モモ「先輩後輩最強はかじゅモモっす」姫子「哩姫やろ」(198)

モモ「何言ってるんすか?というか誰っすか?」

姫子「新道寺2年鶴田姫子」

モモ「その鶴田さんが突然何すか?」

姫子「聞き捨てならん言葉が聞こたけん、登場したと」

モモ「はぁ……?」

姫子「桃の果汁か何か知らんばってん、先輩後輩最強はまいひめばい」

モモ「まいひめ???……森鴎外の小説っすか?読んだことないっすけど」

姫子「新道寺のまいひめを知らんと?」

モモ「新道寺……新道寺……あっ!阿知賀と当たったとこっすか?」

モモ「いやー県内の麻雀部のこともわかんないっすから、全国のことなんてもっとわかんないっす」

姫子「ばってん、阿知賀を知っとるゆうことは、奈良なん?」

モモ「長野っす」

姫子「長野……長野……風越?龍門渕?……清澄?」

モモ「違うっす」

姫子「へ?」

モモ「鶴賀っす」

姫子「鶴賀???」

モモ「知らないのも無理ないっすね。私達は県予選で負けてしまったっすから」

姫子「え?じゃあなんでここにいると?」

モモ「清澄の応援っすよ」

モモ「あ、ちなみに私は鶴賀の1年、東横桃子って言うっす」

モモ「あと桃の果汁じゃなくてかじゅモモっす!モモかじゅでもいいっすけど」

姫子「そいが先輩後輩最強ゆうんか?」

モモ「そうっす!全国を見ても私達程の先輩後輩はいないっすね!」

姫子「何言っとーと!?」

モモ「なんすか?」

姫子「お前ん目は節穴か!先輩後輩最強なんはまいひめやろ!」

モモ「だから舞姫ってなんすか?」

姫子「森鴎外は関係なか」

モモ「まぁなんでもいいっすけどね」

姫子「余裕そうやね」

モモ「そりゃあ負けるわけないっすからね」

姫子「ほぉ……」

モモ「なんすか?」

姫子「私達が負けるわけなか」

モモ「……勝負っすね」

姫子「勝負やね」

モモ「私の先輩は凛々しくてかっこいい人っす」

モモ「部長ではないっすけど、部長に間違われることも多々あるっす」

モモ「大将で、魔物たちに一泡も二泡も吹かせた最高な人っすよ!」

姫子「……」

モモ「な、なんすか?」

姫子(ちょっとキャラが被っとんやけど……)

姫子「私ん先輩も凛々しか人で、部長でエースで責任感の強か人やし」

モモ(な、なんかちょっとキャラ被ってないっすか?)

姫子(確か東横桃子やったっけ?)

モモ「桃子と姫子……なんとなく語感が似てるっす」

姫子「……しかも先輩のタイプもなんとなくやけど同じっぽい……」

モモ(しかもこの袖の長さは……)

モモ「7巻の番外編を見るっす」

姫子「7巻?番外編?な、何言っとーと?」

モモ「カーディガンの袖っす!後輩までキャラ被りとは……」

姫子「……被っとるやろか?」

モモ「とにかく、絶対絶対負けられないっす」

モモ「とりあえずアンケートでもとってみるっすか?」

姫子「アンケート?」

モモ「そうっす」

モモ「とりあえずこの次のレスから10人くらいに聞いてみましょう」

姫子「この次のレスって何ぞ???」

モモ「まぁまぁ投票してもらうだけっすよ」

モモ「客観的意見をもらいましょう」

姫子「客観って……誰もいなかやけど」

モモ「かじゅモモかまいひめか……さて、あなたの選択はどっち?」

姫子「……わけがわからなか……」

まいひめ

一方その頃


ゆみ「まずいな……モモを見失った」

ゆみ「……私としたことが……」

ゆみ「モモー!モモー!」


哩「姫子はどこ行ったと?」

煌「あれ?さっきまでそこにいたはずなんですけど」

哩「……もうホテルに帰る時間やゆうのに」

哩「美子、先にみんなで帰ってもらえっか?」

美子「よかよ」

哩「私は姫子ば探すけん」ダッ

煌「みんなで探した方が早い気もしますが」

美子「自分で見つけたいんやろうね」

仁美「ほほーう」

姫子「で、結果はどうなん?」

モモ「……」

姫子「聞いとるん?」

モモ「……>>25までの結果で引き分けっす」

姫子「引き分け!?」

モモ「まさか……そんな……馬鹿なっす」

姫子「なんで10人にしたん?」

モモ「うぅ……こうなったら」

姫子「こうなったら?」

モモ「私達で決着をつけるしかないっすね」

モモ「じゃあ私からいくっす」

姫子「どうぞ」


モモ「あ、ご協力ありがとうございました」

姫子「(一応お礼言った方がよかよね?)ありがとうございました」

モモ「何と言っても1年A組乱入事件っすね」

姫子「な、なんか物騒やね」

モモ「物騒でもなんでもないんすけどね」

モモ「私、こう見えてちょー影が薄いっす」

姫子「影が薄い……?」

姫子(なんか存在感あっと思うけど……)ジー

モモ「そんなに見つめられると照れるっす」

モモ「ずーっと存在感がなかったから、わざわざコミュニケーションを取るのも面倒に思ってたっす」

姫子「つまり、ぼっちやね」

モモ「そうっす。だけど小さいころからそうっすから、特に辛くもなんともなかったすよ」

姫子「ばってん、今こうやって私とコミュニケーションとっとるやん」

モモ「そうっすね」

モモ「暇だったんで麻雀部とネットで麻雀を打ったんす」

モモ「チャットで何度も誘われたっすけど、面倒くさかったっすから」

モモ「あなたはわたしを見つけられない」

姫子「は?」

モモ「いつものようにチャットで誘われたっす。その時に私が書き込もうとしたことっす」

姫子「見つけられん……?」

モモ「歌ったり踊ったりしないと気付かれないレベルの存在感のなさっすから」

姫子「そげんこともあっとね……」

モモ「でも結局書き込まなかったっす」

姫子「乱入事件?」

モモ「そうっす」

モモ「面識とかなかったすけど、突然教室に入ってきた上級生がキョロキョロしてたっす」

モモ「今思いだすと可愛いっすね」

姫子「見つけてもらったと?」

モモ「いえ……最初先輩は見つけられなかったっす」

姫子「え?」

モモ「私は君が欲しい!」

姫子「え?私には心に決めた人が……」

モモ「何言ってんすか?これは先輩の言葉っす」

モモ「誰にも見つけられないはずの、存在しないはずの私を大勢の人の前で叫んで求めてくれたんす」

姫子「先輩が、私は君が欲しいって?」

モモ「ふふ、そうっす」

姫子「……まるで告白やね」

モモ「まぁその時はまだ私の片思いだっかもしれないんすけど」

姫子「片思い?」

モモ「……先輩にとっての私の価値って、団体戦に出るための人数合わせとこのステルス能力、そう思ってたっす」

姫子「……」

モモ「もし負けたら、一緒にいる意味ないんじゃないかって、そう思ってたっす」

姫子「……」

モモ「実際に聞いてみたこともあるっすよ」

姫子「そん時先輩は……?」

モモ「その時は何も答えてくれなかったっす」

モモ「で、県予選で敗退……でも先輩は言ってくれたっす」

モモ「負けたからこそ、私達の繋がりが麻雀だけじゃないって。普段から一緒にいたいと思えるって」

モモ「先輩が県予選の決勝で苦しんでる時、私が戦ってる時、先輩が一緒にいるような気がしたっす」

モモ「先輩の支えになれたような気がするっす」

モモ「先輩は3年生で私は1年生っすから、先輩と受験とかで離れてしまうかもしれないと思うとちょっと怖いっすけどね」

姫子(私はいつでんぶちょーば頼ってばかりで……)

姫子(……私ん存在はぶちょーの支えになっとるんやろか)

モモ「おお、これは、もしかして私の勝ちっすか」

姫子「負けを認めるわけないやろ!……ばってん、ちいーっとだけ、羨ましかだけたい」

姫子「……私、ぶちょーにそげん言葉貰ったことなかよ」

モモ「え?」

姫子「私と部長ん間には不思議な能力があっと」

モモ「能力っすか?」

姫子「リザベーション」

モモ「えと……予約でしたっけ?」

姫子「部長の上がりが私の上がりになると」

モモ「ふーん……?」

姫子「部長が配牌見て縛りばかけて、そればあがっと、私はそいの2倍で上がれっけん」

モモ「……そんなのもあるんすね」

姫子「そげん能力あっけん、部長ん気持ちもちっとは分かっとるつもりやばってん……」

姫子「言葉にしたことがなか」

姫子「……それに……能力がなかったら……」

モモ「なかったら?」

姫子「もしこん能力が消えよったら、消えよっても……私は一緒にいたかって思いゆう」

姫子「ばってん、部長も同じ気持ちかは……分からんし……自信なか……」

モモ「そういうのってちゃんと言わなきゃ伝わらないっすよ?」

姫子「分かっとけど……」

モモ「能力に甘えすぎなんじゃないっすか?」

モモ「先輩は、もし私のステルスが消えて存在感抜群になったとしてもきっとずっと一緒にいてくれるっす」

姫子「……」

モモ「私と先輩の間にはそんな能力必要ないっす」

モモ「だってそんなのがなくたって私達は……」

姫子「……うるさい」

モモ「!」ビクッ

姫子「そげんことくらい……私だって、わかっ……」

モモ「あ……」

姫子「もう知らん!!!」ダッ

モモ「あっ!ちょっと!」

モモ「あー……」

モモ「かじゅモモの勝ちっすね……なんて言ってらんないっすよね」ダッ

 
ゆみ「これだけ呼んでも出てこないなんて……」

哩「姫子ー!これだけ探しよるのに姫子んやつ……」ドン

ゆみ「お、悪い」

哩「こっちこそ」

ゆみ(……新道寺の白水だったか……?)

哩「あーいきなりで悪かばってん」

哩「こっちで姫子……私と同じ制服着た赤髪で下睫毛が特徴的な人見んかった?」

ゆみ「いや、見ていないが……」

哩「そうか……いきなり悪かった」

ゆみ「あ、たぶん見てないと思うが……」

ゆみ「モモ、肩くらいまでの長さで黒髪で、胸が大きめで、前髪の一部が長めで……」

哩「……」

ゆみ「自分で言っててあれだが、目立つ特徴がないな、申し訳ない」

ゆみ「口癖というか話し方には特徴があるんだが」

哩「特徴?」

ゆみ「語尾に~っすって使うんだ」

哩「……いや、ばってん、そげん人は見とらんね」

ゆみ「そうか」

哩「力になれんで悪いな、じゃあ」

ゆみ「ちょっと待ってくれないか?」

哩「?」

ゆみ「新道寺の白水だろ?」

哩「なんで私んこと」

ゆみ「全国の選手のデータはなんとなく覚えていたからな」

ゆみ「探しているのは鶴田姫子か?」

哩「そうやけど」

ゆみ「なんとなく顔が分かるな……もし見つけたら連絡しよう」ピッ

哩「そうやね」ピッ

ゆみ「携帯で連絡はとれなかったのか?」

哩「姫子んやつ携帯ば控室に忘れよったと」

ゆみ「こっちも車の中に置いてきてしまったらしい」

哩「……見ん顔やけど、出場者か?」

ゆみ「残念ながら」

哩「……名前は?」

ゆみ「長野県の鶴賀学園3年の加治木ゆみ」

哩「こっちももしそれらしき人ば見つけたら連絡すっと」

ゆみ「あぁ、こちらが探してるのは鶴賀学園1年の東横桃子だ」

哩「わかった。じゃあ私はこっちば探すけん」

ゆみ「なら私はこっちを探そう」ダッ

 
 
ゆみ(新道寺の白水と鶴田……確か中学時代に佐賀の生立ヶ里時代からコンビとして大活躍)


ゆみ(高校は白水を慕って鶴田も新道寺に入学……だったか)

ゆみ(まいひめコンビ……)

ゆみ(中学を卒業して1年離れても二人の絆は変わらなかった……ということか)

ゆみ(私とモモは……)

??「うぅ……!」ドン

ゆみ「おっと」

??「……っ!」バッ

ゆみ「おいっ!」ガシッ

??「……!!」

ゆみ「……鶴田姫子か?」

姫子「……」

ゆみ「さっき白水が探してたぞ」

姫子「……」

ゆみ「今白水を呼ぶかr」

姫子「やだ!」

ゆみ「お、おい」

姫子「今は部長と会いたくなか」

ゆみ「……はぁ、私も人を探しているんだが……放っておくわけには……」

姫子「うぅ……」

ゆみ「何かあったのか?」

姫子「……」

ゆみ「私は赤の他人だからな、言いたくないのも分かるが……」

ゆみ「全く知らないからこそ言えることもあるだろう?」

姫子(……ちょっと部長に似とる)

ゆみ「一応口は固い方だ」

姫子「……私ん存在って一体何なんでしょうか」

ゆみ「存在?」

姫子「部長んこと知っとるんでしょう?」

ゆみ「あぁ、白水哩と鶴田姫子のコンビは中学時代から有名だからな」

姫子「中学……高校……」

姫子「部長と一緒にいたかったけん、新道寺に進学したばってん……」

ゆみ「?」

姫子「部長にとって私って単なる麻雀のパートナーなんやろうか」

ゆみ「……」

姫子「部長にとって私ん価値ってあっとでしょうか……」ボソッ

ゆみ「……」

 
 
モモ『先輩は3年生っすよね』


モモ『もしあさっての県予選で負けちゃったりしたら』

モモ『私と先輩が一緒にいる意味ってなくなっちゃうんすか?』


姫子「私は部長ん役に立ちたか気持ちでここまで来たばってん……」

姫子「欲張りになっとる……」

ゆみ「欲張り?」

姫子「麻雀とか、役に立つとか、そげん関係なく……ただ一緒にいたか……」

ゆみ「……白水はお前のことを探していたよ」

姫子「……」

ゆみ「新道寺は準決勝で敗退した。白水と君の出場できる高校最後の団体戦も終わった」

ゆみ「だけど白水は君を探していたよ」

姫子「……」

ゆみ「……高校を卒業しても白水を追うか?」

姫子「……わからなかとです」

姫子「私は、一緒にいたかばってん、一緒におっと苦しくなっと」

姫子「麻雀がなかやったら、もう一緒にいる価値もなかかもしれん」

姫子「そげんことば思うと、中学ん時みたく単純に追えんかもしれません」

ゆみ「白水が麻雀とか能力とか関係なしに一緒にいたいって言ったら?」

姫子「そん時は、何の迷いなく……」

ゆみ「そうか……」

ゆみ「……一緒にいる価値か……」

姫子「?」

ゆみ「いや、以前私も言われたことがあってな」

姫子(……さっきもどこかで聞いた気が……)

ゆみ「少しは落ち着いたか?」

姫子(さっき話しとった桃の果汁がどうとかの先輩??)

姫子「は、はい。さっきはすいません」

ゆみ「いや……白水に連絡しよう」

姫子「は、……あ、あれ?携帯が……」

ゆみ「控室に忘れていたらしいぞ」

姫子「……私としたことが」

ゆみ「……」カチカチ

姫子「ちょっと待ってもらってもよかですか?」

ゆみ「ん?」

姫子「そん前に、ちょっと話がしたかです……その……」

ゆみ「加治木ゆみだ」

姫子「加治木先輩と」

ゆみ「ん?なんだ?」

姫子「さっき、一緒にいる価値んこと聞かれたことがある言っとりましたけど」

ゆみ「あぁ」

姫子「そん話が聞きたかです」

ゆみ「……ふぅ」

姫子「話したくなかですか?」

ゆみ「いや、君を見ているとついモモ、それを聞いてきた後輩を思いだしてな」

姫子「私……」

ゆみ「白水と鶴田のコンビのことを雑誌で見つけた時に、羨ましいと思ったんだ」

姫子「え?」

ゆみ「そんなに気にしなくてもいい」

姫子「は、はぁ……」

ゆみ「……後輩、モモにそれを聞かれたのは、帰り道だったな」

ゆみ「突然モモが先輩は3年生っすよね、なんて今更なことを言い出したんだ」

ゆみ「……だが、あの時私は答えられなかった」

姫子「なんでですか?」

ゆみ「……臆病、いや、卑怯者なんだろうな」

姫子「卑怯?」

ゆみ「そう……モモの言葉は、まるで私がモモをそういう存在としか見ていないみたいだと思わないか?」

姫子「加治木先輩がそん後輩んことの価値を麻雀しか見とらんゆうことですか?」

ゆみ「そんなわけないのにな」

ゆみ「モモはそう感じているのだとしたら、寂しいと思ってな……」

ゆみ「私からモモが必要だと言えばいいのに、言えなかった」

姫子「……」

ゆみ「だが……県予選決勝が終わって、弱気になっている私にモモはこう

ゆみ「……後輩、モモにそれを聞かれたのは、帰り道だったな」

ゆみ「突然モモが先輩は3年生っすよね、なんて今更なことを言い出したんだ」

ゆみ「……だが、あの時私は答えられなかった」

姫子「なんでですか?」

ゆみ「……臆病、いや、卑怯者なんだろうな」

姫子「卑怯?」

ゆみ「そう……モモの言葉は、まるで私がモモをそういう存在としか見ていないみたいだと思わないか?」

姫子「加治木先輩がそん後輩んことの価値を麻雀しか見とらんゆうことですか?」

ゆみ「そんなわけないのにな」

ゆみ「モモはそう感じているのだとしたら、寂しいと思ってな……」

ゆみ「私からモモが必要だと言えばいいのに、言えなかった」

姫子「……」

ゆみ「だが……県予選決勝が終わって、弱気になっている私にモモはこう言ったんだ」

   
 
ゆみ『なんというか…どこかに消え入りたい気分だよ…』


モモ『いいっすよ』

モモ『消えてもいいっすよ』

ゆみ『モモ…』

モモ『今度は私が大きな声で先輩を捜しまわって見せますから!』

モモ『大声で世界中を練り歩くすよー』


姫子「……!」

ゆみ「モモからそう言ってくれたんだ」

ゆみ「モモが私のことを必要だと思ってくれていると、心から思えた」

ゆみ「それまでお互いに一方通行だった気持が繋がった……そんな気がしたよ」

姫子「加治木先輩は、答えたんですか?」

ゆみ「あの時は答えられなかった……だが、もう答える必要もないだろう」

ゆみ「そうなったらなんとかしてその口を閉じさせないといけないな」

姫子「へ?」

ゆみ「大声で世界中を練り歩くと言ったモモへの私の答えだ」

姫子「そいって……そういう意味ですよね……?」

ゆみ「……で、鶴田はこんな話を聞いてどうしたっていうんだ?」

姫子「……私とぶちょーは加治木先輩が羨ましがるような関係やなかですよ」

ゆみ「?」

姫子「5年も一緒にいたのに、そげん言葉にせんできよった」

姫子「私今までこん能力に甘えてて……聞くのが怖くて……」

姫子「ばってん……言わんとわからんこともあっとですよね」

ゆみ「……そうだな」

姫子「私がステルスじゃなくて存在感抜群になったとしても、きっと一緒にいてくれるっす」

ゆみ「!?」

姫子「さっきそう言われたとです」

ゆみ「……」

姫子「私はそげん言い切れっほどの自信はなかですけど……」

ゆみ「……も、モモ」

姫子「そうです。東横桃子の言葉です」

ゆみ「モモを知っているのか?」

姫子「さっきまで一緒にいました」

姫子「ばってん、その場から私が逃げたけん、今は分からなかですけど」

ゆみ「……そうか」

姫子「能力に甘えてるっす……って言われたとです」

姫子「言葉にしないと伝わらなかこともあっと思う言われて……私、逃げたと」

ゆみ「……自覚はあったのか」

姫子「言わなきゃって思っとるばってん、もし駄目やったらと思うと言えんかったとです」

姫子「ばってん、加治木先輩の話ば聞いて、私からちゃんと言わんと駄目やと思えたとです」

姫子「ありがとうございます」

ゆみ「大したことはしていないし、それに……」

姫子「それに?」

ゆみ「そんな立派なものじゃない」

姫子「そげんことなかですよ」

ゆみ「……モモと出会って、モモの存在が自分の中で大きくなると」

ゆみ「わがままになった」

姫子「わがままですか?」

ゆみ「モモと離れるのが耐え難い苦痛に思うまでになったんだ」

姫子「離れなければよかと思いますけど」

ゆみ「その一方で……せっかく世界が広がったモモを私の中に閉じ込めているように思うんだ」

姫子「……」

ゆみ「モモの為に……私は一緒にいるべきではないのかもしれない」

姫子「……」

ゆみ「あぁ、変な話をして悪かったな」

ゆみ「さぁ白水を探そう」

姫子「……一緒に探してくれっとですか?」

ゆみ「連絡手段を持っていないのだろう?もし見つからなかった時の為に」

姫子「……そうですね」

姫子(……自分の世界に閉じ込めてるのが、苦しい……か)

姫子(考えたこともなかやったばってん、もしかすっと部長も同じようなこと考えとんのかも)

 
 

哩「姫子ー」

哩「本当にどこに行ったと?」

??「……」ドン ポヨン

哩「おっと」

哩「……ん?誰もおらん……」

モモ「あっ」ヌッ

哩「うおっ!?」

モモ「すいませんっす!急いでたらぶつかってしまったっす」

哩「い、いや……大丈夫やけど」

モモ「そうっすか」

哩(肩くらいまでの長さで黒髪で、胸が大きめで、前髪の一部が長めで……)

モモ「な、なんすか?」

哩(そして語尾が~っす)

哩「東横、桃子?」

モモ「え?なんで私の名前知ってるっすか??」

哩「おぉ……さっき加治木ゆみと会ってな」

モモ「先輩と?」

哩「探しとったぞ」

モモ「本当っすか?」

哩「あぁ、今連絡とっけん」

モモ「あ、ちょっと待つっす」

哩「ん?」

モモ「実は今人を探してるっす」

哩「加治木やなくて?」

モモ「はい。一応先輩は先輩なんすけど」

哩「一緒に探しちゃる」

モモ「いいんすか?」

哩「これではぐれよったら、また探さなならんし」

モモ「ありがとうございます」

哩「そいで……誰を探しとるん?」

モモ(この人ってなんとなく加治木先輩に似てるような……)

哩「おい?」

モモ「あっと……名前名前……」

モモ(ヤバい!忘れちゃった……)

哩「特徴とかなかの?」

モモ「あ!えっと、あなたみたいな言葉遣いで」

哩「!」

モモ「下睫毛が特徴的で……森鴎外がどうとか……」

哩「……森鴎外?」

哩(森鴎外はよう分からんばってん、そいは姫子に間違いなかやろ)

モモ「なんすか?」

哩「いや、私が探しとる子と同じかもしれん」

モモ「え……?」

モモ(じゃあこの人がぶちょー?)

哩「私は白水哩」

モモ「あ、東横桃子っす」

哩「ところでなんでお前が姫子ば探しよると?」

モモ「あ、そうっすそうっす!姫子さんっす」

モモ「いや、突然現れて……」

哩(いきなり控室飛び出しよったと思ったら……)

モモ「ちょっと言い争いみたいになってしまって」

哩「言い争いやと」ギロッ

モモ「いやー私と加治木先輩の仲とその姫子先輩とその先輩の仲のどっちが上かで……」

モモ「そ、そんなに睨まないでほしいっすけど……」

哩「どげん言い争いしたと?」

モモ「アンケートとったりしたっすけどそれだけじゃ決めきれなくて」

モモ「お互いの仲の良さを示すエピソード合戦を……」

哩「エピソード?」

モモ「姫子先輩は能力のことを言ってたっす」

哩「リザベーション……」

モモ「そうっす!それっす!」

哩「そうか……」

モモ「それで先輩にとっての自分の価値の話になったっす」

哩「自分の価値?」

モモ「私もそのリザベーションみたいな二人の能力みたいのはないんすけど」

モモ「ちょっと変わった能力というか体質があって、加治木先輩と県予選を戦ったっす」

モモ「その時は、先輩にとっての価値ってこの能力とか人数合わせだと思ってたっす」

モモ「だけど、先輩の役に立ちたかったし、勝ち続ける限り先輩と一緒にいられるっすから」

モモ「だから頑張ったっす……でも結局負けちゃって……」

モモ「だけど加治木先輩は言ってくれたっす」

モモ「繋がりは麻雀だけじゃないと、麻雀だけじゃなく普段から一緒にいたい、と」

哩「……」

モモ「そういう話をした時に……泣き出しちゃったっす」

哩「姫子が泣いた?」

モモ「私が意地悪なこと言ってしまったから……」

哩「意地悪やと?」

モモ(うぅ……ちょっと怖いっすよ)

モモ「……能力に甘えすぎじゃないっすか……って」

哩「!」ピクッ

モモ(う、うぅ……助けて加治木先輩ぃ……)

哩「……そいはつまり……」

モモ「?」

哩「私が姫子んこと麻雀だけの関係やって、姫子が思うとるゆうことか」

モモ「へ?」

哩「……」

モモ「あ、あの……」

哩「ばってん……そげん風に思わしとった方がよかかもしれん」

モモ「え?なんでっすか?」

哩「私達の能力……」

モモ「リザベーションでしたっけ?」

哩「そう、そん能力は結果的に姫子ば縛っとる」

モモ「縛る?」

哩「姫子の可能性を私ん中に閉じ込めとる」

哩「やけん……いっそのこと離れてしまった方が……」

モモ「それ姫子先輩に言ったんすか?」

哩「……」

モモ「なんで姫子先輩も、あなたもそういう気持ちを言葉にしないんすか?」

哩「私は……」

モモ「私も最初は姫子先輩と同じような考え方してたっす」

モモ「先輩にとっての私の価値は麻雀だけだって」

モモ「先輩に私と一緒にいる価値について聞いたこともあったっす」

モモ「答えはなかったっすけど……」

モモ「大好きな人の役に立てるならそれでいいそう思ってたっすけど」

哩「けど?」

モモ「本当は先輩に必要って言って欲しかったんすよ」

モモ「先輩からそうじゃないって言って欲しいなんてずるいこと思ってたんすよ」

モモ「県予選の大将戦……なんとなくっすけど、部長と一緒に戦っている、そんな気がしたっす」

哩「わからなくもなかね」

モモ「それがきっかけだったのかはわからないんすけど」

モモ「受身な自分でいるのはやめたっす」

モモ「そしたら先輩が言ってくれたっす」

モモ「先輩は自分が卑怯だって言ってたっすけど、私も卑怯だったんすよ」

哩「卑怯か……」

モモ「先輩から言ってくれても、私から言ってもどっちでもよかったのかもしれないっすけど」

モモ「私は自分から言えてよかったと思うっす」

哩「……」

モモ「なんとなくあなたと姫子先輩の今が私達のあのころに似ていると思うっす」

哩「ばってん……言ったら、姫子をより閉じ込めっことになっかもしれん」

モモ「……やっぱりあなたは先輩にちょっと似てるっすね」

哩「?」

モモ「加治木先輩も同じようなことで悩んでいるような気がするんすよ」

モモ「あ、ちなみに私だって不安がないわけじゃないっすからね」

哩「不安?」

モモ「一緒にいるのが幸せすぎて、怖いっす」

モモ「私は1年生で先輩は3年生っすから……」

モモ「受験もあるし、一緒にいる時間も減ってしまうし」

モモ「卒業したら、離れてしまうし……そういうのが全部不安っす」

哩「そげん不安は確かにあったと」

モモ「お二人もでしたか?」

哩「私達の場合は中学を卒業した時やけど」

モモ「……沢山不安はあるっす」

モモ「一緒にいない時間が増えたら、心も離れちゃうんじゃないかって……」

モモ「だけど、私は諦めたくないっす!一度コミュニケーションを手放した私っすけど……」

モモ「その楽しさも辛さも教えてくれたのは先輩っすから、諦めないっす」

モモ「だけど、加治木先輩の悩みにはどうすればいいかはわからないっす」

哩「加治木の悩み?」

モモ「たぶんあなたと同じっすよ」

モモ「私の為に離れた方がいいなんて、優しくて真面目な先輩は悩んでるっす」

モモ「言われたことはないっすけど、なんとなくわかるっす」

モモ「私は諦めようなんて思ってないのに、先輩は諦めろって思ってるっすから……」

哩「……もし私と加治木が似とるっちゅうなら、たぶんそうは思っとらん」

モモ「え?」

哩「姫子ん為に離れた方がゆう気持ちは、自分に自信がなかからよ」

モモ「自信っすか?」

哩「うまく言えんばってん……私と一緒にいることよりもっとよかことあっやろちゅうか」

哩「私が一緒にいる未来と、おらん未来ば天秤にかけよった時……」

哩「そいを超える自信がなかのよ」

モモ「そんなの……」

哩「能力んことも、そんことも……」

モモ「もし加治木先輩がそう思っているんだとしたら、ばかですよ」

哩「馬鹿やと?」

モモ「なんで先輩ばかりが負担背負おうとするんすか」

モモ「私も一緒に背負いたいっすよ……」

哩「……」

モモ「私、頼りないんすかね……?」

哩「……そげんことなかよ」

モモ「そうっすか……だけど頼りにされないのは、ちょっと寂しいっすよ」

哩「……やっぱり臆病なんかもしれんね」

モモ「臆病っすか?」

哩「先輩やけん弱かとこ見せたら失望されっ気がすっとよ」

モモ「私は加治木先輩の弱いとこも含めて好きなんすけどね」

哩「本当にお前は先輩んことが好きやんね」

モモ「大好きっす」

哩「もし加治木から離れるって言われたらどうすっと?」

モモ「理由を聞きます」

哩「理由を聞いてどうすっと?」

モモ「一緒にいても解決できる方法を考えるっす」

哩「なかやったら?」

モモ「そんなの聞いてみないとわからないっすけど」

モモ「だけど、私達の繋がりは麻雀だけじゃないっすから」

モモ「だから、お互い通じ合ったままならきっと離れたって大丈夫っす」

モモ「先輩は私のことを想ってくれて言ってくれるんだったら、私は嬉しいです」

哩「そげん強か気持ちがあっなら、大丈夫やね」

モモ「はいっす!」

モモ「この気持ちは全部先輩がくれたっす」

モモ「コミュニケーションも先輩のことももう諦めないっす」

 
モモ「……何も言わないのはずるいっすよ」

哩「あぁ、そうかもしれん」

モモ「姫子先輩を探しましょう」

哩「あ、あぁ」

モモ「縛るとか縛らないとかリザベーションが何かっていうのは私にはわからないっすけど」

モモ「お二人の場合には能力がなくても心が繋がっていることをお互いに自信を持つことっすかね」


 

姫子「……」

ゆみ「……」

姫子「……」チラッ

ゆみ「私の顔に何かついてるか?」

姫子「い、いえ……そげんことなかですけど」

ゆみ「さっきの話を気にしているのか」

姫子「部長も3年生やけん……卒業があっとです」

ゆみ「あぁ」

姫子「部長に私の気持ちば言って、もし部長も同じ気持ちやったら……たぶんまた部長と一緒にいる道ば選びます」

ゆみ「そうか」

姫子「部長が私んことば想ってくれよるんなら……」

ゆみ「……」

姫子「加治木先輩が言いよったことゆうんは、先輩側だけやなかと思うとです」

ゆみ「?」

姫子「私の存在が逆に部長ば縛りよるっちゅうことです」

ゆみ「……?」

姫子「能力でん言えば、先輩は不自由を強いられとっとです」

姫子「私ん為に」

姫子「加治木先輩が東横と離れよることが耐え難か苦痛になっとるゆうんは」

姫子「ある意味、東横桃子ゆう存在が加治木先輩んことば縛りよっことと同じ気がすっとです」

姫子「上手く説明できんのですけど」

ゆみ「……なんとなくわかる気はするよ」

ゆみ「本当は、一緒にいたいんだ」

姫子「……」

ゆみ「私が臆病なんだろうな」

 
??「あーっ!!!!!」

姫子「!」

ゆみ「この声は……」

??「なにイチャイチャしてるっすか!?」ギュッ

ゆみ「も、モモ!こ、ここではやめろー」

姫子「ここでなければよかですか?」

モモ「加治木先輩~」スリスリ

ゆみ「……」

哩「はぁはぁ……いきなり走りよるけん、見失……」

姫子「ぶちょー……」

哩「姫子……」

ゆみ「一緒だったのか」

モモ「偶然会ったっす」

哩「いきなりいなくなっけん心配したぞ」

姫子「申し訳なかです」

哩「見つかってよかった」

姫子「ぶちょー」

姫子「あの……ぶちょー、私……」

姫子「私……部長のことが好きです」

姫子「麻雀とかリザベーションとか……なくても……一緒にいたか思ってます」

哩「決まっとるやろ?私も姫子んこと、好いとうよ」

姫子「ぶちょー」

モモ「やったっすね」

ゆみ「……なぁモモ」

モモ「なんすか?」

ゆみ「……っ」

モモ「将来のことなんてわかんないっすけど」

ゆみ「モモ?」

モモ「先輩は真面目な人っすから私のこととか将来のこととか気に病んでると思うっすけど」

モモ「元部長さんも言ってたっす」

モモ「もっと前向き真ん前向きで行きましょ、先輩」

ゆみ「……モモには敵わないな」

モモ「ふふ」

哩「私は縛るん止めよう思っとるんやけど」

姫子「……そいは私ん為ですか?」

哩「そう」

姫子「大丈夫ですよ」

姫子「もしこん能力がなくなったとしても、私達は繋がっとりますから」

哩「……そうやね」

ゆみ「……2年、離れるのは私も辛い」

モモ「先輩……?」

ゆみ「だが、それを理由にはしたくない」

ゆみ「おまえが1番だよ、モモ」

ゆみ「だから、2年離れることになっても、この先もずっと一緒にいよう」

モモ「先輩……大好きっすー!!」ギュッ

姫子「東横」

モモ「なんすか」

姫子「どっちが最強かゆう話やけど」

モモ「その話っすか」

姫子「そ、あれやけど……引き分けでよか」

モモ「私もそう思うっす」

哩「まぁそれでよかやろ」

ゆみ「おい、なんの話だ?」

モモ「どっちもラブラブっていうことっすよ」

姫子「ね、ぶちょー?」

哩「あ、あぁ///」

ゆみ「そ、そうだな///」


おわり

方言わからん
グダグダ長くてごめんね
支援さんくす

そして……


姫子「ところで東横の胸って初登場時より大きくなってなか?」

モモ「そうっすか」

姫子「ネットで画像ば検索したんやけど、明らかに」

哩「本当やね」

モモ「うふふ」

姫子「なんでそげん大きくなったと?」

哩「私も聞きたかね」ズイッ

モモ「それはっすね……」ニヤニヤ

ゆみ「モモっ!」アセッ

姫子「……まさか……」

モモ「ふふ、先輩が恥ずかしがっちゃうっすから、それはご想像にお任せするっす」

姫子「す、進んどるんやね」

ゆみ「……///」

哩「え?お、おい?なんで姫子も加治木も顔を赤くしとると?」

哩「姫子は分かっか?」

姫子「……言えなかです」

哩「加治木?」

ゆみ「……///」プイッ

哩「私だけ仲間外れとは……」

モモ「仕方ないっすね。耳貸してくださいっす」

哩「ん?」

モモ「……」コショコショ

哩「……んなぁ!?」

哩「な、なんて破廉恥な!!」

モモ「破廉恥なんてとんでもない!愛する者同士当然のことっす」ドヤッ

哩「……」チラッ

姫子「……私は、よかですけど……」

哩「なっ!!」

ゆみ「……お互い苦労するな」

哩「は、はは……」

モモ「姫子先輩大胆っすね~」

ゆみ「……いつの間にかずいぶん仲良くなったんだな」

モモ「へ?」

ゆみ「私のことは名字で呼ぶのにな」

モモ「あー……嫉妬っすか?」

ゆみ「……」

モモ「特に意味があるわけじゃないっすよ」

モモ「ただ名字を忘れてただけで……」

ゆみ「……」

モモ「ふふ……ゆみ先輩が1番っすよ」

ゆみ「……///」

哩「……」

姫子「……」チラッ

哩「……なぁ姫子」

姫子「なんですか、哩先輩」ニコッ

哩「……」カァー

姫子「あ、あの東横」

モモ「モモでいいっすよ」

姫子「その……初めてん時の話ば教えてほしいんやけど」

モモ「それは内緒っす」

姫子「なんで?」

モモ「これは私とゆみ先輩の二人だけの秘密っすから」

姫子「……うーむ」

モモ「あ、でももっと色々話してみたいこともあるっすから連絡先でも交換しましょう」ガサゴソ

姫子「そやね」ゴソ

モモ「あれ?」

姫子「え?」

ゆみ「携帯なら蒲原の車に忘れていったみたいだぞ」

哩「姫子は控室に忘れとったぞ、ほれ」

姫子「申し訳なかです」

モモ「仕方ないっすから手打ちするっす」

姫子「ありがと」

哩「なぁ」

ゆみ「ふむ」

哩「私もまた連絡していいか、姫子のこととかで」

ゆみ「私もそう言おうと思っていたところだ」

哩「ふー、お互い、可愛か後輩持って幸せやね」

ゆみ「……そうだな」

突然ですが、かじゅモモと哩姫の次の話題>>133

タチネコ談義

姫子「初めてん時の話がだめやったら、最近の話ば聞きたか」

モモ「最近っすか?」

姫子「やっぱ先輩が攻めなん?」

モモ「どうだと思います?」

姫子「なんとなくやけど、先輩が攻め?」

モモ「最初の方は……っす」

姫子「ちゅうことは……」

モモ「最近は私もやるっすよ!!」

哩「おい、加治木」

ゆみ「……何も言うな」

ゆみ「ああなったモモを止めるには実力行使しかないのだが……」

ゆみ「こんな公衆の面前で……」

哩(今更気にすっことやろか……)

モモ「姫子先輩はやっぱりぶちょーに攻めてもらいたいっすか?」

姫子「ま、まぁ……」

モモ「わかるっす!わかるっすよ!その気持ち」

姫子「そうやろ!ぶちょーに、優しくしてください、とか言いたかやし」

ゆみ「と、言っているが……」

哩「こっち見んな」

モモ「私も言いましたよ!」

姫子「そしたら先輩何て言いよった??」

モモ「努力はする……」

姫子「そして?」

モモ「言わせる気っすか?」

哩「何ば言いよったん?」

ゆみ「黙秘権を行使させてもらってもいいか」

姫子「聞きたか!」

モモ「それは姫子先輩が実際に体験してからっていうことで」

姫子「ずるかね」

モモ「ずるくないっす」

姫子「ばってん、なんで東横もせめるようになったと?」

モモ「私にだけ見せる姿があるっていいと思いません?」

姫子「そいはよかって思うけど……」

モモ「めちゃくちゃ可愛いんすよ!!!」

モモ「あの普段クールで凛々しく、他校から見てもかっこいい先輩がっすよ」

モモ「もうすっごく可愛くて、この姿が自分だけのものだって思うと……」

モモ「たまらないっす!!」

哩「意外やね」

ゆみ「実際年下敬語攻めは結構すごいぞ」

哩「ほぉ~」

姫子(ぶちょーが…………)

姫子「……そいはよかかも」

ゆみ「自分が実際やられてみないと分からないかもしれないがな」

哩「……そげんことはならんと思うばってん」

モモ「普段強気な先輩が、自分の前だと弱気になるとかどうっすか?」ニヤニヤ

姫子「……」チラッ

哩「……」ゾワッ

モモ「これからのお楽しみっすね」

姫子「ふへへ」

ゆみ「楽しみだな」

哩「……」


という感じで次の話題>>149

最近したケンカの内容

哩(こんエロ話の流れはよくなか……)

姫子「……えへへ」

哩「えーと……そや!」

モモ「なんすか?」

哩「二人はわざわざ長野から東京までインハイ見に来よったんやろ?」

哩「なんでなん?」

ゆみ「それは清澄の応援に」

哩「他校やのにわざわざ来ってことは、随分仲がよかやね」

モモ「……」

哩「?」

ゆみ「あ、あぁ、清澄とは仲良くなったからな」

姫子「東横?どげんしたん?」

モモ「先輩は清澄の部長さんとは随分仲がいいみたいっすよ」プンスカ

ゆみ「だから何かあったわけじゃないと言っているだろう」

モモ「ふんっ、どうだかわかんないっすね」

姫子「東横って束縛するタイプなんか」

モモ「そういうわけじゃないっすけど……本当に怪しいんすよ!!」

姫子「と言うと?」

モモ「合宿で昨晩仲良くなったとか言うし」

姫子「昨晩!?仲良く!?」

ゆみ「だから変な意味ではないと」

モモ「先輩とのお泊り楽しみにしていたのに」

哩「お泊り先で浮気は駄目やろ」

ゆみ「変な言い方をするな。それにお泊りではなく合宿だろ」

モモ「それでも先輩との初めてのお泊りだったっすのに」

姫子「そいは加治木先輩が悪かですよ」

モモ「今日だって」

哩「今日?」

モモ「そうっす!試合後の清澄の部屋にお邪魔したっすけど」

姫子「まさかそん時……」

モモ「そのまさかっす!」

モモ「頻繁に連絡とってるのか分からないっすけど」

モモ「二人にしか分からない言葉とか言ったり」

哩「そいは浮気の可能性が高かね」

ゆみ「本気にするな、モモ。久がからかっているだけだ」

モモ「それもっす!」

ゆみ「!?」

モモ「先輩は元部長さんのことは名字呼びなのに、清澄の部長のことは名前で呼ぶし」

姫子「そいは完っっ璧アウトやね」

モモ「そうっすよね!?だからステルスになって抜け出して来たんす」

姫子「そいであげん所におったんやね」

姫子「ばってん、怒っとる割には叫んどった言葉は違かと思うけど」

モモ「自暴自棄っす!自分に言い聞かせてたっす」

姫子「あぁ」

モモ「思いだしたら怒りが込み上げてきたッす!!」

ゆみ「だから変な意味はないと言っているだろ」

モモ「ふーんっす」プイッ

ゆみ「モモが1番だと言っているだろ」

モモ「そんなの清澄の部長さんにも言ってるんじゃないっすか?」

ゆみ「そんなことは断じてない」

哩(なんやこいは……ただの痴話喧嘩に思えっけど)

モモ「あーあ、姫子先輩たちは仲が良さそうで羨ましいっす」

姫子「もちろん仲は良かよ、ね、ぶちょー」

哩「あぁ」

姫子「ばってん……」

哩「!?」

モモ「え!?姫子先輩も何かあるっすか?」

哩(何やろ……?)

姫子「団体戦のレギュラーが発表されよった頃やったんやけど」

姫子「ぶちょーん縛りが急にきつくなったと」

モモ「縛り……あぁりざなんとか!」

哩(そん話は……まさか……)

姫子「縛りばきちゅうかすっ時は、私も結構きつか思いすっと」

モモ「ほうほう」

姫子「いつもやったら、きつうかちゅう時、先に言ってくれよんのに」

姫子「何も言わんできつくされよったっと」

哩「そいは、確かに私が悪かやばってん」

ゆみ「まぁ先に鶴田の話を聞こうじゃないか」

哩(こいつ……話変えっチャンスやと思っとるな)

モモ「それでそれで??」

姫子「そん日の部活ん後、ぶちょーに聞いたばってん」

姫子「自分ん胸に聞け、ゆわれた」

ゆみ「ほぉー」

哩(恥ずかしか……)

姫子「ばってん、何ことかわからなかで、同級生に相談したと」

姫子「そしたら、次ん日、もっときつくなったと」

哩「そ、そいは、花田がお前んこと名前で呼びよっけん、それで……」

モモ「嫉妬っすか」

哩「まぁ……」

姫子「今は嫉妬やって分かっとるけん、逆に嬉しかやけど」

姫子「あん時は本当、嫌われたんやなかって……」

哩「私が姫子ば嫌うわけなかやろ」

姫子「ぶちょー……」

哩「まぁそげんことがあっけん、東横が名前呼びとか気にすっ気持ちも分かっと」

モモ「っすよね」

ゆみ「いや、でも名前呼びしたくらいでそういうことはないだろう、鶴田?」

姫子「まぁそうやばってん……」

姫子「加治木先輩はちょっと格好良すぎですよ」

哩「な、なんやと……」

モモ「姫子先輩何言ってるんすか!?」

姫子「変な意味やなかよ」

モモ「当然っす」

姫子「ばってん、さっき加治木先輩に話聞いて貰った時……」

姫子「本当優しか人やなって思って……」

姫子「こげん人はモテよう思ってモテるんやなくて……」

姫子「自然とモテよるタイプなんやろなって……」

哩「加治木ィ!お前、姫子に何をしよった!?」

ゆみ「誤解だ!私はただ話を聞いただけで……」

モモ「……そうなんすよ」

ゆみ「モモ?」

モモ「私だって分かってはいるっす」

モモ「加治木先輩はそういうつもりはないんすよ」

モモ「本当に優しくて誠実で……だからモテちゃうのはしょうがないっす」

モモ「だけどどうしても嫉妬しちゃうっす」

ゆみ「モモ……」

モモ「はぁ……」

ゆみ「そんな顔をモモにさせるのは私のせいだな」

モモ「いえ、私の心が狭いだけっす」

ゆみ「お前が1番だよ……モモ」ギュッ

モモ「先輩……」

モモ「私分かってるっす」

モモ「もし先輩が私のことを好きじゃなくなったら、先輩はそう言ってくれるって」

モモ「誠実な人っすから」

ゆみ「そんなことを言う未来はない」

モモ「先輩」ギュッ

哩「二人だけの空間やね」

姫子「ばってん、東横ん奴幸せそうです」

哩「そうやね」

姫子「ぶちょー」

哩「ん?」

姫子「ぶちょーさっきも嫉妬しとりましたね」

哩「何のことやろか?」

姫子「私嬉しかですよ」

哩「?」

姫子「ぶちょーにこげん想われとるって思えっけん」ニコリ

哩「姫子……」ギュッ



雨降って地固まるかじゅモモまいひめ

モモ「……ゆみ先輩」

ゆみ「モモ……」チュッ

姫子(ふおおおぉぉぉ)

哩(なんやあいつら公共の場で)

モモ「……大好きっす」

ゆみ「私もだよ」

姫子「……」ドキドキ

モモ「……二人もしてもいいんすよ」

姫子「したことなかやし」ボソッ

モモ「えええええ!?キスもまだなんっすかぁぁあ!?」

哩「ぶっ!!」ビクッ

姫子「声が大きか!!!」

モモ「5年も一緒にいて?」

姫子「さっき話したやろ?付き合ってたわけやないって」

モモ「そうっすけど、したいっすよね?」

姫子「そ、そりゃあしたかけど」

ゆみ(やな予感……)

モモ「キスはこうやってするんすよ」チュッ

ゆみ「ん……お、おい!モモここでは」

哩姫「!!!!」

モモ「さっきは先輩からしたじゃないっすか」

ゆみ「そうだが……」

ゆみ(だけどこれじゃさっきまでのムードがぶち壊しじゃないか)

ゆみ(まぁモモらしいと言えばらしいが)フッ

モモ「ふふふん♪」

ゆみ「まったく……」

姫子「……」チラリ

哩「……」チラリ

姫子「……せんぱ……」

哩「ここではだめや」グッ

姫子「……」ムゥ

哩「……やっぱ初めてはもっとロマンチックがよかやろ」

モモ「うぶっすね」

ゆみ「うぶだな」

姫子「うぶな先輩、可愛かですよ」

哩「そげん目でこっち見んな」

 
prr……

ゆみ「蒲原か……アドバイス?いや大丈夫だ」

モモ「元部長さんっすか」

姫子「え、加治木先輩が部長やなかとですか?」

モモ「最初に言ったじゃないですか」」

哩(部長やなかったんか)

ゆみ「悪い、人を待たせているんだ」

モモ「私のせいで申し訳ないっす」

哩「いや、こっちもみんなに心配かけとっし」チラッ

姫子「申し訳なかです」

ゆみ「また会えたら会おう」

モモ「次会う時までにキスくらいはしといてくださいね」

モモ「進捗度から言えば私達の方が上っすし」

姫子「どっちもラブラブゆうことで決着着いたやろ」

モモ「ふふふーん♪行きましょう先輩」ダキッ

ゆみ「あ、あぁ……じゃあまた」

哩「あぁ」

姫子「……」ジー

哩「……手ば繋いで行こか?」サッ

姫子「はいっ!」ギュッ


おしまい

かじゅももとまいひめの絡みがもっと見たいだけでした
もう眠さが限界
深夜にも関わらず付き合ってくれてどうもでした

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