キノ「安価の国?」(237)

どこまでも続くという言葉が似合いそうな緑の道。そこを一台のモトラド(二輪車、空を飛ばない物だけを指す)が走っていた
上に乗る一五、六歳の髪の短い人間は眠気に負けそうになりながらまぶたをひらいたりとじたりを繰り返している

エルメス「ちょっとキノ、こけないでよね、この道にはワックスも新しい塗装材も落ちてないんだよ?」

キノ「解ってるよエルメス、ただちょっとドリフトの練習をしていただけさ」

エルメス「どちらにしても止めて欲しい事には変わりはないけどね」

キノ「まあ、どんな練習がどんな風にやくだつかは解らない、きっとこれもやくにたつ」

エルメス「なるほど、備えあったら売り物ほしいってことだね?」

キノ「……備えあれば憂いなし?」

エルメス「そうそれ、あ、そうだ、キノに聞きたかったんだけどさ」

キノ「なんだい?」

ついでにエルメスはたずねる

エルメス「今から行く国はどんな国なんだい?」

キノはニヤリと笑って言った

キノ「聞いて驚け、今から行く国は>>4の国さ」

黄泉

エルメス「黄泉の国?」

キノ「うん、噂話の国のおじさんが言ってたんだ」

エルメス「キノはさぁ……黄泉って何か知ってる?」

キノ「当然、死んだ人が集まる場所だね」

エルメス「……そんな場所が本当にあると思うのかい?」

キノ「さあ?行って見なきゃ解らない、それに」

エルメス「それに?」

キノ「そんな場所があるなら、是非とも見てみたい」

エルメス「……まったく、口がないモトラドにため息をつかせるのは世界広しでもキノくらいだよ」

キノ「そりゃどうも」

エルメス「そう言えばキノ、食べ物は大丈夫なのかい?」

キノ「まあ、次の国に着くぶんくらいはあるけど」

エルメス「そりゃ大変だ!キノの旅はここで終わってしまう!」

キノ「どういうことだい?」

エルメス「知らないのかい?黄泉の国の食べ物を食べた人間は、一生黄泉の国から出ることは出来ないんだ」

キノ「それは大変だ!せっかくの美味しい物が食べられないじゃないか!」

エルメス「悲しむのはそこかい」

キノ「まあ、万が一のために携帯食料はとっておくよ」

エルメス「そうするのがいいと思う、本当に黄泉の国が存在するなら」

キノ「それは心配ないと思うよ」

エルメス「なんださ」

キノ「国境だ」

キノが巨大な門の前でモトラドを止めると、辺りにちらほら開いている小穴から、黒い服で全身を覆った人間が出てきた
彼らは普通では考えられないような鈍い動きでゆっくりとキノに近づこうとしている

キノ「どうも、僕はキノ、こっちは相棒のエルメス、3日間の入国許可をいただきたいのですが」

その言葉を聞いた黒服達は、変わらない鈍い動きでお互いの顔を見合わせ、そのあと二人が門の前に付いている車輪を回し始め
他の黒服達は各自また元の穴に戻っていった

キノ「……これは入国許可は貰えたのかな?」

エルメス「たぶん」

キノ「……一つ思うんだけどさ」

エルメス「なんだいキノ」

キノ「あの門をあの早さで車輪を使って開けるには相当な時間が掛かる気がするのだけど」

結局キノは入国できたのは食事を二回挟んだあとになった

エルメス「黒い」

朝になりようやくの入国を果たしたキノが一番最初に町を見ていった
けして、町が黒に染められているわけではない、むしろ、白や黄色など、鮮やかな色が目立つ、しかし

エルメス「うん、黒いね」

その町を歩いている住人、彼らは入国管理者が着ていた全身を覆う黒い服、それとまったく同じ物を全員が来ていたのだ
さらには、彼らは動く早さすら、入国管理者と同じような早さだった

キノ「どうしたのかな?ボクらだけ早くなったとか?」

エルメス「それはないと思うよ」

キノ「……まあとりあえず」

エルメス「聞き込みかい?」

キノ「ホテルだ、久しぶりのシャワーだ」

エルメス「さいで」

ホテルのチェックイン(これすらいつもの十倍は時間がかかりさすがのキノも怒りが顔に出かけていた)をすまし、じっくりとシャワーを浴びて(受付にかかった時間の10倍はかかり、さすがのエルメスも怒り心頭であった)キノ達は町に出た
キノはまず最初にパースエイダーの弾を補充し、そのあと携帯食料を補充した
なおその時にエルメスは

「黄泉の国からは出られないはずなのになんで携帯食料が売ってるのさ」

などと言ったが、キノの

「あって文句を出すことはないさ」

と言う言葉に黙らされていた

さらに、キノはエルメスのタンクを満たし、そのあとに剥がれかけていた塗装を塗り直すために塗料を購入した

それだけで昼過ぎとなった

キノは公園に座ってつぶやいた

キノ「……おかしい」

エルメス「とっくに気づいてるよ」

キノ「あまりにもゆっくりすぎる、それに、彼らは話かけても言葉自体は聞こえているみたいだけど反応を返してくれない」

エルメス「キノが生きてるからじゃない?」

キノ「……あるかもしれない」

キノが真面目な顔でそういうのを見て、エルメスは吹き出した

エルメス「まったく、そんなことあるわけないよ、キノもアイツ等も生きてる、それは事実だ」

そこに、一人の黒服が近づいてきた、黒服は普通の早さでキノの横に座ると、キノに明るく挨拶してきた

男「よう旅人さん、この国はどうだい?」

キノ「こんにちは、不思議ですよ、何もかも全部」

黒服「だろうな」

苦笑の表情を言葉に交えつつ黒服は言った

黒服「どうだ?よければ俺がこの国の歴史を説明するが」

キノは当然

キノ「ありがとうございます、お願いしてもいいですか?」

と答えた、黒服はうれしそうな空気を出したがすぐに

黒服「ああいや、やっぱり実物を見てから解説したほうがいいだろう、今日の深夜にこの町を見てくれ、言っておくが絶対に外に出ちゃダメだ、ホテルの窓から、こっそり見て欲しい、そのあとでもかまわないかい?」

キノ「わかりました」

黒服「なら、また明日この時間に会おう」

そう言って黒服は去っていった

それからキノは、パースエイダーの試しうちをしたり、読書したりして時間を潰した、さらにエルメスの塗装を塗りかえている内に、あたりはすっかり夜になった

エルメス「キノ?もうそろそろじゃない?」

キノ「そうだね、エルメス」

キノはそう言って、防音ガラスを開けた、その瞬間

黒服「○○○ちゃーん!また会えてうれしいわっー!今日も○○○ちゃんの大好きのお料理をたくさんつくってあげるからねっー!」

黒服「うおーっ!×××!好きだぁー!愛してる!おまえも一生一緒にいるんだーっ!」

黒服「はい、△△△君、お弁当、今日もお仕事頑張っていってらっしゃい、いってきますのキスだよ」

黒服「あはははは、□□□とずっといっしょ、いつもいっしょ、どこまでもいっしょじゃないとゆるさないんだからー!」

キノ「…………エルメス、ボクの目が正しければ」

エルメス「うん、あいつらたった一人でしゃべってるよ」

すまんちと離席してた

次の日、キノは約束の時間までぐっすりと眠った
起きたあと日課のパースエイダーの試し打ちと長いシャワーを終えたあと、キノは昨日の黒服と会った公園に向かった

黒服「よう、昨日ぶりだな」

黒服は約束の時間より相当早く来ていたらしく、キノが公園にたどり着くころにはすでにコーヒーの紙コップが3杯分空となっていた

キノ「おはようございます、すいません、待たせてしまって」

黒服「いやいや、旅人さんのせいじゃない、ただ単に久しぶりに普通に会話出きる人と会うのは久しぶりだからね、ついつい早く家から出てしまった」

キノ「そうですか、では、お話を聞かせてもらってもよろしいですか?」

黒服「もちろん、キノさんは、昨日の深夜のアレを見たかい?」

キノ「はい、見ました、みんな、周りに誰もいないのに一人で会話をしていました」

黒服「ああ、それなんだが、あれは実は」

黒服「死者と会話しているんだよ」

キノは黒服の目の辺りを見て言った

キノ「死者と会話……ですか」

黒服「ああ、少し長くなるけど、いいか?」

キノ「ぜひおねがいします」

黒服「なら、俺達の国は、こういうのは何だが努力の天才ばかりが集まる国だった、国民たちは皆勤勉で、才能はないがその分を時間と人をかけて埋めていき、最終的に天才を上回る、そんなことを得意とする国だった」

キノ「なるほど」

黒服「だけど、俺達には一つだけ弱点があった、それは、俺達は努力で結果を作るが、努力をするには時間が必要で、早急な対応を要求する事柄には弱かったんだ」

キノ「その事柄というのは?」

キノの問いに、黒服は恨めしそうに言った

黒服「流行病、それも感染力が高い物、それに俺たちは対抗することができなかった」

黒服「ワクチンが完成したのは、国民の半分が死んだころだった、それでも、俺達は喜んだ、これで国民を救うことができると、でも、現実は違った」

キノ「なにがあったんですか?」

黒服「自殺だよ、最初は、身よりがなくなった年寄りや、国の責任者が死んだ、そのうち、病気で家族を失った奴が死んだ、そのうち、自殺をしたやつの家族や知り合いが自殺をするようになった、そして、俺達の人口は最大時の四分の一まで減ってしまったんだ」

黒服は話す声が涙まじりになっていった、キノは黒服になにも言うことなく、聞き続ける

黒服「その内、あまりにも死者が多いから喪服が普段着になっていった、ああ、旅人さんは喪服なんて知らないか、俺が着てる真っ黒な全身を覆う服を喪服って言うんだ」

黒服「とにかく、これ以上人を殺すわけにはいかなかった、だから俺達は、根本的な解決をしようとした、つまり」

黒服は一息置いて言った

黒服「死者を生き返らせればいい、まあ、失敗したんだけどな」

黒服「死者を生き返らせる研究に失敗した俺達は焦った、このままでは自殺の連鎖が止まらなくて国が滅んでしまう、そう考えた俺達は禁忌中の禁忌、催眠の研究に乗り出した
国民が大切な人が死んだから自殺をするというのなら、やつらに大切な人は死んではいない、という協力な催眠をかけてやればいい、誰かがそう言ったのがきっかけだったな
その言葉が正しいと信じ込んでしまった俺達は、すぐさま国民に催眠をかけるための研究を始めた、そして、完成した、完成してしまったんだ」

キノ「催眠……ですか」

黒服「ああ、俺達はまず町中にスピーカーを仕掛けた、普通なら怪しさだらけだったが、まるで疑われなかったね、そもそも疑う事すら疲れてたんだ
そして、大音量で催眠できる超音波を流した、俺は確信したよ、これでこの国は救われるとね、でも、違った
国民はみんな頭に突然現れた矛盾に耐えきれず壊れてしまったんだ」

黒服「それ以来国民は、深夜になると急に死んでいる大切な人と話始めるようになった、死んでいると気づかずただ催眠どおりに彼らは狂っている……これが俺たちの国の全てだよ」

キノ「ありがとうございます、いくつか質問いいですか?」

黒服「ああ、まあ、何を聞かれるかは大体わかるけどな」

キノ「では遠慮なく。あなたはどうして催眠に掛からなかったのですか?」

黒服「それは、つまりは催眠を発生させる部屋にいたからだよ、その部屋だけは防音になっていて、音が届かなかった
……つまり、催眠のボタンを押したのは俺だ」

キノ「他のお仲間は?」

黒服「半分は成功すると思いこんでショックで寝たきりになってたりしていた家族の元に向かってた、もう半分は現場で不具合があるかどうか見ていた、つまりは全滅だ」

キノ「あなたは、その催眠の解除する方法をもっているのではないですか?」

黒服「……ああ、持ってる」

黒服「だが、俺はそれを起動することはできない、なぜなら、おそらくそれを起動した瞬間に皆が自殺を始めるからだ、今は皆は自殺していないし、まだこの形のままでいいんじゃないかと思っている」

キノ「そうですか、本当にありがとうございます、では」

黒服「ちょ!ちょっとまってくれ!」

黒服の呼び止める声にキノは立ち止まり、振り返る、その目の前には、顔すらも覆っていた黒服を脱ぎ、色白をすぎてもはや真っ青な顔になってしまっている彼が立っていた

黒服「答えてくれ!俺は!間違ってしまっているのか!?人が死んでも!催眠をとくべきなのか!?」

キノは、その男の問いに答えることなく、その場を立ち去っていった

次の日、キノがシャワーを浴びている時、突然にとんでもなく大きな音が鳴った
キノはその音を聞いた瞬間に防音ガラスを閉め、あらかじめ買っておいた耳栓をはめながた

エルメス「ひゃあ凄い音!体がぶるぶる震えて気持ち悪いよ!」

キノ「……音が止んだら教えて、外に行こう」

エルメス「おっけーって、キノ耳栓してるじゃん!どうやって伝えたらいいの!?」

キノ「……」

エルメス「……ねえ!キノったら!聞いてよ!」

>>60
あらかじめ買って置いた耳栓をはめた

ようやくキノがエルメスの言いたいことに気がついて、耳栓を外した時には、すっかり音は止んでいた

キノ「さあ、外に行くよ」

エルメス「ああうん、まったく物好きだなあ」

外に出たキノたちをみてキノたちを探していた黒服が駆け寄ってきた

黒服「旅人さん!俺やったよ!催眠を全部解いてやった!それなのに自殺は起きない!俺はやったんだ!」

キノ「おめでとうございます、どのような催眠解除をしたんですか?」

黒服「簡単だよ!大切な人がいないから自殺して、いると思いこんでるから狂うのなら!大切な人を頭から消去してしまえばよかったんだ!そうすれば誰も死ななくなる!」

キノ「そうですか、どうやってこんなに早くここにきたのですか?」

男「ああ!そんなことか!簡単だよ!スイッチを入れてオートで電源が落ちるようにしたんだ!旅人さんに早くしらせたくてね!」

黒服「そうだ!俺はやったんだ!そうだ!研究仲間にも会いにいくか!……あれ?名前をド忘れしたな、じゃあ母さんだ!……あれ?かあさんって…………………………」

キノ「どうしました?」

黒服「あれ?なんでだ?おかしいな?あれれれれ?なんだ?……………………」

キノが言葉を出そうとした瞬間、黒服は突然青い顔を上げた、目の焦点が合っていなかった

黒服「お前誰だよ」

そう言うと、黒服は走ってどこかに去っていった

エルメス「さて、大変な事になっちゃったけど、どうする?」

キノ「当然もう出国するよ、このままこの国にいたら、多分ロクな事にならない」

エルメス「そうかい、まあ残念だったね」

キノ「何が?」

エルメス「本物の黄泉の国じゃなくて」

キノ「……いや」

エルメス「へ?」

キノは全く物音がしない賑わっている町を見ながら言った

キノ「ここは多分、本物の黄泉の国以上に黄泉の国だったと思うよ」

黄泉の国エンド
もし残ってたら次かく

寝れないし
>>72の国

運命の国

緑の絨毯の中に少し荒れが見え始めた、そんな道を一台のモトラド(二輪車、空を飛ばない物だけを指す)が走っていた
荷台の上には前の国であふれるほど手に入れた食料と宝石が乗っている
その持ち主の一五、六歳くらいの髪の短い人間は、目の前にある新しい国の説明を相棒のモトラドに話していた

キノ「うん、噂話の国のおじさんの話だと、この国は運が悪いと入れないかもしれない国なんだってさ」

エルメス「入国審査とかじゃなくて運?どういうこと?」

キノ「さあ?よくわからないけど、いってみる価値はありそうだ」

そう言いながらモトラドを停止させたキノは、笑顔でこちらに向かってくる

キノ「すいません、3日間の滞在をしたいのですが、大丈夫ですか?」

兵士「はい、大丈夫ですよ!それにしてもよかったですね!」

キノ「よかったとは?」

兵士「今日の運命では国に入ってくるのは3人までとなってましたから、それ以上の入国はお断りしてるんです、旅人さんでちょうど3人目ですよ」

国の空気はまさに特筆すべきものがないと言うような平凡が、集まったような感じだった
入国したキノは、まず最初に前の国で手に入れた宝石を売ろうと道具屋によった

キノ「すいません、宝石を売りたいのですが」

道具屋「あー、宝石?ダメダメ、今日の運命じゃ宝石は買っちゃダメになってんだよ」

キノ「なら、携帯食料とパースエイダーの球を売って欲しいのですが」

道具屋「携帯食料は売れるけど、パースエイダーの球はダメだね、明日は運命が巡り会う日だから明日きなさい」

キノ「……すいません、運命ってなんですか?」

道具屋の主人はプッと少し笑うと言い出した

「あー、お前ヨソか、よし、なら運命の出会いだ、教えてやろう」

ぬるぽの国

帰ってきました
少々お待ちください

>>116
キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!

道具屋「この国では新しく人間が生まれた時に、その人間の運命を決めるのさ、運命によって決められたことは絶対に守らなくてはならないし、逆に破ってもいけないこの国の人間は全員運命を守って生きている
ちなみに運命は他の人と矛盾が起きないように調節されているんだ、例えばとある主婦の運命が今日は肉料理を作らなくてはならないのに、肉屋が休みになってしまうことはない」

道具屋は自慢気に自分の国について語った、キノはそれに対し質問を返す

キノ「それをする事でどのようないいことが起きるのですか?」

道具屋「なんと運命に沿って生きれば自分の未来が解るんだよ!俺が未来、どれだけの貯金を作って、どんな余生を過ごすかはもう俺の運命に書かれてるんだ!あとは運命通りの事をやるだけさ!」

その言葉を聞いたエルメスは興奮した口調で

エルメス「凄い!社会主義だ!」

と言った、キノはエルメスの方を向いて聞き返す

キノ「社会主義?」

エルメス「そうだ!こりゃびっくりだよ!」

時間かかるなあ

キノ「エルメス、社会主義ってなんだい?」

キノはエルメスの荷台に腰掛けながら訊ねた

エルメス「キノ知らないのかい?この国みたいに国が人にやるべきノルマを決めて、人がその通りにやることで、物価とかお給料とかを安定させて、みんなが幸せになるようにしようって考え方だよ」

キノ「ふーん」

キノは興味なさげに言った、しかしエルメスはそれにも気づかず

エルメス「しかし、職業だけじゃなくて生活とかまで決めちゃうんだ、その運命がイヤになっちゃう人はいないのかい?」

道具屋「その点は大丈夫だ、運命はお金を使って交換することが出来る、まあ、俺は今の運命に満足してるから交換なんてしないけどな」

キノ「病気などで重要な運命を持った人が急に亡くなってしまった場合などはどうするんですか?」

道具屋「ああ、ふつうは運命破りは運命監視委員によって矯正されるけど、死んじまっても大丈夫にはしてある」

キノ「どのように?」

道具屋「イザと言う時の予備に、一二、三で死んじまう運命を持ったヤツを用意しておくんだ」

道具屋が続けようとした瞬間、道具屋が道の前に出していた棚が蹴飛ばされ、棚に陳列してあるリンゴが転がっていった
棚を蹴飛ばした犯人である一二、三歳の少女は、一瞬こちらをチラリと見たが、すぐにまた走ってどこかに消えていってしまった
そのあと現れたのは、服が真っ白な男たちだった、彼らは少女を追いかけていたようだが、落ちているリンゴを見ると

「くそっ!あいつリンゴの棚を蹴りとばしやがった!」

「くそっ!ひっとらえてやる!」

「まて!進んだらリンゴを踏むかもしれない!もし間違って踏んで壊して弁償にでもなったら余計な買い物で俺たちまで運命破りになるぞ!」

リーダー格の男が叫ぶと、男たちはハッとした表情になり
急いでリンゴを棚に片づけ始めた

キノ「……すいません、あの方たちは」

道具屋はハッとして

道具屋「あ、ああ、あれが運命矯正委員達だ、それに多分追いかけられているのは今年死ぬ運命の子だな、運命破りをしようとしてるんだろう」

キノ「運命破り、ですか」

道具屋「ああ、さっき言いかけたが、あの子達には十二、三で死ぬ運命が与えられている、そのかわり、あの子達には誰かが死んだ時、そのスペアにになって、自分の運命とそいつの運命を交換する権利があるんだ、だが……」

キノ「何があったのですか?」

道具屋「ああ、今年は死んだ人がかなり少なかったんだ、普通なら、死ぬ運命が執行される前にほとんどが運命を交換するんだが……」

キノ「今年は、死の運命を受ける子が大量に出てきてしまった」

道具屋「ああ、そして中にはああして運命破りをしてまで生きようとしているのもいるんだ」

道具屋は、言いにくそうに言った

飯食ってきます10プン離籍

道具屋「っと、ウチの国の良さを紹介するつもりだったのに、いつのまにか変な空気になっちまったな、まあこの国を楽しんでくれ」

道具屋は締めくくるようにそう言った、キノがお礼を言うと、今日オマケする運命だった棚のリンゴを一つくれた
それからキノはホテルに行き、変わっている箇所を見つけて、そこにハンド・パースエーダーを向けた

キノ「そこに隠れているのは解っています、出てきて下さい」

その場所とはカーテンの裏だった、パースエイダーを突きつけられた一二、三歳くらいの少女は、パースエイダーにおびえながらも、凛とした声で言った

「私の運命とあなたの運命を交換して下さい」

キノ「ボクの運命とあなたの運命の交換……ですか?」

少女「ええ、このままだと私は運命によって殺されちゃう、だから、あなたの運命と私の運命を交換しましょう?」

キノ「ボクも出来るだけ死にたくはないんですが」

キノはとりあえずパースエイダーを降ろしつつ、しかし警戒の気配は消さずに言った、少女は自身の長い黒髪を触りつつ

少女「大丈夫、やつらを巻くのはちょっと運命を破るような事をさせようとすれば簡単よ、あなたはヤツらから逃げてこの国を出る、私はあなたの真っ白な運命通りに自由に暮らす、どう?」

キノ「……報酬は?」

少女「これよ」

少女が取り出したもの、それは透明な親指ほどもある宝石だった

キノ「……それは」

少女「そう、私のお母さんの形見、3カラットのダイアモンドよ」

少女「……私のお母さんは本当に腕がいいジュエリーデザイナーだったわ、それこそ天才と言ってもいいほどだった、でもある時、お客様が持ってきた巨大な原石を加工する仕事の時に、その原石は掘り方次第ではこれ以上ない作品になると気づいてしまった
でも、その月に、お母さんが残りつくっていい宝石の量は残り少なく、あと2カラットだけで、お母さんが作りたかった作品の大きさは3カラット、お客様の要望ではその月中の納品だったから、お母さんは悩んだらしいわ」

少女は手に持っている宝石を見つめつつ言った

少女「そして、結局お母さんはダイアを作った、そして、運命に大きく刃向かった物として、殺されたわ」

ダイアは、ホテル備え付けのライトに照らされて七色に光っている、キノはその宝石を見ながら言った

キノ「ではどうしてそのダイアがあなたの手に?」

少女「……このダイアの価値が、ただの石ころと同じ価値を持つと決まったから、私が拾ったのよ」

冷静に話を聞いていたキノもさすがにその一言には驚き

キノ「そのダイアの価値がただの石と同じ!?なぜですか!?」

その言葉を聞いた少女はとても嬉しそうに微笑むと

少女「価値が高すぎたのよ、このダイアは、総合的な価値が作る予定だったダイアの50倍以上あったらしいわ
そして、運命矯正委員はそれによって数多くの人の運命が壊れると判断し、このダイアの価値は石ころ以下となったの」

キノ「なるほど」

そこまで言うと、少女はもう一度キノを見て

少女「お願いします、この宝石で私とあなたの運命を交換してください、そして出来れば、この宝石をきちんとした価値で、売ってあげてください」

キノはたっぷり考えて、言った

キノ「すいませんがお断りさせていただきます」

次の日、キノは起きたおと日課のパースエイダーの練習をしたあとシャワーを浴びて、町に出た
町ではまず昨日買えなかった物資を買ったあと、持ち込んだ宝石が今日は売れないか訊ねて、結果に肩を落とした
そのあと役所を見学し、運命矯正委員の話をいくつか聞いたあと、公園でエルメスを水洗いした
ホテルに帰ってから、出されたバイキングと言う食事方法に大層感激し(好きなりょうりを選んで食べることができるため人気らしい)料理をおなかがちぎれそうになるまで詰め込んだ
また、キノの運命が書かれた数冊からなる本をもらったが、真っ白だったためメモ帳に使うことにした
キノがタダで白い紙が大量に手に入ったと笑顔で言ったら、エルメスはあきれはてていた
また、シャワーに温度調節機能が付いていたことにも喜んだ
運命で、入るお湯まで決められているらしい、エルメスが「ズボラなキノは住めないね」と言うとキノはエルメスのボディーを叩いた
そのあと、本を読みつつ寝た

書き中

そして最終日
キノとエルメスは路地裏に居る少女に会いに行った、少女はキノとエルメスを見て

少女「もしかして、交換してくれる気になった?」

と聞いてきたので、キノは

キノ「いいえ、でも、いい案がありますよ」

と言った、少女は落胆して言った

「何よ、期待したじゃない、まあ一応聞いておいてあげる」

と言ったので、キノは、考えた作戦を話始めた

その日は宝石を売ることが許されていた日だったので、キノは道具屋に宝石を売りにいった
全体的によい値で売れたため、キノは満足そうにしながら

キノ「すいません、これも換金お願いします」

と言ってポケットからダイアモンドを取り出した、道具屋はそれを見るなり言った

道具屋「……旅人さん、それは、無理だ、ウチで買い取ることはできない」

キノは表情を変えず

「ええ、ボクも石ころを売ろうとは思いません、だから」

キノはダイアモンドをひっくり返すそこには

キノ「だから、石を掘った物を売りにきました」

大きく刻まれた、一筋のキズがあった

っと
一つセリフの前の名前が抜けてるけど
キノが入ります

その日、運命矯正委員会の仕事の大部分は会議となった
すなわち、キズがついたダイアに資産価値を認めるかどうかである
中には、ダイアにキズを付けたキノを運命破りにすべしと言う意見すらあったが、元々ダイアの価値を石と等価と決めたのは彼らだという事実もあり
そのダイアはギリギリ運命を破壊しないラインの、通常の10倍の値段を持つこととなった
ここでキノはそのダイアの本当の持ち主を明かした
こうして少女はたった一日で億万長者となった

少女「キノさん」

キノ「どうしました?」

少女「私としては、これで得たお金で運命を買って暮らせばいいんだけど、一つ、聞きたいことがあるわ」

キノ「なんですか?」

少女「どうして貴方は、自分が大きく得をする私の提案を受け入れなかったの?」

キノ「ああ、ただ」

キノ「ボクの運命を絶対に誰かに渡したくなかった、それだけですよ」

くそー!最後グダったー!
ちょっと休憩のあと次書きます

次の国>>158

大正義

書き始めます

新・保守時間目安表 (休日用)
00:00-02:00 10分以内
02:00-04:00 20分以内
04:00-09:00 40分以内
09:00-16:00 15分以内
16:00-19:00 10分以内
19:00-00:00 5分以内

新・保守時間の目安 (平日用)
00:00-02:00 15分以内
02:00-04:00 25分以内
04:00-09:00 45分以内
09:00-16:00 25分以内
16:00-19:00 15分以内
19:00-00:00 5分以内

大正義

キノの場合

となり会った二つの国があった
一つの国は自分たちの国はもう一つの国より歴史が深いから自分達の国の方が優れた国であると主張していた
もう一つの国は、相手の国より技術力で優れていたため、自分達の国のほうが優れていると主張していた
そこに一人キノが現れた、二つの国は自国の方が優れていると伝えるチャンスだと思い、キノに言った

「我々の国の内、正しいと思うほうの国に泊まっていってくれ」

キノはしばらく考えたあと言った

「ならば、歴史が深い国で本や芸術を見て、技術がある国でシャワーを浴びましょう」

二つの国は少しお互いを見直した

待ってるで

大正義

シズの場合

となり会った二つの国があった
一つの国は自分達の国はもう一つの国より歴史が深いから自分達のほうが優れた国であると主張していた
もう一つの国は、相手の国より技術力で優れていたため、自分達の方が優れた国であると主張していた
そこに一人のシズが現れた、二つの国は自国のほうが優れていると伝えるチャンスだと思い、シズに言った

「我々の国の内、正しいと思う方に泊まっていってくれ」

シズは少し考えたあと言おうとした時、下からティーが言った

「どっちもただしくなんてない、どっちもおなじ」

二つの国は少しお互いに優しくなった

大正義

師匠の場合

となりあった二つの国があった
一つの国は自分達の国がもう一つの国より歴史が深いから自分達のほうが優れた国であると主張していた
もう一つの国は、相手の国より技術力で優れていたため、自分達の方が優れた国であると主張していた
そこに一人の師匠が現れた、二つの国は自国のほうが優れていると伝えるチャンスだと思い、師匠に言った

「我々の国の内、正しいと思うほうに泊まっていってくれ」

師匠は少し考えたあと、技術力が優れた国から最新の機械を大量に買って、そのあとに歴史が優れた国に売りさばき
さらに歴史が優れた国から美術品を買って、そのあとに技術が優れた国に売りさばいた

二つの国にとって、どちらかが正義かは決まらなかったが、何が悪なのかははっきりした

>>181

さすが師匠

再安価>>186

歯車の国

>>185

道の真ん中に巨大な塔があった
周りに壁はなく、キノとエルメスは入国審査もなく、容易に近づくことができた

キノ「……ねえ」

エルメス「なんだい?キノ?」

キノ「この歯車はなんだろう?」

塔のてっぺんには、これ以上ないと言うほどの大きさの歯車が一つ、回転していた、キノはそれを見つつ

キノ「……あれって飾りかなあ?」

エルメス「いや、飾りじゃないよ、ほら、証拠にあそこにちらりとかさ歯車が見えてる」

キノ「そうかい、すごいなあ」

などと言っていた

とりあえず、塔にさらに近づいて行くと、地面からちらほらと、歯車が顔を出していた
エルメスはそれを見て

エルメス「巨大ロボだ!地面に巨大ロボが埋まってる!」

などと言っていた

塔の中に入ると、とたんにゴウンゴウンという歯車が動く音が聞こえてきた
表面はてっぺんの一つしか歯車は見えなくなっていたが、中に入ってみると壁全体に歯車が埋まっていて、もはや、壁がある所のほうが少なくなっていた

キノ「すごい、ここまで沢山の歯車、見たことない」

エルメス「……まさかね」

エルメスが一人で呟いていたが、聞いた者は一人もいなかった
しかし、聞いた物は一ついた

キノ「さて、まずは上に上ろうか下を降りようか」

キノがわくわくした口調で言った、それにエルメスは

エルメス「できれば、下に降りてほしい」

珍しく、エルメスが真面目な口調で言う、キノがエルメスに従って

キノ「じゃあ、下に行こうってあれ?」

その瞬間

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

と言う音と共に、塔が揺れ、地震が起きたような感じと同時に、歯車が回転して、下への入り口がひらかれていった

長い道を抜けてまず最初に見えたのは、油が貯まったエリアだった
そこでも歯車は回転しては、油まみれになっていた、キノは

キノ「ふんふん、ここで歯車に油を指すのか、長持ちするようにかな?」

などと言っていた

その次に向かったのはその少し上の部屋だった
歯車が縦に上下して、上にある棒をピストンして押していた

キノ「なるほど、こんな動きも出来るんだ」

エルメス「うーん、上の部屋に行ければ完全なんだけどなあ」

エルメスの独り言が、鉄で出来た塔で反響していった

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