ほむら「花束とチョコレート」 (115)

まどマギの百合物です
2回に分けて投下する予定です

次から本文

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  ∧,,∧
 ( `・ω・) ようこそID腹筋スレへ!
 / ∽ |
 しー-J

ここはsageずに書き込み、出たIDの数字の回数だけ腹筋をするという、
硬派なトレーニングスレです。

例1 ID:wwh7KM12 の場合 712 なので712回頑張りましょう。
例2 ID:bicycle. の場合 数字がないので今日は一休み。

さあ、存分に腹筋するがよい!(`・ω・´)

まどか「……」

さやか「……」

まどか「んー…これとかどうかなぁ……」

さやか「……」

まどか「あ、でもこっちの方が……」

さやか「……熱心だねぇ、まどか」


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 ( `・ω・) ようこそID腹筋スレへ!
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 しー-J

ここはsageずに書き込み、出たIDの数字の回数だけ腹筋をするという、
硬派なトレーニングスレです。

例1 ID:wwh7KM12 の場合 712 なので712回頑張りましょう。
例2 ID:bicycle. の場合 数字がないので今日は一休み。

さあ、存分に腹筋するがよい!(`・ω・´)


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 しー-J

ここはsageずに書き込み、出たIDの数字の回数だけ腹筋をするという、
硬派なトレーニングスレです。

例1 ID:wwh7KM12 の場合 712 なので712回頑張りましょう。
例2 ID:bicycle. の場合 数字がないので今日は一休み。

さあ、存分に腹筋するがよい!(`・ω・´)

まどか「そりゃそうだよ。熱心にならない方がどうかしてるよ」

さやか「もうすぐでバレンタインだし、わからないでもないんだけど……」

まどか「さやかちゃんは買ったものを渡すの?」

さやか「どーしようかなーってさ…料理とかお菓子作りは得意じゃないし……」

さやか「失敗したら目も当てられないしねぇ……」

まどか「わたしはやっぱり手作りを渡す方がいいと思うんだけど」

さやか「マミさんくらいの腕があれば考えるけど…あたしたちだけじゃねぇ……」

まどか「……それって、もしかしてわたしも入ってる?」

さやか「だってまどかもそんなに得意な方じゃないでしょ。溶かして固めるくらいしかできないんじゃ?」

まどか「い、今はそうだけど…でも、当日までに練習するもん」

さやか「まぁ何でもいいんだけど。それより、あたしとしては本命を渡す相手がいることに驚いたよ」

さやか「今までそんな話聞いたこともなかったのにさ」

まどか「うん。だってずっと隠してたんだもん」

さやか「……で、誰なの?まどかの好きな人って」

まどか「えー、うまくいくまで秘密って言ったでしょ」

さやか「だってそれ、もしうまく行かなかったら永遠にわからなくなるってことじゃん」

まどか「それは…そう、だけど」

さやか「……ま、無理に聞き出すつもりはないけどさ。まどかの選んだ相手に間違いはないだろうし」

まどか「さやかちゃん、ごめんね。わたし、その人のお嫁さんになっちゃうかもしれない」

さやか「んー…まぁ、寂しくなったらいつでも戻って来ていいんだからね」

まどか「うん。……でも、きっとそうはならないよ」

さやか「何かあたしが否定されたようで辛い……。それより、ほむらが帰って来ないなぁ」

まどか「……」

さやか「……まどか?」

まどか「……あ、うん。そうだね…どこ行っちゃったんだろう」

さやか「約束はしてあるはずだから校内のどっかにいるんだろうけど……」

ほむら「ごめんなさい。待たせてしまったわね」

さやか「あ、お帰り。遅いよー」

ほむら「提出物に不備があったみたいで、その修正をしてたのよ」

さやか「ほむらでもあるんだね、そういうこと」

ほむら「私だって人間だもの。ミスのひとつくらいあるわ」

さやか「そっか。そんじゃ、戻って来たんならそろそろ帰ろうよ」

ほむら「そうね。まどか、帰りましょう」

まどか「うーん……」

ほむら「まどか?」

まどか「……あ、ほむらちゃん。うん、今支度するね」

ほむら「……まどかは何を読んでいるのかしら」

さやか「あぁ、チョコのレシピ集だよ。ほら、バレンタイン近いから」

ほむら「バレンタイン…まどかは好きな人が?」

さやか「いや…あたしは聞いてないよ。友達に配るのを考えてるんじゃない?」

ほむら「そう……」

さやか(まどかから口止めされてるんだよね…絶対誰にも話すなって……)

まどか「お待たせ。……じゃあ、行こっか」

ほむら「えぇ。そう言えばまどかの家に遊びに行くのは久しぶりね」

さやか「あー、大体マミさんの家かほむらの家になっちゃうからねぇ」

まどか「ほむらちゃん、いつも騒がしくしちゃってごめんね」

ほむら「別に気にすることはないけど…私も楽しいし」

さやか「今日は久しぶりのまどかの家だし、思いっきり騒いじゃいますか」

まどか「いや、騒ぐのはちょっと……」

――――――

ほむら「……相変わらず、まどかの部屋は素敵ね」

まどか「そ、そう?……そう言ってもらえると嬉しいな」

さやか「ほむらの家は殺風景だからね。……それでも最近は物が増えてるみたいだけど」

ほむら「まどかと一緒に色々買ってみたりしてるから」

さやか「それでか…似つかわしくないものがいくつかあったのは」

ほむら「……何?まどかが選んでくれたものに文句でも?」

さやか「ごめんごめん、そんなつもりないよ」

まどか「その話もいいけど…話題、変えていいかな」

さやか「んー?別にいいけど、何の話題?」

まどか「もちろん、バレンタインのことだよ」

さやか「……まぁ、あれだけ熱心にレシピ読んでたからね」

まどか「それで、ほむらちゃんやさやかちゃんに渡すチョコをどうしようかなって」

さやか「あたしはもう友達に配る分は買った奴でいいかな……」

ほむら「……その、最近のバレンタインは友達にもチョコを渡すものなの?」

さやか「へ?……あー、そういや入院してたんだっけ」

まどか「いつごろからだっけ、友チョコとか流行り出したの」

さやか「いつだっけ…もう覚えてないよ」

ほむら「……まぁ、そういうのがあるとわかった以上は私も用意しないといけないわね」

まどか「無理に手作りとかじゃなくてもいいからね、市販品のでも……」

さやか「んじゃあたしには有名店のでひとつ……」

ほむら「そう…さやかはチ○ルチョコひとつでいいのね。安く済むから助かるわ」

さやか「すいませんでした」

まどか「わたしは…自分で作ろうかなって思ってるんだけど」

ほむら「自分で?」

まどか「うん。それでさっきレシピ集見てたんだけど…どれも難しそうで」

ほむら「溶かして固めるだけじゃ駄目なの?」

まどか「それも考えたけど…せっかくだし、作ってみようかなって」

さやか「止める必要もないけど…直前になってダメでしたー、とかならないようにね」

まどか「わ、わかってるよ」

さやか「それにしても、バレンタインが近くなるとあっちもこっちもチョコのコーナーができてるよね」

ほむら「製菓用だけじゃなく、チョコ菓子まで売ってるけどね……」

さやか「まぁね。……そう言えば、バレンタインにチョコ渡すのって日本くらいなんだっけ」

まどか「え、そうなの?じゃあ、日本以外の国って何を贈るの?」

さやか「そこまではあたしも知らないな……。どこかでそう聞いたことあるってだけで」

まどか「……ねぇ、ほむらちゃんとさやかちゃん、この中ならどれが食べてみたい?」

さやか「何?それを作ってくれるの?」

まどか「作るかどうかはわからないけど…まぁ、ただの雑談だと思って」

さやか「そうだね…あたしはこのチョコケーキとか食べてみたいね。めっちゃウマそうだし」

ほむら「私は…そうね、この生チョコを食べてみたいわ」

まどか「ケーキに…生チョコ……」

さやか「……わかってる?無理に作る必要ないんだからね?」

まどか「だ、大丈夫だよ。参考にするだけだから……」

さやか「変なとこで無理するから怖いのよ、あんたは」

ほむら「……まどかの作った生チョコを食べてみたいとは思うわ」

ほむら「でも…私はまどかが作ってくれたものなら、例え溶かして固めただけのチョコでも嬉しいわ」

ほむら「だってそのチョコには…きっとまどかの想いが込められてるはずだもの」

さやか「……何かとんでもないこと言ってる気がするんだけど」

さやか「ほむら…まさかあんた、まどかが好き…とか?」

まどか「……っ」

ほむら「えぇ、まどかのことは大好きよ?」

さやか「……いや、待て待て。まどかもほむらも女の子なんだ…となると、つまりだ……」

さやか「ほむらの言う大好きは…友達ってことか……。このさやかちゃんを騙そうなんて10年早いよ!」

ほむら「ふふ……」

まどか「……?」

さやか「……それより、まどかはどのチョコ食べてみたいのさ?」

まどか「え、えーと…わ、わたしも生チョコとか美味しそうだなーって……」

さやか「仲いいと好きなものまで似るのかな……」

ほむら「どうかしら……」

さやか「すっかりほむら色になっちゃって。こうなったらさやかちゃん色で上書きを……」

まどか「え、遠慮しとくよ」

さやか「……地味に傷つくなぁ」

まどか「え、ご、ごめんね……?」

さやか「……まぁ、いいけど」

――――――

さやか「……ん、もうこんな時間か。そろそろ帰ろうかな」

ほむら「そうね。……まどか、今日は誘ってくれてありがとう。楽しかったわ」

まどか「うん。わたしも楽しかったよ」

さやか「んじゃ、あたしたちはこれで。まどか、またね」

まどか「ほむらちゃん、さやかちゃん。またねー」

ほむら「えぇ。また明日」

まどか「……」

まどか「……ほむらちゃん」

まどか「……よし。ほむらちゃんのためにがんばらないと」

まどか「大好きな…ほむらちゃんのために……」

まどか「……そ、そう言えばほむらちゃんもわたしが大好きだって」

まどか「笑ってたけど…あれはどういう意味だったんだろう……」

まどか「まぁ…いいかな。今はそれよりも……!」

――――――

ほむら「……」

ほむら(さて…どうしたものかしら……)

ほむら「図らずもまどかの好きなチョコがわかったのはよかったけど……」

ほむら「私に…作れるのかしら……?」

ほむら「マミに頼もうかしら……。いえ、駄目ね」

ほむら「どこからどういう形でばれてしまうかわからないのだから……」

ほむら(まどか……。私の、大好きな人……)

ほむら(誰よりも優しくて、誰よりも素敵で……)

ほむら(でも、だからこそ…苦しい。この気持ちが…一体どういう意味での好きなのか……)

ほむら(私は…ずっと友達のつもりで接して来た。でも…最近は……)

ほむら(まどかが私に笑いかける度に…胸が高鳴る……。もっと…側にいてほしい……)

ほむら(……私、まどかのことが好き…なのかしらね。そうでなければ…こんな考えは起こさない)

ほむら(バレンタインの日に…告白しようなどとは……)

ほむら「……作れる作れないは別として、レシピ集は買っておきましょう……」

――本屋――

ほむら「……まさか本屋にも特設コーナーがあるなんてね……」

ほむら「でも…こうも種類があると、どれを買えばいいのか……」

マミ「……暁美さん?」

ほむら「マミ…奇遇ね」

マミ「えぇ。参考書と新しいお菓子のレシピを買いにね。暁美さんは何を?」

ほむら「チョコのレシピ集を買いに来たのだけど、どれを買ったらいいのか……」

マミ「あぁ…これだけ並べられるとね……」

ほむら「私、生チョコを作りたいのだけど…おすすめのレシピはないかしら」

マミ「そうね…これなんかいいと思うわ。写真つきでわかりやすいし」

ほむら「本当ね…じゃ、それにするわ」

マミ「バレンタインに手作りなんて…好きな人でも?」

ほむら「……いえ、あなたたちの分よ」

マミ「酷いネタバレを聞いた気がするわ……」

ほむら「ともかく、ありがとう。助かったわ」

マミ「気にしないで。お礼は…そのチョコを美味しく作ってちょうだい」

ほむら「努力はするわ」

マミ「さて…私はそろそろ行くわね。それじゃ、また」

ほむら「えぇ。それじゃ」

ほむら「……私もほしいものは見つかったし、もう用は……」

ほむら「……?バレンタイン特集の…雑誌ね……」

ほむら(雑誌なんて滅多に読まないけど…何か役に立つ情報は……)

ほむら(えーと…当日までにしておくこと、渡す場所、伝える言葉……)

ほむら(……駄目ね、あんまり参考にならない。それに何?この素敵なチョコの渡し方って。馬鹿じゃないの?)

ほむら(そもそも、渡そうとしてる相手は同性。雑誌の情報なんて、参考になるわけが……)

ほむら「……?これは……」

ほむら(バレンタインには花を贈ろう!フラワーバレンタイン……)

ほむら(聞いたことないわね……。一体どういったものなのかしら。えーと……)

ほむら(……これを読む限り、男性から女性へ花を贈るものみたいね)

ほむら「……これ、いいわね」

ほむら(日本ではあまり馴染みがないだけにインパクトがあるし、何より……)

ほむら(チョコより気持ちが伝わる…ような気もする……)

ほむら(……決めた。まどかには、チョコじゃなくて…花を贈ることにしましょう)

ほむら(全く役に立たないと思ったけど…この情報だけは有益だったわ)

ほむら(……まぁ、買わないんだけど)

ほむら(そうなると、このチョコのレシピは必要ない……?)

ほむら(……みんなに配る分のチョコは作らないとだから、買わないと駄目ね)

ほむら(友達に渡す分だから…そんなに気合い入れなくてもいいかしら……)

――翌日 放課後――

まどか「ほむらちゃん、今日これからって空いてる?」

ほむら「そうね…行こうと思ってるところがあるけど、これは後回しでいいわね」

まどか「何か用事があるなら…無理しなくてもいいよ?」

ほむら「……いえ、急ぎでもないから構わないわ。それで、まどかの用は?」

まどか「あ、えっとね…今日、ショッピングモールまでチョコの材料買いに行こうと思うんだけど、一緒にどうかなって」

ほむら「そう……。さやかは?」

まどか「さやかちゃんは今日は仁美ちゃんと用事があるみたいで」

ほむら「あぁ…まだ続いてるのね、あの2人の戦いは……」

まどか「それで…一緒に行かない?」

ほむら「私の用事も丁度ショッピングモールだし、一緒に行きましょうか」

まどか「よかった。ほむらちゃんも何か用事があったらどうしようかなって思ってたから……」

ほむら「それは…どういう?」

まどか「え?……あ、ほら、ひとりで行ったら寄り道も何もなくてつまんないから」

まどか「それに……」

ほむら「まどか……?」

まどか「……ううん、何でもない。じゃあ、行こっか」

――――――

まどか「えーと…この辺りのはずだと思うけど……」

ほむら「材料を買いに来たのよね?向こうの食料品店じゃないの?」

まどか「うん。パパがショッピングモールに製菓材料店があるからそこに行ってみたらどうかって」

ほむら「製菓材料…要はお菓子作りの専門店というわけね」

まどか「そうだと思うけど…どこにあるんだろう」

ほむら「……あ、まどか。あれじゃないかしら。バレンタインデーセールとか出てるし」

まどか「みたいだね。じゃあ、入ってみようよ」

ほむら「……まぁ、わかってたことではあるけど」

まどか「お客さんでいっぱいだね……。それにあっちもこっちもチョコでいっぱい……」

ほむら「せっかく来たのだから、私も少し買って行こうかしら」

まどか「そう言えば、ほむらちゃんも自分で作るんだっけ。……わたし、楽しみにしてるよ」

ほむら「……やるだけやってみるわ。それで、どのチョコを買えばいいのかしら」

まどか「えーと…この製菓チョコでいいと思うよ。1番売れてるし」

ほむら「それじゃそれを…2つくらい買っておきましょう」

まどか「わたしもそれを2つと…それから……」

ほむら「……そのチョコ、こっちと比べて随分と高いみたいだけど?」

まどか「う、うん…あの、えっと…パパとママに渡す分の材料を……」

まどか「高ければいいってわけじゃないと思うけど…でも、いい材料だから値が張るんだと思うし」

ほむら「そういうことだったの……」

まどか「ご、ごめんね。みんなの分にまでこっちを使うとなると、予算が……」

ほむら「いえ…気にすることはないわ。家族の方には1番いいものを贈ってあげなさい」

ほむら「……まぁ、それが特定の誰かに贈るものだったのなら…嫉妬なりしたのかもしれないけど」

まどか「と、特定の誰かになんて、そんな……」

ほむら「バレンタインも近いし…もしかしたらまどかにもそんな人がいるのかと思って」

まどか「……わ、わたしよりもほむらちゃんはどうなの?」

ほむら「私は…そうね、特定の誰かにチョコを贈る予定はないわ」

まどか「そ、そっか……」

ほむら「……それより、これ以上買うものがないのなら会計を済ませましょう」

まどか「う、うん」

まどか(ほむらちゃん…特に誰かが好きってわけじゃないみたい。よかった……)

まどか(でも、それはわたしに対しても同じこと…だよね。……受け取ってくれるかな)

ほむら「まどか?」

まどか「ご、ごめんね。今行くよ」

まどか(……今そのことをあれこれ考えたって仕方ないよね。今はとにかく、ほむらちゃんのために……)

――――――

まどか「これで必要なものは買ったかな」

ほむら「あとはこれを何にするかね。……期待してるわ、まどか」

まどか「う、うん。がんばる。……それで、ほむらちゃんの用事って何なの?」

ほむら「……私はここに用事があるの」

まどか「ここって…お花屋さん……?」

ほむら「えぇ。まどかは特に用事がないのなら、待っててもいいけど……」

まどか「せっかくだし、ちょっと覗いてみるよ」

ほむら「わかったわ。……店員の人はどこかしら。すいません……」

まどか「……」

まどか(ほむらちゃん、一体何の用なんだろう。……お花を買いに来たんだと思うけど)

まどか(……それにしても、すごいなぁ。色んな種類のお花が置いてある)

まどか(チューリップにバラ、ユリ…見たことないものもたくさん……)

まどか(……そう言えば、花言葉なんてのもあるんだっけ。あんまり知らないけど)

まどか(ユリが『純潔』だったっけ……。そのくらいしかわかんないや)

まどか(帰ったらちょっと調べてみようかなぁ……)

ほむら「ごめんなさい、待たせてしまって」

まどか「あ、ううん。……あれ、何も買わなかったの?」

ほむら「必要なのは今日じゃないから、注文を入れに来たの」

まどか「そうだったんだ」

ほむら「さて…これでお互い用事は済んだみたいだし、どうしましょうか」

まどか「うーん…寄り道も考えたけど、今日は結構お金使っちゃったし……」

ほむら「そうね…今日はこれで帰りましょうか」

まどか「うん、そうしよっか」

ほむら「それにしても、今日も寒いわね……」

まどか「……ね、ねぇ、ほむらちゃん」

ほむら「何?やっぱりどこかに寄り道でも?」

まどか「う、ううん。ちょっと聞いてみたいことがあって」

ほむら「聞いてみたいこと?私に?」

まどか「えっと…もし、バレンタインに告白するとしたら…どこがいいと思う?」

ほむら「……どうしてそんな話を?」

まどか「ば、バレンタインも近いし…それに、ほむらちゃんとこういう話ってしたことないなと思って」

ほむら「そうね……。先にまどかはどう思ってるのか聞かせてくれないかしら」

まどか「わ、わたしは…教室とか屋上なんかがいいんじゃないかって。夕日が差し込んでたら雰囲気あるし……」

ほむら「そうかもしれないけど…季節的に夕日は難しそうね。最近は曇り空ばかりだし……」

まどか「そうなんだよね……。でも、屋上ってのはいいと思うんだ」

ほむら「漫画なんかでも教室と屋上はよく使われる場所みたいね」

まどか「あ、そうだね。……それで、ほむらちゃんはどう思う?」

ほむら「私は…どうなのかしら。よくわからなくて……」

まどか「そ、そっか……」

ほむら「ごめんなさい。でも…あまりに変な場所でなければ、どこでも構わない…かしら」

まどか「どこでも……?」

ほむら「えぇ。自分が好きだと思ってる人が告白してくれたら、それだけでもう……」

ほむら「……ただ、まどかの言う教室や屋上での告白も十分に素敵だと思うわ」

まどか「そ、そうかな……」

まどか(それなら、当日は……)

――――――

まどか「……ほむらちゃん、またねー」

ほむら「えぇ…また明日」

ほむら「……ふぅ」

ほむら(……注文を入れてしまったし、もう後には引けなくなったわね)

ほむら(でもどうしたものかしら…これ持って学校に行くわけにも……)

ほむら(盾に入れれば持って行けるだろうけど、渡したあとのことを考えると……)

杏子「おーい、ほむらー」

ほむら「……あら、杏子」

杏子「よう。今帰りか?」

ほむら「えぇ。まどかとショッピングモールに行って、その帰りよ」

杏子「そうか。……何か考え込んでるみたいだったが、どうかしたのか?」

ほむら「いえ…大したことじゃないわ。心配しなくても大丈夫よ」

杏子「ホントか?お前、すぐひとりで何でも抱え込んじまうからなぁ」

ほむら「……本当に大丈夫よ」

杏子「ならいいけど。……あ、そうだ。ちょっと聞きたいんだけどよ」

ほむら「何かしら?」

杏子「お前、バレンタインにチョコくれるか?」

ほむら「……まさか今から催促されるとは思わなかったわ」

杏子「別にいいだろ。アタシはお前ら以外からは絶対貰えないんだからさ」

ほむら「……あなたたちに渡す分は作るから大丈夫よ」

杏子「そうか…ありがとな、ほむら」

ほむら「あんまり期待されても困るけど……」

杏子「……さて。アタシ、これからマミの家に行くけど…ほむらはどうする?」

ほむら「私は…今日はこのまま帰るわ」

杏子「んじゃ、またな。チョコ、期待してるからなー」

ほむら「……期待されても困るって言ったのに」

ほむら「帰ったら1度作ってみた方がよさそうね。どうできあがるか……」

ほむら「……あっちもこっちもやらないといけなくなったわね。大変だわ……」

――数日後――

ほむら「……」

杏子「おーい、マミ、まだかー?」

マミ「はいはい、もう少し待ちなさい」

杏子「しょうがねぇな…もう少し待ってやるよ」

マミ「……佐倉さんの分はチ○ルチョコ1個分でいいかしら」

杏子「ごめんなさい」

ほむら「謝るなら最初から言うんじゃないわよ……」

マミ「はい、お待たせ。明日渡すチョコ…のテスト版よ」

杏子「んじゃ早速……」

杏子「……うめぇ!いやー、さすがマミだな!こんなうまいチョコ作れるなんてさ」

マミ「ありがとう、佐倉さん。……ほら、暁美さんも食べないと全部食べられちゃうわよ?」

ほむら「そうね……。頂くわ」

マミ「えぇ、召し上がれ。……今日は鹿目さんと美樹さんは?」

ほむら「まどかは家で明日のチョコ作りで…さやかは……」

マミ「……例の志筑仁美さんといるのね」

ほむら「えぇ。だからあなたの家に来てみたのよ」

マミ「私は構わないけど…明日のチョコ作りは大丈夫なの?」

ほむら「大丈夫よ。この前1度やってみたけど、割と上手くできたから」

マミ「ならいいんだけど……」

杏子「アタシからの返しは期待すんなよ」

マミ「……佐倉さんには余剰分の材料でお返しを作らせておくわ」

杏子「……マジかよ」

ほむら「……そうそう。ちょっと聞きたいのだけど」

マミ「あら、何かしら?」

ほむら「もし…バレンタインに告白するなら、どこがいいと思う?」

マミ「……暁美さん?あなた、まさか……」

ほむら「いえ、そうじゃなくて…この間まどかとそんな話をして……」

マミ「そ、そう…びっくりした……」

杏子「アタシはあんまりそういう話はなー…自分の家じゃダメなのか?」

ほむら「まぁ…それも考えたわよ。絶対に邪魔は入らないだろうし」

マミ「私は…そうねぇ、放課後の屋上なんてどうかしら」

マミ「当日の天気にもよるけど、1番ロマンチックだと思うわ」

杏子「まぁ晴れてようが何だろうが寒いんだけどな」

マミ「……佐倉さん?」

杏子「マジでごめんなさい」

マミ「もう……。暁美さんはどう思ってるの?」

ほむら「……やっぱり家がいいのかしらね。日中ならともかく、日が傾くと冷えてくるし」

マミ「そうね……。寒い中で無理やり告白して、それで風邪引いたら元も子もないと思うわ」

ほむら「……それに、渡したいものはそれなりに嵩張るものだし」

マミ「嵩張るって…想像の中のあなたは一体何を渡すつもりなの……?」

杏子「自分にチョコ塗りたくって、リボンで縛って、プレゼントは自分だ、とか」

ほむら「……杏子、あなた最近考えがさやかに似て来たわよ。気をつけなさい」

杏子「……そいつはヤバいな。わりぃ、気をつけるよ」

マミ「でもバレンタインに告白なんて…やっぱり憧れるわ」

ほむら「どちらかと言うと私たちはする側になるわね。される側はどう感じるのかしら」

マミ「それはわからないけど…別に男性からしても構わないでしょう?」

ほむら「……そうね」

マミ「暁美さんはそういう話はないの?人気ありそうなのに」

ほむら「……正直なところ、よく知らない人にそう思われてもどうしたらいいのかわからないわね」

ほむら「それに、私はまどかに好きでいてもらえればそれだけで十分だもの」

杏子「相変わらずだな、ほむらのまどか好きは」

ほむら「……さて、それじゃ私はそろそろ失礼するわね。明日の準備もしないとだし」

マミ「私はもうネタバレされちゃってるけど…楽しみにしてるわ。がんばってね」

ほむら「えぇ。マミのチョコも楽しみにしてるわ」

マミ「わかってるわ、楽しみにしててね。……それじゃ佐倉さん、お返しのチョコを一緒に作りましょうか」

杏子「げ、マジだったのかよ、あの話」

マミ「そりゃそうよ。もらいっぱなしはよくないわ」

ほむら「……じゃ、また明日」

マミ「またね、暁美さん。……さぁやるわよ、佐倉さん」

杏子「わかった、わかったって!」

――――――

ほむら「……それじゃ、そろそろ明日の分のチョコを作るとしましょう」

ほむら「材料は…まだ十分あるから大丈夫ね。えーと……」

ほむら(このチョコはあくまで友達に渡す分。告白に使うものじゃ……)

ほむら(全力で取り組むつもりもないけど…そこまで手を抜くつもりもない)

ほむら(……まどかにだって、渡すのだから)

ほむら(明日…実行するのよね。私が…まどかに……)

ほむら(……今頃、まどかもチョコを作ってる頃かしら)

ほむら(まどか……)

ほむら「……あとは冷やして完成、と」

ほむら「ふぅ…随分遅くまでかかってしまったわ。小分けにするのは…明日の朝にしましょう……」

ほむら「それより、明日は…放課後に受け取りに行って、それから……」

ほむら「場所は…どうしようかしら。私の家?それともまどかの家?」

ほむら「それにどうやって渡したものかしら……」

ほむら「……きっと面食らってしまうでしょうね。まさかチョコ以外のものが出てくるなんて思わないでしょうし」

ほむら「さて…明日に備えてもう休みましょう」

ほむら(まどか…私、絶対にあなたを……)

――――――

まどか「……えっと、さやかちゃんの分、マミさんの分、杏子ちゃんの分……」

まどか「それと、友達としてのほむらちゃんの分。……うん、こっちはこれでよし」

まどか「……それから、本命。ほむらちゃんに渡す、本命のチョコ……」

まどか「……ハート型の生チョコを本命にしたけど…届くかな、ほむらちゃんに……」

まどか「……ううん、届けるんだ。それにもう…ここまで作った以上、後には引けないし」

まどか「よし。これで準備完了。……あとは、明日がんばるだけ…だね」

まどか「……遅くまで作業してたせいか…眠いなぁ」

まどか「ふぁ……。もう…寝よう……」

今回はここまで

次回投下は14日夜を予定しています

前作の最後に今年はいいかなって言ったけど
結局書きたくなったから書いた…

叛逆後のSSはネタが出て来なくてもうしばらくなさそうです…

書き忘れた

次から本文

――2月14日――

まどか「……」

まどか(な、何だかいつもと空気が違うなぁ……)

まどか(こっちの…友チョコの方はいいんだけど、本命は…どこで渡そうかな……)

さやか「まどかー、ギブミーチョコレート!」

まどか「……あ、さやかちゃん。えっと…チョコ?」

さやか「そうそう。これ、あたしからの。ごめんね、買ったもので」

まどか「ううん、ありがとう。じゃあ…はい、わたしからの分」

さやか「ありがとー。……あれ、ほむらは?」

まどか「そう言えば、まだ来てないみたい。どうしたんだろうね」

さやか「あのほむらが今日学校を休むわけがないだろうし、寝坊か何かだと思うよ」

まどか「え、どうして?」

さやか「そりゃ、まどかのチョコが貰えるから。だから絶対来るって」

まどか「……もしわたしのチョコを楽しみにしててくれてるのなら…嬉しいな」

さやか「そうだって。……ほら、噂してたら来たみたいだよ」

まどか「ほんとだ。……何だかすごい息切れしてるけど」

さやか「時間、だいぶギリギリだからね。走って来たんでしょ」

まどか「そう、なのかな。……あ、こっちに来るね」

ほむら「まど、か…さやか…おはよう……」

まどか「う、うん、おはよう。……ほむらちゃん、大丈夫?」

ほむら「……ふぅ。えぇ、もう大丈夫。少し走っただけだから」

さやか「今日はまたやけに遅かったね。どうしたのさ」

ほむら「あなたたちに渡すチョコを小分けにしてたら、あっという間に時間が……」

まどか「そ、そうだったんだ……。今日休みかと思っちゃったよ」

ほむら「そんなわけないわ。まどかのチョコ、楽しみにしてたんだから」

さやか「だからあたしが言ったでしょ?絶対来るって」

まどか「……あ、ほむらちゃん。チョコ、渡すよ」

ほむら「いえ、今はまだいいわ」

まどか「え?」

ほむら「昼休みにマミも呼んでまとめて交換した方が楽でしょう?」

まどか「そっか…うん、じゃあそうしよう」

ほむら「まどかのチョコが楽しみね。お昼が待ち遠しいわ」

さやか「あたしはもう貰ってるから知ってるんだけど」

ほむら「……何?あなた、もう要求したの?」

さやか「うん。……まどかのチョコ、知りたい?知りたくない?」

ほむら「……知りたいことは知りたいわ。ただ、私のいるところでネタバレすると言うのなら……」

ほむら「さやかに渡すはずだったチョコに何か不幸なことが起こるかもしれないわね」

さやか「わ、わかったよ、言わないって……」

ほむら「……それじゃそろそろ席に戻るわね。まどか、また後で」

まどか(昼休みに交換…となると、本命は昼休みに、ってのは無理だよね……)

まどか(やっぱり放課後が1番かな……)

まどか(……まずはこの友チョコを渡してから考えようかな)

――昼休み――

さやか「……それじゃお昼も食べ終わったし、チョコの交換でもしますか」

マミ「そうね。みんなのチョコが楽しみだわ」

ほむら「あちこちでチョコの交換をしている人を見たわね。いいのかしら……」

まどか「ま、まぁ今日くらいは先生も大目に見てくれるよ」

ほむら「……そうね。杏子へのチョコはマミに渡しておけばいいのかしら」

マミ「えぇ。佐倉さんからのチョコも預かってるわ」

ほむら「結局、作らせたのね……」

マミ「見た目はよくないけど、味は問題ないはずよ」

ほむら「そ、そう……」

さやか「それじゃまずあたしから。……えー、市販品ですいません。みんなの分まで作る余裕ありませんでした」

まどか「さやかちゃんのことだから、上条君にあげるチョコ作ってそれで時間切れになったんでしょ」

さやか「そ、そうだけど…いちいち言わなくてもよろしい。……まどかにはもうあげたから、ほむらとマミさん、どうぞ」

まどか「わたしもさやかちゃんにはもう渡したから…どうぞ、マミさん」

マミ「ありがとう、2人とも」

まどか「それから、ほむらちゃん…にも……」

ほむら「……まどか?どうかした?」

まどか「あ…ううん。何でもないよ。はい、これ」

まどか(ど、どうしよう。今、すっごいドキドキしてるよ……)

まどか(これ、別に本命でもないのに…今からこんな調子で大丈夫かな、わたし……)

ほむら「ありがとう、まどか。……それじゃこれ、お返しね」

まどか「わ…ありがとう、ほむらちゃん」

ほむら「自分では上手くできたと思うわ。まどかの口に合えばいいのだけど……」

まどか「ほ、ほむらちゃんが作ってくれたんだから、おいしくないわけないよ!」

ほむら「そ、そう言ってもらえると嬉しいわ」

さやか「まどかにばっか構ってないでこっちにもよこせー!ギブミーチョコレート!」

ほむら「……正直、あなたたちは渡せても渡せなくてもどっちでもよかったのだけど」

さやか「相変わらずのこの扱いの差……」

マミ「いつものことじゃない。……ありがとう、暁美さん」

さやか「そりゃそうですけどー……」

マミ「あとは私と佐倉さんの分ね。……まずこれが佐倉さんから預かったチョコ。はい、どうぞ」

さやか「杏子が作った分…大丈夫、ですよね」

マミ「言ったでしょ?味は大丈夫だって。……それで、これが私が作った分」

まどか「ありがとうございます。何だろう、楽しみだなぁ」

マミ「中身は開けてからのお楽しみよ。……さて、それじゃ私はそろそろ教室に戻るわね」

ほむら「私たちも教室に戻りましょうか」

さやか「そだね。もうすぐ昼休み終わっちゃうし」

まどか「うん…そうだね」

まどか(もう時間ないし…今からほむらちゃん連れ出して渡すわけにも……)

まどか(放課後…渡すことにしよう。場所は…どうしようかな)

ほむら「まどか、戻りましょう?」

まどか「あ、う、うん」

まどか(……次の授業、きっと身が入らないだろうなぁ)

まどか(でも、今日はそうなっちゃっても仕方ない…よね)

まどか(わたし…絶対に、ほむらちゃんを……)

――放課後――

まどか(うぅ…全然決まらないよ……)

まどか(決まらないけど…この分だと教室は当分誰か人がいるだろうし……)

まどか(やっぱり屋上、かな。夕方でちょっと寒いかもしれないけど……)

まどか(参考になるかと思ってバレンタイン特集の雑誌も読んでみたけど参考にならなかったし……)

まどか(……ダメだ、緊張してるせいか考えがまとまらないよ……)

まどか(ちょっとお手洗い行ってこよう……)

ほむら「……また提出物に不備があるなんて…参ったわね」

ほむら(今日のことを考えると…仕方ないことでもあるけど……)

ほむら(上手く…行くかしら……。受け入れて…くれるかしら……?)

ほむら(自惚れでなければ…まどかは私に好意を持ってくれているはず)

ほむら(ただ…その好意がどういう形かはわからないけど……)

ほむら(……とにかく、すぐに花屋に受け取りに行って、家に荷物を置いたらまどかの家へ……)

ほむら「……あまり時間はかけてられないわね。急ぎましょう」

――――――

まどか「はぁ……」

まどか(少し落ち着いたおかげでなんとか考えはまとまったかな。やっぱり屋上に呼び出して……)

まどか「……あれ。ほむらちゃんの机、カバンが無くなって……」

まどか「嘘…ほむらちゃん、帰っちゃった……?」

さやか「あれ、まどか。どうしたのさ」

まどか「さ、さやかちゃん…ほむらちゃん、どこ行ったかわかる……?」

さやか「ほむら?……ごめん、わかんない。あたしも教室出てて、今戻って来たところだし」

まどか「そ、そっか……」

さやか「カバンが無いってことは、もう帰っちゃったんだと思うけど。何か用だったの?」

まどか「う、うん…ちょっとね……」

さやか「用事があるなら電話でもいいんじゃ……」

まどか「それじゃダメなの……。ほむらちゃんの顔を見て話したいことだから」

さやか「そ、そうなんだ。……じゃあほむらの家にでも行ってみたらいいんじゃない?」

まどか「ほむらちゃんの…家……?」

さやか「もう帰っちゃってるなら家にいると思うけど…何ならあたしが今どこにいるか電話しようか?」

まどか「……ううん、いいよ。わたし、ほむらちゃんの家に行ってみる」

さやか「ん、わかった。あたしはもうちょっとバレンタインの空気に浸ってくよ」

まどか「……さやかちゃん、ありがとう」

さやか「何だかよくわからんけど、がんばりなさいよー」

まどか「うん。じゃあ、わたし…行くね!」

さやか「またねー。……でもまどかの奴、一体何を……」

さやか「待てよ、今日はバレンタイン。直接話したいことって……」

さやか「まどかの奴…まさか……?」

――――――

まどか「……」

まどか(い、勢いに任せて来ちゃったけど……)

まどか(どどど、どうしよう…まさかほむらちゃんの家でなんて……)

まどか(だ、だけどもう来ちゃったし……)

まどか(ここまで来たらもうやるしかないはずなんだけど…でも……)

ほむら「……まどか?」

まどか「うぇひっ!?」

ほむら「……ど、どうしたの?私の家の前で何か考え込んでたみたいだけど」

まどか「あ、あの、えっと、その……」

まどか(い、言わなきゃ。もう…逃げてる場合じゃないから……!)

まどか「……ほ、ほむらちゃんに用があったんだけど、もう帰っちゃってたみたいだから」

ほむら「そう……。私も少し用があって、寄り道してて…今帰って来たところなの」

まどか「そ、そうなんだ。あれ、それ…何……?」

ほむら「これ?これは…何でもないの。気にしないで」

まどか「そ、そっか……」

ほむら「それより、立ち話も何だから…どうぞ、あがって」

ほむら「……それで、私に何の用かしら?」

まどか「あ、あのね…ほ、ほむらちゃんに用があるって言ったのは…えっと……」

まどか「……わ、わた、わたし、あの、ほ、ほむらちゃんが……」

ほむら「まどか、ちょっと待ってもらえる?コーヒーか何か持って来るわ」

まどか「えっ……」

ほむら「……まどかが何を言いたいのかはわからないけど、まずは落ち着きましょう」

ほむら「話はそれからでも遅くないわ」

まどか「あ…ご、ごめんね、ほむらちゃん……」

ほむら「それじゃ、少し待ってて」

まどか(うぅ…告白なんて生まれて初めてだからすごく恥ずかしい……)

まどか(だけど…伝えるんだ。絶対に……)

――――――

ほむら「……まどか、落ち着いた?」

まどか「うん。ありがとう、ほむらちゃん」

ほむら「気にしないで。それで、まどかの用というのは?」

まどか「う、うん…すごく言いづらいんだけど……」

ほむら「そんなに言いにくいことなら無理に言わなくても……」

まどか「……ううん、それじゃダメなの。きちんと…伝えたいんだ」

ほむら「そう…わかったわ。でも、何だか告白でもされるような雰囲気ね」

まどか「……」

ほむら「……えっと、まどか?」

まどか「……ほむらちゃん。これ、受け取ってほしいんだ」

ほむら「それって…チョコ、よね?」

まどか「……うん」

ほむら「お昼に貰ったのよりも丁寧にラッピングしてあるわね。でも、チョコはもう貰ったはずだけど……」

まどか「お昼渡したのは…友達としてのチョコ。だけど、ほむらちゃんに本当に渡したいのは…こっちなの」

ほむら「それって…どういう……?」

まどか「……これは…本命。大好きな人に贈る…恋のチョコレート」

ほむら「本命って…それじゃ、まどかは……」

まどか「……ほむらちゃん。わたしは、ほむらちゃんのことが大好き。友達じゃなくて、特別な人として」

まどか「ほむらちゃんとそういう関係になりたくて、ほむらちゃんだけを想って…本命チョコ、作ったの」

ほむら「私だけを……?」

まどか「……ほむらちゃんがわたしのことをどう思ってるのかは…わからない」

まどか「それに、わたしもほむらちゃんも女の子同士だし……」

まどか「でも、ほむらちゃんにはわたしの想い…わたしの気持ちを知ってほしかったから……」

ほむら「まどか……」

まどか「もし、わたしを受け入れてくれるのなら…このチョコ、受け取ってほしいな……」

ほむら「わ、私は…その……」

まどか「ほむらちゃん……?」

ほむら「ご、ごめんなさい。あまりに突然のことだったから、驚いてしまって」

ほむら「でも、まさかまどかが私を好きだなんてね……」

まどか「やっぱり…迷惑、だよね。ごめんね、やっぱり……」

ほむら「……本当は私からと思ってたのだけど、お返しという形になってしまったわね」

まどか「あ…それ、さっきの……」

ほむら「さっきは覆いがしてあったから、中身がわからなかったわね。……これが、中身」

まどか「これって…チューリップ……?」

ほむら「えぇ。……この前、一緒にショッピングモールに行ったときに花屋に寄ったでしょう?」

ほむら「そのとき注文したの。この…真っ赤なチューリップの花束を」

まどか「そ、そうだったんだ……。で、でも、どうしてチューリップを?」

ほむら「バレンタイン特集の雑誌で読んだの。好きな人に花を贈るフラワーバレンタインというものがあるって」

まどか「わ、わたしもそんな記事読んだような覚えが……」

まどか「……あれ?ほむらちゃん、今……」

ほむら「……赤いチューリップには『愛の告白』という花言葉があるの」

ほむら「……まどか、私もあなたが…大好き」

まどか「……ほん、と…だよね……?」

ほむら「嘘なわけないじゃない。本当のことよ」

まどか「なん、で…こんな……」

ほむら「日本ではあまり馴染みがない分、インパクトが強いし…何より、チョコより気持ちが伝わると思って」

まどか「そ…う……」

ほむら「……もう1度言うわ。私は、まどかのことが大好き。友達以上…恋人にしたいという意味で」

ほむら「私と恋人になってもらえるのなら…この花束、受け取って……」

まどか「……受け取るよ。受け取るに…決まってるじゃない」

まどか「わたし…この本命チョコ渡して、受け入れてくれるのが1番嬉しいことだと思ってた。でも……」

まどか「ほむらちゃんがこんな素敵な花束を用意して…わたしに告白してくれるなんて、思わなくて……」

ほむら「……本当はこれを持って、まどかの家に行くつもりだったの。よく考えたら迷惑よね、こんな嵩張るもの……」

まどか「ううん…そんなことない。……わたし、すごく嬉しい。嬉しくて、嬉しくて…こんなに嬉しいことは…初めてだよ……」

まどか「……ありがとう。ほむらちゃん」

ほむら「まどか……」

まどか「ほむらちゃんも…わたしの本命チョコ、受け取ってくれるよね……?」

ほむら「……えぇ。勿論」

まどか「よかった……。ねぇ、ほむらちゃん。ひとつだけ聞きたいんだけど」

ほむら「何かしら?」

まどか「えっと…どうしてチューリップだったの?こういうときって大体バラだと思うんだけど」

ほむら「あぁ…フラワーバレンタインって男性から女性に花を贈るものらしいの」

ほむら「そこにバラなんて持ち出したら余計男性っぽくなってしまう気がして……」

まどか「そうだったの……。でも、わたしはこのチューリップの花束も…すごく素敵だと思うよ」

まどか「わたしだって女の子だから、こんなに綺麗な花束を贈られて…嬉しくないわけないもん」

ほむら「いつか…今よりもっとまどかを好きになって、もっと深い関係になれたら……」

ほむら「そのときは…真っ赤なバラを贈るわ。108本のバラの花束と、それに相応しい言葉と一緒に」

まどか「何で108本なのかはわからないけど…わたし、待ってるからね」

ほむら「えぇ。……あの日、私もまどかもお互いに贈るものを買いに行ってたなんて…ちょっと笑っちゃうわね」

まどか「え?」

ほむら「私は花を注文したし、まどかだってこの本命を作る為にあの高い製菓チョコを買ったんでしょう?」

まどか「う……。ば、バレてたんだ……」

ほむら「私への本命だと聞いてすぐわかったわ」

まどか「だ、だって本命なんだよ?それを他のみんなにあげるのと一緒じゃ……」

ほむら「……私、言ったでしょう?まどかが作ってくれたものなら、例え溶かして固めただけのチョコでも嬉しいって」

ほむら「みんなに渡すものと同じものだったとしても…まどかの好きって想いが込められているはずだもの」

まどか「そう言えば確かにそんなこと言ってたね。……そうだ、あのとき言ってたわたしを大好きって……」

ほむら「えぇ。勿論友達としての好きじゃないわ」

まどか「そ、そうだったんだ。あのときの好きって言葉がずっと引っかかってたの……」

ほむら「あの場で言えば…少なくともそういう意味では取られないとはわかってたわ。でも……」

ほむら「まどかはどういう反応をするだろうって思って……」

まどか「……じ、自分が好きって思ってる人に…大好きって言われたんだよ?」

まどか「嬉しいに…決まってるよ」

ほむら「……私も嬉しいわ。まどかに…特別な好意を寄せられているんだから」

まどか「それこそ、わたしだって同じことだよ。ほむらちゃんの好意が…すごく嬉しい」

ほむら「……さて。それじゃまどかがくれたチョコ、食べてみようかしら」

まどか「う、うん。お昼に渡したのはもう食べてくれた?」

ほむら「いえ、まだよ。家に持って帰ってから食べようと思ったのだけど……」

ほむら「せっかくまどかが私だけを想って作ってくれたのだから…本命を頂こうかしら」

まどか「じゃあ…はい。わたしからほむらちゃんへの、本命チョコ」

ほむら「……ありがとう。開けるわね」

まどか「め、目の前で開けられると恥ずかしいな……」

ほむら「あ…これ、ハートの……」

まどか「うん。ほむらちゃん…食べてみたいって言ってたから……」

まどか「本命だからハート型にしてみたんだけど…ど、どうかな」

ほむら「……このハートを見て…これが本命なんだって、実感したわ」

まどか「えー、疑ってたの?」

ほむら「そ、そういうわけじゃ…私、こんな特別なもの貰うの初めてだから……」

まどか「……えへへ、わかってるよ。じゃあ、食べてみてよ」

ほむら「それなんだけど…お願いがあるの」

まどか「お願い?」

ほむら「えぇ。……その、これを…食べさせて…ほしい……」

まどか「……えっ」

ほむら「は、恥ずかしいお願いってことはわかってるわ。……お、お願いできない…かしら」

まどか「わ、わかった。いいよ」

ほむら「ありがとう…まどか」

まどか「い、いいけど…ちょ、ちょっと待ってね」

まどか(た、食べさせてって…あーんってことでいいんだよね……)

まどか(でも、それでいいのかな……。不満ってわけでもないんだけど……)

まどか(……確か雑誌で素敵なチョコの渡し方とか見たっけ。えっと…こう、チョコを……)

まどか(……は、恥ずかしいどころじゃないけど…でも、きっといい思い出になるはずだし)

まどか(……これにしようかな)

ほむら「まどか……?やっぱり…無理なお願いだったかしら?」

まどか「う、ううん。何でもないよ。待たせてごめんね」

まどか「じゃあ…やるよ、ほむらちゃん」

ほむら「えぇ…お願いするわ」

まどか(えっと…チョコを咥えて……)

ほむら「……まどか?どうしてチョコを咥えて……」

まどか「……ん!」

ほむら「え?」

まどか「んー!」

ほむら「……まどか、これって…雑誌に載ってた……?」

まどか「ん!」

ほむら「……まさかそう来るなんて…思いもしなかったわ」

ほむら「まどかは…その、私と…したいってこと……?」

まどか「……ん」

ほむら「……わかったわ。じゃあ、頂くわね」

ほむら「……まどか。大好き……」

ほむら「……ん…む、ぅ……」

まどか「あむ…ぅ……」

まどか(これって…ほむらちゃんの唇…だよね……。すごい…気持ちいいかも……)

ほむら(夢…みたい。まどかと、こんな……)

まどか「ん…ふぅ。……あ、あの、ほむらちゃん…ごめんね、こんな……」

ほむら「……気にしなくてもいいわ。確かに驚いたけど…でも、それ以上に嬉しかったから」

まどか「……その…どうだった、かな」

ほむら「そうね……。とろけてしまうほどに甘かったわ。チョコも、キスも……」

ほむら「言い方は悪いけど…鼻血が出てしまいそう」

まどか「わたし…目の前が真っ白になったような気がする……」

ほむら「自分で作ったチョコがあまりにも美味しかったからかしら?」

まどか「ち、違うよ。もう……」

ほむら「……あなたに届いたかしら。私の『愛の告白』は」

まどか「……うん。こんなに素敵な『愛の告白』を貰えるなんて…嬉しいよ」

ほむら「私だって十分すぎるほどに素敵なものを貰ったわ。……凄く、嬉しい」

まどか「これだけ素敵なものを貰ったとなると…お返しが大変だよ」

ほむら「お返しなんて考えなくていいわ。それを言い出したら、私もお返しをしないとだし」

まどか「そ、そう?」

ほむら「えぇ。……でも、何かお返しをくれるのなら…また、お菓子を作ってほしい」

まどか「ほむらちゃんも…次はわたしだけのために、お菓子を作ってほしいな」

ほむら「わかったわ。次は…まどかだけを想って、まどかだけの為に……」

まどか「ありがとう。……ねぇ、ほむらちゃん」

ほむら「何?」

まどか「……大好き、だよ」

ほむら「……私も大好き、よ」


Fin

これで完結です
最後まで読んでいただき、ありがとうございました



>>108
まさにお前が108取ってるのにちょっと吹いたが、
多分この薔薇の108本って今日テレビでやってた「中国では送る薔薇の数で意味が変わり、幸福を表す108で求婚の意味になる」って言う話をテレビを見たか事前に知ってたかで取り込んだんだと思う

読んで下さった方、感想頂けた方、本当にありがとうございました
バラの本数については>>110の方の通り108本で結婚してくださいとなります
調べたときは特に表記なかったから中国だけでもないと思う…

去年のバレンタインのSSも合わせて読んで頂けたら嬉しいです
まどか「甘い甘い恋のチョコレート」

・次回予告

まどか「深夜のメール」

今日か明日の夜に立てるかも
またどこかで見かけたらよろしくお願いします

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2018年11月24日 (土) 00:42:43   ID: P21wACa5

誰だよ、マジキチタグつけたやつ。

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