ゴドー「よぉ、まるほどう」成歩堂「‥‥‥どうも」 (37)

―2月5日 9:36―
―成歩堂なんでも事務所―


ゴドー「なんだよ、しけた挨拶だな」

ナルホド「そりゃあなたの顔を見て元気一杯ってわけにはいかないでしょう」

ゴドー「まぁまぁ。過去のことは水に流そうや」

ナルホド「‥‥そうですね」

ゴドー「それよりこの事務所の暖房はもうちょっとなんとかならないのか?」

ナルホド「貧乏事務所なんですからそこは我慢してください」

ゴドー「しかしこんなんじゃ珈琲がすぐ冷めちまう」

ナルホド「はぁ‥‥‥」

ゴドー「なんだ?お前も飲むか、まるほどう?」

ナルホド「‥‥じゃあいただきます」

ゴドー「はいよ。ゴドーブレンドだ」

ナルホド「どうも」

ゴドー「いやぁ、それにしても分かんないもんだよな」

ナルホド「まさかゴドーさんがウチの事務所で働くことになるなんてねぇ‥‥」

ゴドー「一寸先は珈琲の如し闇だな」

ナルホド「わざわざかっこよさげに言わなくていいです‥‥‥」ズズッ

ゴドー「どうだよ、うまいだろ?」

ナルホド「‥‥苦いです」

ゴドー「ガキだな」

ナルホド「でも美味しいですね」

ゴドー「くっくっくっ‥‥‥お前はゴドーブレンドを頭からしか飲んだことなかったもんな」

ナルホド「あれ熱いんですよ?」

ゴドー「そりゃあ、知らなかったなぁ」

ナルホド「‥‥」


『ばーか』


ゴドー「おい。白紙に赤いペンで何書いてやがんだ、まるほどう」

ナルホド「‥‥‥なんでもないですよ」

ゴドー「人が見えないことを良いことに‥‥」

ナルホド「いやいやなんでもないですって」

ゴドー「そうだ、まるほどう。マジシャンの嬢ちゃんはどうした?」

ナルホド「みぬきならこの時間は学校です」

ゴドー「じゃあ、赤い大丈夫くんは?」

ナルホド「あぁ‥‥そろそろ来る頃じゃないかと」


ガチャ!!


オドロキ「おはようございます!!」

ゴドー「‥‥‥‥」

ナルホド「おはよう、オドロキくん」

オドロキ「ナルホドさん!おはようございます!!」

ゴドー「‥‥こいつが大丈夫くんだな」

ナルホド「そうです。大丈夫くんです」

オドロキ「‥‥‥?」

オドロキ「あ、あの‥‥ナルホドさん、こちらは?」

ナルホド「あぁ。紹介がまだだったね。こちらゴドーさん」

オドロキ「どうも始めまして‥‥」

ゴドー「応」

ナルホド「今日からウチの事務所で働いてもらうことになったから」

オドロキ「はぁ‥‥弁護士さんですか?」

ゴドー「元な」

オドロキ「元‥‥?」

ナルホド「それでいて元検事さんだよ」

オドロキ「ちょっと言ってることの意味が分かりません」

ナルホド「だよねー」

オドロキ「それで‥‥ゴドーさんはこの事務所で何を?」

ゴドー「喫茶店だ。喫茶店を開く」

ナルホド「そういうことだよ」

オドロキ「‥‥‥‥どういうことですか?」

ゴドー「なんだ?大丈夫の兄ちゃんもゴドーブレンド飲むか?」

オドロキ「‥‥‥?」

ナルホド「とりあえずお願いします。混乱してるんで」

ゴドー「任せろ」

オドロキ「喫茶店‥‥?」

ゴドー「ほれ、これでも飲んで落ち着け大丈夫くん」

オドロキ「は、はい‥‥」

ゴドー「俺の自慢のゴドーブレンドだ」

ナルホド「触角から飲まないように気をつけなよ」

オドロキ「ナルホドさん、何言ってるんですか?」

ナルホド「いや。なんでもないよ」

ゴドー「まるほどうはトゲトゲから飲むのが好きだって話だ」

オドロキ「‥‥美味しいですね」

ゴドー「当たり前だ」

ゴドー「‥‥」ズズッ


オドロキ「‥‥‥‥あのナルホドさん」ヒソヒソ

ナルホド「なんだい、オドロキくん?」ヒソヒソ

オドロキ「元弁護士も元検事も分かりました」ヒソヒソ

ナルホド「理解力早いね、オドロキくん」ヒソヒソ

オドロキ「どうも。ただ一番の疑問がまだ‥‥」ヒソヒソ

ナルホド「‥‥‥‥あぁ」ヒソヒソ

オドロキ「あのマスクはなんですか‥‥?」

ナルホド「‥‥‥‥趣味だよ」

オドロキ「‥‥‥‥‥‥」



オドロキ「‥‥趣味?」

ゴドー「それで?例のカウンセラーの姉ちゃんは?」

ナルホド「あぁ。そっちもそろそろ」


ガチャ


キヅキ「おはよーございまっす!」

ナルホド「おはよう、キヅキさん」

キヅキ「おはよーございます!」


オドロキ「‥‥‥‥趣味?」ブツブツ


キヅキ「‥‥ん?先輩はなんであっちで考え込んでるんですか」

ナルホド「そういう年頃なんだよ」

ゴドー「それにしてもこの事務所は元気なのが多いな」

キヅキ「‥‥始めまして?」

ゴドー「始めましてだな、カウンセラーの姉ちゃん」

キヅキ「‥‥ナルホドさん、どちら様ですか?」ヒソヒソ

ナルホド「新しい事務所の一員です」

キヅキ「そーでしたかっ!じゃあ、先輩としていろいろ教えてあげますっ!」

ゴドー「よろしく頼む」

キヅキ「私はキヅキです!キヅキココネ!!」

ゴドー「ゴドーだ」

キヅキ「ゴドーさんですね!じゃあ、まずチャーリー先輩に挨拶を!」

ゴドー「応」


ナルホド「‥‥賑やかだね」

オドロキ「ナルホドさん‥‥趣味ってなんですか?趣味って」

ナルホド「君の革ジャンと同じだよ」

オドロキ「‥‥‥‥」

ナルホド「‥‥‥」

オドロキ「‥‥‥納得しましたっ!!」

ナルホド「‥‥そ、そう」

オドロキ「ゴドーさんにも拘りがあるんですねっ!!」

ナルホド「‥‥‥‥そうだよ」

オドロキ「じゃ、俺!改めて挨拶してきます!!」

ナルホド「行ってらっしゃい」

オドロキ「はいっ!!」


ナルホド「‥‥嘘なんだけどなぁ」

ナルホド「じゃあ僕はちょっと出掛けてくるよ」

キヅキ「行ってらっしゃいっ!」

オドロキ「留守はお任せを!!」

ナルホド「みぬきの出演依頼とか来たら適当に相手しといてね」

キヅキ「はいっ!!」

ゴドー「カウンセラーの姉ちゃん、珈琲飲むか?」

キヅキ「お願いしますっ!!」

ゴドー「そしてチャーリー先輩も飲むか?」

オドロキ「いやいや!チャーリー先輩は大丈夫ですって!」


ナルホド「‥‥賑やか過ぎるな」

―同日 10:40―
―検事局局長室―


コンコン


ミツルギ「開いている」

ガチャ

ナルホド「どうも」

ミツルギ「‥‥帰れ」

ナルホド「ひどい言い種だな。そちらの要求を呑んだというのに」

ミツルギ「む‥‥‥」

ナルホド「ゴドーさんは今日からウチの事務所の一員だよ」

ミツルギ「そうか。そういえば今日だっな」

ナルホド「それで今日は頼み事があって来たんだ」

ミツルギ「お前の頼みはめんどくさい」

ナルホド「ほう‥‥そんなことを言うのか」

ミツルギ「‥‥‥なんだ、その余裕は?」

ナルホド「僕としてはオバチャンを連れてくることも辞さない」

ミツルギ「なんでも聞こう」

ナルホド「話が早くて助かるよ」

ミツルギ「あまり面倒だと糸鋸刑事‥‥いや警部にやってもらう」

ナルホド「最近見ないと思ったら警部になってたのか、イトノコ刑事」

ミツルギ「給与は相変わらずしょっぱいがな」

ミツルギ「それで?頼みとはなんだ?」

ナルホド「いやね。ゴドーさん、喫茶店を開くって言ってて」

ミツルギ「‥‥店舗か」

ナルホド「僕も探してはいるんだけどこれが中々見つからなくて」

ミツルギ「‥‥まぁそれくらいなら手伝ってやらんでもない」

ナルホド「本当に助かるよ」

ミツルギ「だがあまり期待されても困る」

ナルホド「あぁ。期待しないで待っておくよ」

テテッテーテテー テテテテー


ナルホド「済まん。電話だ」

ピッ

ナルホド「もしもし?」

キヅキ『あっ!ナルホドさん!ゴドーさんの歓迎会はいつですかっ?今日?』

ナルホド「‥‥歓迎会か」

キヅキ『その様子だと考えてませんでしたねっ?ではでは!このキヅキココネ!張り切っちゃいますよ?』

ナルホド「頼んだよ」

キヅキ『はいはいっ!!』

ピッ

ナルホド「‥‥‥ふぅ」

ミツルギ「新人は前のより威勢がいいのか?」

ナルホド「似たようなもんだよ」

ナルホド「じゃあ、また何かあったら電話でもしてくれ」

ミツルギ「‥‥そのカビの生えた携帯電話にか」

ナルホド「物持ちがよくてね」

ミツルギ「そうだ。最近ヤハリと連絡は取っているか?」

ナルホド「天流斎マシスか」

ミツルギ「その名前は慣れん」

ナルホド「‥‥最近は会ってないけどなんでだ?」

ミツルギ「いると迷惑だがいないならいないで怖いのがヤハリだ」

ナルホド「‥‥その通りだな」

―同日 11:18―
―成歩堂なんでも事務所―


ピッ


キヅキ「やっぱりナルホドさん、なんにも用意してませんでした」

ゴドー「気が利かねぇな、まるほどうの奴」

オドロキ「うーん‥‥‥今は依頼もないけど事務所を留守にするわけには」

キヅキ「じゃあ先輩!お留守番お願いします!」

オドロキ「‥‥‥俺が留守番なんだね」

ゴドー「まぁまぁ。そういじけるなよ、大丈夫の兄ちゃん」

キヅキ「じゃあじゃあ!お土産買ってきますからっ!ダッシュで!」

オドロキ「別にダッシュじゃなくてもいいけど‥‥まぁ留守番くらいしとくよ」

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom