貴音「冷やし中華、始めます」(66)
ζ#'ヮ')ζ < チェリー載せんな!
P「…え?」
貴音「おや、聞こえませんでしたか?では今一度…冷やし中華、始めm」
P「いやそうじゃなくてだな。何故冷やし中華なんだ」
貴音「…あれは先日、私が昼食のらぁめんを食していた時のことでした」
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貴音「あぁ、らぁめんはやはり美味なる物ですね」ズルズルハフハフ
小鳥「…ねえ貴音ちゃん」
貴音「何でしょう」ズルズルハフハフ
小鳥「暑くないの?今部屋の温度は27度もあるのに」
貴音「ふふっ、何を言うのかと思えばそのようなことですか」ズルズルハフハフ
貴音「心頭滅却すれば火もまた涼し。私にとってはらぁめんの熱さなど」ズゾゾー
小鳥「(見てるこっちが暑いんだけどなぁ)冷やし中華とか食べないの?」
貴音「ひやし…ちゅうか?面妖な響きですね」ズズッ
小鳥「えっ!?ひょっとして貴音ちゃん、冷やし中華知らないの?」
貴音「はい、お恥ずかしながら…」ゴクン
小鳥(話してる間にラーメン完食しおった)
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貴音「というわけで、冷やし中華なるものを教えていただいたのです」
P「へぇ。貴音、今まで冷やし中華知らなかったのか」
貴音「はい。なので、教えられた知識を元に実際に作ってみようとした次第なのです」
P「うんうん。…うん?」
P「え、何故それでいきなり自作の流れになるの?まずは店に食べにいくのかと」
貴音「それが…近隣の店は全て、冷やし中華がまだ始まっていないのです」
P「あー…確かになあ」
P「あ、でもコンビニにならあるんじゃないか?冷やし中華」
貴音「こんびにえんすすとあ、ですか…」
P「まあ、そりゃ確かに店で食べるよりは味が落ちるが…」
貴音「あなた様、それは違いますよ」
P「へ?」
貴音「らぁめんに貴賤無し。行列店のらぁめんも、こんびにえんすすとあのかっぷらぁめんも、それぞれの味があり等しく美味なのです」
貴音「私は一度たりとも、かっぷらぁめんは店のらぁめんに劣ると考えたことはありません」
P「そ、そうか…なんかすまなかったな」
P「…ん?てことはつまり、コンビニの冷やし中華でいいってこと?」
貴音「確かに、冷やし中華にも貴賤無し。店の冷やし中華もこんびにえんすすとあの冷やし中華も等しく美味なのでしょうが…」
貴音「なにぶん初めての事ゆえ、自分で作ってみたいという衝動が抑えられず」
貴音「私の我が儘…お許しくださいますか…?」
P「いや許すも何も、俺に貴音の冷やし中華作りを止める権利なんか無いし」
貴音「では…!」パァァ
P「ああ、俺も食べてみたいな。貴音の冷やし中華」
給湯室(貴音が本格的キッチンに改造済み)
貴音「では早速、冷やし中華作りに取りかかります」
P「よっ!待ってました!」
貴音「小鳥嬢に聞いた冷やし中華は、」
小鳥『冷たい中華麺にハムや卵や野菜を乗せて、酸っぱいタレをかけたもの』
貴音「と申しておりました」
P「あれっなんか凄く嫌な予感がするぞ?」
貴音「まずは、冷たい中華麺を用意します」
冷凍庫「ガチャ」
P「!?」
貴音「よっ…と。ふむ、よき具合に固まっているようですね」ゴトッ
P「あのー…貴音さん?それは一体何でしょうか?」
貴音「冷やし中華の麺に決まっているではありませんか」
P「俺の知ってる冷やし中華と違う」
貴音「ふふっ、あなた様のじょぉくはまことに面白いですね」
P「いやいやいやいや」
P「えっ、小鳥さんそんな事言ってた?」
貴音「いえ、これは…」
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貴音「ふむ、冷やし中華…実に興味深いですね」
亜美「お→っと!話は全て聞かせてもらったっしょ→!」
真美「冷やし中華の事ならば!冷やし中華界のソーセージと呼ばれたこの亜美真美にお任せっしょ→!」
貴音「なんと、亜美真美は冷やし中華に造詣が深いのですか」
亜美「モチのロンドン!冷やし中華のあれやこれや、全部まとめてお姫ちんに伝授しちゃうかんね→!」
真美「まずね、麺はキンッキンに冷やすといいよ!」
貴音「小鳥嬢も確かにそのような事を申しておりました」
亜美「でしょでしょ→!もうね、冷凍庫で凍らせるくらいがバター!」※ベターです
貴音「なるほどなるほど、ほかには…」
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貴音「…というわけでこのように」カチーン
P「うんうん、貴音は人のいうことを素直に聞くよい子だなあ」ナデナデ
貴音「あっ、あなた様っ!?そのような事急にされては…いけずです…」モジモジ
P「麺はたしかに冷たい方がうまいが、凍らせる必要はないぞ」
貴音「なんと、そうでしたか」
貴音「では、冷やし中華には必ずわさびを大量に添えるというのは」
P「よし、亜美真美から聞いたことは全部忘れようか」
P(あいつら後で説教だな)
貴音「では改めて…」
P「まず中華麺だな」
貴音「はい。普通の中華麺を茹で、水にさらして熱をとります」
P「手慣れたもんだな」
貴音「ふふっ、気づきませんか?ここまではつけ麺を作るのと同じなのですよ」
P「なるほど、そりゃ手慣れてるわけだ」
貴音「次にいよいよスープなのですが」
P「そうか、冷やし中華のタレを作るのは初めてだもんな」
貴音「普通のらぁめんすーぷにお酢を入れたものではダメなのでしょうか?」
P「うーん、それはちょっと違う気がするなぁ。むしろつけ麺のつゆに酢を入れた方がそれっぽくないか?」
貴音「では、それでやってみましょうか」
貴音「私は…私は…っ!愛すべきらぁめんになんということを…っ!」
P「いやほら、大丈夫ブフッ!食えないことはないんだガハッし、ちょっと酸っぱいつけッグッ麺だと思えば」ケヒッケヒッ
貴音「あなた様…」ウルウル
P「フゥー…ごちそうさまでした」
P「さて、タレをどうするかだが…」
P「やっぱりあの子にきくかな」
春香「え?冷やし中華のタレ…ですか?」
P「ああ。どうやって作るか教えてほしいんだ」
貴音「お願いいたします、どうか…」
春香「あわわ、顔をあげてください貴音さん!そんなことしなくても教えますから!」
春香「それに簡単ですしね」
冷やし中華タレレシピ
・濃縮めんつゆ 1カップ
・みりん 1カップ
・酢 1カップ
1:材料を全て鍋に入れ中火にかけます
2:半分になるまで煮詰めます
3:冷めたら完成
春香「です!普通の冷やし中華ならこれにごま油を入れたので十分ですよ!」
P「へぇ、簡単なんだな。ありがとう春香、参考になったよ」ナデナデ
春香「え、えへへぇ」ニヘラ
貴音「あなた様、何をしているのです!早速作りますよ!」
P「さて、これでベースができた」
貴音「…?べぇす、とは?」
P「貴音、この冷やし中華を見てくれ。こいつをどう思う?」
貴音「すごく…味気ないです」
P「そうだ。具も何もない冷やし中華など冷やし中華にあらず!」
貴音「!」
P「一般的な冷やし中華の具といえばハム、キュウリ、錦糸卵…こんなとこか」
貴音「らぁめんの具とはずいぶん違うのですね」
P「ああ、細切りにしたナルトやチャーシューなんかを乗せてもいいけどな」
貴音「どうせならば、具材もらぁめんと同様にしたいものです」
P「そっか。じゃあやっぱりナルトにチャーシュー…あとは白髪ネギか」
貴音「玉子!玉子を外すわけには!」
P「はいはい、煮玉子もな」
小鳥「ただいま戻りました~」
P「すいませんね小鳥さん、外出ついでに買い物お願いしちゃって」
小鳥「いいえ!元々貴音ちゃんに冷やし中華の事を教えたのは私ですし、これぐらいは」
小鳥「…その代わりといっちゃなんですけど、私も冷やし中華食べたいなぁ~なんて」
P「え?小鳥さんの分は無いですよ?」
小鳥「ピヨッ!?」ガーン
P「ハハハ、冗談ですよ。ちゃんとありますってば」
小鳥「もう、ビックリしましたよぉ」
貴音「あなた様!具材が揃ったならば早速作りますよ!」
P「お、おう」
貴音「あなた様、冷やし中華のたれが煮詰まりました。ごま油とも合わせてあります」
P「よし、後は冷めるまで待つだけだな。その間に俺はナルトとチャーシューを細切りにしておこう」
貴音「では、私は煮玉子を作りましょうか」
P「お皿はー…」
貴音「そちらの棚に。お箸はその上です」
P「お、サンキュー」
社長「うんうん、仲良き事は美しきかな」
美希「それはいいけど、お腹すいたの」グー
響「ガマンだぞ。もうすぐ貴音がおいしい冷やし中華をご馳走してくれるからな」
小鳥「えっ、みんなの分もあるの?」
春香「小鳥さん、自分で二十人前ぐらいの材料買ってきて何言ってるんですか…」
小鳥「いや、貴音ちゃんならあのくらい食べるかなって」
一同「あぁー…」
そして
貴音「お待たせいたしました。四条貴音特製冷やし中華、お召し上がりくださいませ」
美希「わーい!やっと食べられるの!」
一同「いただきまーす!」
真「うん、おいしいよこれ!」ズルル
雪歩「白髪ネギがいい感じですぅ」
伊織「ふぅん、なかなかイケるじゃないの」
やよい「うっうー!とってもおいしいですー!」
やよい(でも…みんなにもお肉、食べさせてあげたかったなぁ)
P「やよい、冷蔵庫に余った具がタッパーに入ってるから持って帰っていいぞ」
やよい「プロデューサー…ありがとうございますー!」
真美「んぐ!?ゲホッ、ブハッ」
亜美「どうしたの真美…んんっ!?」ブハッ
あずさ「あらあら、二人とも大丈夫~?はいお水」
亜美「ゲホッ、に、兄c…これって」
P「ん?冷やし中華には大量のわさびを添えるんだろう?」ニコッ
貴音「良き事を教えて頂いたお礼に、二人のお皿には山盛りに盛っておきましたよ」ニコッ
真美「笑顔が…笑顔が怖い…」ガクッ
亜美「不覚…」ガクッ
律子「ほらほら、食事中に遊ばない!」
亜美真美「はーい」ムクリ
P「全く、しょうがないな二人とも」
律子「プロデューサー殿もです!」
P「はい」
一同「ごちそーさまでした!」
貴音「ではお皿を下げますね」
千早「私も手伝うわ」
貴音「いえ、やらせてほしいのです。これは私が作った冷やし中華なのですから、最後まで私がやりたいのですよ」
千早「そう…じゃあ、お願いしようかしら」
貴音「ふふっ、喜んで」
P「…で、何で俺が皿を洗ってるんだ?」カチャカチャ
貴音「これは面妖な。至極当然の流れだと思いますよ」
貴音「先ほどはああ言いましたが、正しくは「あなた様と二人で作った冷やし中華」なのですから」
P「…まあ、そう言えばそうなんだけどさ」カチャカチャ
貴音「…ふふっ」
P「…ずいぶん嬉しそうだな」
貴音「もちろんです。何せ、あなた様との初めての協同作業なのですから」
P「なっ、おまっ、それはその…だな!」
貴音「ふふっ、冗談ですよ。はい、お皿を拭きますからくださいな」
P「お、おう」
貴音「でも…もし、もしもあなた様さえよろしければ…」
貴音「また、私と冷やし中華を作ってくださいますか…?」
P「…ああ、そんなことならたやすい御用さ!覚悟しとけ、ラーメンと同じくらい冷やし中華の奥は深いからな!」
貴音「はいっ、あなた様!」
しかしPは気づいていなかった。その日から秋になるまで、毎日のように冷やし中華を作る羽目になることを…
貴音「さぁあなた様!今日はどんな冷やし中華を作りましょうか!?」
P「も、もう勘弁してくれ…」
貴音「なりません。さあ、張り切って冷やし中華始めますよ!」
おしまい
ありがとうございました
ごちそうさまでした、大変美味しゅうございました
改めてありがとうございました
途中スーパーでの半額惣菜争奪戦をくぐり抜けながら書いたので適当になってしまいすいませんでした
ちなみに二割引のごまだれ冷やし中華がありましたが自分は醤油ダレ派なのでスルーしました
あと途中のレシピはクックパッドから転載です
冷やし中華たべたいなーと思ってくれたら幸いです。では失礼します
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