P「……」
凛「……」
P「……」
凛「……」
P「服を、脱いでくれないか?」
凛「それは聞こえているから問題無いよ。いや、聞こえているからこそ問題がいっぱいだよ」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1392093606
P「そうか、ならさっそく脱いでくれるか?」
凛「いやいや、なんで私が自然に脱ぐ流れになっているの?」
P「え……脱がないのか?」
凛「当たり前だよ、ここ事務所だからね」
凛「しかも男の人の前でどうして平然と脱げとか、もうそれはセクハラを超えた何かだよ」
P「……解らないのか」
凛「いや、普通は解らないよ」
P「前振りはいいから」
凛「前振りじゃないから」
凛「いや、どうしたのプロデューサー」
凛「流石に何の理由も無しに脱いでとか、いくら普段奇行満載のプロデューサーであっても訴えられるよ?」
P「え、そこまで言われるの俺。ていうか訴えられるのかッ!?」
凛「そこで驚かないでよ。むしろ何で訴えられないと思ったのか聞きたいよ」
P「む、そうか」
凛「うん、だから理由を教えてくれない?これって別に仕事じゃないんでしょ?」
P「ああ、もちろんだ」
凛「(……なんでプロデューサーが自信満々なのか解らない)」
P「よし、それじゃ簡潔に解りやすく伝えるべきだな」
凛「そうだね、もうこの時点でかなり頭が痛いよ」
P「おいおい、アイドル足るもの体調に気をつけなくちゃだめだぞ?」
凛「原因はプロデューサーだってしっかり理解して欲しいかなって」
P「え、俺なの?」
凛「無自覚って一番たちが悪いよね。もういいからとっとと理由教えてよ」
P「……ふむ。俺が凛に脱いで欲しいと言った理由、それは……」ゴゴゴゴゴ
凛「……」ゴクリ
P「俺が凛の下着姿を見たかったから」
凛「え?」
P「他に理由はいらないだろ?」
凛「……」ピポパポ
P「どうした凛、それ事務所の電話……」
凛「あ、すいません警察ですか。今、プロデューサーからセクハラを」
P「はい、電話コードをドーン」バキッ
P「凛、冗談でも警察に電話するのは止めてくれ、キモが冷えてしまう」
凛「プロデューサーが警察に通報されないと思っている事の方がキモが冷えるよ」
P「凛、解るか?俺は自分の気持ちに正直になり、決心をしてたった今ここで想いを告げたんだ」
凛「うん」
P「つまり、これは俺の生涯で数回行われるか解らない決意の表れなんだ」
凛「うん」
P「……解るな?」
凛「あ、すいません警察ですか。何度もすいません、ええ、うちの馬鹿がですね」
P「はい、怪しい機械でウサミン電波をドーン」シュミミミミ
P「ふぅ、流石は俺の見込んだアイドルだ。すぐさま自分のスマホを持ち出すとは、驚いたな」
凛「私はプロデューサーが持ち出したその怪しい機械に驚いたんだけど」
P「スゴイだろこれ。ウサミン電波が出るんだぞ、アキえもんに作ってもらったんだ」
凛「ええと、いろいろと突っ込みたいところはあるけれど。とりあえずウサミン電波って何かな?」
P「俺も詳しくは解らないが、これを使うと一定の範囲内の通信が全部シャットアウトされて」
凛「うん」
P「安部菜々とその母親の通話記録が延々に流れ続ける」
ナナ母『お母さんいつまでも応援するっていったけど、そろそろ結婚を考えた方がいいんじゃないかい?』
菜々『な、ナナはいつまでも永遠の、その、あの……ハイ』
ナナ母『ほら、あんたが大学卒業した時に一緒に写真とったミホちゃん。もう二児の母だよ?』
菜々『……え?あ、あの子って結婚に興味ないってよくサークルの飲み会でッ!?』
ナナ母『そんなの嘘に決まってるだろうに。あんた今いい人いるの?』
菜々『……イマセン』
ナナ母『女一人で過ごす。世間様は好き勝手着色するけど、現実は歳をとればとるほどに辛くなるんだよ?』
菜々『……ウン』
凛「……うわぁ」
凛「……うわぁ」
P「ちなみに、効果範囲は半径百メートルです。もちろん通話だけでなく、その他の電波もジャックする素敵仕様だ」
凛「うん。今ちょうどビルの下を通話しながら通った人が、すごい顔になっていたよ」
P「さらに電話の向こうの相手にも、同じ音声が聞こえるという親切設計」
凛「菜々さん限定の心折設計だね」
P「バリエーションは百種類以上、飽きさせることの無い仕様となっております」
凛「スゴイ、無駄に本気出しちゃったんだ」
P「ただ、あいつ母親に毎回恋人いないのかって聞かれてるからな。大体は全部同じ内容だ」
凛「もうそれ百種類とか意味ないよね、無駄に菜々さんの心を抉り取るだけだよね、それ」
P「さて、菜々は別にいいとして」
凛「よくはないけど、まぁうん」
P「服を、脱いでくれないか?」
凛「嫌だよ」
P「え?」
凛「え?」
P「……」
凛「……」
P「え?」
凛「この流れはもういいから」
P「いや、俺だってな。流石に全裸になれとは言わないぞ」
凛「うん」
P「もちろん、俺は凛の全裸は見たかった。しかし凛が嫌がると思ったんだ」
凛「へぇ」
P「俺は凛のプロデューサーだ、凛が嫌がる事はさせたくない」
凛「なるほど」
P「だからな、下着姿で妥協したんだ。さぁ、脱ごうか」
凛「ごめん、その妥協点がまるで見つからない」
P「え、だめなん?」
凛「ダメだよ、なんで問題無いと思ったのか解らないぐらいにダメだよ」
P「そんな……馬鹿な」
凛「馬鹿なのはプロデューサーだよ」
P「これは……夢、なのか」
凛「むしろ夢であった方が幸せだったよ」
P「なッ!?夢じゃないだとッ!?」
凛「今までの流れで一切驚くべき点が無いよ、むしろプロデューサーが驚いた事が驚きだよ」
P「じゃあ……なんで凛は脱がないんだ?」
凛「あはは、おもしろい冗談だねプロデューサー。一番の笑いどころはその言葉が冗談で言っていない事かな」
凛「あのね、プロデューサー。私は変態じゃないんだよ?」
P「当然だ、俺のアイドルに変態はいない」
凛「え?」
P「え?」
凛「うん、もういいや。とにかくね、私は人前で下着姿になるような女じゃないんだよ」
P「……凛、熱でもあるのか?」
凛「これもう怒っていいよね?私、かなり我慢したよね?」ゴゴゴゴゴ
P「凛、逆にどうして脱ぎたくないんだ?」
凛「すごい質問だよね、それ。もう逮捕確実だよ」
P「教えてくれ、俺は不思議でならないんだ」
凛「私はプロデューサーの頭が不思議でならないよ。いや、普通に恥ずかしいからに決まってるじゃん」
P「水着のグラビアは撮っても良いのに、大体同じ面積の下着は見ちゃいけないのか?」
凛「同じ布でも大きな違いがあるんだよ。グラビアの水着は見られても良いけど、下着はダメなんだよ」
P「マジか」
凛「当たり前だよ、むしろプロデューサーが同じ国で生きてきたとは思えなくなってきたもの」
P「俺は日本人だぞ?」
凛「知ってるからなおのこと混乱するんだよ」
P「なるほど、じゃあ下着を着けている凛は見られないのか」
凛「当然、むしろそんな単純な事をこれだけ時間かけて理解したことが驚きだよ」
P「むぅ、残念だ」
凛「私は安心したよ。突然何を言い出すのかと焦ったよ」
P「すまないな、凛。でも俺は凛の下着姿が見たかったんだ」
凛「まだ言うのか。でも結局ね、私の下着姿は見られなかったと思うな」
P「ほう、どうして」
凛「いや、だって私は下着つけてないし」
P「え?」
P「……」
凛「……」
P「……え?」
凛「……え?」
P「下着、着てないの?」
凛「むしろ、何で下着を着るの?」
P「ファッ!?」
P「凛、落ち着け。君はいろいろとおかしい事を言っていたぞ」
凛「うん、まさか一番おかしい人代表のプロデューサーに、それを言われるとは思っていなかったよ」
P「いや、凛。普通は女性である以上、この文明社会で下着は着けるものだよな」
凛「当たり前じゃん、何でそんなこと聞くの?おかしいよプロデューサー」
P「そ、そうだな」
凛「あはは、変なプロデューサー。きっと疲れてるんだね、ちひろさんからスタミナドリンクをもらったら?」
P「ははは、そうだな」
P・凛「「ははははははっ!」」
P「……いやいやいやッ!?」
P「いや、おかしいだろ」
凛「何が?」
P「普通下着を身に着けるなら、何で凛は下着を着ないんだ?」
凛「ほら、この前に奈緒に見せてもらったアニメでやっていたけれど」
P「おう」
凛「『パンツじゃないから恥ずかしくないもん』みたいな、あれに近い感じ」
P「それ絶対意味が違ってると思うなって」
凛「あれだよ、一種の反抗期みたいなものかな」
P「え、そうなのか?確かに社会に反抗している事は間違いないが……」
凛「うん。若い時に理由がないのにいらついたり、人に逆らいたくなるのは反抗期だって」
P「第二次反抗期は中学生、まぁホルモンバランスによっては高一の凛も起こりうるな」
凛「そのせいなのか私も最近イライラしちゃってさ、仕事も勉強も人間関係もちょっと危なくなりかけたんだ」
P「それは……すまない。俺が気が付いてあげられなくて」
凛「大丈夫、それにこれはプロデューサーに内緒にしていたからね。しょうがないよ」
凛「それでね、どうしたらいいかなって悩んでいた時に愛梨さんが通りかかってさ」
P「愛梨が?」
凛「いろいろあって、下着脱いだらすっきりするって結論に辿りついた」
P「はっはっは、突然意味が解らなくなったぞ~」
凛「プロデューサーも、ノーパン健康法とか知らない?あれと大体同じだよ?」
P「なんと」
凛「ちなみに効果は実証済み。愛梨さんの知り合いもやっていたって言うし、意外と流行ってるんじゃないかな?」
P「……第一回総選挙一位、女の子の頂点になった愛梨の影響は計り知れないからな」
凛「そう、なんていったって流行の最先端を貫く愛梨さんだからね」
P「愛梨がその日に身に着けているものが、次の日には世間の女の子の流行になっている」
凛「そう。だから愛梨さんのノーパン・ノーブラが流行してもおかしくはない」
P「……おぉ、何と完成された理論なんだッ!すごいぞ凛ッ!」
凛「こう見えても、学年でテストは十位以内をキープしてるからね」フフン
凛「もちろん、私も子供じゃないから仕事の時にはパンツとブラはしているよ」
P「しっかりと分別をつけているとは、凛はもう大人だな」
凛「まあね、でも普段はノーパン・ノーブラだよ?」
P「そうか、最近の思春期な女の子はノーパン・ノーブラなのか。時代は変わったんだなぁ」
凛「女性のファッションや、スタイルの流れは早いからね」
P「そうだな。気がついたらこの前にダサイって言われてた服が、知らぬ間に流行になっているぐらいだ」
凛「プロデューサーが気がつかないのも、これは無理はないかもね」
P「なるほど、俺も勉強が足りないな」
凛「もし気になるのなら、他のアイドルにも聞いてみたら?」
P「なるほど、よし。さっそく電話してみるか」
凛「慣れてくると、むしろ身に着けている方が嫌になるからね。反抗期が終わってもそのままの子も多いと思うな」
P「大人がやっている場合もあるものな。よし、じゃあまずは未央に電話してみるか」
凛「ああ、未央はいつも元気だからね。あれは間違いなく下着をつけてないと思う」
P「なるほど、未央の元気の源はノーパン・ノーブラだったのか。この俺の目をもってしても気がつけぬとは……」
P「こうしてはいられない、すぐに確認をとらないと!」
プルルル……ガチャ
P「お、未央か?」
未央『やっほープロデューサー!どうしたの私に電話してくるなんて……もしかしてデートのお誘い?』
P「おいおい、あまりからかわないでくれ。本気になったらどうするんだ?」
未央『え?あ、えへへぇ……。な、内緒』
未央『そ、それより何かあったのかな?プロデューサーから私に電話なんて珍しいよね?仕事の変更?』
P「仕事じゃないんだが、いいかな?質問が一つあるんだが……」
未央『もちろんっ!それで、プロデューサーはこの未央ちゃんに何を聞きたいのかな~?』
P「ありがとう、実はな」
未央『なになに?』
P「未央は普段、パンツとブラ着けてないんだよな?」
未央『』
ガチャッ!ツーツー
P「……」
凛「……」
P「電話、きられました」
凛「うん、そうみたいだね」
P「あれだ、やっぱり下着を着ているのかも?」
凛「違うよ、いきなりデリケートな問題を口に出すのはマズイよ。もっと遠回しに聞かないと」
P「……なるほど、遠回しに聞かないとだめなのか」
凛「(この人、よく普段あれだけ仕事をとってこれるなぁ)」
渋谷凛(15)
http://i.imgur.com/vNMdXQX.jpg
http://i.imgur.com/3ei2QLk.jpg
本田未央(15)
http://i.imgur.com/h6RlWPR.jpg
http://i.imgur.com/dQhUJZt.jpg
凛「むしろ、未央ははいていない可能性が高まったね」
P「そうなのか?」
凛「恥ずかしいから切ったんだよ。やっぱり男性に下着を着けていないって話をするのには勇気がいるから」
P「そうか、俺が悪かったのか……。時間をおいたほうがいいかもな、後で未央には謝らないと」
凛「今度は卯月に電話してみようよ」
P「え?卯月もはいていないのか?」
凛「もちろん、運動会のイベントを行った時のことを覚えてる?」
P「ああ、あれは卯月がアイドルとして花開いた日と言ってもいい。忘れるわけがない」
凛「ねぇ、プロデューサー。あの時の卯月のブルマ、いや、あのお尻はすごいくっきりだったでしょ?」
P「え?ま、まぁ確かにな」
凛「やたらとカメラが卯月の後ろ姿追っていたしね。でもそれだけ魅力を放つ、はっきりと強調されたお尻……」
凛「……少し、あやしくはないかな?」
P「なッ!?まさか……」
凛「そう、その通りだよプロデューサー」
P「そんな……馬鹿な」
凛「あの時の卯月はきっと……ノーパンだったんだよ」
P「!!??」
凛「すごい、すごい覚悟だよ」
凛「あの生放送、下手をすればちょっとした事故で見えてしまってもおかしくはない」
凛「でも卯月の意気込みはそれを上回った。そして、それは結果として表れた」
凛「並み居るスタイルの良い、体操服で色気を振りまくアイドルすら駆逐した卯月のお尻」
凛「その秘密はノーパン、卯月による不退の覚悟だったんだよ」
凛「あの努力を怠らない卯月が、自分に足りないと打った最後の痛打。それがあのノーパンブルマだったんだと思う」
P「そんな、そんな裏話があったとは……っく」ジーン
凛「私は卯月を尊敬してる。一人の人間として……いや、アイドルとしてね」
凛「そんな覚悟を持つ卯月だからこそ、プロデューサーの問いにも答えてくれると私は信じてる」
P「それは、どうして……」
凛「私が、彼女の友達でありライバルだから」
P「ッ!」
凛「それ以上の理由が、必要かなプロデューサー」
P「いや、十分だ。十分過ぎるぐらいだよ」
凛「ふふ、ありがとう」
P「と、いうわけで。卯月はパンツはいてないんだろ?」
卯月『いやいやいやいやぁッ!?そんなわけないじゃないですかッ!何ですかその当然だろうみたいな反応はッ!?』
P「なん……だと。じゃあ運動会の時も、下着つけてたとでもいうのかッ!?」
卯月『むしろ何でつけてないって思ったんですかッ!?』
凛「そ、そんな」
卯月『誰ですかそんな変な事言ったのはッ!?プロデューサーですかッ!?まーたプロデューサーですかッ!?この前も勝手に私のあだ名覧に《尻村》とか載せましたよねッ!?あれお父さんとお母さんに見られてすごい気まずかったんですからねッ!』
凛「ぷ、プロデューサーお願い電話代わってッ!」
P「お、おう」
凛「あ、卯月。私だけど……」
卯月『よかった、凛ちゃんだ。酷いんだよっ!今プロデューサーさんがまた私に変な事を……』
凛「卯月、何で下着つけているなんて嘘をつくのッ!?」
卯月『えぇぇぇぇぇぇッ!?いや、本当に嘘なんかじゃないよッ!?というか凛ちゃんもなに変な事言ってるのッ!?』
凛「隠さなくて良いよッ!だって私も普段つけてないんだから!」
卯月『凛ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁんッ!?突然過ぎるよそのアピールッ!?ちょ、あ、えぇぇぇぇぇッ!?』
凛「そんな……。卯月は私の事を信頼してくれないの?」
卯月『信頼してるよッ!してるからさらに意味が解らないんだよッ!?』
凛「卯月の……卯月の馬鹿ッ!」
卯月『ちょ、あ、あれ?これって私がもしかして私が、私が悪いの?』
凛「お尻だけおっきくなっちゃえッ!もう卯月なんて知らないッ!」
卯月『え、それ酷くない?じゃなくて、凛ちゃんお願いだから話を聞い』ブツッ
凛「……卯月、どうして」
P「……」
凛「笑っても、いいよ。いや、むしろ笑ってくれると嬉しいかな」
P「凛」
凛「仲間だと勝手に勘違いして、勝手に裏切られて……」
P「笑わない、笑わないさ」
凛「同情なんて、欲しくないよ」
P「そうじゃないんだ凛、人間はいくつものすれ違いの中に生きているんだ」
凛「……何、それ?」
P「解りあえたって思えても、解りあえていないことなんて沢山ある」
P「相手と向き合っているようで、本当に向き合っているのは自分が造りだした想像上の相手だったりな」
P「だから本物とすれ違いが生まれて、相手の事が解らなくなるんだ」
凛「やっぱり、私が勝手に調子に乗っていただけって事?」
P「そうかもしれない」
凛「……」
P「でもな、凛。それは相手ともっと知り合える大切なチャンスなんだぞ?」
凛「!」
P「凛の心の中の卯月と、本物の卯月。それが合わなくなってきたのは、きっと凛が本物の卯月と向き合っていたからだと思う」
凛「プロデューサー……」
P「良い機会じゃないか、勘違いじゃなくて本当の卯月を知れるんだ」
P「それは、卯月の魅力をもっと知れるって事じゃないのか?」
P「卯月と、もっと深く繋がり合えるチャンスが得られたって事じゃないのか?」
凛「それは……」
P「俺は凛がノーパン・ノーブラであると知った時、最初は凛の新しい一面に驚いたよ」
P「でも、今は凛がもっと輝いているように見える」
P「これは俺というフィルターから通した凛ではなく、本当の凛の姿が見えてきたからだと思うんだ」
凛「本当の……私」
P「俺は、昔よりもきっとうまく凛をプロデュースしていける。本当の凛を知れたからな」ニコリ
P「凛、お前も今回の卯月には驚いたと思う」
凛「卯月が、私に嘘をつくなんて……考えてもいなかったよ」
P「でもな、それもまた卯月というアイドルが持つ生き方なんだ。そしてお前は卯月の新しい顔を知った」
凛「新しい、顔?」
P「そうだ、卯月はきっと……」
P「ノーパン・ノーブラを隠す事で興奮できる人間なんだッ!」ドーン
凛「ッ!!」ガーン
凛「そんな……」
P「『わ、私ははいていないのに、着けていないのに、みんなが私を見つめて……』という興奮から生み出された活力」
P「それがきっと卯月に力を与えてくれていたに違いないッ!」
凛「そ、それなら私に隠していたことも納得が……。でも、でもそれじゃ卯月はッ!?」
P「ああ、卯月はきっと変態なのかもしれない。凛は健康法として装着していないが、彼女は真性の変態として興奮するために装着していない」
P「きっと、あの電話を切った後に……」
卯月『り、凛ちゃんにばれちゃってた……?え、じゃ、じゃ普段も?そ、そんな』
卯月『……』ハァハァハァ
卯月『ど、どきどきしてる……。か、体が火照って……えぅ』カーッ
P「とか言っていたに違いない」
凛「あ、あぁ……」
卯月「へっくしょんッ!」ゾーッ
卯月「な、なんだろう。急に寒気が……ってこれプロデューサーだよ、間違いない」
卯月「どうせまた変な事を言ってるんだろうなぁ……ってそれよりも今は凛ちゃんだよッ!」
卯月「凛ちゃんは電源切ってるし、未央ちゃんも何故か連絡がつかないし……ああもうッ!」
卯月「あああッ!?何かが今スゴイ変な方向に向かってる気がするッ!?お願い凛ちゃん電話に出てぇぇぇぇッ!」ワーン!
凛「卯月が……変態?あの話も趣味も普通で、話も特に面白みが無くて、特徴的なのは笑顔と尻ぐらいだった卯月が?」
P「そうだ(あれ?凛ってひょっとして何気に黒い?)」
凛「……卯月が、変態?」
P「認めてあげるかどうか、それはお前に委ねるしかない」
凛「……」
P「だがな凛。卯月が変態であったとしても、彼女はお前が信頼していたアイドルであり、ライバルである事は変わらないんだ」
凛「……プロデューサー」
P「ああ」
凛「私が、私が歩み寄ったら……卯月は許してくれるかな?また、一緒に笑いあえるかな?」
P「大丈夫だ。むしろ彼女が変態であれば、知られたことを密かに喜んでいるに違いない」
P「きっと、仲直りできるさ」ニコリ
凛「解った、じゃぁ早速電話を……」
P「いや、今はマズイ。きっと凛からの電話の高ぶりを楽しんでいるに違いない」
P「もし今、凛が電話すればリビドーが中途半端に収まってすごい嫌な気分になるからな」
凛「うん、じゃあそうするよ」
P「しかし、まさか卯月が変態さんだったとはなぁ」
凛「正直、どう付き合っていけばいいか解らないかな」
P「それに関しては問題無い。普段通りに振る舞った方が、彼女もきっと興奮に浸りやすいはずだ」
凛「なるほど……」
凛「……ねぇ、プロデューサー」
P「どうしたんだ?」
凛「プロデューサーは……私が下着を着けていた方が良いと思う?」
P「……」
凛「……」
P「……深い、問題だな」
凛「……うん」
P「下着を着けていると、どんな下着を着けているのか妄想できる」
P「子供っぽい下着、大人っぽい下着。ギャップに萌えたり、癒されたり」
P「下着は裸体の飾りなんかじゃない。むしろそれ単体で魅力があり、誘惑があり、男を常に虜にしてしまう」
P「着こなし、角度、ポーズ、装飾、大きさ、薄さ。女性を彩る下着の要素は、語り尽くすことができないだろう」
P「風に靡いてチラリとスカートから、微かに姿を見せた下着は多くの男達にとって癒しだ」
P「大胆に胸元からのぞくブラは、普通に胸を見せつけるよりも遥かに大きな興奮を与えてくれる」
P「下着は状況や環境によって、まったく顔を変えてしまう魔法のアイテムだ」
P「逆に着けていない時は、ふとした動きで見えそうになったり、くっきりと形作る体のラインに興奮できる」
P「生まれたままの体が、剥かれる前の果実の如く服を透けて姿を現すその様は心を奮わして止まない」
P「チラリズムでも同様だ。下着の限界を超えたライン、それがスカートや服の間から見えれば鼻血が込み上げてくるだろう」
P「同じチラリズムであっても、下着を着けていた頃とは全く別のベクトルの興奮を呼び起こすもの」
P「服まで脱げればただの裸、そこに下着を着けていないというロマンは存在しない」
P「しかしこの神秘のベールの役割を持つ服を脱がしてでも、その先を見たいという暴力的なまでの欲望が沸き起こってしまう」
P「このジレンマ、このもどかしさが男心をくすぐり続けるんだ」
P「深遠な問いだな。どちらが良い、悪いといえないから答えられない問題だ」
凛「……ごめん、プロデューサー」
P「なんだ?」
凛「さっぱり意味が解らない」
P「女性には解らないと思う。持たざる者だからこそ、見える境地がるんだ」
凛「そ、そっか……」
P「……すまない、しかしこれは男には大きな問題なんだ。……だからこそ、俺は凛に聞きたい」
凛「……いいよ、言って」
P「凛はどうしたいんだ?俺は、凛に全てを任せる」
凛「……それは、私の質問から逃げるって事?」
P「違う。この選択は他人の意志が介入してしまえば意味がないんだよ」
P「他人が干渉してしまえば、それはもはやロマンじゃない。プレイになってしまう」
凛「……プロデューサー」
P「工夫もなければ飾りもない。ただありのままの姿を認め、楽しみ、追求していく。そこに俺はロマンがあると信じている」
P「俺が無理矢理に変えてしまったアイドルの姿なんて、見たくは無いんだ……」
P「凛、君が決めてくれ。今この場で決断しなくてもいい、俺には言わなくてもいい」
凛「……」
P「凛が選んだ道を、凛は進んでくれ」
凛「……」
P「……」
凛「……ありがとう、プロデューサー。私に、自分の道を決めさせてくれて」
P「俺は、プロデューサーだからな。アイドルが一番進みたい道を誰よりも応援するのが仕事だ」フッ
凛「てっきりね、下着を着けないとダメだって言われると思ってた」
P「ははは、俺はぶっちゃけどちらも楽しめる人間だからな」
凛「もう、それを言わなければ格好良かったのに」
凛「……」
凛「……プロデューサー、私ね」
P「うん」
凛「もう決めちゃった、どうするか」
P「そうか」
凛「でも、言えない。これは人に言っちゃいけないんだと思う。今なら解るよ、何で未央や卯月が着けていないって言わなかったのか」
P「……教えてくれるのか?」
凛「もちろん。それは……」
凛「きっと自分のだけの決意を、大切にしたかったんだと思う」
俺何見てるんだろう
…
……
………
凛「あ、卯月」
卯月「り、凛ちゃん。その、昨日は……」
凛「あれは私がまだまだ未熟だったから、あんな事を言ってしまったんだと思う。だから気にしないで欲しいな」
卯月「み、未熟?」
凛「ごめんね、変な事聞いちゃって。卯月を馬鹿にするような質問だったよ」
卯月「馬鹿にされた方がまだマシだったよ、本当に凛ちゃんのこと本当に心配したんだからね!」ガオー
凛「う、本当にごめんってば。ほらお詫びにこの前に卯月が言っていた、あのスイーツショップで奢るからさ」
卯月「むぅ。で、でもあんなイタズラは他の娘達にもしちゃダメだよ?」
凛「大丈夫、もう私は……ぶれないから」
卯月「(……ほ、本当に大丈夫かな?)」
凛「もう、迷わない」ニコリ
卯月「(あれ?少し風が強くなって……ッ!?)」
凛「……あ」ピラッ
卯月「」
凛「ん?どうかしたの卯月、早くしないと仕事に間に合わないよ」
卯月「いや、凛ちゃん?何でパンツはいてないの?」
凛「そんなの決まってるじゃん」
凛「プロデューサーのおかげ……かな」テレテレ
卯月「あ、すいません警察ですか。あの、またうちの馬鹿プロデューサーがですね、はい」
おしまい
徹夜帰りで寝ないで何を書いているのだろうか俺。長々とお付き合い頂き、ありがとうございました。
以前モバマスで書いたのは
渋谷凛「……二人とも、どうしたの?」です。
このSSまとめへのコメント
おいタグ…なんで感動してんだよ…www
盛大に何も始まらないと見せかけてパーフェクトコミュニケーション