C.C.「ほら。狙っていた景品とは違うものが当たったから、ナナリーにやろう」
ナナリー「これは……クッションですか?」
C.C.「……ああ」
ナナリー「ありがとうございます。大事にしますね」
C.C.「そうしてくれ」
ナナリー「あら?何か刺繍がありますね。Y……E……S……?イエス……ですか?」
C.C.「裏にはNOと書いてある」
ナナリー「何か意味があるんですか?」
C.C.「YESのほうをお前のデキる兄に見せてみろ。きっと優しくしてくれるはずだ」
ナナリー「まぁ……」
ルルーシュ「ただいま、ナナリー」
ナナリー「おかえりなさい、お兄様」
ルルーシュ「ん?何を持っているんだ?」
ナナリー「クッションです」
ルルーシュ(でかでかとYESと刺繍されているな……)
ナナリー「……」
ルルーシュ「ナナリー、そのYESの意味はなんだ?」
ナナリー「分かりません。C.C.さんから頂いたもので……」
ルルーシュ「そうなのか」
ナナリー「でも、触り心地とかとてもいいんですよ」
ルルーシュ「それはよかったな。食事にしようか、ナナリー?」
ナナリー「はい」
ルルーシュ「折角だ、返事をするときそのクッションを遣ったらどうだ?」
ナナリー「それ面白そうですね」
ルルーシュ「魚にするか?」
ナナリー「えっと……」
ナナリー「……」イエス
ルルーシュ「分かった」
ナナリー「便利ですね、お兄様」
ルルーシュ「返事をする分にはな」
ナナリー「でも、私だけが持っていても不便なような気もしますね」
ルルーシュ「そうだな。ナナリーから俺に質問するほうが多いからな」
ナナリー「咲世子さんなら作ってくれるでしょうか?」
ルルーシュ「おいおい。咲世子さんの手を煩わせるまでもない。それぐらいなら俺が作るよ」
ナナリー「流石、お兄様」
ルルーシュ「食事が済んだら作るよ。それでいいな?」
ナナリー「……」イエス
ルルーシュ「よし、できた」
ルルーシュ(とはいえ、ナナリーは目が見えない……。これを見てリアクションを取るのは不可能だな)
ナナリー「お兄様、できたんですか?」
ルルーシュ「ああ。でも、俺が持っていても意味がないな」
ナナリー「そんなことありません」
ルルーシュ「しかし……」
ナナリー「お兄様と同じものをもっていることに意味があるんです」
ルルーシュ「ナナリー……」
ナナリー「お揃いのが欲しくて……ごめんなさい……」
ルルーシュ「いいんだよ、ナナリー。俺の作ったクッションも触ってみるか?」
ナナリー「……」イエス
ルルーシュ「ほら」
ナナリー「お兄様のも……素敵です……」ギュッ
ルルーシュ(ナナリーは自分だけが持っていることを気にしていたのか……。俺もまだまだだな……)
ルルーシュ「もう遅い。そろそろ寝ようか?」
ナナリー「……」ノー
ルルーシュ「何かあるのか?」
ナナリー「もう少し、お兄様とお話を……」
ルルーシュ「おいおい」
ナナリー「ごめんなさい……ダメ、ですよね……」
ルルーシュ「良いに決まっているだろ?」
ナナリー「お兄様……!」
ルルーシュ「何か俺に話したいことでもあったのか?」
ナナリー「はい!」イエス
ルルーシュ「ふふ……。そうか。なら、ゆっくり聞くよ。ベッドまで運んでからな」
ナナリー「……」イエス
ルルーシュ(ナナリーも寂しがっている。こんなときぐらいは兄らしくしておかないと……)
ナナリー「お兄様ぁ……」ギュッ
翌日
C.C.「ナナリー。昨日はどうだった?」
ナナリー「はい。C.C.さんの言うとおり、とても優しくしてくれました」
C.C.「ほう……?」
ナナリー「このような素敵なクッションを貰うことができて、本当に嬉しいです」
C.C.「ついに一線を越えたか……」
ナナリー「……?」
ルルーシュ「お前、何をしている?」
C.C.「坊やかぁ。昨日は大変だったみたいだなぁ」
ルルーシュ「何の話だ?」
C.C.「あのクッション、見たんだろ?」
ルルーシュ「YESとNOが大きく刺繍してある奴か」
C.C.「坊やにはあれぐらい直球でないとダメだからな」
ルルーシュ「直球?意味がわからないが」
C.C.「……なに?あの枕の意味、分かっていないのか?」
ルルーシュ「意味だと?可否を表す以外に何かあるのか?」
C.C.「そうか……知らないのかぁ……」
ルルーシュ「何だ?意味があるのなら教えろ」
C.C.「そうだな。教えてやってもいいが……ナナリーにも教えないとなぁ」
ルルーシュ「なんだと?」
C.C.「ふふ……ナナリー?」
ナナリー「なんですか?」
C.C.「そのクッションの使い方を伝授してやろう」
ナナリー「使い方ですか?」
C.C.「そうだ。そのクッションはな、一緒に寝てもいいですよと伝えるためのものだ」
ナナリー「え……!」
ルルーシュ「寝る……?」
C.C.「寝てもいいときはYESを向ける。今日はダメというときはNOを向ける。それはそういう意味なんだよ、分かったか?」
ルルーシュ「……」
ナナリー「……」イエス
ルルーシュ「口で伝えればいいだけのような気もするが……」
C.C.「乙女の口から直接そんなことを言わせる気か?これだから童貞は……」
ルルーシュ「関係ないだろ。あとナナリーの前で変なことを言うな」
C.C.「すまなかったよ」
ルルーシュ「全く……」
ナナリー「お兄様……?」イエス
ルルーシュ「分かったよ、ナナリー。でも、今日は俺のほうがダメだ」
ナナリー「いえ。そんな……」
ルルーシュ「悪いな」
ナナリー「大丈夫です」イエス
ルルーシュ「そうだ。俺も同じクッションを作ったんだ。それを活用しないとな」
C.C.「作っただと?」
ナナリー「どうされるのですか?」イエス
ルルーシュ「俺の部屋のベッドにこのYESNOクッションを置いておく。今日は一緒に居られるというときはYESにしておくから。ナナリーが確認するといい」
ナナリー「……」イエス
ルルーシュ「―――それじゃあ、出かけてくるから」
ナナリー「はい。お気をつけて」
ルルーシュ「行ってきます」
ナナリー「行ってらっしゃい」
咲世子「行ってらっしゃいませ。ルルーシュ様」
ナナリー「……咲世子さん。お兄様の部屋に行って、ベッドを確認してきてもらえますか?」
咲世子「畏まりました」
ナナリー「……」ドキドキ
咲世子「―――ナナリー様、確認してきました」
ナナリー「あ、あの……どうでしたか……?」
咲世子「特にシーツの乱れ、汚れはありませんでした」
ナナリー「いえ、そうではなくて……クッションは……YESでしたか……NOでしたか……?」
咲世子「NOでした」
ナナリー「はぁ……そうですか……。ありがとうございます……」
咲世子「……」
ナナリー「……」
咲世子「ナナリー様、昼食はどうされますか?」
ナナリー「……」ノー
咲世子「お体に障りますよ?」
ナナリー「……」ノー
咲世子「ナナリー様にはきちんと三食召し上がって頂かないと、ルルーシュ様に怒られてしまいます」
ナナリー「……」イエス
咲世子「ありがとうございます」
ナナリー「ふぅ……お兄様……」
咲世子「昼食が済みましたら散歩に出かけましょう」
ナナリー「……」イエス
咲世子「……」
咲世子(ナナリー様はあの枕の真の意味を理解していない御様子……)
咲世子(ナナリー様にとって余計な知識ですし……。このままでいいでしょう)
学園敷地内
咲世子「風は少し冷たいですが、日差しは温かいですね。ナナリー様」
ナナリー「はい」イエス
咲世子「そのクッション、気に入られたのですか?」
ナナリー「抱き心地が良いので」ギュッ
咲世子「そうですか」
シャーリー「あ、ナナちゃん、咲世子さん」
ナナリー「シャーリーさん。こんにちは」
咲世子「こんにちは」
シャーリー「散歩してたの?」
ナナリー「……」イエス
シャーリー「……なにそれ?」
ナナリー「今、お兄様とこのクッションでやりとりをしていて」
シャーリー「へぇ、そうなんだ。なんだか楽しそう」
咲世子「シャーリーさんは、トレーニング中ですか」
シャーリー「そうなんですよ。体力は付けておかないと駄目なんで」
ナナリー「頑張ってくださいね」
シャーリー「うん。ありがと。それじゃあね」
ナナリー「……」イエス
咲世子「お気をつけて」
シャーリー「えっほ、えっほ……」
ナナリー「咲世子さん。そろそろ戻りませんか?」
咲世子「畏まりました」
ナナリー「もしかしたらお兄様のクッションがYESになっているかもしれませんし」
咲世子「……」
ナナリー「……なってないですよね……」
咲世子「ええ、恐らく」
ナナリー「ごめんなさい……」
夜
ナナリー「……えっと……これですね……」
ナナリー「やっぱり、NOのまま……」
咲世子「ナナリー様、何をしているのですか?」
ナナリー「さ、咲世子さん。あ、あの……」
咲世子「本日、ルルーシュ様は帰宅いたしません。ご帰宅は明朝になると今連絡がありました」
ナナリー「あ……そうですか……」
咲世子「ナナリー様?」
ナナリー「なんですか?」
咲世子「ルルーシュ様の部屋にナナリー様のクッションを置いておくのも手です」
ナナリー「どうしてですか?」
咲世子「ルルーシュ様に体力が残っていれば朝から寝てもらえるかもしれません」
ナナリー「……おねがいしますっ」イエス
咲世子「篠崎咲世子にお任せください」
翌日
ルルーシュ「ふぅ……疲れたな……。制服に着替えるか……」
C.C.「ピザ、頼んでいいか?」
ルルーシュ「勝手にしろ」
C.C.「するさ。―――ん?おい、このクッションはなんだ?」
ルルーシュ「ナナリーのだな。どうして俺のベッドに……?」
C.C.「YESのほうで置かれていたな」
ルルーシュ「寝ても良いということか」
C.C.「寝てやるのか?」
ルルーシュ「ナナリーが俺の代わりに授業に出るとでもいうのか……。いや、そんなことをさせるわけにはいかない……」
C.C.「違うだろ」
ルルーシュ「そうか。そうだな。授業ではなく生徒会室で、だな」
C.C.「……駄目だな。お前」
ルルーシュ「なんだと?勝手に俺を見下すな、魔女が」
生徒会室
リヴァル「今日も書類が山のようにありますね、かいちょ~」
ミレイ「まぁねぇ。ほら、キリキリ働いてねぇ」
リヴァル「はいはい」
ミレイ「ヤル気でないの?なら、ガーッツ!!!これでどう?」
シャーリー「出ました!!」
ミレイ「シャーリーは良い子だねぇ」
カレン(ダメだ……眠い……)
ナナリー「みなさん。こんにちは」
ミレイ「おーっす、ナナリー。ルルーシュは?」
ナナリー「すぐに来ます」
シャーリー「あれ?ナナちゃん、あのクッションは?」
ナナリー「ありますよ」イエス
シャーリー「あはは」
カレン「……!」
ミレイ「なぁに、それ?」
ナナリー「YESNOクッションです」
リヴァル「どうやって使うんだ?」
シャーリー「ナナちゃん、今日も元気?」
ナナリー「……」イエス
ミレイ「へぇ。そうやって使うんだ」
リヴァル「口で言ったらいいんじゃないか?」
ナナリー「でも、断りにくいこともこのクッションを使えば返事がしやすいかと」
ミレイ「ほうほう。いいわねぇ」
カレン「……」
シャーリー「カレン?どうかした?」
カレン「い、いや……」
ルルーシュ「すいません。遅れました。って、ナナリー。そのクッション持ってきていたのか」
ナナリー「はい」イエス
カレン「……」
ルルーシュ「今朝までは俺のベッドの上にあったのに何時の間に……」
カレン「ベッドの上ぇ!?」
ナナリー「え?」
ミレイ「カレン?どうかしたの?」
カレン「あ、い、いえ……なんでも……」
ルルーシュ「可笑しな奴だな」
カレン「……」
ナナリー「お兄様、今日は……」イエス
ルルーシュ「俺の部屋に答えはある。帰ってからのお楽しみだ」
ナナリー「な、なんだか緊張しますね」イエス
シャーリー「なんだかたのしそー。ね、カレン?」
カレン「ルルーシュくん、ちょっといいかしら?」
ルルーシュ「どうした?」
カレン「いいから」
廊下
ルルーシュ「どうしたんだ?」
カレン「……ねぇ。変なことしてない?」
ルルーシュ(まさか、俺の正体に気がついたのか……?)
カレン「ナナリーにさぁ」
ルルーシュ「ナナリー?」
カレン「実の妹よね?」
ルルーシュ「それがなんだ」
カレン「ここにはあの枕の意味を知っている人はあまりいないだろうけど……。それでもあんな風に堂々と持ち歩いていいものじゃないわよ?」
ルルーシュ「今日は寝ていいかどうかを相手に示すものだろう?それぐらいは知っている」
カレン「……なに?妹と羞恥プレイでもしてるの?」
ルルーシュ「何を言っている?」
カレン「あんた、頭おかしいんじゃない?」
ルルーシュ「おい。おかしな言いがかりはよせ」
カレン「あまりの溺愛っぷりだから、変だとは思ってたのよねぇ……」
ルルーシュ「おい、カレン」
カレン「色んな女の子にアプローチされてもさらっと流してるのもそういう……」
ルルーシュ「おい!カレン!!なんだ、その言い方は!?」
カレン「だってそうでしょ?あんな枕を持ち歩かせてさ」
ルルーシュ「何がいけないんだ。妹と寝てなにが悪い」
カレン「……」
ルルーシュ「言ってみろ」
カレン「そこまで開き直られると……ちょっと……」
ルルーシュ「何が羞恥プレイだ。馬鹿馬鹿しい。戻るぞ」
カレン「あ、ちょっと」
ルルーシュ「なんだ?」
カレン「別に私はいいけど。スザクくんが見たらきっと怒るわよ?」
ルルーシュ「スザクが?それこそ理由がないだろう」
生徒会室
ナナリー「で、YESのときは一緒に寝てもいいという意味なんですよ」
ミレイ「……」
リヴァル「……なぁ、シャーリー?」
シャーリー「私に訊かないで」
ニーナ「YESNO枕って新婚がよく使うやつじゃなかったっけ?」
ミレイ「そうなの!?」
ニーナ「って、聞いた事があるだけで……」
ミレイ「うーん……」
シャーリー「でも、ほらルルとナナちゃんですし」
リヴァル「だな。仲いいから一緒に寝るぐらい普通だろ」
ナナリー「……?」
ルルーシュ「何をしているんですか?」
ミレイ「ルルーシュ!!このクッションどうしたの!?買ったの!?」
ルルーシュ「いきなりなんですか。ナナリーのは貰い物ですよ」
ミレイ「だ、誰から?」
ルルーシュ「知人ですが」
ミレイ「その人は……名誉ブリタニア人だったりする?」
ルルーシュ「何故ですか?」
ミレイ「あ、ごめん。いや、なんか気になっちゃって」
ルルーシュ「そうですか」
ナナリー「お兄様、お体は大丈夫ですか?」イエス
ルルーシュ「ああ。心配はない。けど、今はナナリーに甘えようかな」
ナナリー「え?」
ルルーシュ「寝ても良いってずっと掲げているじゃないか」
ナナリー「……」イエス
ルルーシュ「ナナリー……なら、ソファーに移動しよう。膝枕をしてほしい。小1時間ぐらいな」
ミレイ「まぁ、でもこう不純な感じはないし、いいんじゃない?」
リヴァル「考えてみたら、あのルルーシュがそんなことするわけないしな」
シャーリー「それもそっか……。うん。ルルだもんね」
ルルーシュ「ナナリー、大丈夫か?」
ナナリー「はい」イエス
ルルーシュ「少し……休むな……」
ナナリー「ゆっくり休んでください、お兄様」
ルルーシュ「すぅ……すぅ……」
シャーリー「……」
ミレイ「シャーリーもナナちゃんに嫉妬?」
シャーリー「な、何言ってるんですか!!そんなんじゃありません!!」
ミレイ「はい」
シャーリー「なんですか、このスケッチブック……?」
ミレイ「そこに大きくイエスってかいて、首から提げとけばいいんじゃない?」
シャーリー「い、嫌ですよ!!なんでそんなことしなくちゃいけないんですか!?」
カレン「……」
カレン(YESNO枕もってゼロの前に行ったらどうなるんだろう……)ドキドキ
スザク「すいません。遅くなりました」
ミレイ「スザクくん、ようこそ」
スザク「どうも。あれ、ルルーシュは?」
リヴァル「あっち」
スザク「え?」
ルルーシュ「すぅ……すぅ……」
ナナリー「お兄様……」
スザク「……ナナリー、疲れないかい?」
ナナリー「……」ノー
スザク「そうか。疲れたら言ってくれ。いつでも代わるから」
ナナリー「はい。そのときはお願いします」ノー
スザク「さてと、仕事を……」
カレン「スザクくん。何とも思わないの?」
スザク「え?」
カレン「ナナリーがYESNO枕持ってることに」
スザク「僕は何も言えないよ」
カレン「どうして?」
スザク「僕も使っている身だからね」
カレン「え……」
ミレイ「使ってるの!?」
スザク「はい。以前、とある女性にプレゼントしました」
リヴァル「だ、誰だよ!?」
スザク「言えるわけないよ」
ミレイ「つまり、言えない人ってわけだ……」
ニーナ「……それって」
シャーリー「副総と―――」
スザク「シャーリー。それ以上は……」
ニーナ「……昨日は……どっちだったの……?」
スザク「肯定してくれていたけど。仕事で部屋にはいけなかった」
ニーナ「……っ」
ミレイ「待って。どうしてYESってことを知ったの?クッションを見なきゃわからないわけでしょ?」
スザク「仕事中にプライベート通信がよく入るんです。そのとき、モニターいっぱいにイエスの文字が映るんです。恐らく、枕をカメラに向けているんでしょうね」
カレン「……生々しい」
ニーナ「……イレヴンのくせに……」
ミレイ「ニーナ。抑えて」
スザク「でも、ユフィには悪いって思っているんだ。いつも肯定してくれているのに、未だに部屋にはいけていないからね」
リヴァル「そうなのか?」
スザク「何故かそういう日に限って総督に呼び出されてね。朝までブリタニアの国歌を歌わされる」
シャーリー「大変だね、スザクくん」
スザク「もう慣れたから」
カレン「ねえ、それは恋人関係だからいいけど、ナナリーとルルーシュくんは兄妹よ?」
スザク「ルルーシュはたとえナナリーがイエスと掲げていようとも間違いなんて絶対に犯さないよ」
カレン「そう……?」
スザク「ああ、勿論」
ナナリー「お兄様……ふふ……」ナデナデ
ルルーシュ「ナ、ナリー……すぅ……すぅ……」
スザク「仲のいい兄妹じゃないか」
カレン「……あの枕さえなければね」
ナナリー「お兄様ー?」イエス
ルルーシュ「うぅん……あぁ……わかっている……ナナ、リー……」
ミレイ「ねえねえ、よく分からないんだけどあれってやっぱり……」
スザク「はい」
ミレイ「キャー、だって、シャーリー」
シャーリー「どうして私に話を振るんですか!?」
ミレイ「でも、ナナリーはその意味をきちんと理解していないように思えるんだけど」
スザク「え?」
ミレイ「単純に一緒に寝てもいいっていう意思表示をするものとか、文字通りはいかいいえを伝えるために使ってるみたいだし」
スザク「それはいけない。きちんと意味を教えないと」
カレン「ちょっと、ちょっと!!」
スザク「なんだい?」
リヴァル「別に正しい意味を教える必要はないだろ?」
スザク「でも、意味を知らないで使っているとなると、ナナリー自身がどれだけ恥ずかしいことをしているのか自覚していないってことになるから」
ミレイ「まぁ、そうね」
スザク「分かっててするのと、理解せずにするのでは大きく違うから」
シャーリー「それもそっか。自覚なしに恥ずかしいことをしているなんて、あとになればなるほど困るもんね」
スザク「だから、教えておくべきだよ。意味を知った上であの枕を持ち歩くかどうかをナナリー本人が決めないといけない」
ミレイ「そんなもんかしらね」
スザク「ええ。だから、教えてきます」
カレン「うーん……」
スザク「ナナリー?ちょっといいかな?」
ナナリー「……」ノー
スザク「話があるんだ」
ナナリー「……」ノー
スザク「ナナリー。大事なことなんだ」
ナナリー「……」ノー
スザク「どうしてNOを向けるんだい、ナナリー?」
ナナリー「しー」ノー
ルルーシュ「すぅ……すぅ……」
スザク「でも、その枕は……」
ナナリー「……」ノー
スザク「夜の営みをね」
ナナリー「夜の営み……?」
スザク「そうだ。その枕にはとても卑猥な意味がある。それでもそれを持ち続けるのかい、ナナリー?」
ナナリー「……」イエス
スザク「どうして?」
ナナリー「お兄様も同じのを持っているからです。私だけが手放すなんてありえません」
スザク「そうなのかい?」
ニーナ「新婚だ……」
ナナリー「お兄様が手放すなら私も捨てます。でも、お兄様が持っているなら私も持ちます。それだけです」
スザク「そうか……」
ミレイ「ルルーシュは意味を把握していると思う?」
リヴァル「微妙ですね。咲世子さんがいるからもしかしたら教えてもらっているのかもしれませんけど」
シャーリー「でも、あのルルだよ?本当の意味を知っていたらナナちゃんに持たてないような気がするけど」
カレン「それはそう思う」
ミレイ「少し引っ掛かるのよね……」
シャーリー「何がですか?」
ミレイ「いや、知人からの貰い物って言ってたでしょ?その知人は何を思って差し出したのかよくわかんないのよね。ルルーシュに渡したんじゃなくてナナリーへのプレゼントっていうのがもう不自然」
ミレイ「妹にそんなクッションを渡すってことはプレゼントした本人も意味を理解していないか、ルルーシュに一線を越えさせようとしたかのどっちかだと思う」
カレン「後者だとしたらそいつ性根が腐ってますね」
シャーリー「……あの。会長が枕をプレゼントした人が名誉ブリタニア人かどうかを訊ねたとき、ルルは濁しましたよね?」
ミレイ「まさか……」
カレン「プレゼントしたのって咲世子さん?」
リヴァル「可能性としては高いよな。あんな刺繍があるクッションをプレゼントしようなんて普通のセンスじゃ思わないし」
ミレイ「待って待って。咲世子さんがプレゼントしたっていうなら、意味を分かった上で渡したことになるわよ」
ニーナ「ルルーシュとナナリー、自室ではもう……なんというか後押ししたいぐらい距離が近いんじゃ……」
シャーリー「えぇぇぇ!?」
カレン「なるほど。兄妹だから互いに一歩踏み出せない。でも、愛してしまっている。その応援をするためにあの枕を……」
リヴァル「マジかよ……ルルーシュ……。そんな兄妹関係だったのか……」
シャーリー「そんなの間違ってるよ!!ダメダメ!!」
ルルーシュ「ん……」
ナナリー「お兄様、目が覚めちゃいましたか?」イエス
ルルーシュ「ナナリー……悪いな……。今、起きる」
ナナリー「まだ十数分しか経っていませんよ?」
ルルーシュ「十分だ」
ナナリー「ダメです。まだ寝ていてください」
ルルーシュ「いいのか?ありがとう……」
スザク「……ナナリー。代わろうか?」
ナナリー「お気持ちだけで十分です」ノー
ミレイ「……よし。確かめてみましょう」
カレン「部屋に乗り込むんですか?」
ミレイ「まさか。そんな野暮なことはしないわよ。もっと簡単な方法があるでしょ?」
シャーリー「簡単な……?」
リヴァル「どうするんですか?」
ミレイ「スザクくん、協力してくれるわよね?」
スザク「僕がですか?ええ、できる範囲でなら」
ミレイ「ありがとう」
ルルーシュ「ナナリー?」
ナナリー「なんですか?」
ルルーシュ「今度は俺が膝枕をしてやる」
ナナリー「そんな、お兄様にご迷惑は……」イエス
ルルーシュ「こっちは正直だな、ふふっ」
ナナリー「あ、こ、これは……あの……お願い、できますか?」
ルルーシュ「ああ。任せろ」
夜 ルルーシュの部屋
ナナリー「今日はどうなのでしょうか……?」モゾモゾ
ナナリー「Y……E……S……!!!」
ルルーシュ「どうした、ナナリー?」
ナナリー「お兄様……今晩は……あの……」
ルルーシュ「一緒に寝よう」
ナナリー「で、でも……お兄様……」イエス
ルルーシュ「さぁ、おいで」
ナナリー「おにいさま……はい」イエス
ルルーシュ「ナナリーはいつもYESなんだな」
ナナリー「いえす」
ルルーシュ「こらこら。クッションを使え」
ナナリー「お兄様、愛しています」ギュッ
ルルーシュ「ああ。俺もだ」
ナナリー「そういえば、今日スザクさんがこのクッションには卑猥な意味があると言っていました。夜の営みの交渉道具だと……」
ルルーシュ「なんだと?このクッションはそういうことなのか?」
ナナリー「らしいです」
ルルーシュ「なるほど。だからピローに刺繍を……」
ルルーシュ(C.C.め……どういうつもりだ……)
ナナリー「でも、そんなこと関係ないですよね」
ルルーシュ「え?」
ナナリー「私とお兄様の中では文字通り、一緒に寝てもいいって意味ですから」
ルルーシュ「そうだな。ナナリーの言うとおりだ。世間一般のルールなど、俺たちには関係がない」
ナナリー「その通りです」
ルルーシュ「俺とナナリーだけの常識があってもいいよな」
ナナリー「……」イエス
ルルーシュ「ふふ……」
ナナリー「今日は朝までずっと隣に居てください……」
ルルーシュ「当然だろ」
翌朝
C.C.「……」
ルルーシュ「ナナリー、口をあけろ」
ナナリー「あー」
ルルーシュ「……うまいか?」
ナナリー「……」イエス
ルルーシュ「よかった」
C.C.「お前たち、随分と仲がいいな」
ルルーシュ「そうか?元からこうだっただろ。それよりもお前はどうして朝からここにいる?」
C.C.「ピザトーストが朝食だと聞いたからな」
ルルーシュ「そうか」
ナナリー「お兄様……」
ルルーシュ「ああ。悪い。ほら、口をあけろ」
ナナリー「あー」
C.C.「ちっ……」
咲世子「お気をつけて」
ルルーシュ「午後にはナナリーの連れて生徒会室に」
咲世子「畏まりました」
ルルーシュ「行ってきます」
ナナリー「行ってきますね」
咲世子「行ってらっしゃいませ」
C.C.「……」
咲世子「C.C.さん、どうかされましたか?」
C.C.「いや……」
咲世子「何かご不満でも?」
C.C.「あの枕を与えれば、流石の二人も意識して気まずい空気が流れると思ったのだがな……」
咲世子「……」
C.C.「シスコンの妹は更に上にいくブラコンだったか」
咲世子「C.C.さんもしや、ルルーシュ様とナナリー様の心の距離を離そうとしたのですか?」
C.C.「……別に」
生徒会室
ルルーシュ(書類が溜まっているな……。今日中に片付けて……)
シャーリー「ル、ルル?」
ルルーシュ「どうした?」
シャーリー「えっと……ね……あの……」モジモジ
ルルーシュ(後ろ手にして、何かを隠しているのか?)
シャーリー「一瞬、一瞬しか見せないからね」
ルルーシュ「何を言っているんだ?」
シャーリー「はいっ!!」バッ
シャーリー「はいっ!!おわり!!」
ルルーシュ「全く見えなかったが」
カレン「ルルーシュくん」
ルルーシュ「カレン、どうした?」
カレン「ん」ノー
ルルーシュ「……そのクッションはなんだ?」
カレン「あ、間違えた。こっちだった」イエス
ルルーシュ「……」
ミレイ「ルルーシュ、これみてみて」
ルルーシュ「次は会長ですか?」
ミレイ「どーだぁ」イエス
ルルーシュ「なにがですか?」
ニーナ「私は……私は……ごめんなさいっ」ノー
ルルーシュ「会長。今度はなんの企画ですか?」
ミレイ「それはね―――」
スザク「ルルーシュ」イエス
ルルーシュ「お前までそのクッションか……。一体、なんだ?」
スザク「ニーナ以外はイエスだよ。どうする?」
ルルーシュ「どうするも何も意味がわからない。主旨を説明してくれ」
ミレイ「シャーリー、ちゃんと前に出しなさいって」
シャーリー「い、いやですよ!!」
スザク「ルルーシュ、君はこの枕の意味を知っているんだろ?」
ルルーシュ「それは―――」
ルルーシュ「まさか……!!」
スザク「そのまさかだ」
リヴァル「なんで俺まで……そんな趣味はないぞ……」イエス
ミレイ「なら、ノーにしてもいいのよ?でも、非協力的なのは好ましくないかなぁ」
リヴァル「それ殆ど脅迫じゃないですかぁ」
ルルーシュ「会長?」
ミレイ「第一回イエスノー枕大会開催中。審査員はルルーシュくん」
ルルーシュ「で、どうしろと?」
ミレイ「ちょっと待ってね。暫定チャンピョンがもうすぐ……」
咲世子「失礼いたします」
ナナリー「どうも、こんにちは」イエス
ミレイ「お、きたきた」
ルルーシュ「ナナリー……」
咲世子「ミレイ様、この惨状は一体……!?」
ミレイ「咲世子さんもどーぞ」
咲世子「……こ、これは」
ミレイ「ルルーシュに対してイエスかノーで答えてあげて」
咲世子「それは勿論」イエス
ナナリー「どうかしたんですか、お兄様?」イエス
ルルーシュ「会長。どうしてこんなことを?」
ミレイ「いやぁ、全員からイエスを向けられたらルルーシュは誰を選ぶのかなって思って」
ルルーシュ「な……」
ミレイ「まぁまぁ、ただのゲームだから。深く考える必要はないわよ。選考理由は一夜限りの蜜月でもいいし、将来を誓いあうためにでもいいの」
ミレイ「ある日突然、ルルーシュに向けられた無数のイエス枕。そのときルルーシュはどうするのか!!っていう企画」
ルルーシュ「なるほど……。俺の心を弄ぶというわけですか。生徒会の仕事はそっちのけで」
ミレイ「そういうわけじゃないけど……」
シャーリー「うぅ……」モジモジ
カレン「誰にする?」イエス
ルルーシュ「……再度、確認しておきましょうか。誰がイエスなんですか?」
ミレイ「えっと、私でしょ。カレン、スザクくん、リヴァル、咲世子さん、ナナリー、あとはシャーリー。ニーナは諸事情によりノーだけど」
シャーリー「……」
ルルーシュ「シャーリーは本当にイエスなのか?」
シャーリー「え?!」
ルルーシュ「隠しているから分からない」
シャーリー「そ、それは……」
ミレイ「ほら、シャーリー。前に出す」
シャーリー「さっき見せたでしょ!?」
ルルーシュ「一瞬過ぎて分からなかった」
シャーリー「な、なら、もう一回いくよ?よく見ててよ?」
ルルーシュ「……」
シャーリー「はいっ!!!はいっ!!!終わり!!」
ルルーシュ「だから、一瞬過ぎるんだ。せめて一秒ぐらいは見せてくれ」
シャーリー「やだ!!」
ナナリー一択だろ?ルルーシュよ何故迷う必要がある
スザク「シャーリー、ダメじゃないか。みんな恥ずかしい思いをしているのは同じなんだ」
シャーリー「でも……でも……」モジモジ
カレン「見せないと信用してもらえないよ?」
咲世子「心配はいりません。こんなにもイエス枕が揃っているのですから」
ミレイ「そうよ。シャーリー。恋はパワーだ!!」
ニーナ「がんばって」
リヴァル「シャーリー、出せ」
シャーリー「うぅ……は、はい……」イエス
ルルーシュ「シャーリーまで……」
ナナリー「みなさん、どうして……?」
ミレイ「さー、ルルーシュ?誰にするー?選んだ相手の枕を取って―――」
ルルーシュ「なら、こうですね」スッ
ナナリー「あ……お兄様……」
スザク「やっぱり……ナナリーなのか……!!!」
シャーリー「……るるぅ……そんなぁ……わたし……がんばったのに……」イエス
ミレイ「これで証明されてしまったわけね……」
ルルーシュ「何がですか?」ナデナデ
ナナリー「お兄様ぁ」ギュッ
ミレイ「ルルーシュはナナリーのことを……真剣に愛しているのね……」
ルルーシュ「当然でしょう」
ミレイ「兄妹という垣根を越えてでしょ?」
ルルーシュ「それは……」
ナナリー「……」イエス
カレン「やっぱりね。そうじゃないかって思ってたのよ……」
シャーリー「るるぅ……」イエス
ルルーシュ「妹を愛していない兄などこの世にいないでしょう?」
ミレイ「お……?」
ルルーシュ「それに俺とナナリーで決めたイエスノーのルールは世間一般とは違います。ナナリーの提示するクッションには「添い寝をする」という意味しか含まれていませんからね」
ミレイ「そう、なの?」
ナナリーは垣根越えてイエスなのにルルーシュ…
ルルーシュ「例えばここでシャーリーのクッションを選んでいれば、それは一線を越えるという意味になってしまう」
シャーリー「な、なにいってるのよぉ!!もー!!!ルルったら!!!」イエス
ルルーシュ「でも、ナナリーの場合は違う。な?」
ナナリー「はい。そうです、お兄様」ノー
スザク「ルルーシュ……。つまり、君は一番波が立たないナナリーの枕を選んだわけだね?」
ルルーシュ「おい、スザク。語弊があるぞ」
スザク「だって、そうじゃないか」
ルルーシュ「違うな、間違っているぞ。真剣に選んだからこそ、ナナリーなんだよ。今は、ナナリーとの時間を大事にしたいからな」
ナナリー「お兄様……私も……できることなら、お兄様のお傍に……ずっと……」
ルルーシュ「ああ。大丈夫だ。俺はいつまでもお前の傍にいる」
ナナリー「お兄様……」イエス
ミレイ「よーし。わかった。ルルーシュとナナリーの間ではそういうルールがあるのね。なら、ナナリーは除外しましょう」
ルルーシュ「なに!?」
ミレイ「同じ条件で戦わないと、フェアじゃないもの」
カレン「まだやるんですかぁ……」
??「兄さん僕も!」イエス
ルルーシュ「会長、やめましょう。不毛な争いですよ」
ミレイ「一線を越えるという条件で選んでみて」イエス
ルルーシュ「ぐっ……!!」
シャーリー「……」モジモジ
スザク「ルルーシュ。君には選ぶ義務があるかもしれない」イエス
カレン「あー、はやくしてよ」イエス
咲世子「……」イエス
リヴァル「なんで、俺がルルーシュと一線を越えなきゃならないんだ……」イエス
ニーナ「ごめんね、ルルーシュ」ノー
ルルーシュ(くっ……どうする……誰を選んでも問題が多いぞ……どうすれば……どうしたらいいんだ……!!!)
ナナリー「お兄様……」イエス
ルルーシュ(一線を越えるという条件なら……。スザクとリヴァルは論外としても選択肢は5つもあるだと……!!)
ルルーシュ(ぐぅぅ……!!)
シャーリー「……ルルぅ」イエス
ルルーシュ(シャーリー……カレン……会長……咲世子……ナナリー……。―――迷っていても仕方ない。会長のことだ選ぶまで終わらないだろう。なら、俺は……!!!)
ルルーシュ「―――その条件では選べませんね、会長」
ミレイ「え?」
ルルーシュ「全員、まだそこまでの仲ではないですし、そもそも俺が選ぶ立場というのも可笑しな話です」
カレン「あ、逃げる」
ルルーシュ「俺はむしろ選んでもらう立場だと思っています。そこまで出来た男じゃないんで」
シャーリー「逃げた」
ルルーシュ「さ、書類が溜まっているんですよ。仕事をしましょう」
ミレイ「……ダメ」
ルルーシュ「え?」
ミレイ「こっちはこんなにも恥ずかしいことしてるんだから、ルルーシュもきちんと選んで!!!」イエス
ルルーシュ「なに……!?」
シャーリー「そーだ!!そーだ!!」イエス
カレン「まぁ、逃げられるわけないわね」イエス
ルルーシュ「わかった!!なら―――」
スザク「……」イエス
誰かを選んだらナナリーが泣いてしまうぞ!
ルルーシュ「……お前しか現時点ではいない」
ナナリー「お兄様っ」ギュッ
ミレイ「やっぱり……」
シャーリー「はいはい……ごちそうさま……」
カレン「ま、そうなるわよね」
スザク「……」ノー
リヴァル「結局かよ。まぁ、ルルーシュらしいっていえばらしいけど」
咲世子「……」ガクッ
ミレイ「もう兄妹で結婚しちゃえば?」
ルルーシュ「それは無茶でしょう」
ナナリー「そうですね。流石に結婚なんて……」
ルルーシュ「無理だよな?」
ナナリー「はい」ノー
シャーリー(でも、カレンを選ばなくて安心した……。よかったぁ……。ルルはまだ好きな人いないみたいだし)
カレン(この枕、ゼロに見せてみよう……)
ミレイ「兄妹で末永くお幸せにね」
ルルーシュ「ありがとうございます」
ナナリー「お兄様、今日は……」イエス
ルルーシュ「俺のベッドのクッションを調べれば分かる」
ナナリー「分かりました」
ミレイ「あーもう、単に恥かいただけで終わっちゃったわねー。さーて、仕事仕事。リヴァルー、それとってー」
リヴァル「はい、どうぞ」イエス
ミレイ「もうイエスノー枕は仕舞っていいわよ?あとそれらはみんなにあげるから、各人で活用してね。以上」
リヴァル「……」ノー
スザク「でも、ルルーシュって本当にナナリーのことが好きなんだね」
ルルーシュ「褒め言葉なのか侮辱なのか曖昧だな」
スザク「勿論、褒めてるよ。中々居ないと思うよ、ルルーシュみたいな兄は」
ルルーシュ「ふっ。だろうな」
ナナリー「お兄様、素敵です」
カレン(ただのシスコンじゃない……)
夜 ルルーシュの部屋
ナナリー「……」ゴソゴソ
ナナリー「N……O……!!」
ナナリー「そんな……お兄様……」
ナナリー(いいえ。お兄様にこれ以上のご迷惑をかけるわけにはいかない)
ナナリー(今日、お兄様の深い愛情がわかったんですもの。それで我慢しなきゃ)
ナナリー(今以上の幸せなんてきっと不幸になるだけ……)
ナナリー「……」
咲世子「ナナリー様、どうされましたか?」
ナナリー「お兄様のお帰りは……?」
咲世子「明日の正午になるだろうとのことでした」
ナナリー「では、今日はお兄様のベッドで寝ます」
咲世子「畏まりました」
ナナリー「―――ああ、お兄様の匂いがする」モゾモゾ
ナナリー(幸せ……)
モゾモゾ
黒の騎士団アジト
ゼロ(今日は酷く疲れたな……。学園での一件が影響しているな……)
カレン「ゼ、ゼロ……あの……あの……」モジモジ
ゼロ「どうした?」
カレン「こ、これ……みて、もらえますか……?」
ゼロ「どれだ?」
カレン「……これです」イエス
ゼロ「……!!」
カレン「い、意味とか……わかりますか……?」
ゼロ「それは……まぁ……」
カレン「……ゼロ」イエス
ゼロ「あのな、カレン……」
神楽耶「あー、なにやってるんですか?」
カレン「神楽耶様!!しまっ―――」
神楽耶「やっぱり考えることは同じですのね。ゼロ様、私も先日手に入れましたの。どうですか?」イエス
ゼロ「神楽耶様!!!はしたないことは!!」
神楽耶「でも、これは新婚にとっては必需品ですのよ?」イエス
ゼロ(くっ……ここでも……同じ事に……!!)
神楽耶「ゼロ様、カレンさんもイエスですし。少し疲れるかもしれませんが……」イエス
カレン「神楽耶様となら……」イエス
ゼロ「い、いや……今日は本当にやることが多く忙しいので……」
神楽耶「そうなのですか……」
カレン「……」
ゼロ(そんなにガッカリしなくても……。なんだこの罪悪感は……)
C.C.「おい、ゼロ。ナイトメアの整備がまだだろ。早くしろ」
ゼロ「あ、ああ、そうだったな。今行く。それでは、失礼します。神楽耶様。カレンも持ち場に戻れ」
神楽耶「はぁい」
カレン「了解しました……」
C.C.「……」
ゼロ「助かったぞ、C.C.。たまには役に立つな」
格納庫
ゼロ「さてと、始めるか」
C.C.「……」
ゼロ「まずは……」
C.C.「これは?」
ゼロ「なんだ?」
C.C.「……」イエス
ゼロ「……なんの真似だ?」
C.C.「ナナリーと親密になりすぎだぞ、お前」イエス
ゼロ「だからなんだ」
C.C.「私が更生させてやるよ。いい方法を知っている」イエス
ゼロ「なんだと……」
C.C.「カレンにも神楽耶にも靡かないなら、私が一肌脱ぐしかないからな」イエス
ゼロ「お前か!?神楽耶様に余計なことを吹き込んだのは!!!そうか……ナナリーがああなったのももとを辿ればお前が……お前が余計なことしなければ……!!!」
C.C.「妹に惚れこみ過ぎるお前のことを危惧してやったことだ。むしろ感謝して欲しいところだが」イエス
ゼロ「どの口がいう!?貴様がいなければ俺がここまでストレスと負う事もなかったに!!!」
C.C.「知るか」イエス
ゼロ「ええい!!こんなふざけたもの!!!」バシッ!!!
C.C.「あ……なにをする」
ゼロ「今は真面目に説教をしているんだ!!」
C.C.「そうか」イエス
ゼロ「拾うんじゃない!!!」
C.C.「早く結論を出せ。坊や」イエス
ゼロ「あ、あのなぁ……!!!」
C.C.「早くしないとイエスがノーになるぞ?」イエス
ゼロ「黙れ!!!」バシッ!!!
C.C.「あ、なにをする」
ゼロ「俺は真剣に怒っているんだぞ!!!わからないのか!?」
C.C.「ストレス発散にもなる」イエス
ゼロ「だから!!いちいち拾うな!!!この魔女がぁ!!!」
C.C.「なんだ、C.C.単品では不満か?ラクシャータあたりも呼んでやってもいいが……」イエス
ゼロ「この……!!作業の邪魔だ!!自室でピザでも食っていろ!!!」
C.C.「それともやはり幼児体型は必要かな?」イエス
ゼロ「なんの話だ!!」
C.C.「神楽耶だろ?わかっているさ」
ゼロ「関係ないだろうが!!!」
C.C.「少し待っていろ。今呼んでくる」
ゼロ「呼ばなくていい!!!」
C.C.「……いいのか?」イエス
ゼロ「そう言う意味じゃないんだよ……!!」
C.C.「我侭な坊やだ」
ゼロ「貴様は何がしたいんだ!!!」
C.C.「……」イエス
ゼロ「もういい……疲れた……。今日は休む……」
C.C.「なんだと」
ゼロの自室
ゼロ「ふぅ……」
C.C.「脱いだらどうだ?」
神楽耶「ですわね。仮面はそのままで」
カレン「あ、私が服を……」
ゼロ「……」
神楽耶「C.C.さんに誘われて……」
カレン「疲れているからマッサージをしてやれって……あの……」
ゼロ「また、お前か」
C.C.「……」イエス
ゼロ「イエスじゃない!!!」
神楽耶「ゼロ様!!落ち着いてください!!」イエス
カレン「わ、私も!!」イエス
ゼロ「今は一人にさせてくれ!!!」
C.C.「分かったよ」ノー
翌日 正午
ルルーシュ「ただいま……」
ナナリー「おかえりなさい、お兄様」イエス
ルルーシュ(やはり、ナナリーが一番だ。癒される……)
ナナリー「お兄様、随分と疲れていますか?」
ルルーシュ「ああ、ちょっと色々あってな……少し疲れている……」
ナナリー「休まれたほうがいいですよ?」
ルルーシュ「そうだな。そうするか」
ナナリー「あの……」イエス
ルルーシュ「分かってるよ。一緒に昼寝をするか」
ナナリー「お兄様、大好きです」
ルルーシュ「俺もだ、ナナリー。愛している」
ナナリー「お兄様……」ギュッ
ルルーシュ(どうしてあの魔女はナナリーのように振舞えないのか……)
ルルーシュ(ナナリーのような性格なら可愛げもあるというのに)
ナナリー早く来てくれー
ルルーシュ「ナナリー、いつも寂しい想いをさせてすまないな」
ナナリー「いえ、そんなことはありません」
ルルーシュ「だが、もう少しだ。もう少しでいくらでも一緒に寝ることができるようになるからな」
ナナリー「はい。そのときを待っています、お兄様」
ルルーシュ「ナナリーの……笑顔……は、お……れが……まもる……」
ナナリー「……」
ルルーシュ「すぅ……すぅ……」
ナナリー「お兄様、私は今のままでも十分に幸せです」
ナナリー「だから、ずっとナナリーの傍にいてくださいね」
ルルーシュ「うぅん……なな、りー……」
ナナリー「でも……いつか、このクッションが本来の意味を取り戻すことも秘かに願っていますから」
ナナリー「お兄様……愛しています……世界で一番……」ギュッ
ルルーシュ「すぅ……すぅ……」
ナナリー「すぅ……すぅ……」
数日後
C.C.(あれからというものルルーシュのナナリー熱は加速するばかりだな……。このままでは本当に道を外しかねない。この辺りで冷や水を浴びせてやらないとな……。私に構ってくれないしな)
C.C.「ナナリー、いい物をやろう」
ナナリー「ありがとうございます。これは……なんですか?触ったことのないモノですね」
C.C.「それをお前のデキる兄に見せてみろ。今以上に愛してくれるはずだ」
ナナリー「まぁ……」
C.C.(さて、妊娠検査薬を片手に兄の帰りを待つ妹か。ルルーシュがみたら、流石にもう一歩退かざるを得ないだろう……)
ナナリー(これ以上、お兄様に愛されたら……私、壊れてしまうかもしれません……)ドキドキ
ナナリー(それでも私は……お兄様のことが―――)
ルルーシュ「―――ただいま、ナナリー」
ナナリー「おかえりなさい、お兄様」
ルルーシュ「……!!……ナ、ナナリー……何を持っている……それは……!?」
C.C.「妊娠検査薬だ。パッケージにでかでかと書いてあるだろ」
ルルーシュ「ナ……ナナリィィィィィ!!!!!!」
ナナリー「はい?あ、はい。私もお兄様のことが大好きですっ」
おしまい。
乙
最後そこにC.C.が居たら「またC.C.の仕業か…」で終わってしまうなw
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