ミカサ「エレンと恋人になりたい」(146)
アルミン「……という相談?」
ミカサ「うん」
ミカサ「アルミンは、私よりずっと賢い。だから、助言が欲しくて」
アルミン「う~~ん……そうは言っても……」
アルミン(ミカサが頼ってくれるのは嬉しいけど……でも、恋愛沙汰に関しては僕も疎いし)
アルミン(大体、ミカサのエレンへの気持ちは単なる家族愛だと思ってたから、こんな相談自体が驚きだ。
訓練兵になってから初めて気づくなんて、一体何があったんだろう?)
アルミン「ねえ、ミカサ」
ミカサ「なに?」
アルミン「どうして、突然?」
ミカサ「突然じゃない。もう……ずっと前から……」
アルミン(幼馴染とはいえ、綺麗な顔立ちだから……恥ずかしがる姿はさすがにそそるなぁ。
って違う違う)
アルミン「そ、そうなんだ。でも、僕に話そうと思ったきっかけとか、あるんじゃないのかな?」
ミカサ「きっかけ……とするなら、多分毎晩みんなと話すから」
アルミン「話す? なにを?」
ミカサ「恋愛話」
アルミン(年頃だから当然だけど、毎晩って)
アルミン「差し支えなければだけど、どんな感じの話なのか教えてもらってもいいかい?」
ミカサ「普通に、エレンのことを話す」
ミカサ「今日は右側に寝癖が立っていたとか、寝ぼけながらパンを齧ったら喉に詰まらせそうになったとか
格闘術の訓練は最近アニとばっかりだとか、座学で巨人の話以外はいつも眠そうだとか
立体機動訓練では昨日よりアンカー巻き取り地点を19cm遅めにして、スピードを出すように挑戦していたとか」
アルミン「わかったわかった。ありがとうミカサ。君は教官になれるレベルの観察力をもっている」
ミカサ「別に、教官になりたいわけじゃない。私はエレンと一緒に調査兵団に入るつもり」
アルミン「うん、それも知ってるから。……で、その話をみんなにしたわけだね?」
ミカサ「そう」
ミカサ「そしたら、みんなが『それは絶対エレンのことが好きなんだよ』って」
アルミン「言われるだろうね」
ミカサ「でも、それぐらいは私も知ってるし、わかってる」
アルミン「……あぁ、なんとなくわかってきた」
アルミン「好きなら、じゃあこれからどうするの? ってことを、みんなに聞かれたんだ?」
ミカサ「そう」
アルミン「それで出た結論が、恋人になることってわけか」
ミカサ「うん」
ミカサ「……現状の話をすれば……きっとエレンは、私のことを家族としか思っていない。
それを打開する案を、なんとかして授けてもらいたいのだけれど」
アルミン「なるほどね」
アルミン(……ミカサの頼みだから、安易に断るわけにはいかないけど。でも、僕だって知識には限界がある)
アルミン(ここは、アドバイスをしてくれる仲間を探すべきだね。下手なことは言えない)
アルミン「わかった。ちょっと考えてみるよ。何かいい案が出来たら、また教える。
……僕なんかの助言じゃ、心もとないかもしれないから」
ミカサ「大丈夫。私はアルミンを信頼してるから」
アルミン「ありがとう。それじゃ、またね」
ミカサ「うん。お願い」
――――。
アルミン(さて、じゃあ情報を集めよう)
アルミン(とはいえ、人の心なんて千差万別だ。
誰かに聞いたりしたって、所詮はその人同士の成功例。
簡単にいくとは思えないけど……だからって、何もしない理由にはならないよね)
――――その夜。
アルミン「ねえ、エレン」
エレン「なんだ、アルミン」
アルミン「エレンって、どういう人が好み?」
エレン「は? なんだそりゃ」
アルミン「いや、なんかふと気になってさ。そんなこと、話したことなかったろ? 僕たち」
エレン「……言われてみりゃ、そうだな。けど、そんな突然言われてもなぁ」
アルミン「何か明確なのでなくても良いんだ。こんな感じ、とかあれば」
エレン「う~~~~ん」
エレン「悪いな。やっぱ考えたことないから、特に思い浮かばねーや」
アルミン「そっか。じゃあ気になっている人とかも居ない感じかい?」
エレン「そうだな。特に、って感じだ」
エレン「けど、多分好きになった奴が、好きなタイプなんじゃないか、俺の場合」
アルミン「はは、エレンらしいね」
エレン「そうか? じゃあ、アルミンはどうなんだよ?」
アルミン「僕? 僕は……優しい人かな。単純だけど」
エレン「へー。まあ、確かにお前ならそんな感じするな」
アルミン「そう?」
エレン「ああ。さて、今日はもう遅いから寝ようぜ」
アルミン「うん、おやすみ」
エレン「おやすみ」
アルミン(今のところ、意中の相手は居ない……か。十分な収穫ではあったね)
――――次の日。
アルミン(さて、じゃあ次に聞くのは成功者の話だね。
考えるより、もっと早く結論が導き出せるんじゃないかな)
アルミン「……あ、ちょうどいいところに」
アルミン「フランツ、ちょっといいかな」
フランツ「ん、どうしたのアルミン?」
アルミン「少し聞きたいことがあるんだけど」
フランツ「なんだい? 僕に出来ることなら、力になるよ」
アルミン「ありがとう。単刀直入に聞くけど、ハンナとはどうやって恋人同士になったの?」
フランツ「えぇ!? な、なんでいきなりそんなこと聞くの!?」
アルミン「興味があるからだよ」
フランツ「…………とはいっても、普通に。としか」
アルミン「その普通が聞きたいんだ」
フランツ「ん~……僕がハンナに告白した……ってだけだよ」
アルミン「なんて言って?」
フランツ「そ、そんなの言えるわけないよ! いくらアルミンでも!!」
アルミン「あはは、だよね。ゴメン。でも、普通に、好きとか伝えたわけなんでしょ?」
フランツ「ま、まぁ……そうだね」
アルミン「そこに至るまでの話が、ちょっと興味あるなぁ。
やっぱり、前々からハンナに魅力を感じていたんだろう?」
フランツ「そうだね。最初は、あぁこの子良いなぁって思ってて。
少しずつ話していくうちに……って感じかな」
アルミン「なるほど。……なにか、ドキッとするようなこととかあった?」
フランツ「えー? んー……あ、汗に輝くハンナは素敵だったよ。
一生懸命訓練やっている姿は、やっぱりとても良かったと思う。」
アルミン「……うん。わかった。どうもありがとう、フランツ。またね」
フランツ「力に成れたようなら嬉しいよ。またね」
――――。
アルミン(彼らは少しずつ惹かれていったタイプのようだ。
けど、その場合だとミカサには、残念ながら全く持って当てはまらない。
数年間も共にしていて、それをエレンが感じている素振りはないってことは……きっとダメだ)
アルミン(訓練後の汗が素敵……うーん、ミカサっていつも涼しげな顔して訓練終えるからな……)
アルミン(……ハッ!)
アルミン(逆に、そうだからこそミカサも魅力が増すんじゃ!?
普段見慣れない、いつもと違うミカサを演出してみるのはどうだろう。
うん、この手は使えそうだ。試してみる価値はあるぞ!)
アルミン(逆に、そうだからこそミカサも魅力が増すんじゃ!?
普段見慣れない、いつもと違うミカサを演出してみるのはどうだろう。
うん、この手は使えそうだ。試してみる価値はあるぞ!)
アルミン(……とはいえ、これだけじゃ手薄すぎるかな。
もう少し参考意見が欲しいところだけど……)
アルミン(誰なら……こういう話で最も可能性の高そうな人を考えるんだ)
アルミン(ミカサと同室の人とは既に相談済みと仮定して。
なおかつ、恋愛経験豊富そうな……)
アルミン(待てよ。恋愛経験豊富、という概念がそもそもおかしいな。
男性にとって魅力的な女性、というのを見てみれば、ヒントが掴めると変換してみるか。
告白されたことが多そうだったり、言い寄られることが多そうな人だろうね。)
アルミン(そうなれば、一番適しているのは……)
――――夕食の時間。
アルミン「やぁ、クリスタ。ここ良いかな?」
クリスタ「こんばんは、アルミン。どうしたの?」
アルミン「たまには一緒に夕食でもどうかな、と思って」(可愛い……)
クリスタ「珍しいね。あ、でも私……」
ユミル「おう、アルミン。なに勝手に私のクリスタかっさらおうとしてんだ?」 ガシィッ!
アルミン「うわっ!? ちょっ、頭掴まないでよユミル!! 痛い痛い!」
ユミル「クリスタと飯を食いたいなら、私を通してからにしてもらいたいね」
クリスタ「ちょっとユミル! 別に、一緒にご飯食べるぐらい良いじゃない!」 パシィッ!
ユミル「……だとさ。良かったな、アルミン」 ジンジン
アルミン「あはは、どうも……」
サシャ「あれ? 今日はアルミンが一緒なんです?」
アルミン「やあ、サシャ。たまには、っと思ってさ。いいかな?」
サシャ「ええ、もちろんですよ。みんなで食べればご飯もおいしいですから!」
ユミル「おい、良いから早く私達の飯を運べよサシャ」
サシャ「あぁ、すみません。はい、どーぞ」
クリスタ「ごめんね、いつも。無理にユミルの言うこと聞かなくたっていいんだよ?」
サシャ「良いんですよ。あの時の恩、まだ返しきれてませんから!」
アルミン(律儀だなぁ……こういう気配りできる姿を、もっと見せればいいのに……。
もったいないよ、サシャ)
クリスタ「ところでアルミン、どうして急に?
いつもは、エレンやミカサと食べてるでしょ?」
アルミン「それは……その……」
アルミン(周知の事実とはいえ、悩みをそう簡単に他人に話してもよくないよね。
でも、この状況で適当なこと言えば、まるで僕が女たらしみたいだし……)
サシャ「そういえば、その二人はどちらへ?」
ユミル「エレンならライナーたちと食ってるよ」
サシャ「ミカサは……ああ、そのエレンの傍で黙々と食べてますね」
クリスタ「アルミン、呼んできてあげたら? あれじゃ一人と変わらないよ」
アルミン「え? あ、あぁ……うん」
アルミン(下手に話して怪しまれるよりは、そうした方が良いかもしれない。
ミカサに一応確認を取ってから、改めて話を切り出してみよう)
――――。
アルミン「……ってわけなんだ」
クリスタ「へぇー、そうだったんだ」
ミカサ「そう。」
ユミル「私らにとっちゃ、今更感のある話題すぎて、特に驚きもしないがな」
クリスタ「ちょっと、ミカサは真剣に考えてるんだから、助けてあげようよ!」
ユミル「あー、はいはい」
アルミン「出来れば、小声で話してくれると助かるんだけど……。
エレン以外にも聞こえたらまずい連中がいるし」
クリスタ「あ、ごめんね」
サシャ「しかし、男性を惹きつける方法ですか……
クリスタ、そういう経験はありますか?」
クリスタ「え? そんなの、ないよ! ないない!」 ブンブン!
アルミン(天使……。じゃない、あてが外れたみたいだね。仕方ないか)
ユミル(……)
クリスタ「あ、え、えっとサシャなら、例えばどうされたい?」
サシャ「私は、たくさん食べ物をくれれば……」 フヘヘ
ユミル「こいつに聞いても無駄だろ」
クリスタ「じゃあ、ユミルはどうなの?」
ユミル「私は別に、そういうの興味ねえからな。強いて言うなら……」
ユミル「クリスタが居れば、それでいいさ!」 ガバァッ!
クリスタ「きゃっ!? ちょ、ちょっとユミル!!」 ジタバタ
アルミン(……ここにキマシタワーを建設しよう)
ミカサ「あの」
サシャ「どうしました?」
ミカサ「女性が男性にしてほしいこと、ではなくて。
男性が女性にしてほしいことはなんだろう、という話なのだけれど」
クリスタ「あ、ゴメンね。話がそれちゃった」
サシャ「では、アルミンならどうです?」
アルミン「僕?」
サシャ「一応、男性じゃないですか」
アルミン「一応って……。そうだね、やっぱ純粋に、優しくされると嬉しいよ」
ミカサ「それはいつもやっている」
クリスタ(え、あれで……なの?)
ユミル(こいつにとって、子守のような行動は全部優しさのつもりなんだな)
サシャ(やはりミカサは優しい子ですね)
アルミン「……いや、でもそれだって重要なことだよ」
クリスタ「え?」
アルミン「僕もエレンの好みは知らないけど、ミカサが優しくしているのをいつもエレンは嫌がる。
つまり、そういう女性は好みじゃないってことさ」
ミカサ「そう……」 ガーン
アルミン「ああ!! 待ってミカサ、落ち込まないで! まだ希望はあるから!」
アルミン「えと、だからこそ、いつもと違うミカサを見せればきっと良いんじゃないかな?」
ミカサ「いつもと違う……私?」
クリスタ「……笑顔を振りまいてみるとか?」
ユミル「あっはっは! そんなミカサだったら、私は真っ先に笑っちまうけどね!!」
アルミン(もう笑ってるし……)
サシャ「前から思っていましたが、ミカサのお顔って私達と少し違いますよね。
きっと、笑顔は素敵だと思いますよ。綺麗ですし!」
クリスタ「あ、私もそれは思う!」
ミカサ「そんな言われても……何も出ない」
アルミン(やっぱ赤面すると……うん)
ユミル「笑えばいいんだよ、そこは。ほれ、やってみろよ」
ミカサ「……」
クリスタ・サシャ・ユミル・アルミン「……」
ミカサ ニコッ
クリスタ・サシャ・ユミル・アルミン ビクゥッ!!
ミカサ「……どう?」
クリスタ「え、ええ……その……」
ユミル「なんつーか……笑ってるんだけど……なぁ?」
サシャ「熊が突然現れたようなプレッシャーを感じました……」
アルミン「笑顔は完璧なんだけど……うん。ちょっと……その」
ミカサ「……そう」 シュン
アルミン(曰く、身体の全てを制御できるらしいけど……感情だけは上手くいかないみたいだね。
でも、そうじゃないとまるで機械だからいいんだけど……。
心のこもっていない、貼り付けたような笑顔ってのはここまで不気味なのか。)
アルミン「なに?」
サシャ「ここまで考えておいてなんですが……。
色々小難しく考えるのは、何か違う気がします。
こういうことって、計算でやるものじゃないと私は思うんですよ」
サシャ「わ、私だってたまには普通のこと言いますよ!」
アルミン(自覚はあるんだ……)
クリスタ「でも、サシャの言うとおりだと私も思う。
変に取り繕う方が、逆にエレンも混乱しちゃうんじゃない?」
ミカサ「……」 チラッ
アルミン「……かもね。エレンも真っ直ぐな性格だから、細かいところは気にならないと思うし。
気配りは出来るけど、変に天然だから……」
ミカサ「それじゃあ、私は一体どうすれば?」
アルミン「うん……。けど、サシャには悪いけど、やっぱりここは強行策を選ぼうと思うんだ。
リスクを考えずに、突破できるタイプじゃないから、エレンは」
サシャ「……ええ、アルミンがそうすべきだと思うなら、その方が絶対良いでしょうね」
アルミン「そこまで買いかぶられても……ちょっと困るな。不安になるよ」
ミカサ「大丈夫。私はアルミンに従う」
アルミン「……わかった。さっき言ったように、エレンは細かい変化には気づきにくいと思うんだ。
だから、あえて、大きく変える」
クリスタ「大きく?」
アルミン「ミカサは自分の身体が100%コントロールできる。
さっきの笑顔は確かにちょっと……うん。
でも、エレンなら……通じるんじゃないかな。そうであっても」
アルミン「と、仮定するしか方法がないんだ。
僕らの知識じゃ限界がある。後は実践しかないよ」
<カンカンカンカンカン!
ユミル「おっと、楽しい夕食タイムもこれでお終いだな」
クリスタ「どうする? 作戦内容全然決まってないけど」
アルミン「やるなら早い方が良いから……うーん、どうしよう。明日の朝食前にでも」
ミカサ「今夜、一緒に話そう」
アルミン「今夜?」
ミカサ「人目につきにくい隠しルートを教えるから、私たちの部屋に来て」
アルミン「えぇ!? いや、それはマズいよ!」
クリスタ「アルミン、声大きいよ」
アルミン「ご、ごめん……けど、それは流石に……」
ミカサ「大丈夫。アルミンだもの」
クリスタ「確かに、アルミンなら平気だね」
サシャ「変な気を起こしそうにはありませんし」
ユミル「大体、私達より弱いんだから、その心配ははなっからしてねーよ」
アルミン「あはは……そ、それは……どうも」
ミカサ「点呼の後、こっそり抜け出してきて。サポートはするから」
アルミン「わかった。じゃ、また後で」
ミカサ「うん」
――――また後。
アルミン(まさか女子寮に忍び込むことになるとは……)コソコソ
アルミン(昔から逢引用に使われてたルートらしいけど……。
なんでミカサ達はそれを当たり前のように知っているのだろう) コソコソ
ミカサ「アルミン、こっち。捕まって」 ヒソヒソ
アルミン「あ、ミカサ。……っと!」 ガシッ グイッ
ミカサ「危ない目に遭わせてごめんなさい」
アルミン「大丈夫だよ。みんな寝静まった後だったからね」
アルミン(うわぁ……凄くいい匂いする……。
若干、汗の匂いがあるのが、訓練兵らしいけど)
ミーナ「わっ、本当にアルミンだ。女子寮に居るのに、違和感ないね」
クリスタ「力になってくれそうな人たち、集めておいたよ」
ユミル「私はクリスタが変なこと吹き込まれないように、監視だぞ」
サシャ「やっぱり、ハンナがまずは一番必要かと思いまして」
ハンナ「そんな、照れちゃうよ」
アルミン「そこで寝ているのは?」
ミカサ「アニ。いつも話題には入って来ないから、睡眠の邪魔をしないように小声で話そう」
アニ(こんな大勢人が集まっていて、寝られるわけないでしょ……鬱陶しい)
アルミン「わかった。じゃあ、まず今後のミカサの行動なんだけど……」
クリスタ「大きく変えるって、言ってたよね?」
アルミン「うん。でも、だからって真逆にする必要はないよ」
ミーナ「逆……というと、暑苦しいミカサ?」
サシャ「それはそれで見てみたい気もしますけど」
アルミン(……)
ミカサ『うぉおおお!!! エレン、私だ!! 結婚しよう!! これ、腹筋で作った指輪さ!!』
アルミン(ないな)
ミカサ「具体的に、どうすればいいの?」
アルミン「言ってしまえば、エレンが変化に気付くようなら、それでいいんだ」
アルミン「僕の考え……だけど。
いつも一緒のミカサが、今日はどうも普段と様子が違う。
と、なれば、だからこそ。エレンだって気に掛けるはずだよね」
アルミン「そうしていくうちに、エレンはミカサのことが気になって仕方がなくなる。
……成功例としては、そこで素直に恋慕として気持ちがか傾いてくれればいいんだけど……。
エレンとミカサは、家族という関係性が強い。だから、そのままで終わる可能性も……なくはないんだ」
ユミル「無責任なことをよく臆面なく言えるな、お前」
サシャ「ど、どういうことですか?」
ユミル「さっきお前らが言ってただろーが。計算された行為は良くねーって。
それがエレンに気付かれたらどうすんだよ。
ただの鈍感天然朴念仁じゃねーって、二人とも言ってたろうが」
アニ(いつの間にか、ユミルもノリノリだし……)
ミーナ「そこは、アルミンがサポートすれば良いんじゃないかな?」
アルミン「え? 僕?」
クリスタ「そうだよ! エレンといつも近くにいるんだから、さり気なくアドバイスとか出来るんじゃない?」
ハンナ「恋愛相談してくれる友達って、いたら凄く心強いと思うわよ。
私もミーナにはお世話になったもの。」
ミーナ「えへへ。それはどーも!」
ミカサ「アルミン、頼んでもいい?」
アルミン(……)
アルミン(二人の未来を、僕が左右するということになるだろう。
そんなこと、しても良いのだろうか。
アルミン(僕が……二人を……?)
ミカサ「……」 ジッ
アルミン「……」
アルミン(考えても仕方ない。わかりきっていたことだ)
アルミン(エレンにだって、決して悪い事にはならないんだから。そもそも断る理由がない。
上手くやれる自信は……正直、ないけれど。けど、僕は力になりたい。
誰の為でもなく、二人のために……!)
アルミン「わかった。やるよ」
ミカサ「ありがとう」
サシャ「流石はアルミンです!」
ミーナ「おっとこらしー♪」
クリスタ「これで一安心だね、ミカサ」
ユミル「……で、その具体的な案がまだ出てないんだが」
ハンナ「それなら任せて! 私もフランツの気を惹くために、色々やったんだから!
ミカサも実践すれば、きっとうまくいくわよ!」
ミカサ「お願い、教えて」
ハンナ「まずはね……」
ワイワイガヤガヤ
アニ(うるさい……)
初春「糞スレが伸びてる理由もわかりませんし」
初春「百番煎じのSSは、タ書いてる奴も読んでる奴も何考えてるんですかねぇ」
初春「独自性出せないなら創作やるんじゃないっつーの」
初春「臭過ぎて鼻が曲がるわ」
初春「結果スとして面白くないのは許せます。許せるだけで面白くはないんですが」
初春「パクリ二匹目のドジョウ百番煎じは許ケせませんね。書いてて恥ずかしくないんですか?」
初春「ドヤ顔してる暇があればとっとと首吊って死ねよ」
初春「まあ、一番の害悪はそういったSSを持テち上げてる人たちなんですが」
佐天「初春?」
初春「そうネットに書いてありました」
佐天「なんだネットか」
――――次の日。
エレン「ふわぁ~……あー、ねみぃ」
アルミン「昨日はぐっすり眠れていたじゃないか」
アルミン(眠いのは僕もだけどね。夜明けまで話し合っちゃったわけだし……)
エレン「早朝から飯食って、そこから訓練ってのは、いつまでたっても慣れないんだよなぁ」
アルミン「力をつけるんだから、仕方ないだろう?」
エレン「わかってるよ」
ミカサ「……」
エレン「よぉミカサ。おはよう」
アルミン「……」 チラッ
ミカサ「……」 コクッ
エレン「ん? どうし」
ミカサ「おはよう、お兄ちゃん!!」
エレン「!?」
ジャン「はぁぁあん!?」 ガタタッ ブシュゥウウ!! ゴンッ!!
ライナー「痛ぇ! なんだ、ジャン! いきなり倒れこんでくるな!!」
アルミン(ジャンが驚きながら鼻血出している……!!)
エレン「お、お前……今……え?」
ミカサ「どうしたの、お兄ちゃん。早くご飯食べようよ!」
クリスタ「凄い、完璧に口調や仕草をコントロールしてる!」 ヒソヒソ
サシャ「エレンの前だから、笑顔に気持ちが入っているので怖くもないですね!」 ヒソヒソ
ユミル(あのミカサが首を傾げて満面の笑み……ククク、笑える)
アルミン「エレン、早く食べないと時間なくなっちゃうよ」
エレン「あ、ああ……」
エレン(な、なんで誰も反応しねーんだ? おかしいと思っているのは俺だけか?)
ミカサ「はい、お兄ちゃん。お口、あーん♪」 ズイッ
エレン「お、おい。パンぐらい一人で食え……むがっ!」 ズボッ
ミカサ「ゆっくり噛んで食べるんだよ~?」 ズイイイ
エレン「ふぐ……ほが……」 グイグイッ
(く、苦しい! つか、力強すぎて引きはがせねえ!)
アルミン(どうしよう。止めたいけど、止めると怪しまれそうだから割って入れない)
ライナー「……ったく。しかし、なんだありゃあ? ミカサ、どうかしちまったのか?」
アニ「さぁ。ただの戯れでしょ」
ベルベルト(なんだか怖い)
ミカサ「おいしい? お兄ちゃん」
エレン「……ゴクン。おい、ミカサ。どーいうことだこれは!!」
ミカサ「どういうことって?」
エレン「俺はお前の兄貴じゃねーぞ。勘違いすんな」
アルミン(パンのことは怒らないんだね)
ミカサ「えぇー? そんなー、お兄ちゃんたら酷いよぉ」
エレン「その気色悪い口調はやめてくれ。なんか寒気がする」
ミカサ「そんなー。わたしはいつもこうだったでしょー?」
エレン「嘘つけ!!」
ミカサ(……これは失敗の予感がする) チラッ
アルミン(父性本能を刺激する作戦はダメか。……仕方ない。カバーは任せてミカサ) コクッ
アルミン チラッ クイッ
サシャ「あ、アルミンが作戦失敗の合図送ってきましたよ」 ヒソヒソ
クリスタ「援護に行かなきゃ!」 ガタッ
ユミル「めんどくせーなぁ」 ガタッ
サシャ「いえ、二人とも。ここは私にお任せを!」 ガタッ
サシャ「エレン、おはようございます」
エレン「ん? ああ、サシャ。おはよう」
サシャ「あの、突然ですけどパンとかスープとか余っていませんか?」 スッ
アルミン(上手い。さり気なくミカサとの間に入って、意識を遮断させた!)
エレン「ん……パンなら、少し余ってるぞ。いるか?」
サシャ「わー、ありがとうございます。とっても嬉しいです!」
エレン「ははは。お前、ホント飯のこととなると良い顔すんな!」
サシャ「褒められても、お返しはしませんよー?」
エレン「いらねーっての。いいから食えよ。今日も訓練頑張らねーとな!」
サシャ「はい! ではいただきます!」 モグモグ
アルミン(よし、じゃあ作戦は失敗したから、ここは一旦、離だ……)
ミカサ ゴゴゴゴゴゴ……
アルミン(お、怒ってる……!!
作戦とはいえ、それでもエレンを奪われたことに激昂している!?)
アルミン「ミカサ、今は落ち着いて。作戦、作戦だから!」 ヒソヒソ
ミカサ「……わかった」 ゴゴゴゴ……
アルミン(はぁ……。こういう感情の起伏だけは激しいんだね)
――――午前、格闘術訓練。
エレン「はっ!」 ガシッ
アニ「ふっ!」 ガッ ダンッ
エレン「うぉっ!?」 グルン
ドシャアッ!
エレン「つつ……ちくしょー、今のは読めてたのに」
アニ「読めても対応できなきゃ一緒。身体を先に動かさないと意味ないよ」
エレン「ああ、わかった」
アニ「……」
エレン「? どうした、アニ」
アニ「いや。なんでも」
アニ(いつも以上に視線を感じる……)
ミカサ・アルミン・サシャ・クリスタ・ユミル・ミーナ・ハンナ ジーッ……
ミカサ「アルミン、ここで私はどうすればいいの?」
アルミン「今から教えるから、言うとおりにして」
アニ「甘い」 シュパァン!
エレン「ぐあっ!」 ドシャッ!
アニ「視線が上に向きすぎ」
エレン「投げ技を警戒すると、どうもな」
アニ「ちなみに、ここからまた派生技とかあるんだけど」
エレン「うわっ、ちょっ! アニ!? もういいって!」
ミカサ「きゃあんっ!」 ドシーン!
エレン・アニ「!?」
アルミン「あー、もうミカサ。受け身はしっかり取ってって言ったじゃないか!」
ミカサ「ごめんねー。ミカりん、こういうのよくわかんなくて……」 ポコッ☆
ジャン「はぷぁっ!?」 ブシュー!!
ライナー「おわっ!? なんだジャン、いきなり鼻血吹きかけるなよ!!」
ベルトルト(特に理由のない墳血がライナーを襲った)
ミーナ(いつも半開きのミカサの目が、そこらの乙女顔負けなくらい燦然と輝いてる!)
ハンナ(名づけて、ドジっ娘作戦! これで私もフランツの心を引っかけたんだけど……)
エレン「……なんだ、ありゃ」
アニ「さぁね」
エレン「なあアニ、ミカサってあんな奴じゃなかったよな」
アニ「……」
アニ「どうだろうね。あんたの方が詳しいんじゃないの?」
エレン「そりゃ、そうだけどよ……」
ミカサ「いやーんっ☆」 ドシャァッ!
アルミン「どうして軽く投げただけで、でんぐり返しを失敗したような恰好になるのさ!」
ミカサ「やだー、ミンちゃんこーわーいー!」
アルミン「良いからほら、立って」
ミカサ「ありがとー! 優しいんだね、ミンちゃん!」
エレン(いや……おかしい……絶対おかしい。
ミンちゃんに……ミカりんって!) シュパァン! ドシャァッ!
キース(アッカーマンに一体何が……注意すべきか……いや、しかし……あれはあれで……) ゴクリ
ミカサ「ひゃあん!」 ドシャァ!
アルミン(なんか虚無感が凄い……)
――――昼食。
エレン「アルミン、ちょっといいか」
アルミン「ん、どうしたのエレン」
エレン「少し相談したいことがあるんだけどよ」
アルミン(きたっ! 予定よりかなり早かったね! 一日足らずだなんて!)
アルミン「相談事? 珍しいね」
エレン「珍しい……あぁ、確かにそうかもな」
アルミン(ここで再度追いうちだ。さあ、ミカサ!) クイッ
ミカサ コクッ
ミカサ「エレン」 スッ
エレン「うわっ!? み、ミカサ!? いきなり後ろから現れるなよ!?
水、零しちゃうだろうが!」
ミカサ「いいの、そうしたら私が飲んであげる」
エレン「は? なに言って」
ミカサ「あなたが流した汗も一粒ずつ、小瓶につめて毎晩一滴ずつ抽出したのを舐めまわしたい。
エレンの出した唾で煮込んだスープを、30年後まで熟成させて啜るように飲み干したい。
衣服を切り刻んで、ベッドシーツにして眠りたい。
枕カバーをあなたの頭髪で埋め尽くしたい。
下着で作ったマフラーを首に巻きつけたい。
あなたの触ったパンについた手垢で作った特製の酵母で、開拓地で新種を開発したい。
エレンが零した唾液交じりの水でプールを作って泳ぎたいとさえ思っている。」
エレン「」
ミカサ「だからエレン、私に頂戴。あなたの全てを……」 スッ
エレン「あ、アルミン!! 助けてくれ!!」 ビクゥッ!
アルミン「もー、ミカサ。ダメだよ、
開拓地に行ったら、エレンが巨人を駆逐できないじゃないか」 ニコニコ
エレン「問題そこか!?」
ミカサ「確かに」
アルミン「まだ支給の水、取りに行ってないだろ? いってきなよ」
ミカサ「そうする」
ザッザッザッザ……
エレン「あ、アルミン」 ガタガタ
アルミン「?」
エレン「俺が……おかしいだけなのか……?
今朝から……ミカサの様子が変だと思うんだが」 ブルブル
アルミン「……」
エレン「どうしちまったんだ、一体……」
アルミン(この短時間で、ここまで効果があるとか思わなかった。
やっぱり、それだけエレンにとって、ミカサという存在は大きいはずなんだ。)
アルミン(ここで、効果的なカードが切れれば……後は勝手に転がっていくはずだ……!!)
アルミン「……エレンも、気づいていたみたいだね」
エレン「!」 ガバッ
エレン「あ、アルミン! やっぱりか!? 俺だけじゃないんだな!?
ミカサがいつもと違いすぎると感じたのは!?」
アルミン「そうだよ。ミカサの振る舞いがおかしいのは事実だ」
エレン「だよな! なんでだ!? 突然……何があったんだ!?」
アルミン「エレン、原因は一つさ。それも、とてもシンプルな答えさ」
エレン「え……?」
アルミン「……」
アルミン「ミカサは、エレンに構って欲しいんだ」
エレン「は?」
アルミン「……」
エレン「……」
エレン「いや、意味わかんねぇよ。飯だって一緒に食ってたし、訓練だって結構同じ班でやってるぞ?
十分構ってやってるだろうが! ガキみてーにくっついてくるんだからよ!」
アルミン「はー……違うんだよ、エレン。そうじゃない」
エレン「そうじゃないって……じゃあ、どうなんだよ!?」
アルミン「エレン、キミにとってミカサは何だい?」
エレン「何って……家族に決まってんだろ」
アルミン「ミカサはそう思ってはいない」
エレン「えっ……」
アルミン「もちろん、嫌いになったわけじゃないよ。むしろ逆だ」
エレン「逆? ……嫌いじゃないけど……家族じゃなくて……。
あー、もうよくわかんねぇ。つまり、なんなんだ!?」
アルミン「ミカサは、エレンと家族ではない関係を望んでいるってことさ」
エレン「は? なんだそりゃ」
アルミン「将来的に見れば家族だけど……それはまだ先として。
何にせよ、ここまでのミカサの行動。そして今、僕が言った意味をよく考えて欲しい」
エレン「……」
アルミン(あくまで、背中押し程度にしないと……それは今後の二人の為にならないからね。
核心めいた言葉は避けておこう)
――――午後、立体機動訓練。
キース「では各員、合図と同時に出発せよ!
今回は立体機動の速度を測る訓練だ!
規定タイム以下、及び最下位の者には罰を与えるから心して取り組むように!」
訓練兵「ハッ!」 バッ!
エレン「……」
ミカサ「……」
エレン(ここまでのミカサの行動を考えろだって?
家族とは違う関係? なんだよ、それ)
ミカサ「エレン」
エレン「な、なんだ?」
ミカサ「私があなたと同じスタート地点から開始するのは
単に、順番通りに並んだ結果だから、勘違いしないで欲しい」
エレン「は?」
ミカサ「規定に従ったから、隣に居るだけ。これまでも、そう」
エレン(なんだ、急に冷たくなったような……)
ミカサ「ただ……」
エレン「ん?」
ミカサ「エレンがどうしてもと言うなら……」
ミカサ「今後もずっと、一緒に訓練してあげてもいい……よ?」 チラッ
エレン「ッ!」 ドキッ!
エレン(おいおい、大丈夫か俺!?
なんでミカサ相手に、変な気持ちになりかけてんだ!?
こいつは家族だぞ、家族!)
キース「用意……はじめ!」 キィイイイイイン!(音響弾)
コニー「おっさきぃ!」 バシュー!
サシャ「負けませんよー!」 バシュー!
エレン「……くそっ!」 バシュー!
ミカサ「……」 バシュー!
アルミン(立体機動の点数は落とせないから、みんなの協力は難しいかな……) バシュー!
アルミン(でも、種はまき終わっている。後はエレンとミカサ次第だ) ギャルルル!
アルミン(既にエレンが異変に気付いたことは伝えてある。
ミーナの考えた『ツンデレ』とかいう性格に、エレンが反応を示していればいいんだけど……)
エレン「……」 バシュー!
ミカサ「……」 ギャルルル!
エレン(ちっ! なんかごちゃごちゃ考えちまって、いまいち集中できねぇ)
エレン(そうでなくても、ミカサより立体機動速度は遅いんだ。気を引き締めねーと!!)
ミカサ(エレンがリリース地点を5cm遅らせた……私に対抗しようとしているのだろうか)
ミカサ(でも、それがエレンの限界値。これ以上すると、過剰加速でエレンの反射速度が間に合わなくなる)
ミカサ(私はまだいけるけど……エレンは対抗心が強いから、下手にすると危険) バシュー!
ミカサ(…………でも。だからって……手を抜くのは良い事ではない……はず) ギャルルルル!
ミカサ(成績を修めることは、エレンの目的である巨人を駆逐することに繋がる。
可能性を私情で塞いで、エレンにまで影響が出るのはよくない)
ミカサ「……」 バシュー! ギャリィイッ! ギュン!
エレン(なっ、まだ加速できんのか!?)
エレン「くそっ!」 バシュー!
エレン(ミカサのケツをおっかけるため、俺は訓練兵になったんじゃねーぞ!!) ギャン!!
サシャ「ほーら、コニー! こっちですよー!」 バシュー!
コニー「けっ! そんなよそ見してっとミスんぞ!!」 ギャルルル!!
ギューーン!!
サシャ「ふわっ!?」
コニー「うおっ!?」
サシャ「な、なんですか今の!?」
コニー「ミカサとエレンだ……。すげえ加速だな、おい」
サシャ「ミカサはまだしも、エレンは大丈夫でしょうか」 バシュー!
コニー「ああ、無茶してなきゃいいけど……」 ギャルルル!!
ミカサ(私の予想は杞憂だったみたい) バシュー!
エレン「くっ! ふっ!!」 バシュー!
ミカサ(エレンは私が考えているより、ずっと成長していた) ギャルルルル!!
ミカサ(これなら……)
ミカサ「!!」
エレン「うっ!?」 カァン!
ガクンッ!
ミカサ「エレンッ!!」 ギュンッ!
エレン(やべっ、速すぎて再射出が間に合わ……!!)
――――。
エレン「……」
ミカサ「……」
バシュー! ギャリイィイッ……トンッ! トットット……
エレン「……」
ミカサ「エレン、怪我は」
エレン「下ろせよ。もう空中じゃねえから、一人で歩ける。怪我もしてない」
ミカサ「……うん」 スッ
エレン「……」 ザッ
ミカサ「……」
エレン「……俺は、別に自分が優秀だって思ったことはねえけどさ」
ミカサ「え?」
エレン「なんでもこなしちまうお前が身近にいるから……。変に意識して、対抗しようとしてた気がする」
ミカサ「……」
エレン「そんなの、ガキの考えだってのにな……」
ミカサ「……誰かに対抗して、自分を高めようとするのは悪いことではないと思う」
エレン「お前、話し方普通になったな」
ミカサ「あっ」
エレン「誰に吹きこまれたかは知らねーけどよ」
エレン「……その……」 ポリポリ
ミカサ「?」
エレン「俺は……普段通りの方が……」
ミカサ「うん」
エレン「……」
ミカサ「……」
エレン「良いと……思うぞ」
ミカサ「どうして?」
エレン「はぁ? そ、そんなの知るかよ!」
ミカサ「私は、知りたい」
エレン「え?」
ミカサ「だって、私は……」
ミカサ「私は、エレンのことが好きだから」
エレン「!!」
ミカサ「も、もちろん……家族として……ではなくて……その……お、男の人として……」
ミカサ「……好き」
エレン(ッ!!!!)
エレン「な、何ふざけてんだよ。はやく再開しねーと、懲罰だぞ!」 クルッ
ミカサ「ふざけてなんかない」 ギュッ
エレン「……離せよ、袖」
ミカサ「やだ。エレンが私をどう思っているか……私は知りたい」
エレン「……俺は……」
エレン(どう思っているか、だって?)
エレン(んなこと急に言われたって、わかんねぇよ……クソッ!)
エレン(家族じゃなくて、男として好きだぁ? いつからそう思ってたんだよ)
エレン(俺は、お前を誘拐犯から助けてからずっと、家族としか見てなかったんだぞ?)
エレン(やけに変なことしてきやがる正体が、わかったのはいいけどよ……)
エレン(……)
エレン(……俺の……気を惹きたくて、やったん……だよな) チラッ
ミカサ「……」 ジィッ
エレン(普段やりもしねー言葉づかいとか仕草とか、態度とか)
エレン(全部……俺のために……)
エレン「あーもー!」 ガシガシ
ミカサ「エレン?」
エレン「突然すぎて、なんて言えばいいかわっかんねーんだよ!!」
ミカサ「……ゴメン」
エレン「……でもよ」
ミカサ「?」
エレン「い、色んなミカサが見られて……楽しかったとは思った。今更だけど」
ミカサ「エレン……!」
エレン「けど、別にそうやって取り繕わなくたって」
エレン「ミカサは、普段のミカサのままで居てくれたほうが」
エレン「俺は…………」
エレン「……好きだぞ」
ミカサ「!!」
ミカサ「うん……うん!!」
エレン「ほら、このままじゃビリになっちまうぞ。罰を受けたいのか、お前?」
ミカサ「エレンとだったら、なんだって良い」
エレン「……ったく。いくぞ!」 バシュー!
ミカサ「うん!」 バシュー!
――――その夜、女子寮にて。
ミカサ「と、いうことがあった」
ミーナ「きゃー! もうそれ完全に付き合ってるよね!?」
ハンナ「やったじゃない、ミカサ!」
サシャ「みなさん、大声出すとアニが起きてしまいますよ。
……でも、本当に私達みんなで頑張った甲斐がありましたね!」
アニ(起きてるけどね……)
ユミル「サシャは大したことしてねーだろう」
クリスタ「ユミルが言っていい台詞じゃないよ、それ!」
ミカサ「ここに居る、みんなのおかげ。本当にありがとう」
ミーナ「顔紅くしちゃってー、かわいー♪」
ミカサ「特に、アルミンには感謝しきれない」
アルミン「いや。僕はちょっとアドバイスしたに過ぎないよ」
アニ(なんでナチュラルに居るんだろう、アルミン)
アルミン「実行したのは、みんなだし。考えて結果を出したのはエレンとミカサなんだから」
サシャ「そんな謙遜しなくたっていいんですよ、アルミン。発案はあなたなんですから!」
ミーナ「そうだよ! 頑張ったね、アルミン!」 ナデナデ
アルミン「わっ、ちょっと!?」
ミーナ「あら。そんな照れなくても」
クリスタ「顔真っ赤だよ?」
アルミン「ぼ、僕だって一応男なんだからね!」
サシャ「はい、アルミンは立派な男の子です!」
アルミン「なんか引っかかるなぁ……」
ミカサ「けど、少し問題が」
ミカサ「それから、エレンがまともに私を見てくれない。すぐ顔を逸らすし、会話も交わしにくくなっている」
ハンナ「そんな二人を見て、ジャンが吐血してたわよね」
ミカサ「前より、距離が縮まったとは思った。でも、このままは……寂しい」 シュン
ミーナ「ふー、恋する乙女は大変だね!」
ハンナ「任せて、そこからの話なら私が力になれると思うわ!」
クリスタ「もうちょっとだけ、手助けしてあげよっか。ね、ユミル」
ユミル「ま、中途半端は面倒だからな」
アルミン「僕も、出来る限りの手伝いはするから。安心して、ミカサ」
ミカサ「ありがとう。みんな、本当に……」
ミカサ「今後も、努力するから。よろしくお願い……します」 ペコッ
ワイワイガヤガヤ
アニ(どーでもいいから、早く静かな夜を返してくれないかな……) イライラ
おしまい
原作に近いキャラ設定で頑張ってみたかった。(ライナーとジャンを除く)
今後も、エレンとわたミカサのお話が増えることを期待している。
支援はとても助かった。感謝。
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