神谷道場──
左之助「よう、剣心!」
剣心「おお、左之」
剣心「今日はやけに上機嫌でござるな」
左之助「さすが、飛天御剣流の使い手。鋭い読みしてるじゃねえか」
剣心「今の左之を見れば、誰だって分かるでござるよ」
剣心「さては、なにかいいことでもあったでござるか?」
左之助「おう、聞いてくれ」
左之助「剣心、ついに“百重の極み”が完成したぜ!」
剣心「“百重の極み”!?」
剣心「五や十ではなく……百でござるか」
左之助「おう」
剣心「しかし、左之」
剣心「おぬしが安慈との決闘の際放った“三重の極み”──」
剣心「拙者、あれが二重の極みの最終到達点とばかり思っていたが」
剣心「これまたずいぶん進歩させたものでござるな」
左之助「まーな」
???「加速の為の関節などいくらでも増やせる 百でも千でもなんぼでも」
左之助「俺もせいぜい四重か五重で打ち止めになると思ったんだがよ」
左之助「一度コツが分かるとトントントーンと、な」
左之助「自分でも驚いてるぜ」
剣心「さようでござるか……」
剣心(ふとしたきっかけで、技や術が飛躍的な進歩を遂げる)
剣心(たしかに武芸の世界では、よくある話でござる)
剣心(むろん、日々の積み重ねという土台あってのことではあるが──)
剣心(それにしても、ここまで極端な例はなかなかないでござろう……)
剣心「──で、今日は何をしに来たでござるか?」
左之助「決まってんだろ」
左之助「俺が編み出した百重の極みを、披露しようと思ってきたんだよ」
左之助「直に見てもらって、お前から助言も聞きたいしよ」
剣心「そういうことなら喜んで……といいたいのだが」
剣心「これから洗濯物を片付けねばならなくてな」
剣心「それからでもいいでござるか?」
左之助「……すっかり家事をこなす姿が板についてきたな、お前」
左之助「──そうだ! こういうのは少しくらい見物人を呼んで」
左之助「ド派手にやった方が盛り上がるってもんだ!」
左之助「どうせなら、嬢ちゃんや弥彦も呼んで、パーッと披露してやらぁ!」
剣心「百重の極み披露の後、あわよくば飯や酒にありつこうという魂胆でござるな?」
左之助「うっ……さすが飛天御剣流」ギクッ
剣心「それと、もしもの時のために恵殿を呼んだ方がいいでござるな」
剣心「また右手の損傷が悪化してはまずいでござろう」
左之助「恵か……気は進まねえが、しょうがねえ」
道場に、剣心、薫、弥彦、恵の四人が集まった。
薫「剣心、ヒマを持て余した左之助が、新技を開発したんだって?」
弥彦「働きもせず新技開発とか、プー太郎はお気楽でいいぜ」
恵「まったく……また右手をダメにしたらどうする気なのよ」
剣心「言われ放題でござるな、左之」
左之助「うるせーよ」
左之助「ま、右手に関しては心配すんな!」
左之助「俺の計算じゃ、百重の極みは右手への負担は軽微だからよ」
恵「アンタほど、計算って言葉が似合わない人間もいないわよ……」
弥彦「とにかく、やってみせてくれよ。百重の極みってやつを」
左之助「おう」
左之助「んじゃ、さっそく──」
薫「ちょ、ちょっと待ってよ、左之助」
薫「私、二重の極みですらよく知らないのに……」
薫「ちゃんと一から説明してちょうだいよ」
恵「そうね。今のままで二重だの百重だのいわれても、凄さが分からないわ」
左之助「ああ、そういやそうだな」
左之助「んじゃあ、二重の極みや三重の極み──」
左之助「百重の極みがいったいどういう手順で行う技なのか、授業してから」
左之助「ド派手に披露してやらぁ」
左之助「安慈には教え広めるものじゃねえっていわれたが──」
左之助「どうせ真似できるもんじゃねぇし、大丈夫だろ」
弥彦「真似できたってやらねぇよ。俺は剣で強くなるんだからな!」
左之助「いうじゃねえか、弥彦」ニッ
三重の極みがさんじゅうだしひゃくじゅうでいいだろ
左之助「んじゃ、授業開始だ」
左之助「まずは、二重の極みの説明からだ」
左之助「二重の極みってのは、まずこうやって拳を立てて当てて」コツッ
左之助「すぐに、拳を折って刹那の拍子で二連撃を加えることで」ゴッ
左之助「物体の抵抗を無視して拳の威力を伝えるって技だ」
薫「へぇ~、なんか思ったよりずいぶん簡単なのね」
弥彦「真似できないって……俺でもできちまいそうだぜ」
剣心「いや……この極意は言うは易し、行うは難し、の典型……」
剣心「拳で闘う才と、たゆまぬ努力が両立せねば、到底会得はできぬでござるよ」
恵「こんなムチャな技、どうりで右手だけあんなに傷むわけだわ……」
左之助「──で、二連撃を加えた後、この五指を一気に弾く!」ピンッ
左之助「コイツが三重の極みだ」
剣心「うむ、ここまでは拙者も見た」
剣心「安慈和尚の拳をも打ち破った、死闘の中で左之が達した境地でござる」
薫「つまり、ここからが──」
弥彦「剣心すら知らない境地ってわけか……」
恵「で? 五指を弾いた後は、どうするのよ?」
左之助「この開いた掌を、ぶつける」バシッ
左之助「これで四重の極みだ」
剣心「なるほど」
左之助「んじゃ、こっからは手早く説明してくぜ」
左之助「なんたって百重だからな」
左之助「次は掌を裏返して、右手の甲を当てる! これで五重の極み」ペシッ
左之助「んで、右手首を当てて六重、右前腕を当てて七重」パシッ パシッ
左之助「右肘を当てて八重! そのまま右肩をぶつけて九重!」ゴッ ドッ
左之助「んでもって──」
左之助「右鎖骨を当てて十重!」ゴッ
弥彦「ようするに、十までで右上半身全体を使うわけだな」
剣心「ふむ、理にかなっているでござる」
左之助「んじゃ、次は十一だ」
左之助「左鎖骨と左肩で、十一重、十二重」ドッ ゴッ
左之助「左肘、左前腕で十三重、十四重!」ゴッ パシッ
薫「左半身に移って、ちょうどさっきまでの順序を逆流する感じね」
左之助「左手首で十五重!」パシッ
左之助「左手の甲で、十六重」パシッ
左之助「んでもって、左手の小指、薬指、中指、人差し指の四連撃で」パパパシッ
左之助「二十重の極み!」
恵「ってことは、二十一からは左手の親指から開始ってコト?」
左之助「いや、そうはならねぇんだ」
恵「え?」
てか二重の極みって人間に当てるだけでほぼ必殺だったよな
打ち消せるアンジが相手だから三重が必要だっただけで
左之助「二十一からは頭に移る」
弥彦「なんでだよ!?」
弥彦「今まで体の部位が繋がってたのに、急に途切れちまったじゃねえか」
左之助「しょうがねえだろ、こうしなきゃ極みが続かねぇんだからよ」
左之助「俺も最初は左手の親指が二十一だと思ったんだが──」
左之助「それじゃ、どうしても二十一重にならねぇんだ」
剣心「ふむ……」
剣心「例えば人体のツボというのは、押すと思わぬところに効果をもたらすもの」
剣心「手のツボが下半身に効いたり、頭にあるツボが内臓に効いたりする」
剣心「直接位置が繋がっていなくとも、関連性があるということでござる」
剣心「二重の極みの術理も、おそらくそのようなところがあるのでござろう」
薫「あ~……たしかにそういうものなのかもね」
>>51
志々雄の耐久力はガチ
左之助「さてと、二十一から再開するぜ」
左之助「頭──つまり頭突きで二十一重」ゴンッ
左之助「額で二十二重」ゴスッ
左之助「右耳たぶで二十三重、左耳たぶで二十四重」ペタッ ペタッ
左之助「右眉毛で二十五重、左眉毛で二十六重」ペタッ ペタッ
左之助「右目で二十七重、左目で二十八重」グニュッ グニュッ
弥彦「オイオイ左之助、目まで使うのかよ」
左之助「ああ、なにしろ百重の極みだからな。全身使わなきゃならねえ」
左之助「そんでもって、右頬をぶつけて二十九重!」グニッ
左之助「左頬をぶつけて三十重だ」グニッ
剣心「これでちょうど、三重の極みの十倍になったでござるな」
左之助「そういうこった」ニッ
左之助「んじゃ三十一からだが──」
左之助「まずは鼻をぶつけて三十一重、鼻の下を当てて三十二重」ガッ ゴッ
左之助「唇で三十三重」ブチュッ
左之助「口を開いて、噛みついて三十四重」ガブッ
左之助「舌で突いて、三十五重」ベロッ
左之助「顎先を当てて三十六重、顎の裏を当てて三十七重」ゴッ ガンッ
左之助「喉仏で三十八重」ムニッ
左之助「顎を下に動かして、顎と首の根元で相手を挟むことによって三十九重」スッ
左之助「それを勢いよく開くことで四十重」カパッ
薫「これで、顔面の部位のほとんどを使ったわね」
恵「次はどうするわけ?」
左之助「右乳首をぶつけて、四十一重」プニッ
左之助「左乳首をぶつけて、四十二重」プニッ
左之助「鳩尾をぶつけて四十三重」グンッ
左之助「へそを当てて四十四重」ピトッ
左之助「──と、ここで下半身に行くかと思いきやまだいかねえ」
左之助「ここで両腕で敵を抱きしめる」ガシッ
左之助「これで四十五重ってわけだ」
弥彦「へえ、そんな工程もあるんだな」
左之助「んでもって、この状態で五度サバ折りを決めりゃあ──」グンッ
左之助「一気に五十重に到達する!」
剣心「これで、ようやく折り返し地点でござるな」
左之助「五十一からはお待ちかね、いよいよ下半身ってわけだ」
弥彦「別に待ちかねてねーよ」
左之助「まずは股間で五十一重!」グニッ
左之助「右睾丸で五十二重、左睾丸で五十三重だ」プニプニッ
左之助「股で挟んで五十四重の極み!」ガシッ
左之助「股でこすって五十五重の極みだ!」ゴリゴリ
左之助「そしたら、右膝で蹴りをブチ込んで五十六重!」ゴッ
左之助「左膝で五十七重!」ゴッ
左之助「右スネ、左スネで五十八重、五十九重ときて──」ガッ ガッ
左之助「一度基本に戻って右拳で殴って六十重!」ガスッ
恵「まぁたしかに……一度基本に戻るのは大事かもしれないわね」
左之助「どんどんいくぜ!」
左之助「右ふくらはぎをぶつけて六十一重!」ブニッ
左之助「そのまま右カカトで蹴り飛ばして六十二重!」ガッ
左之助「さらに右足裏で踏んづけて六十三重!」ガッ
左之助「右つま先を突き刺して六十四重!」ドスッ
左之助「右足の甲で六十五重!」ゴッ
左之助「こっからは左足に移るぜ」
左之助「左足の甲、左つま先、左足裏、左カカト、左ふくらはぎで──」ガガガガガッ
左之助「六十六重、六十七重、六十八重、六十九重、七十重の極みだ!」
薫「すごいわ……!」
弥彦「やるじゃねえか、左之助!」
左之助「嬢ちゃん、弥彦、ちったぁ見直したか?」
左之助「七十一からは、また少しずつ上に上がっていくんだ」
左之助「まず右膝の裏で、七十一重! 左膝の裏を使って七十二重!」ドッ ガッ
剣心「ふむ……」
左之助「右太ももで七十三重、左太ももをぶつけて七十四重!」ドッ パシッ
左之助「さらに、ケツを丸ごとぶつけて七十五重の極みだ!」ドムッ
弥彦「おお……!」
左之助「んでもって、屁を五連発!」プッ プッ プッ プッ プッ
左之助「これで八十重の極み到達だ!」
左之助「だが、残り二十」
左之助「こっからグンと難度が跳ね上がる!」
左之助「みんな、心して聞いてくれや」
剣心「…………」
弥彦「…………」ドキドキ…
薫「…………」ゴクッ
恵「…………」ドクン…
左之助「んじゃ、いくぜ!」
左之助「まず後頭部で八十一重!」ゴッ
左之助「首の後ろ──つまり延髄で八十二重!」ガッ
左之助「右肩甲骨で八十三重! 左肩甲骨で八十四重!」ゴッ ゴッ
左之助「背中全体をぶつけて八十五重の極み!」ゴッ
左之助「右脇で八十六重! 左脇で八十七重!」バシッ バシッ
左之助「ツバをふっかけて八十八重の極み!」ペッ
左之助「吐息を優しく吹きかけて八十九重の極み!」フッ
左之助「首筋に浮かんでる頸動脈をぶつけて九十重の極み!」プニッ
左之助「さああと十だ!」
左之助「九十一重の極みを叩き込むには──」
左之助「まずこうやって逆立ちする」バッ
左之助「んでもってこの格好のまま五回転!」ギュルルッ
左之助「五回転した後、すぐ立ち上がってデコピンをすりゃあ九十一重だ!」ピンッ
弥彦「逆立ちして回転する意味ってあんのか?」
左之助「もちろんあるぜ」
弥彦「どんな意味があるんだ?」
左之助「それを説明しようとすると、日が暮れちまう」
左之助「とりあえず先に進むぜ」
弥彦「野暮な質問して悪かったな、左之助」
左之助「次はこうだ」
左之助「まず笑う」ニッ
左之助「笑いながら相手に近づいて──」
左之助「平手打ち──ビンタをかます! これで九十二重の極み!」パシッ
剣心「笑う必要はあるでござるか?」
左之助「もちろんあるが、説明してると日が変わっちまうんでな」
左之助「そして鼻歌をフンフンやりながら」フンフーン
左之助「右乳首と左乳首を、それぞれ左手と右手でつまんで」ギュッ
左之助「頭突きをすりゃあ……九十三重の極み!」ゴッ
薫「鼻歌や、乳首をつまむ意味は?」
左之助「わりいな嬢ちゃん、説明すると明日の朝日が昇る時刻になっちまう」
左之助「自分の全身をこすりまくると」ゴシゴシ…
左之助「汗と汚れと垢の混じった固まりが取れる」
左之助「これを、相手に投げつけると九十四重!」ポイッ
左之助「右手で箸を持つフリ、左手でどんぶりを持つフリをして」スッ…
左之助「蕎麦を食べるフリをしながら……」ズルズル…
左之助「尾てい骨を相手にブチ当てて九十五重の極み!」ゴッ
左之助「自分の鼻毛を抜いてから」ツンッ
左之助「その鼻毛を自分の頭に乗せて──」パサッ
左之助「相手を蹴る! これでようやく九十六重だ!」ガッ
恵「九十台になってから、だいぶ手順が複雑になってきたわね……」
左之助「両方の鼻の穴に人差し指を差し込んでから──」グニッ
左之助「軽く盆踊りを踊った後、左肩を絶妙な角度でぶつける!」ゴスッ
左之助「九十七重の極み!」
左之助「首を前後に激しく振りながら!」ブンブンブンブン
左之助「手足も激しく振りながら!」ブンブンブンブン
左之助「左肘で相手を小突く! これが九十八重!」コツッ
左之助「体を海老みてえに反って!」グイッ
左之助「足をガニマタに開いて、ケツを上下に振り、深呼吸をしつつ」ババババッ
左之助「右目のまぶたで敵を挟む! 九十九重の極みだ!」パチッ
恵(次が──)
薫(いよいよ──)
弥彦(百重の極み最後の──)
剣心(一撃!)
左之助「最後はもちろんこれだ!」
左之助「俺の右手で、二重の極みを叩き込む!」ガガッ
左之助「以上、百連撃を刹那の拍子で叩き込むのが、“百重の極み”だ!」
左之助「……どうでぇ」ニッ
弥彦「…………」
弥彦「オイ、ちょっと待てよ」
弥彦「最後に二重の極みを叩き込んだら、百じゃなく百一じゃねえか?」
左之助「あっ……」
剣心「弥彦のいうとおりでござるな」
薫「そうよねえ」
恵「数も数えられないの? アンタ」
左之助「うるせえ! キリがいいから、百重の極みでいいんでえ!」
左之助「とにかく、いよいよ本番だ」
左之助「さっそく百重の極みをお披露目するぜ」
薫「左之助、どこで披露するつもりよ!」
左之助「そりゃもちろん、道場(ここ)でだよ」
薫「なにに向けて、その百重の極みを放つつもり?」
左之助「そりゃもちろん、道場の床か壁で──」
薫「絶対ダメ! どうしてもやるっていうのなら、修理代払ってよね!」
左之助「ちっ……」
剣心「当然でござるよ……左之」
庭──
薫「ここでならいいわ。地面に向けて打ってみて」
左之助「ありがとよ、嬢ちゃん」
左之助「多分、土がすげえ飛び散るから、みんな離れてろよ」
弥彦「多分ってお前、百重の極みの威力を試してねえのか?」
左之助「ああ、極意としては到達したが、打つのは今日が初めてだ」
恵「なんだか不安だわ……」
左之助「よっしゃ、行くぜ」スゥ…
剣心「みんな、念のため拙者の後ろに」
薫「うん」スッ…
左之助「うおおおおおおおおっ!!!」
左之助「百重の極みッ!!!」
ドッバァァァァァンッ!!!!!
剣心「左之ォッ!」
薫「左之助ッ!?」
弥彦「左之助ぇぇぇっ!」
恵「いやぁぁぁっ!」
左之助「オメーたち、なにバカ騒ぎしてるんでえ」
剣心「おろ?」
薫「あら?」
弥彦「すげえ音がしたから、てっきり左之助が弾け飛んじまったのかと……」
恵「私もよ……」
左之助「心配すんな。多少は衝撃がきたが、このとおり五体満足だぜ」
ただのアホだwwww
剣心「拙者としたことが、とんだ早とちりだったでござるか」
薫「でもすごい音がしたわりに、地面はなんともなってないわね」
薫「正直、十本刀の巨人が作ったぐらいの穴ができるのは、覚悟してたんだけど」
弥彦「百撃同士が相殺し合って、衝撃がなくなったんじゃねえか?」
恵「ありえるわね、それ」
ゴゴゴゴゴ……
剣心「おろ?」
ゴゴゴゴゴ……
薫「なにこれ!? 地面が揺れてるわ!」
ピシピシ……
弥彦「じ、地面が割れてく……!」
ドゴォンッ! ドゴォンッ!
恵「あちこちで地面が、噴火みたいに爆発してるわ!」
剣心「これはまさか──」
左之助「百重の極みの仕業ってか……!」
ゴゴゴゴゴ……
薫「剣心、この揺れ……すぐに収まるかしら?」
剣心「いや……拙者の読みからすると、この揺れはこの辺りだけではござらんな」
薫「どういうこと?」
剣心「なんというか……この“世界”そのものが揺れているような──」
薫「えぇっ!?」
弥彦「ホントかよ!?」
恵「そんな……」
左之助(このままじゃ、俺の百重の極みで世界が滅んじまう!)
ズガァンッ! ドォンッ!
その佐之助って「んちゃ!」とか言いそうだな
ゴゴゴゴゴ……
左之助(明治政府には頼りたくねえが、背に腹は代えられねえ!)
左之助「剣心!」
左之助「だれか維新志士時代のお仲間にでも頼んで、今すぐ船を用意してくれ!」
剣心「なぜでござるか!?」
左之助「決まってんだろ!? “極み外し”だ!」
左之助「この日本の裏側にある土地に行って、百重の極みをもう一回打って」
左之助「百重の極みを無効化するんだ!」
剣心「なるほど!」
ドバァンッ! ドゴォンッ!
陸軍省──
ゴゴゴゴゴ……
山県「おお、緋村! この激しい揺れの中、わざわざ会いに来てくれるとは!」
山県「ところで何用かな?」
剣心「山県さん、軍艦を一隻貸して欲しいでござる!」
山県「軍艦を? なぜだ?」
剣心「早くするでござる! 間に合わなくなっても知らぬぞ!」ギンッ
山県「わ、分かった! 海軍に要請して、すぐ手配しよう!」
ズドォンッ! ドゴォンッ!
阿呆が・・・
一週間の航海の末、剣心たちは南米にたどり着いた。
ゴゴゴゴゴ……
ドゴォンッ! ズガァンッ! ドォンッ!
剣心「百重の極みの影響で海も荒れていて、苦しい船旅でござったな」
剣心「だが、波や嵐の力を借りることで、かなり早くたどり着くことができた」
弥彦「左之助! とっとと百重の極みを打ち込んでくれよ!」
薫「ええ、揺れや爆発がどんどんひどくなってる! もうすぐ世界が滅びちゃうわ!」
恵「早くしなさい!」
左之助「おうよ、任せとけ!」
左之助「オラァァァッ!!!」
左之助「百重の極みッ!!!」
ドッバァァァァァンッ!!!!!
シ~ン……
剣心「おろ?」
弥彦「やったぜ、揺れが収まった!」
薫「よかった……」ホッ…
恵「自分の技で世界を滅ぼしかけて、自分の技で救うなんて……つくづくバカね」
左之助「かなりきわどかったが、“極み外し”がうまくいったな」
左之助「ま、百重の極みは今後なるべく使わないように──」
薫&弥彦&恵「二度と使うな!!!」
剣心「やはり、この技は二重ぐらいにしておくのが、一番でござるな」ニッ
おわり
安慈「極めるとはこういうことか・・・」
マジレスしてるアホ(笑)
>>1乙
くだらなすぎてワロタwwwww
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません