上条「アンタは私のものになんのよ」美琴「……不幸だ」(630)

御坂さんが上条さんを愛玩奴隷にするべく無茶苦茶するお話
上琴SS ただし変態もあるよ?
幻想殺しが大変なことに! 微クロスはあってもオリキャラいらね

上記に拒否反応がでる方は読んだら後悔するかも。もうすぐ新刊でるけど気にせず書きます
説明は以上で、はじめます

常盤台学生寮 自室――


美琴「絶対成功させるんだから……今度こそ」ブツブツ

黒子「お姉様?」

美琴「まずはアイツを探して…」ブツブツ

黒子「悩み事ですの?」

美琴「……速攻で告白するんだから」ブツブツ

黒子「告白!? 告白ってなんですの!?」

美琴「誰にも邪魔はさせない…」ブツブツ

黒子「ま、まさか、あの殿方に!? 答えて下さいまし!!」ガクガク

美琴「ん? 黒子どうかした?」

黒子「どうかしてるのはお姉様ですの!あの類人猿に告白するなんて、あのような馬の骨にぃぃぃぃぃ!!!」

美琴「はあ?」

黒子「とぼけないでくださいまし! 黒子はばっちり聞きましたの!」

美琴「アイツは馬の骨なんかじゃないわよ!!」

黒子「へ?」

美琴「私を守ってくれる、最高のヒーローなんだから!!」

黒子「」フラフラ

美琴「いくら黒子でもアイツを悪く言うのは許さないわ」

黒子「……おかしいですわお姉様。素直すぎますの」

美琴「意地を張ってもしょうがないでしょ」

美琴「アイツだけは誰にも譲れないもん。だから絶対に振り向かせてみせる!」

黒子「そこまでの決意を……」

美琴「黒子?」

黒子「分かりました。わたくしはお姉様の恋を応援しますの」

美琴「!?」

黒子「お姉様の素直な気持ちを伝えれば、上条さんはきっと応えてくれますの」

美琴「応援してくれるのは嬉しいけど、急にどうしたの?」

黒子「わたくしはお姉様のパートナーです。お姉様の幸せを願うのは当然ですの」

美琴「そっか、ありがとね、黒子…」ギュッ

黒子「お姉様…」ギュッ



美琴「よーし、いってきます!」

黒子「いってらっしゃいませ。お姉様、御武運を」

美琴「まずはアイツを探さないとね」

美琴「とりあえず、何時もの公園に行ってみるか」タッタッタ


例の自販機のある公園――


美琴「いないわね、此処じゃないのかしら?」キョロキョロ

佐天「御坂さーん!」タッタッタ

美琴「あら、佐天さんじゃない」

佐天「どうしたんですか? 何か探してるみたいですけど」

美琴「えーっとね、人を探してるの」

佐天「風紀委員のお手伝いですか?」

美琴「違う違う、個人的なことだから」

佐天「そうなんですか。あたし暇ですから一緒にさがしますよ」

美琴「ええっ!? だ、大丈夫よ、そんな大した用事でもないし……」ゴニョゴニョ

佐天「……」キュピーン

佐天「はっはーん」ニヤニヤ

美琴「な、なに佐天さん?」

佐天「御坂さんが探してるのって男の人でしょ」ニヤニヤ

美琴「……はぁ、正解よ」

佐天「え? 御坂さんが素直? まさか偽者!?」ガクガク

美琴「何言ってるの、私は本物よ」ヤレヤレ

美琴「素直になるって決めたの」

佐天「なにがはじまるんです?」コンラン


事情を説明中


佐天「なるほど! 上条さんに告白するんですね!!」ダイコーフン

美琴「そ、そうだけど」

佐天「何て告白するか決めてるんですか?」

美琴「…決めてない」ズーン

佐天「それは不味いですね」

美琴「ぶっつけ本番はやっぱり不味いかしら?」オロオロ

佐天「そりゃそうですよ」

美琴「でもどうすれば…」オロオロ

佐天「はいはい! あたしに良い作戦があります!」キラキラ

美琴「えー」フアン

美琴「まあ聞くだけ聞いてみようかな」

作戦説明中


美琴「そっ、そそそんなことッ、ほほ本当にするの!?」マッカ

佐天「当然です」

美琴「でっでもでも、いきなりしちゃったら嫌われない…?」オズオズ

佐天「大丈夫ですって。御坂さんにされて嫌がる人なんていませんよ」

美琴「本当に大丈夫かな。何かおかしい気がするんだけど」

佐天「任せて下さい! 行動派の御坂さんにピッタリな作戦ですって」

佐天「いくら上条さんが鈍感でも、絶対伝わりますよ!」

美琴「そうよね、……言葉より行動よ!」

美琴「ありがとう! 上手くいったらすぐに教えるから!!」タッタッタ

佐天「頑張って、御坂さん!!」ブンブン

夕暮れの河川敷――


上条「~~~~~♪」ハナウタ

美琴「見つけた! おーい!」タッタッタ

上条「~~~~♪」ウタウ

美琴「ちょろっとー」

上条「~~~~~♪」ハナウタ

美琴「このっ、スルーしてんじゃな…」ハッ

美琴(いけない! ここでビリビリしちゃいつもの繰り返しだ)

美琴(黒子たちが応援してくれたんだもの。冷静にいかないとね)

美琴(ここは佐天さんの作戦通りにいくしかない!)

美琴「それっ!」ダキツク

上条「うおあっ、だ、誰だ!!??」チラリ

上条「みみ御坂さん!? とうして抱きついてるんでせう!?」

美琴「(恥ずかしいぃぃぃ)えーっとね、大切な用事があるんだけど今いいかな?///」ウワメ

上条「わわわ分かったからそんな目でみないで! あと離してくれぇぇぇ!!」ヤワラケエ

美琴「うん///」ドキドキ

美琴(作戦の第一段階はクリア! 流石佐天さんね)

上条「それで用事ってなんだ?」

美琴「えっと、その、アンタに聞きたいことがあるんだけど」

上条「え? 勝負とかじゃないのか?」

美琴「そんなんじゃ……って、そうよね、普段からアンタに迷惑かけてるもんね」

美琴「ごめん。でも今日は…」ペコ

上条「いいって! 変に疑って悪かった。だから頭下げなくていいから」オロオロ

美琴「うん、ありがと」

上条「ロシアの時は世話になったからな。何でも聞いてくれ」キリッ

美琴「う、うん///」ドキッ

美琴(緊張するぅぅぅ!! でもやるしかない、一気に畳み掛けるわよ!)

美琴「アンタ今、恋人いる?」ドキドキ

上条「はあ? そんなのいる分けねえだろ」

美琴「本当!?」ドキドキ

上条「嘘吐いてどうすんだよ。不幸な上条さんに彼女なんてできるはずがねえ」

上条「……自分で言ってて悲しくなるなぁ。あれ? 目から汗が」ホロリ

美琴「彼女欲しいの?」ドキドキ

上条「欲しいにきまってんだろ。俺だって健全な男子高校生だからな」

美琴「欲しいなら///」ドッキンドッキン

上条「どうした?」

美琴「そんなに欲しいならあげるから///」マッカ

美琴「しっかり受け取れやコラァァァァァァァァァァーーーッ!!!!!」ガバッ

上条「なっ、ンン!!!???」chu

美琴「んっ///」chuuu

美琴(きききききキスぅぅ!! あああアイツとキスっ、幸せすぎておかしくなるぅ///)ビリビリバチバチ

上条美琴「んんーーーーーーーーーーーっ!!??」ピシャーーーーン

上条美琴「…………」プスプスプス

美琴「……」グッタリ

上条「……」グッタリ

美琴「…うぅ、痛ってー、何なんだよ何が起きた…」ヨロヨロ

美琴「確か御坂にいきなりキスされて/// ッ!? そうだ御坂は!?」キョロキョロ

上条「……」グッタリ

美琴「」ボーゼン

美琴「俺が…いる?」

美琴「とっとにかく介抱しないと」アセアセ

美琴「おいっ! 大丈夫か?」ユサユサ

上条「……大丈夫だ。問題ない」ムクリ

美琴「良かった、気がついたか」

上条「……良かった? そうだな、まさに僥倖だ」ボー

美琴「早速で悪いけど、お前誰だ?」

上条「…………あれ?」キョロキョロ

美琴「おい、どうした?」

上条「ん? あんたは……シスターズか」

美琴「違う。お前こそ誰なんだ?」

上条「私は御坂美琴だけど」

美琴「」ジブンノカラダミル

上条「どういうこと?」

美琴「」ユビサス

上条「私? 私がどうかし……た」ジブンノカラダミル

上条「なに……これ……」ガクガク

上条「もしかしてアンタ…」ハッ

美琴「…上条当麻だ」ガクガク

上条美琴「……」ブルブル

上条美琴「なんじゃこりゃああああああああああああああーーーっ!!!???」

美琴「まずは落ち着こう」スーハー

上条「これが落ち着いてられるかっ!」コンラン

上条「アンタは何でそんなに冷静なのよ!」

美琴「異常事態には慣れてるからな…慣れたくなかったけど」シクシク

上条「慣れるって、どんだけ愉快な人生送ってんのよ」ウワー

美琴「言わないで!? 鬱になるから!」フルフル

上条「分かったから、状況確認からね」

美琴「…納得いかねえ。それと俺の姿でその喋りかたはキモイぞ」ハア

上条「私とアンタの体が入れ替わったのよね」

美琴「スルーされた!?」ガーン

上条「はいはい、次は能力ね」

美琴「ん? 幻想殺しがあるのに入れ替わってる?」

上条「幻想殺し? …異能の力なら神の奇跡さえ打ち消す能力…ね」

美琴「!?」

上条「効果範囲は右手のみ……ふーん」ニギニギ

美琴「なんで知ってんだよ!?」

上条「なんかね、知りたいって思ったら頭に浮かんできたのよ」

美琴「マジかよ!? つーことは…」ビリビリ

美琴「うおっ! すげー帯電してる!」ビリビリ

上条「落ち着きなさい」パキーン

美琴「あれ? ビリビリできない……もしかして幻想殺し?」

上条「ええ、どうやら知識と手続記憶は体が覚えてるみたいね」

美琴「でもどーするよ。幻想殺しで触れて戻らないってことは」

上条「入れ替わりは通常の法則で起きたんでしょ」

美琴「原因を見つけねーと…」

美琴「不味いな、これからどう…なにしてるんでせう?」

上条「アンタの体凄いわね! 体中から力が漲ってくる!!」シュッシュッ

上条「肉体強化の能力者もびっくりな身体能力じゃない!」ピョーン

美琴「……上条さんは何時の間に神裂みたいなトンデモ人間になっちまったんだ?」ガクガク

上条「これだけの能力なら一方通行に勝てたのも納得だわ」ブオーン

美琴「違うからね!? 幻想殺し以外は一般人だから上条さんは!」ギャース

上条「アンタ何も考えずに体を振り回してるんじゃない?」

美琴「???」

上条「だから、論理的に動かせば凄いポテンシャルが引き出せるってこと」ピョーーーーン

上条「異常なまでの頑丈さも体の動きに耐えるためにあるんじゃないの?」ドスン

美琴「……ありえねぇ」

上条「少しは頭使いなさいよ」ヤレヤレ

美琴「中学生に馬鹿にされた……」ガクリ

上条「今はアンタが中学生じゃない」

美琴「うだー! 遊んでる場合じゃねえだろうが!」

???「おーい、カミやーん!」

上条「ん?」

美琴「あれは…」

上条「土御門さんであってる?」

美琴「ああ」

上条「……入れ替わったことは秘密ね」

美琴「なんで?」

上条「アンタは学園都市の暗部に狙われてる。ロシアの時に教えたでしょ」

美琴「そうだったな。隙を見せるなってことか」

上条「誰も巻き込みたくないしね」

美琴「分かった。迂闊なことはしない」

上条「お願いね……」




土御門「カミやん呼んでるのに無視とか酷いにゃー」タッタッタ

上条「すまん、話に夢中で気づかなかったんだ」

土御門「まあいいぜよ。そっちは常盤台の超電磁砲かにゃー?」

美琴「は、はい。か…御坂美琴です」アタフタ

土御門「オレは土御門元春、よろしくにゃー」

上条「それより慌ててたけど、どうしたんだ?」

土御門「そうだった、急で悪いがカミやんと禁書目録にはイギリスに行ってもらうぜい」

美琴「!!! 何で!?」

土御門「部外者には話せないにゃー」

上条「…イギリス?」

土御門「おーっと時間がない。カミやん詳しい話は移動中にするにゃー」ガシッ

上条「え?え?」オロオロ

美琴「ま、待て!」

上条「ちゃんと説明し…」

土御門「悪いにゃー。ちょっとカミやんは借りてくぜよ」シュー

上条「」パタリ

美琴「なにしてんだよ!?」

土御門「大丈夫、ただの催眠スプレーだにゃー」ブロロロロ

土御門「迎えの車も来たし、失礼するぜい」ガチャ

美琴「待てよ! そいつはッ」ブロロロ

美琴「くそっ! 車が行っちまう……そうだ!」ビリビリ

美琴「行かせるかぁぁぁぁーーーッ」バチバチ

黒子「駄目ですの!!」シュン

美琴「!?」

美琴「…行っちまった」ガクリ

黒子「お姉様! こんな所で雷撃の槍を使うなんて、どういうつもりですの!!」プンスカ

黒子「常盤台のエースとしての自覚をもっと」クドクド

美琴(御坂を巻き込んじまった……どうしよう)

黒子「聞いてますの!?」ガシッ

美琴「! ……な、何だ?」ビクッ

黒子「上条さんに告白しに出かけたはずでしたのに」プンプン

美琴「告白? 誰が?」

黒子「お姉様に決まってますの!」

美琴「マジか!?」ガビーン

黒子「マジですの」

美琴(だからあんなこと聞いてきたのか……)

黒子「お姉様、さっきから変ですの」

黒子「今日は寮にお戻りになって休んで下さい」

黒子「黒子は心配でたまりませんの…」スン

美琴(不安だらけだが、土御門たちもいるし知識も問題ない)

美琴(御坂が危険な目に……あっても大丈夫だな。……神裂みたいだったし)ガクガク

美琴(これからのこと考えねーとな、なにより)

美琴(こいつに心配かけるのは違うよな)

美琴「分かった。心配かけてごめんな」ナデナデ

黒子「理解していただければ構いませんの///」ドキドキ

常盤台学生寮――


黒子「到着ですの」シュン

美琴「テレポート凄いな! あっという間に着いたぞ」ワクワク

黒子「?? 何を仰ってるんですの。いつものことですのに」

美琴「そそそーだな。疲れてるのかもな。あはは」タラリ

黒子「いけませんわ! 早くお休みになりませんと」

美琴「そうだな。部屋に行くかーって、うわあああ!!」ステーン!

黒子「お姉様!?」ギョ

美琴「痛ッ、なんでこんなとこに空き缶があんだよ…ん?」シセン?

寮生達「……」ポカーン

黒子「……」ボーゼン

美琴「……」

美琴「あは、あはははは…失礼しましたぁぁぁーーーっ!!」ダダダダ

黒子「……ハッ!?」キョロキョロ

黒子「」イナイ

黒子「お姉様ぁぁぁーーー!!」ダダダダ

常盤台学生寮 自室――


黒子「お、お姉様? 本当に大丈夫ですの?」オズオズ

美琴「あはは…」ボロボロ

美琴(部屋につくまでに転ぶこと三回、晩飯は美味かったけど、いつも通り不幸だ)アレ?

美琴(まてよ。今は幻想殺しが無いから幸運は打ち消されないはずだ)

美琴(なのに不幸が止まらない。御坂も不幸体質なのか?)ゲコッゲコッゲコ

美琴(電話か、誰だ? 当麻…って俺!? いや御坂からか!)

美琴「ちょっとトイレ行ってくる!」タッタッタ

黒子「はい?」ポカーン

あー面倒だけど仕事にもどります。続きは夜中にでも投下したいなあ
世界に足りないものは変態成分だと思うんだよ

真夜中になりましたが投下します

美琴「もしもし御坂か!」pi

上条『当たり前じゃない、アンタの携帯からかけてんだから』

美琴「お前無事だったのか。土御門に拉致られた時はマジで焦ったぞ」

上条『いやー、気がついたらロンドンに着いてたからね。私もビビったわ』

美琴「もうロンドン!? あれから二時間位しかたってないのに!?」

上条『超音速旅客機っていうの? なんか一時間ちょいでついたみたいよ』

美琴「あれか……お前運がいいなぁ。トラウマになる乗り心地だった」アレ?

上条『インデックスが潰れちゃってるけどね』

美琴「インデックス……他は誰がいる?」

上条『神裂さんとステイルの二人ね。今ちょっと離れてるけど』

美琴「神裂たちがいるなら安心だ。不安に思うことないからな」

上条『はあ? なんで不安? 面白そうじゃない!』

美琴「……何が?」ピク

上条『聞いてよ! 私たち遺跡調査に同行するの! 遺跡調査よ! これは冒険の予感がするわ』

美琴「」カタカタ

上条『心配しなくても大丈夫だってば。インデックスは護るし。遺跡の謎も解き明かしてみせるわ!』

美琴「」ガクガク

上条『とある冒険家の幻想殺し、みたいな小説が書けるくらい満喫するから』

美琴(駄目だこいつ……早くなんとかしないと…)プルプル

上条『アンタ聞いてんの?』

美琴「へ? ああっ聞いてるさ」ビクッ

上条『アンタも確りしてよ。冬休みだから学校はないけど、友達付き合いがあるから』

美琴「友達……白井、佐天に初春の三人か」

上条『面倒くさがらずに優しく接すること』

上条『あと黒子を邪険にしないこと。スキンシップも少しくらい認めること』

美琴「ぜ、善処します」

上条『駄目政治家みたいなこと言うな、この馬鹿!』

美琴「だって俺、女の子と遊んだ経験とか殆どないんだぞ!?」

美琴「スキンシップなんて……上条さんは男なんだよ! 狼なんだよ!」

上条『平気だって。そうねぇ、アンタ今すぐエロいこと想像しなさい』

美琴「ぶーーーーーーーーッ!!!」

上条『ちょっと! 私の携帯汚さないでよ』

美琴「なに言っちゃってんですか御坂さん! 変態だ変態だよ変態なんです三段活用!」

美琴「くそっ、どうしてこうなった!?」ダイコンラン

上条『落ち着きなさい』

美琴「落ち着けるかあああああああ!!!」

上条『煩いっつーの。もう結論から言うわ』

上条『アンタは女の子に劣情を催さない』

美琴「」ピタ

上条『精神が肉体との整合性をとろうとしてる』

上条『今アンタは女の子なのよ。だから同性に反応しない。本当よ』

上条『嘘だってんなんら試してみたら?』

美琴「…………………………………………………………………………嘘だ」プルプル

上条『ほ~らね。私の推察通りじゃない』

美琴「嘘だぁぁぁぁぁああああああああああああああ!!!」

上条『知ってる? 私は上条当麻に心底惚れてんのよ。他の男なんか眼中にないほど』

上条『だからね、上条当麻にしか反応しないはずよ。あっははははは』

美琴「自分に欲情!? セルフファッカー!? なにそれ!? なにそれぇぇぇぇ!!」

上条『理解したかしら? 黒子たちの安全は約束されてるの』

美琴「悪魔めぇぇぇぇぇぇぇえええええええ!!!」

上条『怒らない♪ 怒らない♪』

美琴「帰ったら覚えとけ! 久々にキレちまった」

上条『毎日お風呂に入るのよ。清潔にしないと許さないからね』

美琴「またスルーしやがったな!」

美琴「いいぜぇ。お前の体、どうなっても知らねーからなっ!」

上条『……』

美琴「あ~んなことや、こ~んなこと試してやる!」

上条『……』

美琴「フフン、怖くなったのかぁ」

上条『……』

美琴「まあ上条さんも鬼じゃねえ。御坂が謝るなら……」

上条『いいぜ』

美琴「!?」ドキ

上条『アンタにそんな酷いことができると本気で思っているのなら』

上条『まずは、その幻想をぶち壊す!!』

美琴「――ッ!?」ドキドキ

上条『ねえ、どんな感じ?』

上条『自分のアイデンティティを他でもない、アンタ自身から叩きつけられた感想は?』

美琴「ち、違う! お前は御坂だ! 俺じゃ……ない」ドキドキ

上条『どうかしら。私があんなこと言われたらどうなるか……分かるでしょ?』

美琴「分からねえ! わっかんねえよ!!」ドキドキ

上条『嘘ね』

美琴「嘘じゃねえよ! なあ、一体どうしちまったんだ? お前ちょっとおかしいぞ!」

上条『あははっ、さっき教えたじゃない。精神が肉体に適応してるって』

上条『だから今、アンタがどんな状態か手に取るように分かっちゃうのよ』

美琴「それは…っ!? ならお前はどうなんだよ!?」アセアセ

上条『どうって?』

美琴「お前だって上条当麻の体に適応しはじめてんだろっ!?」

上条『お前だって? 認めるんだぁ』

美琴「はぐらかすんじゃねえ!!」

上条『怒んないでよ。私にも影響出てるわ』

美琴「なら何でこんな、俺を惑わすこと言うんだよ」

美琴「俺と似た考え方するなら、協力して問題を解決しようとするハズだろ!?」

上条『そうね、確かにそんな気持ちもあるわ』

美琴「!……それじゃあ」パアー

上条『あるけど微々たるもんよ?』

美琴「え?」

上条『フフ、これはチャンスなのよ』

美琴「御坂?」

上条『今の状況をうまく利用すれば、私の願いが叶う……』

美琴「……願い?」

上条『先に謝っとくわ。これからアンタをいっぱい傷つけるから』

上条『でもアンタも悪いのよ? アンタが八方美人なせいで私だって傷ついてたんだからさ』

美琴「お、俺はただ…」オロオロ

上条『だからもう遠慮しない! 躊躇も! モラルなんか知ったことか!!』

美琴「ッ!?」ビクッ

上条『宣言するわ。上条当麻を私のものにする』

上条『戻ったらたっぷり可愛がってやるからな』

上条『楽しみに待ってろ 美 琴 』ガチャ

美琴「///」ポケー

美琴「…………ッ!?」

美琴「な、なんで///」フルフル

美琴「…そんな分けない///」フルフル

美琴「俺が上条当麻でアイツが御坂美琴だ///」ガクガク

美琴「ありえない…こんなのおかしい///」ブルブル

美琴「……さっき確かに私はッ!?」ポー

美琴「違う!! 俺は俺だ!!」ブンブン

美琴「御坂の様子も変だったし……どうなってんだよ」

美琴「もう寝よう。本当におかしくなっちまう…」フラフラ

美琴「……」フラフラ

黒子「あ、あの、お姉様」

黒子「随分大きな声で話されてましたけど…」オズオズ

美琴「……あー、うるさかったか…ごめんな」

黒子「違いますの!」

美琴「へ?」

黒子「無作法は承知で伺います」

黒子「告白は……うまくいきましたの?」

美琴「!?」

美琴(そうだった。御坂に告白されたんだった)

美琴(異常な状況だったから何も考えてねえ)

美琴(俺は御坂のこと、どう思ってんだ?)ウーン

美琴(いっつもツンツンしてて負けず嫌いで、一人で背負い込む悪癖がある年下の女の子。あの実験のッ!!??)ズキッ

  (――絶望の底から救い出してくれた私のヒーロー――)

  (――夏の日に聞いた、あの力強い約束の言葉――)

  (――大切な後輩を命懸けで助けてくれた、あの頼もしい背中――)

  (――ボロボロに傷ついても、記憶を失っても揺るがない強固な信念――)

  (――自分だけの現実を根底から揺るがせるほど大切で、大好きなひと――)

  (――安心以上に不安、焦燥、嫉妬、悲しみを私にくれる酷いひと――)

美琴「……」ボー

美琴「うまくいったわ。とーぜんでしょ」キッパリ

黒子「そう…ですか」ウツムク

黒子「おめでとうございます、お姉様」ニコ

美琴「ありがとーね、黒子」

黒子「初春と佐天さんにも知らせなくてはいけませんわね」メルメル

美琴「そ、そうね」

黒子「明日は三人で根掘り葉掘り聞くので、お覚悟あそばせ」ニタア

美琴「…お手柔らかに頼むわ」

美琴「疲れたから、もう寝るね」トコトコ

黒子「はい、お休みなさいませ」

美琴「おやすみー」ゴソゴソ

美琴「……」

美琴「……ハッ!?」ビクッ

美琴(何だ! 何が起こった! 何て言った!?)

美琴(告白が成功したって、上条当麻が御坂美琴を受け入れたって)

美琴(確かに言った……はっきり迷い無く)

美琴(けどそれは結果だ。問題はその前、俺が御坂をどう想ってるか考えてた時だ)

美琴(途中までは何ともなかった)

美琴(でも絶対能力進化を、あの鉄橋で御坂の絶望をぶち壊す覚悟を決めた時の感情)

美琴(それを思い出してたら……流れ込んできやがった)

美琴(御坂の上条当麻を想う馬鹿デカい感情が……)

美琴(白井と無自覚に話してたのは、処理しきれない感情が暴走したからか?)ウーン

美琴(駄目だ。御坂みたいに分析できねえ)ガクリ

美琴(分かってんのは俺と御坂の想いが完全に混ざっちまったことか……もう好きってレベルじゃねーな///)テレテレ

美琴(御坂の俺も悪いって言葉、理解できるなあ。期待させるだけさせて放置とか、サド野郎が)イライラ

美琴(……御坂に謝ろう。まずはそこから始めるんだ)

美琴(許してくれっかなー、にしてもさ)

美琴(こんな卵が先か鶏が先かみたいな恋愛とか……)

美琴(マジでついてねーよ)

美琴(御坂と普通の恋愛してーのに……困ったな)ウトウト














美琴(もう……アイツに逆らえる気がしない)スヤスヤ

ふう、ここまででプロローグは終了ですな
やっぱ言葉責めとかいいよね!? ゲシュタルト崩壊とか……あはは
週二回くらいこん位の量を投下できるといいなあ

おお!? 期待されてる…だと? ありがてーですな
ちょっと投下して明日に備えよう

学園都市第七学区 窓のないビル――


土御門「こんな朝早くに何の用だ」

アレイ☆「君に一仕事頼みたい」

土御門「こちらに拒否権は無い。さっさと話せ」

アレイ☆「分かった。簡潔に伝えよう」

アレイ☆「超電磁砲の身柄の確保、手段は君に一任する」

土御門「どういうつもりだ!?」

アレイ☆「プランに致命的な狂いが生じた。それを修正する為の措置だ」

土御門「そんなことをすれば、上条当麻が黙ってないぞ」

土御門「上条当麻と超電磁砲を慕ってる連中も同じハズだ」

土御門「どれ程の混乱が起きるか予測できんぞ!」

アレイ☆「そのような些事、今はどうでもいい」

土御門「なっ!?」

アレイ☆「早急に幻想殺しを奪還する必要がある。その為の超電磁砲だ」

土御門「上条当麻なら一週間以内に帰還する。そう決めていただろう!」

土御門「余計なことをする必要は無い!」

アレイ☆「上条当麻は学園都市にいる」

土御門「は?」

アレイ☆「幻想殺しは既に上条当麻の手を離れているのだよ」

アレイ☆「あれは世界を揺るがすほどに危険な存在だ。だから手綱が必要になる」

アレイ☆「その役目は超電磁砲以外には務まらない」

土御門「な、何を言っている?」

アレイ☆「君がこれ以上知る必要はない」

アレイ☆「君にできないなら他を差し向けるだけだ」

暗部組織『グループ』偽装車両内――


海原「クソっ! 何故御坂さんを!」

結標「確かに妙ね……理事長は何考えてるのかしら」

土御門「オレにもさっぱり分からん」

土御門「上条当麻は間違いなくイギリスにいる」

土御門「だがアレイスターは学園都市にいると言った」

土御門「つまり今、上条当麻が二人いることになる。……アステカは」

海原「それはないでしょう。リスクばかりでリターンが見込めません」

土御門「こちらも同じだ」

土御門「実質のトップを失ったローマと戦後処理に忙しいロシアも同様だろう」

結標「統括理事会のマッチポンプの可能性は?」

土御門「あり得んな。アレイスターは本気で超電磁砲を捕らえるつもりだ」

土御門「焦ってるようだったしな」

結標「あのクソッタレが? いい気味じゃない」

海原「いい気味じゃないですよ!? こうなったら自分が御坂さんを…」

土御門「焦るな。お前の妹はどうする?」

海原「ショチトルは妹では……すみません、少し熱くなりすぎました」

土御門「一方通行を欠いて戦力が低下してるんだ。無茶はできん」

結標「そうね。まったくどこにいるのやら」

海原「そう簡単に彼が死ぬとは思えません。アレイスターに反抗する機を窺っているのでは?」

土御門「……さあな。とにかく鍵は超電磁砲が握ってる」

土御門「上条当麻がイギリスに発つ直前に会っていたし、オレたちに無い情報をもっている可能性が高い」

海原「自分らが接触するわけにはいきませんよ?」

結標「あの恐い電撃女には近づきたくないわ」

土御門「安心しろ。助っ人を手配してある」

海原「助っ人……ですか」

土御門「超電磁砲と同じ女子中学生だ。大能力者だから戦力も申し分ない」

土御門「そいつを護衛も兼ねて超電磁砲に接触させる。グループとは無関係にな」

結標「信用できるの?」

土御門「ああ、成功報酬だからな。必死にやってくれるさ」

土御門「連絡事項は以上だ。歯がゆいだろうが自重してくれよ」

海原「ええ……」

常盤台学生寮 自室――



美琴「……んあ?」パチ

美琴「……」キョロキョロ

美琴「やっぱ夢でしたってわけねーよな」ハア

美琴「んーっと、時間は…朝飯まで結構あるな」ノビー

美琴「よし! 風呂に入ろう。昨日はそれどころじゃなかったし」

黒子「…おねえさま」ボソ

美琴「あ、ごめん。起こしちまっ…ん?」

黒子「」スースー

美琴「何だ寝言かよ」フフッ

黒子「ぐふふ、お姉様の純潔はわたくしのものですの。類人猿なんかに……」ジュルリ

美琴「……御坂も大変だな。さっさと風呂に行こう」トコトコ

常盤台学生寮 大浴場――


美琴「おー! すげー広い! 流石お嬢様学校、モノが違うぜ」カポーン

美琴「先ずは体を洗って……オイマテ」ゴシゴシ

美琴「何気に脱いで、何気に女子風呂入って御坂の体洗ってる……なのに」プルプル

美琴「何も反応しねえ。そもそもナニがねえ」ガクリ

美琴「なんつー喪失感だよ……イギリスに出張中の上条さんの息子は…///」マッカ

美琴「///」フルフル

美琴「……自分のナニを思い出して興奮する日がくるなんて///」ドキドキ

美琴「御坂の言った通りだ。ハハ、セルフファッカー一直線ですかぁ///」モジモジ

美琴「とか言ってるうちに、慎ましい胸の先っちょがおっきしてる!?///」ピクン

美琴「くっそ、どうすりゃ落ち着くんだ!? 抜けばいいのか!?」アタフタ

美琴「でも倫理的に不味い気がする……ッええい!!」ダイコンラン

美琴「間違ってるのは俺じゃないッ、御坂のエロボディのほうだ!!」キリッ

美琴「いざ!無毛の割れ目に///……」ソー

寮生A「誰か入ってるんですか?」カラカラ

美琴「!!!???」ギクッ

寮生A「御坂様?」テクテク

美琴「」ガタガタ

寮生A「こんな早くにいらっしゃるなんて驚きましたわ」トナリスワル

美琴「そそそそうか!?」ビクビク

寮生A「ええ。いつもは朝食の少し前くらいだったと記憶していますわ」

美琴「い、いやー今日は早く目が覚めちゃってね」

寮生A「そうでしたか」

美琴「あはは、朝風呂はキモチイイナー」カタカタ

寮生A「うふふ、そうですね」

美琴「……ナンカノボセテキチャッター」カタカタ

寮生A「え?」

美琴「オレモウアガルネ」ピューーーー

寮生A「??」オレ?

常盤台学生寮 庭――


美琴「ハアハア……」

美琴「あっぶねー。おっぱじめる前で助かった~」ダラダラ

美琴「朝っぱらから何やってんだよ俺は……いや昼も夜も駄目だろ」ブンブン

美琴「御坂痴女疑惑なんて笑えねーからな」

美琴「まあ慌ててる間に妙な興奮も収まってるし結果オーライ?」

美琴「もっと自重しねーと……女体の神秘は上条さんには荷が勝ちすぎてます」ハア

美琴「……でも俺は御坂の信じる上条当麻(ヒーロー)じゃねえか」

美琴「こんな情けないことしてる場合かよ……」

美琴「何か泣きたくなったけど、気のせいだよな! うん」

美琴「あー、御坂に会いてーなぁ……」ポケー

美琴「早く謝りたいけど向こうは真夜中だしな……」ゲコッゲコッゲコ

美琴「……もしもし」pi

上条『おーっす。元気してる?』

美琴「え、御坂?」ドキッ

上条『そうだけど。アンタ寝てたの?』

美琴「ち、違っ…」アタフタ

上条『規則正しく生活すんのよ? まったく』

美琴「早寝早起きしてるよ!」

上条『ん、よろしい』

美琴「くそ、子供扱いすんな!」プンスカ

上条『あはは……少しは元気でた?』

美琴「へ?」

上条『今朝、いやそっちは昨日か』

上条『これでもか!ってくらい、アンタを追い詰めちゃったじゃない』

上条『今更だけど心配になってさ……ごめんね』

美琴「……」ジワ

美琴「……ごめんなさい」グスッ

上条『ど、どうしたの!?』

美琴「お、俺のほ、ほうがッ、悪いのッ、に」ヒックヒック

美琴「ごめッ、ごめんなさいぃ……」ポロポロ

上条『アンタ、泣いてるの?』

美琴「な、泣いてないッ」ポロポロ

上条『強がっちゃって、可愛いなぁ~もう』

美琴「ううううううううっ///」グスグス

上条『今はちゃんと私のこと想ってくれてる?』

美琴「うん……俺が泣いたんじゃねえよ。御坂ボディが泣いたんだ」スンスン

上条『はいはい』

美琴「……御坂、本当にごめん」

上条『だからもういいってば。お互い様じゃない』

美琴「でも、お前が割に合わないじゃねーか」

美琴「だから俺に挽回のチャンスをくれよ」

上条『確かにそうね。私の乙女心を散々踏みにじってくれたしねぇ……例えば』

上条『携帯のペア契約なんてあからさまなアプローチを無視したり』

美琴「ぐっ」

上条『あまつさえ妹にプレゼントをやる始末だし』

美琴「むぐぐ…」

上条『お前なに勘違いしてんの?って言われたみたいで悲しかったなぁ~』

美琴「すみませんっしたぁぁぁぁ!!」ドゲザ

上条『それじゃあ誠意をみせてもらおうかしら』

美琴「ど、どうすればいいんでせう?」ビクビク

上条『今朝から気になってたんだけど、アンタ男言葉で生活してない?』

美琴「そうだけど、不味かったか?」

上条『不味いに決まってんでしょうが! 一応お嬢様なのよ!』

美琴「で、でも…」オロオロ

上条『言い訳しない! いいわ、アンタ女言葉で生活しなさい』

美琴「待って! それは無理だって!」イヤイヤ

上条『はあ!?』

美琴「思考が女になってんだぞ! 行動まで女っぽくしたら戻れなくなっちまう!?」アセアセ

上条『…ちっ』

美琴「舌打ち!? 何で舌打ちすんの!?」ガーン

上条『じゃあ難易度を下げるか』

美琴「本当!? ありがとうございます御坂様! 犯罪以外なら頑張ります!」

上条『男言葉で話していいけど、私を名前で呼んで』

美琴「えっと、美琴?」オズオズ

上条『違うわ。私は今、上条当麻よ』

美琴「じゃあ、と、当麻?」

上条『いいぜ。俺もお前のこと美琴って呼ぶからな』

美琴「まあ、この程度ならなんとか……ってなにその口調?」

上条『あのなあ、入れ替わったことは内緒だろうが』

上条『なのに俺が女言葉で話してたら周りはどう思う?』

美琴「……気が狂ったのかと」ガクガク

上条『分かってんじゃねーか。だからイギリスに来てからずっとこんな感じだ』

美琴「……凄い適応力ですね御坂さん」

上条『こんくらい当然だろ? あと当麻!』

美琴「自分の名前呼ぶって変な感じなんですけど……」ウーン

上条『それが嫌なら女こ…』

美琴「やだなー当麻さん! 冗談ですことよ!?」アセアセ

上条『ったく、あとは美琴が男言葉で話す理由か』

美琴「……別に理由なんていらねえだろ。本物もがさつだし」ボソ

上条『ああん!?』

美琴「ひっ!?」ビクッ

美琴(ガラ悪っ! こんなの上条さんじゃねーよ)

上条『一々茶々いれんのは美琴の悪い癖だな』

美琴(もっと優しくできねーのかよ)

上条『あー理由だけどな、適当でいいから』

美琴「投げやりだー」

上条『美琴は超能力者だからな。能力開発の一環ってことで済まされるだろ』

美琴「さっきと言ってること違うんじゃ……」アレ?

上条『佐天さんと初春さんはそんな細かいことをとやかく言わないと思うし』

美琴「またスルー!?」ガーン

上条『黒子は口煩いけど……すぐ慣れるさ』

美琴「そんな適当でいいんかよ。元に戻ったとき困るのはお前だぞ?」

上条『別に構わねーよ。…………戻らねーし…』

美琴「何だ? よく聞こえない」

上条『それより美琴に言いたいことがあるんだけど、いいか?』

美琴「なんだよ改まって」

上条『俺はお前が好きだ』

美琴「……好き……って、ええええええええ!?///」マッカッカ

上条『結局ちゃんと告白できてなかったからな。きっちりしたかったんだ』

美琴「そそそ、その、おお俺もッ///」

美琴「すすす好ッ――!? ――――ッ!?」ガチン!

上条『美琴、落ち着け』

美琴「……ひたひ」カンダ…

上条『返事は俺が学園都市に帰ってからでいいよ』

美琴「ふえ? れ、れも…」オロオロ

上条『答えなんて分かりきってるしな』

美琴「にゃ、にゃにゃに///」プルプル

上条『明日も朝早いし寝ますかね。おやすみ美琴』pi

美琴「///」テレテレ

以上です。幕間と上条さん編の二日目の三分の一を消化
今月は暇だって聞いてたのにいいいいいい!! 書く時間ホスィ……

今日と明日! 二日も休みを勝ち取ったぜ! 貪るように満喫せねば
まずは寝る前の投下ですたい

美琴「///」ポー

美琴「……好き、か///」ポケー

美琴「知ってたけど……うれしいなぁ///」ギュ

美琴「なんて返事すればいいんだろ///」フルフル

美琴「恋愛経験なんてねーし、変なこと言っちまいそうだ♪」

美琴「あはは、調子がいいな俺」

美琴「ちょっとアイツに優しくされただけなのに、不安なんか吹っ飛んじまった」

美琴「困ってたら颯爽と助けてくれるなんて…」

美琴「……アイツ、ヒーローみたいだ///」

黒子「お姉様ぁぁぁーーっ!」シュン!ガバッ

美琴「な、何だ!?」ビクッ

黒子「グヘヘ、最っ高の抱き心地ですの!」スリスリ

美琴「黒子!? はっ離れッ…」

美琴(そうだ。スキンシップとれって、アイツが言ってたっけ)

黒子「離しませんわ! まだまだお姉様分が足りませんの」ギューー

美琴「……ったく、少しだけだぞ」ギュ

黒子「え?」ピタ

美琴「ん? どうした?」

黒子「それはこっちの台詞ですの。いつもなら電撃がくるはずですのに……」

美琴「電撃って……そんなことしねーよ」

黒子「……マジですの?」ジュルリ

美琴「うん、マジですの」

黒子「ふ…ふふふふふふふふふふふふふうふ」ギラギラ

美琴「く、黒子さん?」カタカタ

黒子「言質はとりましたのおおおおォォォォォーーーーッ!!!」ガバチョ

美琴「ひっ!?」

たっぷり三十分後――


黒子「ふぅ…」ツヤツヤ

美琴「……酷い目にあった」ヨロヨロ

黒子「堪能しましたわ~」

美琴「もうやんねーからな!」

黒子「あらあら、そんなこと仰るなら…」ワキワキ

美琴「や、やだ…」アトズサル

黒子「」ゾクゾク

美琴「く、黒子?」

黒子「ハッ! もう少しで新たな嗜好に目覚めるとこでしたの」オシイ

美琴「こんなに変態だったなんて……不幸だ」ガクリ

黒子「少しばかり、ねちっこく抱きついただけですのに大袈裟ですわ」

美琴「あれの何処が少しなんだよ!」

黒子「あの程度で騒ぐようでは上条さんを満足させられないかも、ですわ」ヤレヤレ

美琴「あ、ああアイツを満足って、そんなの///」テレテレ

黒子「冗談ですの」シレ

美琴「!? 何なんですかぁ! 御坂さんをいじめてそんなに楽しいんですかぁ!?」

黒子「そろそろ待ち合わせの時間ですの」

美琴「え? お前もスルーするの!?」

黒子「初春たちを待たせないよう急ぎましょう、お姉様」

ファミレス Joseph's――


初春「白井さんたち遅いですね」

佐天「そうだねー。なんかあったのかな」ウーン

初春「それなら連絡が…」

黒子「お待たせして申し訳ありませんの」トコトコ

初春「あ! 白井さん遅いですよ」

佐天「……あの、なんで御坂さんそんなにボロボロなんですか?」チラリ

美琴「あはは…」ボロボロ

初春「うわっ、コート破けてますよ!」

美琴「ちょっと不幸なことが…」

黒子「道端で転倒すること三回、スキルアウトに絡まれること二回、極めつけに…」タンタン

美琴「ぎゃああああ!! 言わないで! お願いします黒子さん!」ドゲザ

黒子「添い寝を要求しますわ」

美琴「それは過剰請求なのでは……」

黒子「妥当ですの!」

美琴「原告の変態性は常軌を逸してるので要求は却下します。以上!」

初春佐天「……」ボーゼン

黒子「先程お姉様は犬に追い回されて半べそ掻いてましたの」シレ

美琴「ちょ!?」

初春「!? ……」パソコン、ソウサ

佐天「……あっはっは! 白井さ~ん、いくらなんでもそれ無理がありますって」

佐天「御坂さんは超能力者の第三位ですよ?」

佐天「犬に泣かされるなんてあり得ないですよ」ヤレヤレ

美琴「そ、そうなんだよ。あり得ねーっつーの!」

初春「佐天さん! これ見てください!!」

監視カメラの映像――


犬「Bowwwwoww!!!」タッタッタ

美琴「ぎゃああああ!! 追いかけてくんなぁぁぁーーーっ!!」タッタッタ

美琴「尻尾踏んだの謝るからッ!!??」ステーン!

犬「Guuuuu……」ニジリヨル

美琴「痛たた…ひぃ!?」シリモチ

犬「Bowwwwoww!!!」イカク

美琴「こ、こっちくんなぁ…」ナミダメ

犬「Gaaaaa!!」

黒子「お姉様!」シュン!

美琴「!?」シュン!

初春「……」ゾクゾク

佐天「……あれが犬!? 怪獣じゃなくて!?」

美琴「……」ガクガク

黒子「ご覧の通りですの」

美琴「早速ばれるなんて……不幸だ」ガクリ

初春「怯えてる御坂さん……かわいい」ボソ

美琴佐天「え?」

初春「はい? どうかしました?」

美琴佐天「な、なんでもないよ!」フルフル

黒子「初春はよく分かってますの」

初春「当然じゃないですか」

美琴佐天「……」カタカタ

初春「なんか御坂さん雰囲気変わりましたね」

黒子「ええ。隙だらけになったというか…」

初春「…いじめるとかわいい?」

黒子「そうですの! グッとくる反応をしますの!」

美琴「おい!」

佐天「……そう言われてみれば」チラ

美琴「へ?」

初春「素晴らしいですけど、何かあったんですか御坂さん?」

黒子「恋人ができましたの」

美琴「ちょっ!?」

初春佐天「彼氏!?」

黒子「ええ、今日二人を呼んだのはそのことを伝えるためですの」

佐天「それより相手は上条さんですよね!」

黒子「はいですの。お姉様の変化には上条さんが関係してると睨んでますわ」

美琴「なあ…」

佐天「確かに御坂さん、昨日とは別人みたいですよ」

美琴「おい…」

黒子「凛々しいお姉さまも素敵ですが…」

美琴「あのな…」

初春「今の御坂さん最高ですよ! ……泣かせてみたいなぁ」ワクワク

美琴「…無視すんなぁぁぁ…」グス

黒子初春佐天「……」ゾクゾク


美琴「みんなして俺を無視しやがって」プンスカ

初春「ごめんなさい。でも御坂さんを見てるとつい…」

美琴「つい…じゃないんだよ!」

佐天「まあまあ、それよりも御坂さん、言葉遣いが荒くないですか?」

黒子「そうですの。そんなことでは殿方に愛想つかされますわよ」

美琴「んなことねーよ。アイツに認めてもらったし」

佐天「へー、寛容なんですね」

初春「やっぱり上条さんって優しいんですか?」

美琴「う、うん」

佐天「例えば!?」

美琴「ええっとな、(鈍感な性格を)激しく責められて、わけ分かんなくなって、ずっと泣きそうだったんだ」

美琴「でも一晩明けたら優しく慰めてくれて、そのまま(告白)してくれたんだ///」テレテレ

黒子初春佐天「え?」

美琴「思い出すだけで幸せだなぁ///」ポー

初春「…泣くほど激しい責め? しかも一晩中?///」イヤンイヤン

佐天「上条さんって鬼畜だったんだ……」サイテー

黒子「今朝起きたらお姉様がいなかった……まさか…まさか」プルプル

黒子「お姉様!!」

美琴「な、なんだ?」ビクッ

黒子「調教されたんですの!? 既に調教済みなんですの!?」

美琴「調教って……もうアイツに逆らえないし、そうなのかな///」テレテレ

黒子「あんの腐れ類人猿がああああああああああ!!!」

初春「白井さん落ち着いてください!」

黒子「落ち着けるわけねーですのぉぉぉ!」

初春「上条さんが調教したおかげで、私たちは御坂さんを弄れるんですよ?」

黒子「!!??」

初春「だから上条さんGJが正解なんです!」

黒子「た、確かにそうですの。今日のお姉様は何をしても反撃してきませんの」

初春「きっと泣いちゃうくらい厳しく躾けられたんですよ!」ダイコーフン

佐天「…初春」マワリノシセンガ

初春「やっぱり上条さんの功績は計り知れないです」pipipipipi

初春「あ、メールが…! 白井さん、風紀委員の緊急招集です!」

黒子「了解ですの!」シュン!

佐天「えっ!? ちょっ、……いっちゃった」

佐天「切り替え速いのは頼りになるけど…」キョロキョロ


客A「調教って…」ヒソヒソ

客B「風紀委員に通報…」ヒソヒソ

客C「あの子、常盤台の制服…」ヒソヒソ

客D「御坂って言ってたし、超電磁砲じゃない…」ヒソヒソ


佐天「こんな状況で置き去りにするなぁぁぁーーーーッ!!!」

美琴「!?」ビクッ

第七学区 ゲームセンター――


佐天「初春の…馬鹿野郎ォォォーーー!!!」バコーン!

美琴「…95点って、凄いな」

佐天「自己ベストですね。初春たちへの怒りを込めたからな~」

美琴「あはは……」

佐天「次は御坂さんの番ですよ」

美琴「よしっ、いっちょやってみますか」

美琴(以前は180点くらいだったっけ?)

美琴「おおおおぉぉらぁッ!!」パコン!

佐天「…70点、やった! あたしの勝ちです」キャッキャッ

美琴「本気で殴ったのに…」ズーン

佐天「御坂さ~ん、もう降参ですかぁ?」ニヤリ

美琴「まだだ! 御坂さんの力はこんなモンじゃねえ!」

佐天「じゃー次はアレで勝負だ!」ビシッ

美琴「はっ、吠え面かくんじゃねーぞ!」









佐天「完・全・勝・利!」

美琴「完敗……だと……」ホエヅラ…

美琴「パンチングマシーン、エアホッケー、ガンシュー、格ゲー、音ゲー……」

美琴「全滅だ……何をやっても佐天さんに勝てねえ」

佐天「素敵な吠え面ありがとうございました」

美琴「うぐ…」

佐天「弱すぎて期待はずれだなあ~」

美琴「うぐぐ」

佐天「御坂さんの実力はこんなモンですかぁ」

美琴「…いいぜ」

佐天「んー?」

美琴「俺の実力がこの程度だと、佐天さんに勝てないって言うのなら」

美琴「まずは、そのふざけた幻想をぶちこ…」ゲコッゲコッゲコ

佐天「電話鳴ってますよ?」

美琴「……もしもし」pi

黒子『お姉様、今よろしいですか?』

美琴「よろしくねえ! スルーだけじゃなくカットまでするとか御坂さんに恨みでもあるんですかあ!!」

黒子『な、何にお怒りなんですの!?』

美琴「てめえにだよ黒子さん」

黒子『まあ、それはいいとして』

美琴「全然よくねえ!」

黒子『風紀委員の仕事が長引きそうなので、帰宅は夜遅くになりますの』

美琴「言ったそばからスルー!?」ガク

黒子『ですから先にお休みになってください。それでは』pi

美琴「……」プルプル

佐天「御坂さん?」

美琴「……俺の話聞けよぅ」グス

佐天「」ゾク

美琴「絶対わざと無視してんだ…」ジワ

佐天「」ウズウズ

美琴「佐天さんは……違うよな?」ウワメ

佐天「もももちろんですよ!!」ウズウズ

美琴「……本当?」オズオズ

佐天「はい、あたしは御坂さんの味方です!」ウズウズ

美琴「…そっか」ニコ

佐天「ああもう無理!!」ガバチョ

美琴「わぷっ」

佐天「御坂さんかわいい~~~」ギュ

美琴「んう~」スリスリ

佐天「ほっぺすりすり!? も~~~っ、どんだけキュンキュンさせるんですか!?」キュンキュン

美琴「ん、あったかい…」ホッコリ

佐天「もって帰ったら駄目かな……」シンケン

第七学区 とある公園――


佐天「っていう感じで三十分くらいかな? 御坂さん、幼児退行してたんですよ」

美琴「……不幸だ」ガクリ

佐天「ここまで連れてくの大変だったんですから」

美琴「ごめんな、迷惑かけちまってさ。けど幼児退行はねーよ…」

佐天「大丈夫ですよ!」

美琴「…なにが?」

佐天「御坂さん、すっごく可愛かったんですから!!」キッパリ

美琴「は?」

佐天「ゲーセンにいた人達も絶賛で、いーーーーーっぱい写メってましたもん♪」

美琴「もん♪、じゃねぇぇぇーーーーっ!!!」

美琴「いっぱいって何人くらいに撮られたんだよ!?」アタフタ

佐天「さあ?」

美琴「だいたいでいいんだよ!」

佐天「御坂さんは通りを歩く人を、いちいち数えてますか?」ヤレヤレ

美琴「……」ガクガク

佐天「そんなことより、ほらっ! 可愛く撮れてるでしょ!!」ケイタイ

美琴「不幸だああああぁぁぁぁぁーーーーーーッ!!!」

以上です。上条さん編、二日目はあと一回で終わりですな
おやすみなさい

おお! 復活しとる……やべぇ、ゴッドイーターの体験版に夢中で書き溜めが少ないのよ
とりあえず上条さん編、二日目の残りを投下します
今回はちょこっとシリアスなんで退屈かも…


佐天「はいっクレープ。機嫌なおしてくださいよ~」サシダス

美琴「…機嫌が悪いんじゃねー、不幸を嘆いてるんだ」ウケトル

佐天「不幸って…確かに今日の御坂さんついてないですね」

美琴(もしかして俺の不幸に幻想殺しは関係ない?)モグモグ

美琴(いやそんなまさか……)モグモグ

佐天「でも能力を使えば犬?だろーがスキルアウトだろーが、御坂さんの敵じゃないのに」

佐天「どうして使わなかったんですか?」

美琴「え? ああ……能力ね」

美琴「使う必要がなかったから、かな」

佐天「??」

美琴「犬に追いかけられたのは尻尾を踏んだ俺が悪いし」

美琴「スキルアウトだって怪我させていいわけじゃないだろ」

美琴「だから能力を使う必要がねーんだよ」

美琴(使い方は分かるけど、人に向けていい能力じゃないしな)

佐天「理屈は分かりますけど…でも御坂さんが危ない目にあったら意味ないですよ」

美琴「あはは、そうかもしんねーけどさ、もう決めちまったからな」

佐天「まったく、御坂さんは頑固だなぁ」

美琴「まあ怪我しないように気をつけるから、それで勘弁してくれ」

佐天「しょーがない。それで納得してあげます」

美琴佐天「ごちそーさま」

美琴「佐天さん、クレープの包み紙くれ。捨ててくるからさ」

佐天「お願いしまーす」ポロッ

美琴「ん? 何か落とし―ッ!?」ピタ

佐天「ああ、それですか。さっきクレープ屋で貰ったんですよ」ヒョイ

美琴「…アヒルのマスコット」ジー

佐天「ただのマスコットじゃないです。ここを押すと…」ポチットナ

アヒル「おはようございます。初期設定をはじめます」

美琴「!?」

佐天「もう一回押すと」ポチ

アヒル「……」シーン

佐天「たしか…AI搭載型多目的サポートツール、だったかな」

美琴「……」ジー

佐天「新商品のデータ収集のために配ってるみたいですよ」

美琴「可愛い…」

佐天「そーかなぁ。なんかムカつく顔してません?」

美琴「そんなことねえよ! 愛嬌あるじゃん!」

佐天「あたしには分かんないなあ」

美琴「こんなに可愛いのに…」

佐天「そんなに気に入ったんならあげますよ」

美琴「マジで!?」

佐天「マジです」ハイ

美琴「いいモン貰った! さんきゅーな佐天さん!」ウケトル

佐天「いえいえ。じゃあ初期設定しちゃいましょう」ペラペラ

美琴「説明書?」

佐天「そうです。なになに…まず所有者の登録…次に名前をつける…最後に…」ペラペラ

美琴(名前か、どんなのがいいかな?)

美琴(愛嬌のある顔……ん? どっかで見たことあるような…)

美琴(ムカつきはしないが、ちょっと偉そうな…)

美琴(そうだ! こいつフィアンマに似てる! よし、名前はフィアンマにしよう)


佐天「御坂さん、アヒルのお腹を押してください」

美琴「おう、ここか?」ポチットナ

アヒル「おはようございます。初期設定をはじめます」

アヒル「所有者の名前を教えて下さい」

美琴「み、御坂美琴」

アヒル「御坂美琴でよろしいですか?」

美琴「はい」

アヒル「私の名前を決めてください」

美琴「お前の名前はフィアンマだ」

アヒル「フィアンマでよろしいですか?」

美琴「はい」

アヒル「最後にあなたは私にとって、どんな存在ですか?」

美琴「え?」

美琴(存在? 家族とか友達とかそういうのか?)

美琴(ん~、普通に友達でいいか)

美琴「えっと、友だ…」

青ピ「奴隷!! ボクは小萌センセの奴隷になりたいわ~」

土御門「義妹こそ至高なんだにゃー。バイトも終わったし舞夏に会いにいくかにゃー」

アヒル「初期設定を完了しました」

美琴「へ? 確認は?」

佐天「…奴隷って」ヘンタイ?

アヒル「登録情報をもとに最適化します。しばらくお待ち下さい」

美琴「ま、まあ登録し直せば大丈夫だろ」

佐天「……これ一度登録したら変更できないっぽいんですけど」ペラペラ

美琴「マジ!? ど、どうすんだよ!?」アタフタ

佐天「大丈夫ですって。所詮、無料配布のおもちゃですよ?」

美琴「そうだけど……嫌な予感がする…」

アヒル「最適化を完了しました。これよりフィアンマは起動します」

美琴佐天「……」ドキドキ

















フィ「おい貴様、俺様が直々にサポートしてやるんだ。光栄に思え」フフン

美琴「」プルプル

佐天「…なにこれ」アゼン

フィ「奴隷の分際で俺様を無視するとは、いい度胸だ」

美琴「だ、誰が奴隷なんだよ!」プンスカ

フィ「貴様だ」

美琴「てめえ、おもちゃのくせに…?」オレサマ?

美琴「…お前フィアンマなのか!?」

フィ「そうだ。……なるほど、マニュアルを正しく把握してないな?」

美琴「??」

フィ「しかたない。貴様に理解できるよう説明してやる」

フィ「俺様はオリジナルのフィアンマではない」

美琴「見た目ただのアヒルだしな」

フィ「貴様の記憶を読み取り、フィアンマなる人物の人格を擬似的に再現しているだけだ」

美琴「記憶を読むって、なんだよそれ!」

フィ「読心能力の応用だ。要するに俺様は貴様がイメージするフィアンマということだ」

美琴「無駄に高性能だ…」

フィ「普通は家族、友達、恋人の名前をつけるようだが、俺様を選ぶとは」

フィ「貴様、目が高いな」

美琴「……」チラリ

佐天「あ、本当だ。それっぽいこと書いてる」ペラペラ

美琴「佐ぁぁぁぁ天さぁぁぁぁぁん!! 今頃なに言っちゃてるんですかあ!?」

佐天「…てへ♪」ペロ

美琴「可愛く誤魔化しても駄目だからね!?」

フィ「煩い黙れ。まだ説明が終わっていない」

佐天「人の話はちゃんと聞かないと」

美琴「…その通りなんだけど、納得いかねぇ」

フィ「俺様の機能については適時教えてやる。…それより」

フィ「いつまで俺様を鷲掴みにしているつもりだ。無礼だろう」

美琴「はあ?」

佐天「えーっと…御坂さん、そのアヒルを…」ペラペラ

フィ「アヒルではないフィアンマだ」

佐天「はいはい、フィアンマを肩に置いてください」

美琴「肩に…うわっ、くっついた!」ピタ

フィ「ふむ、これでいい」

佐天「あっはは、似合ってますよ」

美琴「…嬉しくねー」

フィ「俺様を肩に乗せられるんだ。奴隷には身に余る贅沢だろう」

美琴「奴隷じゃねーし」

美琴「くっそ、こういうのは浜面のポジションのはずなのに…」

佐天「浜面? 誰ですか?」

美琴「イギリスにいる知り合いだよ。少し前まで学園都市に住んでたけどな」

佐天「へえー、その浜面さんも奴隷扱いを?」

美琴「うん、麦野さん…まあ女王さまみたいなひとに毎日顎で使われてる」

美琴「あいつの場合は望んでそうなった、って言うと思うけどなー」

フィ「俺様も負けていられないな」

美琴「変なとこで張り合わなくていいから!」

佐天「そんなこと言って、実は満更でもないのでは~」ニヤニヤ

美琴「んなわけあるか!……もうつっこみ疲れたんですけど」グッタリ

佐天「午前中から弄られっぱなしですもんね」

美琴「…俺は先輩なんだぞ…偉いんだぞ」

佐天「全然先輩って感じしませんけど、親しみやすくていいと思うな」

美琴「そ、そうか?」

佐天「はい。だから安心して弄られてください」

美琴「…え?」

佐天「日も落ちてきたんで帰りますね。御坂さんの写真、初春たちに送らなきゃ♪」スタコラサッサ






美琴「……フィアンマさん」

美琴「後輩たちが俺をいじめて遊ぶんですが、どうすればいいですか?」

フィ「ドMになればいいだろう」

美琴「変態は嫌だ! まじめに答えろよ!」

フィ「割とまじめなんだが? 受け入れれば楽になれる」

美琴「受け入れたくねー。…アイツに相談するか」

美琴「もう日も暮れたし帰ろう」トコトコ

第七学区 常盤台学生寮への帰り道――


美琴「さみー。コートが破けてるせいで風を防げねえ」ブルブル

フィ「情けない声をだすな。俺様は裸だというのに」

美琴「お前寒さとか感じねーだろうが」

フィ「感じるぞ」

美琴「はあ?」

フィ「俺様には各種センサーが搭載されているからな」

フィ「寒さも暑さもわかる」

美琴「どんだけハイスペックだよ…誰が造ったんだ?」

フィ「知らんな。そんなことより貴様、尾行されているぞ」

美琴「へ?」

フィ「後方十メートル、小柄で髪の短い女だ」

美琴「なんで尾行されてるって分かるんだよ!?」

フィ「公園にいた時から貴様の半径十メートル以内から離れない」

フィ「気づけ馬鹿が」

美琴「馬鹿って言うほうが馬鹿なんですぅ…あれか」チラ

??「……」

美琴「…お前、レーダーついてる?」

フィ「ここは撒くよりも接触したほうがいいだろう」

美琴「てめえもスルーしやがりますか」

美琴「つーか尾行される心当たりなんて……結構あるな」

美琴「用心してかかるか…」ゴクリ

フィ「不意打ちを仕掛けて確実に仕留めろ」

美琴「なに物騒なこと言ってんだよ!?」

フィ「ではどうする?」

美琴「……普通に話しかける」

フィ「考えなしか。無能め」

美琴「無能!? …もういい。お前は喋るな。絶対だぞ」

フィ「分かった」


美琴「おい、ちょっといいか?」

??「私ですか?」

美琴「単刀直入に言うが、何で俺をつけた?」

??「えっと、勘違いじゃないですか」

美琴「公園にいた時から監視されてたのは知ってんだよ」

??「意味がわからないんですけど…」

美琴「惚けても無駄だ。ネタはあがって…」キリッ

フィ「俺様が教えてやらねば尾行されていた事すら気づかなかったくせに偉そうにするな」

美琴「おまっ、ばらすなよ! あと喋んなって言ったよね!?」アタフタ

??「……」ポカーン

フィ「貴様が俺様の功績を横取りするからだ」

美琴「そんなつもりねーよ!」

フィ「どうだろうな」

美琴「なんてムカつく野郎だ。佐天さんの言う通りだったぜ」

??「……」ポカーン

美琴「見ろ! お前のせいで呆れられてるぞ」

フィ「どうだろうな」

美琴「…この野郎」

??「あ、あの…」オズオズ

美琴「ん? ああ、ごめん。こっちが話しかけたのに無視しちまってさ」

??「…そんなことより、あなた…超電磁砲ですよね?」

美琴「あ、ああ」

??「聞いてた話と全然違います…」

美琴「何か言った?」

??「いえ、なにも」

美琴「まあ尾行うんぬんは置いといて、何かあるなら手貸すけど?」

??「……え?」

美琴「お前、何か困ってる事あるんだろ? 経験則から御坂さんはお見通しですのことよ」

??「はぁ…」ヤレヤレ

美琴「えっ? もしかしなくても勘違い!?」ハズイ

??「いいえ、超電磁砲が超お人好しだと分かって安心しただけです」ニコ

美琴「そんな、それほどでも…」テレテレ

フィ「馬鹿にされているんだがな。残念な奴だ」

??「早速ですけど、超電磁砲に教えて欲しいことがあるんです」

美琴「いいけど、話は寮で聞いてもいいか? マジで寒くなってきたし」ブルブル

??「私は構いませんけど…」

フィ「危機管理って知ってるか?」

美琴「知らねーよ。さっさと帰るぞ」

常盤台学生寮 自室――



美琴「あったけー、常時空調がきいてるとか最高じゃないかー」

フィ「気を抜きすぎだ」

美琴「はいはいわかりましたよっと。んじゃ自己紹介すっか。俺は御坂美琴、お前は?」

??「私は絹旗最愛、絹旗でいいです」

美琴「よろしくな絹旗。あとこれはフィアンマっつームカつくアヒルだ」

絹旗「…アヒルのマスコット? さっきから超喋ってますけど」

フィ「俺様は超高性能だからな。あとアヒルじゃないフィアンマだ。訂正しろ小学生」

絹旗「なっ!? 超失礼ですねこのアヒル! 私は中学生です!」ムカッ

フィ「どちらにせよお前がちんちくりんな事に変わり無いだろう」フフン

絹旗「…真剣にムカつきました。御坂、これぶっ壊してもいいですか?」

美琴「喧嘩すんな。はら絹旗、話を聞かせてくれ」ヤレヤレ

絹旗「そうでした。…御坂は上条当麻さんと親しいんですか?」

美琴「は?」

美琴(何で俺の名前が出てくるんだ!? 絹旗とは初対面のはず……絹旗? そーいやどっかで…)ウーン

絹旗「御坂、どうかしました?」

美琴「なんでもない、と、当麻ね。うん、友達だけど…それで?」

絹旗「私に上条さんを紹介してほしいんです」

美琴「はぁ?」イラッ

絹旗「み、御坂? どうしたんですか」ビクッ

美琴「あ……ごめん」

美琴(俺、何でこんなにイラついてんだ?)イライラ

美琴「紹介するのは構わないけど、今は無理」

絹旗「何でですか?」

美琴「海外に行ってんのよ。その内帰ってくるけどさ」

絹旗「そうですか……」

美琴「…当麻に会ってどうするの?」イライラ

絹旗「相談したいことがあるんです」ン?

美琴「…私も相談に乗るくらいできると思うけど」イライラ

絹旗「上条さんじゃないと駄目なんですよ」キッパリ

美琴「…ッ!?」ズキッ

絹旗「…なるほど」ピーン

美琴(なんだよ…なんなんだよ。助けが必要なら誰にだって手を貸してきたじゃねえか…)ズキズキ

美琴(なのに、なんで……)ズキズキ

絹旗「……御坂には全部話しちゃいますけど、私には会いたい人達……いえ、友達がいるんです」

絹旗「ずっと探してようやく上条さんに、その友達と接点があるって分かったんですよ」

美琴「…え?」

絹旗「だから私は上条さんに渡りをつけてほしいだけです。……御坂が超心配するようなことはありませんから」ニコ

美琴「し、しし心配!? なにが!?」アタフタ

絹旗「御坂は上条さんのことが超好きってことです」シレ

美琴「好きって、あの、その……うん///」テレテレ

絹旗「御坂の反応が超乙女です。…同じ超能力者でも麦野とはえらい違いですね」

美琴「乙女とかいうなぁ/// ……むぎの?」

絹旗「はい、御坂は戦ったことがあるはずです」

絹旗「第四位、原子崩しの麦野沈利、容赦のない鬼ババアです……リーダーのくせに」ウツムク

美琴「ババアって……」

絹旗「あんなヒステリックで超後先考えない女、ババアで十分です」ドンヨリ

美琴「そーかなぁ、結構優しいと思うけど……あー、浜面には容赦ないわね、うん」

絹旗「!!?? 浜面を知ってるんですか!?」

美琴「知ってるけど…ああそっか」ピコーン

絹旗「何ですか!? どんなことでもいいから教えてください!」コーフン

絹旗「お願いします! 浜面たちを探してるんです!!」

美琴「落ち着いて。浜面と滝壺、それに麦野さんはイギリスにいるわ」

絹旗「イギリス…そんな、遠すぎます…」ガクリ

美琴「絹旗の名前に聞き覚えがあるわけよ。麦野さんが絹旗のこと心配してたからね」

絹旗「え……麦野が?」

美琴「一人だけ学園都市の糞溜めに置き去りにしてしまった。何とかこっちに連れて来れないか、とか」

美琴「謝りたい、とかね」

絹旗「う、嘘です! 麦野に限って……そんなことあるはず…ないです」

美琴「嘘じゃないわ。浜面と滝壺も心配してたけど、麦野さんが一番絹旗のこと気にかけてたもの」

美琴「妹を心配するお姉さんって感じだったわ」

絹旗「……フレンダが、死んで…浜面が裏切って…麦野は、アイテムを、捨てた…はず、なのに」グス

絹旗「もう…私の居場所なんて、ないって…死ぬまで一人だって、我慢…してたのにッ」

絹旗「そんな…私のこと、気にかけて、くれっ、て、た…」ヒックヒック

絹旗「…会い、たい。会いたいよぅ、むぎのぉ…」ポロポロ

美琴「大丈夫だから。絶対会わせてあげるから」ギュッ

絹旗「本当…ですか?」

美琴「ええ、御坂さんにまかせなさい! コネだけは充実してるんだから」ニコ

絹旗「うぐっ、うぅ…」

美琴「だから、もう悲しいこと我慢しなくていいから…」ナデナデ

絹旗「…二回もっ、置き去りになるっ、の、いやだっ」ヒックヒック

絹旗「ひとり、ぼっちはッ、嫌、です…うぁぁぁぁぁあああ」ポロポロ

美琴「……」ナデナデ



絹旗「……」スースー

美琴「泣き疲れて寝ちゃった…」

フィ「張り詰めていたものが切れたんだろうな」

美琴「…ったく、本当に救いようがないわね、学園都市は」

フィ「思いもよらぬ展開になったな」

美琴「そうね。でも決めたから」

美琴「絶対に絹旗をイギリスまで、麦野さんたちの所へ連れていってみせる」

フィ「……」

美琴「まずは当麻と話さないとね」

フィ「……」

美琴「それから…? どうかした?」

フィ「俺様は貴様の思考、記憶、イメージを基に構築された人格だ」

美琴「??」

フィ「だから貴様の精神が上条当麻だと知っている」

美琴「読心能力を応用してるんでしょ。なら知ってて当然だけど…」

フィ「自身の変化に気づかないのか?」

美琴「ん? なんか変わったかしら…?」

フィ「……口調だ」

美琴「…!!??」

美琴「わたッ…俺は、いつから…?」

フィ「そこで寝ている小学生が上条当麻に会いたいと貴様に頼んだときからだ」

美琴「…よく覚えてる。滅茶苦茶イラついてたんだ」

美琴「当麻と絹旗が仲良くしてるとこを想像して、それで…」

フィ「深く考えるな。今の上条当麻にとって御坂美琴の想いは猛毒だ」

美琴「どういうことだよ」イラッ

フィ「貴様が上条当麻のことを想う度に、貴様本来の人格は侵食されていく」

フィ「女に嫉妬したりすると爆発的に侵食が進むんだ」

美琴「侵食ってなんだよ。このままだと、どうなっちまうんだ」

フィ「どうもならんさ。ただ…」

美琴「…ただ?」

フィ「現状を受け入れてしまうだけだ」

フィ「そうなれば貴様が上条当麻に戻ることは不可能になるだろう」

美琴「そんな…完全に御坂になっちまうのか?」

フィ「そうじゃない。似て非なるものだ」

フィ「上条当麻と御坂美琴、それぞれが理想とする相手になると推察できる」

美琴「…つまり俺は、俺にとって理想の御坂美琴になるのか?」

フィ「そうだ」

美琴「冗談じゃねえ! 俺は上条当麻だ。絶対もとに戻ってやる!」

フィ「強く自己を意識できるうちは大丈夫だろう」

フィ「バイタルもメンタルもモニターしているからな。異常を検知したら教えてやる」

美琴「…マジで万能だな」

美琴「そうだ! アイツにも教えてやんねーと…」pipi

美琴「……だめだ、でねえ」オカケニナッタデンワハ…

フィ「イギリスとの時差は約九時間だ。明日の早朝にするほうがいい」

美琴「そうだな。ちーっとばっか早いけど寝るか……って!?」

絹旗「……」スヤスヤ

美琴「俺のベッド…絹旗が寝てるんだった」

フィ「広いベッドだ。二人で寝ても十分じゃないか」

美琴「…そうだ、今の俺は人畜無害な御坂さんだ。女の子と一緒に寝てもなんともないぜ」ゴソゴソ

フィ「俺様もシャットダウンするか…電池は大切にしないとな」

美琴「え!? お前電池で動いてたの!?」

フィ「……」シーン

美琴「無視か……ムカつくけど、お前がいてくれて助かったよ。さんきゅーな、フィアンマ」

美琴「明日は忙しくなりそうだな。……おやすみ」スヤスヤ

ここで二日目終了です
ふぅ、やっと上琴の絡みにもっていける…無駄に長かった
原作だと絹旗って、どうなるんでしょう? 浜面なら何とかしてくれる! と信じたい

このSSは、シリアス一割、アホ九割で構成されてます
期待すると火傷しますぜ、旦那

短めですが、上条さん編三日目を少し投下します

常盤台学生寮 自室――


黒子「ただいま帰りました……明け方まで仕事とかありえませんの」フラフラ

黒子「グフフフ…この疲れを癒すにはお姉様と同衾するしかないですの」ワキワキ

黒子「さあ、お姉様! 黒子を癒してくださ…」ピタ

絹旗「……」スヤスヤ

美琴「……」スースー

黒子「……ハハ、徹夜明けのせいですかしら? 幻覚がみえますの」ゴシゴシ

黒子「お姉様が知らない女と同衾してるなんて幻想です…の」チラ

絹旗「…あったかい…です」ギュッ

美琴「うぅん……」ギュッ

黒子「」ブルブル

黒子「」パタリ…






絹旗「ん、あれ…」

美琴「……」スースー

絹旗「ど、どういう状況ですか!?」アタフタ

美琴「…ん~」ギューー

絹旗「ちょっ!? 御坂起きて! 超起きてくださぃ///」ジタバタ

美琴「…ふぁ~~、おはようございます…」ショボショボ

絹旗「なんで御坂が一緒に寝てたんですか!? 寝惚けてないで説明してください!」

フィ「お前がピーピー泣いた挙句、寝てしまったからだろう。覚えてないのか?」

絹旗「!! ……忘れてください///」マッカ

フィ「泣いたまま寝たから目が腫れているな」

絹旗「せ、洗面所はどこですか?」

美琴「んーーーーっ、俺も顔洗いたいし一緒に行くか」ノビノビ

絹旗「早く行きましょ……う?」グニャ

黒子「ぐえっ」シロメ

絹旗「何か踏んだ…ッ! キモッ、超キモイのが転がってます!」

美琴「あー、それって一応ルームメイトなんですけど…」

絹旗「床に転がって白目剥いてるルームメイト……超シュールです」

美琴「こいつなー、いい奴だけど超変態なんだよ」

絹旗「真似しないでください!」

美琴「はいはい、黒子をベッドに寝かせてっと、ほら行くぞ」

常盤台学生寮 大浴場――


絹旗「…どうしてお風呂に入ってるんですか?」カポーン

美琴「昨日は夜に入ってないし、シャワーじゃ十分に汚れがおちないから?」

絹旗「そうですけど! なんで私と御坂が一緒に超お風呂に入ってるのかって聞いてるんです!」

美琴(…なんの疑問もなく女子中学生と入浴していた…だと)

美琴(ははっ、絹旗より俺のほうが胸あるぜひゃっほう、なんて考えてたんだぜ?)

美琴「死にてえ…じゃなくて、別々に入りたかった?」フルフル

絹旗「そういうことじゃなくて! 無防備すぎる……昨日の話の流れから気づいてるはずです」

美琴「絹旗が暗部の人間ってことか?」

絹旗「ッ! ……そうです。私は…」

美琴「けど、それがどうしたよ」

絹旗「…え?」

美琴「絹旗は絹旗だろ?」

絹旗「??」

美琴「暗部だとか、そんなちっせえ事情なんかどーでもいいんだよ」

美琴「俺は困ってるお前を助けたい、ただそれだけの事だろーが」

絹旗「ぷっ、た、単純すぎです。それって何も考えてないのと同じですよ」

美琴「あーあーうるせえ。どーせ俺は馬鹿ですよ」チャプチャプ

絹旗「本当に馬鹿です。学園都市の暗部に関わっても碌なことがないのに…」

美琴「んなこと言ってもな~。友達を見捨てるなんてできねーし」

絹旗「ともだち?」

美琴「おう。一緒に寝起きして風呂に入って、これって友達だろ?」

絹旗「御坂は私の友達……」ブツブツ

美琴「友達を暗部から救い出す、当たり前のことだと思うけどな」

絹旗「そ、そうです! 友達なら助け合いますよね!!」

美琴「ああ、だから遠慮なんてすんなよ」

絹旗「はい!」

常盤台学生寮 自室――


絹旗「いいお湯でしたー」ホッコリ

美琴「やっぱ広い風呂は最高だな~」ゴロゴロ

美琴「もーちょいマッタリしたいけど、当麻に電話してくるな。時差とかあるし」

絹旗「私はここで待ってていいですか?」

美琴「おう、構わねーよ」チラ

黒子「…うへへ、おねぇさまぁぁ~ん」ネゴト

絹旗「……」ピク

美琴「はぁ、これは気にしないでくれ」

絹旗「…分かりました」

常盤台学生寮 庭――


美琴「ここなら誰にも聞かれないかな」pipi

美琴「さみー、早く出ろー」ヨビダシチュー

上条『もしもし』pi

美琴「お、おっす。今いいかな?」ドキドキ

上条『ああ、ちょっと待ってろ。…ほらインデックス、電話するからはなれろって』

禁書『誰からなの、とうま?』

上条『御坂からだよ』

禁書『短髪ぅー? はぁ、わかったんだよ』

禁書『そのかわり、あとで続きをしてほしいかも』

上条『わかってるって』

上条『…悪い、待たせたな』

美琴「……」イラッ

上条『あれ? 聞こえてないのか』

美琴「…聞こえてる」イライラ

上条『元気ねーな。何かあった?』

美琴「別に…。浜面って分かる?」イライラ

上条『浜面ならこっちに来た日に会ったぞ。第四位のオバサンもいやがったな』

美琴「その浜面たちが探してた女の子と偶然知り合ったの」

美琴「何とかしてイギリスに連れていきたいんだけど…」

上条『ふーん、なるほど。土御門と火織に協力を打診すればいいか?』

美琴「そうだけど……火織って」ムカムカ

上条『あー、名前で呼び合うことになったんだ。背中預けるパートナーだからさ』

美琴「パートナー…」ズキッ

上条『あいつ滅茶苦茶強いな。素手なら勝てるけど、武器使われたら相打ちにもってくのがやっとなんだぜ?』

上条『なのに全力を出してないってんだから、どんだけだってな』

美琴「……」ズキズキ

上条『ロンドンで十指に入る実力者って聞いたけど、火織より強い魔術師が何人もいるんだよな』

上条『いやー、第三位だ超電磁砲だとか言ってたのが恥ずかしくなるね、まったくさ』

美琴「…そんなこと…ない」ズキズキ

上条『ん、どうした?』

美琴「私だって……私だって当麻の力になれるッ!!」

美琴「神裂にだって負けない!」

上条『そーだな。援護くらいなら…』

美琴「違う! 当麻の背中を守るパートナーは私なんだから!!」フルフル

上条『むきになるなよ。相性があるだろ? 美琴の能力は接近戦や乱戦に向かないんだよ』

美琴「そうじゃないの! 私はただ…当麻に私以外のひとをパートナーなんて言ってほしく…」ズキズキ

禁書『とうまー、かおりが呼んでるから来て欲しいかもー』

上条『ごめんな、呼ばれてるみたいだ』

美琴「まだ話は…」

上条『火織たちに手を回してもらうから心配すんな。じゃーな』pi

美琴「待って!」シーン

美琴「……」pipi

美琴「なんで電源切ってんのよ……」オカケニナッタデンワハ

美琴「ひとの気も知らないで…って違う!」ブンブン

美琴「そうじゃないでしょ。まず私の気持ちを伝えて、それから他の女の子と必要以上に仲良くしないでってお願いしないと」

美琴「当麻も私のことすす好きって、こ、告白してくれたし大丈夫、きっと大丈夫…」ドキドキ

美琴「心変わりなんてするわけ……まって」

美琴「よく考えたらインデックスも神裂も凄い美人じゃない」

美琴「特に神裂の胸なんて……」ジブンノムネミル

美琴「……」ペターン

美琴「不味い、不味過ぎるわ。あんなロケットおっぱいに迫られたら…」プルプル

美琴「どどどどうしよう!?」アタフタ

美琴「は、早くイギリスに行かないと、わ、私の当麻盗られちゃう」フルフル

美琴「こうしちゃいられないわ!」タッタッタ

常盤台学生寮 自室――


黒子「お姉様のお友達? その程度の関係で同衾するとは、許せませんの!」プンスカ

絹旗「ただの友達じゃないです! 私と御坂は超友達なんです!」ブー

黒子「このちんちくりんが、寝言は寝て言えですの」フフン

絹旗「あなただって似たような体型じゃないですか。はっきり言って心外です」ハン

フィ「朝から騒がしいな。落ち着いたらどうだ」

絹旗「アヒルは超黙っててください!」

黒子「そうですの!」

フィ「アヒルじゃないフィアンマだ。何回言えば覚えるんだ、この鳥頭が」

黒子「なんて口の悪いアヒルですの。持ち主の顔が見てみたいですの」ヤレヤレ

絹旗「…そのアヒル、超御坂のなんですけど」ボソ

黒子「……」

美琴「ただいまー!! 絹旗すぐ出るから…」バーン!

フィ「良かったな。貧乳仲間が帰ってきたぞ」

絹旗黒子「なんですってぇぇぇぇーッ!!」

美琴「…貧乳」ジワ

絹旗「え?」ガシッ

美琴「おっぱいの大きさが魅力の決定的差じゃないって、教えてあげるんだからァァァーーッ!!!」ダダダダダダッ

絹旗「ひゃああああ!!」ピューーー

黒子「お姉様!?」

フィ「あれ? もしかして俺様置いてかれた?」

第七学区 とある高校の学生寮――


美琴「到着!」ハアハア

絹旗「み、御坂、突然どうしたんですか…?」ゼエゼエ

美琴「緊急事態よ。今日中にイギリスに行かないと大変なことになるわ」

絹旗「え!? 緊急事態ってなんですか!?」

美琴「説明は後よ。まずは土御門に会わないと…」

絹旗「土御門!?」ギク

美琴「当麻からの連絡なんて待ってたら……堕天使エロメイドが…おのれ土御門!!」ワナワナ

美琴「もう手段を選んでる余裕なんて…あはは、今日の御坂さんはちょろっとダーティーだよ?」クックック

第七学区 とある高校の学生寮 土御門宅前――


美琴「……」ピンポーン

絹旗「留守ですかね?」シーン

美琴「……」ピポピポピポピンポーン

土御門「朝っぱらから五月蝿いぜよ!!」バーン

美琴「…土御門さん、お願いがあって来ました」

土御門「超電磁砲と…!?」ピク

絹旗「え、え~っと」アタフタ

美琴「私とこの子の二人分、イギリス行きの航空券を手配して下さい」

土御門「…状況が読めないにゃー。事情を聞いてみないと、どうしようもないぜい」

美琴「あんたが…あんたが当麻をイギリスに行かせるから」ワナワナ

美琴「堕天使エロメイドが当麻のパートナーになっちゃったのよ……ふふっ、責任取ってくれますよね?」

土御門「なに!? ねーちんがカミやんの…そーいうことなら協力できないにゃー」

土御門「オレは神裂のねーちんの味方だからにゃー」

美琴「そうなんだ。…こんな手は使いたくないけど、しょーがないなぁ」ニコ

土御門「フン、中学生に何ができるのかにゃー」フフン

美琴「舞夏にある事ない事吹き込んでやる…」ボソ

土御門「…にゃ?」

美琴「友達をぼこって入院させたとか、青髪ピアスとナンパしてたとか」

美琴「ロリメイドもののエロ本コレクションが四桁超えたとか」

土御門「……その程度、別になんでもないぜい」ブルブル

美琴「ブラコンを治すために男を紹介して、寝取らせて…」

土御門「そ、それだけは勘弁してくれッ!」ドゲザ

美琴「あはは、いやだなぁ、その勘弁して欲しいことを私にしたじゃないですか」ユラユラ

美琴「不安だなぁ、不安のあまり…寝取られ仲間が欲しくなちゃいそう。ね、土御門さん♪」ニコニコ

土御門「…オレの負けぜよ。話を聞くから部屋にあがるにゃー」ガクガク

絹旗「…御坂が黒いです。超ブラックです」ビクビク

とりあえずここまでー。次はがっつり投下したいな

続きを投下します。今回も短めになってしまった…

第七学区 とある高校の学生寮 土御門宅――



土御門「インスタントで悪いにゃー」コポコポ

美琴「いえいえ、お構いなく」

絹旗「……」

土御門「この土御門元春を相手に無理やり交渉を持ちかけるなんてにゃー」

土御門「まったく、常盤台の超電磁砲は恐ろしいぜい」ヤレヤレ

美琴「普段は人畜無害な草食系ですよ?」

土御門「カミやんが絡むとアレか…つくづく罪な野郎ぜよ」

美琴「そんなことより早く…」

黒子「失礼しますの」シュン!

土御門「うにゃーっ! 女の子がオレの部屋に降って来たぜよ!!」

美琴「黒子?」

黒子「お姉様、忘れ物ですの」ポイ

美琴「おっと」キャッチ

フィ「この馬鹿が、俺様を投げるとは何事だ!」プンスカ

黒子「わざわざ連れてきて差し上げたのに文句いうなですの」シレ

フィ「貴様も俺様を置いて行くな。自身の状態を理解しているだろうに」

美琴「う、うん」ピタ

フィ「…バイタルは正常……メンタルは…!? 不味いぞ。今すぐ表にでろ」

美琴「!? ちょ、ちょっと出ます!」ダダダダダッ

土御門「…どうしたんだ?」ヒソヒソ

絹旗「…私にも分かりません」ヒソヒソ

第七学区 とある高校の学生寮――



フィ「昨晩と比べてメンタルの異常が酷いな」

美琴「そんなに?」

フィ「人格に影響が出て、それを自覚できないくらいに、だ」

フィ「もう口調の変化なんて生易しいレベルじゃない。上条当麻の人格が変質しつつある」

美琴「口調って……ああっ! また女言葉で喋ってた!?」ガーン

フィ「今朝からの行動も思い返してみろ」

美琴「…………………………………………」…シクシク

フィ「泣くな、鬱陶しい」

美琴「黒歴史だ…なに意味の分からない行動力を発揮してんだよ、俺は」ガクリ

フィ「嫉妬に駆られ友人を脅迫、海外渡航の算段を強要…か。凄まじいな」

美琴「ぎゃああああぁぁぁッ!? 冷静に言わないで!?」ブンブン

フィ「大丈夫だ。そんな小物臭い貴様を、俺様はサポートしてやる」

美琴「小物って……一応、今は第三位の御坂さんですけど…」

フィ「三流、三下、三行半…ろくでもない数字だと思わないか?」

美琴「お、おまっ!? 三割引とか、三文の得とかいい意味だってあるだろ!」

フィ「発想が小物だな。それに三文の徳だ、馬鹿め」

美琴「え? 発音が違った??」

フィ「いい加減話を戻すぞ」

フィ「人格が変質していたのは自覚したな?」

美琴「ああ、あんなのは俺じゃねーよ」

フィ「些細なことで、あれほどの異常行動だ。先が思いやられる」

美琴「!! 些細っていうけどな、俺には大問題なんだよ!」

フィ「落ち着け」

美琴「大体アイツが神裂をパートナーとか…」ブツブツ

フィ「そこだ。そこが腑に落ちない」

美琴「??」

フィ「御坂美琴は上条当麻に惚れている」

美琴「///」マッカ

フィ「ならば神裂火織や禁書目録と必要以上に親睦を深めるのは、違和感がある」

フィ「普通なら、貴様に近づく女を遠ざけるように仕向けるはずだ」

美琴「それは…アイツは優しいから…」

フィ「貴様が三日でトチ狂ったほどの恋愛感情を、御坂美琴は何ヶ月も抱えているんだ」

フィ「それに貴様を不安にさせるよう仕向けた節もある。優しさなど理由にならない」

美琴「…アイツが、わざと不安を煽ってる?」

フィ「入れ替わり初日に、御坂美琴が言ったことが全てかもしれんな」

美琴「初日って……まさか」

フィ「上条当麻を私のものにする、ダブルミーニングなら笑えるぞ」

美琴「どういうことだよ…」イヤナヨカン

フィ「御坂美琴は最初から入れ替わりを受け入れているということだ。理解できるか?」

美琴「はあ?」

フィ「正気か狂気かは知らんが、御坂美琴は非常に優秀だな」

フィ「上条当麻の最大の武器を掌握しつつ、本命の貴様を手玉に取っているのだから」

美琴「最大の武器? 幻想殺しか?」

フィ「違う。昨日貴様が言ってたじゃないか。コネだけは充実してる、つまり人脈だ」

フィ「学園都市の第三位と世界を救った英雄、取り巻く人間の質も量も、圧倒的な差があるだろうな」

美琴「……」

フィ「周囲の環境を掌握し、上条当麻となる。その上で貴様を御坂美琴として手に入れる」

フィ「貴様は女として愛されるわけだ。笑えるだろう?」

美琴「……冗談だよな?」ガクブル

フィ「全て俺様の推論だ。だが現実味はあったんじゃないか?」

美琴「恐えーよ! ありえねーよ! なんなんだよ!!」

フィ「イギリスに乗り込むつもりなら、やめたほうがいいな」

フィ「戦闘能力に差がありすぎる。手篭めにされて、愛玩奴隷ルート確定とかなりそうだ」

美琴「て、手篭め!?」ビクッ

フィ「それも悪くないんじゃないか?」

美琴「そんなルート、青髪ピアスにしか需要がねーよ!」

美琴「アイツがおかしくなってるなら、俺がなんとかすればいいだけじゃねーか」

フィ「貴様が嫌がるなら、他の女を、みたいな流れになりそうだが…」

美琴「それは駄目だ!! ……って、あれ?」

フィ「どうしようもないな。入れ替わった時点で愛玩奴隷ルートは確定したようだ」

美琴「………バッドエンド?」

美琴「男なのに女にされる…?」プルプル

フィ「どんまい」

美琴「不幸だァァァああああああッ!!!」

第七学区 とある高校の学生寮 土御門宅――


美琴「……」フラフラ

絹旗「戻ってきまし…御坂? 顔色が超悪いんですけど…」

フィ「放っといてやれ。少々絶望しているだけだ」

黒子「お姉様、しっかりしてくださいまし!」

土御門「さっきと別人みたいだぜい?」

美琴「…純潔が、散らされる…」ジワ

黒子「お姉様の純潔は上条さんに捧げたのでは?」

絹旗「じゅ、じゅ純潔!?」

土御門「…カミやん、ついにこっち側に来たのか」トオイメ

フィ「こいつはまだ生娘だぞ。上条当麻の帰国と同時に散らされるだろうがな」シレ

美琴「手篭めにされるなんて…」ポロポロ

黒子絹旗「!?」

土御門「カミやんなら明後日に帰国する予定ぜよ」

美琴「そんなの、嫌だ…」ヒックヒック

黒子「腐れ類人猿がああああァァァッ!! お姉様を泣かせやがってええええ!!」

絹旗「殺す! 上条当麻、超殺す!!」

黒子「ここは協力してでも、あの猿を血祭りにあげるしかないですの!」

絹旗「了解です。御坂の貞操は私たちで守りましょう!」

土御門「面白いことになってきたにゃー」

フィ「この調子で戦力を増やせば、貴様の身の安全は守られるかもな」

美琴「…俺に力を貸してくれるのか」グスグス

黒子「当然ですの」キッパリ

絹旗「友達を助けるのは当たり前です。御坂が言ったことですよ?」ニコ

美琴「…そうだったな。絶望するには、まだ早いよな」

美琴「二人とも、さんきゅーな。元気でた」

土御門「絹旗はいいのかにゃー。イギリス行きがふいになるかもしれないぜい?」

絹旗「…構いません。麦野たちの居場所は知りましたし、御坂を見捨てたくありません」

美琴「絹旗……御坂さんは、この感動を超抑えることができません!」ギュッ

絹旗「きゃあ! み、御坂、真似しないでください///」ジタバタ

黒子「ぎゃああああ!? 黒子も、黒子も混ぜてほしいですのォォォーッ!!」ガバチョ

フィ「うおっ! 暑苦しい、離れろ!」

土御門「やはり時代は女子中学生ぜよ」ニヤニヤ





美琴「迷惑かけてごめんなさい!」ペコ

土御門「いやいや、お互いカミやんのフラグ体質の被害者ぜよ」ケラケラ

美琴「あ、あはは……」

土御門「フラグ立てまくりなのに、回収はしないから性質が悪い……ムカついてきた」イライラ

美琴「…反省します」ズーン

土御門「ん?」

絹旗「御坂、先に行きますよ」

美琴「おおお邪魔しましたぁーー!」タッタッタ

土御門「……」

土御門「……」pipi ヨビダシチュウ

海原『もしもし、なにか進展がありましたか?』pi

土御門「ああ、とんでもないことになったぞ海原」

海原『ッ!? なんです』

土御門「明後日、超電磁砲の処女が奪われるらしい」

海原『…………はぁああああああああ!!!???』

土御門「上条当麻が喰っちまうそうだ。超電磁砲がマジ泣きしながら言ってたぞ」

海原『か、彼は一体なにを考えてるんです!? 御坂さんは中学生ですよ!? 犯罪ですよ!?』

土御門「オレたちと比べれば可愛いもんだがな」

海原『統括理事会が御坂さんを狙ってるのに、あああああッ! 気が狂いそうだ!』

土御門「だがこれはチャンスだ。どうも超電磁砲と上条当麻が一戦やらかすみたいだからな」

海原『…その時起きる混乱を利用すると?』

土御門「その通り! 例の助っ人は裏切ったが超電磁砲にべったりだし、最悪の事態は回避できそうだ」

海原『自分にとっては、ある意味最悪ですけどね……』

土御門「お前もいい加減、義妹に乗り換えたらどうだ?」

海原『余計なお世話ですッ!!』pi

土御門「……うにゃ?」

土御門「カミやんが超電磁砲とにゃんにゃんする……ねーちんは…?」アレ?

第七学区 とある病院前――


美琴「黒子たちは、やることがあるってことだし、俺も頑張りますか」

フィ「何故病院に来たんだ?」

美琴「カエル顔の先生に入れ替わりのことを相談しようと思う」

美琴「解決法を知ってそーだしな」

フィ「冥土帰しか。貴様にしては妥当な選択だ」

美琴「…お前の推理が外れて、アイツと争うことなく解決できるのが一番だけど…」

フィ「確かにそうだが、それと予防線を張るのは別問題だ」

美琴「うん……愛玩奴隷ルートだけは回避しないとな」ガクブル

御坂妹「愛玩奴隷とはなんですか、とミサカはお姉様に問いかけます」

美琴「愛玩奴隷ってのは……御坂妹か」

御坂妹「はい、ミサカは検体番号10032です、とミサカは質問は無視かよと腹を立てつつ答えます」

美琴「お前には一生知らないでほしいから、内緒だ」

御坂妹「……」テヲトリ、ムネニアテル

美琴「?? どうしたんだ?」

御坂妹「お疲れのようなので脳波と脈拍のチェックをしました、とミサカは無表情を装い受け答えします」ドキドキ

美琴「心配してくれたのか。さんきゅーな」ニコ

御坂妹「はい///、異常はありませんでした、とミサカは答えつつ、用事があるのでこの場を去ります」スタスタスタ

美琴「おう、またなー」ヒラヒラ

フィ「……」

第七学区 とある病院――


冥土帰し「君が来るのは珍しいね?」

美琴「実は相談したいことが……」

冥土帰し「深刻そうだが、なんだろうね?」


事情を説明中―――


冥土帰し「事情は飲み込めたけど、つくづく君は面白い目にあうね?」

美琴「あはは…」ズーン

冥土帰し「まあ、入れ替わった御坂君を連れてくれば、すぐにでも治せるね?」

美琴「ほ、本当ですか!」

冥土帰し「嘘は言わないよ?」

美琴「明後日、連れてきますからお願いします!」ペコリ

冥土帰し「それじゃ明後日に。今日はもう帰っていいよ?」

美琴「先生! ありがとうございました!」タッタッタ

冥土帰し「元気がいいね……」

御坂妹「失礼します」

冥土帰し「脳波はどうだったね?」

御坂妹「ミサカの記憶する、あの人のパターンと殆ど一致しました、とミサカは興奮気味に答えます」

冥土帰し「そうか…御坂君の言った通り上条君が相談に来たよ。計画書は目を通したあと破棄したんだが…」

御坂妹「お姉様の計画、必ず成功させてみせます、とミサカは全ミサカを代表して、ここに宣言します」

冥土帰し「作戦コード・アヴァロン……こんな壮大な計画を実行するなんて、君達のお姉さんは凄いね」

御坂妹「はい。あの人を独占できるのに、ミサカにも幸せを分けてくれました、とミサカは優しいお姉様を尊敬します」

冥土帰し「妹達の存在を受け入れるほど、この世界は優しくない。だが救いがないわけじゃない」

冥土帰し「僕は君達の保護者だ。妹達の幸せのために協力は惜しまないよ」

御坂妹「ありがとうございます」

御坂妹「ミサカのミサカによるミサカのための楽園、誰にも邪魔はさせません、とミサカは……」

冥土帰し「彼はどうしてる? 彼方此方の施設を破壊して回っていたようだが」

御坂妹「お姉様と一緒に明後日帰国する予定です、とミサカはスケジュールを確認しながら答えます」

冥土帰し「彼も協力を?」

御坂妹「はい。お姉様と二人で、あの人を確保するようです、とミサカはあの人に同情を禁じえません」

冥土帰し「仕方ないとはいえ、上条君も災難だね……」

今回はここまでです。上条さん編はもうちょいで終わりです
御坂さん編はちょこっとクロスオーバー要素があるんで嫌いな人は注意を

一週間も音沙汰なくて、すみません
今から投下します


第十七学区 操車場――



美琴「ここなら平気かな?」キョロキョロ

フィ「昼間からこんな人気のない場所でなにをする気だ」

美琴「能力の試し撃ちをするんだよ」

フィ「いよいよ真剣になったか」

美琴「まあな。最悪の場合、アイツを無理やりにでも病院に連れていかないと、だろ?」

フィ「実行するには、貴様が能力を完璧に使いこなす事が最低条件だろう」

美琴「ハードル高いなー」

フィ「時間は有限だ。さっさと始めろ」

美琴「まずは基本の電撃から…」ビリビリ












フィ「電撃、砂鉄操作、磁力を用いた高速移動、電磁波レーダー、雷撃の槍…」

フィ「一応使えているな」

美琴「ああ、結構コツを掴んだぞ。……こんな風にッ!!」ビリビリッ フワッ

フィ「無数の鉄骨を磁力で操っているのか…」

美琴「よっと、元の場所に戻してーっと!」ガタガタガシャーン!

美琴「どうだ? あのまま射出することもできるぞ」

フィ「戦術レベルの攻撃だ。威力が有りすぎて街中では使えん」

美琴「確かに……」ウーン

フィ「一人で戦うわけじゃないんだ。攻撃範囲は絞れ」

美琴「そうは言ってもなぁ。まとめて吹き飛ばす!って能力だろ、これ」

フィ「超能力者だから仕方ない。一人で軍隊と戦える、人間戦略兵器だからな」

美琴「能力が強すぎるのが弱点ってことか」

フィ「被害を考えればな。現状で幻想殺しに最も有効なのは、電撃だろう」

美琴「電撃ぃ? そんなの一発で打ち消されてお終いじゃねーか」

フィ「幻想殺しの弱点は効果範囲の狭さだ。四方八方から電撃を放ち続ければ、そのうち捌ききれなくなる」

美琴「そこを絹旗と黒子に、ってとこか?」

フィ「それがベストだ。小学生の能力が存外強力なのは、嬉しい誤算だったな」

美琴「…いい加減、名前で呼んでやれよ」

フィ「奇襲向きの能力だから、空間移動との相性もいい」

美琴「スルーですね。分かります」

フィ「勝利条件は満たしたと言ってもいいだろう」

美琴「…なんか嫌なフラグがたった気がするんですけど」

フィ「幻想殺しが如何に脅威だとしても所詮、一兵にすぎん」

フィ「戦術を練った我々の敵ではない」

美琴「お前が言うならそーかもな。そんじゃ最後に試してみるか、超電磁砲!」

フィ「第三位の異名たる技か」


美琴「コインを弾いて……」ピーン

美琴「…いっけェェえええええーーッ!!」バチバチッ ドゴーーーーーーン!!


フィ「……見た目は派手だが、これは」

美琴「び、ビームだ! 超電磁砲、マジ格好いいな!」ダイコーフン

フィ「磁力で大量にものを飛ばしたほうが強力じゃないか?」

美琴「浪漫だよ、ロマン! 分っかんねーかなぁ」チッチッチ

フィ「知るか。だがまあ結果は上々だ。そろそろ引き揚げるとしよう」


美琴「……」キョロキョロ

フィ「どうした?」

美琴「能力を使うのに夢中だったから気づかなかったけど……」ガタガタ

フィ「これは酷い。あたり一面瓦礫の山じゃないか。警備員(アンチスキル)に見つかれば即逮捕だな」

美琴「…まぁ、見つからなきゃ…」

??「あっちから凄い音がしたぞ!」

美琴「……」ピューーーー ダッシュ


第七学区 とある公園――


佐天「あ! 御坂さん発見! …何してるんだろ?」



美琴「…喉が渇いたー」ハアハア

フィ「そこの自販機で買って飲めばいいだろう」

美琴「そーだな。ん~…ヤシの実サイダーでいいか」チャリン ピ

フィ「ホットにしておけ。体を冷やすのは良くないぞ」

美琴「もう押しちまった……あれ? 出てこない…」

フィ「投入金額がゼロになってるな」

美琴「マジ!? って、ああぁぁぁーーッ!!」

フィ「うるさい」

美琴「この自販機、前に二千円札飲み込んだやつじゃねえか!」

美琴「クソッ! 小銭は飲まないんじゃなかったのか」

フィ「別のところで買えばいい」

美琴「嫌だ、絶対取り返す! ……そうだ」ピコーン

美琴「確か、こんな感じで…ちぇいさーーーっ!!」ベキッ!

美琴「――ッ!?」

フィ「……」

美琴「痛いッ!! なんかベキッていった! まさか折れた!?」

美琴「あぁ…内出血してる。うう、予想以上に貧弱だ…」

美琴「こんなとこ誰かに見られたら、また馬鹿にされ……」

佐天「……」ジー

美琴「…見た?」

佐天「……ちぇいさー」ボソ

美琴「見たな見たの見やがりましたね三段活用! 忘れて下さいお願いします!」ドゲザ

佐天「むふ~、どーしよっかなぁ~?」ニヤニヤ

美琴「笑顔が恐いんですけど……」

佐天「アハハ、冗談です。何もしませんってば」

美琴「…ったく、人が悪いぜ」

佐天「いや~御坂さんを見てると、つい弄りたくなちゃって。困ったなー」

フィ「その気持ちは共感できるな。困ったものだ」

美琴「コイツら…」プルプル

フィ「コレは超能力者の癖に基本、馬鹿だからな。フォローが大変なんだ」

佐天「馬鹿っていうか、ノリが良くなったんじゃないかな?」

フィ「好意的な意見だな」

佐天「なんか親しみやすいのよねー。壁を感じないっていうか、ん~、なんだろ?」

フィ「良かったな、褒められてるぞ」

美琴(俺が本来、無能力者だからかな?)

美琴「ところで佐天さんは何してたんだ?」

佐天「へ? ……しまった! 初春に宿題を見せてもらうんだった!」

美琴「宿題…だと…?」

佐天「初春待たせてるんで、バイバイ、御坂さーん!」タッタッタ

フィ「騒がしい奴だな」

美琴「そーだよ! 宿題だ!」

フィ「宿題?」

美琴「補習の代わりに大量に課題を出されたんだ……まだ全然やってねーよ…」

フィ「今はそんなもの、どうでもいいだろう?」

美琴「良くねーよ! 俺の進級が懸かってるんだぞ!?」

フィ「……仕方ないな、さっさと終わらせるぞ」

美琴「そんな簡単に終わる量じゃねーんだよ…」

フィ「普段の貴様ならな。だが今は御坂美琴の知識が使えるだろう?」

美琴「そうか! その手があるな。早速寮に行こう」タッタッタ


第七学区 とある高校の学生寮 上条宅――



美琴「よっこらせっと。やっぱ便利だなー、この能力」スタッ

フィ「壁伝いにベランダから部屋に入るとは、確かに便利だな」

美琴「鍵を持ってないから助かったぜ」

フィ「時間が勿体無い、課題に取り掛かれ」

美琴「はいはい」ゲコッゲコッゲコ

美琴「御坂妹から…? もしもし」pi

御坂妹『ミサカですが今大丈夫ですか? とミサカは丁寧に確認を取ります』

美琴「いいけど、何か用事か?」

御坂『はい。相談したい事があるのですが、とミサカはお姉様に頼りたい心情を吐露しました』

美琴「それは構わねーけど…」

御坂妹『良かった。それでは玄関から離れて下さい、とミサカは突然警告します』pi



美琴「玄関…?」

フィ「伏せろ!!」ドカーーーーーーン! ドアフットブ

美琴「!!??」ビクッ


御坂妹「お邪魔します」スタスタスタ

美琴「み、御さッ…」

御坂妹「あまり余裕がないので、このまま連行します、とミサカはお姉様を拘束しながら言い放ちます」カチャカチャ

美琴「ちょっと待て!! どうしてお…」アタフタ

御坂妹「この拘束具は特別製なので、お姉様の能力でも外すことは叶いません、とミサカは残酷な事実を教えます」

美琴「そんな説明いらな…」

御坂妹「移動します。少しの間我慢して下さい、とミサカは誠意の篭ってないお願いをします」

美琴「聞いて!? 御坂さんの話を聞い…」グス

御坂妹「五月蝿いです」シュー

美琴「……」スヤスヤ

フィ「催眠スプレーか」

御坂妹「はい。これ以上手荒な事はしません、とミサカは今更と思いつつ安心を促します」

フィ「本当に今更だな……」


風紀委員 第一七七支部――



黒子「お姉様を拘束とは、どういう事ですの!?」

固法「本部からの要請なんだけど、私にも何がなんだか…」

黒子「意味が分かりませんわ! 罪状はなんですの!?」

固法「器物損壊。第十七学区にある操車場を、常盤台の制服を着た電気使いが大暴れして、滅茶苦茶にしたらしいのよ」

黒子「……」

固法「だから御坂さんが真っ先に疑われてるの」

固法「御坂さんがそんな事するわけないのに、本当に意味が分からないわ」

黒子「そ、そうですわね」アセアセ

黒子「……類人猿を葬り去る予行練習?」ボソ

固法「白井さんから御坂さんに連絡とってもらえる?」

黒子「それでは直接話を聞いてきますの!」シュン!

固法「え? 電話でいいのに…って、いっちゃった」


第七学区 とある病院 御坂妹の部屋――



御坂妹「…以上が作戦の概要です、とミサカは懇切丁寧に説明しました」

フィ「たった数日でそれだけの事が……分かった。俺様も協力しよう」

御坂妹「それでは上条さんには内緒ということで、とミサカは悪い微笑みをうかべつつ了承します」

フィ「俺様は現状維持が望ましいからな。むさ苦しい男の肩より、美少女の肩が良いに決まってる」










美琴「…ん、あれ…?」

御坂妹「お目覚めですか?」

美琴「おー、目が覚めた…って、テメエッ! 俺に何しやがった!!」

御坂妹「のっぴきならない事情により、お姉様を保護しましたが何か? とミサカはしれっと答えます」

美琴「保護? 拉致の間違いじゃないんですか…」

フィ「そう責めてやるな。貴様が指名手配されていたから焦っていたんだろう」

美琴「あの…今とんでもない事をサラッと言わなかった?」

フィ「指名手配されたことか」

美琴「え、嘘だろ? ……もしかして、さっき操車場で超電磁砲、ぶっ放したから?」オロオロ

御坂妹「……」フイッ カオソラス

フィ「……」

美琴「あ、や…どうしよう」オロオロ

フィ「……」

御坂妹「……自首」ボソ

美琴「!? そうだよな。じ、自首しなきゃ…」オロオロ

フィ「まあ冗談なんだが」シレ

美琴「お、お前らなあ! マジで犯罪者になったかと思ったじゃねーか!!」

御坂妹「お姉様は単純ですね、とミサカは笑いを堪えながら…ぷふッ」

美琴「笑うな!…って、無表情じゃねーか…」

フィ「操車場を瓦礫の山にしたのは事実だろうに」

美琴「……きっと魔術師の仕業だ。そーに違いない」

フィ「まあいい。それより夜も遅い、早く妹の相談に乗ってやれ」

美琴「夜? ゲッ、もうこんな時間かよ…黒子から不在がきてるし」ケイタイミル

美琴「それで? 相談くらい乗るのに、何だってこんな手荒な真似をしたんだ?」

御坂妹「無力化して拘束しておかないと逃げられると判断したからです、とミサカは黒いオーラを放ちながら答えます」

美琴「あの~御坂妹さん? 雰囲気が恐いんですけど…」

御坂妹「なにも恐いことはありません。お姉様に会って貰いたい人がいるんです」

美琴「誰だよ。まだ会ったことがない妹達か?」

御坂妹「いいえ、お姉様の大好きな…あの人です、とミサカは暴露します」

美琴「あの人って……まさか」ギクッ

御坂妹「感動のご対面です、とミサカは必死に笑いをこらえつつ入室を促します」

美琴「嫌な予感が…」カタカタ








上条「おーっす。元気してたか?」

美琴「ぎゃあああああああああああああああああああああああ!!!???」

上条「うわっ、なに品のない悲鳴あげてんだよ」

美琴「な、なななんで、ここ此処にいるんだ!? 帰ってくるの明後日のハズだろ!?」

上条「フフフ、誰かさんがね…良からぬ事を企んでるって聞いたからさ~、先手を打ったんだ♪」

美琴「あわわわ…」ガクブル

上条「ただいま、美琴」ニコッ

美琴(ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ……逃げるしかねえ!!)

上条「ん~? どうした?」

美琴「きゅ、急用があるから…さよならぁぁぁぁぁ-ーーーーーーッ!!!」ダダダダダッ

上条「…やっぱり逃げたか。無駄なのに、可愛いなー」ニヤニヤ


第七学区 とある病院 廊下――




美琴「くっそ、どーなってるんだよ!」タッタッタ

フィ「相手の方が上手だったんだろう」

美琴「御坂妹もグルだったのかよ。……あれ? なんか変だ…」タッタッタ

フィ「考え事してる場合か。追いつかれるぞ」

美琴「そーだな、細かいことは後回しだ。一先ずここを離れねーと」タッタッタ

フィ「何処に向かう?」

美琴「寮に帰る。あそこまでは追ってこねーだろ」タッタッタ

フィ「妥当な判断だ」

美琴「絶対に…絶対に逃げ切ってやる!!」タッタッタ

フィ「三下臭いセリフだな」……カツ、カツ、カツ

美琴「うるせー、……ん? なにか聞こえないか?」カツ、カツ、カツ

??「……」カツ、カツ、カツ

フィ「…前に誰かいる」カツ、カツ、カツ

美琴「関係ねえ。突っ切るぞ!」

??「威勢がいいなァ」カツ、カツ、カツ



美琴「…は?」

??「けど、そいつは無理だ」

美琴「な、なんで? 何でお前が邪魔するんだ!?」オロオロ

??「悪りィが…こっから先は一方通行だ。進入は禁止ってなァ!!」

美琴「アクセラレータ!!」

一方通行「ぎゃは、上条くゥゥゥゥゥゥン!! 遊びましょォォォォォーーーッ!!」カチッ

ここまでです。上条さん編は次でラストです
続きは今週末にでもー

なかなか来ないから

上条「歯ぁ食いしばりなさいよ最弱(さいじゃく)、私の最強(さいきょう)はちょっとばっか響くわ、……くぞ!!」ビリビリ
パキィン
上条「ふぇっ!?」
美琴「私、自分の身体って魅力ないなって思ってたけど、こうしてアンタの目から見たら結構…」
美琴「いや、とっても美味しそうね…」
上条「」
美琴「私の純潔、今ここで私に捧げなさい!」

というところまで想像しておっきした

中の人じゃなく外見キャラで書いちゃったorz
やっぱ他人様のスレで妄想は書くなって事か。すまん子

277、中と外が逆だった。もう二度と調子乗りませんごめんなさいゴメンナサイ

こんばんは、今から投下します
シリアスに見えても、行き着く先はアホ展開なので期待は禁物ですぞ

美琴「上条…?」

一方通行「呆けてっと死ンじまうぞォ」ニタア

美琴「くっ!?」クルッ タッタッタ

一方通行「はっはァ! 追いかけっこですかァ?」




美琴「クソッ! ここじゃ能力を使えねえ!」タッタッタ

フィ「落ち着け。どこに逃げるつもりだ?」

美琴「…屋上だ。屋上から能力で飛び降りる!」タッタッタ

フィ「御坂美琴に助けを求めないのか?」

美琴「一方通行は俺を上条って呼んだ…あいつ、俺たちの事情を知ってやがる…ッ」タッタッタ

美琴「だから…」

一方通行「なンだァ、結構頭回るじゃねェか」ビュン

美琴「!?」

一方通行「そォだ、俺とオリジナルは協力関係にある」

美琴「…どうしてだ? お前とアイツは…」

一方通行「お喋りしてる余裕なンてあンのかァ?」

美琴「ッ!?」クルッ タッタッタ

一方通行「ぎゃはあははッ、捕まったらゲームオーバーだぞォ!!」




美琴「…どこか隠れる場所は」キョロキョロ

フィ「そこの角を右に曲がれ。リネン室がある」

美琴「わかった!」


第七学区 とある病院 リネン室――




美琴「ベッドシーツの収納庫か…」

フィ「さっさと隠れろ」

美琴「あぁ、このクローゼットの中に…っと、入れた!」

フィ「貧乳が役に立ったな」

美琴「巨乳だったら入れなかったぜ…って、余計なお世話だ!」

フィ「静かに…来るぞ」


一方通行「今度はかくれンぼかァ? いいねェ、もォいィかァァァァァァァい!! ってかァ」

一方通行「ン? リネン室……」



一方通行「オイオイ、結構な広さじゃねェか」

美琴「……」

一方通行「クローゼットは…隠れるほどスペースがねェか…」

美琴「……」ドキドキ

一方通行「他は……いないな」

美琴「……」ドキドキ

一方通行「時間が勿体無ェ、他の部屋を探すか…」

美琴(なんとか凌げたか。もう適当な窓割ってでも外に逃げないと…)

美琴「……」ゲコッゲコッゲコ

一方通行「なンですかァ? カエルゥ? …このクローゼットか」

美琴(ぎゃああああ!! このタイミングで携帯!? 不幸だ…)


一方通行「上条くン、見ィィィつけたァァァァァ!!」

美琴「あは、あはは。嫌だなぁ、一方通行さん、凄く恐い顔してますよ?」ガクブル

一方通行「テメェは顔が引きつってンぞ。そンなにビビるこたァねェ」ニヤ

美琴「と、とりあえず、携帯に出ても…」ゲコッゲコッゲコ

上条「ちょろっと貸して……絹旗ね」pi

美琴「な!?」

上条「もしもし……俺? 上条だけど。…うん、一緒にいる。…第七学区の総合病院だ。さっさと来ねえと大変なことになるぞ」pi

美琴「おい! どういうつもりだ!! 絹旗に手を出すなら、おまえでも許さねえぞ!!」

上条「何もしねーよ。…でも絹旗さんはヤル気満々みたいだけど? なんか御坂に酷いことしたら、超殺すって言われたしな」

一方通行「絹旗最愛か。探す手間が省けたなァ」

上条「ああ。これなら今日中に戻れそうだ」

美琴「何言ってるんだ…?」

一方通行「なァ、オリジナル。そろそろネタばらし、してもいいンじゃねェか? もう十分だろ」

上条「う~ん…」

美琴「ネタばらし?」

上条「まずは妹の部屋に戻ろう。話はそこで、な?」


第七学区 とある病院 御坂妹の部屋――



上条「……」ジー

一方通行「……」ジー

冥土帰し「……」ジー

御坂妹「……」ジー

美琴「あ、あの、どーして御坂さんを見つめているのでせう? ネタばらしってのは…」アタフタ

上条「美琴…」ズイ

美琴「ちょ、か、顔ちかい///」

上条「キスしていいか?」

美琴「ききき、キスっ!? しかも人前で!?」

上条「嫌か?」

美琴「…………嫌じゃねーよ」

上条「それじゃ…」

美琴「でもこのままじゃ嫌だ!!! 俺は…俺は上条当麻として、御坂美琴にキスしたいんだ!!!」

上条「……」

美琴「なあ、こんなこと…もうやめよう?」

美琴「こんな事しなくても俺は、お前に心底惚れてるから…だから元に戻ろう?」

上条「……」ウズウズ

美琴「戻って告白の返事をしたいんだ。約束しただろ? 帰ったら聞いてくれるってさ」

上条「い、今、聞かせて?」ウズウズ

美琴「だから元に戻ってから…」

上条「いいから!」ウズウズ

美琴「…わかった。一度しか言わねーからな」

上条「う、うん」ドキドキ


美琴「俺は…上条当麻は、御坂美琴が…大好きです」

美琴「好きになった過程は滅茶苦茶だったけど、おまえを大切に想ってるのは本当だから…」

美琴「だから……恋人になってください///」


上条「……///」プルプル

一方通行「……///」キュンキュン

冥土帰し「……」ニヤニヤ

御坂妹「……///」プルプル


美琴「えっと…、駄目…かな?」

フィ「精神の安定を確認した。もう大丈夫だろう」

美琴「え…? なに…」

上条「もう無理! 我慢できないッ!!」ガバチョ

美琴「!?ッ」ビクッ

御坂妹「もう、ゴールしてもいいよね?、とミサカは自己完結をああもう堪りません!!」ガバチョ

美琴「御坂妹まで!? ちょ、力入れすぎだ、痛いッ!」オロオロ

上条「クソ魔王の言う通りだったわ! 当麻、何でそんなに可愛いのよ!?」ギューッ

御坂妹「カッコいい貴方も素敵ですが、純情乙女な貴女には抗い難い魅力ががが…」プスプス

美琴「意味わかんねーよ!? あ、一方通行ッ、助けてくれ!」アタフタ

一方通行「悪くねェ…///」

美琴「なんで顔赤いの!? 正気に返れ!」

一方通行「ン? あァー、オマエら落ち着け。ヒーロー……じゃねェ、ヒロインが困ってンぞ」

美琴「ヒロインって……」

上条「ちょっと! 当麻は私のヒロインなんだからね!!」

美琴「違ッ!? おまえが…」

一方通行「はッ、ヒーロー気取りですかァ? テメェじゃ役不足なンですけどォ」

美琴「そんな事より、告白の返事は…」

上条「なぁんですってええええ!!」

美琴「話を…」

一方通行「テメェの中のヤロウは、俺に王道を目指せっつってたしィ、それにはヒロインが必要だろォが」

美琴「告白のへ…」

上条「はぁ? 悪党だからガラじゃねえ、とか言ってたのは誰よ!」

一方通行「はン、悪党の王道を征く…ン?」チラ

美琴「……」ギュ

上条「どうかし…た…?」フクノスソ ツカマレル


美琴「…………おまえらぁ」グス

美琴「ひとのッ、ほ、本気のこッ、告白を、うぅッ、無視ッ、無視しやがってぇぇぇッ……」ヒックヒック

美琴「ちゃッ、ちゃんと聞いてッ、聞けよぅ…」ポロポロ


上条一方通行「……」ゾクゾク

冥土帰し「あーあ、泣かせちゃった」

御坂妹「ミサカネットワークにアップロード…完了」プスプス





フィ「いい加減、泣き止め」

美琴「泣いてねぇ、泣いてねーよ……」

フィ「あの連中も反省してる」


上条「ゴメン。当麻を泣かせるつもりは…なかったのよ?」

一方通行「…悪りィ」

御坂妹「すみませんでした、とミサカは謝罪しつつも後悔はしてません」


美琴「反省の色が見えねぇ……はぁ、もういいよ。早く元の身体に戻してくれ」

冥土帰し「それは出来ない」

美琴「え…?」


冥土帰し「君には悪いが……今は無理だ」

美琴「な、なんで?」

冥土帰し「君と御坂君が入れ替わることで、救われる子がいるんだ」

冥土帰し「すまない、上条君。患者を裏切るなんて事は、医者としてあってはならない事だが…」

冥土帰し「僕には信念を曲げてでも、守りたい子達がいるんだ」

美琴「……」

冥土帰し「恨まれて当然だし、お門違いなのも承知の上で君にお願いしたい」

冥土帰し「元に戻るのは、保留にしてくれないだろうか?」

美琴「先生…」

御坂妹「先生は悪くありません! 悪いのはミサカたち、妹達の我侭なのですから…」

美琴「妹達って……!? まさか、また実験に!?」

一方通行「そんな生温いモンじゃねェ。統括理事会は妹達の処分を決定したンだ」

美琴「はあ!?」


一方通行「第三次製造計画っつー、糞ムカつく計画があってな。まァ、妹達の世代交代みたいなもンだ」

一方通行「交代してお払い箱になる、テメェが救った妹達は殺されンだよ。維持費も馬鹿になンねェってなァ」

美琴「なんだよ……御坂妹たちを! 人の命を何だと思ってやがるんだ!!」

美琴「そんな計画、ぶち壊して…」

一方通行「無理なンだよ」

美琴「ッ! どうして!?」

一方通行「絶対能力進化とは状況が違うンだ。誰かを倒せば解決、なンてことにはなンねェ」

一方通行「相手は学園都市の闇そのものなンだ」

美琴「だからって……はいそうですかって、諦められるかよ!」


一方通行「俺はよォ、第三次製造計画に関係ある施設を、片っ端からぶっ壊して回ってたンだ。けど、いたちごっこにしかならねェ」

一方通行「そンな時に妹達の処分の決定だ。世界中に散らばってる妹達を全部守るなンて不可能だった」

一方通行「正直、打つ手なしの八方塞がりだったンだが…」

冥土帰し「御坂君が封印を解いた遺跡を使えば、妹達を全員救うことができるんだ」

美琴「そ、それじゃあ、御坂妹たちは殺されずに済むんだな!?」

冥土帰し「そうだね。ただ…遺跡を稼動させるには、御坂君が上条君の身体を使うことが絶対条件に…」


美琴「いいぜ」

一方通行「…はァ?」

美琴「戻らなくていいって言ったんだ。このままでいないと、不味いんだろ?」

一方通行「そ、それは…そォだけどよ」

冥土帰し「…いいのかい?」


美琴「細かい事情は知らねーけど、みんなの顔を見れば、嘘や冗談じゃないことくらいわかるさ」

美琴「俺に出来ることがあるなら、言ってくれよ。絶対に力になってみせるから…」

美琴「今度こそ……今度こそ妹達を救ってみせる。そう決めたからな」

上条「当麻…」

御坂妹「…ミサカたちは貴方を騙していたのですよ? なのに、そんな簡単に…」

美琴「前に俺、勝手に死ぬんじゃねえって言ったろ? おまえは、ただその約束を守ろうとしたんだ。違うか?」

御坂妹「はい…ミサカはもう誰かの都合で、死んでなんかやらないと誓いました」

美琴「だったらいいじゃねーか。生きようとすることは間違いじゃないだろう?」

美琴「ただまあ、俺だけ除け者にされてたのはムカつくけどな……フィアンマは事情を知ってんだろ」


フィ「……どうして気づいた?」

美琴「何も知らないなら、真っ先におまえが口出ししてるよ。何だかんだで俺の事を一番に考えてくれてるもんな」

フィ「フン……頼りない貴様をサポートしてやってるだけだ」

美琴「あはは、やっぱ頼りになるな」


フィ「まあ、俺様のプランは成功したし、貴様はもっと俺様に感謝するべきかもな」

美琴「プラン?」

フィ「深すぎる上条当麻への思慕に、上条当麻に対する恐怖をぶつけて相殺し、貴様の自我を守る」

フィ「それが俺様のプランだ。その遂行に都合が良いから、御坂美琴たちを利用したんだが…」

フィ「結果は上々だ。御坂美琴の想いに飲まれずに告白できただろう?」

美琴「え…? どういうこと?」

フィ「女言葉で話しだしたり、嫉妬しても暴走しなくなった。理解できたか?」

美琴「マジかよ!? ……おまえ、どんだけ優秀なんだよ」

フィ「一方通行に協力してもらったしな。当然の結果だ」

一方通行「ビビッてたもンなァ、オマエ」

美琴「当たり前だろッ! テメエが美琴と手を組むなんて…悪夢なんてレベルじゃねーよ!」

御坂妹「確かに、今のお姉様と一方通行を同時に相手取るのは、無理ゲーと言わざるを得ません、とミサカは貴方の心中を察します」


冥土帰し「ともあれ、上条君には何と礼を言えばいいのか…」

美琴「あはは、自分で決めた事だから、先生が気に病むことじゃないですよ」

冥土帰し「しかしだね、君はこれからずっと女性として生きていくんだよ?」

美琴「大丈夫ですって! ずっと女のままで…も…?」

冥土帰し「そうかい。何か困った事があれば、遠慮なく相談してくれ。君は恩人だからね」

美琴「あ、あの…」

一方通行「はンッ、流石はヒーロー改め、ヒロイン。度量が違うってかァ」

御坂妹「当然です。上条さんは全ミサカのヒーロー…ではなくヒロインなのですから、とミサカはこれからの展開に胸を躍らせます」

美琴「…そうだ! 美琴はいいのかよ!?」

上条「え、私? 私は構わない、ていうか望むところよ!」

美琴「何でそんなに嬉しそうなんだよ……」


上条「当麻も納得してくれたし、後は絹旗さんが来るのを待つだけね」

美琴「いや、女確定なんて聞いてねえ! 保留じゃなかったの!?」

上条「待ってる間にイギリスでの事とか、幻想殺しについても話しとかないとねー」

冥土帰し「それじゃ隣の部屋を使うといい。二人とも積もる話もあるだろう?」

上条「ありがとうございます。ほら、さっさと行く!」

美琴「ま、待って! 待ってくださ…」

上条「大人しくしなさい!」ヒョイ スタスタスタ

美琴「おひめッ、お姫様抱っこ!?」

フィ「こうして上条当麻は、御坂美琴として生きていくことになった。彼女の受難は始まったばかりだ」

美琴「不吉なナレーションいれんなぁ!?」

冥土帰し「病院の外に出ちゃだめだよ。聞かれると不味い話もあるだろうからね」


第七学区 とある病院 空き部屋――




美琴「不幸だ……」

上条「当麻は贅沢ね。美琴さんボディはハイスペックでしょ? ……胸以外は」

美琴「胸は関係ねえ!!」

上条「はいはい、当麻の言いたい事はわかってるから落ち着いて」

美琴「クソッ、余裕かましやがって!」

上条「女の子が汚い言葉を使わないの」

美琴「おまえに言われたくねえよ!」

上条「ハハ、こうして見ると、まだまだ子供ねー。もっと大人だと思ってたんだけどなぁ」

美琴「俺は大人だ!」

上条「背伸びしちゃって、ほら可愛い可愛い」ナデナデ

美琴「な、……撫でんなぁ///」テレテレ


上条「真っ赤になっちゃってもー、私を誘惑してる?」

美琴「誘惑!? そそそんなつもりはッ!?」

上条「本当に…ない?」

美琴「え? あ、あの、その…少しは考えたような、まだ早い気がするような…あーもぅ///」イヤンイヤン

上条「ブフっ! じょ、冗談よ。そんなマジ反応するなんて、当麻ちゃんは純情ねー」ケラケラ

美琴「死にてぇ……」ズーン

上条「ごめんってば。ちょっと調子に乗っただけじゃない」

美琴「おまえ変わりすぎだろ……」

上条「私も色々あったのよ。…色々ね」

フィ「御坂美琴、あまりコレで遊ぶな」

美琴「フィアンマ…俺の味方は、おまえと絹旗だけだ」

フィ「コレは俺様の奴隷だ」

美琴「……」

上条「…ゴメン、かける言葉が見つからないわ」

美琴「同情するなら優しさをくれ…」



上条「しょーがないなぁ、ほら」ギュッ

美琴「……」ギュッ

上条「さっきの告白…嬉しかったわ。恋人になれるなんて夢みたいよ」

美琴「……」

上条「不幸なんて言えないくらい幸せにするから」

美琴「///」

上条「ちゃんと責任は取るから、当麻は何も心配しなくていいの」

美琴「…くっそ、不幸なのに…不幸なはずなのに///」

美琴(幸せすぎて、おかしくなりそうだ。でもコイツには……絶対教えてやらねー///)














上条「心配しなくても当麻が最高に可愛い女の子になれるように、しっかり調教してあげるからね!」

美琴「………………………………………………え?」

以上で上条さん編は終了
御坂さん編を挟んで、上条さん受難編と続きこのSSは完結となります

最高だぜ>>1!!

もう我慢できないわ!と並ぶ俺的最高傑作。

上条「退院できてよかったな!」

百合子「はい!…でも」

上条「俺のことは気にすんなって」苦笑

包帯などでグルグルにされ固定された左手を上げてみる

ナイフは、手へと繋がる血管や筋などを完全に切断していた

ただ、そこは学園都市の医療と冥土返しの腕の見せ所

それだけの怪我でも全治2週間というところだ

ただ、その期間は入院して安静にしてなさいとのことで

あと1週間ほど俺は病院生活だ

やべ…誤爆した…wwwwwwwwwwwwww

無視してくださいwwwwwwwwwwww

一週間ぶりの投下いきます
今回から御坂さん編です。まずはプロローグでもー

こんなアホSSをまとめて頂けるなんて……感謝の極みッ!!



――『エメラルドの書』に曰く、




―――かつて…




―――黄金の時代があり……




―――白銀の時代があり……




―――青銅の時代があった。 そして……





????――




??「おい、聞こえるか?」

美琴「…ん、あれ? ここは…?」

??「気がついたか」

美琴「うわっ!? アンタ誰よ!」

??「俺か? ふむ、何て名乗ればいいか……」

美琴「髪は真っ白で服は黒ずくめ……こんな薄暗い所に連れ込むなんて…アンタ、変態ね!」

??「違うわ!! ったく失礼な小娘だ。そもそも連れ込んだんじゃない。お前が勝手に来たんだ」

美琴「小娘いうな! 私には御坂美琴って立派な名前があんのよ!」

??「それはそれは失礼した」

美琴「……ムカつくオッサンね」

??「オッサンじゃない!! クソッ、埒が明かん。いいかよく聞け」

??「俺の名はアロウン。お前ら人間風にいえば…魔王さまだ」

美琴「……」ジトー


アロウン「…なぜそんな目で俺を見る?」

美琴「はぁ、いい年したオッサンが魔王って……」ヤレヤレ

アロウン「……これだから最近の人間は。かつては知らぬ者などいなかったというのに……なんて時代だ」

美琴「何ぶつぶつ言ってんのよ」

アロウン「まぁいい。信じられないのも無理ない事だしな…」

美琴「そんな事より、ここは何処なのよ」

アロウン「ここか……ここは上条当麻の内側、精神世界と言えばイメージし易いか…」

美琴「アイツの…精神世界?」

アロウン「そうだ。もっとも当麻は出張中だがな」

美琴「出張中?」

アロウン「お前たちは入れ替わったじゃないか。もう忘れたのか?」

美琴「!?ッ、……そうだ、アイツと入れ替わって…確か土御門さんが…」

アロウン「なんだ、覚えてるのか。因みに、お前は催眠スプレーを喰らって爆睡中だ」

美琴「さ、催眠!?」

アロウン「よくある事だ。この程度でビビッてるようではやってられん」

美琴「うわぁ…」


アロウン「そんな不幸も今日までだがな」

美琴「どうして?」

アロウン「当麻はお前の身体に行っちまったからな。ククッ、今頃は『不幸だー』とか言ってるんじゃないか?」

美琴「…楽しそうね」

アロウン「そりゃ楽しいさ。何せ数千年ぶりの会話だからな」

美琴「数千年て……今まではアイツと一緒だったんでしょ?」

アロウン「当麻とは常に共にあったが、一度も話したことがないんだ」

アロウン「アレは非常識に見えて、実は常識人だからな。常識が枷になって、俺を認識できなかったのさ」

美琴「それって遠まわしに、私のこと非常識だって言ってない?」

アロウン「何言ってんだ。俺と会話できてる事が、お前の非常識さの証左だと言うのに……第三位の超電磁砲よ」

美琴「!?」

アロウン「驚く必要は無い。俺は当麻と感覚共有していたからな。お前のことは、ある程度把握してる」

アロウン「お前が当麻に懸想してる、とかな」

美琴「な、ななな何を!?」

アロウン「ククク、だが残念だったな。アレにとって、お前は特別な存在たりえん」

美琴「え……?」


アロウン「当麻の隣にはインデックスがいる。あのシスターが上条当麻にとって一番の特別なんだ」

美琴「シスターって……まさか」

アロウン「何度か会ってるはずだ。彼女がインデックス、当麻のパートナーだ」

美琴「そんな…」

アロウン「お前のことなんて、鬱陶しい奴程度にしか認識してないさ」

アロウン「だから御坂美琴の想いは、上条当麻に届かない。さっさと諦めろ」

美琴「!?ッ、嘘よッ!!! そんなの信じない!!」

アロウン「クックック、嘘か……ならば知りたいと強く願うがいい。ここにある当麻の想いの残滓が真実を教えてくれるだろう」

アロウン「お前にとって残酷な結果だとしてもな…」


美琴「そんなはずない!! そんなはず…ないんだから。だって、アイツは……」

美琴(嘘だって、そんなことないって言ってよ……当麻…)



  ――俺に恨みでもあるのか、あのビリビリ中学生は。はぁ、不幸だ……――


  ――何かと縁があるよなぁ。まあ腐れ縁だろーけどな――


  ――何で御坂の部屋にこんなものが……まさか実験に協力してるのか…?――


  ――こんなに御坂は傷ついてるってのに、何で俺は御坂を疑ってたんだよ…情けねえ!――


  ――この優しい女の子を守る。誰も味方がいないってんなら、せめて俺は味方でいよう。だからまずは、御坂の絶望をぶち殺す!!――


  ――御坂美琴と、その周りの世界を守る、か。自然と言葉になったけど……御坂を守ることに迷いはねーし、まぁいいか――


  ――インデックスのせいで食費が……。これじゃ万が一、彼女ができてもデートすらできねぇ。不幸だ……――



  
美琴「///」イヤンイヤン

アロウン「なんてクサい野郎だ。聞いてるコッチが恥ずかしい」


美琴「アイツは私の味方……ま、守るって…///」テレテレ

美琴(やっぱり私はアイツじゃないと嫌…。アイツが私以外の誰かを選ぶなんて考えたくない…)

アロウン「フフン、嬉しい結果で良かったじゃないか」

美琴「うん…良かった。本当に良かった……って、アンタ!! いい加減な事いいやがったわね!!」

アロウン「ハッハッハ、まんまと騙された気分はどうだ? 俺をオッサン呼ばわりした罰だ。思い知ったか小娘!!」

美琴「が、ガキかアンタは……」

アロウン「生憎、寿命なんて無いからな。心の若さを保たないと、すぐに老け込んじまう」

美琴「それにしたって大人気ないでしょーが!! あんな嘘を吐くなんて最ッ低!!」

アロウン「そうだな、悪かった、謝ろう。だが真実になってもおかしくない嘘だったろう?」

美琴「それは…」


アロウン「お前が知る以上に当麻はもてるぞ。今も誰かが虎視眈々と狙ってるだろう」

美琴「い、嫌よ……そんなの駄目…」

アロウン「お前では太刀打ちできない程、魅力的な女性だってたくさんいるんだ。アレの周りにはな」

美琴「…いや…言わないで」

アロウン「事実は事実として受け止めねば、前に進めないぞ」

美琴「そうだけど…」

アロウン「何を迷ってる? 答えは得ているだろうに。それとも、お前の想いはその程度なのか?」

美琴「ッ!?」

アロウン「これじゃ、さっきの嘘が真実になるのも時間の問題か…」

美琴「……ない…」

アロウン「なんだって?」

美琴「負けない!!! アイツを……当麻を想う気持ちは、誰にも負けない!!!」

美琴「私より魅力的? 上等じゃない! アイツだけは誰にも譲れないのよ!! 御坂美琴の本気を舐めんなやコラァァァーーーッ!!!」





美琴「ハァハァ……」

アロウン「……迷いは晴れたか?」

美琴「ハァハァ……おかげさまでね…」

アロウン「いい啖呵だった。これなら期待できるな」


美琴「はぁ? 期待ってなによ」

アロウン「お前なら当麻を任せられるってこった」

美琴「…アンタが決める事じゃないでしょ」

アロウン「そんな事はない。俺は当麻が生まれた時から共にあったんだ。誰よりアレの幸せを願ってる」

アロウン「だから、お前に協力してやろう。クックック、アレの行動パターンは完全に把握してるからな、大船に乗ったつもりでいるがいい」

美琴「本当に協力してくれるの…?」

アロウン「もちろんだ。人を見る目は確かだからな。お前ならアレと二人で幸せになれるだろう」

美琴「ふ、ふたりで幸せに……ふにゃー///」

アロウン「こら、帰ってこい」




――しばらくお待ち下さい――




アロウン「ふむ……、雰囲気からして恋愛経験は無さそうだな」

美琴「ぶふッ!!」

アロウン「ここは経験豊富な俺が策を授けてやる」

美琴「いきなり何言い出すのよ!」

アロウン「まぁ聞け。この策が上手くいけば、当麻はお前に惚れるハズだ」

美琴「!!??」


アロウン「今の状況を最大限利用するんだ。さっきアレの想いを垣間見ただろう?」

美琴「あー、うん///」

アロウン「アレにも同様の現象を起こさせる。そうなればコッチのもんだ」

美琴「簡単に言うけど、上手くいくの?」

アロウン「勝算はある。お前は気づかんだろうが、精神は肉体に引きずられるんだ。そこにつけ込む」

美琴「んー、何か論文で読んだ記憶が……確か、心臓移植の術後経過で、提供者の生前の癖なんかが患者に発現することがあるって…」

アロウン「似たようなもんだな。お前の身体には、当麻への想いが詰まってる。そしてアレは恋愛経験ゼロの童貞だ」

アロウン「心をかき乱してやって、お前のことを強く意識させる。それと連動してお前の想いが流れ込み、一気にアレを恋に堕とすって寸法だ」

美琴「どどど童貞!?」

アロウン「少々強引だが、アレにはいい薬だろう」

美琴「いきなりセクハラ発言しないでよ!!」


アロウン「やれやれ、そんなに初心でどうする。お前は並み居るライバルを出し抜いて、当麻を手に入れるんだろう?」

美琴「別に出し抜かなくたって、正々堂々アイツを振り向かせてみせるわ」

アロウン「ハァ…、考えが甘い。それは強者の台詞だ。例えばそうだな……神裂やオルソラなら強者と言ってもいいな」

美琴「かんざき? オルソラ? ………………………………私が甘かったです。生意気言ってゴメンなさい」

アロウン「自分が如何に不利か理解したようだな。だが安心しろ。アレと入れ替わった時点で、お前の勝利は決まったようなもんだ」

美琴「どういうこと…?」

アロウン「ククッ、すぐに分かるさ。…そろそろ目覚めるようだな」

美琴「ちょっ」


イギリス ロンドン・ヒースロー空港 到着ロビー ――




上条「ちょっと待って!!」

神裂「気がつきましたか」

上条「あ、あれ?」キョロキョロ

神裂「久しぶりですね、上条当麻」

上条「あ、ああ」

上条(び、びっくりした! 何で目の前に神裂さんがいるの!? つーか胸でかッ!! 産地偽装の輸入モノじゃないの!?)

アロウン(馬鹿野郎! 純国産に決まってる! ったく、アホなこと考える暇があるなら、現状把握しろよ)

上条(さも当然みたいにツッコんでんじゃないわよ!! ……やっぱり夢じゃなかったか)


神裂「驚かせてしまったようですね。今回も突然の事ですみません」

上条「えーっと、状況が掴めないんですけど……」

神裂「……土御門とステイルは何も説明しなかったのですか?」

上条「イギリスに行ってもらう、とか言われて気絶させられちゃったからなー」

神裂「土御門…ステイル…、後で覚えていなさい……」イライラ

上条「あの……神裂さん?」

神裂「し、失礼しました。それではあの子……インデックスが起きたら、今回の件について説明します」

上条「インデックス?」

神裂「はい。あなたの後ろのソファーで寝ています。超音速旅客機とやらの後遺症らしいですけど…」

禁書「う~ん……あの飛行機は駄目…なんだよ」グッタリ

アロウン(完全にグロッキーだな)

上条「……」



ステイル「おや? ようやくお目覚めかい」スタスタスタ

上条(……ステイル=マグヌス。炎の魔術師で、いけ好かない不良神父だけどインデックスの事に関しては、誰より信頼できる男…か)

神裂「ステイル! 彼らを乱暴に扱ったなんて聞いていません。どういう事ですか」

ステイル「僕は知らないよ。空港まで彼らを連れて来るのは土御門の仕事だったからね」

神裂「そんな言い訳が…」

上条「そ、そんな事より、俺たちが呼ばれた事情を説明してくんねーかな? インデックスは起きそうにないからさ」

ステイル「君にしては話が早くて助かるよ。まあ今回は事件でも何でもない、ただの遺跡調査に同行してもらう」

上条「遺跡調査? 何て遺跡なんだ?」

ステイル「ケルト海に浮かぶ孤島、そこにあるっていう遺跡なんだが……」

上条「何か歯切れが悪いな」

神裂「誰もその遺跡に行ったことが無いのですよ」

上条「はぁ?」

ステイル「近寄れないないんだ。まるで孤島に人払いの結界が張られているみたいにね」

上条「?? 近づけないのに何で遺跡があるなんて分かるんだ?」

ステイル「伝説って奴によれば在るんだとさ。僕は眉唾だけど」

アロウン(……)


上条「結構面白そーだな。幻想殺しがあれば、その島に行けるかもしれないし。遺跡調査かー」

ステイル「不気味なくらい物分りがいいね……」

上条「細かいことは気にすんなよ。ステイルだってインデックスと一緒で嬉しいだろ?」

ステイル「なっ!? ぼ、僕はあの子をそういう対象として見ていない!!」


禁書「そーいう対象って、なぁに?」ヒョコ

ステイル「い、インデックス!?」

禁書「私のこと話してたでしょう? だったら私にも教えてほしいな」

ステイル「ええとだね、その、軽々しく言うことじゃないんだ」アタフタ

禁書「むうーーっ、私だけ仲間はずれは酷いかも!!」

ステイル「そんなつもりは…」

禁書「じゃー教えて?」

ステイル「うっ…」




上条「仲いいなー、あのふたり」

神裂「いいのですか…?」

上条「ん? 何が?」

神裂「あなたとあの子は、その……」

上条「あー、そういう事か。……別にいいと思うけどな。俺が口出しするのは筋違いだし」

アロウン(おお、当麻の建てたフラグを折るつもりか! お前、意外とエグイな)

上条(うっさい!)


神裂「そうですね。無粋な事を聞いてすみません」

上条「謝る必要なんてねーよ。それより仕事の内容を詳しく説明してくれないか」

神裂「遺跡調査と言っても、私たちの仕事は先遣隊として島の発見と安全の確保です」

上条「さっきステイルが言ってた伝説ってのは?」


神裂「私は詳しくありませんが、たしか……神話の時代に、神と敵対していた魔王とその軍勢が拠点にしていた巨大な城塞があったそうです」

神裂「その城塞は、神の力さえ届かないほど堅牢で難攻不落でした。しかし神の軍勢は、魔王を城塞の外へ誘い出し……」

神裂「死闘の末、見事討ち果たしました。そして神は、魔王の城塞を島ごと封印して誰も近づけないようにしました」

神裂「もう二度と、魔王が復活しないように……」



上条(まさか……アンタのことじゃないでしょーね)

アロウン(はて? 年を取ると物忘れが激しくて困るな)

上条(あからさまに怪しい振りすんな!)

アロウン(まあ行けば分かるさ。しかし……アヴァロンか…)

上条「アヴァロン…?」


神裂「そうです。魔王が根城にしていた古の城塞の名がアヴァロン、ご存知でしたか」

上条「き、気にしないで」

神裂「??」

上条「えっと、俺は、島にかけられた封印を解けばいいのかな?」

神裂「はい。危険は少ないと思いますが、気を引き締めて事にあたりましょう」

上条「魔王の島なのに危険じゃないの?」

神裂「伝説というより御伽噺ですからね。大天使と戦うことに比べれば、子供のお使い程度の仕事ですよ」

上条「そっか。まあ何かあっても、俺たちがインデックスを守ればいいか」

神裂「その時は頼りにさせてもらいます」

上条「え? 頼りにされてるの?」

神裂「右方のフィアンマを単独で撃破したあなたを、今更素人扱いしません」

上条「それって凄いこと?」

神裂「当たり前です。あの時のフィアンマは、垣根なしに最強と言える存在でしたから」

上条「そ、そうなんだ」

アロウン(確かに最強だったな。…俺が代わりに戦おうと思うくらいに……)

上条(アイツ……無茶ばかりして)


禁書「とうまー、お腹がすいたんだよ!」タッタッタ

ステイル「今サンドイッチを食べたばかりじゃないか!?」タッタッタ


禁書「晩御飯抜きだったんだよ! 全ッ然、足りなーーいッ!!」

ステイル「上条当麻!! この子の管理者は君だろう!? 何とかしてくれ!」オロオロ

禁書「とーうーまー」ギラリ

上条(怖っ!! 目が血走ってる!?)

上条「す、ステイルがあそこのレストランで奢ってくれるって!」

ステイル「え……?」

禁書「すている! 早く行くんだよ!!」ダダダダダダッ

ステイル「こ、こらっ、引っ張るんじゃない!」


上条「おー、ギネスを更新しそうな速さでレストランに入っていったなぁ」

神裂「私たちも行きましょう」

上条「先に行ってくれ。ちょっと電話しておきたい奴がいるからさ」

神裂「はい。迷子にならないよう気をつけて下さい」スタスタスタ


アロウン(当麻に電話するのか?)

上条(うん。アイツも心配してるだろうし、アンタの策を実行するためにもね)

アロウン(そうこなくてはな。アレの追い込み方を教えるから、きっちり覚えろよ)

上条(私を誰だと思ってんのよ)




超電磁砲(幻想殺し)の堕としかた 説明中―――




アロウン(――以上だ)

上条(本当に大丈夫なの? アイツは男で、上条当麻なのよ?)

アロウン(大丈夫だ、問題ない。今のアレは女で、御坂美琴でもあるからな)

アロウン(因みに今のお前は男で、上条当麻でもあるんだぞ。アレの事を考えても冷静でいられるだろう?)

上条(!?、……確かにこれならいけるかも…)pipi

上条「……」ヨビダシチュウ


美琴『もしもし御坂か!』pi

上条「当たり前じゃない、アンタの携帯からかけてんだから」

上条(賽は投げられた。絶対にアイツを……当麻を振り向かせてみせるッ!!)

今回はこれで終了
ティアーズ・トゥ・ティアラとのクロスオーバーです。超マイナーですね
とは言ってもアロウンと舞台装置だけなんで元ネタをしらなくても無問題です
上条さんの「光を掲げる者」つながりで、電波を受信しちまったんです

上条「お れ の 子 を 産 め 」

御琴「あぁあぁあァァァァ…」

oh……まだ完結してないです。急がしすぎて投下できませんでした
申し訳ないっす
今日は休みなんで、なんとか朝までには投下します

おはようございます。今から投下します






美琴『お、俺はただ…』

上条「だからもう遠慮しない! 躊躇も! モラルなんか知ったことか!!」

美琴『ッ!?』

上条「宣言するわ。上条当麻を私のものにする」

上条「戻ったらたっぷり可愛がってやるからな」

上条「楽しみに待ってろ 美 琴 」pi





上条「……」

アロウン(やるじゃないか。素晴らしい演技力だったぞ)

上条「……」

アロウン(ククッ、当麻の奴め、随分と良いリアクションだったな。いっそ入れ替わったまま堕としてしまうか?)

上条「!?ッ」

アロウン(どうした? 何か気になる事でもあるのか)

上条(……演技なんかじゃない…)

アロウン(ああそうか、お前の当麻を想う心は本物だもんな。演技なんて言ってすまない)

上条(違う、そうじゃないの……。演技なんかじゃなくて…本気で…)

上条(アイツのこと、滅茶苦茶にしてやりたいって、壊してしまいたいって思っちゃった……)

上条(力ずくでアイツの全てを、奪って、穢して、私のものにしたいなんて……)

アロウン(まあなんだ、男なら割と普通だ。おかしな事じゃない。むしろその年頃なら女とセックs)

上条(言わせないわよ!!!)


アロウン(えー、いいじゃないかやっちまえよ。アレをお前色に染め上げてやれ)

上条(何煽ってんのよ!? ここは私を諌める場面でしょ!?)

アロウン(だが敢えて背中を押してやろう)

上条(このクソ魔王……ケンカ売ってんのか…?)

アロウン(ハッハッハ、冗談だ冗談。まあアレのフラグ体質には些かうんざりしていたし、丁度いいかとも思ったんだが)

上条(フラグ体質?)

アロウン(無節操に女を虜にする能力で、被害者は一万人以上いるな。これには俺もびっくりだ)

上条(……インデックス…姫神…妹達…風斬…オルソラ…神裂…アニェーゼ…五和…!? ママにまで……ッ!!)

アロウン(本人に自覚が無いから性質が悪い。ちゃんと責任を……おい、どうした?)

上条(アハハ、そっか…そうよね。女の子にしてしまえば、フラグなんて……建てられないわよねぇ)

上条(ありがとう、アロウン。これは一考の余地ありね)

アロウン(……藪蛇だったか)

イギリス ロンドン・ヒースロー空港 一般駐車場――




ステイル「あり得ない……財布が空になるなんて」

禁書「んぅ~~~~。お腹いっぱいなんだよ♪」ノビノビ

上条「良かったな、インデックス。ステイルにお礼を言うんだぞ」

禁書「すている、ありがとう」ニコ

ステイル「……満足したならいいんだ」プイッ


上条「これからどう動くんだ?」

神裂「まず車で港に向かいます。そこで船に乗り換えて遺跡の探索に出る予定です」

上条「船かぁ、……どんな船に乗るの?」ワクワク

アロウン(少年マンガ的な船を期待してやがる……ゴーイングなメリーは無いだろ)

神裂「ハァ……。学園都市製の高速艇です。あなたは何を期待しているのですか」ヤレヤレ

上条「いや~未知の島を探すなら、やっぱ帆船でしょう。雰囲気でるだろーし」

神裂「そろそろ迎えが到着するハズなのですが…」

上条「華麗にスルーすんなってば。あれ…? もしかしてあの車か?」

神裂「ええ」



麦野「上条君久しぶりー」

上条「!?」

上条(あの時のオバサン!? 何でこんなとこにいんのよ)

浜面「よう、上条。この仕事、俺たちも同行すっからよろしく頼むぜ」

上条「お、おう」

禁書「はまづらー、むぎのー、久しぶりなんだよ!」

浜面「インデックスも元気そうだな」

麦野「あんたは相変わらず幸せそうねぇ」



上条(『麦野沈利、超能力者の第四位。怒らせると怖いお姉さん。浜面の愛人?』……愛人って)

上条(『浜面仕上、元スキルアウトで美鈴さんを殺そうとしたクソッタレ……だった』)

上条(『けど次に会った時は恋人を守るために戦う、凄い奴になってた。愛人までいやがるし、正直妬ましい』……アンタが言うな)

アロウン(まったくだ。……それよりこの男は、お前の母親を殺そうとしたんだが、気にならないのか?)

上条(今更どうこう言うつもりは無いわよ。当麻が解決したんでしょ?)

アロウン(解決したかは微妙だが、浜面とは和解したな)

上条(だったらいいじゃない。今の私は上条当麻なんだし)

アロウン(わめき散らすかと思ったが、杞憂だったか)

上条(普段の私なら暴れてたでしょーね)

アロウン(当麻の影響か。アレは底抜けにお人好しだからな)


浜面「何してんだ上条? 他の連中はとっくに乗り込んだぞ」

上条「悪い、すぐ乗る」

禁書「とうま、どこか具合が悪いの…?」オズオズ

上条「心配すんな。どこも悪くないよ」ナデナデ

禁書「えへへ、うん!」

麦野「全員乗ったようだし、浜面、出してちょうだい」

浜面「へいへい」



移動中 車内――




浜面「無理やり連れてこられたのか。お互い扱いが悪くて苦労するな……」ヤレヤレ

上条「苦労ってほどじゃないさ。土御門は乱暴だったけど神裂たちは優しいし、仕事も面白そうだし」

浜面「やけにポジティブだな。何かいい事でもあったのか?」

上条「ふっふっふ、何時までも彼女もちが自分だけと思ったら大間違いだぜ?」チッチッチ

禁書「……」ピク

神裂「……」ピク

ステイル「……」ピキ

麦野「なん……だと…? 脅威の鈍感力を誇る、あの上条君が!?」

浜面「告白を受け入れた!? それ以前に告白されたことに気づいた!? 安心と信頼のスルースキルはどうしたの!?」

上条「何で告白されるのが前提なんだよ。俺が相手に好きって伝えただけですよ。絶対モノにしてみせるけど」

浜面「お前は誰だ! 付き合いは短いけど、お前が上条じゃねぇ事くらいわかるぞ!」

上条「酷い言い草だな。まあ無理ないけどさ」

禁書「……」プルプル


アロウン(おい! 何いきなり爆弾を投下してやがる!! もっと慎重にだな…)

上条(さっき言ったでしょ? 遠慮も躊躇もしないって)

アロウン(それにしたって、あぁ、インデックスが今にも泣きそうじゃないか!?)



禁書「と~う~ま~」ギラリ

上条(怖っ!? どこが泣きそうなのよ! 今にも噛み付きそうの間違いじゃない!)

上条「インデックス? 落ち着いて…」

禁書「問答無用ー!!」ピョーン

上条「ちぃッ!」ガシッ カオツカム

神裂「白刃取り……やりますね」

禁書「大人しく噛まれるんだよ。とうまーッ!!」ジタバタ

上条「なんて力!? こうなったら……ステイル、パス!」ポイッ

禁書「ふぇ…?」

ステイル「あ、あぶなッ!?」キャッチ

麦野「ナイスキャッチー」

禁書「とうまっ! 女の子を放り投げるのは酷すぎるかもッ!!」

上条「噛み付くのも酷いだろ!!」

麦野「ところで上条君、相手は誰?」

浜面「そうだよ! お前がイカレちまう女って、どんなのなんだ?」

上条「え? 御坂美琴だけど……」


麦野「あァ? 第三位ィ?」イラッ

浜面「常盤台の超電磁砲かよ……」

禁書「短髪ぅー?」イライラ



上条「な、なんだよ」

禁書「信じられない……あんな品のない女のどこがいいの?」

麦野「そーだなぁ。ありゃ小便臭いクソガキだ。やめとけ」

浜面「超電磁砲がどんな人間かは知らねぇけど、中学生だろ? ロリコンはヤバイって、マジ犯罪だから」

上条「……」ムカッ

アロウン(ハッハッハ、言いたい放題じゃないか! こりゃマジで手加減してる余裕は無いな)

浜面「悪いことは言わねえ。考え直せ、な?」

禁書「それがいいかも。とうまはビリビリされて喜ぶ変態さんじゃないもん」

麦野「女ならもっと良いのがいるだろーが。あんな乳臭いガキを選ぶ必要はねえよ」

浜面「そうだぜ。俺たちは、お前の事を思って言ってるんだ。恩人がロリコンに成り下がるなんて、忍びねぇんだよ」

麦野「浜面の言う通りだ。ロリコンは病気だからなぁ」

上条「……」ムカムカ

アロウン(むぅ……、ロリコンは病気か……手厳しいな)


麦野「あんたなら引く手数多だろう? 五和とか神裂にしとけ」

神裂「わ、私は、その、あなたは恩人であって……別に特別な感情があるわけでは…///」ボソボソ

禁書「なんで私の名前が出ないの!? 酷いんだよ、むぎの!」

浜面「インデックスもアウトだろ。ロリ的に考えて……そろそろ着くぞー」

ステイル「インデックスにはまだ早いかもしれないね」

禁書「そんな事ないもん!! とうまのパートナーはわたしだもん!!」

上条「……」ブチッ


アロウン(あーあ、収拾つかないぞ。どうするん…だ…?)

上条「アンタらねえ……散々好き勝手言ってくれちゃってさぁ……喧嘩売ってるわけ…?」

麦野「あァン? 何言ってるんだ?」

禁書「とうま…?」

上条「誰が何と言おうと、当麻への気持ちは曲げないし、負けるつもりも無いわ」

アロウン(冷静になれ! この程度でキレるんじゃない!)

上条「いいわよ…。私が当麻に相応しくないって、本気で思っているのならッ!」

上条「まずは、そのふざけた幻想をぶち殺す!!」



禁書神裂ステイル麦野「…………………はぁ???」

浜面「港に着いたぞー……って、どうしたんだ?」


イギリス とある港――



打ち止め「おそーい、ってミサカはミサカは不満を露にしてみる!」

露ミサカ「そろそろ到着するハズですが、とミサカは喧しい上位個体にうんざりしながらも律儀に対応します」ソワソワ

打ち止め「なんか10777号の言葉の端々から悪意を感じるよ、ってミサカはミサカは下克上の危険を感じてみたり」

露ミサカ「被害妄想では? とミサカは再び律儀に対応します。早くあの人に会いたいなぁ」ソワソワ

打ち止め「なになに、やっぱりあなたも上条さんにご執心なの? ってミサカはミサカは好奇心を隠さず聞いてみる♪」

露ミサカ「もちろんです。だから今回の仕事で、ミサカは上条さんへ積極的にアプローチを…ぐふふ……」

打ち止め「……帰っておいでー、ってミサカはミサカは10777号の不気味さに戦慄してみたり」

露ミサカ「ハッ!? 嬉しさのあまり意識が飛んでました。いけねっ、涎が…」ジュルリ



一方通行「何やってンだ、オマエら」フラフラ

打ち止め「あーっ! 起きちゃったの? まだ寝ててよかったのに、ってミサカはミサカはアナタを気遣ってみたり」

一方通行「十分寝た。上条はまだ来ねェのか?」フラフラ

打ち止め「上条さんが到着したら起こすから寝ていよう? フラフラだよ、ってミサカはミサカは心配してみる」

一方通行「船が揺れてよく寝れないンだよ。ここにいる方が楽だ」

打ち止め「だったら寒くないようにマフラー巻いてあげるね、ってミサカはミサカはクルクル巻いてみたりー」

一方通行「おィ、変な巻き方すンな」

打ち止め「あったかい? ってミサカはミサカは抱きつきながら聞いてみたり」ギュッ

一方通行「……まァな」ナデナデ

打ち止め「えへー///」


露ミサカ「……」ニヤニヤ

一方通行「何ニヤニヤしてンだ。気持ちわりィ」

打ち止め「どうしたの、ってミサカはミサカは聞いてみる」

露ミサカ「仲がよろしいのですね。まるで恋人みたい、とミサカは一方通行を皮肉ります。……このロリコン」ボソッ

打ち止め「ホントに恋人同士に見える!? ってミサカはミサカ…」テレテレ

一方通行「はァ? ンなわけねェだろ」

打ち止め「……」シュン…

露ミサカ「なんという鈍感。それとも照れ隠し? どっちですか、とミサカは素直に思った事を口にしました」

一方通行「どっちでもねェ」





露ミサカ「……」ソワソワ


一方通行「落ち着きがねェなァ。どうしたンだ?」

打ち止め「10777号は上条さんに会うのが楽しみで待ちきれないの、ってミサカはミサカは報告してみたり」

一方通行「あァ、なるほどな」

打ち止め「妹達は基本的に上条さんに好意を持ってるからね、ってミサカはミサカは他人事みたいに言ってみる」

一方通行「……」

打ち止め「どうしたの?」

一方通行「……別になンでもねェ」

打ち止め「ふーん……上条さんに会って何を話すの? ってミサカはミサカは昨日からの疑問をぶつけてみる」

一方通行「……」

打ち止め「何か悩みがあるんだよね? アナタが上条さんに会いたがるなんて異常だもん、ってミサカはミサカは不安になったり……」

一方通行「……」

打ち止め「またミサカのこと置いていったりしないよね……?」

一方通行「心配すンな。考え事してただけだ」

打ち止め「うん……」



一方通行「ンなことより、オマエの話を聞かせてくれ。浜面たちと上手くやれてるか?」

打ち止め「うん。みんな仲良しだから毎日が楽しいの、ってミサカはミサカは答えてみる」

打ち止め「お仕事を手伝ってるんだよ。迷子の猫を探したりー、教会のお掃除したりー、お料理をてつだったり」

打ち止め「友達もいっぱいできたよ。アンジェレネにアニェーゼ、教会のみんなとミサカは、とっても仲良しなの」

打ち止め「だからミサカは幸せなんだと思う。……思うんだけど…」

打ち止め「やっぱりミサカは、アナタと一緒にいたい、ってミサカはミサカは我侭を言ってみたり…」

一方通行「ちゃンと帰ってきてるだろ? あンまり一緒に居てやれねェけどよ」

打ち止め「うん…。アナタは疲れてるのに、困らせてゴメンなさい、ってミサカはミサカは申し訳なく謝ってみる」

一方通行「はン、ガキが気ィ使ってンじゃねェ。ガキは我侭言って当然なンだ」ナデナデ

打ち止め「……」ギュッ





露ミサカ「あ! 来ました! とミサカは我慢が出来ずにあの人へ猛ダッシュします」ダダダダダッ


一方通行「お預け喰らってた犬みてェだ……」

打ち止め「デリカシーの無い事を言わないの、ってミサカはミサカは乙女心の分からないアナタを叱ってみたり!」



禁書「……」ジトー

神裂「……」ジトー

ステイル「……」ジー

麦野「……」ジー

浜面「なんだこの雰囲気?」オロオロ

上条「き、気にしないで」アセアセ

アロウン(あーあ、どうするんだ? 怪しまれてるぞ)

上条(大丈夫、まだ誤魔化せる)

浜面「うおっ!? ミサカが凄え速さで走ってきてるんですけど…」

上条「え…?」チラ



露ミサカ「……」ダダダダダッ

上条「速っ!?」






露ミサカ「……」ギュッ

アロウン(おお! いきなり抱きつくとは積極的じゃないか)

上条「えーっと、妹達……だよな?」アタフタ

露ミサカ「はい……。ミサカの検体番号は10777号です、とミサカは呼吸を整えつつ自己紹介しました」

上条(10777号!? ロシアで一緒だった子じゃん!)

浜面「その子うちで預かってるんだけどさ、よく上条に会いたいって言ってたんだよ」

上条「そ、そうなんだ」

露ミサカ「あなたに助けてもらってから、ずっと会いたかった……」


アロウン(一途な良い子じゃないか。お前が当麻じゃないと知れば落胆するだろうなぁ。可哀相に)

上条(分かってるわよ! バレない様に気をつけ…)


露ミサカ「……お姉様?」

上条(早速バレてるぅーーーーっ!!!)


露ミサカ「この脳波のパターンは間違いなくお姉様です、とミサカは確信を持って断言します」

上条「な、何言ってるんだ? どっからどう見ても上条さんじゃないですか」アセアセ

露ミサカ「いいえ、お姉様です。見た目に騙されません、とミサカはお姉様を睨みつけます」

麦野「まさかテメエ、第三位なのか?」

ステイル「俄かには信じられないが…」

禁書「クールビューティーが嘘をついてるとは思えないんだよ」

神裂「説明……して頂けますか?」

上条「……」カタカタ


上条(どどどうしよう!? もう誤魔化せる雰囲気じゃないんですけどッ!!??)

アロウン(ふむ、こんな時は慌てず騒がず…)

上条(どうするの!?)

アロウン(神裂の胸を揉め。欲望のまま揉みしだけ! 確実に誤魔化せるぞ。……命の保障はできんが)

上条(ええーっ!? 無理無理! 無理よ無理!! どう考えても私のキャラじゃないでしょ!?)

アロウン(何を今更。当麻に発揮したドSっぷりは何処にいった?)

上条(当麻だから発揮したの!! 大体ね、神裂さんの胸を揉むなんて………ナニコレ?)ムクムク

アロウン(うわっ、コイツ発情しやがった!?)

上条(ぎゃあああああああ!!!??? 何か大きくなってるんですけどォォおおお!!!???)

アロウン(ハッハッハ、若いから当然だな)

今回はこれで終了
次は何とか今週中に投下したいと思ってます

短めですが投下します



禁書「ちょっと様子が変かも……」

浜面「インデックスとミサカは離れてろ。ヤバイ感じがする」

露ミサカ「はぁ……、アレはお姉様ですから危険はありませんよ、とミサカは落胆を隠しもせずに言い放ちます」

麦野「どういうことだ?」

露ミサカ「アレからお姉様と同じ脳波パターンを検知しました。つまりアレの中身は御坂美琴です」

露ミサカ「ちくしょう、今度こそ念願の上条さんと触れ合えると思ったのに、とミサカは失意のどん底から補足説明します」

ステイル「じゃあ、上条当麻本人は……」

麦野「第三位の身体の中ってこと?」

浜面「マジか!? 上条は大丈夫なのかよ!?」

禁書「また変な事に巻き込まれたに違いないんだよ!」

神裂「落ち着いて下さい。彼…いえ、彼女から話を聞かないことには状況が掴めません」

ステイル「そうだね。このままじゃ仕事にならない」




アロウン(おいおい、取り乱してる場合じゃないぞ。ほら、落ち着け)

上条(だってだって変なんだもん!! なんなのよコレ! どーすればいいの!?)アタフタ

アロウン(ちっ、しょうがない、俺が何とかしてやる。文句言うんじゃないぞ)

上条(何でもいい! 何でもいいからっ!)

アロウン(……万物を司る、創世の力よ…)キュイーン



神裂「話を聞きたいのですが、いいですか?」

上条(ちょっと、何も起きないわよ!?)

アロウン(まあ見ていろ)

神裂「聞いてますか…ッ!?」ツルッ

上条「危ない!」ダキトメル

神裂「ひゃうッ…!?」ビクッ

上条「だ、大丈夫?」モミモミ

神裂「どこを触って…あんッ」

上条「え…? この柔らかいのって……」モミモミ

神裂「うぁん、もう…やめッ」

上条「ぎゃああああああああ!!?? 胸だったぁぁあああ!!」



上条(何とかするってコレ!? コレなの!?)

アロウン(あ~~疲れた。神裂を滑らせただけでMPが空になっちまった)グッタリ

上条(しょっぱ!! 全力でコレかよ!! つーかMPってなによ!?)

アロウン(無茶言うな。幻想殺しに力の大部分を消されるんだぞ。俺に出来るのは精々ラッキースケベを発動させる事くらいだ)

上条(余計な事すんなや!! このクソボケ魔王が!!)

アロウン(おいおい、文句言ってる暇はないぞ。神裂がキレてる)

上条(へ…?)


神裂「……あなたが上条当麻か、そうでないかは後回しです」ユラーリ

上条「か、神裂さん、冷静に、冷静に話し合いましょう?」ガクブル

神裂「私は冷静ですよ? ええ、冷静ですとも……」チャキ

上条「ゴメンなさい私が全面的に悪かったです許してください。だからその物騒な得物をしまって!?」

神裂「……」ブンッ

上条「ひぃッ!? 無言で切りかからないでぇ!!」ヒラリ



禁書「……いつものとうまかも」ジトー

浜面「……巨乳を鷲づかみかよ。羨ましい…」ワキワキ

麦野「はーまづらぁー、何か言ったかぁ?」ギロリ

浜面「お、女の胸をいきなり揉みしだくなんて、けしからんな!」

禁書「あれ…? かおりの攻撃が当たらない?」

露ミサカ「手加減しているのでは? とミサカは適当な事を言います。はぁ……」ドンヨリ

ステイル「いいや、全力ではないにしろ、手加減してるようには見えない」



神裂「このッ! 大人しく殴られなさい!!」シュバッ

上条「無理っ! そんな衝撃波が出ちゃうようなパンチを喰らったら死んじゃうって!」ヒラリ

アロウン(いいぞ、この身体のポテンシャルをそこそこ引き出せている)

上条(音速に近いスピードで動いてるのよ!? なのにそこそこ!?)

神裂「ちょこまかと往生際の悪い……ならば、これは見切れますか!」チャキ

アロウン(!? 意識を奴の手元に集中しろ!!)


神裂「七閃…ッ!!」ドガガガガッ

上条(これは……糸!?)

アロウン(真上に跳べ!)

上条「……っっ!!」ヒュッ

神裂「なっ…!?」

上条「あ、危なかったぁ」スタッ

神裂「……」

上条「今の当たってたら死んでたんじゃない?」

アロウン(ああ、ミンチより酷い事になってたんじゃないか?)

神裂「寸止めをするつもりでした。……ですが確信を持てました。やはりあなたは上条当麻ではありませんね」

上条(ちょっと! 誤魔化せてないじゃん!)

アロウン(むう、解せぬ……)

神裂「あなたの身体能力は聖人のそれに匹敵しています。故に上条当麻であるハズがない……彼を何処にやった!!」

アロウン(調子に乗って避けまくったのが仇になったか……。素直に殴られるのが正解だったな)

上条(あわわわ…、神裂さん、マジでキレちゃった…)

神裂「喋らないなら、喋りたくなるようにするまでです」

アロウン(これ以上は冗談ではすまんな。洗いざらい白状するしか道はないか)

上条「ご、ごめんなさ…」



一方通行「こいつァ何の騒ぎだァ?」

打ち止め「うわー、地面が抉れて滅茶苦茶だー、ってミサカはミサカはびっくりしてみたり!」



上条「!?ッ」

アロウン(取り乱すな!! これ以上、場を混乱させるのは不味い!)

上条(アンタが言うな!!)

打ち止め「上条さん、おはようございます! ってミサカはミサカは元気に挨拶してみたり!」

上条「ええっと…」

アロウン(検体番号20001号、打ち止めだ)

上条(『打ち止め、感情豊かな妹達の司令塔。一方通行に懐いてる。素直でかわいい。御坂とはえらい違いだ』……あんにゃろう)

アロウン(一方通行とは和解したんだ。許せないかもしれんが、ここは抑えてくれ)

上条(……分かった)



神裂「離れてください! 彼は上条当麻ではありません!」

打ち止め「え…?」

一方通行「はァ? どう見ても上条だろォが、何言ってンだ?」

露ミサカ「嘘ではありません。アレは上条さんではなく、お姉様です、とミサカは再三に渡る説明にうんざりします」

一方通行「!?ッ ……本当なのか?」

上条「……」コクリ

神裂「それでは話してもらいましょうか」




事情を説明中――




禁書「ええっ!? 本当にとうまと短髪が入れ替わったの!?」

浜面「マジだったんかい……」

麦野「上条君は無事なの?」

上条「ええ、知識の共有ができるから当面は問題ないと思うわ」

ステイル「気になるワードも出てきたね。魔王……信じがたい事だが看過できない」

神裂「十字教徒にとって不倶戴天の敵ですからね」

上条「そんな大袈裟なモノじゃないと思いますよ? 神裂さんを転ばせるのに全力使ってへばってますから」

アロウン(へーへーそうだよ。俺は大した事のないロートル魔王だよ)

上条(何拗ねてんのよ)

ステイル「君には馴染みがない事だから知らないだろうけど、魔王という存在は世界の存亡に関わるほどに厄介なんだ」

禁書「そうなんだよ。でもアロウンなんて魔王は聞いた事ないから、真名は別にあるのかも」

浜面「真名?」

禁書「真実の名前ってこと。真名を知られるのは高位の存在にとっては致命的なんだよ」

浜面「???」

麦野「弱点を知られるから?」

禁書「うん。魔王がどんなに強くても伝説や文献が残ってるからね。そこから弱点を見つけるのは割りと簡単なんだよ」

浜面「魔王っつっても無敵じゃないんだな」

ステイル「だからと言って人間に対処できるとは思えないけどね」

神裂「そうですね。魔王とは天使が堕天したものですから、天使と同等の力はあるはずです」

一方通行「天使と同等の力……」

アロウン(……)



打ち止め「上条さんに会いに学園都市に行くの? ってミサカはミサカは聞いてみる」

一方通行「……そォだな」

アロウン(何か事情が有りそうだな。お前、聞いてやれよ)

上条(はあ? 馬鹿言ってんじゃないわよ。何で私がそんな事しなきゃいけないの?)

アロウン(一方通行を許せ、なんて言わん。だが困っているなら誰でも助けるのが上条当麻だ。聡明なお前なら気づいてるだろう?)

上条(……あーっもうッ!! やってやるわよ!)


上条「ちょっと、話があるんだけど」

一方通行「…あァ。オマエは浜面たちといろ」

打ち止め「うん……」


上条「単刀直入に聞くけど、当麻に何の用?」

一方通行「……相談したい事がある。そンだけだ」

上条「何か厄介事に巻き込むつもり?」

一方通行「そォかもな」

上条「じゃあ事情を聞かせてくれない? 私も何か力になれるかもよ?」

一方通行「オマエ、頭わいてンのか? 俺がテメエらに何したのか忘れたわけじゃねェよなァ」

上条「忘れたわけじゃないわ。でも当麻ならアンタを助けるに決まってるから、代わりに手を貸すって言ってんのよ」

一方通行「オマエに何が出来ンだ? 第三位如きに助けられる程、俺は落ちぶれちゃいねェンだよ」

上条「それはどうかしら。確かに私の能力はアンタに遠く及ばない。でも今の私は上条当麻なのよ?」

一方通行「はァ?」

上条「超電磁砲じゃ歯が立たない相手とも戦えるし、伝説の魔王さまも味方だしね。やってやれない事の方が少ないと思うけど?」

アロウン(おいおい、あまり持ち上げるなよ)

一方通行「天使に匹敵する力か…。魔王って野郎と話せるか?」

アロウン(お前と同じ超能力者なら、俺を認識できるかもな。左手で一方通行に触れてみろ)

上条「ちょっと触れるわよ」



アロウン(あーテステス、只今コミュニケーションのテスト中。聞こえたら返事しろ、このモヤシ野郎)

一方通行「誰がモヤシだ!! 喧嘩売ってンのか、あァ!!?」

アロウン(おおう、マジで話せるとは。何事も試してみるもんだな)

一方通行(……テメエが魔王か?)

アロウン(いかにも。我が名はアロウン、種族は魔王、職業は無職だ)

一方通行(俺は一方通行。種族は悪党、職業は無職だ)

上条(なんなのコイツら…)



アロウン(ハッハッハ、悪党か。同類なら仕方ない。特別に魔王さまが手を貸してやろう)

一方通行(唐突だなオイ。けど何も聞かずに、ンな事言っていいのか?)

アロウン(絶対能力進化の時から、お前の事は知ってるからな。ロシアでの事と併せて考えれば、お前の抱えてる問題くらい読めるさ)

アロウン(妹達を盾に、学園都市から圧力をかけられてるんだろう? 逆らうなら妹達を……とかな)

一方通行(……お見通しかよ。魔王ってのは読心能力でもあンのか?)

アロウン(あるけど使ってないぞ。お前は俺に似ているから何となく察しているだけだ)

一方通行(ハッ、俺も将来は魔王です、ってかァ? 笑えねェ)

アロウン(茶化すな。強すぎる力やら、犯した罪が似ているんだよ。妹達を殺した事、悔いているのだろう?)

一方通行(後悔なンざしちゃいねェ。けじめを付けたいだけだ)

アロウン(だから妹達を守るのか。だがそれは誤りだ)


一方通行(どォいう事だ?)

アロウン(俺やお前みたいな野郎に、何かを守るなんてのは向いてないんだよ。そういうのは当麻や美琴の領分だ)

アロウン(俺たちに出来るのは、ムカつく連中をぶっ殺すくらいが精々だろう。違うか?)

一方通行(……くっは、違いねェ。だったら妹達の守りは上条とオリジナルに丸投げして、俺は学園都市の闇をぶっ殺すってかァ)

アロウン(それが最善だな。当麻たちに殺しは無理だし、させたくない)

一方通行(妹達を任せる以上、襲撃者との殺し合いは避けられねェがどうする? それに一万人近い妹達を匿う場所が必要だ)

アロウン(心配いらん。今からその手段を手に入れに行く)

一方通行(調査に行く遺跡ってやつか?)

アロウン(そうだ。あそこなら妹達を全員匿えるし、守りも鉄壁だ。学園都市の科学程度では脅威にすらならんよ)

一方通行(イギリスはどうする? 勝手に遺跡を使うとなると不味い事にならねェか?)

アロウン(それも遺跡……アヴァロンを稼動させれば、どうにでもなる)

一方通行(……なンつーか、ご都合主義も甚だしい感じだなァ)

アロウン(全くだ。入れ替わった事が、こんな形でメリットを生むとはな)



上条(あの……全然話が見えないんですけどー)

アロウン(簡潔にまとめると、まずアヴァロンを確保する。そこで妹達を全員保護する。最後に…)

上条(ちょ、ちょっと待って。妹達を保護ってどういう事? もう実験は凍結されたハズじゃ……)

アロウン(そうだ、実験は凍結されたんだ。実験に使えない以上、妹達に別の利用価値を見出さないといけないって話だ)

上条(……そうかもね。でも電撃使いだから利用価値なんて幾らでもあるでしょ)

アロウン(良心的な発想だがやはり甘いな。能力なんて関係ない、もっとシンプル且つ絶大な効果のある利用法があるじゃないか)

上条(……?)

アロウン(人質だ人質。お前や当麻みたいな甘ちゃんには効果抜群だろう?)

上条(……ッ!?)

アロウン(お前はともかく、当麻は学園都市にとって危険因子になりえるからな。丁度いい首輪になるだろう)

アロウン(しかし人質にするには数が多すぎるな。見せしめに何人も…)

上条(もういいッ!! ……私の認識が甘かったのね。当麻が学園都市の暗部に目を付けられてるのは知ってたのに……)

アロウン(そうだな。だがまだ手遅れじゃない。上手く立ち回れば拠点と妹達の安全を確保できる)


一方通行(けど時間がねェ。妹達の処分が決まっっちまったンだ)

上条(処分って……まさか!?)

一方通行(そのまさかだ。新型の妹達の製造と配備が正式に決定したンだ。だから…)

アロウン(不要になったから殺す、か)

上条(……)ギリッ

一方通行(……あと俺への牽制だろォな)

上条(細かい事情はどうでもいい……。妹達…あの子たちを守る為にアヴァロンを手に入れるわよ)

アロウン(ど、どうしたんだ?)

上条「どうしたもこうしたも無いのよ。実験の時は手遅れだったけど……今度は絶対に犠牲なんて出さない」

上条「今度こそ何一つ失うことなく、みんなが笑っていられる結末を掴み取ってみせる!!」

一方通行「……」

アロウン(ハァ……、この暑苦しさは当麻の影響か。まあ嫌いじゃないが……)

上条「その当麻をモノにする作戦も並行すんのよ。今は時間が惜しいから行動あるのみ!ってね」タッタッタ

アロウン(なんか当麻だけが泣きを見る結末が目に浮かぶんだが……やれやれ、アレの不幸ぶりは歪みねえな)




一方通行「……なンか拍子抜けだなァ」

打ち止め「お姉様のこと気にしてたもんね、ってミサカはミサカはアナタの緊張を見抜いてみたり」テクテク

一方通行「はァ? 緊張なンてしてねェし。ヒステリックに騒がれたらウゼェって思ってたンだよ」

打ち止め「素直じゃないどすなぁ。男らしく謝ればいいのに、ってミサカはミサカはツンデレ同士仲良くなればいいと思ってみたりぃ」ニヤニヤ

一方通行「誰がツンデレだ! ったく、何処のどいつだ。ガキにくだらねェ事を吹き込みやがって」

打ち止め「??? アナタがツンデレなのはミサカネットワークじゃ有名だよ、ってミサカはミサカはソースを明かしてみる」

一方通行「オマエら……」

打ち止め「あっ、お姉様が呼んでる! ミサカも一緒に行っていいんだよね、ってミサカはミサカは聞いてみる!」

一方通行「来ンなっつったら大人しく留守番すンのかァ?」ニヤリ

打ち止め「ヤダヤダっ、ミサカも行くもん! ってミサカはミサカは駄々をこねてみたりぃぃーーッ!!」

一方通行「うるせェ」カツ、カツ、カツ

打ち止め「もうっ! 無視して行かないで、ってミサカはミサカは意地悪なアナタに抗議してみたりっ!」タッタッタ

今回はこれで終了
さっさと御坂さん編を終わらせて、上琴を絡ませたいなあ
次回は2~3日後くらいになりそーです

投下しまーす
この投下が終わったら、ゴッドイーターの禁書コラボの妹達をダウンロードするんだ……



移動中 船内――



浜面「……景色がぶっ飛んでくなぁ」グッタリ

麦野「……ぶっ飛んでるのは景色じゃなくて船の方だろ」ゲッソリ

打ち止め「……ミサカは…ミサカは…」ピクピク

一方通行「おいガキ! しっかりしろ! クソっ、なンなンだよこの船はァ!!」

禁書「うぷっ……胃の奥から…信仰心が…あふれそう、なんだよ…」

ステイル「いけないっ! 誰かエチケット袋を! このままじゃ大惨事に…」オロオロ

神裂「みんな大袈裟ですね。多少揺れますが酔う程ではありません」ヤレヤレ

上条「……マッハでかっ飛ぶ船より、それに乗っても何とも無い自分にびっくりした…」

アロウン(この程度で驚いてたら、この先やってられないぞ。アルビオン島は現代の常識が通用しないからな)

上条(アルビオン島? 魔王の島のことかしら)

アロウン(うむ。お前の好きな漫画に出てくる様な島だ。楽しみにしておくといい)

上条(ほんと!? うわっ、凄い楽しみなんですけど!)







露ミサカ「高速艇、お前に命を吹き込んでやる、とミサカは鬱憤を晴らすべく全力で操船します」

一方通行「もっと丁寧に操縦しやがれ! ガキも乗ってるンだぞ!」


露ミサカ「何人たりともオレの前は走らせねえ! とミサカは一心不乱に全力疾走します。ヒャッハー」

一方通行「海だから前もクソもねェよ! さっさとスピード落とせ!」

露ミサカ「だが断る、とミサカは明確な拒絶の意思を示します」

一方通行「……上条に会えなかった腹いせに暴走かよ。うぜェ…」

露ミサカ「ツンデレロリコンに乙女心は理解できないのですね、とミサカは一方通行の特殊すぎる属性にうんざりします」

一方通行「ロリコンじゃねェ! つーかオマエら、ガキに変なこと吹き込むな。オリジナルみたいになったらどうすンだ」

上条「美琴みたいになったらって具体的には?」

一方通行「あァ? テメエが言ってたじゃねェか。オリジナルは暴力的で全然女らしくねェってなァ」

上条「そ、そんな事言ったか?」

一方通行「打ち止めは素直なままでいてくれ。ビリビリみたいに凶暴になったら駄目だぞ、とか言ったろォが」

露ミサカ「それには同意せざるを得ません、とミサカはお姉様の暴れっぷりを思い出し身震いします」

上条「……」


一方通行「待てよ……よく考えたらあのガキの周りには、まともな女がいねェなァ」

露ミサカ「おいロリコン、今のは聞き捨てならねえぞ、とミサカはお姉様と比べたら十分まともである事を主張します」

一方通行「確かにそォかもな。あとロリコンじゃねェ」

露ミサカ「……あ」


上条「あんにゃろう、打ち止めに何吹き込んでんのよ」ピキピキ

一方通行「……そォだ、オリジナルだった」

上条「ひとの事散々に言いやがって……ケンカ売ってんのか! ああァ!?」ギロリ

一方通行「……」

露ミサカ「こえー…」

上条「私が女らしくないってんなら考えがあるわよ。当麻、後悔しても遅いんだから……」

上条「そうよ、私が女っぽくないなら当麻が女になればいいじゃない……入れ替わったまま堕としてやる」

アロウン(口は災いの元か……当麻よ、これはフォローできないぞ)

一方通行「なンかヤバい事ほざいてンぞ……」

露ミサカ「お姉様がダークサイドに堕ちてしまった、とミサカはガクブルしながら傍観します」ガクブル

一方通行「このままだと上条が大変な事になるな……」


アロウン(おい、キレるのも無理ないがやるべき事があるだろう)

上条「ん? あー、そうだった。船のスピードを落としてほしいんだけど、いい?」

露ミサカ「サー、イエッサー! とミサカは航行速度を落とします」

一方通行「……日和やがった」

上条「ありがとね。それで目的地まであとどれくらい?」

露ミサカ「サー、あと三十分ほどであります、サー、とミサカは淀みなく答えます」

上条「あはは、どうしたのよその喋り方」

一方通行「テメエにビビッてンだよ」

上条「はぁ? そんな分けないじゃない。何か悩みでもあるの? お姉様に話してごらん」

一方通行「テメエが原因なンだよ。空気読めクソが」

上条「私が原因? ……あぁ、当麻に会いたかったのね」


露ミサカ「はい……」ションボリ


上条「ごめん。妹の楽しみを奪っちゃうなんて姉失格ね」ギュッ

露ミサカ「あっ…」

上条「その内会わせてあげるから落ち込まないで」ナデナデ

露ミサカ「は、はい…///」テレテレ

上条「やけに素直ねぇ。もっと癖のある性格だと思ってたんだけど」ナデナデ

露ミサカ「///」マッカ

アロウン(自覚無しか。このスケコマシが)

一方通行「天然かよ……。性質わりィな」

上条「ええっ!?」

露ミサカ「うぅっ、上条さんじゃないのに……」グスッ

アロウン(軽いNTRって奴か。そんな事ばかりしてると、お前もいつか当麻を寝取られ…)

上条「縁起でもない事言ってんじゃないわよ!?」

アロウン(冗談だ。……ふむ、そろそろか)

露ミサカ「指定されたポイントに到着しました、とミサカはショックを隠しながら報告します」

アロウン(甲板に出ろ。アルビオン島沿岸に展開中の結界を突破するぞ)

上条「わ、分かった」



高速艇 甲板――




禁書「……少し楽になったんだよ」

ステイル「あんなに沢山食べるから酷い目に遭うんだ。腹も身のうちと言うだろう?」ヤレヤレ

禁書「うぷっ…、し、信仰心がまた…」

神裂「全く、しょうがないですね」セナカサスル


一方通行「気分はどォだ? まだ気持ち悪いか?」

打ち止め「うん……。平気だよ、ってミサカはミサカは強がってみたり…」

一方通行「ゆっくり深呼吸しろ。ちったァ楽になンだろ」

打ち止め「うん、心配してくれてありがとう、ってミサカはミサカはお礼を言ってみる」ニコッ

一方通行「ガキが一々気にすンな」プイッ


麦野「おーおー、冷血非道の第一位とは思えないデレっぷりね」

浜面「打ち止めには異常に優しいよなぁ」

麦野「気持ちは分かるけどね。打ち止めは可愛いから甘やかしたくなって困るわ」

浜面「その優しさを少しは俺にも向けてほしいんですけど……」

麦野「そういうのは滝壺に言えよ。……なーんか浜面見てると原子崩しで穴だらけにしたくなるなー」

浜面「撃つなよ!? 絶対に撃つなよ!?」

麦野「それフラグなんだけどなー」



上条「甲板に出たけど、どうするの?」

アロウン(なに簡単な事だ。俺の言う言葉を復唱するだけでいい)


禁書「うぅ……、あれ?」

神裂「どうかしましたか?」

禁書「とうま…じゃなくて、短髪の様子が……」

ステイル「!?ッ、上条当麻から魔力だと……?」




上条『我が真実の名、ルキフェルの名において命ずる』

上条『ダーンウィンよ! お前の真の担い手、今は無き友との盟約を……果たせッ!!』キィィーーーーーン




浜面「うおっ、まぶしッ!!」

麦野「な、何が起こった!?」

一方通行「ガキ! 確りつかまってろッ!!」

打ち止め「うん……っ!」ギュッ

ステイル「何という魔力の奔流ッ……これはまるで…」

神裂「ええ…、神の力が現出した時と同等…いや、それ以上のプレッシャーです!」

禁書「とうま……」




上条「…………びっくりした。一体何が起きたの?」

アロウン(……)

上条(??? どうしたの、急に黙っちゃってさ)

アロウン(前を見てみろ。あれがお目当てのアルビオン島だ)

上条「え……?」


浜面「なんじゃこりゃあああッ!!??」

神裂「陸地が目の前に…」

麦野「は…? さっきまで何もなかったのに……」

一方通行「凄ェなァ。どうやって隠してたンだァ?」

打ち止め「あっ、砂浜があるよ! ってミサカはミサカは報告してみる」

一方通行「上陸するのに丁度いいな」

打ち止め「それじゃあ10777号に伝えてくるね、ってミサカはミサカは駆け出してみたり!」


一方通行「おいオリジナル。ここが魔王の言ってた…」

上条「アルビオン島……現代の常識が通用しない場所らしいわ」

一方通行「どっかのメルヘン野郎みたいなキャッチコピーだな」

麦野「まぁ何があっても、この面子なら何とかなるでしょ」

浜面「麦野、それは死亡フラグだ。絹旗と見た映画で同じ事言った奴が真っ先に死んでたぞ」

麦野「だったらテメエが死ねばフラグは折れるのかにゃー。はーまづらぁ?」パシュー

浜面「滅相もありませんっ!! だからビームはやめてぇぇええええええッ!!!」


一方通行「相変わらず絶好調だなァ、第四位は」

アロウン(お前と当麻の関係にそっくりだな)

上条「アハハ……と、とにかく上陸してみましょう」




アルビオン島 砂浜――





打ち止め「わあー♪ 海も砂浜もとっても綺麗だよ! ってミサカはミサカは大興奮っ!!」タッタッタ

一方通行「おいクソガキ! いきなり飛び出してンじゃねェ!!」カツ、カツ、カツ

麦野「ほんとに過保護ねぇ」ヤレヤレ

上条「さっきから一方通行のイメージが絶賛崩壊中よ。子供に甘いなんて想像できないっつーの」

浜面「あいつロリコンだからなー」ニヤニヤ

一方通行「だァァァれがロリコンですかァ? はーまづらァァッ!!」

浜面「あれ!? お前、打ち止めを追いかけてたハズじゃ…スミマセンごめんなさいもう言いませんから血流操作はダメぇッ!!?」ドゲザ

露ミサカ「図星をつかれたとはいえ大人気ないですよ、とミサカはツンデレロリコンを諭してみました」

一方通行「だからロリコンじゃねェ!!」

上条「ロリコンは病気らしいわよ。拗らせる前に治しなさい」

一方通行「どいつもこいつも…クソがァ」

麦野「いじけるなよ第一位。多少欠点がある方が…って、インデックス? どうかしたの?」



禁書「……」ブルブル

上条「ちょっとどうしたの!? まだ具合が悪いの?」オロオロ

ステイル「さっき君は甲板でルキフェルと名乗ったが……あれは魔王の指示かい?」

上条「そうだけど…」

禁書「――ッ!?」

ステイル「なんてことだ……」

麦野「あれー? ルキフェルって何処かで聞いた気がするなー。……天使?」

一方通行「天使長ルシフェルのことだろ。確かラテン読みでルキフェルでもいいハズだ。てこたァ…」

上条「アロウンってメジャーな天使だったの?」

アロウン(……)

禁書「……変革を告げる明けの明星を司るもの。天界の三分の一を率いて神に弓引いた反逆者…」

禁書「最高位の魔王ルシファー……」

上条「ええっと……、いまいち理解できないんだけど、それって凄いの?」

神裂「限りなく神に近い力をもつ最強の天使、その成れの果てです」

ステイル「普通は鼻で笑うところだが、さっきの君を見た後だから嫌でも理解するしかない」

ステイル「上条当麻は神の宿敵だ」

上条「うーん……そんな事言われても、ねえ?」

一方通行「そォだなァ。人間味に溢れた魔王だから全然危機感がねェぞ」


アロウン(まあ殆ど人間が勝手に作った話だからな。神になんて会った事ないし、俺が率いたのは天界のクソッタレ共なんかじゃない)

アロウン(この地上に生きた愛すべき馬鹿者たちと共に、誇りと尊厳を賭けて、天界のクソッタレ共に戦争をしかけたんだ)

上条(私はアンタが邪悪な魔王なんて思ってないわよ。一方通行に似てるって言ってたし、アンタも子供に甘いんでしょ?)

アロウン(俺に言わせれば、この世界で生きてる奴ら全部がガキなんだよ)

上条(アハハ、私や当麻の事、甘いとか言ったくせに実はアンタも十分甘いじゃない)



禁書「とうまと敵同士になるなんて……いやなんだよ…」グス

上条「泣かないでよ。当麻がインデックスの敵になるわけないじゃん」

禁書「でも…」

上条「仮にそうなっても、私が絶対に止めてみせるから大丈夫よ」

禁書「ほんとに…?」

上条「ほんとにほんと。インデックスが悲しむ様な未来は、私がぶち壊してみせるんだから」ニコッ

禁書「う、うん……///」ドキッ

上条「だからインデックスは当麻の事を信じてればいいの。分かった?」ナデナデ

禁書「……うん、ありがとう、…みこと///」テレテレ

上条「どーいたしまして。ふふっ」

禁書「??? どうしたの?」

上条「美琴って、初めて名前を呼んでくれたでしょ。それが嬉しかったんだ」

禁書「あ…、短髪なんて失礼な呼び方してごめんなさい」シュン

上条「気にしちゃいないわよ。でもこれからは名前で呼んでほしいかな」

禁書「うん!! 改めてよろしくなんだよ、みこと!」

上条「こちらこそ宜しくね、インデックス」


アロウン(インデックスまで懐柔するとは。ハーレムでも作るのかエロ娘)

上条(エロ娘って何よ!? てかアンタの所為で色々と台無しじゃない!)

アロウン(本命がいるのに浮気性なことだ。当麻が可愛そうになってきたぞ)

上条(はぁ? 女同士の友情よ、ゆ・う・じょ・う。馬鹿じゃないの)

アロウン(しかし身体は男なんだ。不用意な事してると、また勃っちまうぞ)

上条(こっ、このクソボケ魔王がぁぁッ!! 思い出させんなあああああ!!!)


ステイル「……」ムスッ

神裂「納得できませんか?」

ステイル「当然じゃないか。世界崩壊のスイッチが目の前にあるようなものなんだ」

神裂「そうですね」

ステイル「でも僕は世界の平和もイギリス清教の教義にも興味がない。あの子が笑っていられるなら…それでいい」

神裂「全く、あなたも素直ではありませんね」

ステイル「フン……」



麦野「うわぁ、何だアレ。よくもまあ、あんな恥ずかしい事言えるわねぇ。第三位の評価を改めないとなー」

浜面「微笑ましいじゃねえか。確かに見てるコッチが恥ずかしくなるけどな」

一方通行「見た目が上条なのにカマくせェ喋り方……今更だがあり得ねえ」

浜面「ぶふぉッ!! そ、そういや、ククッ、そうだなッ」

麦野「顔つきは今のほうが男前なのにね。キリッとしててさ」

浜面「普段の上条は締りがねえからな。身のこなしも半端なかったし……つー事はだ、喋り方さえまともなら…」

麦野「完璧超人、上条当麻の完成ってわけか……」

一方通行「……全然わかってねェ。ヒーローはそンなンじゃ測れねェンだよ」ボソッ

浜面「ん? 何か言ったか?」

一方通行「別にィ…」

露ミサカ「ロリコンの癖に分かってるじゃん、とミサカは惜しみない賞賛を送ります。GR!」

一方通行「GR(グッド・ロリ)ってなンだ!? いい加減ロリコンから離れろってンだよォ!!」

露ミサカ「GR(ジャイアントロボ)ですよ? とミサカは被害妄想の激しいロリコンに言い放ちます」

一方通行「嘘吐けェェェーーーッ!!!」



上条「一方通行が吼えてる……またロリコンって言われたのかしら」

禁書「そんな事よりお腹がすいたんだよ、みこと!」

上条「はいはい、もういい時間だし昼食の準備を…」






打ち止め「きゃぁぁああああーーーーッ!!!」ビリビリッ






一方通行「――ッ!? クソッ!!」カチッ

麦野「浜面っ!! 行くわよ!!」

浜面「おうッ!!」

露ミサカ「……カニ?」

今回はこれで終了
アニメ化されてたなんてしらなかった……レンタル屋で借りてみます

投下します
忘年会のシーズン……はよおわれ



一方通行「クソガキっ!! 無事……かァ…?」

打ち止め「ねぇねぇ見て見て大漁だよ! ってミサカはミサカは報告してみる!」

一方通行「これは…オマエがやったのか?」

打ち止め「うん! 襲ってきたからビリビリってしちゃったの、ってミサカはミサカは予想外の威力に驚いてみたり」





香ばしく焼けたカニ?の群れ





麦野「こいつは……カニ…か?」

浜面「いやいやデカすぎるだろ…」

露ミサカ「わぁお、人間より巨大なカニなんて初めて見ました、とミサカは驚きを隠せません」

禁書「……じゅるり。おいしそう…」

浜面「ええっ!? あんな得体の知れない生き物食べちゃうの!?」

上条「昼食の食材に丁度いいわね。神裂さん、運ぶの手伝ってもらえませんか?」

浜面「え……?」

神裂「ええ。早速調理に取り掛かりましょう」

ステイル「これだけあれば、あの子の食欲を満たせるかも…」

禁書「わーい♪ かーに♪ かーに♪」

露ミサカ「お昼から高級食材を頂けるなんてwktkがとまりません、とミサカは期待に胸を高鳴らせます」

麦野「たまにはシャケ弁以外も食べてみるかー」

浜面「あれ…? 何なのこのアウェーな感じ。俺が変なの?」





一同「いただきまーす」

浜面「鍋か…見た目は美味そうだが…」ゴクリ…

禁書「あむあむ、美味しいんだよ!!」モグモグ

上条「あーもう、ご飯は逃げないから、ゆっくり食べなさい」

禁書「だって、みことのご飯美味しいんだもん!」

上条「そっか…、口にあって良かった」

麦野「大味だけど美味しいじゃない」パクパク

露ミサカ「うめぇ、カニうめぇ、とミサカは感動のあまり言語中枢が単純化します。やべえ、カニ最高だわ」ムシャムシャ

打ち止め「みんなとお外で食べるの、おいしいね♪ ってミサカはミサカは大満足っ!」

一方通行「そォだなァ。冬なのに寒くねェし、メシも美味いし、あとはコーヒーがあれば最高なんだけどなァ」

ステイル「コーヒーならあるけど、飲むかい?」

一方通行「おォ、頂きます」

神裂「なかなかいい出汁がでてますね」

上条「ふふっ、常盤台内伝のレシピです。味にはちょっと自信ありますよ」

禁書「こんなに美味しいの、今まで食べた事ないかも!」モグモグ

浜面「なんかもういいや…………」モグモグ

浜面「うまっ!! 何だコレ!?」

麦野「もうカニでいいだろ」


上条「そういえば、打ち止めがこのカニをやっつけたのよね」

打ち止め「うん、そうだよ、ってミサカはミサカは答えてみたり」

上条「凄いわね。大能力者なの?」

一方通行「いや、コイツは強能力者のハズだ」

打ち止め「なんかね、いつもよりビリビリってなるの! カナミンみたいにパワーアップしたのかな? ってミサカはミサカは疑問に思ったり」

上条「う~ん、突然レベルが上がったのかしら」

一方通行「ンな訳…」

露ミサカ「……えい」バチバチッ



ドッカァァァァーーーーーーーーーン!!!



一同「……」ポカーン

露ミサカ「すげー、これってお姉様に匹敵する威力じゃね? とミサカは自分の能力に戸惑います」ビリッ

上条「ちょ、ちょっとアンタ、いきなり何ぶっ放してんのよ!?」

露ミサカ「……てへ☆」

上条「気持ち悪いとぼけ方すんな!!」

浜面「ええっ、可愛いじゃん! ……それよりお前の喋り方のほうが、その……気持ち悪いんだが…」

上条「……マジで?」

一同「うん、マジで」

上条「そんなぁ……」ガクリ

アロウン(落ち込むなよ。当麻の喋り方を真似てみるのはどうだ? お前ならそのくらい容易いだろう)

上条(ううっ、そうする……)


一方通行「ンな事より、なンでコイツらのレベルが上がってるンだ?」

禁書「超能力のことはわからないよ」モグモグ

露ミサカ「ミサカにも理解できません、とミサカはどうでも良さげに答えます」

打ち止め「ミサカネットワークに異常はないよ、ってミサカはミサカは報告してみる」

浜面「……この島の影響じゃないか?」

麦野「確かに冬なのに暖かいし、カニもどきがいたり変な所だしな」

浜面「そういう事じゃなくてだな、この島に来てから妙に身体が軽いっていうか、調子がいいんだよ」

一方通行「そォかァ? 全然実感できねェけどなァ」


アロウン(中々鋭いな。能力開発を受けた人間や聖人なら、この島の恩恵を活かせるだろう)

上条(??? 恩恵って何?)

アロウン(簡単に言えばパワーアップする。色々ややこしいからアヴァロンに着いてから詳しく説明してやる)


一方通行「魔王なら知ってるンじゃねェか?」

上条「詳しい説明はまだだけど、アルビオン島にいるだけで能力者と聖人はパワーアップするらしい」

浜面「そういう事か。無能力者にも効果があるみたいだし、ちょっと気分いいな」

麦野「だったら超能力者はどうかにゃー」フォンッ

一方通行「さっき能力使ったけどよ、いつもと変わらな…」





ドシューーーーーーーーっと空を切り裂いて雲を全て吹っ飛ばす!!!





麦野「あは、今の見たかよ」

浜面「うおォォォォいィ!! なにしてんのォォッ!!?」

麦野「ん~? 試し撃ち?」

浜面「いやいやいや! 試し撃ちじゃねえから! 何だよアレ!? サテライトキャノンなの!!?」

麦野「予想外の破壊力だわ。空に向かって撃って正解ね」

一同「……笑えねえ」



神裂「……」ウズウズ

ステイル「どうかしたのかい?」

神裂「い、いえ…なにも」

ステイル「……自分も試してみたい、とか考えてるんだろう?」

神裂「べべべ別にそんな事…」

上条「神裂さん、俺も試しておきたいから、組み手の相手をお願いできますか?」

神裂「え……?」

上条「貴女なら手加減無しでやれると思ったんだけど…」

神裂「は、はい、全力で構いません! お相手しましょう!」

上条「それじゃあ今晩にでもお願いします」

神裂「はい」


ステイル「やっぱり試したかったのか」ヤレヤレ

神裂「別にいいじゃありませんか」

ステイル「悪いとは言わないよ。ただやりすぎないようにね……うん?」クイックイッ

禁書「もう食べないなら代わりに食べてあげるんだよ!」

ステイル「……まだ食べていたのか」




アルビオン島 街道――





上条「未開の地みたいなイメージだったけど、ちゃんとした道があるのか」

打ち止め「お散歩♪ お散歩♪ ピクニック~♪ ってミサカはミサカは歌ってみたり~♪」

上条「ハハっ、楽しそうだな」

打ち止め「すっごく楽しいよ! ピクニックなんて初めてだもの、ってミサカはミサカは答えてみる♪」ニコニコ

浜面「一方通行も一緒だし、良かったな打ち止め」

一方通行「あァ?」

打ち止め「う、うん…/// ……なんだか恥ずかしい、ってミサカはミサカは猛ダッシュ!!」タッタッタ

禁書「あ! 遠くへ行っちゃ危ないんだよ、らすとおーだー!」タッタッタ

ステイル「全く、世話の焼ける…」タッタッタ


麦野「あーあ、見えなくなった」

神裂「ステイルがついているので心配はいらないでしょう」

上条「……」

アロウン(こんな他愛無い事で、あんなに喜ぶなんてな)

上条(そうね……。色々考えさせられるなぁ…)

アロウン(アヴァロンとこの島さえ押さえれば、妹達は今よりずっと自由になれる。深く考えるのはその後でいい)

アロウン(だから悩むことはないさ。ゆっくり急げってやつだ)

上条(ええ、焦らず確実にいきましょう)




禁書「もー、ひとりで行動するのは危険かも」プンプン

打ち止め「……ごめんなさい、ってミサカはミサカは反省してみたり…」ションボリ

禁書「らすとおーだーに何かあったら、みんな悲しむんだよ」

打ち止め「うん…」

禁書「あなたは、あくせられーたの事が好きなのかな?」

打ち止め「うん……あ、ええっ!?」

禁書「ふふふ、私はシスターさんだからね。ひとの悩みに敏感なんだよ」ムフー

打ち止め「は、はずかしぃ…ってミサカはミサカは……///」イヤンイヤン

禁書「あなたも大変だね。あくせられーたは、とうまと違った意味で鈍感そうだから」

打ち止め「そうなの、いつもミサカのこと子供扱いするんだよ、ってミサカはミサカは不満をこぼしてみたり…」

禁書「らすとおーだーは、あくせられーたに女の子として見られたいんだね」

打ち止め「うん、あの人の周りには、いっぱい女の人がいるからミサカは不安になるの」

打ち止め「それに何か隠し事されてる気がする、ってミサカはミサカは……」ウツムク

禁書「らすとおーだー……」

打ち止め「でも……でも大丈夫、ってミサカはミサカは笑ってみたり」ニッコリ

禁書「???」


打ち止め「だって、あの人は何時だってミサカの事を守ってくれるヒーローなんだもん、ってミサカはミサカは信じてる」

禁書「……そっか。もう自分だけの答えをもってるんだね」

打ち止め「どんな事があっても、大好きなあの人を信じ続けるよ、ってミサカはミサカはシスターさんに宣言してみたり」

禁書「こんなに一途に想われるなんて、あくせられーたは幸せ者だね」


打ち止め「シスターさんだって上条さんの事が大好きなんでしょ? ってミサカはミサカは聞いてみる♪」

禁書「う~ん……、とうまの事は単純に好きって言うには少し複雑かも」

打ち止め「えー、どうして? ってミサカはミサカは続きを促してみたり」

禁書「半年近く、とうまと一緒にいて色んな事があったんだよ。楽しい事や悲しい事をいっぱい共有したんだ」

禁書「私は最初から、とうまの事が大好きだったんだよ。……だけどお互いに負い目を抱えててね、ある時とうまから打ち明けてくれたんだよ」

禁書「私はとうまを許したし、とうまも私を許してくれた……普通なら嫌われて当然なのに、悪いのは私なのに、とうまは笑って許してくれたんだよ…」

禁書「その時にね、気づいたの。私がとうまを想う気持ちは、恋愛感情なんてものじゃ収まらないって…」

禁書「もっと大きな……なんて言えばいいのかな。絶対の信頼っていうか、う~ん……」

ステイル「家族、じゃないかな」

禁書「!! そうだよ! 家族なんだよ!!」

打ち止め「突然の登場に的確な助言! 流石は英国紳士だね、ってミサカはミサカは賞賛してみる!」

禁書「ありがとう、すている! そっか……こういうのが家族なんだね」

ステイル「礼には及ばないさ」

打ち止め「家族かぁー、ヨミカワたちは元気かな……ってミサカはミサカは家族の事を思い出してみたり」

ステイル「一応ここは魔王の島なんだ。何か起きないうちに合流しよう」

禁書打ち止め「はーい!」





露ミサカ「……」トゥルルッ トゥルルッ

上条「……何しゃがんで片手を耳にあててんだ?」

露ミサカ「しーっ、ミサカネットワークで交信中です、とミサカはお姉様に説明します」





御坂妹『……こちらミサカ10032号、こんな時間に何の用だ、とミサカは不機嫌さを隠せません』

露ミサカ『こちらミサカ10777号、深夜にすまない。だが緊急事態が発生した、とミサカは前振りをします』

御坂妹『ちっ、上条さんとお楽しみ中のミサカが緊急事態だと? 自慢話なら絶対に許さない、とミサカは釘を刺します』

露ミサカ『お楽しみ中じゃねーし。上条さんは今、学園都市にいるんだよクソがッ! とミサカは激情のまま暴言を吐きました』

御坂妹『……どういう事? とミサカは話を促します』

露ミサカ『理屈は不明だが、上条さんとお姉様が入れ替わったんだ、とミサカは事態を報告します』

御坂妹『寝言は寝て言え、とミサカは交信をき…』

露ミサカ『待て! とにかくこのデータを見てくれ! とミサカは慌てて10032号を呼び止めます』

御坂妹『ったく、どれどれ…、とミサカは映像データをダウンロードします』

御坂妹『……………………………………………………ッ!?……ちょっと常盤台の寮に逝ってくる! とミサカは突撃の準備を始めます』

露ミサカ『落ち着け!! そんな羨まッ…ゲフンゲフンっ…そんな暴挙はよせ! とミサカは10032号を諌めます』


御坂妹『落ち着いてられるかァ! 上条さンミサカverなンだぞッ!! 気になって眠れねェよ! とミサカは興奮を抑えきれません』

露ミサカ『ロリコン口調になってるぞ。誰も行くなとは言ってないだろ、とミサカは引き続き10032号を説得します』

御坂妹『何が言いたい早くしろ! 戦争終わっちまうぞ!! とミサカは夜明け前には突撃する算段を…』

露ミサカ『だから突撃はやめろ! 10032号には偵察を頼みたいんだ、とミサカは折衷案を提示します』

御坂妹『偵察ぅ? 何でそんな回りくどい事するんだよ、とミサカは疑問に思います』


露ミサカ『第三次製造計画の事は知ってるよな、とミサカは確認をします』

御坂妹『当たり前だろ。タイミングを計って一斉に蜂起する予定じゃん、とミサカは答えます』

露ミサカ『それなんだが計画の見直しが必要になりそうなんだ、とミサカは言い放ちます』

御坂妹『はあ!? 何でだよ。ミサカたちは絶対に死ぬわけにはいかないんだぞ! とミサカは動揺を隠しきれません』

露ミサカ『より確実な計画があるとしたら? とミサカは勿体つけます』

御坂妹『……詳しく聞かせろ、とミサカは驚愕しつつ先を促します』

露ミサカ『今ミサカがいる島…アルビオン島っていうんだが、ここを拠点にする計画があるんだ』

露ミサカ『お姉様と一方通行が主導してるんだけど、ミサカたちの計画より格段に成功確率が高そうなんだよ、とミサカは驚愕の事実を伝えます』

御坂妹『お姉様たちが……』


露ミサカ『だけどお姉様たちはギリギリまでミサカたちに内緒で計画を進めそうなんだ、とミサカは歯がゆく思います』

御坂妹『何となく把握した。つまりミサカたちなりの方法で、お姉様たちの計画を支援するんだな、とミサカは言い当てます』

露ミサカ『その通りだ。そこで上条さんに護衛が必要になるんだよ、とミサカは本題に迫ります』

御坂妹『なるほど、上条さんとお姉様が入れ替わった事が学園都市に知れると色々不味いもんな、とミサカは納得します』

露ミサカ『なるべく上条さんに接触しない様に監視して、適時フォローできる様にするんだ、とミサカは指示をだします』

御坂妹『了解。引き続き先生にも協力を仰ぐぞ。学園都市の動きを把握しておくべきだろ? とミサカは判断します』

露ミサカ『そうだな。こっちも折をみて、お姉様と話してみる、とミサカは長話に一息つきます』

御坂妹『ご苦労さん。それじゃミサカは上条さんを観察する仕事に戻るぜ! とミサカは完全防寒仕様で出かけます。おーばー』




露ミサカ「……おーばー。さてミサカも行動を開始します、とミサカは決意を新たに立ち上がります」

上条「ん…? 終わったか?」

露ミサカ「待っていてくれたのですか、とミサカはお姉様に問いかけます」

上条「ひとりで置いていく訳にもいかないだろ。そんじゃ、さっさと移動すっか」

アロウン(もうすぐアヴァロンが見えてくるハズだ。なんとか日暮れまでに辿り着けそうだな)


今回はこれで終了
これくらいのペースを維持できればなぁ

時間ができたので投下します



打ち止め「結構歩いたね、ってミサカはミサカは虚弱なアナタを心配してみたり」

一方通行「ガキに心配されるほどやわじゃねェ」

打ち止め「ミサカもまだまだ元気だよ、ってミサカはミサカは元気さをアピールしてみる!」

一方通行「……うぜェ。纏わりつくな」

麦野「とか言って、微妙に嬉しそうにしてんなよ」

浜面「おい麦野。一々ケンカ売るような事言うなよ……?? 何だあれ?」

神裂「壁……でしょうか」

禁書「すごい高さなんだよ」

打ち止め「ずーーーーーっと向こうまで続いてるよ! ってミサカはミサカはびっくりしてみたり」

ステイル「しかし、随分と古めかしいね。ツタだらけじゃないか」

一方通行「……まさか、こいつが…」



上条「古の城塞アヴァロンの外壁、だってさ」

露ミサカ「ようやく追いつきました、とミサカは手頃な石に座りながらつぶやきます」

一方通行「想像してたのより、かなりデカいなァ」

アロウン(おい、無駄話してないでさっさと正門へ向かうぞ)

上条「はいはい」


アルビオン島 アヴァロン 正門――




浜面「……これまたデカいけどボロボロじゃねえか」

神裂「門にもツタが這ってますね」

ステイル「炎で焼き払ってしまうか……」

禁書「待って! ……この門…いや、アヴァロン全体の時間が止まってる? 時間に干渉する術式とは違うみたいだけど…」

禁書「解析できないし、アルビオン島の結界と同質の封印が施されてるのかも」

アロウン(お前と一方通行に確認する事がある)

上条「みんな、ちょっと待ってもらえるか? アロウンが俺と一方通行に確認したい事があるらしい」

浜面「おう。あんまり待たせるなよ」





一方通行(で、確認するってなンだ?)

アロウン(今ならまだ引き返せるって言いたかったんだ)

一方通行(はァ?)

上条(何言ってんの? ここまで来て引き返すって有り得ないでしょ)

アロウン(よく考えろ。アヴァロンの封印を解いてしまえば……この場所を本拠地に定めてしまえば、もう普通の生活には戻れなくなるぞ?)

アロウン(アヴァロンは元々、神の軍勢と渡り合うための力だった。だから学園都市や十字教を敵に回しても十分戦えてしまうんだ)

アロウン(お前たちにその気は無くても、争いの種が常につきまとう事になるだろう)

アロウン(その事を踏まえてもう一度聞こう。……引き返すつもりはないか? 妹達を見捨てる事になるが、誰もお前たちを責められん)



一方通行(……引き返す気はねェ。覚悟はとっくに出来てンだよ)

上条(あの子たちを守るためなら背負ってみせるわよ)

アロウン(愚問だったか。やれやれ、当麻が不幸になっちまうが……しょうがないか…)

上条(当麻だって同じ答えを出すんじゃない?)

アロウン(そういう問題でもないんだが……まあいいか。だが美琴、これだけは約束しろ)

上条(な、何をよ?)

アロウン(ちゃんと責任をとって、当麻を幸せにしろ。それだけだ)

上条(!!?ッ、せ、せせせ責任!? そそそれっていったい!!??)

アロウン(当麻の全てを奪っちまうんだから、大切にしろってこった)

上条(奪うッ!? そういうのはまだ早いっていうか、なんていうか…)

アロウン(ええいっ!! まどろっこしい! 約束するのか、しないのか、どっちだ!)

上条(…………する)

アロウン(よし! それじゃあ封印を解くぞ)



上条「お待たせ」

禁書「もういいの?」

上条「ああ。危ないからちょっと門から離れてくれ」

禁書「う、うん…」

アロウン(甲板の時と同じだ。俺の言葉を復唱しろ)




上条『我らが城よ! 眠りから目覚めるがいい!!』

上条『主たちの帰還だ!』

上条『対峙することを決意した者に!』

上条『勇気あるものたちに……門を開けよ!!』




ステイル「これは……驚いたね」

露ミサカ「なんということでしょう。外壁を覆っていたツタが消えていきます……とミサカは目の前の光景に驚きを隠せません」

浜面「あんなにボロかったのに…」

打ち止め「わぁー♪ すっごくキレイになったよ! ってミサカはミサカは大興奮っ!!」

禁書「やっぱり魔術的な封印じゃなかったんだよ。『とうまの身体』と『魔王の魔力』が鍵なのかな?」

アロウン(正解だ。幻想殺しが劣化したせいで僅かだが俺の魔力が使えるのが幸いした)

上条(劣化?)

アロウン(気にするな。アヴァロンを開放しちまった以上、どうでもいい事だ)

打ち止め「あ! 中にリンゴの木がいっぱいあるよ、ってミサカはミサカは好奇心を抑えきれずに駆け出してみたりっ!」

一方通行「ったく……」



アルビオン島 アヴァロン リンゴの並木道――






浜面「中も広いっつーか、デカいな」

麦野「魔王の根城にしてはメルヘンすぎだろ」

禁書「!! おいしそうなリンゴがいっぱい! 食べてもいいのかな!?」

アロウン(ハハ、いくらでも食べるといい)

上条「食べていいってさ。取ってやろうか?」

禁書「うん!!」



露ミサカ「小さな街くらいなら丸々収まりそうですね、とミサカは辺りを見回しながら話しかけます」

一方通行「カミサマにケンカ売った連中の本拠地だからなァ。それなりの施設とかあンじゃねェの」

露ミサカ「城に館に……よく分からない建物もありますね。ここなら……」

露ミサカ「妹達全員でも生活できそうです、とミサカは意味深な発言をします」

一方通行「オマエ……」

露ミサカ「ミサカたちはただ守られるだけでは納得できません。生き抜くための覚悟があります」

露ミサカ「あなたとお姉様だけにいい格好させません、とミサカは不適に言い放ちます」

一方通行「……はァ」


上条「インデックスは食べすぎだろ……ん? どうしたんだ?」スタスタスタ

一方通行「俺らのやろうとしてる事、妹達に筒抜けなンだと」

上条「!? ……マジで?」

露ミサカ「上位個体以外にはバレバレですよ。妹達の優秀さを侮ってもらっては困ります、とミサカは自信満々に胸を張ります」

一方通行「無い胸張ってンじゃねェよ」

上条「悲しくなるほど無いな」

露ミサカ「ッ!!? ロリコンはともかく、お姉様が!? とミサカはお姉様の発言に耳を疑います」

上条「無いより有るほうがいいだろ。なあ?」

一方通行「………………………………………………………考えるまでもねェ」

露ミサカ「お姉様だってミサカと変わらない大きさのハズなのに、なんという暴言、とミサカは憤慨します」

アロウン(全くだ。今のはセクハラだぞ!)

上条「あはは、胸の大きさを気にしてたなんて馬鹿みたいだ(あとお前が言うな!)」

露ミサカ「???」


上条「無くてもいいけど有るほうがもっといい。健全な男子学生にとってはその程度の認識ってこった」

一方通行「そォだな! 無くても何も問題ねェ!」

アロウン(うむ。選り好みするなど愚の骨頂だ)

上条「まあ揉めればいいんだよ」

露ミサカ「……上条さんの姿でそんな下品な事を言わないでください、とミサカは眩暈を抑えながら懇願します」

上条「あんまり上条さんに夢見んなよ」ヤレヤレ

露ミサカ「…………上条さんは…違うもん」グスッ

アロウン(最低だ! 最悪だ! こんなフラグの折り方ありかよ!?)

上条(私の思考もずいぶん男寄りになったわねー。口調を変えたせいかしら? まぁ今はそんな事より…)

上条「冗談はこの位にして、妹達が状況を把握してるのは好都合だ」

一方通行「ある程度準備が整えば、教えるつもりだったしなァ」

上条「これからは連携して行動しよう。よろしくな!」

露ミサカ「……はい。早く本物の上条さんに会いたい…とミサカは切に願います。……上条さんは紳士だもん」グッスン


アルビオン島 アヴァロン城内――




上条「おーっ、凄いなっ! 本物の城なんて初めて入ったぞ!」

アロウン(竜族と巨人族に妖精族の英知を結集して造ったんだ。凄いのは外見だけじゃない)

上条「竜!? 巨人!? 妖精!? そんなのいるの!?」

アロウン(とっくに絶滅しちまったがな。まあ知性を失った竜やゾンビならこの島にいるかもしれん)

上条「うげっ、ゾンビはいらねーよ。常識が通用しないにも程があるだろ」

アロウン(日が落ちる前に安全確認と食料の調達を兼ねて、アヴァロン周辺の探索をしたらどうだ?)

上条「食料は最低限しかないし丁度いいな」



上条「神裂さん、今から周辺の探索に行きませんか?」

神裂「ええ、構いませんよ」

ステイル「内部の探索は僕らがやっておくよ」

上条「おう、任せた」



ステイル「それにしても……とんでもない所だね」

禁書「うん……。島全体を覆う結界だけでも理解不能なのに、色んなとこからテレズマや魔力を感じるんだよ」

禁書「アヴァロンを必要悪の教会に知られるのは不味いかも…」

ステイル「魔術的に説明できないうえに魔王の存在、頭が痛くなる」

麦野「だけど報告しないといけないにゃーん」

浜面「そういう契約だし前金貰っちまったし……どうする?」

一方通行「上条の紹介っつっても、イギリスのお偉いさン共には世話になってるからなァ」

打ち止め「???」

露ミサカ「調査期間は一週間もあるので、今は保留でいいのでは? とミサカは提案します」

ステイル「……そうだね」

浜面「それじゃあ探索を始めるか。かなり広いし、三組に分かれて行動しよう」

麦野「テメエが仕切ってんじゃねーよ。浜面のくせに生意気だ」

浜面「ええーっ!? なにその横暴!?」


打ち止め「ミサカはアナタと一緒がいい! ってミサカはミサカは自己主張してみる!」

一方通行「勝手にしろ」

打ち止め「は~い♪」

一方通行「ちっ……」

露ミサカ「素っ気無いふりをしても、嬉しさが滲み出てますよ? とミサカは一方通行のツンデレ具合を指摘します」

一方通行「オマエは黙ってろ」


禁書「私たちも探索開始なんだよ」

ステイル「魔術知識があるのは僕らだけだから、そっちの方向からアプローチを…」

禁書「晩ごはんに備えて台所を探すしかないかも!」

ステイル「え……?」





数時間後――――




露ミサカ「一通り回ってみましたが特に異常はありませんでした、とミサカは速やかに報告します」

浜面「どの部屋も問題なく使える状態っぽいのは異常じゃないのか…」

禁書「台所と食堂を発見したんだよ!」

一方通行「オマエは食う事ばっかだなァ」

禁書「もうお腹ペコペコなんだよ。みことたちはまだなのかな?」

浜面「そういや遅いな」

麦野「あの二人に心配はいらないだろうけど、確かに遅いわね」

打ち止め「あっ、帰ってきたよ! ってミサカはミサカはお帰りなさいってお出迎……え?」



上条「ハァハァ……重い」ボロボロ

神裂「何とか…生きて帰れましたね…」フラフラ


禁書「大きな卵なんだよ! コレどうしたの!?」

上条「か、怪鳥の巣から…ハァハァ…拝借して、きた」

禁書「かいちょー?」

打ち止め「かいちょーってなぁに? ってミサカはミサカはアナタに聞いてみる」

一方通行「さ、さァな……」

ステイル「か、神裂?」

神裂「苦しい戦いでした……。あのような生物が存在するなんて、世界は広いですね」

浜面「この卵、打ち止めと同じ位の大きさじゃねーか……どんな生き物だよ」

麦野「おい第三位。何があったんだ?」

上条「はぁ…何とか落ち着いた…。アロウンの案内で近くの丘に行ったんだよ」

上条「そこでこの卵を見つけたんだけどさ、いきなり巨大な鳥に襲われたんだ」

神裂「どうや怪鳥の巣だった様で今の今まで逃げ回ってました」

一方通行「オマエらなら鳥なンざ簡単に倒せるだろォが」

上条「あの鳥を見たら、そんなこと言えないって! マジでビビるから!」

神裂「卵を頂いた上に命まで奪うのはどうかと」

禁書「そんな事より、お腹すいたー!!」

上条「ったくしゃーねーなぁ。何が食べたい?」

禁書「オムレツがいい!」

打ち止め「ミサカはたまご焼き! ってミサカはミサカはリクエストしてみたりっ!」

上条「はいはい、すぐに作るから待ってな」

禁書打ち止め「はーい♪」



浜面「……あれって超電磁砲なんだよな?」

露ミサカ「当たり前です。上条さんがあんなに下品なわけがありません! とミサカは拳を握り力説します」

麦野「ミサカが感情的になるなんて珍しいわね。どうしたの?」

露ミサカ「お姉様に裏切られました、とミサカは簡潔に答えました」

一方通行「大袈裟に言ってンじゃねェよ」

浜面「あー、姉妹喧嘩もほどほどにな」

麦野「それで? はーまづらぁーは何が言いたかったのかにゃ~ん」

浜面「いや、何て言うか、上条の方はどんな感じか気になるっつーかさ……見てみたくね?」

麦野「……確かにね」

神裂「想像できませんね」

一方通行「……興味ねェ」

ステイル「気にはなるけど見る手段が無…」

露ミサカ「ありますよ、とミサカは間髪いれずに進言します」

一方通行「妹達か……」

露ミサカ「はい、10032号が観察中です。あとでリアルタイムで映像を送って貰うので一緒に見ますか、とミサカはみなさんに提案します」


アルビオン島 アヴァロン 寝室――





上条「あ~疲れたぁ~」グッタリ

アロウン(激動の一日だったな。ゆっくり休め)

上条「その前に当麻に電話しねーと」

アロウン(ククッ、お楽しみタイムだ。それにしても随分男口調も板についたじゃないか)

上条「そーだな、……打ち止めにふざけた事を吹き込んでくれたお礼をしないとなあ…」pipi

アロウン(お、おい、作戦は…)

上条「大丈夫だって。ちょろーーーっと、可愛がるだけだから」ヨビダシチュウ


美琴『もしもし…』pi

上条「おーっす。元気してる?」

美琴『え、御坂?』


作戦実行中――――――――





美琴『そそそ、その、おお俺もッ///』

美琴『すすす好ッ――!? ――――ッ!?』

上条「美琴、落ち着け」

美琴『……ひたひ』

上条「返事は俺が学園都市に帰ってからでいいよ」

美琴『ふえ? れ、れも…』

上条「答えなんて分かりきってるしな」

美琴『///』

上条「明日も朝早いし寝ますかね。おやすみ美琴」pi



アロウン(フフ、当麻の奴、もうお前にメロメロじゃないか)

上条「……」

アロウン(後は飴と鞭を使い分けて、完全に堕とすだけだ)

上条「ふっ……ふふふふ」

アロウン(お、おい…)

上条「アーーーーッハッハッハァ!!! 来た! ついに我が世の春がきたぁぁぁァァァーーーッ!!!」

上条「こんなに順調に事が進むなんてね!! ありがとう、アロウン!!」

アロウン(……おう)

上条「入れ替わりさえ解決すれば、最高のハッピーエンドは目の前よ!!」

アロウン(はぁ? もう元に戻るわけにはいかんぞ)

上条「そう! もう戻れない! って……ええっ!?」


アロウン(アヴァロンの稼動には俺の魔力が不可欠だから、お前はこのままだぞ)

アロウン(当麻が戻れば幻想殺しが完全に働いて、アヴァロンを維持できないって言っただろ)

上条「き、聞いてないわよ!?」

アロウン(…………ハッハッハ、誰にでも間違いはあるさ。広い心で許せ)

上条「何か他に手はないの?」

アロウン(俺には無い)

上条「……」

アロウン(そんなに悲観するな。この身体だって捨てたモンじゃないぞ)

アロウン(それに当麻だって問題ないさ。アレの祖先は可愛かった。だからアレも可愛くなる素養は十分にあるハズだ)

上条「……まーいっか」

アロウン(お?)

上条「騒いだってしょーがないし、一先ず保留でいいだろ」

アロウン(そ、そうだな。状況が変わる可能性もあるし、それでいいだろう)

上条「そんじゃ寝るか」

アロウン(……やけにアッサリしてるな)

上条「俺はアイツの見た目に惚れたんじゃない。重要なのは内面だから…」

上条「それに今は妹達を守ることが最優先だからな。……当麻だって分かってくれるさ」ウトウト

アロウン(全力で抵抗しそうな気もするが…)

上条「……」スヤスヤ

アロウン(寝たか。適応力の高い奴だな)ヤレヤレ


アルビオン島 アヴァロン ミサカ10777号の部屋――




御坂妹からの美琴(上条さん)リアルタイム盗撮映像を視聴中




打ち止め「お姉様の電話が終わったみたいね、ってミサカはミサカは……あれー?」


禁書「とうま…可愛いかも///」テレテレ

神裂「ななな何を言ってるのですかっ!?」アタフタ

ステイル「上条当麻……なんてザマだ…」

麦野「クソ生意気な第三位よりいいんじゃない?」

浜面「なんだろう……あれは上条のハズなのに、なんかこう…グッときた」ドキドキ

露ミサカ「ミサカのお姉様がこんなに可愛いわけがない/// とミサカは身悶えします。……これはアリですね」イヤンイヤン

















そして……一夜が明けた――


上条「入るぞー」コンコン

上条「みんなここにいたのか。いや~時差ボケのせいで寝すぎた……って何コレ?」ガチャリ



禁書「女の子でも、とうまはとうまなんだよ/// 寧ろこのままのほうが…///」

ステイル「そうだね……確かにその通りだ///」

神裂「ステイルまでっ!?」

露ミサカ「ヘタレールガンverの上条さん……苛めたくなって困ります、とミサカはサディスティックな衝動に駆られます」

麦野「きィぬはたぁぁぁァァァーーーッ!!! すぐにっ! 迎えに行くからァッ!!」ガシッ

浜面「ぎゃああああああああッ!!? 俺の頭を握らないでええぇぇッ!!! でちゃうっ!! ミソがでちゃうーーーっ!!!」ミシミシ

打ち止め「……」スヤスヤ


上条「……」ポカーン

一方通行「あーねみィ……。ン? オリジナル、何してンだァ?」カツ、カツ、カツ

上条「これ……」ユビサス

一方通行「あン?」ヘヤノゾク



麦野「絹旗はなァ! 今泣いてんだよォっ!! 聞いてんのかッ、はーまづらァァァーーーッ!!?」ブンッ ブンッ

浜面「……」プラーン プラーン

露ミサカ「上条さんと添い寝なんて羨ましい、とミサカはハンカチを噛み締めながら羨みます。……いいなぁ」

禁書「はっ!? 女の子同士なら、とうまも添い寝してくれる!?」

ステイル「だ、駄目だ! 同性愛なんて非生産的すぎる……ッ!!」

神裂「ステイル!! 話が飛躍しすぎですっ!!」

打ち止め「……」スヤスヤ



一方通行「……もォ一眠りしてくるわ」カツ、カツ、カツ

上条「俺もそうする…」スタスタスタ

アロウン(何をやってるんだか……)



学園都市 第七学区 とある病院 空き部屋――





上条「てな感じで、あとはグダグダと一日過ごしたのよ」

美琴「インデックス達にも筒抜けだったなんて……不幸だあああァァァーーーッ!!!」

上条「私はまだアンタの観察記録を見てないのよねー」

美琴「見なくていいから! つーか観察じゃなくて盗撮だろ!」

上条「愛ゆえの行動だし大目にみなさいよ」

美琴「そんな歪んだ愛はいりません……」

美琴「くっそ、こっちの行動を把握されてたなんて……だから不意打ちで今日帰ってきたんだな」

上条「え、違う違う。アンタを守るために強行軍で帰ったんだっつーの」

フィ「冥土帰しからの情報で、貴様が統括理事会に狙われてる事を知ったそうだ」

美琴「ええっ!? 悪い事なんてして…………ナイヨ?」

フィ「安心しろ、アレとは別件だ」

美琴「いや安心しちゃダメだろ。理事会絡みなんてろくでもないに決まってるぞ」

上条「大丈夫だってば。私と一方通行を相手にケンカを売るだけの根性ある奴なんて、学園都市にはいないでしょ」

美琴「……確かにそうかも。おまえも神裂並に……って、ああああぁぁァァッ!!!」

上条「ど、どうしたの?」


美琴「思い出した! おまえ、神裂とインデックスの二人といちゃついてただろ!!」

上条「はぁ?」

美琴「とぼけたって超無駄なんだよ! 神裂のこと火織とか呼んでさ、パートナーとか言ってさ…」イジイジ

上条「あー、あの時か~」

美琴「俺のこと好きって言った癖にぃぃぃ……」

上条「あはは、アンタ嫉妬してんの?」

美琴「あ、当たり前だろっ!! 話の途中で電話を切られるし、そのせいで大変な事になったんだぞ!」

上条「大変な事って?」

フィ「嫉妬に狂って友人を脅迫し…」

美琴「他人の黒歴史を暴露するんじゃありません!!」

上条「アンタたち良いコンビねぇ」

フィ「それほどでもない」

美琴「うだー! 茶化すんじゃねえぇぇっ!!」

上条「ほら、病院で騒がないの」ギュッ

美琴「ッ!?」ビクッ


上条「あの二人といちゃついたりしてないから機嫌直してよ」

美琴「うぅー……」

上条「それに当麻だって私を散々嫉妬させたんだからね。意地悪したくなるのよ」

美琴「そーいう言い方は……卑怯だ」プイ

上条「卑怯で結構よ。フフ、嬉しいなぁ」

美琴「???」

上条「アンタが嫉妬するなんてねー。ちょっと前までは考えられないわよ」

美琴「仕方ないだろ……その、す、好きに…なったんだから…」モジモジ

上条「……」

美琴「もう、おまえ以外は考えられないし…考えたくない。……だから」

上条「……」

美琴「だから……あまり…その、…いじめないでほしい」


上条「あの二人といちゃついたりしてないから機嫌直してよ」

美琴「うぅー……」

上条「それに当麻だって私を散々嫉妬させたんだからね。意地悪したくなるのよ」

美琴「そーいう言い方は……卑怯だ」プイ

上条「卑怯で結構よ。フフ、嬉しいなぁ」

美琴「???」

上条「アンタが嫉妬するなんてねー。ちょっと前までは考えられないわよ」

美琴「仕方ないだろ……その、す、好きに…なったんだから…」モジモジ

上条「……」

美琴「もう、おまえ以外は考えられないし…考えたくない。……だから」

上条「……」

美琴「だから……あまり…その、…いじめないでほしい」


上条「当麻かわいいっ!!」スリスリ

美琴「わわっ!?///」

上条「とんでもなく庇護欲をそそられるわ! 苛めないで欲しいって、アンタやっぱり誘ってるでしょ!?」

美琴「ち、違う! おまえが意地悪するから頼んだの!」フルフル

上条「だが断る!!」

美琴「ええーっ! な、なんで?」

上条「だって当麻がいじめてオーラを出してるんだもん!」

美琴「そんなモン出してねーよ! ……で、でもまぁ、少しくらいなら…」

上条「少しと言わず、たぁーーっぷり、じぃーーっくり、いじめてあげるわよ……フフフ」

美琴「ちょ、美琴さん?」

フィ「こいつの顔…真性のドSだな」

上条「ドSでいいよ。……ドSらしいやり方でいじめてあげるから…」ニッコリ

美琴「ひぃッ!!」ハナレル


黒子「お姉様!」シュン!

絹旗「御坂! 無事ですか!?」シュン!


美琴「!?」

上条「ちっ、いいところで邪魔が入ったか……。後にしてくれないか? 今取り込み中なんだけど」

フィ「完璧に悪役のセリフだな」

黒子「上条当麻! お姉様から離れなさい!」

絹旗「御坂を超返してもらいます!」

上条「はぁ? 返すも何も美琴は俺のものなんだが、なあ?」

美琴「え? あ、うん……///」テレテレ

絹旗「ッ!? もう手篭めにされたんですか!?」

美琴「あはは、それは俺の勘違いだったんだ。心配かけてごめんな。でもちゃんと仲直りしたから」

黒子「そ、そうでしたの。…………ちっ」

上条「何で舌打ちするんだよ」イラッ

黒子「どうしてかは上条さんの方がよくご存知なのでは?」シレ

上条「俺と美琴の問題に他人が割り込んでほしくないな。分かるだろ?」

黒子「勿論ですわ。……ただ、お姉様はまだ中学生ですの。我慢の利かない野蛮人に任せるのは如何なものかと」イラッ

上条「言ってくれるじゃねーか」イライラ

黒子「御免あそばせ。つい正直が口をつきまして」イライラ


上条「ハハハ……」

黒子「うふふ……」



絹旗「勘違いにせよ御坂が無事でよかったです」

美琴「心配して来てくれたんだろ。さんきゅーな、絹旗」

絹旗「当たり前です。私達は超友達じゃないですか」

美琴「絹旗の優しさが身に沁みる……友達っていいなぁ」ナデナデ

絹旗「も、もうっ///」テレテレ

美琴「あれ? 怒らないの?」ナデナデ

絹旗「超心配したんですから、ご褒美があってもいいじゃないですか///」モジモジ

美琴「安いご褒美だな。こんな事で喜ぶなら何時でもしてやるよ」ニコ

絹旗「はい///」

フィ「仲が良いのは結構だが、貴様の彼氏と後輩が凄い顔で睨んでるぞ」

美琴「え……?」


上条「ア・ン・タはあああッ!!」

黒子「何いちゃついてますの!!」

美琴絹旗「は、はい!?」ビクッ


上条「ちょっと目を離したらコレだ! これはお仕置き確定だな。……試してみたい事もあるし、フフフ…」

美琴「なに不穏当発言してやがりますか!? 俺が何したよ!?」

上条「自分の胸に聞けよ」

美琴「……なんだろ?」

上条「分かんないならさぁ、ちょっと二人でお話しようか?」グイグイ

美琴「えっ、えっ??」ヒッパラレル

フィ「自業自得だな。貴様は節度という言葉を知るべきだ」



黒子「なに自分だけお姉様といちゃついてますの!?」

絹旗「いちゃつくって……女性同士ですよ?」

黒子「性別なんて関係ありませんわ! お姉様であることが重要ですの……あぁん、お姉様ぁぁぁ!!」ムッハー

絹旗「うわキモっ! 浜面並のキモさですね」

黒子「ハッ!? も、もしや、私のポジションを狙ってますの!?」

黒子「ダメですの!! お姉様のパートナーは私ですわっ!!」

絹旗「……超面倒くさい人ですね」ヤレヤレ



学園都市 第七学区 とある病院 廊下――




上条「……」グイグイ

美琴「ええっと、何故そんなにお怒りなんでせう?」

フィ「小学生といちゃこらしてたせいだろう。逆の立場で考えてみろ、たわけが」

美琴「絹旗と? ……ッ!?」

美琴「ご、ごめん! わざとじゃないんだ」

上条「……」ピタリ

美琴「何でも言うこと聞くから許してくださいっ!!」

上条「手短に説明するからよく聞け」

美琴「え…?」

上条「今から二手に分かれて学園都市を出るぞ。片方は俺達ふたり、それ以外がもう片方だ」

美琴「突然すぎだろ!?」

フィ「しょうがないだろう。学園都市に留まるのはリスクが高い。それに変態テレポーターを巻き込むわけにはいかん」

美琴「それはそうだけど…」

上条「続けるぞ。一方通行たちは空港からイギリスへ渡って、アヴァロンに向かう」

美琴「俺達は?」

上条「帰省する」

美琴「…………は?」

上条「だから年末年始は実家に帰るんだよ」

美琴「ええええぇぇぇーーーーーっ!!??」

今回はこれで終了
御坂さん編は一先ず終わりです。細かい補足は回想で
やっと遺憾なく上琴SSをかけるぞー。年末忙しすぎるけども……

投下します


上条「そんなに驚くなよ」

美琴「えっ、おまえ何言ってるの!? この状態で帰省とか無茶すぎるだろ!?」

上条「別に意味も無く帰省するわけじゃねーよ。無茶する価値はあるからさ」

美琴「それでも、う~ん……」

フィ「いずれバレることだ。何を躊躇う?」

美琴「躊躇うに決まってるだろ! 息子は最近、娘になっちゃいました……なんて言いたくねー!!」

上条「細かい事を一々気にするような親じゃないと思うけど」

美琴「そんなこと……無いと言い切れない…つーか、面白がって弄られるような…」

上条「まぁこれは決定事項だから、今更どうこう言っても遅いんだ」

美琴「はぁ……、わかったよ」



上条「話もついたことだし、アンタのお仕置きだけど」

美琴「へ……?」

上条「何でもするんだろ? フフ、何にすっかなー」

美琴「あ、あれ? さっきの話をするための演技じゃなかったの?」オロオロ

上条「んな訳ねーだろ。……ゲコ太先生から教えてもらったことを検証してみようかしら」ニヤリ

美琴「なにやら不穏な単語が…」


上条「なんでも女性は絶頂時の快感を男性の何百倍も味わってるらしいんだけど」ワクワク

美琴「」パクパク

上条「その快感を男性に与えると、あまりの気持ちよさにショック死しちゃうかもしれないんだって!!」ダイコーフン

フィ「なるほど。試しにコイツをイカせてみようと?」

上条「数百倍の快感よ! 凄いと思わない!? それに当麻へのお仕置きにピッタリでしょ!」

フィ「痛みと快楽は紙一重、というか同質のものだし、確かにお仕置きに最適だな」

上条「よし、それじゃあ軽くイってみましょうか!!」

美琴「ちょっと待てえええええぇぇぇーーーーーーーーーっ!!!」

美琴「トチ狂ったんですか御坂さん!? 変態枠は黒子だけで定員オーバーですのことよ!?」

上条「なによ失礼ね。言っとくけどアンタに拒否権は無いからね」

美琴「そんな!? 死ぬかもしれないんだろ!?」

フィ「心配するな。貴様のバイタルはチェックしている。危なくなったら止めてやる」

美琴「できれば今止めてほしいのですが……」

上条「諦めなさい。ちょろっと弄ってイカせるだけだからさぁ」ワキワキ

美琴「じょ、冗談だろ?」ガクブル

上条「……」ニジリヨル

美琴(不味い……かつて無いピンチだ。何とかしないと…)

美琴「ちょっと待ってくれ! せめて心の準備をさせてほしい!」

上条「……まあいいわ。三分待ってあげる」



美琴(時間は稼げた! だけどどうする? お仕置きを受けるなんてのは論外だ)

美琴(逃げるか? でもどこに……そうだ、御坂妹の部屋に逃げ込めばコイツも無茶なマネはできないハズっ!)

美琴(幸い逃げ足には自信がある。このメタル上条さんの逃げ足を見せ付けてやるッ!!)

上条「三分経ったわ。それじゃ…」

美琴(ッ、今だっ!!)スタコラサッサー


――――御坂美琴は逃げ出した!!!


美琴「大した距離じゃないし、このまま逃げ切ってやる!!」タッタッタ

フィ「それは無理だろう」

美琴「何言ってんだ。不意をついたんだから大丈夫だっ……て?」ピタリ

上条「どこへ行こうというのかしら?」ニコッ

フィ「知らなかったのか? 大魔王からは逃げられない」


――――しかし、回り込まれてしまった!!!


美琴「ぎゃああああ!? どうして目の前にいるの!?」

上条「フフン、普通に回り込んだだけよ」

美琴「普通の速さじゃないよね!? なんなの!? はぐれ御坂さんなの!?」

上条「幻想殺しの上条さんでしょ」

美琴「違う! 上条さんは俺! おまえは御坂さんだろ!」

上条「細かい事はいいのよ。それじゃ早速お仕置きを…」ガシッ

美琴「ひぃっ…!?」


美琴(神様仏様御坂様! 誰でもいいから助けてぇぇぇーーーっ!!!)

アロウン(ふむ。俺でよければ助けてやろう)

美琴(いいです! いいですから助けて下さい!!)

アロウン(ただし代償は頂くぞ?)

美琴(だ、代償?)

アロウン(そうだな、何がいいか……ここはセオリー通り処女の生血を貰おうか)

美琴(いいい生血ぃぃぃ!!??)

アロウン(ククク、二度と生き返らぬよう、はらわたまで喰らい尽くしてくれるわ!)

美琴(どこの魔王だよ! ん? 魔王……?)

アロウン(いかにも、俺の名はアロウン。……お前と話すのは初めてだな)

美琴(……)


アロウン(美琴、ここは俺の顔を立ててくれないか?)

上条(えー、今いいところなのに!)

アロウン(頼む)

上条(ハァ……、しょうがないわね。でも貸しひとつよ)

アロウン(オーケイ、面倒くさいが剣の手解きをしてやろう)

上条(やった! フフフ、火織にリベンジ決める日も遠くないわ!)


美琴(あ、あの、アロウン?)

アロウン(どうした?)

美琴(俺はアロウンを認識できないハズじゃなかったのか?)

アロウン(そうだったな。だが、お前は俺の存在を知ってしまった。だからこうして話せるんだ)

アロウン(美琴に俺のことを聞いただろ?)


美琴(うん……。生まれた時からずっと一緒だったって…)

アロウン(ああ、一緒だった。……お前の失った記憶も、俺は全て覚えている)

美琴(……そっか)

アロウン(記憶を取り戻したいか?)

美琴(………………………………………………そうだな、でもいいや)

アロウン(何故だ?)

美琴(今が幸せだから、その幸せを守りたいから……かな)

アロウン(そうか……。意地でも強がりでもない、本当の幸せを手に入れたんだな)

美琴(うん)

アロウン(それなら以前のお前の柵なんざ、押し付ける訳にはいかんな)

美琴(家族やインデックスには悪いと思うけど……俺の一番は美琴だから、不安にさせたくないんだ)

アロウン(!? 驚いたな。全部を守りたいなんて言ってた馬鹿者が成長したものだ)

美琴(成長なんて大層なモンじゃないさ。美琴を最優先にするって意識してないと、また取り返しのつかない事しちまいそうだからな)

アロウン(ロシアでのことか。確かにあれは軽率だったな)

アロウン(世界を救った代償に、お前を大切に想うひと達を絶望に突き落とした自覚はあったか)

美琴(うん……。だから大切なことや、俺の手に余ることは美琴に相談するって決めたんだ)

美琴(でもふたりで無茶する可能性大だけどな)

アロウン(十分だよ。お前の成長を嬉しく思う)

美琴(……どうしてそんな親身になってくれるんだ?)

アロウン(ずっと昔にお前の祖先と交わした約束だからな)

美琴(約束?)

アロウン(まあ気にするな。何より、お前や美琴にしろ一方通行にしろ世話が焼けるから親身にもなるさ)

美琴(あはは、なんだよそれ)


アロウン(それよりいいのか? 美琴の奴、放心しちまってるぞ)

美琴(は……?)


上条「自覚してる癖に、あんな気障なセリフを…///」クネクネ

美琴「キモっ!? ビジュアル的にヤバすぎる!!」

フィ「天に唾を吐く発言だな」

美琴「……そうだった。おい美琴、頼むから不思議な踊りはやめるんだ」ユサユサ

上条「ほえ? どうしたの?」

美琴「お願いですから上条さんの姿で女口調は勘弁して下さい。つーかさっきまで普通に話してたよね!?」

上条「あっははは、ごめんごめん。興奮するとつい地が出ちゃうのよねー」

上条「んんっ、俺は上条当麻、お前は御坂美琴……よし、もう大丈夫だ」

美琴「ついでに確認したいんだけどさ、お互いの呼び方ってこのままでいいのか?」

フィ「非常に不味いな。貴様らが入れ替わっている事を仄めかす行為は慎むべきだろう」

アロウン(あえて弱味を晒す必要はない。美琴は既に上条当麻で通してるし、当麻も御坂美琴で通した方がいい)

上条「その方が混乱しないしな」

美琴「りょーかい。それじゃ改めて、おまえのこと当麻って呼ぶから。……やっぱ違和感あるなぁ」

上条「はぁ? 年下なんだから、さんをつけろよデコ助野郎」

美琴「デコ!? それは吹寄の属性じゃないの!? 何より馬鹿呼ばわりしてた、おまえが言うな!」

フィ「……言われてみれば」

アロウン(デコ広いな)


美琴「広くないっ! ったく人の身体的特徴を貶めるなよ」

上条「いや~、気になったからつい」

美琴「ついじゃねーよ。はぁ……ガキかおまえは」

上条「そうなんだよなぁ。入れ替わってから妙に我慢弱いというか欲望に忠実というか、う~ん…」

フィ「男女の差異だろう。問題ないレベルだ」

美琴「俺にとっては大いに問題ありだけどな……」


黒子「お・ね・え・さ・まぁぁぁん」シュン! ダキツキ

美琴「おわっ、黒子!?」

黒子「黒子を無視していなくなるなんて許せませんの。ぐふふ…」ジュルリ

上条「はいそこまで」ヒョイ

黒子「なっ!? 放しなさい!」ジタバタ

上条「そろそろ門限だろ。さっさと帰りなさい」

黒子「貴方に言われずとも帰りますの! ささお姉様、寮に帰りましょう」

美琴「うん。帰省する準備しないと」

上条「そんな暇はないぞ。もう出発しねーと不味いんだ」

美琴「携帯と財布は持ってるし、まあいっか」

黒子「え? 帰省しますの?」

美琴「急に決まったんだよ。せっかく来てくれたのにゴメンな」


黒子「お姉様の露払いとして当然のことですの。そんな事より上条さんも同行されるような口ぶりでしたけど……」

上条「美琴と俺の実家が近所なんだよ。家族ぐるみの付き合いだし、一緒に帰ることにしたんだ」

黒子「家が近所? 家族ぐるみ? ……妬ましい」ブツブツ

美琴「く、黒子……?」

黒子「上条さん!! くれぐれも学生に相応しい節度ある態度でお姉様をエスコートして下さいまし。くれぐれも! ですわ」クワッ

上条「あ、ああ」

黒子「お姉様、名残惜しいですが黒子は帰ります。それでは良いお年を」シュン!


上条「無駄に疲れた……。やっぱり黒子は変態だなぁ」

美琴「……おまえも十分変態だと思う」ボソ

上条「ん~、何か言ったかな、美琴ちゃぁーん?」ニッコリ

美琴「えっ!? 空耳じゃないかな!?」アタフタ

絹旗「あ! 見つけた!」タッタッタ

美琴「いいところに来てくれた! 当麻が絹旗に話があるんだって、ハイ!」グイグイ

絹旗「わわっ、引っ張らないでください。……ええっと」

上条「キミが絹旗さん?」

絹旗「は、はい」

上条「俺は上条当麻。いきなりで悪いけどさ、イギリスに行ってくれないかな?」

絹旗「え……?」


上条「麦野さんが暴れて大変なんだよ。絹旗を迎えに行くーって言って聞かなくてさ」

上条「早く絹旗さんを連れて行かないと浜面がえらい事になりそう……もうなってるか…」

絹旗「行きます! 超行かせて下さい!」

上条「話が早くて助かるよ。俺たちも時間が押しててな。詳しい事は一方通行に聞いてくれ」

絹旗「一方通行!? ……大丈夫なんですか?」

美琴「心配しなくてもいい奴だよ。紳士的だし」

絹旗「御坂のお墨付きなら超安心ですね」

一方通行「何が安心なンだ?」カツ、カツ、カツ

上条「噂をすれば何とやらだな。彼女が絹旗さん、イギリス行きはオッケーだってさ」

美琴「絹旗のこと頼むな」

絹旗「あの、よろしくお願いします」ペコリ

一方通行「おォ、よろしくなァ」

上条「それじゃ俺たちは先に出るわ」

一方通行「心配いらねェと思うが、気ィつけてなァ」


学園都市 外壁部――




美琴「外出許可なんて取ってないけど、どうやって外にでるのでせう?」

フィ「聞くまでもあるまい」

上条「外壁を飛び越えて行くに決まってるだろ」

美琴「やっぱりか……。もっと穏便な方法は…ん? 誰だ?」

土御門「怪しいものじゃないぜよ。カミやん」

美琴「土御門…さん」

土御門「最終下校時刻はとっくに過ぎてるのに、こんなとこで何してるのかにゃー」

上条「デートだよ。それで何か用か?」

美琴「で…でーと///」

土御門「!? ……ほう、デルタフォースから裏切り者がでるとは由々しき事態だにゃー。制裁を考えにゃならんぜよ」

土御門「だがそれは後回しだ。カミやん、何故ここにいる? 帰国はまだのハズだ」

上条「……ああ、それは…」ヒョイ

美琴「ひゃっ!?」ダッコサレル

上条「ないしょ……ってなあッ!!!」チョウジャンプ

土御門「……」ポカーン

美琴「ぎゃあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」ドップラー


土御門「……は?」

海原「見逃してよかったのですか?」タッタッタ

土御門「え、いや、カミやんが超電磁砲を抱っこしてピョーンて……え?」

海原「ええ、悔しいですが正にヒーローでしたね」

土御門「いやツッコミ所がおかしいだろ!? カミやんにあんな真似出来る訳ないぜよ……一体どうなってるんだ」

海原「別にいいじゃないですか。彼が御坂さんを大切にしている、自分はそれだけで満足です」キラキラ

土御門「絶妙に認識がずれてるにゃー……」pipipi

土御門「…何だ」pi

土御門「……………………………分かった」

海原「浮かない顔ですね。また厄介事ですか?」

土御門「命令が撤回された。今回の仕事はこれで終了ぜよ」

海原「本当ですか!?」

土御門「代替案を使うんだと。理事会はもう上条勢力と事を構えるつもりはないようだにゃー」

海原「……信用できるのですか?」

土御門「さあ?」

海原「珍しくいい加減ですね」

土御門「考えても始まらないにゃー。それに、やるべき事は他にも沢山あるんだぜい?」


帰省中 電車内――



上条「うんうん、いいペースだな。この調子ならすぐ着くぞ」

美琴「……」グッタリ

上条「元気ないなー」バシバシ

美琴「…誰のせいだよ。あと地味に痛いから叩くな」

上条「ちょろっと駅までダッシュしただけじゃん」

美琴「アホみたいに世界を縮めやがって、死ぬかと思った……」

上条「ハハハ……、そ、それよりさ、疑問に思ったんだけど美琴は英語喋れるの?」

美琴「…………話せるよ?」

上条「そりゃそうだよな。意外にグローバルな交友してるし、結構海外にも行ってるみたいだし」

美琴「ま、まあな」

フィ「英語どころか日本語すら怪しいのに見栄を張るなよ」

美琴「おまっ!? そんな決め付けんなよ!」

フィ「フフン、悔しかったら英会話のひとつでも披露してみたらどうだ?」

美琴「くっそぅ……やってやろうじゃねーか!」


上条「じゃあ試しに俺に話しかけてくれよ」

美琴「えぇーっと……はーわゆー」

上条「……」

美琴「はーわゆー!」

上条「……」

美琴「は、はーわゆー?」

上条「Fine thank you、って、アッハハハ、なんだよその発音!」

フィ「これは酷い。中一でもこれよりマシな発音するだろうに」

美琴「んなっ!?」

上条「How are you? こう言いたかったんだろ?」

フィ「恐らくな」

美琴「うぐぐ…」

フィ「俺様たちしかいなくて良かったな。あんなアホ丸出しの姿を他人に見られては恥ずかしくてかなわん」

上条「それは言いすぎだろ。バカな子ほど可愛いって言うし……プッ! クククッ」

美琴「ちくしょーっ!! もう笑いたきゃ笑えよ! どうせ俺はバカですよ、くそぅ」

上条「ハハッ、そんな拗ねるなよ」

美琴「拗ねてねーし…」

上条「でも英語がダメなのは困ったなー」

美琴「何が困るんだよ」

上条「論文は英語で書かないとダメだし、スピーチなんかも基本は英語だぞ」

美琴「え……マジで?」


上条「大マジ。常盤台の理念に世界で通用する人材の育成ってのがあるんだよ。だから英語は基本中の基本ってわけ」

美琴「つーか常盤台のカリキュラムをこなすなんて無理なのでは……?」

上条「……まぁ何とかなるだろ」

美琴「目ぇ逸らすなよ! 気合や根性じゃどうにもならない事だってあるんだからね!?」

上条「知識だけは潤沢にあるから大丈夫だって」

美琴「ううっ、不安だ……」


上条「ほ、ほらっ、折角のふたり旅なんだし元気だせよ」グイッ

美琴「ふぁ!?」ダキヨセラレル

上条「こんな機会滅多にないんだし、恋人らしい事したくない?」

美琴「う、うん///」テレテレ

上条「ホントに照れ屋だなー。少しは慣れないと後々大変だぞ」ヤレヤレ

美琴「な、慣れるとか無理///」

上条「なんで?」

美琴「だって胸がドキドキして……頭がボーっとして、うぅ…///」

上条「なるほど……でも心地良くて全然嫌じゃないんだよな」

美琴「……///」コクコク

上条「ならいっか。今は美琴を照れさせて楽しめばいいしなー」

美琴(くっそ、幸せだけどムカつく……)


上条「アンタには負けっぱなしだったから、こうやってリードしてると気分がいいぜ」

美琴(ムカつく…)

上条「いつも飄々としてるアンタがこんなに奥手なんてな」

美琴(ムカつく…)

上条「いざって時は、あんなにカッコいいのに……これがギャップ萌え?」

美琴(ムカつく…)

上条「まあカッコいいとこも、情けないとこも全部好きなんだけどさ」

美琴(言うことを聞かない身体が、素直になれない心が…)

上条「今まで散々やきもきさせられたし、その分たっぷり満喫しないとな」

美琴(何よりコイツの好意に甘えっぱなしの自分にムカついてしょうがねえ!!)

美琴(俺はコイツのヒーローだろッ! 甘えたままでいいなんて、そんなムカつく幻想は! 俺自身の手でぶち…)

上条「ぶち壊す!! ってね」

美琴「ッ!? …………あれ?」


上条「さっきから美琴の肩を抱いてるんだけどさー……気付かない?」

美琴「も、もしかして…」

アロウン(ご覧のスポンサーの提供でお送りしました)

美琴「ひとの心の声を垂れ流したの!?」

フィ「興味深いな。俺様にも教えろ」

美琴「べべべ別に大したことじゃないよ?」

上条「ええっと……幸せだけどムカつく……言うことを聞かない身体が、素直になれない心が…」

美琴「なに語りだしちゃってるんですか上条さん!?」

上条「何よりコイツの好意に甘えっぱなしの自分にムカついてしょうがねえ!!」

美琴「うわあああああ!? ダメっ! それ以上いけない!」

上条「俺はコイツのヒーローだろッ! 甘えたままでいいなんて、そんなムカつく幻想は! 俺自身の手でぶち壊す!!」キリッ

美琴「いやああああああ!!? もうやめてぇぇぇーーーっ!!」

今回はこれで終了
台本形式は書きやすいかと思ったけど、そんなことはなかったぜ! とか思ってみたり…

あけおめ! と言うには遅すぎますが投下します


神奈川県 某所――



上条「なんだかんだで帰ってきました、神奈川」

美琴「……」トオイメ

上条「ちょっと早く着いたのか。上条パパはまだ来てないな」トケイミル

美琴「……父さんが迎えに来るの?」

上条「ああ、ここで待ち合わせしてたんだけど……あ!」

美琴「どうした?」

上条「不味いとこ見ちゃったなぁ」ユビサス



女性「ありがとうございます」

刀夜「当然のことをしたまでですよ」キリッ

女性「///」マッカッカ

刀夜「おや? 顔が真っ赤だ。具合が優れませんか?」

女性「い、いえ……///」

刀夜「参ったな。待ち合わせが無ければ送っていけるんだが…」


美琴「なにしてんだよ父さん……」

上条「やっぱり親子だな。そっくりじゃん」

美琴「……返す言葉もありません」

上条「詩菜さんも苦労してるんだろうね」

美琴「こ、こうしてても始まらないし、さっさと声をかけよう! うん!」


刀夜「やはり放っておけない。私が送って行こう」

女性「はい///」

美琴「ちょっと待った!!」

刀夜「はい……?」

上条「こんなとこ母さんが見たら何ていうかなぁー」

刀夜「当麻!? こ、これは違うんだ!」アタフタ

上条「何が違うんだよ。さっきから見てたけど、タクシーを呼ぶだけでいいんじゃない?」

刀夜「だがそれでは人情というものがだな…」

美琴「か…詩菜さんに言いつけてやる」ボソッ

刀夜「タクシーを呼ぼう! ……あれ?」

上条「女の人ならもう行っちゃったよ」

刀夜「そ、そうか。まあ何にせよ、おかえり当麻、美琴さん」

上条「ただいま」

美琴「た、ただいま」

刀夜「ふーむ、なるほど」

美琴「???」

上条「寒いし早く家に帰ろうぜ」


上条家への帰り道――



美琴「はぁ……」

刀夜「おい、当麻。美琴さん、元気がないようだけど何かあったのか?」

上条「ちょっとね。心に傷を負ったというか、負わせたというか……ハハハ」

刀夜「それはいかんな。きちんとケアをしておかないと」

フィ「ケアなど必要ない」

刀夜「おや? キミは…」

フィ「フィアンマだ。先に言っておくが断じてアヒルなどではない」

刀夜「これは凄いな。ナチュラルに会話をするAIなんてフィクションだと思っていたよ。フィアンマは学園都市製なのかい?」

フィ「その通りだ。フフン、俺様の凄さを一目で見抜くとは只者ではないな」

刀夜「お褒めに預かり光栄だけど、残念ながら歯牙ないサラリーマンだよ」

フィ「謙遜するな」

美琴「おまえが偉そうすぎるんだ。少しは謙虚さを…」

フィ「…俺はコイツのヒーローだろッ」ボソッ

美琴「なんでもありません! そのままの俺様キャラでいて下さい!」

上条「そんなに恥ずかしがらなくてもいいだろ。美琴がクサイ台詞を叫ぶのなんていつもの事なんだし」

美琴「ううっ、自分で言うのと他人に聞かされるのは違うんだよ……」

上条「気にしな~い♪ 気にしない♪ カッコいいじゃん、その幻想をぶち壊す!ってさ」

美琴「だからもうやめてよォォォーーーっ!!」

刀夜「ほほう、ハッタリのきいた台詞だな」

美琴「ああっ!? しっかり聞かれてる!?」

フィ「単なる厨二病というやつだ」

刀夜「中二病? そういえば美琴さんは中学二年生だったか。フフ、難しい年頃なのかな」ニコ

美琴「なんか変な誤解されてる!? そんな理解ある笑顔で見ないでぇ!!」

上条「おいおい、両親ズはあと三人も残ってるんだけど、そんな調子で大丈夫か?」

美琴「大丈夫じゃない! つーか俺たちの両親は四天王か何かか!」

刀夜「四天王かぁ。だったら父さんは井伊直政がいいな」

上条「徳川四天王かよ。因みに母さんは?」

刀夜「ハハハッ! そんなの本多忠勝に決まってるじゃないか」

詩菜「……」

刀夜「フラグ体質とやらのせいで、何度母さんの無双奥義を喰らったことか」

刀夜「当麻は知ってるだろう? 怒った時の母さんの顔っ! あれは天下無双と言うより悪鬼羅刹のソレだ」

美琴「あー……」

刀夜「おおっと、こんな話を聞かれたらまた母さんに…」

詩菜「私が何ですか?」

刀夜「焼き土下座させられ……る」

詩菜「……」ガシッ

刀夜「か、母さん?」

詩菜「当麻さん、美琴さんお帰りなさい。寒いですから先に家に上がっていてくださいね」

上条美琴「はははい!!」スタコラサッサ

刀夜「ハハッ、もう家の前まで帰りついていたのか。話に夢中で気づかなかったよ。さあ母さんも風邪を引かないうちに家に…」

詩菜「刀夜さん的には無双奥義と焼き土下座……どちらがお好みですか?」

刀夜「い、いやぁ、私もいい年だしどっちも勘弁してほしいなぁ……なんて」

詩菜「…………うふ♪」


上条家 リビング――



上条美琴「ただいまー」

美鈴「おかえりー。あとお邪魔してまーす」

上条「ご無沙汰してます」

美鈴「ふふ、そうね。元気してた?」

上条「はい」

美鈴「美琴ちゃん、上条くんとの仲は進展した?」

美琴「え、ああ……うん///」

美鈴「あれー? 予想外の反応だわ。なんかこう……こんな奴、別に何とも思ってないんだからねっ! みたいなのを期待してたのに」

上条「……アンタは予想通りで分かりやすいな」

美鈴「アンタ、なんて他人行儀ねえ。美鈴さんでいいわ。私も当麻くんって呼ばせてもらうから」

上条「はいはい」

美鈴「返事は一回! もう……ところで詩菜さんたちは? 表で待ってたハズだけど」

美琴「と、刀夜さんが詩菜さんの逆鱗をヤスリがけしちゃって…」

上条「今頃父さん、討ち死にしてるんじゃないかなぁ」

美鈴「そ、そう。温かいもの淹れるけど、コーヒーでいい?」

美琴「うん。当麻もいいよね?」

上条「おー」

美鈴「仲がいいわねえ。それじゃ淹れてくるから」


美琴「はぁ……、緊張した~」

上条「もっと気楽にいけばいいのに」

美琴「んなこと言われてもなぁ。おまえの順応力が異常なんだよ」

上条「あ、いい事思いついた!」

美琴「……過去の経験からしょーもない事だと容易に想像できますが、一応聞いてあげましょう」

上条「入れ替わった事がどっちのせいでバレるか勝負しない?」

美琴「悪いけどパス。父さんたちが帰ったら正直に話すよ」

上条「ふ~ん、逃げるのか」

美琴「挑発には乗らねーよ」

上条「演技力に自信がないの? あーあ期待はずれだなぁ」

美琴「……なんだと? 演技力に定評のある御坂さんに自信がないだと? 上等じゃねーか! 月影先生もびっくりな演技を魅せてやるっ!!」

上条「無理すんなよ」

美琴「そっちこそ!」

上条「ハッ、重要なのは演技力じゃなくて戦略なんだよ」

美琴「いいぜ…」

上条「それじゃ…」

上条美琴「勝負だ!!」



美鈴「お待たせ。当麻くんはお砂糖いくつ?」

上条「ふたつで」

美鈴「へえ、てっきりブラック派だと思ってた。でもふたつって美琴ちゃんと同じね」

美琴「ぶっ!! 甘っ!」

美鈴「ええっ!? いつも通りに淹れたんだけど、美琴ちゃんブラック飲めるの?」

美琴「さ、最近飲めるようになったのよ。あはは」

美鈴「そうなんだ。……ところで美琴ちゃん、どこまで進展したか聞かせてほしいな!」

美琴「……そうきますよねー」

美鈴「当たり前じゃない。ほら、早く早く!」

美琴「えっと、その……つきあう事になりました///」

美鈴「おおーっ!! 凄いじゃない! それでどっちが告白したの?」

美琴「当麻からだけど……」

美鈴「意外ねぇ。私は美琴ちゃんの片思いだと思ってたし」

美琴「あはは……まあ何ていうか、ね?」アイコンタクト

上条「ん? ……」ウナズク

上条「美琴は情熱的っていうか、恥ずかしい台詞を真剣に言いますからね」

美琴「そうそう……はい?」


美鈴「うわっ、それ気になる! 美琴ちゃんってばどんな事言ったの?」

上条「もう大変だったんですよ。急に泣き出したり、切々と好意を語り出したり…」

上条「さっきなんて、こう…泣き笑いって言うのかな。そんな複雑な表情で、俺に心底惚れてる、なんて言い出して…」

美琴「わああああっ!!? 待って待つの待ってってば三段活用っ!!」

上条「なんだよ突然」

美琴「ここはさらっと受け流すトコでしょ!? アイコンタクト送ったの気づいたよね!?」

上条「あれ~おっかしいな~。俺はてっきり代わりに熱く語ってくれ、っていう視線だと思ったんだけど」

美琴「――ッ!! わざとだなこんちくしょう!! 御坂さんをいじめて何が楽しいんですかぁ!?」

上条「何がって……打てば響くその反応だろ」

美琴「ひとを太鼓みたいに言うな!! くっそ、何時までもやられっぱなしと思うなよ!!」

上条「へえ、どうするんだ?」

美琴「おまえの恥ずかしいエピソードを暴露するんだよ!」

フィ「貴様、自爆するつもりか?」

美琴「え……?」

フィ「どうのような切り口でも結局、貴様が恥をかく事になる。オチ担当の自覚を持て」

美琴「くっ…、ムカつくけど否定できない。それなら当麻の弱点を…」

フィ「あるのか?」

美琴「そんなのいくらでも……………………………………………」

美鈴「美琴ちゃん?」

上条「美琴?」

美琴「……思いつかない」グスン

美鈴「みっ、美琴ちゃん…ぷぷっ、わ、笑わせないで…アッハハハ」ケラケラ

上条「ベソかくなよ。ほら」ナデナデ

美琴「ううっ、なんか慰められてる……」


美鈴「情けないわねぇ。美琴ちゃんへっぽこすぎ!」

美琴「へっぽこって……あんまりだ」ボソッ

美鈴「なにか言った?」

フィ「誰がへっぽこだ!! 調子こいてんじゃねーぞ、ババアっ!!」

美鈴「……なんですって」ピキ

フィ「と、御坂美琴が言っていた」

美琴「うえっ!?」

美鈴「みぃーこぉーとぉーちゃぁーーーん」ニッコリ

美琴「言ってない! 言ってないよ!?」フルフル

美鈴「ママが調子に乗ってる?」

美琴「騙されないでっ!! これはフィアンマの、アヒルの罠だ!!」

美鈴「ババアかぁ……まだまだ若いつもりだったのに……傷つくなぁ」

美琴「若い! 超若々しいですっ!! 美鈴さんマジ天使、なんつって…」

美鈴「天国に召されるくらいババア……ってことかぁ」

美琴「あれ!? トンデモ解釈されちゃった!?」

美鈴「そこまで言われちゃ……ねえ?」ギロリ

美琴「ひえっ!!?」

フィ「おおう、なんと凶悪な面構え! 鬼女ミスズといったところか」

美琴「なんで火に油を注ぐの!? 俺に恨みでもあるの!? ねえっ!!」

美鈴「私をここまでコケにしてくれたのは美琴ちゃんが初めてよ?」

美琴「は、話を聞いて! 本当の敵はこのアヒル…」

美鈴「そうね。あっちの部屋でゆっくりオハナシしましょう?」ポキバキ

美琴「話をするのにどうして指を鳴らしてるの!?」ガクブル

美鈴「ふふ、ガチョウのおもちゃは当麻くんに預けて……さあこっちにいらっしゃい!!」グイグイ

美琴「助けてぇぇぇーーっ!!! 肉体言語でオハナシなんて嫌だあああああああああぁぁぁぁぁっ!!!」



上条「うわー、連れてかれちゃった」

フィ「ガチョウ……」

上条「こっちは訳の分からないショックを受けてるし」

アロウン(お前も助けてやれよ。お袋さんマジギレしてたじゃないか)

上条「勝負の世界は非情なんだよ」

アロウン(ペテン試合だろうが。勝負事は五分の条件でないと楽しめまいに)

上条「えー、アイツを困らせるのは楽しいけどなー」

アロウン(……否定できんな)

上条「だろ? フィアンマも仲間みたいだし…って、フィアンマ?」

フィ「あんまりだ……。アヒルの方が万倍マシだった…」

上条「アヒルもガチョウも同じだろ」

フィ「なっ、バカな!? そんな訳あってたまるか!!」

上条「はぁ?」

フィ「アヒルは可愛らしいが、ガチョウはデカくて怖いんだぞ!」

上条「……」

フィ「がーがー五月蝿いし品が無い。まったく酷い侮辱だ!」

上条「……さっぱりわかんない。アンタの人格って美琴のイメージをサンプリングしてるんだよな」

フィ「そうだが」

上条「アイツ……ガチョウに嫌な思い出でもあるのかな…」

アロウン(い…いや、そんな記憶は無いハズだが……アレはデルタフォースの一翼だし、俺たちの想像を超えた理由があるやもしれん)

上条「それは一理あるかも……一方通行から?」pipipi


上条「もしもし?」pi

一方通行『オリジナル、今いいかァ?』

上条「ん、いいけど」

一方通行『猫と鳥……アヴァロンに連れていくならどっちだ?』

上条「……は?」

一方通行『直感でいいから答えてくれ。オレも上条も運が絡むと当てにならねェからなァ』

上条「なんかよく分かんないけど……鳥で!」

一方通行『ンじゃ鳥連れて帰るわ』pi


上条「なんだったんだ?」

アロウン(何かの隠語か? 猫といえばスフィンクスに土御門兄か、鳥……強いて挙げるならフィアンマだが目の前にいるし…ふむ)

上条「鳥みたいな人……グリフォンマスク?」

アロウン(投げ技が強力だった、ってそれはねえよ。大方空を飛べる能力者か何かだろう)

上条「気のせいかな。取り返しのつかない判断をしたような……」


上条家 客間――



美琴「痛い痛い痛いぃぃいいいい!!!」

美鈴「ママに言う事があるんじゃないかなぁ!」コブラツイスト

美琴「ゴメンなさいぃぃっ!! 俺が悪かったですぅぅッ!!」

美鈴「俺ぇ? 美琴ちゃ~ん、言葉遣いが悪いわ……よっ!!」ヨンノジガタメ

美琴「痛ぁっ!? わたっ、私が悪かったですっ!!」

美鈴「ちゃんと反省……してるっ?」キャメルクラッチ

美琴「してますっ!! してますからぁぁっ!! もう許してぇぇええええええええ!!!」

美鈴「……よしっ! ママは優しいから勘弁してあげる」

美琴「ううっ…、バラバラにされるかと思った……」

美鈴「大袈裟ねぇ」

美琴「悪口言ったのはフィアンマなのに……不幸だ」

美鈴「ペットの不始末は飼い主の責任よ? きちんと躾けなさい」

美琴「……アレが躾けられるタマかよ。てかペットじゃねーし」ボソ

美鈴「次はどんな技がいいのかな~?」

美琴「飼い主の威厳を示さないとね! だから怒りを鎮めて下さいお母様!?」

美鈴「冗談よ。……でも変ねえ。今日の美琴ちゃん、大人しすぎない?」

美琴「ギクッ!? そそそんな事ないよ!?」


美鈴「そうかなぁ。当麻くんの様子も違和感あったし……何か怪しいなぁ」

美琴「そ、それより詩菜さんたち遅いなー」ボウヨミ

美鈴「確かにね。パパもそろそろ帰ってくるし、お酒の準備しとくかな」

美琴「手伝うよ! ……ってあれ? 誰が帰って来るって…」

美鈴「パパよパパ。なんか重大発表があるそうよ」

美琴「そ、そうなんだ…」

美琴(御坂パパとか聞いてねー! と、とにかく予備知識だけでも…)


詩菜「さあ、上がってください。美鈴さんも待ちかねてますよ」ゲンカンカラ

旅掛「ハハッ、それじゃあ遠慮なくお邪魔します」


美琴(なんて考える暇も無く帰って来たーーーっ!?)

美鈴「帰ったみたいね。あんまりパパをいじめちゃダメよ?」

美琴「え…?」


上条家 リビング――



旅掛「ただいま」

美鈴「お帰りなさい。いやー久しぶりねぇ」

旅掛「し、仕事が忙しくてな。ははは…」

美鈴「上条さんは忙しくても帰ってきてるわよ?」

旅掛「……善処します。それと…あー」チラリ

美琴「お、お帰りなさい」

旅掛「……」

美琴「えっと、……おとーさん?」オズオズ

旅掛「ッ!?」

美琴「コートかけるから貸して?」

旅掛「……クッ」ブワワ

美琴(なんか泣き出したぁぁぁーーっ!? えっ? なんで!?)

美鈴「ああもうっ! いい年したおっさんが何泣いてんのよ!」

旅掛「うう、だって美琴が…お父さんって…」メソメソ

美鈴「あぁ…、今までの美琴ちゃんの態度を考えれば無理ないか…」

美琴(俺!? 俺のせい!? とっ、とにかく何とかしなきゃ)

美琴「お、お父さん、泣かないで。お…私のせいならあやま…」

旅掛「美琴ォォォおおおおおっ!!!」ガバチョ

美琴「わわっ!?」

旅掛「パパは…パパは…うおおおォォォーーーーッ!!!」

美鈴「はぁ……、何やってんだか」ヤレヤレ



アロウン(おい、お前の親父さんが大変な事になってるが……)

上条「ハハハ…、まあなんていうか……複雑な家庭の事情?」

アロウン(……親父さんの苦労が忍ばれるな)

上条「ただの反抗期だっつーの。アイツにだってあっただろ、そんなの」

詩菜「いいえ、当麻さんに反抗期はありませんでしたよ?」

上条「へえーそうなんだ」

詩菜「不幸体質のせいで人一倍まわりに気を使う子でしたから」

上条「……」

アロウン(学園都市に行くまでは、悪質ないじめも絶えなかったからな)

詩菜「ええ。あの子には本当に辛い目に遭わせてしまったわ」

アロウン(だがアレが歪まずに成長できたのは、貴女たち夫婦のお陰じゃないか)

詩菜「ふふ、そうだとしても詩菜さん的には悔しさを拭えないのですよ」

アロウン(そうだな……確かにそうだ)

上条「ちょっと待った!」

詩菜「あらあら、どうしましたか?」

アロウン(無粋な奴だな。後にしろ)

上条「何ナチュラルに話してんだよ!? 入れ替わりがバレてるのはまだしも、アロウンと話せるのはおかしいだろ!?」

アロウン(おお! あまりに自然すぎて気が回らなかったな。ハッハッハ)

詩菜「うふふ、そうですね」

上条「つ、疲れる……。あっちのフォローもしないとだし、全員揃ったみたいだし……あれ? ひとり足りないような…」

詩菜「刀夜さんでしたら玄関でお休み中ですよ?」

上条「……連れてきます」

今回はこれで終了
次回は明後日にでもー

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