真奥「あれ、恵美?」 恵美「……ちっ」(126)
ショッピングモールのエレベーター前……
真奥「人の顔見ていきなり舌打ちはねえだろ?」
恵美「仕方ないでしょ? 人どころかケダモノ以下の相手を前にしたんだから」
真奥「相変わらず口の悪い勇者だな……で、乗るのか? 乗らないなら閉めるぞ」
恵美「……乗るわよ」
真奥「で、お客様は何階をご利用でしょうか?」
恵美「フン、あんたの手なんか借りないわ」カチッ
恵美「まったく、数秒とはいえ魔王なんかと二人きりで個室にいるなんて最悪だわ」
真奥「なら乗らなかったらよかっただろ」
恵美「むしろあんたが降りればよかったのよ」
真奥「本当、勇者とは思えない傲慢な発言だな」
恵美「こんな事言うのはあんた限定よ」
真奥「…………」
恵美「…………」
ガタッ!!
真奥&恵美「「!?」」
真奥「え?」カチカチ
恵美「あれ?」カチカチ
真奥「……止まった」
恵美「……みたいね」
…………
真奥「はい……はい……わかりました」
真奥「やっぱり故障みたいだ。できるだけ急ぐそうだがしばらくかかるって」
恵美「最悪……」
真奥「仕方ねえだろ。ま、気長に待つしかねーよ」
恵美「そもそもなんであんたがここにいるのよ。
正直貧乏なあんたにはここは不釣り合いだと思うんだけど?」
真奥「上の階でやってる映画観に来たんだよ。まあたまの贅沢ってやつだ」
恵美「何の映画よ?」
真奥「最近話題になってるサスペンス映画あるだろ? たまにはああいうのもいいかなと思ってさ」
恵美「あーあれなら先週、梨香と観たわ。黒幕は主人公の奥さんよ」
真奥「お前、俺になんか恨みあるのか!?」
恵美「あるに決まってるじゃない。何言ってんの?」
真奥「あーもう一気に観る気なくなったわ……で、お前は何しに来たんだ?」
恵美「買い物」
真奥「……簡潔っすな」
恵美「あんたらと違って日常的にここで買い物するくらいの金銭的余裕はあるから……それにしても暑いわね」
真奥「夏で個室だしな。上着でも脱げば?」
恵美「言われなくてもそのつもりよ」ヌギ
恵美「ふぅ、本当に蒸すわ」ムナモトパタパタ
真奥「!」
恵美「ん?」パタパタ
真奥「………」カオソラシー
恵美「……ちょ、今私の胸元覗いたでしょ!? この変態!!」///
真奥「の、覗いてねーよ! それにこうやって顔もそららしてるだろ!」
恵美「どうだか! やっぱりあんたはケダモノだわ、この色魔王!!」
魔王「だれが色魔王だ!!」
真奥「そもそもいくら俺が男でもお前の貧相な胸なんて見たくねーよ!」
恵美「なんですって!!」
真奥「なんだよ!!」
恵美「…………」
真奥「…………」
恵美「……やめましょう。余計暑くなるだけだわ」
真奥「……そだな」
…………
真奥「…………」
恵美「…………」
真奥(まだ5分ちょっとか……なんか大分経った気がするんだが)
真奥(とんだ災難だぜ。早く復旧しねーかな)
カツカツ……
真奥(ん?)
恵美「…………」
真奥「…………」
恵美「…………」
カツカツ……
真奥「…………」
恵美「…………」
カツカツ……
真奥「……おい」
恵美「な、何よ!?」ビクッ
真奥「そこまで驚く事はねーだろ。それよりそれやめてくれないか?」
恵美「え?」
真奥「足踏み。イライラするのはわかるんだが、狭いから響くんだよ」
恵美「あ、ご、ごめん」
真奥(やけに素直だな)
…………
真奥(さらに5分経過。恵美の奴は足踏みはやめたんだか……)
恵美「…………」イチニーサンシー
真奥(なぜか屈伸運動を始めやがった)
真奥「あのさ、何してんだ?」
恵美「え? あ、いや、ちょっと体動かしたくて……あは、あはは」
真奥「だから狭いんだって。運動なら外に出てからしてくれ」
恵美「わ、分かったわよ」ソワソワ
真奥(なんなんだよ、もう……)
…………
真奥(さらに10分経過。未だに復旧の様子はない)
真奥(そして恵美は……)
恵美「…………」ソワソワ
真奥(動くのをやめたが、隅の方にいって落ち着かない様子だ)
真奥(まさかこいつ……)
…………
真奥「おい、恵美」
恵美「何よ!!」
真奥「だからそんなに驚くなって。どうしたんだ、さっきからなんか様子がおかしいぞ」
恵美「べ、別に私は普通よ」ソワソワソワソワソワソワ
真奥「額に脂汗浮かべて身体が小刻みに震えてるようにみえるんだが?」
真奥「……トイレか?」
恵美「! 違うわよ!!」
真奥「……大きいのか?」
恵美「なっ、そんなわけないでしょ! 小さい方に決まって……ハッ!!」
真奥「やっぱりトイレじゃねえか」
恵美「うぅ……」///
恵美「し、仕方ないじゃない、自然現象なんだし。
上の階についたら行く予定だったのよ……」
真奥「分かってると思うがここにはトイレないぞ。我慢出来るのか?」
恵美「出来るか出来ないかじゃないの。やるしかないのよ」プルプルプル
真奥(相当きつそうだな……あ、そういえば)ガサゴソ
真奥「ほら。これ使えよ」
恵美「……何これ?」
真奥「ペットボトルのジュース。中身はもう飲んじまったけど」
恵美「それは分かるわよ。これでどうするのよ?」
真奥「だからこの中にしろよ。ジャーって」
恵美「……はあ!?」///
恵美「ちょ、ば、何考えてんのよ、色魔王! そんな事できる訳ないでしょ?」///
真奥「色魔王はやめろ。仕方ないだろ、緊急事態なんだし。
大丈夫だ、ちゃんとあっち向いて耳塞ぐから」
恵美「そういう問題じゃないわよ! 第一これでどうやってやるのよ!!」///
真奥「どうやってって、俺も女の身体に詳しい訳じゃないが……飲み口のここを差し込めばうまく……」
恵美「具体的に説明すんな!!」
支援
恵美「そもそもあんたが口を付けたものを差し、差し……」///
恵美「ええい! とにかく絶対にこれは使わないから! そんな事したら勇者として、女としていろんなものを失うから!!」
真奥「なんだよ。人がせっかく親切心で言ってやってるのに……」
恵美「余計なお世話よ!」
恵美(しかもなんでよりにもよってペットボトルが午前の紅茶のレモンティーなのよ……本当、最低!)
真奥「しかしそうなると本当に我慢するしかないぞ?」
恵美「……耐えてみせるわよ」
恵美「私は勇者よ……これしきの事でくじけてたまるもんですか!」キリッ
真奥(決め顔なのに足がチワワみたいに小刻みに震えてる……)
恵美!おい、鈴乃さんと変われ!うどんさんのこのシーンを拝みたい是非!
さらに10分後……
恵美「…………」プルプルプルプルプルプル
真奥(顔が真っ青だ。口数も少なくなって動きもほとんどなくなったな)
真奥「おい、大丈夫か?」
恵美「触らないで」
恵美「少しの刺激で……エミダムが決壊する可能性があるから……」
真奥(エミダムって……)
エメラダ「はよ」
真奥「そ、そうだ。こういう時ななぞなぞとかをして別の事を考えるといいらしいぞ?」
恵美「そう……」
真奥「じゃ、じゃあ俺からいくぞ。えっと、最初は『あいうえお』の『あ』からで……『アパート』!」
恵美「……『トイレ』」
真奥「……スマン、今のなしだ。そうだな……じゃあ『あんかけ』で!」
恵美「…………『化粧室』」
真奥「……うん、俺が悪かったな。今のもなしだ。本命は……『足枷』だ!!」
恵美「………………『雪隠』」
真奥「うん、最後に『ん』がついたからお前の負けな。いやー楽しかったな」
恵美「…………」
真奥「……マジでスマン」
恵美「…………」グスン
ペットボトルでお持ち帰りして観賞+少しずつ味わうだろjk
…でも、新鮮なのもいいよな
さらにさらに20分経過……
恵美「…………」
真奥(最早震えもなくなった)
真奥(それにしてもさすがに遅過ぎないか? もう一回連絡取ってみるか……)
恵美「……無理」
真奥「え?」
恵美「もう無理……我慢できない」
真奥「え? え?」
マジレスすると聖法気でぶち破って逃げればいいのに
恵美「顕現せよ! 我が力、厠にいかんが為!!」
真奥「ちょ、おま!? こんなとこで聖法気だして何する気だよ!!」
恵美「私は勇者。膀胱が膨れても、その真実だけは変わらない……この扉をぶっ壊す!!」
真奥「はあ!?」
恵美「私は勇者。膀胱が膨れても、その真実だけは変わらない……この扉をぶっ壊す!!」
吹いたwww
真奥「落ち着けって! 多分もう少ししたら開くから!!」
恵美「もう無理よ! もう待てないわ! 扉はね、この手で開けないと開かないのよ!!」
真奥「だから落ち着けって!」コシニギュー
恵美「!?」
真奥(あれ、聖法気が消えた?)
恵美「あ……あ、ああ……」ブルブルブル
ほう
真奥「お、おい、まさか……?」
恵美「やだ……もう本気で無理……」プルプルプル
恵美「いや……こんな……とこで……」プルプルプル
恵美「しかも魔王の前で……こんな……辱め……」ウルウル
真奥(まずい! もうエミダムの決壊は間近だ!!)
真奥(なんだかどこからかこのまま行っちまえって声も聞こえる気がするがさすがにそれはまずい……どうする?)
恵美「うぅ……お父さぁん……助けてぇ……」シクシク
真奥(……ええい、仕方ねえ! 許せ、芦屋!!)
焦らさないで。はよ
店員1「ん、なんだ? エレベーターが動き出したぞ!?」
店員2「そんな馬鹿な。修理はまだ終わって……」
チーン! ガラッ!
店員1「お、お客様!?」
真奥「はぁ、はぁ、トイレは何処だ!(滝汗」
店員2「え?」
真奥「トイレは何処かと聞いてんだ! 勇者の沽券に関わるんだよ!!」
恵美「はぁ、はぁ……」←お姫様だっこされてる
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.:::::l::::::/ 从 l::l::::::. : l::/ _,,.. l:: ∧:: /l .:
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::::::l:/八ヽ r‐'/i;} iハ`\::.. ::! _、_- !ノ リ l: .::
ヽ ::::::N:lVl 乂> ソ \:. l '´ ̄/^ヾミt 、 l::..:/
\:::l八lハ `¨ ヽl、 ト‐' i;} Yi丶 !::/ ..: 早くしてください~
//ヽト、 `ト\ ,.ィ 、乂>こ.ツ'ノ l/...::_,ノ
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八:ヽ \_...::ノ/ / ..._,. '´,.、
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7 ーァ介iヘ. ,ィf> ′ :::::::/,. - 、
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ヽ、__` ー 、ィf>' 、 /三三三三>、xiヽ、 _,.レ'´`丶、
へ 〉>' i:i:i:i:i:i {´ ̄ ̄ `ヽ三}i >'´ { _ \
ノ>- ァ‐ 'i>' ,' i:i:i:i:i:i`Y二二二Y´ __ 人ノ´ \
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. へ </ \l ! i:i:i:i:i:i:i:i:i: >、ニ / :/ ,l / ヽ、>' ノ
. \ 〈 l i:i:i:i:i:i:i:i: /し'^ l .:l /⌒ヽ、/ /
/\ ∧ l i:i:i:i:i:i:i:i: | ::::::: V{>‐ァ'^ヽ、/>、 八
真奥「恵美、もう少しの辛抱だ! 耐えろ、今耐えなかったら俺も酷いことになる!!」
恵美「うぅ、揺らさないでぇ……」
真奥「後もう少し! 後もう少しなんだ!!」
真奥「うおおおぉぉ!!!」ダダダダ
i、 〈l〈l r,==¬
-=| |=‐ |.| |.| o o o ひどい……!
/ i7 |.| 「/ L===」 ひどすぎるっ……!
〈 ゙' こんな話があるかっ……!
/ 、ー--‐へ、 (⌒\ ワクワクしていて……
. , ' l`i‐r-ゝ v \\、ヾ; ヽーァ─ やっとの思いで…
/イ :ト、!│| ! , ij u \ヽリ ∨ >>82が見れたのに……
│,イ | u | | l∠ニ u ト、 ヽ / 待ち続けたのに……
l/ | ,イ |─ァつ_ ~U~ u/;⌒i |:: \ ヽ /
レ W f/ ノ ,.- // ./ j v |:: u \ V 店員……!
{ /つ ィ .// / u |::v /ヽ. i 聖法気……!
l /つ/ レ' 〈__,.ヘ | ̄7 ヽ | ………!
ヽ ヘ'v ー-、 ノ ヽ | / W せっかく手にした
\ ij 0 ヽ. `ー' | r‐¬ | 新しい未来… 希望…
\ ノ O \ |_!o ol_| 楽しい人生をっ……返せっ!
がちゃ!
ばんっ!
…………
じょぼぼぼぼ………
真奥の口調?問題ない。はよ
真奥(間に合った……)
真奥(激しい戦いだった……まさか残り少ない魔力使ってエレベーター直すはめになるとは……)
真奥「何はともあれこれで一安心……ん?」
女「」
真奥「」
現在地・女子トイレ
>>94
ちーちゃん…
でも、原作もアニメも君が一番人気だから大丈夫
魔王めっ!うらやま…けしからん!
…………
真奥「あーやばかった。もう少しで警備員呼ばれるとこだったぜ」
真奥「そうなったらバイトもクビになる可能性もあるからな……危ない、危ない」
恵美「…………」ショボン
真奥「おい、何時までしょげてんだよ? 間に合ったんだからいいだろ?」
しかし、この後の展開が気になる
洩らさなかったし、どうなるんだ?
恵美「屈辱よ……魔王なんかに助けられるなんて」
真奥「漏らすよりはマシだろうが」
恵美「うっさい、馬鹿……」
恵美「……でも一応助けてはくれたんだし」
恵美「お礼は言っとくわ……その、あ、ありがとう」///
…ほう
真奥「…………」
恵美「な、何よ?」
真奥「……いや、お前にお礼なんか言われたらなんか身体が痒くなるなって」ポリポリ
恵美「はあ? 何よ、それ! 人がせっかく……くっ、そもそも身体が痒いのはちゃんとお風呂入ってないだけじゃないの!?」
真奥「失礼な事言うな! ちゃんと銭湯行ってるよ、毎日じゃねーけど!!」
真奥「まあそうカリカリすんなよ。ほら、暑い中ずっといて喉渇いただろ?
さっきジュース買ったから一本やるよ」ポイッ
恵美「……ちゃんと後でお金は払うわよ」キャッチ
真奥「そこまでケチじゃねえよ」
恵美「どうだか。ん、これって……?」
午前の紅茶 レモンティー
恵美「……ばかぁぁぁぁぁ!!」ペットボトルシュバァ!
真奥「ぐわっ!?」コウトウブヒット
おわり
ここまで読んでくれた人、ありがとうございました。
なんだか期待外れの方が多いらしく大変心苦しいです。店長も無事前回だせましたしそろそろ筆を置いて旅にでようと思います。
乙 楽しめた
また期待してるぞ
>>109
はたらく魔王さま書いてる人少ないんだから、置かずに書けよ
面白かった!!レモンティー見るたびに…ゴクリ…
>>117
おい、やめろ
あ、最後に……実はこれ最初は真奥と閉じ込められるのは恵美じゃなくてちーちゃんの予定でした
>>119
何故ちーちゃんにしなかった
今まで一度もちーちゃんがヒロインしてないぞ
そういう情報はいらない
千穂「真奥さんのことを想うと胸が苦しい」
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