春香「プロデューサーさんっ、デートですよ!デート!」冬馬「俺ん家!だぜ!」 (51)

春香「あの、プロデューサーさん。明日って何か予定入ってますか?」

P「明日?いや、特には無いけど」

春香「じゃあっ!・・・私と出かけませんか?」

P「出かけるって春香と2人でか?」

春香「もうっ、言わせないで下さいよ!プロデューサーさんっ、デートですよ!デート!」

P「でっ・・・!?え、えっと・・・春香、デートってのはその・・・あっレッスンか?そ、それか下見か・・・」

春香「なーんて、冗談です」テヘッ

P「へっ?」

春香「冬馬君のお見舞いに行きたいんです」

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P「あ・・・ああ、なるほどな」

春香「ま、まあ・・・もしデートのOKが貰えたなら私はその・・・よかったんですけど・・・?」ボソッ

P「ん?春香?」

春香「ハッ・・・いやっ、その・・・コホンッ!」

春香「私1人で行くのは色々問題がありますし、プロデューサーさんがいいなら一緒に・・・と思って」

P「俺はかまわないが・・・冬馬が寝込んだのは俺のせいみたいなもんだし、春香がそんなに気を使わなくてもいいんだぞ?」

春香「そんな!私が行きたいだけですから。冬馬君にはプロデューサーさんのお見舞いの時とか、他にも沢山お世話になってますし」

P「そうか?・・・じゃあ俺もちょうど行こうと思ってたことだし、明日行くか」

春香「はいっ」




翌日

春香「プロデューサーさんっ、おはようございます!」パタパタ...

P「ああ、おはよう」

春香「すみません、駅まで迎えにきてもらっちゃって」

P「いや気にしないでくれ、大した距離じゃないよ」

春香「ありがとうございます」

P「さ、乗った乗った」ガチャッ

春香「は・・・はい!」

春香(これってちょっと本当のデートみたいだよね・・・?えへへ・・・)

春香(っじゃない!今日は冬馬君のお見舞いなんだから!冬馬君に失礼だよっ)ブンブンッ

P「春香、どうかしたか・・・?」

春香「な、なんでもないです!」

P「そうか?ならいいんだけど」

春香「そ、そういえばっプロデューサーさんから冬馬君に連絡してくれたんですよね。具合、どんな感じでしたか?」

P「あ、実は冬馬とは連絡は取ってないんだ」

春香「あれ?でも昨日連絡しておくって・・・」

P「こないだ冬馬が風邪ひいたって翔太から聞いたろ?あの時に連絡先貰ってさ」

P「『お見舞いに行くならその前にここに連絡して』って言われたから、てっきり冬馬のだと思って電話してみたら翔太の携帯だったんだよ」

春香「えっ、翔太君のですか?なんでそんなこと・・・」

P「冬馬に直接連絡したら絶対来るなって言われると思ったから、だってさ。あと面白そうだから一緒に来たいらしい」

春香「確かに冬馬君なら言いそうですけど・・・後者が本音な気がしますね」

P「ははは・・・かもな」

P「着いたぞ、このアパートだ」

春香「ここに、冬馬君が住んでるんですか・・・?」

P「ん?なんか変か?」

春香「いえ、変とかじゃないんですけど・・・961プロに所属していたんだしもっと豪華な所に住んでるものだと」

P「ま、人気アイドルと言っても高校生の1人暮らしだしなあ。冬馬自身もそういうタイプじゃないだろ」

春香「確かに、そうですね」

P「あっ!しまった・・・」

春香「ど、どうしたんですか?」

P「アパートの場所は知ってたんだが部屋番号を知らなかった・・・」

春香「ええっ」

P「すまん春香!今から翔太に連絡して聞いてみるからちょっと待ってくれ!」

春香「あの、そんなに焦らなくてもいい」翔太「わっ!!」

春香「ひぇうっ!?」ビクッ

翔太「あははっ、ビックリした?」

春香「しょ、翔太君!」

北斗「こら翔太、女の子にはもっと優しく紳士に接しないと・・・」

翔太「えーやだよー普通の登場して面白いのなんて北斗君だけだもんっ」

P「北斗もいるのか、翔太1人で来るんだと思ってたよ」

北斗「おや、お呼びじゃなかったですか?」

P「まさか、そんなつもりで言ったんじゃないよ」

北斗「ま、俺もあなたがいるとは知りませんでしたけどね。翔太ともそこでバッタリ会っただけですし」

P「え?そうなのか。てっきり俺たちが行くって言ったから来たのかと・・・」

翔太「あ、それは僕ね」

春香「じゃあ北斗さんは今日たまたま来たんですか?」

北斗「いや、俺はここ最近毎日来てるかな・・・」

春香「ま、毎日!?」

P「毎日って・・・お前らどういう関係・・・」

北斗「ちょっと、やめてくださいよ!」

翔太「あははっ僕はそれも面白いからアリだと思うけどな~!本当のところ北斗君は冬馬君を見張りに来てるんだ」

春香「見張り?」

北斗「冬馬の奴、熱が出てても放っておくとすぐレッスンしようとするからね・・・」

北斗「毎日バカな事してないか俺が見に来る羽目になったんだ」

翔太「僕も時間があれば顔出してるけど、だいたい北斗君に任せてるんだ~」

春香「な、なるほど・・・」

P「大変なんだな・・・お前達も」

北斗「まあ、そこが冬馬の良いところなんですけどねぇ・・・」

翔太「ささ、事情はわかったでしょ?早く入ろっ!」

P「あ、ああ。そうだな」

翔太「冬馬君ー?入るよー」ガチャッ

翔太「寝てるかな~」ズカズカ

P「なんか、プライバシーの欠片もないな」

北斗「一応、本人には了承は得てますから・・・」

春香「本当に仲良いんですね~」

翔太「あっ、またフィギュア増えてるー!冬馬君ってばホント好きだよねぇ~」バタバタ

P「仲が良いというか遠慮がないというか」

北斗「少し舐められてるのかもしれないですね」

北斗「多分ベッドで寝てると思うんで、そっちに行きましょう」



北斗「冬馬、入るよ」ガチャッ

冬馬「ん・・・?」モゾ...

北斗「チャオ☆」

冬馬「う・・・今日も来たのかよ・・・」

北斗「お前が大人しく寝てないからだろ?ほら、また台本読んでる」ヒョイッ

冬馬「ああっ!別に台本読むくらいいいだろ!」

P「熱出てる頭で読んでも入ってこないだろ?」

冬馬「え・・・」

翔太「相変わらず体調は良くないのに元気そうだね、冬馬君」

春香「お、お邪魔してます」

冬馬「なっ・・・翔太はともかくなんであんたらまでいるんだよ!」

P「いやあ、なんか俺の見舞いに来たせいで風邪引いたみたいだしさ」

春香「私は心配だったから・・・」

冬馬「べ、別に・・・大したことねーよ」

春香「あの、よかったらこれ」ガサゴソ

冬馬「ん・・・?」

春香「プロデューサーさんとね、お見舞いにゼリーの詰め合わせを買ってみたの。冬馬君こういうの好きかなーって」

冬馬「お、おう・・・嫌いじゃない・・・」

冬馬「っじゃなくて!俺の風邪をうつしちまったらどうすんだよ、早く帰ってくれ」

春香「え、でも・・・」

翔太「もーっ!冬馬君愛想なさすぎ!せっかく来てくれたんだからお礼の1つくらい言えばいいのに」

北斗「そうだぞ冬馬、あの春香ちゃんがお見舞いに来てくれるなんて世界中の男の夢だ!それを冷たい態度で追い返すなんて・・・!」

翔太「そうそう、お兄さんも本当に自分の風邪がうつったかどうかなんてわかんないのに来てくれたんだからー!」

冬馬「うっ・・・わ、悪かったよ・・・」

春香「い、いいよいいよ!私の方こそいきなり押し掛けちゃってごめんね」

P「いや、俺がちゃんと冬馬と連絡とっておけばよかったんだ。すまない」

冬馬「だっ、だから!別に・・・迷惑だとか言ってるんじゃ・・・」

冬馬「わ・・・わざわざ、来てくれて・・・さんきゅ」

春香「う、うんっ!」

翔太「よくできました」ポンポンッ

北斗「うんうん」

冬馬「な、なんだよ!なんかそれ馬鹿にしてねえか!?」

翔太「そんなことないよ~のヮの」

P「ははは。それで、調子はどうなんだ?」

冬馬「本当に大したことねーって。熱だって殆ど平熱だし、どこも痛くねえし・・・」

冬馬「だから勉強も仕事も休んだ分さっさと取り返したいんだよ」

冬馬「くそっ・・・例え熱があろうが俺は歌えるし踊れるってのに・・・!」

翔太「やめてよ冬馬君~ステージで倒れられたらもっと困るんだから!」

北斗「はいはい、抑えて・・・まあ今は微熱ってくらいだから、このままだと明後日のラジオは大丈夫かな」

冬馬「本当か!?」

北斗「でもそれまでは大人しくしててくれよ?」

冬馬「ぐ・・・」

翔太「はいはーい!」ピョンッ

P「どうした?」

翔太「そんな冬馬君のために、今日はご飯を作ろうかなーって思ってるんだけど」

冬馬「は・・・?お前が?」

翔太「"僕達が"だよ!ねっ、お兄さん、春香さん!」

春香「えっ?」

P「お、俺もか!?」

翔太「1人で寂しい冬馬君の為にご飯を作ってあげて、みんなで楽しく食べようという僕の名案・・・どうかな!」フフンッ

冬馬「だっ、誰が寂しいだ!」

北斗「ふむ、寒い日にみんなで食べるなら・・・鍋かな?」

翔太「鍋いいね~!」

冬馬「お、おい!」

春香「あ、うどんなんか入れたらいいんじゃないですか?消化しやすいですし」

P「うどんすきってやつか」

翔太「よーし、じゃあそれで!あっでも、冬馬君は直接鍋つつけないから別によそうけどいい?」

冬馬「聞けよ!」

翔太「うーんと、材料買わないと駄目だよね?うどんと鶏肉と・・・あと何がいるのかな・・・」

冬馬「待て。うどんは冷凍のやつが1袋あるし、野菜は人参とゴボウが残ってる筈だから後は・・・鶏肉とネギと白菜と椎茸くらいだな」

翔太「白滝は?」

冬馬「うどんがあるから麺はもういいだろ」

翔太「じゃあねー・・・三つ葉は?」

冬馬「いいな。野菜は好きに足してくれ」

北斗「冬馬、鍋ってどこにあるんだ?」

冬馬「上の棚の右側に入ってる」

北斗「了解☆」

春香「冬馬君結構ノリノリですね」

P「楽しそうで何よりだよ」

P「じゃあ買い出しは俺が車でひとっ走り行ってくるよ」

春香「あっ、それなら私も行きます!」

P「え?大した荷物じゃないし車だし1人で大丈夫だぞ?」

春香「いやっ・・・そうじゃなくて、プロデューサーさんと買い物に・・・!」

P「ん?」

北斗「まったく・・・あなたって意外と気が利かないんですね」

P「えっ!俺のことか!?」

北斗「勿論。大切なアイドルを男が3人もいる部屋に置いていく気ですか?」

P「いや、お前達だからそんなに心配してないんだが・・・」

翔太「そうだねー、冬馬君はともかく北斗君はとって食べちゃうかも」

P「えっ!?」

北斗「エンジェルちゃん相手にそんな乱暴なことはしないけど・・・デートの誘いくらいはさせてもらうかな?」

P「そ、それは困る!行こう春香!」

春香「え、あ・・・はいっ///」

P「じゃあ2人で買い出し行ってくる!鍋の準備は頼んだ!」バタンッ

北斗「・・・まあ彼がいようといまいとデートには誘うんだけど」

翔太「でも北斗君が春香さんをデートに誘ったところでOKは貰えないよねー」

北斗「さあ、どうかな?」

翔太「あはは、北斗君は空気が読めるんだか読めないんだか」




P「春香、俺がカート押すよ」

春香「大丈夫です!カート押すくらいできますよ」

P「そうか?でも・・・俺が手ぶらなのもなぁ」

春香「じゃあそこの白菜とってください!」

P「あ、ああ・・・はいっ」ヒョイッ

春香「はい、ありがとうございます」

春香「えへへっ、食品売場で買い物なんて本当に家族みたいじゃないですか?」

P「俺、そんなに老けてるかな~?」

春香「え、どういう意味ですか?」

P「春香くらいの歳の娘がいるように見えるかなって」

春香「・・・プロデューサーさん、それ本気で言ってるんですか?」

P「えっ、やっぱりそんな老けてるか!?」

春香「違います!もうっいいです!」フンッ

P「えっ?ええ?どういうことだ春香!?」

春香「・・・」

P「は・・・春香さん?」

春香「ぷ、プロデューサーさん・・・あれ・・・」

P「あれ・・・?」

春香「インスタントのコーナーに・・・!」

P「インスタントのコーナー・・・って、貴音!?」

春香「や、やっぱり貴音さんですよね!あの後ろ姿は貴音さんですよね!?」

P「ミスマッチすぎてかなり目立ってる・・・と、とにかく声をかけてみよう!」

春香「は、はいっ!」


貴音「どうしたものでしょう・・・」ブツブツ

春香「あ、あの~・・・」

貴音「?」クルッ

春香「やっぱり!貴音さんだ!」

貴音「まあ、春香!それにプロデューサーまで・・・!奇遇ですね」

P「まさかスーパーで貴音に会うとはな~!スーパーなんて行ったことなさそうなイメージだよ」

貴音「そうでしょうか?」

春香「あっ、わかります!なんかお料理とかは召使いさんが全部用意してそうです」

貴音「それが・・・実は、この様な場所に一人で来るのは初めてなのです」

春香「やっぱり初めてなんですか!?」

貴音「はい」

P(四条貴音、スーパーではじめてのおつかいか・・・ちょっと番組でやりたかったな)

P「それで、迷ってたみたいだけど何を買いに来たんだ?」

貴音「先日、私が出演した番組の中で様々な"いんすたんとらーめん"が紹介されていたのです」

春香「インスタントラーメン・・・ですか?」

貴音「はい・・・私はそのいんすたんとらーめんを今までらーめんとは別物とし、あまり口にすることがありませんでした」

貴音「ですが、最近のいんすたんとらーめんは技術の進歩と製造者のらーめんへの熱い思いにより、私の想像を遙かに超えた進化をしていたのです!」

貴音「これはもう、いんすたんとらーめんを食す運命にある・・・!そう思ったのですが、何分種類が豊富なもので」

P「なるほど、どれを食べるか迷ってるのか」

春香「最近は袋麺だけでも種類が多いですもんね~」

貴音「いえ、全て食べるつもりなのでそのように迷うことはありませんが・・・」

春香「え・・・す、全て!?全てって、ここのラーメン全種類ってことですか!?」

貴音「・・・?はい、勿論」

春香「え、と・・・す、すごいですね・・・」

貴音「ふふふっ、それほどでもありませんよ」

P「・・・じ、じゃあ貴音は何を迷っていたんだ?」

貴音「種類が豊富になった故に、らーめんとそうでない物の境界線を引くのが非常に困難なのです」

P「へ?境界線?」

貴音「例えば・・・この"らーめん風はるさめ"はらーめんなのでしょうか?それとも春雨なのでしょうか?」

春香「それは・・・春雨じゃないですか?ラーメン”風”な春雨って名前ですし」

貴音「しかし、春雨らーめんを女性に人気のらーめんとして推し出しているらーめん連鎖店は存在します」

春香「へ、へ~知らなかったです・・・」

貴音「関西地方発祥なので仕方の無いことです」

P「俺は春雨ラーメンなんてのを初めて聞いたな」

貴音「そして更に問題を抱えているのがこの"かっぷぬーどるごはん"です」

春香「あっ、懐かしい~!少し前に流行りましたよね!」

P「それなら俺も食べたことあるけど、それは流石にラーメンじゃないだろう」

貴音「確かにらーめんと呼びがたい内容かもしれません・・・ですが"かっぷぬーどる"という名前を掲げているからには無視することもできないのです・・・!」

P「そう・・・なのか?」

春香「拘りがあるんですね・・・」

貴音「他にも"そうらーめん"の様にらーめんかそうでないかを明確にしていない物が数多く存在しています」

貴音「嗚呼・・・私は何処までをらーめんとし、食せばよいのでしょうか・・・」

P「なんだか大変そうだな・・・まぁあんまり悩むなよ、貴音が食べたいものを食べればいいさ」

貴音「食べたいもの・・・ですか?」

春香「そうですよっ、ラーメンかどうかは置いといて貴音さんが食べたいと思えば食べればいいんですよ!」

P「貴音はどうなんだ、さっき挙げたやつらは食べたいのか?食べたくないのか?」

貴音「そう、ですね・・・私はこの世の美味しいものをすべて味わってみたいです」

貴音「らーめんかどうかで切り捨てることなく、全て食したいと思っています・・・」

P「うんうん。じゃあ、こんなところで悩まなくていいんじゃないか?」

貴音「プロデューサー・・・そうですね、二人に感謝いたします。私は何を悩んでいたのでしょう」

貴音「いんすたんとらーめんを口にしなかったことを愚かだと気付いたばかりだというのに、また同じ過ちを犯してしまうところでした・・・」

春香「そ、そんな大袈裟ですよ~」

貴音「いえ、食とは人生の喜び・・・その喜びを堅い思考で削り落としてしまうなど許し難い行為です」

貴音「最初から己の心に素直に従えばよかったのです」

P「ま、まあ・・・貴音が納得できたんならよかったよ」

貴音「はい。私は己の心に素直に従い、今この棚にある商品を全て購入いたします!」

春香「え・・・」

P「ま、待て待て待て!」

貴音「はて・・・何か問題がありましたか?」

P「何も一気に買うこともないだろ!こんなに買っても持って帰れないし、帰れたとしても置き場所に困るし・・・」

貴音「心配はありません。使いの者に運ばせますし、すぐに私の胃袋に収まります」

P「いやいや、これを一気に食う気か!?そこら辺はアイドルとしてちょっと悩んでくれ!」

貴音「はあ、そういうものなのでしょうか・・・?」

P「全制覇は止めないから、せめて2個ずつ買っていくとか・・・」

春香「そそそそうですねっ!一気に買うと目立っちゃって貴音さんだってバレちゃうかもしれませんし!」

P「なっ?貴音」

貴音「そこまで言われるのでしたら・・・四つずつ、ということでいかがでしょう?」

P「よし、乗った!」

春香(スーパーからラーメンが消えるところだった・・・)

貴音「ところで、春香とプロデューサーは何故二人で買い物をしておられるのですか?」

P「ああ、俺たちは鍋の材料を買いに来たんだ」

貴音「鍋を二人で・・・?も、もしや二人は私の知らぬ間に深い関係に・・・!」

P「へ?」

春香「ち、違いますよ!?私達はジュピターの冬馬君のお見舞い来ただけなんですっ///」

P「そうそう、翔太と北斗もいるから皆で鍋でもしようかってことになってさ」

貴音「成る程、今の時期に大勢で囲む鍋とは・・・誠、魅力的ですね」

P「そうだ、貴音も来るか?」

春香「あっ、それいいですね!どうですか?貴音さん」

貴音「よろしいのでしょうか?突然参加してしまって・・・」

P「きっと皆歓迎するよ。あー・・・特に北斗が」

春香「そうですよ!鍋は大勢の方が美味しいですしね!」

貴音「ふふ・・・では御言葉に甘えることに致します」

P「よーし!じゃあ、さっさと買って帰るか!」




P「買ってきたぞー!」ガチャッ

春香「お待たせしました」

翔太「おかえり~!って、あれ?貴音さ」北斗「君は四条貴音ちゃん!?」ガタタッ

翔太「うわ、出た~」

北斗「可憐な春香ちゃんの帰りを今か今かと待っていたら天使をもう一人引き連れて帰ってくるなんて・・・!」

北斗「もしかして春香ちゃんを待ち焦がれすぎて幻でも見えてしまってるのかな・・・?」

翔太「北斗君めんどくさーい、話が進まないよぅ」

貴音「ふふふ、この私を幻像と見破るとは・・・なかなかの目を持っているようですね・・・」

P「貴音!?無理に乗らなくていいんだぞ!?」

春香「というか乗り方が間違ってます・・・」

貴音「・・・?そうですか」

翔太「あっはは!貴音さんって面白~い!それで、貴音さんも一緒に食べていくんだよねっ?」

P「あ、ああ。偶然会ったから誘ったんだが、いいかな?」

北斗「勿論!エンジェルちゃん2人と食事ができるなんて・・・ああっ、こんなに幸せでいいのかな・・・?」

翔太「えへへ、僕も予定より大勢でご飯食べれて嬉しいなっ♪」

貴音「その言葉は有り難いのですが、やはり家の主に承諾していただかなければ・・・」

翔太「いーのいーの!冬馬君、今寝てるから」

貴音「はあ、そうでしょうか・・・?」

春香「冬馬君、大丈夫ですか?」

北斗「うん、鍋の準備にやたらと口を出してくるくらい元気だよ。ま、そのせいで少し熱が上がってきたように見えたからベッドに押さえ込んで、今は大人しく寝てるよ」

P「ははは・・・そんな調子だとなかなか治らなそうだなー」

翔太「ほんっと、冬馬君は子供なんだから~」

北斗「そうだねぇ・・・手の掛かるリーダーだよ」

翔太「だから早く治して貰わないとねっ」

北斗「全くだね」




冬馬「」ヒヤッ

冬馬(ん、冷た・・・)

冬馬(あ・・・額のタオル変えてくれたのか・・・)

冬馬(気持ちいいな・・・なんか・・・)

冬馬(この懐かしい、感じ・・・)

冬馬「母・・・さ・・・」ボソッ

冬馬「・・・」

冬馬「ん・・・?」パチッ

貴音「あ・・・起こしてしまいましたか?」

冬馬「・・・」

貴音「あの、もし・・・?」

冬馬「!?」ガバッ

冬馬「な・・・なっなんなななん??!?」

貴音「そろそろ額の手拭いを変える頃合いでは、とプロデューサーが申していたので」

冬馬「え、いや、なんで・・・!?」

貴音「ですから、手拭いがもう温くなっているのではと・・・」

冬馬「っちげーよ!!なんで四条貴音がここにいるんだよ!?」

貴音「そういうことでしたか・・・それでしたら、買い出しの最中の春香とプロデューサーに偶然出会い招待されたので」

冬馬「そ、そうか・・・」

貴音「・・・やはり家主に無断で部屋へ上がるのは失礼でしたか?気を害してしまったのであればすぐに出て行きますが」

冬馬「べ、別に誰もそんなこと言ってねえだろ。ちょっと驚いただけだよ」

貴音「ふふ、有り難うございます」

冬馬「ふん・・・」

貴音「・・・しかし、意外ですね」キョロキョロ

冬馬「な、何がだよ」

貴音「大きな態度で失礼な物言いをする貴方が、このように多くの人形や模型を所持しているとは・・・」

冬馬「・・・!いいだろ別にっ、俺がどんな趣味を持っていようと勝手だろ!」

貴音「勿論、人の趣味に口を出したいわけではありません。ただ貴方の印象と大きく異なる、と驚いているのです」

貴音「この、可愛らしい小動物の模型たちなど特に・・・小さくて、かつ臨場的で・・・」ジーッ

冬馬「・・・それ、気に入ったのか?その棚のは全部チョコエッグだからすぐ買えるぜ」

貴音「ちょこ・・・えっぐ・・・?」

冬馬「お前、チョコエッグも知らないのか・・・!?」

貴音「ええ、存じません」

冬馬「卵の形をしたチョコの中に、そこのフィギュアどれかがランダムで入ってるっていう食玩だよ」

貴音「まあ!ちょこれーとの中に模型が・・・なんと、面妖な・・・!」

冬馬「いや、俺はチョコエッグ知らねえ方が面妖だけど」

貴音「そうなのですか・・・ここに来てからは驚くことばかりです・・・」

冬馬「そんなにフィギュアが駄目なのか・・・」

貴音「いえ、まだ母親と見間違われる外見はしていないと自負しておりましたので・・・」

冬馬「え・・・?」

貴音「はて、聞き違えでしょうか・・・?先ほど貴方の口からお母」冬馬「わーっ!!」

冬馬「き、聞いてたのか・・・?」

貴音「」ニコッ

冬馬「くそ・・・最悪だ・・・」

貴音「やはり親と離れて暮らしていると恋しくなるのですね」

冬馬「そ、そんなんじゃねーよ!」

貴音「恥じることはありません、誰であれ病に冒されると心細くなるものです」

冬馬「だから違っ」P「おーい、貴音ー?」ガチャッ

貴音「プロデューサー、どうされました?」

P「あれ、冬馬起きてたのか。もう鍋ができそうだから様子を見に来たんだが・・・2人とも食べられるか?」

貴音「ええ、何時でも」

冬馬「俺は元気だって言ってるだろ!」

P「え?そ、そうか?」

P(何で俺は怒られたんだ・・・?)

翔太「じゃっじゃーん!どうどう!?美味しそうでしょ!」

貴音「湯気と共に漂う出汁の香り・・・なんとも心踊りますね・・・!」

北斗「ま、翔太は白菜を切っただけなんだけどね」

翔太「ぶ~!白菜は大事だよっ!」

春香「ふふっ・・・でも北斗さんって料理上手なんですね、ビックリしました」

北斗「冬馬ほどじゃないよ。それに、どんなご馳走も春香ちゃんみたいな子の手料理には適わないさ」

春香「へっ!?あ、あはは・・・どうも・・・」

P「ま、普段家事をしない奴が殆どにしちゃ上出来だろう」

貴音「心配はいりません。鍋というものは何を入れても大概は美味しくなるものです」

春香「貴音さん、フォローになってないです・・・」

冬馬「お前らな・・・食ってもない料理にどうこう言ったって意味ねえだろ」

翔太「そうだね、早く食べよっ!いっただっきまーす!」

全員「「いただきます」」

P「ほら、冬馬の分は先によそっておいてやるから」カチャカチャ

冬馬「そ、そのくらい自分でできる!」

貴音「病人は周りの人に素直に甘えるものですよ、それが気遣ってくれている人への一番のお返しです」

P「ははは、そうだそうだ!いっぱい取ったからいっぱい食えよ!」ベシベシ

冬馬「うっ・・・ああ・・・」

春香「わ~っ、美味しい!美味しいですよ!プロデューサーさん!」

P「本当か?よかったよかった」

翔太「う~ん暖まるねー!」

貴音「心に沁みる味・・・ですね」

北斗「エンジェルちゃんを含め、大勢で食べるから尚更美味しいよ。な?冬馬」

冬馬「ま、まあ・・・やっぱ冷凍うどんってよくできてるよな」

翔太「も~冬馬君は本当に・・・ハァ...」

冬馬「な、なんだよ」

翔太「不器用だなあ~って」

北斗「不器用だねえ」

冬馬「なんだと!」

翔太「リーダーだから僕たちを引っ張っていかなきゃ~って張り切った結果、体壊しちゃうし」

冬馬「うっ」

北斗「手の抜き方を知らないで家事や勉強もこなそうとした結果、体壊しちゃうし?」

冬馬「うう・・・」

翔太「なのに、ろくに休もうとしないで・・・そんなのですぐに仕事に戻れる訳ないじゃん!」

P「翔太、それ以上言うと冬馬が泣くぞ」

冬馬「なっ、泣くか!」

北斗「でも、俺たちってそんなに信頼がないのかな?」

冬馬「・・・え?」

翔太「僕ら冬馬君がちょっと休んだだけで駄目になっちゃうような貧弱アイドルじゃないんだけど?」

冬馬「!」

P「ふむ・・・そうだぞ冬馬、要領よく休養できてこそプロだ」

春香「翔太君たちだって早く3人で仕事したいって思ってるだろうけど、元気な冬馬君とっていうのが1番なんじゃないかな?」

冬馬「・・・」

貴音「己の能力で処理しきれないならば、仲間に頼るべきです。勿論、貴方がそこに信頼を感じているなら・・・ですが」

冬馬「んなもん・・・信頼してなかったらここまでやってきてねえよ・・・!」

貴音「ふふ・・・ならば、もう問題は解決していますね?」

冬馬「・・・」

冬馬「わ、悪かったよ。ちゃんと休んですぐに治すから・・・それまで、頼んだぞ」

翔太「うんっ!」

北斗「ああ、心配無用だよ」

翔太「でも、冬馬君の復帰があんまり遅いと僕がリーダーの座貰っちゃうかも♪」

冬馬「おい!翔太!」

北斗「ほら冬馬、暴れるとまた熱が上がるぞ」

冬馬「ぐぬぬ・・・」

貴音「鍋を囲むことで人の心を一つに・・・ズルルッ・・・まこひょ、うふふしきひふふぁふぇふね」モゴモゴ

P「貴音、飲み込んでから話そうか」

貴音「ゴクンッ・・・ぷ・・・プロデューサー!」ガタッ

P「ど、どうした!」

貴音「私、らーめん風はるさめに驚愕しております!まさか・・・春雨を使用してらーめんをここまで再現してしまうとは・・・!」

春香「私はうどんすきに加えてインスタントラーメンを複数抱えてる貴音さんにビックリだなあ・・・」



翔太「ふーっ結構食べたね~!」

貴音「私も非常に満足しております」

冬馬「うどんとラーメンと雑炊を普通に平らげるって・・・化けもんかよ・・・」

北斗「おい冬馬!レディに向かってなんて口の利き方をするんだ!」

冬馬「レディの食いっぷりじゃねえっつってんだよ!」

春香「でも本当にそれだけ食べてもそのスタイルなんて羨ましいなあ・・・」

貴音「おや、春香も悩むような体型には見えませんが」

春香「わ、私は色々と我慢したり、足掻いて現状維持なんですよっ!貴音さんみたいに食べたら・・・あうう、恐ろしいことに・・・」

貴音「まあ、そうなのですか?私は食べたい気持ちを我慢することこそ体に悪いと思うのですが」

P「貴音の言うことも一理あるが、貴音の食べる量を考えるとなかなか同意しづらいな・・・」

P「でも確かに春香はそんなに我慢しなきゃならないようには見えないなあ」

春香「ほっ本当ですか!?いや、でもぉ・・・う~ん・・・」

P「何をそんなに悩むことがあるんだ?」

春香「これはプロデューサーには一生わからない問題です!女の子はそういう生き物なんですよ!」

貴音「はて、私はそれほど気に致しませんが・・・」

春香「たっ、貴音さんは特別なんです~!」




P「じゃあ冬馬、本当にちゃんと休めよ?」

冬馬「わかってるって」

春香「ちゃんと暖かくしなきゃ駄目だよ?」

冬馬「だ、大丈夫だよ」

貴音「寂しいときには一人で泣かず親や仲間を頼るのですよ」

冬馬「だから泣かねえって!雑にまとめるな!!」

翔太「ほらほら、見送りはもういいから部屋に戻ってよ!また体が冷えちゃうよ!」

冬馬「あ、ああ・・・じゃあ、今日はわざわざ来てもらって悪かったな・・・」

貴音「こちらこそ、いきなり家に上がり騒いでしまい・・・」

冬馬「だからそれはいいって!鍋、一人で食べるより旨かった・・・じ、じゃあなっ!」バタンッ

春香「えっと・・・」

北斗「みんなでご飯が食べられてとっても楽しかったってさ」

春香「ふふっ、なら良かったです」

北斗「ところで貴音ちゃん、この後お茶でもどうかな?」

P「!」

貴音「お茶、ですか・・・私は依然、麺の気分ですね」

P「!?」

北斗「ふむ・・・じゃあ、俺のオススメのイタリアン料理店のパスタなんてどうかな?」

貴音「ぱすた・・・そそられる響きですね・・・」

P「貴音!食べ物に容易に釣られるんじゃない!」

貴音「ふふ、冗談です」

春香(貴音さんの冗談ってわかりにくい・・・)

翔太「そーだよ!北斗君は僕を送って帰らないと駄目なんだから!」

北斗「はいはい、了解」

翔太「今日はすっごく楽しかったよ!じゃあね~!」

P「俺もだよ、誘ってくれてありがとうな」

北斗「いつかまたエンジェルちゃんたちと一緒にお茶したいな・・・チャオ☆」

春香「あはは・・・ま、また機会があればみんなで!」



P「よし、車出すぞー」

春香「はいっ」

ブロロロ...

貴音「プロデューサー、送って下さり有り難うございます。それに、本日は本当に誘っていただけて良かったです」

P「そんな、大したことはしてないよ。鍋だって言い出したのは翔太だし」

貴音「いいえ、大変充実した一日となりました。春香とも、仕事から離れた付き合いができてとても楽しかったですよ」

春香「私もです!貴音さんとスーパーで買い物なんてビックリですけど・・・すごく楽しかったです!」

貴音「ふふ、春香のような妹がいれば毎日が華やぐでしょうね」

春香「そ、そんなことないですよ~!」

P「ははは、確かに春香といると明るくなれるよな」

春香「プロデューサーさんまで・・・!えへへ、嬉しいなあ・・・」

春香「でも、貴音さんがお姉ちゃんってどんなのだろう・・・全然イメージできないです」

貴音「そうでしょうか?」

春香「あっ、悪い意味じゃないんですよ!?貴音さんの私生活をイメージできないというか・・・」

P「そうだな、プロデューサーの俺でも貴音に関して知らないことは多いからな~」

貴音「ふふ、得体が知れないのもまた一興・・・ですので」

春香「確かにそこが貴音さんの魅力かもしれないですけど、私はもっと貴音さんのこと知りたいな~なんて・・・えへへ」

貴音「なんと嬉しい言葉でしょう・・・!でしたら、春香に私の秘密を一つ教えて差し上げましょう」

春香「へっ?秘密、ですか?」

貴音「ええ、耳を・・・」

春香「は、はいっ」

貴音「私、只今ちょこえっぐに俄然興味が湧いています」コソッ

春香「・・・」

春香「へっ?・・・ちょ、えっ?」

貴音「ふふ、うふふふふっ」ニコッ

春香「あ・・・あは、ははは・・・?」ニコッ

春香(貴音さんって・・・やっぱり不思議な人だなあ・・・)

数日後

春香「おはようございます~!」ガチャッ

小鳥「おはよう、春香ちゃん。あっ、ねえ春香ちゃんはあの噂聞いた?」

春香「噂・・・?なんですか?」

小鳥「それがね、スーパーからチョコエッグが消えたらしいの!」

春香「へっ?・・・ちょ、えっ?」

小鳥「ビックリでしょう?一部のスーパーからね、食玩のチョコエッグが全部!全部消えちゃったんですって!」

春香「へ、へ~・・・」

小鳥(大人買いしたい気持ちはわかるんだけどね・・・)

小鳥「本当、不思議よね~」

春香「あ、あはは!不思議ですね~!」



春香「ま、まさか・・・ね・・・?」


おわり

次は誰を書くのか決めてるのかな?楽しみ~

>>49
場所もキャラも何にも決まってないから
希望とか案があれば聞かせて欲しいなって思ってるよ・・・

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