やすな「ソーニャちゃんが行方不明になっちゃったよ!!」 (45)

元・忍者同好会部室。


がらー


やすな「あぎりさーん!!」

あぎり「あらあらどうしたんですかやすなさん?切羽が詰まった顔をして」

やすな「ソーニャちゃんが…ソーニャちゃんが……」

あぎり「ソーニャがどうかしたんですか~?」


やすな「ソーニャちゃんが行方不明になっちゃったよ!!」

あぎり「そ~にゃんですか~それは困りましたねー」

やすな「うう…ダジャレ混じりで、あんまり困った様に聞こえない……」

あぎり「それで…一体どう言う事なんですか?やすなさん」

やすな「はいっ…あのですね……昨日の放課後、ソーニャちゃんと一緒に帰ろうとしたんですけど……」

やすな「ソーニャちゃん、今日は仕事があるからって……直ぐどっか行ってしまって……」

やすな「明日…と言っても今日ですけどね。授業には出られるって言ってたのに…何時まで経っても帰って来なくて……」

あぎり「はーそうなんですか~」

やすな「いったい…どーしたらいいんですか!あぎりさーん!!」うわーん
 

あぎり「あらあらあらそれは大変ですね~」

やすな「それであぎりさんなら、ナニか知ってるんじゃないかと思って、藁にも縋る思いで来たんです!!」

あぎり「う~ん…そうですねぇ……あっ!!」はっ

やすな「ナニか心当たりがっ!!」

あぎり「今のでお醤油を切らしていたのを思い出しました~」

やすな「ズコー!!!」こけー

やすな「もーあぎりさーん!真面目に聞いて下さいよ!!」

やすな「って言うか何で今ので醤油を思い出すんですか!!」ぷんすか

あぎり「ふふ…ごめんなさいねぇ…やすなさん。でも…やっぱり思い当たる節はありませんねぇ……」ふむ

やすな「そうですか……」しょんぼり

あぎり「お互いに…『お仕事』の事に関しての事は、あまり話したりはしませんし……」

あぎり「それに秘密事項も有りますから…仮に知っていたとしても、おいそれとお話しできないんですぉ~」

やすな「そうですよね…やっぱり……」しゅん
 

やすな「うう…ソーニャちゃん……どこ行っちゃたの?」うるうる…

あぎり「……………………」

あぎり「そうだっやすなさん」ぽんっ

やすな「何ですかあぎりさん?」

あぎり「駅前に新しくアイスクリーム屋さんが出来たんですけど、そこに今から行ってみませんかぁ~」

やすな「ええっ!?でも……」

あぎり「そんなしょんぼり顔をしてても、ソーニャが還ってくる訳では無いですよぉ」

やすな「それは……そうですけど………」

あぎり「それなら気分転換に甘い物でも食べて、少しでも元気になった方がいいですよ?」

やすな「でもぉ……」

あぎり「そうだ。それなら今日は特別に奢ってあげちゃいますよぉ」

やすな「分かりました!行きます!!」

あぎり「ふふ…決まりですねぇ」にこにこ
 

駅前のアイスクリーム店


店員「いら~しゃいっ!いら~しゃいっ!」

あぎり「いらっしゃいました~」

店員「ご注文は?」

あぎり「そうですね~このアイス下さい。やすなさんは?」

やすな「……私はこれで」

店員「あいよっ畏まりー!」

店員「有り難う御座いましたー」


やすな「あぎりさん…本当にいいんですか?」

あぎり「いいですよぉ~それより…近くの公園に行って食べません?」

やすね「はい。いいですよ」

あぎり「それじゃあ。れっつらごーです~」
 

近くの公園。


やすな「でも……あのあぎりさんが奢ってくれるなんて……」はっ!!

やすな「もしや何かの罠!?」ずざざっ

あぎり<やすなさんの…私に対するするイメージって……>

あぎり「心配ないですよ~ほらこの公園。以前…やすなさんが私にアイスをくれた所ですよ~」

やすな「あっそう言えばそうですね」

あぎり「だからこのアイスは、その時のお返しだと思って貰ってもいいですよ~」

やすな「そうですかっ!それじゃあ遠慮なく…いただきまーす」ぺろぺろ
 

あぎり「おいしいですか?」

やすな「はい。おいしいです」にこ

あぎり「うふふ…それはよかったのです~」にこにこ

やすな「おいしいおいしい」ぺろぺろ

あぎり「……………」にこにこ

あぎり「やすなさん…少しは元気が出ましたか~?」

やすな「はっはいっそー言えばいつの間にか出て来ました!!」

あぎり「ふふ…何時までもしょげた顔をしていたら、ソーニャが帰って来た時に嗤われてしまいますからね~」
 

やすな「はいっ!そうですね!!ソーニャちゃんの事だから、何食わぬ顔でいきなり帰ってきそうですしね!!」

あぎり「……ふふ…そうですねぇ」

あぎり「ねぇやすなさん、これからも何かあったら私を頼って下さいね。力になってあげちゃいますよぉ」

やすな「!?」

やすな<うう…あぎりさんが優し過ぎて、ナニか裏がありそうで怖い……でも……>

やすな「はい!判りました。ありがとうございます!あぎりさん!!」

あぎり「ふふ…何時でもいいでから」

やすな(こういう時は、素直にお礼を言わないとねっ!!)
 

……。


あぎり「食べ終わった事ですし…そろそろ帰りましょうか?」

やすな「はい!今日はありがとうございました。あぎりさん!!」

あぎり「ふふ…どういたしまして……こちらこそ、今日はやすなさんと二人でいっぱいお話が出来て楽しかったです~」

やすな「えへへ…そう言われると照れますな……それじゃあ、あぎりさんまた明日!」しゅた!

あぎり「また明日。やすなさん」ふりふり
 

数日後。


元・忍者同好会部室。


あぎり「……それで…ソーニャは未だ帰って来ないのですか~?」

やすな「……はい…連絡も全く付かなくて……もうどうしていいか……」しゅん

あぎり「う~ん。確かにここまで何も無いのはおかしいですね~」

やすな「あぎりさん!ソーニャちゃんは大丈夫ですよねっ!ねっ!!」

あぎり「そうですね…………大丈夫…と言いたいところですけど……」

やすな「言いたいところって…まさかあぎりさん!ソーニャちゃんの事!!」

あぎり「やすなさん」じ…

やすな「うっ!?」びくっ

やすな(あぎりさんのこんな真剣な貌…初めて見た……)どきどき

あぎり「【私達】の住んでいる世界は、やすなさんが思っている以上に危険と隣り合わせの世界なんです」

やすな「…………」
 

あぎり「今までが今まででしたから、判り辛いのかもしれませんが……」

やすな「……そっそんな事無いです!!」

あぎり「…………」

やすな「私…ソーニャちゃんの次におばかだから、確かに良く判らないですけど……」

やすな「でも!殺し屋さんがとても危険で…絶対にやっちゃいけない事だって事くらいは判りますから!!」

あぎり「…………」

やすな「ソーニャちゃんはそんな事も分からない…だから私よりテストの点数が良くても、私よりおばかなんです……」

あぎり「やすなさん……」

やすな「だからソーニャちゃんには、私が付いていてあげないといけないんです。殺し屋さんなんか辞めて貰う為にも……」

あぎり「やすなさん…やすなさんは、やっぱり優しい人なんですね」にこ

やすな「だってソーニャちゃんは私の大切なお友達ですから」にこ

あぎり(…………やすなさんの…今の貌……やっぱりこの人は……)

やすな「へへ…でも未だにソーニャちゃんに私の声が届かなくて、こんな事になっちゃってるんですけね。残念です」はは…
 

あぎり「…………やすなさん」

やすな「はい?何ですか?」

あぎり「今日もこれから私と何処かに行きませんか?今日も奢ってあげちゃいますよ?」

やすな「あぎりさん…ありがとうございます……」

やすな「あのお金大好きなあぎりさんが、お金を出してくれてまで私を元気付けようとしてくれてるんですよね?」にこ

あぎり「……………」

やすな「しかも…あの日から学校のある日は毎日……本当に感謝してます」ぺこり

あぎり「もうっお金大好きは余計ですよ~。でも…そうですよ。やすなさんは元気な姿が一番やすなさんらしいですから」

あぎり「私はそんなやすなさんが…大好き…なんです/////」

やすな「あぎりさん……でも…済みません……今日は家に帰ります……」

やすな「ここまで何も無いと…流石の私でも、ちょっと落ち込みが激しくて……」はは…

あぎり「………………そんなにソーニャの事が心配なんですか?」きっ
 

やすな「えっ!?」びくっ

やすな(あぎりさん…何かいつもと違う……何か少し怖い……)

やすな「そ…それはそうでs――――――」

あぎり「私より!!こんなに…やすなさんに尽くしている私より……」

あぎり「いつも、聞く耳を持たないで…いつもやすなさんを蔑ろにしている、ソーニャの方が良いんですか!?」

やすな「あぎりさん…突然、何を言って……?」おろおろ

あぎり「もうこの際だからはっきり言っちゃいますね……もうソーニャは戻ってきませんよ」

やすな「!?」

やすな「あぎりさん!!もうソーニャちゃんが戻って来ないって!流石の私でも怒りますよ!!」

あぎり「だって…殺し屋が仕事の次の日には戻れるって言い残して……」

あぎり「それが一週間も戻って来ないばかりか連絡もして来ないのは、任務に失敗してもう生きてh―――――」

やすな「そんな!!そんな事ないですよ!!ソーニャちゃんはこんな事で……」

やすな「そうですよ!明日…明日には何食わぬ顔で学校に来てますから!!」じわ…

やすな「だから…嘘でもそんな事は言わないで下さい……」えぐっえぐっ

あぎり「やすなさん……」
 

やすな「――――――」ひくっひくっ

あぎり「現実を受け止めて下さい…やすなさん。ソーニャはきっともう……」

やすな「どうして…どうしてそんな意地悪を言うんですか。あぎりさん……」ひくっひくっ

あぎり「でも…やすなさん……」すっ

だきっ…

やすな「えっ!?」どきっ

あぎり「もうソーニャはいませんけど…私が…やすなさんには私がいますよ……」ぎゅっ

やすな「あぎり…さん……?」きょとん

やすな(わ…私に抱きついて……吃驚したけど…柔らかくて…それにいい匂い……//////)ぽわん

あぎり「もう…いいじゃないですか…今度から私がソーニャに代わって、あなたのお相手をして差し上げますから……//////」

やすな「何を…言って……?」

あぎり「やすなさん…よく考えてみて下さい。ソーニャがあなたに何をしてくれましたか?」

やすな「えっ!?」
 

あぎり「何かあるとすぐに暴力を振って…やすなさんを傷付けて……」

やすな「そ…それは…私がソーニャちゃんにイタズラして……」

あぎり「にしてもアレはやりすぎです」

やすな「それに…ソーニャちゃんは、ああ見えて怖がりさんですし……」

あぎり「防衛反応というやつですか?ソーニャのソレは過剰防衛です。彼女が必要以上に臆病なのは認めますが……」

やすな「だからしょうがないって言うか…私はs―――――」

あぎり「ソーニャはプロです。腕もまぁ…其れなりに有ります」

あぎり「やすなさんがソーニャの後ろに付いたり、何かしようとしている事くらい気付かない筈が有りません」

あぎり「それが分かっていて、敢えてあんな振る舞いをしているんです。仮にもプロが素人にしていい事じゃありません」

やすな「でも…でもぉ――――」

あぎり「やすなさん!!」キッ

やすな「はっはいっ!!」

あぎり「そんなに…ソーニャの事が好きなんですか?」
 

やすな「えっ……?」

あぎり「いつもいつもあんな仕打ちを受けて……それでも…それでもソーニャの事が好きなんですか……私…よりも……」

やすな「あぎりさん……私はそれでm―――――」

あぎり「私なら!!私ならやすなさんがお望みになる事なら何でm――――」


ガララ――――!!!


?「あぎりから離れろ!やすな!!」


やすな・あぎり「「!?」」
 

やすな「ソーニャちゃん!!」

あぎり「……………」

やすな「ソーニャちゃんやっと戻って――――ってどしたの!!包帯ぐるぐる巻きにして!?」

ソーニャ「ああ…ちょっとやられてしまってな…やっと動けるようになったから、ここに来たんだ」

あぎり「………………」

やすな「もうっソーニャちゃんが死んじゃったんじゃないかって、心配したんだから!!」

やすな「それに無事だったなら、どうして連絡してくれなかったのさ!!」ぷんぷん

ソーニャ「この姿を見れば無事じゃないって事くらい、お前でも分かるだろ?」

やすな「そーいう意味じゃないよ!!」

ソーニャ「それに私の安否をお前に報告する義務なんて無いしな」

やすな「そんな!酷い!!」

ソーニャ「それに……私が生きている事を知られたくなかったんだ。特にお前にはな……」

やすな「――――――――!?」

やすな「ソーニャちゃんのおバカ!!すっごく心配してたのにあんまりだよ!!」じわ…

ソーニャ「うっ!?た…確かに今のは少しだけ悪かった。だが…お前に言えない理由があった事も事実だ」
 

やすな「どーいうことなのさ!?」

ソーニャ「…………そうだな…お前なら…私の言っている事の意味が分かるだろ?なぁ――――――」じっ


ソーニャ「あぎり」


あぎり「………………」


やすな「えっ!?どういう事なのあぎりさん?」

あぎり「う~ん…私にもわかりませんね~」はて?

ソーニャ「本当に分からないのか?あぎり」

あぎり「本当も何も…ソーニャが行方不明になった事も、やすなさんから聞いて初めて知ったんですし……」

ソーニャ「…………」

あぎり「どうして私が……って、もしかしてソーニャ、崖から落ちて頭でも打ったんじゃ~?」
 

ソーニャ「……あぁそうだよ。私は崖から落ちて…その所為でこれだけの傷を負ったんだ」

あぎり「それは災難でしたね~」

ソーニャ「だが、あぎり……」

あぎり「なんですか~?ソーニャ」

ソーニャ「どうして私が崖から落ちた事を知っているんだ?」

あぎり「何となくですよ~?それに全身に怪我を負うなんて、どこか高い所から転げ落ちる位しか無いじゃないですか~」

やすな「えっ!?えっ!?なに?なに?じょーきょーがよく分んないだけど……?」おろおろ

ソーニャ「しらばっくれるなよ?あぎり……お前だろ?―――――――」


ソーニャ「―――――――私を崖から落した張本人は」


あぎり「……………」
 

やすな「えええっ!!?あぎりさんが!!!?」

あぎり「ソーニャ…本当に頭を打ってしまった様ですn――――――」

ソーニャ「いい加減に茶番はよせ……」ふぅ

ソーニャ「あの時…あの山中で仕事を終えた私に、後ろから凶器を投げつけて、崖下に落したのはお前だろ?」

あぎり「後ろからでどうして私だって分かるんですか~?」

ソーニャ「分かるさ…仕事を終えて油断していたとはいえ、私に気取られずに近づける奴なんてそうはいない」

ソーニャ「それに凶器のこの手裏剣……御丁寧にお前の名前が書いてあるぞ」

やすな「えっ!?……じゃ…じゃあホントにあぎりさんが……」

あぎり「あ~そう言えばこの前、誰かに盗まれちゃいましt――――」

ソーニャ「恍けるなよ?あぎり。お前は他人に自分の商売道具を盗まれる様なタマじゃないだろ」はぁ

ソーニャ「それに…手裏剣の扱いを知っている奴なんて、私が知る限りお前だけだし」

ソーニャ「それに…私の任務を事前に知る事が出来る可能性があるのも、お前だけなんだよ」

あぎり「………………」

ソーニャ「なぁ…あぎり……いい加減に認めたらどうだ?これ以上シラを切っても見苦しいだけだぞ?お前らしくもない」

あぎり「……………………」はぁ

あぎり「そうですね。私らしくありませんでした~。その通り。私が犯人さんなのですよ~」

やすな「ええっ!?」がーん

あぎり「流石ソーニャ。よく分かりましたね~」

ソーニャ「流石って…馬鹿にしているのか?それ位…やすな以外なら誰だって分かるぞ?」

やすな「この状況下ですら悪口言われるの!?」がーん

ソーニャ「そんな事はどうでもいい。答えろあぎり。どうして私を狙ったりしたんだ?まさか組織から―――――」

あぎり「組織はかんけーありませんよ~。全て私の独断ですよ~」

ソーニャ「そうか……」

ソーニャ(一応…ボイスレコーダーで言質は取った…が、さて……)キッ

ソーニャ「なぁあぎり……どうしてお前が私を必要がある?理由は何だ?」

あぎり「分かりませんか~?」

ソーニャ「ああ。残念ながら分からないな。だから教えてくれ」

あぎり「しょうがないですね~じゃあ教えちゃいます。ソーニャ。あなたの持っている宝物を私だけの物にする為ですよ~」

ソーニャ「私の宝?」

やすな「ええっ!?ソーニャちゃん、宝物なんて持ってるの?見せて!見せて!」わさわさ

ソーニャ「いや…私の持ち物にそんな物は……少なくても、あぎりが欲しがる様な物は無いと思うが……」

あぎり「すぐ目の前にあるとても大切な宝物に気付かないなんて、ソーニャは罰当たりですね~」

ソーニャ「あ!?私が何だって?」ギロ

あぎり「ここまで言って分かりませんか……」すっ

あぎり「本当に…度し難い愚か者―――――」ギリッ

ソーニャ・やすな「「!?」」ビクッ!

やすな(こ…こんな怖い貌のあぎりさん…初めて見た――――)がくがくぶるぶる

あぎり「やすなさん」

やすな「はいーーーー!!」びくびくビシーーー

あぎり「貴女の事ですよ。私が欲しい宝物というのは……」にこ

やすな・ソーニャ「「!?」」

ソーニャ「はっ!?やすなが宝物?あぎり…お前いよいよ本格的におかしk――――」

あぎり「ソーニャ……あなたは本当に、やすなさん以上のおばかですね……」はぁ

ソーニャ「……………」

あぎり「やすなさんが…どれだけ得難い…掛け替えのない存在なのか未だ分らないなんて……」

ソーニャ(私をそんな憐れんだ目で見やがって)ギリ…

あぎり「やすなさんは…あなたが殺し屋でも、私が忍者でも避ける訳でも、怖がる訳でも……」

あぎり「ましてや嗤う訳でもなく、分け隔てなく接してくれる……そんな人…他に居ませんよ……」

ソーニャ(……い…言われてみれば確かに……)うーむ

あぎり「この人は…やすなさんは、私やソーニャの様な日蔭者を照らしてくれる太陽みたいな存在なのですよ……」

あぎり「ソーニャ…あなたはそんな事すらも気付けない愚か者……」

ソーニャ「……………」

やすな(あれ?私…もしかして、あぎりさんに…ものっそい持ち上げられてる?)わさわさ

あぎり「それなのに…あなたは…あなたは…そんなやすなさんを、蔑ろに…足下にして……」ギリ…

ソーニャ「それは…やすなが余りにもうざくて、しょうもなくてイラッとさせる事ばかりするからだ」キッパリ

やすな(こ…この場の空気……茶化したいけど茶化せない!てっ言うかこの期に及んでソーニャちゃん酷い!!)がーん

ソーニャ「だが…あぎり……とは言え…お前の好きにさせるのは癪に触るな。それに――――」

ソーニャ「――――この傷の借りもあるしな……」すっ…

やすな(ソーニャちゃんが臨戦態勢をとったー!?)

ソーニャ「『こう言う事』だろ?あぎり」ぐっ…

あぎり「そういう事ですよ~。ソーニャあなたがいる限り、やすなさんは、私を見てくれませんから~」ちゃき…

あぎり「――――だから…あなたが邪魔なんです!!」

ソーニャ(あぎりが…手裏剣ではなくてクナイを構えた?成程…それ程迄に『本気』って訳か……)

ソーニャ「丁度いい…お前とは一度、本気で殺り合ってみたかったんだ……」ぐぐ…

あぎり「ただでさえ私の方が腕は立つのに、そんな包帯ぐるぐる巻きの状態で私に勝つつもりですか~?」

あぎり「ソーニャは本当に救い様の無い、おばかさんですね~」くすくす

ソーニャ「言ってろ」フン

やすな(え……?なに…これ……二人ともナニマジになっちゃってるの?まずいよナンとかしなきゃっ!!)あせあせっ

やすな「ソーニャちゃんとあぎりさんから殺気なんて出しちゃ駄目だよ!」

やすな「えっ!?いつから出してただって?それはね――――」


やすな「さっきから」どやっ!!


ソーニャ・あぎり「「………………」」

ソーニャ「やすな!邪魔をするな!!私はこいつを…あぎりを殺らなければならない……」

あぎり「やすなさーん。今、貴女を苦しめる悪鬼羅刹を退治しちゃいますから、ちょっと待ってて下さいねー」ふりふり

やすな「私の渾身の…和ましギャグすら届かないなんてっ!!」がーん

ソーニャ「いくぞ!!」ばっ

あぎり「――――――」さっ


ダッ―――


やすな「だめーーーー!!!」ばばっ!!
 

ソーニャ・あぎり「「!?」」ぴた×2


やすね「ダメだよ…ソーニャちゃんも、あぎりさんも…お友達同士で傷付け合うなんて……そんなの絶対にダメだよ……」ぽろぽろ

ソーニャ「やすな……」

あぎり「やすなさん……」

ソーニャ「止めるなやすな!こいつは私を!!」

あぎり「やすなさん。ソーニャがいなくなれば、もう…あんな酷い事をされずに済むんですよ!?」

やすな「確かに…ソーニャちゃんはこんなに傷だらけにされちゃったし、私は何時もソーニャちゃんにやられてるけど……」

ソーニャ・あぎり「「なら!!」」

やすな「それでもダメ!ガチは駄目だよ!!あぶないよ!!!」

やすな「確かにわたしはソーニャちゃんに、何時も理不尽な程の暴力に見舞われてるよ……」

ソーニャ「それはお前が――――」

やすな「でも!私は楽しいよ!!おばかなソーニャちゃんとおバカなことしてるのがすっごく楽しいんだ!!」
 

ソーニャ「やすな…お前……そんなに私の事を……ん?おばか?」ピキッ

やすな「はっ!いやいや…それは言葉のあやってもんだよ?ソーニャちゃん!」びくっ!

やすな「それに…あぎりさんから買っちゃう忍者グッズも、役に立たないけど面白いよ!」やすな「ちょっと高い気もするけど、そうじゃなきゃそんなの何度も買わないよ!!」

あぎり「やすなさん……」


あぎり・ソーニャ「「………………」」

ソーニャ「あーわかったよ。やすなのあんな顔見たら殺る気が失せた」はぁ

ソーニャ「あぎり…今日のところは、組織には黙っといてやる。この傷の件も取り敢えず置いといてやる」

ソーニャ「だから。今日のところは手を引け」

やすな「ソーニャちゃん!!」ぱぁ!

あぎり「……でも…やすなさん!このままでいいですか!?ソーニャをこのままにしておいて!!」
 

あぎり「私なら…私ならやすなさんがどんなおバカな事をしても、手を出したりしませんし、喜んでお付き合いするのに……」

やすな「あぎりさん……」

ソーニャ「あぎり…今…私達が殺り合って、その結果どちらかが消えても、やすなが哀しむだけだ」

ソーニャ「やすなの笑顔が好きだって言うのなら、それこそ手を引け」

やすな「そうだよっ!あぎりさんもソーニャちゃんも…どっちが居なくなっても私は寂しいよ!!」

やすな「だって!だって!!二人とも私の大切なお友達なんだもん!!!」

あぎり「お友達……ですか…………」ふぅ…

あぎり「…………分かりました。やすなさんが、そう言われるのであれば、ここは矛を…いえ、クナイを収めます……」すっ……

あぎり「よかったですね~ソーニャ。やすなさんのお陰で命拾いしできて」にこにこ

ソーニャ「言ってろ…まぁ命拾いしたのはお前だけどな…あぎり」フンッ

ソーニャ・あぎり「「………………」」ピリピリ

やすな「まっまぁ!二人ともピリピリなんてしてないで、せっかく仲直りしたんだから楽しくやろうよ!!」
 

あぎり「そうですね~/////」ぎゅうっ

やすな(あっあぎりさん…また私に抱き付いて//////)どきどき

ソーニャ「――――!」ムッ

ソーニャ「……………」ぎゅっ

やすな「!?」

ソーニャ「…………////」

やすな(ソーニャちゃんから手をつないで!?)

あぎり「やすなさん…これからも宜しくお願いしますね。ついでに……ソーニャも」にっこり

ソーニャ「やすな…しょうがないから、もう少しお前のおばかにつき合ってやるよ」ソーニャ「…………ついでにあぎり……お前もな」ふんっ

やすな「ソーニャちゃん、あぎりさん……」

やすな「こっ――こっちこそよろしくね!!!」ぱぁ!!
 

やすな(それからというもの……)

やすな(ソーニャちゃんは、相変わらず理不尽で過剰防衛な処もあるけど、前に比べると余り痛くしないでくれてる様な気がします)

やすな(あと、ちょっぴり優しくなった様な気もしますし、ソーニャちゃんから手を繋でくれる事も多くなりました)

やすな(それに何よりも!今後は殺し屋の仕事を控える様にしてくれるって、言ってくれたんです!!)

やすな(これからは隠密的な仕事をメインにしていくって、今、あぎりさんに忍者的な事を教えて貰っているみたいです)

やすな(私としては、完全に足を洗って貰いたいところですけど、これでも少しはよしなのかなって思います)
 

やすな(それから…あぎりさんは……何かにつけて私に抱きついて来たり、べたべたする事が多くなりました)

やすな(ちょっと恥ずかしいし、たまにちょっと怖い時もあるけど、柔らかくて気持ちいいので、止めてとは言えません)

やすな(あと今までと同様、おもしろ忍者グッズを売ってくれます)

やすな(相変わらずあんまり役に立たないものも多いけど、お値段がかなり安くなったし)やすな(時たま本当に役に立つ物もあるので、これでもいいのかなと思います)
 

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年08月11日 (火) 07:07:02   ID: lgI_v0V7

ええ話や

2 :  SS好きの774さん   2016年07月06日 (水) 22:51:54   ID: 6i-QxEQP

これだよこれこれ

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