(せんぱい……)ドクンドクン

由華(……やえ、せんぱい……)ギュッ

日菜「さーて、わたしたちも引き上げましょうかー。明日からまた練習頑張らなきゃねっ!」

良子「そうだな……」

良子「ま、まあなんだ……俺も勉強させて貰った。人を好きになるというのは良いことかもしれないな。俺もいつか理想の男子に巡り会えるかな……」

紀子「お前はその前に女子から告白を受けそうだが、な」

良子「な、なんだとー!?」






カンッ

終了です
ありがとうございました

おつ、みんなええ子や
泣きそうになる

乙です

ありがとうございます。


由華やえ凄く良い!
晩成の描写があればなぁとつぐつぐ思うわ
個人戦にやえさんだけじゃなく付き添いで晩成メンバーが来てると嬉しいなぁ…

ありがとうございます。
ほんとに描写ないですよねw個人戦、ぜひ活躍の場があってほしい・・・

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