左之助「剣心、ついに“百重の極み”が完成したぜ!」(302)

神谷道場──

左之助「よう、剣心!」

剣心「おお、左之」

剣心「今日はやけに上機嫌でござるな」

左之助「さすが、飛天御剣流の使い手。鋭い読みしてるじゃねえか」

剣心「今の左之を見れば、誰だって分かるでござるよ」

剣心「さては、なにかいいことでもあったでござるか?」

左之助「おう、聞いてくれ」

左之助「剣心、ついに“百重の極み”が完成したぜ!」

剣心「“百重の極み”!?」

剣心「五や十ではなく……百でござるか」

左之助「おう」

剣心「しかし、左之」

剣心「おぬしが安慈との決闘の際放った“三重の極み”──」

剣心「拙者、あれが二重の極みの最終到達点とばかり思っていたが」

剣心「これまたずいぶん進歩させたものでござるな」

左之助「まーな」

???「加速の為の関節などいくらでも増やせる 百でも千でもなんぼでも」

左之助「俺もせいぜい四重か五重で打ち止めになると思ったんだがよ」

左之助「一度コツが分かるとトントントーンと、な」

左之助「自分でも驚いてるぜ」

剣心「さようでござるか……」

剣心(ふとしたきっかけで、技や術が飛躍的な進歩を遂げる)

剣心(たしかに武芸の世界では、よくある話でござる)

剣心(むろん、日々の積み重ねという土台あってのことではあるが──)

剣心(それにしても、ここまで極端な例はなかなかないでござろう……)

剣心「──で、今日は何をしに来たでござるか?」

左之助「決まってんだろ」

左之助「俺が編み出した百重の極みを、披露しようと思ってきたんだよ」

左之助「直に見てもらって、お前から助言も聞きたいしよ」

剣心「そういうことなら喜んで……といいたいのだが」

剣心「これから洗濯物を片付けねばならなくてな」

剣心「それからでもいいでござるか?」

左之助「……すっかり家事をこなす姿が板についてきたな、お前」

左之助「──そうだ! こういうのは少しくらい見物人を呼んで」

左之助「ド派手にやった方が盛り上がるってもんだ!」

左之助「どうせなら、嬢ちゃんや弥彦も呼んで、パーッと披露してやらぁ!」

剣心「百重の極み披露の後、あわよくば飯や酒にありつこうという魂胆でござるな?」

左之助「うっ……さすが飛天御剣流」ギクッ

剣心「それと、もしもの時のために恵殿を呼んだ方がいいでござるな」

剣心「また右手の損傷が悪化してはまずいでござろう」

左之助「恵か……気は進まねえが、しょうがねえ」

道場に、剣心、薫、弥彦、恵の四人が集まった。

薫「剣心、ヒマを持て余した左之助が、新技を開発したんだって?」

弥彦「働きもせず新技開発とか、プー太郎はお気楽でいいぜ」

恵「まったく……また右手をダメにしたらどうする気なのよ」

剣心「言われ放題でござるな、左之」

左之助「うるせーよ」

左之助「ま、右手に関しては心配すんな!」

左之助「俺の計算じゃ、百重の極みは右手への負担は軽微だからよ」

恵「アンタほど、計算って言葉が似合わない人間もいないわよ……」

弥彦「とにかく、やってみせてくれよ。百重の極みってやつを」

左之助「おう」

左之助「んじゃ、さっそく──」

薫「ちょ、ちょっと待ってよ、左之助」

薫「私、二重の極みですらよく知らないのに……」

薫「ちゃんと一から説明してちょうだいよ」

恵「そうね。今のままで二重だの百重だのいわれても、凄さが分からないわ」

左之助「ああ、そういやそうだな」

左之助「んじゃあ、二重の極みや三重の極み──」

左之助「百重の極みがいったいどういう手順で行う技なのか、授業してから」

左之助「ド派手に披露してやらぁ」

左之助「安慈には教え広めるものじゃねえっていわれたが──」

左之助「どうせ真似できるもんじゃねぇし、大丈夫だろ」

弥彦「真似できたってやらねぇよ。俺は剣で強くなるんだからな!」

左之助「いうじゃねえか、弥彦」ニッ

三重の極みがさんじゅうだしひゃくじゅうでいいだろ

左之助「んじゃ、授業開始だ」

左之助「まずは、二重の極みの説明からだ」

左之助「二重の極みってのは、まずこうやって拳を立てて当てて」コツッ

左之助「すぐに、拳を折って刹那の拍子で二連撃を加えることで」ゴッ

左之助「物体の抵抗を無視して拳の威力を伝えるって技だ」

薫「へぇ~、なんか思ったよりずいぶん簡単なのね」

弥彦「真似できないって……俺でもできちまいそうだぜ」

剣心「いや……この極意は言うは易し、行うは難し、の典型……」

剣心「拳で闘う才と、たゆまぬ努力が両立せねば、到底会得はできぬでござるよ」

恵「こんなムチャな技、どうりで右手だけあんなに傷むわけだわ……」

左之助「──で、二連撃を加えた後、この五指を一気に弾く!」ピンッ

左之助「コイツが三重の極みだ」

剣心「うむ、ここまでは拙者も見た」

剣心「安慈和尚の拳をも打ち破った、死闘の中で左之が達した境地でござる」

薫「つまり、ここからが──」

弥彦「剣心すら知らない境地ってわけか……」

恵「で? 五指を弾いた後は、どうするのよ?」

左之助「この開いた掌を、ぶつける」バシッ

左之助「これで四重の極みだ」

剣心「なるほど」

左之助「んじゃ、こっからは手早く説明してくぜ」

左之助「なんたって百重だからな」

左之助「次は掌を裏返して、右手の甲を当てる! これで五重の極み」ペシッ

左之助「んで、右手首を当てて六重、右前腕を当てて七重」パシッ パシッ

左之助「右肘を当てて八重! そのまま右肩をぶつけて九重!」ゴッ ドッ

左之助「んでもって──」

左之助「右鎖骨を当てて十重!」ゴッ

弥彦「ようするに、十までで右上半身全体を使うわけだな」

剣心「ふむ、理にかなっているでござる」

左之助「んじゃ、次は十一だ」

左之助「左鎖骨と左肩で、十一重、十二重」ドッ ゴッ

左之助「左肘、左前腕で十三重、十四重!」ゴッ パシッ

薫「左半身に移って、ちょうどさっきまでの順序を逆流する感じね」

左之助「左手首で十五重!」パシッ

左之助「左手の甲で、十六重」パシッ

左之助「んでもって、左手の小指、薬指、中指、人差し指の四連撃で」パパパシッ

左之助「二十重の極み!」

恵「ってことは、二十一からは左手の親指から開始ってコト?」

左之助「いや、そうはならねぇんだ」

恵「え?」

てか二重の極みって人間に当てるだけでほぼ必殺だったよな
打ち消せるアンジが相手だから三重が必要だっただけで

左之助「二十一からは頭に移る」

弥彦「なんでだよ!?」

弥彦「今まで体の部位が繋がってたのに、急に途切れちまったじゃねえか」

左之助「しょうがねえだろ、こうしなきゃ極みが続かねぇんだからよ」

左之助「俺も最初は左手の親指が二十一だと思ったんだが──」

左之助「それじゃ、どうしても二十一重にならねぇんだ」

剣心「ふむ……」

剣心「例えば人体のツボというのは、押すと思わぬところに効果をもたらすもの」

剣心「手のツボが下半身に効いたり、頭にあるツボが内臓に効いたりする」

剣心「直接位置が繋がっていなくとも、関連性があるということでござる」

剣心「二重の極みの術理も、おそらくそのようなところがあるのでござろう」

薫「あ~……たしかにそういうものなのかもね」

>>51
志々雄の耐久力はガチ

左之助「さてと、二十一から再開するぜ」

左之助「頭──つまり頭突きで二十一重」ゴンッ

左之助「額で二十二重」ゴスッ

左之助「右耳たぶで二十三重、左耳たぶで二十四重」ペタッ ペタッ

左之助「右眉毛で二十五重、左眉毛で二十六重」ペタッ ペタッ

左之助「右目で二十七重、左目で二十八重」グニュッ グニュッ

弥彦「オイオイ左之助、目まで使うのかよ」

左之助「ああ、なにしろ百重の極みだからな。全身使わなきゃならねえ」

左之助「そんでもって、右頬をぶつけて二十九重!」グニッ

左之助「左頬をぶつけて三十重だ」グニッ

剣心「これでちょうど、三重の極みの十倍になったでござるな」

左之助「そういうこった」ニッ

左之助「んじゃ三十一からだが──」

左之助「まずは鼻をぶつけて三十一重、鼻の下を当てて三十二重」ガッ ゴッ

左之助「唇で三十三重」ブチュッ

左之助「口を開いて、噛みついて三十四重」ガブッ

左之助「舌で突いて、三十五重」ベロッ

左之助「顎先を当てて三十六重、顎の裏を当てて三十七重」ゴッ ガンッ

左之助「喉仏で三十八重」ムニッ

左之助「顎を下に動かして、顎と首の根元で相手を挟むことによって三十九重」スッ

左之助「それを勢いよく開くことで四十重」カパッ

薫「これで、顔面の部位のほとんどを使ったわね」

恵「次はどうするわけ?」

左之助「右乳首をぶつけて、四十一重」プニッ

左之助「左乳首をぶつけて、四十二重」プニッ

左之助「鳩尾をぶつけて四十三重」グンッ

左之助「へそを当てて四十四重」ピトッ

左之助「──と、ここで下半身に行くかと思いきやまだいかねえ」

左之助「ここで両腕で敵を抱きしめる」ガシッ

左之助「これで四十五重ってわけだ」

弥彦「へえ、そんな工程もあるんだな」

左之助「んでもって、この状態で五度サバ折りを決めりゃあ──」グンッ

左之助「一気に五十重に到達する!」

剣心「これで、ようやく折り返し地点でござるな」

左之助「五十一からはお待ちかね、いよいよ下半身ってわけだ」

弥彦「別に待ちかねてねーよ」

左之助「まずは股間で五十一重!」グニッ

左之助「右睾丸で五十二重、左睾丸で五十三重だ」プニプニッ

左之助「股で挟んで五十四重の極み!」ガシッ

左之助「股でこすって五十五重の極みだ!」ゴリゴリ

左之助「そしたら、右膝で蹴りをブチ込んで五十六重!」ゴッ

左之助「左膝で五十七重!」ゴッ

左之助「右スネ、左スネで五十八重、五十九重ときて──」ガッ ガッ

左之助「一度基本に戻って右拳で殴って六十重!」ガスッ

恵「まぁたしかに……一度基本に戻るのは大事かもしれないわね」

左之助「どんどんいくぜ!」

左之助「右ふくらはぎをぶつけて六十一重!」ブニッ

左之助「そのまま右カカトで蹴り飛ばして六十二重!」ガッ

左之助「さらに右足裏で踏んづけて六十三重!」ガッ

左之助「右つま先を突き刺して六十四重!」ドスッ

左之助「右足の甲で六十五重!」ゴッ

左之助「こっからは左足に移るぜ」

左之助「左足の甲、左つま先、左足裏、左カカト、左ふくらはぎで──」ガガガガガッ

左之助「六十六重、六十七重、六十八重、六十九重、七十重の極みだ!」

薫「すごいわ……!」

弥彦「やるじゃねえか、左之助!」

左之助「嬢ちゃん、弥彦、ちったぁ見直したか?」

左之助「七十一からは、また少しずつ上に上がっていくんだ」

左之助「まず右膝の裏で、七十一重! 左膝の裏を使って七十二重!」ドッ ガッ

剣心「ふむ……」

左之助「右太ももで七十三重、左太ももをぶつけて七十四重!」ドッ パシッ

左之助「さらに、ケツを丸ごとぶつけて七十五重の極みだ!」ドムッ

弥彦「おお……!」

左之助「んでもって、屁を五連発!」プッ プッ プッ プッ プッ

左之助「これで八十重の極み到達だ!」

左之助「だが、残り二十」

左之助「こっからグンと難度が跳ね上がる!」

左之助「みんな、心して聞いてくれや」

剣心「…………」

弥彦「…………」ドキドキ…

薫「…………」ゴクッ

恵「…………」ドクン…

左之助「んじゃ、いくぜ!」

左之助「まず後頭部で八十一重!」ゴッ

左之助「首の後ろ──つまり延髄で八十二重!」ガッ

左之助「右肩甲骨で八十三重! 左肩甲骨で八十四重!」ゴッ ゴッ

左之助「背中全体をぶつけて八十五重の極み!」ゴッ

左之助「右脇で八十六重! 左脇で八十七重!」バシッ バシッ

左之助「ツバをふっかけて八十八重の極み!」ペッ

左之助「吐息を優しく吹きかけて八十九重の極み!」フッ

左之助「首筋に浮かんでる頸動脈をぶつけて九十重の極み!」プニッ

左之助「さああと十だ!」

左之助「九十一重の極みを叩き込むには──」

左之助「まずこうやって逆立ちする」バッ

左之助「んでもってこの格好のまま五回転!」ギュルルッ

左之助「五回転した後、すぐ立ち上がってデコピンをすりゃあ九十一重だ!」ピンッ

弥彦「逆立ちして回転する意味ってあんのか?」

左之助「もちろんあるぜ」

弥彦「どんな意味があるんだ?」

左之助「それを説明しようとすると、日が暮れちまう」

左之助「とりあえず先に進むぜ」

弥彦「野暮な質問して悪かったな、左之助」

左之助「次はこうだ」

左之助「まず笑う」ニッ

左之助「笑いながら相手に近づいて──」

左之助「平手打ち──ビンタをかます! これで九十二重の極み!」パシッ

剣心「笑う必要はあるでござるか?」

左之助「もちろんあるが、説明してると日が変わっちまうんでな」

左之助「そして鼻歌をフンフンやりながら」フンフーン

左之助「右乳首と左乳首を、それぞれ左手と右手でつまんで」ギュッ

左之助「頭突きをすりゃあ……九十三重の極み!」ゴッ

薫「鼻歌や、乳首をつまむ意味は?」

左之助「わりいな嬢ちゃん、説明すると明日の朝日が昇る時刻になっちまう」

左之助「自分の全身をこすりまくると」ゴシゴシ…

左之助「汗と汚れと垢の混じった固まりが取れる」

左之助「これを、相手に投げつけると九十四重!」ポイッ

左之助「右手で箸を持つフリ、左手でどんぶりを持つフリをして」スッ…

左之助「蕎麦を食べるフリをしながら……」ズルズル…

左之助「尾てい骨を相手にブチ当てて九十五重の極み!」ゴッ

左之助「自分の鼻毛を抜いてから」ツンッ

左之助「その鼻毛を自分の頭に乗せて──」パサッ

左之助「相手を蹴る! これでようやく九十六重だ!」ガッ

恵「九十台になってから、だいぶ手順が複雑になってきたわね……」

左之助「両方の鼻の穴に人差し指を差し込んでから──」グニッ

左之助「軽く盆踊りを踊った後、左肩を絶妙な角度でぶつける!」ゴスッ

左之助「九十七重の極み!」

左之助「首を前後に激しく振りながら!」ブンブンブンブン

左之助「手足も激しく振りながら!」ブンブンブンブン

左之助「左肘で相手を小突く! これが九十八重!」コツッ

左之助「体を海老みてえに反って!」グイッ

左之助「足をガニマタに開いて、ケツを上下に振り、深呼吸をしつつ」ババババッ

左之助「右目のまぶたで敵を挟む! 九十九重の極みだ!」パチッ

恵(次が──)

薫(いよいよ──)

弥彦(百重の極み最後の──)

剣心(一撃!)

左之助「最後はもちろんこれだ!」

左之助「俺の右手で、二重の極みを叩き込む!」ガガッ

左之助「以上、百連撃を刹那の拍子で叩き込むのが、“百重の極み”だ!」

左之助「……どうでぇ」ニッ

弥彦「…………」

弥彦「オイ、ちょっと待てよ」

弥彦「最後に二重の極みを叩き込んだら、百じゃなく百一じゃねえか?」

左之助「あっ……」

剣心「弥彦のいうとおりでござるな」

薫「そうよねえ」

恵「数も数えられないの? アンタ」

左之助「うるせえ! キリがいいから、百重の極みでいいんでえ!」

左之助「とにかく、いよいよ本番だ」

左之助「さっそく百重の極みをお披露目するぜ」

薫「左之助、どこで披露するつもりよ!」

左之助「そりゃもちろん、道場(ここ)でだよ」

薫「なにに向けて、その百重の極みを放つつもり?」

左之助「そりゃもちろん、道場の床か壁で──」

薫「絶対ダメ! どうしてもやるっていうのなら、修理代払ってよね!」

左之助「ちっ……」

剣心「当然でござるよ……左之」

庭──

薫「ここでならいいわ。地面に向けて打ってみて」

左之助「ありがとよ、嬢ちゃん」

左之助「多分、土がすげえ飛び散るから、みんな離れてろよ」

弥彦「多分ってお前、百重の極みの威力を試してねえのか?」

左之助「ああ、極意としては到達したが、打つのは今日が初めてだ」

恵「なんだか不安だわ……」

左之助「よっしゃ、行くぜ」スゥ…

剣心「みんな、念のため拙者の後ろに」

薫「うん」スッ…

左之助「うおおおおおおおおっ!!!」

左之助「百重の極みッ!!!」





ドッバァァァァァンッ!!!!!





剣心「左之ォッ!」

薫「左之助ッ!?」

弥彦「左之助ぇぇぇっ!」

恵「いやぁぁぁっ!」

左之助「オメーたち、なにバカ騒ぎしてるんでえ」

剣心「おろ?」

薫「あら?」

弥彦「すげえ音がしたから、てっきり左之助が弾け飛んじまったのかと……」

恵「私もよ……」

左之助「心配すんな。多少は衝撃がきたが、このとおり五体満足だぜ」

ただのアホだwwww

剣心「拙者としたことが、とんだ早とちりだったでござるか」

薫「でもすごい音がしたわりに、地面はなんともなってないわね」

薫「正直、十本刀の巨人が作ったぐらいの穴ができるのは、覚悟してたんだけど」

弥彦「百撃同士が相殺し合って、衝撃がなくなったんじゃねえか?」

恵「ありえるわね、それ」

ゴゴゴゴゴ……

剣心「おろ?」

ゴゴゴゴゴ……

薫「なにこれ!? 地面が揺れてるわ!」

ピシピシ……

弥彦「じ、地面が割れてく……!」

ドゴォンッ! ドゴォンッ!

恵「あちこちで地面が、噴火みたいに爆発してるわ!」

剣心「これはまさか──」

左之助「百重の極みの仕業ってか……!」

ゴゴゴゴゴ……

薫「剣心、この揺れ……すぐに収まるかしら?」

剣心「いや……拙者の読みからすると、この揺れはこの辺りだけではござらんな」

薫「どういうこと?」

剣心「なんというか……この“世界”そのものが揺れているような──」

薫「えぇっ!?」

弥彦「ホントかよ!?」

恵「そんな……」

左之助(このままじゃ、俺の百重の極みで世界が滅んじまう!)

ズガァンッ! ドォンッ!

その佐之助って「んちゃ!」とか言いそうだな

ゴゴゴゴゴ……

左之助(明治政府には頼りたくねえが、背に腹は代えられねえ!)

左之助「剣心!」

左之助「だれか維新志士時代のお仲間にでも頼んで、今すぐ船を用意してくれ!」

剣心「なぜでござるか!?」

左之助「決まってんだろ!? “極み外し”だ!」

左之助「この日本の裏側にある土地に行って、百重の極みをもう一回打って」

左之助「百重の極みを無効化するんだ!」

剣心「なるほど!」

ドバァンッ! ドゴォンッ!

陸軍省──

ゴゴゴゴゴ……

山県「おお、緋村! この激しい揺れの中、わざわざ会いに来てくれるとは!」

山県「ところで何用かな?」

剣心「山県さん、軍艦を一隻貸して欲しいでござる!」

山県「軍艦を? なぜだ?」

剣心「早くするでござる! 間に合わなくなっても知らぬぞ!」ギンッ

山県「わ、分かった! 海軍に要請して、すぐ手配しよう!」

ズドォンッ! ドゴォンッ!

阿呆が・・・

一週間の航海の末、剣心たちは南米にたどり着いた。

ゴゴゴゴゴ……

ドゴォンッ! ズガァンッ! ドォンッ!

剣心「百重の極みの影響で海も荒れていて、苦しい船旅でござったな」

剣心「だが、波や嵐の力を借りることで、かなり早くたどり着くことができた」

弥彦「左之助! とっとと百重の極みを打ち込んでくれよ!」

薫「ええ、揺れや爆発がどんどんひどくなってる! もうすぐ世界が滅びちゃうわ!」

恵「早くしなさい!」

左之助「おうよ、任せとけ!」

左之助「オラァァァッ!!!」

左之助「百重の極みッ!!!」





ドッバァァァァァンッ!!!!!

シ~ン……

剣心「おろ?」

弥彦「やったぜ、揺れが収まった!」

薫「よかった……」ホッ…

恵「自分の技で世界を滅ぼしかけて、自分の技で救うなんて……つくづくバカね」

左之助「かなりきわどかったが、“極み外し”がうまくいったな」

左之助「ま、百重の極みは今後なるべく使わないように──」

薫&弥彦&恵「二度と使うな!!!」

剣心「やはり、この技は二重ぐらいにしておくのが、一番でござるな」ニッ





                                     おわり

安慈「極めるとはこういうことか・・・」

マジレスしてるアホ(笑)



>>1
くだらなすぎてワロタwwwww

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