一夏「箒と同室になって一ヶ月とちょっと」(126)

一夏「・・・」ブォォォ

一夏「ふぁぁ・・・」カチッ

箒「ちゃんと乾かしたか?」

一夏「やったよ」

箒「みせてみろ」グシグシ

箒「根本がまだ濡れてるぞ。まったく」ブォォォ

一夏「いいよ眠いから」

箒「30歳でハゲたいのかそうか」

一夏「!!」

箒「ならわたしは知らん」

一夏「はっ、ハゲたくない!」

箒「じゃあ大人しくしていろ」ブォォォ


一夏は箒に世話を焼かれまくっていた

 
「おはよー」

一夏「おはよう」

一夏「今日はなに食うかな」

箒「わたしは和定食にしよう」

一夏「箒それすきだな」

箒「日本人だからな」

一夏「じゃあ俺はカキフライ定食にしよう」



一夏「やっぱりカキはカキフライが一番美味い。箒も一個食うか?」

箒「頂こう」

一夏「ほれ」スッ

箒「あむっ・・・うん、美味しい」

一夏「なー美味いよなー」

近くのテーブル

のほほん「うわぁーいまの見た?いいなぁー」

簪「・・・」モグモグ



セシリア「・・・」モグモグ


教室

一夏「あれ?ない」ゴソゴソ

箒「昨日ロッカーにしまっていただろ」

一夏「あぁそっか」

箒「まったく、早くしないと千冬さんが来てしまうぞ」



鈴(IS学園!一夏がいるIS学園!)

鈴(ずっと会えなかったけど・・・今日からは毎日会える!)

鈴(クラス違うのが残念だけど、部屋さえ同じになれば・・・くふふふ)

鈴(ここね!)

鈴「いちかぁーーっ!」ガチャッ

一夏「ん?」
箒「あっ、急に動くな。危ないだろう」

鈴「えっ」

鈴(・・・え?な、なんで一夏が見知らぬ女にひざ枕されてんの・・・?)

一夏「あれ?鈴じゃないか!久しぶりだなー!その制服もしかして鈴もこの学園きたのか?」

鈴「・・・なにしてんの?」

一夏「ん?」

鈴「なにしてんのって聞いてんの!!」

一夏「なにって、耳掃除だけど」

鈴「なんで耳掃除なんかし、されてんの!?誰よそいつ!!」

箒「ノックもせず勝手に入ってきて人を怒鳴りつけるお前こそ誰だ。あとそろそろ起きろ一夏」ポンッ

一夏「おぉ」ムクッ

鈴「くっ・・・で?」

一夏「あぁ、そういや会ったことないんだっけ。しののの箒、鈴が転校してくるちょっと前に転校してった幼なじみだ」

鈴「ふーん、前に言ってた”昔”の幼なじみってやつね」

箒「むっ」ピクッ

正直ファースト幼馴染とセカンド幼馴染ならファーストの方が優遇されるよな
ましてや酢豚()とか勝負にもなりゃせんわ

一夏「そんで、こっちが今言った通り箒の後に転校してきて、中2で転校するまで良く遊んでた凰鈴音」

箒「ほう」

一夏「言うなればセカンド幼なじみって感じかな」

鈴「どうぞよろしく、昔の幼なじみさん」

箒「こちらこそよろしく」

鈴(なによこの余裕の態度は・・・!むかつくわね・・・!)

鈴「で、早速なんだけど部屋替わってくれる?」

箒「なに?」

一夏「なに言ってんだ?」

鈴「しのののさんだっけ?流石に男と一緒の部屋なんて嫌でしょ?あたしなら平気だか」
箒「嫌ではないが」

鈴「・・・あたしなら平気だから替わってあげるわ」

箒「わたしも平気だから結構だ」

鈴「あっそ。でも一夏は気を使ったりして疲れるでしょ?ね、一夏もあた」
一夏「いや全然。むしろ楽だ」

鈴「・・・なに?一夏はあたしよりこいつのがいいっての!?」

一夏「なに怒ってんだ」

鈴「怒ってない!」

箒「なにを怒ってるのかは知らないが」

鈴「怒ってないっつってんでしょ!?」

箒「寮監の許可は取ったのか?」

鈴「そんなもん明日でいいわよ。長旅で疲れたんだから」

一夏「でもち」
箒「わかった。寮監の許可を取ってきたら替わってやろう」

鈴「はあ?」

箒「生徒の独断で部屋を替えるわけにはいかない。特に一夏は普通の生徒じゃないからな」

鈴「あっそう、じゃあ許可取ったら大人しく出てくのね?」

一夏「おい箒」

箒「約束しよう」

鈴「じゃあ寮監がいる場所教えて」

 

鈴(なんなのよあの女・・・当然のように一夏の隣に・・・!)ムカムカ

鈴(耳掃除!?ばっかじゃないの!絶対追い出してやる!!)ムカムカ

鈴(ここね)

ドンドンドン!

鈴「すいませーん!」

ドンドンドン!

鈴「あのー!ったく早く出てきなさいよ」

ガチャッ

鈴「今日てん・・・こ・・・」

千冬「ずいぶんと無礼なノックだな・・・ん?お前は」

鈴「ひ、ひぃっ!」

千冬「凰か。そういえば中国から候補生が来ると聞いたがお前だったのか」

鈴「おっ、おひしゃぶりです!」ペコッ

千冬「あぁ。それで?」

鈴「ひゃいっ!」

千冬「あれだけドンドンとドアを叩いてくれたんだ。なにか用があるんだろう?」

鈴「あっ、あのっ」

鈴(な、なんで千冬さんが寮監なんてやってんのよ!あの女わかってて・・・!!絶対ゆる)
千冬「おい」

鈴「ひゃあっ、あのですね!て、ひ、その、てて転入して来たので挨拶に来ました!」

千冬「そうか。わざわざすまんな」

鈴「いいいえっ!じゃあ失礼しま」

千冬「まあ待て」ガシッ

鈴「ひぃぃぃっ」

千冬「知らん仲でもない。色々とこの寮でのルールを教えてやろう」

千冬「教師の部屋を訪ねる際のノックの仕方からな」グイッ

鈴「いいちかぁーーーーー!」ズルズル



翌朝

バーン!

鈴「あんた昨日はよく、も・・・」

一夏「おふぁおお」

箒「こら喋るな」シャコシャコ

自滅して相手を逆恨みとか救えない酢豚だな

鈴「なにやってんの!?歯磨きは見たらわかるからなんであんたが一夏の歯を磨いてるのかを答えなさい!」

箒「一夏はしっかり奥まで磨かないからな」シャコシャコ

一夏「あー」

鈴「だからって・・・べ、ベッドに座って歯磨きなんて行儀が悪い!ちゃんと洗面所で磨きなさいよ!」

箒「座らないとやりづらい。昔はわたしのほうが背が高かったのに」シャコシャコ

一夏「ほうふぁっへ」

箒「だから喋るなと言ってるだろう」シャコシャコ

一夏「おー」

鈴「あ、あたしがやる!!あたしだって歯磨くの得意なんだから!かしてっ!」グイッ

箒「あっ、おい」

鈴「どう一夏!あたしのが上手でしょ!?」ガシガシ

一夏「んがっ、いひゃいいひゃい!!」

 

一夏「血が出た・・・」

鈴「ご、ごめん」

箒「みせてみろ、いー」

一夏「いー」

箒「ん・・・少し血が出ているだけだ、大丈夫だろう」

一夏「みそ汁が染みそう」

箒「たまにはパンでいいんじゃないか?」

一夏「朝は米だ。米」

箒「さて、そろそろ着替えないと朝食を取る時間がなくなる。ほらシャツ」

一夏「さんきゅー」

鈴「っておい!!」

一夏「どうした?」ヌギッ

鈴「きゃあああ!」

箒「こら一夏。女子の前でいきなり脱ぐな」

一夏「ああごめんつい」

鈴「へ、部屋の前で待ってるから!!」

バタン


鈴「はぁ・・・」

鈴(びっくりした・・・普通女の子がいるのに着替える!?ほんと一夏ってなんていうか・・・)

鈴(あたしだったからかな・・・?あたしだからつい自然体になっちゃった、みたいな)

鈴(ったく仕方ないわね一夏は!)

鈴(でも・・・男らしい身体になってたな・・・腹筋割れてた・・・)ドキドキ

ガチャッ

一夏「お待たせー」

箒「待たせたな」

鈴「べつに、あたしが待ってたのは一夏だけだし」

 

一夏「でも鈴が転校してくるなんてな。人生で二回も転校した先で会うってなんか面白いな」

鈴「う、運命だったりして」

一夏「あははは」

鈴(なんで笑うのよ!バカ一夏!)

箒「しかしなぜこんな時期に転入してきたんだ?」

鈴「色々あんのよ。代表候補生にはね」ドヤッ

一夏「へぇー」

箒「大変だな」

鈴「・・・そ、そうだ!昨日はよくもやってくれたわね!」

箒「昨日?」

鈴「あんた寮監が千冬さんだってわかってたでしょ!?」

箒「もちろんだ」

鈴「おかげで酷い目にあったじゃない!!絶対ゆ」
千冬「酷い目?」

鈴「ぴいっ!?」

考えたら寮監が誰であろうと非常識な奴が来たらお叱り確定だよな

 

一夏「相変わらず鈴は千冬ねえのこと苦手なんだな」

鈴「に、苦手ってわけじゃ。ちょっと怖いだけで」

箒「それを苦手と言うんじゃないか」

鈴「う、うるさいわね!」


食事中

一夏「んーゴマの香り」

箒「冷や奴にゴマというのもなかなか合うな」

鈴「朝はラーメンよラーメン。はふはふ」ズルズル



鈴「いちかぁー」ガチャッ

一夏「・・・zzz」

箒「ノックくらいしてくれないか」ナデナデ

鈴「・・・なに?また耳掃除?」

箒「いや、ただたんにひざ枕をしているだけだ」ナデナデ

一夏「うぐぅ・・・zzz」

鈴「・・・一つ答えて欲しいんだけど」

箒「なんだ?」

鈴「あ、あんた達は付き合ってるわけ?」

箒「ただの幼なじみだ」

鈴「あたしだって幼なじみなんだけど」

箒「そうか」

鈴「・・・なによ・・・ただ偶然再会するのがあたしよりちょっと早かっただけのくせにっ・・・!」

一夏「ん・・・」ムクッ

一夏「ふぁあ・・・あれ、来てたのか」

鈴「来てちゃ悪い!?」

一夏「な、なんだよまた怒ってんのか」

鈴「怒ってない!!」

一夏「せっかくまた会えたのに昨日から怒ってばっかじゃないか」

鈴「誰のせいだと思ってんのよ・・・!」ボソッ

一夏「俺のせいなのか?」

鈴「!?」

箒「さあな」

鈴「な、なんで聞こえて」

一夏「耳掃除してもらったばっかりだからな」

箒「うむ」

>鈴「な、なんで聞こえて」

なぜ聞こえないと思ったんだか

一夏「俺のせいで怒ってるのか?」

鈴「・・・あんたらよ」

一夏「俺たち?」

鈴「なんなの!?あたしだって幼なじみなのに!」

箒「・・・」

鈴「やっと日本に戻って来られたのに・・・なんなのよ!!」

一夏「なんなのって言われても・・・鈴がなにに対して怒ってるのか言ってくれないと」

鈴「あたしも一夏の歯磨きする!ひざ枕するの!!」

一夏「そ、そんなことしてどうすんだ?」

鈴「うるさいっ!!するの!!ぐすっ」

箒「・・・やらせてやれ一夏」

一夏「箒がそう言うなら」

鈴「ぐすっ・・・ひっく」

 

鈴「じゃああーんして」

一夏「あー」

鈴(わっ・・・新婚さんみたい・・・)ドキドキ

一夏「あー・・・?」

鈴(で、でも新婚さんでもこんなことしないか・・・)ドキドキ

一夏「あー・・・」

鈴(じゃあなに?バカップル?って誰が馬鹿よ!)ズボッ

一夏「がばっ!?」

鈴「あっ」

一夏「げげごぼうぇっ!!」

箒「一夏!」

一夏「うぅ・・・」

鈴「ちょ、ちょっと失敗しちゃったかな」

一夏「げほっ・・・喉いたい・・・」

鈴「き、気を取り直して次は耳掃除!ね!」

一夏「・・・」

鈴「ほら、いちかっ」ポンポン

一夏「み、耳掃除は昨日したからいいよ」

鈴「ダメ!毎日しないと汚いでしょ!ほら」グイッ

一夏「み、耳は本当に危ないんだぞ!箒もなんとか言ってくれよ!」

箒「言っても聞かないだろう」

鈴「あんたに出来るならあたしだってできるってとこ見せてあげるわ!」

耳かき棒でやるのは危ないから綿棒でチャレンジしよう

一夏「・・・」

鈴(意外と難しいわね)カリカリ グイッ

一夏「ひっ」

鈴「あっごめん、痛かった?」

一夏「い、いや大丈夫」

一夏(たすけてほうきぃー!!)プルプル

箒(よし)

箒「耳かきは危ないから麺棒を使ったらどうだ?」

鈴「これくらいなんでもないわよ」

箒「いや一夏がだな」

鈴「うるさい!!」ズボッ

一夏「いぎゃああああああああ!!」

鈴「あっ」

箒「一夏!!」

医務室

保健医「鼓膜にちょっと傷がついてますね。ただ普段の生活に支障はないですし一週間ほどで治ると思います」

一夏「うぅ・・・」

箒「ありがとうございました」



鈴「ご、ごめんね一夏!」

一夏「あ、あぁ気にすんなよ」ササッ
箒「お、おい」

鈴「・・・」ススッ

一夏「・・・」ササッ
箒「・・・」

鈴「・・・うああああああああん!」タタッ

千冬「おっと」ガシッ

鈴「ぴいっ!?」

数日後の食堂


一夏「雨降ってなければ屋上で食べられたのにな」

箒「仕方ない」

一夏「なに作ったんだ?」

箒「開けてみろ」

一夏「どれどれ」パカッ

一夏「おぉ!からあげ!からあげだ!」

箒「よ、喜ぶのは食べてからにしてほしい」

一夏「いただきます。もぐっ・・・」モグモグ

箒「ど、どうだ?」

一夏「うっ・・・うーまーいーぞーーーー!!」テレッテー

箒「そ、そうか!」

一夏「なんかもう俺よりずっと美味いな!ほほっ、ふん」モグモグ

箒「口に入れたまま喋るな。まったく」ニコニコ

箒「ほらご飯つぶが」ヒョイパクッ




鈴「・・・」」モグモグ

セシリア「・・・」モグモグ

鈴「・・・みんながご飯食べてる食堂でイチャつくってどう思う?」

セシリア「・・・とてもよろしくありませんわ」

鈴「・・・そうよね」

セシリア「・・・えぇ」

鈴「・・・」モグモグ

セシリア「・・・」モグモグ

シャルル「フランスから来ました、シャルル・デュノアです。シャルルってよんでね」



一夏「あー」

箒「しかし転入生が多い学校だな」シャコシャコ

シャルル「・・・」

箒「いー」

一夏「いー」

箒「ふふっ本当に大きい子供だ」シャコシャコ

シャルル(・・・なにこれ?)


凰鈴音

ゆっくりとフェードアウト

TO BE CONTINUED

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