アーチャー「召喚に応じ参上した」ルイズ「あんた誰?」(336)

アーチャー「選定の声に応じ参上した。オレのような役立たずを呼んだ大馬鹿者はど

こにいる?」

ルイズ「え? ちょっと待って……!?」

アーチャー「ふむ。状況から察するに、君がそうか」

アーチャー「念のため確認しよう。君が私のマスターか?」

ルイズ「そ、そうよ……」

Fate/stay night と ゼロの使い魔のコラボです。

サイト×ルイズが至高とか、
セイバーの方でもう見たからいいという方はブラウザバックをお願いします

アーチャー「そうか。こちらに拒否権はないにしてもまたおかしなマスターにぶつかったな」

アーチャー「しかし、契約は契約だ。力を貸そう。」

生徒A「な、なんか人間が召喚されたぞ」

生徒B「赤い外套、あのい出立ち……平民じゃないな……」

ルイズ「ミスタ・コルベール!」

コルベール「……たとえ人間が召喚されたとしても、契約は契約だ。
君たちは進級時に使い魔によって属性を決定する。さあ、契約したまえ」

ルイズ「ですが、人間を使い魔にするなど聞いたことはありません!」

アーチャー「オレは英霊だが?」

コルベール「は?」

ルイズ「え?」

アーチャー「何を驚いている? それを知っていての召喚ではないのか?」

コルベール「ともかくだ。今はルールを優先する。彼には君の使い魔になってもらわなくてはな」

ルイズ「くっ……」

ルイズ「あんたの名前は?」

アーチャー「名前などない。アーチャーとでも呼べばいいさ」

ルイズ「弓兵……? まあいいわ。しゃがみなさい」

アーチャー「了解した」

ルイズ「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」

アーチャー「申し訳ないが、最後に令呪の確n」

ルイズ「」ガシッ

アーチャー「ちょっと待て、顔を近づけて何を」

ルイズ「じっとしてなさい」

ルイズ「ん…………」

アーチャー「これは……報酬の先払いかね?」

ルイズ「終わりました」

コルベール「『サモン・サーヴァント』は何度も失敗したが、『コントラクト・サーヴァント』はきちんとできたね」

生徒A「所詮英霊なんて嘘っぱちだろ」

生徒B「じゃなきゃルイズが契約なんてできるはずないもんな」

ルイズ「馬鹿にしないで! 私だってたまにはうまくやるわよ」

モンモランシー「ほんとにたまによね。ゼロのルイズ」

ルイズ「先生! 『洪水』のモンモランシーが私を侮辱しました!」

モンモランシー「誰が『洪水』ですって! 私は『香水』のモンモランシーよ!」

ルイズ「なによあんt」

アーチャー「まあ待てマスター。君は貴族なのだろう? であるならば優雅にあろうとするのがその務めではないのかね?」

ルイズ「なっ、使い魔のくせに……」

アーチャー「なに、君はまだ若い。そう焦ることもないだろう。今は耐え忍ぶ時期だ。違うか?」

ルイズ「ッ!! ふん!」

アーチャー「ほう、マスターではなくサーヴァントの身に刻むか。まあ郷に入りては郷に従おう」ジジジ……

コルベール「ふむ、珍しいルーンだな……」

コルベール「じゃあ皆、教室に戻るぞ」

アーチャー「君はみんなに付いていくといい。私は霊体化しておこう。何かあったら呼びつけたまえ」フッ

ルイズ「なんなの、アイツ……」

ルイズ「ファーストキスだった……」

――ルイズの部屋

ルイズ「アーチャー」

アーチャー「何か用かね? マスター」

ルイズ「本当に現れるのね……」

アーチャー「そういったはずだが?」

ルイズ「それはそうと、あんたは誰なのよ」

アーチャー「俺がだれなのかという問いに対しては『誰でもない』と返さねばならんな」

ルイズ「はぁ?」

アーチャー「……世界には破綻した事案が発生することがある。そうした事案に対して『世界』が俺たちのような存在を派遣する。いわば世界の免疫機能のようなものだ」

ルイズ「免疫……」

アーチャー「どうあれ、俺はその守護者の一人として存在している。あるいはその為の概念とでもいうべきだろう」

ルイズ「ま、まあわかったわ。じゃああんたは何ができるわけ?」

アーチャー「その問いに対しては君が私に何をさせたいのかによるな」

ルイズ「馬鹿にしてる?」

アーチャー「めっそうもない。君が戦えという時には戦うし、そうでなくて他の命令があるのならそれに従おう」

ルイズ「ふーん……じゃあ質問を変えるわ。あんた個人では、何ができるの?」

アーチャー「そうだな……」フッ

ルイズ「あんた……その剣」

アーチャー「オレだけができるということであれば剣を鍛えることくらいだ。そうでないのならせいぜい小間使い程度の働きはしよう」

ルイズ(私、とんでもないものを使い魔にしちゃったかもしれない)

ルイズ「じゃあ、私は寝るから。これ洗濯しておいてくれる?」

アーチャー「承知した、お嬢様」

――翌日


アーチャー「マスター。朝だ」

ルイズ「おはよう……って誰よあんた!」

アーチャー「おいおい、自分で召喚したものを忘れられては困るな」

ルイズ「ッ! 着替えるから。手伝いなさい」

アーチャー「仰せのままに」


ルイズ「いい手際ね」

アーチャー「慣れない経験ではあるがね」

――廊下

キュルケ「おはよう、ルイズ」

ルイズ「おはよう、キュルケ」

キュルケ「あなたの使い魔、姿は見えないけどまだ寝てるのかしら?」

ルイズ「アーチャー」

アーチャー「やれやれ、見世物じゃないんだがね……」フッ

キュルケ「……平民じゃないことはわかったわ。噂はあてにならないわね」

ルイズ「噂?」

キュルケ「ルイズが平民と契約したって聞いたわ」

ルイズ「なっ」

アーチャー「好きに言わせておけ。否定もしきれないしな」

キュルケ「それにしたって、いい男じゃない? 私と付き合わない?」

ルイズ「キュルケ!」

アーチャー「お誘い感謝するが、マスターの手前遠慮させていただこう」

キュルケ「名前は?」

アーチャー「アーチャーとだけ、言っておこう」

キュルケ「弓兵……? いいわ、覚えておくから。いきましょ、フレイム」

ルイズ「アーチャー、あんたしばらくそのままでいなさい。落ち着かないから」

アーチャー「マスターの指示なら、従うさ」

――食堂

生徒「なんだあの大男……」

生徒「ルイズの使い魔らしいぜ」

生徒「おい、あれ本当に平民かよ……」

生徒「馬子にも衣装ってやつじゃねえのか?」

アーチャー「好きに言わせておけ」

ルイズ「わかってるわよ」

アーチャー「どうぞ、お嬢様」スッ

ルイズ「あんたの食事は……まあ後で別に用意してあげるわ」

アーチャー「それはありがたい限りで」

ルイズ(さすがにパンの一切れじゃ可哀想よね……)

アーチャー(フランス料理に近いな……ふむ……あれなら作れるか?)

まだ書き溜めはありますが、いったんここで切ります。
14時くらいに再開します

遅れましたが再開します。

あと、HTMLの依頼についてよくわかっていないのですが、
その方法を教えて頂けると嬉しいです

――授業

教師「授業を始めますよ」ガラッ

教師「春の使い魔召喚は大成功のようですわね。このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に、様々な使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ」

教師「ミス・ヴァリエールは変わった使い魔を召還したものですね」

マリコルヌ「ゼロのルイズ!『サモン・サーヴァント』が成功しないからって、その辺の平民を連れてくるなよ」

ルイズ「違うわ! ちゃんと召喚したもの!」

マリコルヌ「嘘をつくな! 『サモン・サーヴァント』ができなかったんだろう?」

ルイズ「」ブチッ

ルイズ「アーチャー」

アーチャー「何だ、マスター?」

ルイズ「命令よ。平民じゃないことを証明しなさい」

アーチャー「その具体的な方法は?」

ルイズ「さっきの魔法を使いなさい」

アーチャー「『魔法』は無理だな。私は魔術師だ」

ルイズ「何でもいいから!」

アーチャー「やれやれ、主人の名誉を守るのも使い魔の務めかね?」

アーチャー「I am the bone of my sword.」ズガガガガガ

生徒「ひっ、け……剣が……」

アーチャー「これで満足か?」

ルイズ「え、えぇ……」

アーチャー「誇示はいい。だがタイミングを見誤ればそれは破滅につながるぞ」

ルイズ「下がって」

アーチャー「承知した」

教師「い、いい使い魔をお持ちのようで。ミス・ヴァリエール」

生徒「この剣……本物なのか……」ペタペタ

アーチャー「残念だが、没収だ」パリーン

教師「では、そのように優秀な使い魔をお持ちのミス・ヴァリエールには錬金を行っ

てもらいましょう」

ルイズ「わかりました」

キュルケ「危険です!」

ルイズ「黙って!」

キュルケ「先生はルイズを教えたことがおありでないのでしょう?」

教師「錬金は土系統のもっとも基本的な魔法です。問題はないでしょう」

ルイズ「やります」スタスタ

キュルケ「やめて」

教師「心を落ち着けて、生み出したい金属を思い浮かべながら杖を振るのです。さあ、どうぞ」

ルイズ「ッ!」

ドン!!

生徒「ほーら、やりやがった! まーた爆発したぜ」

生徒「あいつ、退学にすればいいんじゃねえの? さっきのもインチキだろ……って」

ルイズ「……!! 先生、見てください! 鉄です! 鉄ができてます!」

教師「……やはり、問題はありませんでしたね。これからも励んでくださいミス・ヴァリエール。それでは授業を続けます」

アーチャー「やれやれ、手のかかるマスターだよ」

――廊下

アーチャー「マスター。立ち止まらず聞いてくれ」

ルイズ「何よ」

アーチャー「君は先の『錬金』が成功したと思うか?」

ルイズ「やっぱり、あんただったのね……まあ、礼は言っておくわ」

アーチャー「そうか、わかっているのならいい。少なくとも君は既存の枠には収まらない存在なのだろう」

ルイズ「どういうこと?」

アーチャー「なに、そのうちわかるだろうさ」

――食堂

シエスタ「きゃっ」ガシャン

シエスタ「た、大変申し訳ございません。お食事を落としてしまいました……」

ルイズ「……それは誰の分なのかしら……?」

シエスタ「ミス・ヴァリエールの分でした」

ルイズ「今すぐに作り直しなさい! 早く持ってきて!」

シエスタ「は、はいぃ……」

アーチャー「マスター、服が汚れている。部屋に行って着替えてくるといい。食事は私が運ぼう」

ルイズ「そ。じゃあ任せるわ」スタスタ

アーチャー「平気か?」

シエスタ「ありがとうございますぅ……」

アーチャー「まあいい、片付けておいてくれ。オレはマスターの分の食事をとってくる」

シエスタ「その、実は……今日は材料が特別で余る分はないそうなんです……」

シエスタ「だから、私……緊張してしまって……」ウルウル

アーチャー「そうか……そういうことなら厨房を借りれるか?」

シエスタ「竈一つくらいでしたら……」

アーチャー「それで十分だ」

――厨房

コック長「なんでえ、お前は」

アーチャー「マスターの為に厨房の一角と余った材料をお借りしたい。構わないか」

コック長「ふん、ここはお前みたいな貴族の犬が入っていい場所じゃねえんだ」

アーチャー「給仕の子がマスターの食事をこぼしてしまってね、罰せられるのは忍びない。貸してくれないか?」

コック長「……そこの角だ。材料はその辺にあるやつを使ってくれ。明日の朝の分の魚もある。奥の貯蔵庫だ」

アーチャー「感謝する」

――部屋

コンコン

アーチャー「失礼する」

ルイズ「遅かったじゃない」

アーチャー「ああ、料理の確保に手間取ってね」コトッ

ルイズ「これは? さっきの料理とは違うみたいだけど」

アーチャー「オレの故郷の料理を再現してみた。
ここの料理にも近いように作ったので問題はないだろう。
コック長にも太鼓判を押されたんだ。味は保証する」


ルイズ「え? あんたが作ったの?」

アーチャー「厨房でいろいろあったようでね」

ルイズ「ふーん、まあいいわ。食べてあげようじゃない」

ルイズ「偉大なる始祖ブリミルと女王陛下よ。今夜もささやかな糧を我に与えたもうたことに感謝いたします」パク

ルイズ「おいしい……!」

アーチャー「だろ?」フフン

またここで区切らせていただきます。
次回は夜の更新を予定しております

いや……とりあえず1巻のラストまで全部書き終えているんですけど。
なーんかつまんないなーと思って推敲しているところです。

結構飛ばし飛ばしで書いてるんで内容が薄くなって……
地の文いれるかなぁ……

――翌日・食堂

シエスタ「昨日は本当にありがとうございました」

アーチャー「礼には及ばんよ」

シエスタ「あの、名前を……」

アーチャー「アーチャーとでも呼んでくれ……」

シエスタ「はぁ」

アーチャー「コック長、昨日は感謝する」

コック長「いや、礼を言うのはこっちのほうだ! お前さんの作った調理器具、ありゃよくできてるな!」

アーチャー「活用してもらえているようで幸いだ」

コック長「どうだ、ここで働いてみねえか?」

アーチャー「魅力的な提案だがオレにはマスターがいるんでね。しがない平民はマスターに従うほかないのさ」

コック長「そうか……でもたまにゃ来てくれ。お前さんのところの料理も教えてもらいたいからな!」

アーチャー「望むところだ。厨房も貸してもらえると助かる」

コック長「おう、当り前よ!」

ガヤガヤ
アーチャー(ふむ、精神年齢は見た目相応か。若いものだ)

生徒「ギーシュ! お前は今誰と付き合っているんだ?」

ギーシュ「僕に特定の女性なんていないよ。バラのように多くの女性を楽しませるのさ」ポロ

アーチャー(そのセリフ、大人になって後悔しないといいがな……ん?)

アーチャー「落とし物だぞ、色男」

ギーシュ「……これは僕のものじゃない、君は何を言っているのだね?」

アーチャー「そうか。だとしてもオレは使わないからな。ここにおいて行こう」コト

生徒「おお? その香水はモンモランシーのモノじゃないか?」

生徒「その鮮やかな紫色……まちがいない、モンモランシーの香水だ!」

生徒「ギーシュはやっぱりミス・モンモランシーと付き合っているんだ!」

ケティ「ギーシュさま……やっぱり」

ギーシュ「違うんだ、これは何かの間違いなんだ。おい平民、貴様の見間違えだろう」

アーチャー「あ、ああ……そうだったかもしれないな」

ギーシュ「ほら、彼もこういっている。僕の心の中に住んでいるのは君だけなんだ」

ケティ「その香水があなたのポケットから出てきたのが何よりの証拠ですわ! さようなら!」パン! タタタ

ギーシュ「違うんだ! ケティ!」

モンモランシー「やっぱり、あの一年生に、手を出していたのね?」

ギーシュ「モンモランシー、君の美しい顔をそんなにゆがめないでおくれ」

ギーシュ「君は誤解しているんだ。彼女はただ僕と一緒にラ・ロシェーヌの森へ遠乗りしただけで……」

モンモランシー「うそつき!」スタスタ

アーチャー「色男も苦労が絶えないな」

ギーシュ「お前のせいで……」

アーチャー「ん?」

ギーシュ「お前のせいで二人の女性の名誉を傷つけた!」

アーチャー「二股をかけていたのは君だ。破綻の原因はオレだが、この程度で破たんするならそれまでの関係だったということではないかね?」

ギーシュ「ぐっ」

生徒「そうだぞ! 今回は二股をかけていたギーシュが悪い!」

生徒「ギーシュ! 残念だったな! はっはっはっはっは!!」

アーチャー「俺が言えた義理ではないんだが、複数の女性に手を出すのはやめておけ……」

ギーシュ「平民風情が口答えをするな! 決闘だ!」

生徒「お、おい……やめとけよ」

ギーシュ「剣の話か? 何かのインチキだろう! ヴェストリ広場でまっているぞ!」タタタ

アーチャー「やれやれ、付き合ってやるかね」

シエスタ「あ、アーチャーさん……殺されちゃいますよ……」ワナワナ

アーチャー「何、案ずることはないさ」

シエスタ「は、はぁ……」

ルイズ「ちょっと! 今の見てたわよ!」

アーチャー「マスター。そう怒らないでくれ。俺のマスターならゆっくりと構えておけばいい」

ルイズ「貴族の力を知らないから……はぁ、まあいいわ。いい機会だから行ってきなさい……」

アーチャー「いい加減、使い魔が平民といわれるのは疲れたか? 聡いマスターで安心したよ」

ルイズ「後から行くわ」

アーチャー「別に、それまでに終わらせてしまっても構わんのだろう?」

さすがに戦闘シーンくらいはかっこよく地の分入れたいです。

――広場

広場には騒ぎを聞きつけた生徒たちが観戦しに集まっていた。
その手段はギーシュからは離れるようにして円形に広がっている。

最前列にいる何人かは杖を構えている。
人でリングを作り、被害を出さないための配慮である。

ギーシュ「とりあえず、逃げずに来たことを、誉めてやろうじゃないか」

バラの意匠が施された杖を掲げたギーシュに歓声が上がる。
誰も彼も暇を持て余して仕方がないようだ。少年少女たちは刺激に飢えているのだ。

アーチャー「マスターにご足労頂くのも申し訳ないのでね。さっさとはじめてくれるとありがたい」

ブーイングと野次の嵐。もちろんこんなことで心を乱す彼ではない。

ギーシュ「いいだろう。では僕のワルキューレと戦ってもらおうじゃないか」ズズズ

金属製のきしみを上げ、地中から起き上がる真鍮の像。
体が完全に形成されるや否や、アーチャーへと飛び掛かる。

ギーシュ「行け!」

――その刹那

アーチャー「トレース・オン」

まるでハエでも払うかのような手の振り。
それだけでかの像は真っ二つに分かれた。

アーチャー「鈍いな」ゴトリ

ギーシュ「な? 貴様、その剣はどこから持ってきた!」

アーチャー「これか? 些末な問題に気を取られていいのか?」チャキ

その場の全員はアーチャーが構えなおして、初めてその手に剣が握られていたと知った。
対を成すような白と黒の剣。
あるいは闇にまぎれ、あるいは月光をはじき、その正確な間合いを図れるような人間はここにはいない。

アーチャー「この程度が全力か?」

ただ――アーチャーの一人を除いては。

ギーシュ「今のは小手調べだ!」ズズズズ

杖を振るい、花弁が舞い散り、6体の像をなす。
各々が武器を持ち、これを振るい彼を貫こうと迫る。

アーチャー「6体か。運動にもならんな」

だが遅い。槍の穂先は左の剣に鞣され、剣の二本は右の剣に真ん中から切り落とされる。
後詰めに配置された2体は斧を振り下ろしてくるも、アーチャーの投げた剣に弾かれる。

ここまでは、誰もが驚いた。

アーチャー「なに、少し披露しようか」

ここからは、誰もが目を疑った。

空中から剣という剣が突き出てくる。
レイピアが・ロングソードが・ダガーが・クレイモアが・マンゴーシュが
丁寧に意匠を施された剣も、飾り気の欠片もない剣も。
すべてが一斉に空中から突出し、

ズドドドドドドドド――ッ!!

5体の像をガラクタに変えたのだ。

ギーシュ「空中から剣が……僕の、ワルキューレたちが……」

それらは一瞬にして光と消え、アーチャーは歩みを進める。
最後にギーシュを守るように盾を持つ像を縦に切り裂き――

アーチャー「続けるか?」

ギーシュ「ま、参った」

アーチャーはギーシュに手を差し伸べる。
ギーシュは自然とその手を取って立ち上がった。

アーチャーには先ほどのような殺気はない。

ルイズ「アーチャー!」

アーチャー「マスター、今終わったところだ。夜は冷える。部屋に戻るぞ」

ルイズ「う、うん……え?」

アーチャー「何か問題でも?」

ルイズ「どっちが勝ったの?」

アーチャー「答える必要のない問いだな。主人の名誉は守ったさ」

ルイズ「そう……」

――部屋

ルイズ「そう……そうね。主人の名誉を守ったというなら褒美くらい必要よね」

ルイズ「ねえ、アーチャー。あんた何かほしいものとかはある?」

アーチャー「お気遣い痛み入るがこれと言ってはないな」

ルイズ「何でもいいから!」

アーチャー「ふむ……なら剣を見に行かせてくれ。買う必要はない」

ルイズ「見るだけでいいの?」

アーチャー「ああ。この世界の剣がどんなものか、ぜひ見てみたいものだ」

ルイズ「ふーん。なら虚無の曜日に街へ行きましょう」

――夜・廊下

キュルケ「こんばんは」

アーチャー「こんばんは。何用かね?」

キュルケ「こんな時間まで見張り?」

アーチャー「何、いつものことだ。私は少し心配性でね」

キュルケ「ちょっといいかしら?」

アーチャー「少しくらいならな」

キュルケ「私の部屋まで来てくれる?」グイッ

アーチャー「なっ」バタン

キュルケ「座って?」

アーチャー「ずいぶんと強引なお誘いだな」

キュルケ「あなたは、私をはしたない女と思うでしょうね」

アーチャー「この手のお誘いは経験があるけどな。オレには受け取れない」

キュルケ「私の二つ名は『微熱』。あなたが燃え上がらせたのよ? わかってる。いけないことよ」

アーチャー「くどいな。あと、お客様がお待ちのようだぞ?」

生徒A「キュルケ、その男はなんだ!」

キュルケ「ペリッソン! えっと、その二時間後に」ボッ

生徒A「話が違う!」ウワー

アーチャー「手荒いな」

キュルケ「今のは友人よ。でもあなたが悪いの。ギーシュと戦っているときの姿、今でも目に焼き付いているわ」

アーチャー「あれは、戦ったうちには入らないがな」

キュルケ「あぁ、その声も素敵……」

生徒B「キュルケ! 今夜は僕と一緒に過ごすんじゃなかったのか!」

キュルケ「スティックス! ええと、四時間後に」ボッ

生徒B「そいつは誰だ! キュルケ!」ウワー

アーチャー「今のも友人か?」

キュルケ「今のは知り合い」

生徒C/D/F「キュルケ! そいつは誰だ! 恋人はいないって言ったじゃないか!」

キュルケ「マニカン! エイジャックス! ギムリー!」

アーチャー「よく覚えているものだ」

キュルケ「ええと六時間後に」ボッ

生徒C/D/F「朝だよ!」ウワー

セイバーの方も気になるから教えてくれ

期待してる
それとここはHTML化いらないから安心して

>>68
ありがとうございます。

>>67
まとめ記事になりますがこちらです
http://maoyuss.blog.fc2.com/blog-entry-1342.html
セイバー「問おう、あなたが私のマスターか」 ルイズ「……人間?」

デルフ購入くらいまでかっ飛ばして貼っていきます。
あと、次の更新は昼位を予定しています

アーチャー「今のは?」

キュルケ「知り合いでもなんでもないわ。愛してる!」

アーチャー「申し訳ないが、その愛は受け取れない。彼らにふりまいてやりたまえ」フッ

キュルケ「アーチャー!」


キュルケ「……素敵」

――翌日・廊下

アーチャー「ミスタ・ギーシュ」

ギーシュ「なんだ、平民」

アーチャー「昨日の二股の件だが」

ギーシュ「それを責めに来たのか」

アーチャー「少し違うな。誰もが一様に幸せにというのはなかなか難しいものだということを教えに来ただけさ」

ギーシュ「まさか、君も……」

アーチャー「似た経験があっただけさ。お互い苦労するなと声をかけに来ただけだ」

ギーシュ「先生……」

アーチャー「もっとも、君の場合はわざわざその苦労を……うん?」

ギーシュ「僕にそのノウハウを教えてください先生!!」

アーチャー「私と君とではその方向性がかなり違うのだが……わかった、できる限り協力しよう……」

――祝日・武器屋

ルイズ「こっちよ」

アーチャー(やはり街並みはヨーロッパのものに近いな……)

店主「旦那、貴族の旦那。ウチはまともに商売やってるんでさぁ、貴族様にお越しいただくようなことはなんもしてねえんだ」

ルイズ「客よ」

店主「お客様! いやー、ありがたいこって! そちらの旦那がおつかいになるんで?」

ルイズ「そうよ。いいものを見繕って」

店主「そうすっと……こいつなんかどうです?」

アーチャー「レイピアか……やはり考えることは一緒か」

ルイズ「他は?」

店主「そうですなぁ、これなんかどうでさぁ! メイジの方に切れる魔法ってのをかけてもらった超一級品! 鉄だって一刀両断できますぜ!」

アーチャー「なるほど。超一級品、ね……」

ルイズ「……いくらかしら?」

店主「エキュー金貨で二千。新金貨で三千」

ルイズ「百しか持っていないわ」

アーチャー「すまん、あの山を見せてもらえるか」

店主「そりゃ構わねえが」

???「なんでえ大男。お前さんにゃこんなちんけな店で剣なんざいらねえんじゃねえのか? ひやかしならとっととけぇれ!」

店主「おいデル公! お客様に失礼なことをいうんじゃねえ!」

ルイズ「それって……インテリジェンスソード?」

店主「はぁ、どっかの魔術師が作ったとかいうもんで」

デルフ「ともかくよぉ……ん? おでれーた。お前よく見りゃ『使い手』じゃねえか」

アーチャー「私か?」

デルフ「そらそうよ。おめえ、俺を買え」

アーチャー「ふむ……マスター、構わないか?」

ルイズ「あの剣いくら?」

店主「百ってところですかねぇ、厄介払いでさあ!」

ルイズ「安いわね。じゃあそれで」

アーチャー「感謝する」

店主「うるせえ時は鞘に納めりゃだまりますんで!」

――表通り

ルイズ「ねえ、本当にそれでいいの?」

アーチャー「マスター。ブリミルというのは、この世界の魔法使いの祖。間違いはないな?」

ルイズ「そうだけど」

アーチャー「そうか。ならなおのことこの剣がいい」

ルイズ「???」

アーチャー「よろしく頼むぞ。デルフリンガー」

デルフ「いい使い手じゃねえか。気に入ったぜ相棒!」

――再び店内

キュルケ「この剣、おいくら?」

必要か?

今回はここまでです。
実はアーチャーさんが優秀なせいで発生しないイベントや、
逆に発生するイベントがあったりなかったりなのですが……
その関係で土くれフーケ編が若干グダってしまっているので、もう少しそこを直してから投下します。
まあ、すでに十分グダグダな気もしますけどね……


この組み合わせのクロスすげぇ懐かしい…
昔は某SS投稿サイトにネギま×fateのパターンと並んで相当な量のゼロの使い魔×fateのSSがあったんだけど、殆ど完結せずに更新されない状態になったんだよなぁ…
頼むから完結はしてくれよ…

>>79 ガンダールヴの秘密に当たってはデルフの存在が必要不可欠です。
また、アーチャーさんの固有能力によってより真実には近い状態になっています。

今回、サーヴァント召喚時の一般知識についての仕組みがかなり物語を引っ張っています……
逆にそのせいでスカスカになっちゃったんですが。

2巻以降を書くことがあれば、ぜひデルフも活躍させたいと考えています

魔力供給普通に出来てんのかな?
結構ガンガン使ってるけど

ルイズの魔力は、確か特定の感情から生み出されているんだったな。という事はアーチャーさんの精神成長の為の思考法による教育は後々裏目に出るかも?

アーチャーってデルフはいらないような…ただの飾りで邪魔なるじゃないかな…

――校庭

ルイズ「でもまたずいぶんボロい剣よね、あんた」

デルフ「これは俺の勲章よ!」

アーチャー「だが、このままでは剣としての機能に劣る。研いでもいいか?」

デルフ「もちろんだ! 相棒なら安心して任せられるぜ!」

アーチャー「トレース・オン!」ガコッガコッ

ルイズ「石?」

デルフ・アーチャー「「砥石だ」」

ルイズ「あ、うん」

アーチャー「あとは川から水を汲んでくる。すこしデルフを見ていてくれ」

ルイズ「なんだろ。なんかアーチャーがすごい生き生きしてる気がする」

デルフ「なんでぇ。いつもああじゃねえのかい?」

ルイズ「あいつ、何でも淡々とこなすから。少し人間っぽくなかったのよね」

デルフ「ほぉ……」

ルイズ「笑う時も、どこか冷めたように笑うし」

デルフ「嬢ちゃん」

ルイズ「何よ」

デルフ「相棒のこと、よく見てんだなぁ……」

ルイズ「なっ!!! 主人なんだから! 当たり前でしょ!」

アーチャー「マスター、どうした?」

ルイズ「なんでもない!」

アーチャー「デルフ、何があったんだ?」

デルフ「なんでもねえよ、色男!」

アーチャー「……」シャーコシャーコ

デルフ「あぁー……生き返るわぁ……」

ルイズ「ねえ」

アーチャー「なんだ」

ルイズ「なんで、その剣を買おうと思ったの? 見るだけでよかったんでしょ?」

アーチャー「それか」

アーチャー「そろそろ潮時か……マスター」

ルイズ「何よ」

アーチャー「私についてどう思う」

ルイズ「どうって?」

アーチャー「この世界の人間だと思うか?」

ルイズ「そうじゃなかったらどこから来たっていうのよ」

アーチャー「『地球』だ」

ルイズ「へ?」

アーチャー「そう呼ばれた星・世界に住んでいた。もちろん英霊になる前は、だがね」

ルイズ「……嘘はやめなさいよ」

アーチャー「英霊は、サーヴァントとして召喚される際に、その地域・時代において一定の基礎知識が与えられる」

アーチャー「だから私はこの世界がどのような体制で動いているのかも知っているし、歴史も知っている」

アーチャー「デルフ、錆は落とした。次はその身を鍛えるぞ」

デルフ「相棒には驚かされてばっかりだなぁオイ。もちろんだ、全部まかせらぁ!!」

ルイズ「ここが……アーチャーの……」

彼は、ここにいたというのか。
彼の心にはこれしか映っていないのか。

あぁ、それはなんて――気が付けば涙があふれていた。

なぜかはわからない。ただ流したいと思った。
なぜかはわからない。ただ流すべきだと思った。
なぜかはわからない。それはただ、彼のために……

アーチャー「マスター、全工程は終了した」

アーチャー「マスター……どうした?」

ルイズ「ッ! なんでもないわ!」

アーチャー「さて、なぜこの剣を買ったかについてだが」

ルイズ「そうよ、その話よ!」

アーチャー「先ほどの世界。あの世界にはオレが記憶した剣がすべて収められている」

ルイズ「すべて……あれが……」

アーチャー「その過程において、その剣の経験・記憶を受け止める」

ルイズ「じゃあその剣は?」

アーチャー「この剣は……いや、正確にはこの剣の魂はブリミルが作ったものだ」

ルイズ「嘘よ!」

デルフ「……」

アーチャー「どうなんだ、デルフリンガー」

デルフ「……すまねぇ、なんか思い出しそうなんだがちっと思い出せそうにねえ……」

アーチャー「そうか。だが、その使い手ぐらいは覚えているだろう『ガンダールヴ』と」

デルフ「『ガンダールヴ』! そいつぁ覚えてるぜ! なつかしいなぁ!」

アーチャー「つまりはそういうことだ」

ルイズ「どういうことよ!」

アーチャー「いずれわかるさ。今知るべきことでもないな」

今回はここまでです。
>>88
何度も疑問視されるデルフの存在価値ですが、しゃべる剣以前に『魔法吸収』の基礎性能を持っているので
対魔術師武器として、攻防一体の使い勝手のいい武器として活躍してくれるかと。
あとは純粋に登場人物としても重要なので入手しました。
後半の重要人物が一人いないっていうのはあんまりにも厳しいです。

>>85
ルイズの感情による魔力(精神力)とアーチャー魔力供給において。
凛に匹敵するレベルで万全になっています。
ルイズは魔法の使用に制限はありますが、魔力量については制限がないという認識で書いていますので……
マスターとサーヴァントのパスにおいては、コントラクト・サーヴァントを令呪による契約に相当するものとして設定しています。

>>86
アーチャーの精神論+ルイズの精神修養ですが、
アーチャーは「耐えろ」と言いましたが「怒るな」とは言っていません。
表に出さず、心中で怒りにする=発散させないことで魔力量は増大している、としています。

これ以外にも、ご指摘があれば今後の方向性の助けになりますので幸いです。

>>82,87 
逃げません。少なくとも1巻終了時点までは逃げません。
信じてください何でもしますから(白目

ここのデルフの錆は偽装じゃない方か

そういえばデルフって片刃の方?両刃の方?
あ、鍛えなおすって言ってたからアーチャーが好きな方に変えるのかな?

ん?まさか他の虚無の使い魔も……

>>100
そこに気が付くとは……
2巻を書くことがあればそこにも触れたいと思っています。

>>102
2巻挿絵時点で片刃っぽいのでそのまま片刃で行こうかと。

>>103
アンタ天才だわ。やる気出てきた。
でもやっぱり物語上の齟齬が大きくなりすぎるのでアーチャー以外はオリジナルのままで進めると思います。


『破壊の杖』強奪まで更新します

キュルケ「こんなところにいたのね?」

タバサ「……」

アーチャー「やれやれ、今日は千客万来だな」

ルイズ「何しに来たのよ!」

キュルケ「いやねぇ、どこかの貧乏くさい貴族様と違うことを証明しに来ただけよ」

ルイズ「誰が貧乏くさいですって!」

キュルケ「これ、なんだかわかる?」サッ

ルイズ「これ……さっきの剣じゃない!」

キュルケ「アーチャー、受け取ってくれるかしら?」

ルイズ「こんなもの受け取らなくていいわよ、アーチャー!」

アーチャー「あー……」

デルフ「よっ、相棒! モテるなぁ!」

アーチャー「キュルケ、その剣はなんという触れ込みだったか覚えているか?」

キュルケ「え? 確か……ゲルマニアの錬金術師が鍛えた逸品とかだったかしら」

アーチャー「まあ、そうなんだがその剣にも欠点があってな」

キュルケ「え? 欠点?」

アーチャー「よく切れる――が代わりに恐ろしく脆い。指ほどの鉄なら両断できるだろうが、大剣とまともに打ち合えばそのまま折れるてしまうのさ、その剣は」

キュルケ「そ、そんな……」

アーチャー「もちろん、いい使い手なら長持ちもする。だが俺には無用だ――こいつもいることだしな」

デルフ「おうよ! こいつぁオレの思っていた以上の使い手だーな!」

タバサ「インテリジェンスソード」

キュルケ「ルイズが買ったのはボロボロの剣のはずじゃ……」

ルイズ「なんか、直しちゃったのよこいつ。いい使い魔を持てて幸せだわ!」

アーチャー「ま、悪いことは言わん。その剣は元の店に……」

ズーン ズーン

アーチャー「何の音だ?」

ルイズ「あれ、ゴーレムが!」

キュルケ「なんでこんなところに出てきたのかしら。そもそも大きすぎるわ」

タバサ「……」

アーチャー「いかん。こちらに向かってくる。マスター!」バッ

ルイズ「きゃっ」

アーチャー「何をしている。ヤツの進路から離れろ!」

タバサ「シルフィード」

シルフィード「」バサッ

アーチャー「回避はしたが……目的はなんだ?」

キュルケ「どこかに術者がいるはずよ、手分けして――」

ゴーレム「」ガン!!

キュルケ「校舎の壁に穴が……!」

アーチャー「マスター。止めなくていいのか?」

タバサ「あそこは宝物庫」

ルイズ「ッ! アーチャー! あのゴーレムを倒して!」

アーチャー「承知」フォン

アーチャー「我が骨子は捻じれ狂う――」キリキリ……

ルイズ「ちょっと、ゴーレムに弓なんて……」

アーチャー「フッ!」ヒュッ ドゴーン

ルイズ「」
タバサ「」
キュルケ「」

アーチャー「確保に向かうぞ」

ルイズ「え、ええ!」

アーチャー「どうやら一足遅かったようだな」

『破壊の杖、確かに領収いたしました。土くれのフーケ』

ルイズ「土くれのフーケって、町で噂になっているっていう盗賊だったわね」

キュルケ「まさか学院まで狙ってくるなんてね……」

今のアーチャーって、よく考えたら聖杯戦争でもないし、クラスはアーチャーでもなく、”ガンダールヴ”そのものなのでは?

デルフを投影したらどうなるんだろう
同じ人格が2つ?

お待たせしました。
初期の原稿からかなり書き換えました。だいたいフーケさんが弱いのが悪いんです。
あ、いえアーチャーさんが強すぎるのがいけないんです。

>>118
クラス:ガンダールヴというのも悪くはなかったんですが、
ガンダールヴとはっきり言ってしまうと、話の中では共通認識が生まれても、
読者の視点として「え、誰?」ってなりかねなかったのでアーチャーのままにしました。
なお、今回のアーチャーさんはステイナイトではなく、エクストラのアーチャーさんです。

>>141
アーチャーの投影では、記憶にある剣の全容を丸々作り上げるものなので、
デルフリンガーは人格を含めてデルフリンガーとして投影されますが、
高い投影の精度により別個の存在ではなく、
二振りの体を持つデルフリンガーとして存在するものと考えています。
ここまでが建前で

本当の理由は「デルフ二人なんて書くの面倒だから、です」

みなさん保守ありがとうございます。
今からフーケ戦終了まで投下します。

――フーケの隠れ家前

ロングビル「話に聞いた通りですね」

ルイズ「あれがフーケの隠れ家ね……」

アーチャー「隠れ家か。俺には……いや、なんでもない」

ロングビル「もう一度確認します。あの小屋はフーケの隠れ家だという情報が近隣の農民から得られました」

アーチャー「フーケとおぼしき人物の風体は?」

ロングビル「黒づくめのローブをかぶった男だとか」

アーチャー「なるほど、黒づくめのローブであれば私が見た人影とも合致する」

ロングビル「ともかく、我々はフーケより『破壊の杖』を取り返さなくてはいけません」

ルイズ「偵察、いける?」

アーチャー「任されよう」フッ



アーチャー「やはり無人か。とんだ茶番だ」フッ


アーチャー「小屋の安全は確認できた。とりあえず来てくれ」

ルイズ「誰もいなかったの?」

キュルケ「なんだか拍子抜けね」

タバサ「油断はよくない」サッ

タバサ「……罠はないみたい」

アーチャー「開けるぞ」

キュルケ「なんだかあっけないわねぇ」

タバサ「破壊の杖」パカ

アーチャー「……これが破壊の杖とはよく言ったものだ。杖ならまだ幸せだっただろうに」

ルイズ「きゃあああああ!」

アーチャー「マスター! どうした!」

ルイズ「ゴーレム!」

ルイズが叫んだその瞬間、小屋の屋根がゴーレムによってめくりあげられる。

タバサ「ッ!!」ゴッ

タバサが杖を振るい竜巻を起こすもピクリともせず、

キュルケ「ファイアーボール!」

キュルケのファイヤーボールに傷ついた様子もない。

キュルケ「効いてない! 無理よこんなの!」

しかして、かの赤き弓兵は泰然としてのたまう。

アーチャー「やはり罠だったということさ」

ルイズ「! 罠ってことはもしかして!」

アーチャー「さて、ここからは私の仕事だ。君たちは使い魔に乗って逃げるんだ」

タバサ「退却」

小屋の外に出たタバサがシルフィードを呼び、キュルケとともに飛び乗る。

キュルケ「ルイズ、急いで!」

アーチャー「マスター」

ルイズ「いやよ!」

ルイズはゴーレムとアーチャーの間に立つ。

ルイズ「あいつを捕まえれば、誰ももう、私をゼロのルイズとは呼ばないでしょ!」

ゴーレムが拳を振りおろすも、咄嗟に飛び出たアーチャーが出した剣に阻まれる。

アーチャー「くっ……彼我の実力差を見極めるくらいはしてほしいものだがね」

流石のアーチャーであっても、純粋に重量を掛けられては耐えるにも限界が生じる。
だが、下がることは許されない。
彼の後ろではルイズが詠唱を開始しているのだ。

呪文が完成。ルイズが杖を振りかざし、ゴーレムの表面で小爆発が起こる。

アーチャー「もう十分だろう! 下がるんだ」

彼の両手の剣は軋みを上げ、限界なのは明白だ。

ルイズ「駄目よ。私は貴族なの!」

アーチャー「それがどうした。そんなつまらないプライドなぞ――」

ルイズ「魔法が使える者を、貴族と呼ぶんじゃないわ」

ルイズはその杖を握りしめる。
なぜこんな場所にいるのか、なぜ下がらないのか。
目の前に立ちはだかる恐怖がわからないわけではない。
死ねばプライドなんてまったく意味がないことも、彼女はわかっている。
だが――それでも

ルイズ「敵に背中を見せないものを、貴族と呼ぶのよ!」

振りかぶり、呪文を唱える。
再び爆発したその威力は先のものよりも大きく、ゴーレムがよろめく。
アーチャーはその機を見逃さず、ルイズを抱えると素早くゴーレムから離れる。

アーチャー「やれやれ。あくまでもプライドに生きるか……」

ルイズ「だって、私……いつもゼロのルイズって馬鹿にされて……」

アーチャー「その反骨心を認めよう。その勇気を称えよう。だがその理想に死ぬのは今じゃない」

ルイズ「アーチャー……」

アーチャー「マスター、少し離れた場所でタバサと合流してくれ。彼女の持つ『破壊の杖』が必要だ」

ルイズ「ッ!! わかったわ!」

アーチャー「それまでの時間は私が稼ぐ」

ルイズがかけていくと同時、体勢を立て直したゴーレムが近づいてくる。

アーチャー「さて……この程度の土くれに負けてしまっては英霊の沽券に係わるのでね」

ゴーレムが拳を振り下ろすも、空を切るだけ。
彼の姿はその拳と体の間にある。

アーチャー「尤も、マスターの顔を立てねばならんのだ。つらいものだよ、サーヴァントというものは」

――ゴトリ
剣を抜く音も聞こえず、一閃。
ゴーレムの肘から先が切り落とされる。

アーチャー「さて、仕事だ。目を覚ませデルフリンガー」

仕切り直しと、大きく後退するアーチャー。
片腕を失い、ゴーレムの体が傾いだ。

デルフ「おーおー、相棒こいつはおでれーた。お前さん俺に鉄を斬れってか」

アーチャー「拳の表面を鉄で覆ったところで他が土では我々の敵ではない」

デルフ「いいねぇ。まあでも嬢ちゃんが杖を持ってくるまでの時間稼ぎなんだろ」

アーチャー「そうとも。木偶人形を足止めする必要があるんでね」

デルフ「んじゃ話は早い。あいつを固めてる魔法は俺が吸っちまうから、あいつのもう片腕をつぶせ!」

アーチャー「承知!」

疾駆。振り下ろす拳よりも速く。
木偶人形に認知できる速度よりも速く。
その眼前に迫り、肩口を叩き斬った。

が、しかし肩は落ちない。
それどころかもう片方の腕まで盛り上がる土に乗せられて、再びゴーレムの肘に収まる。
一瞬にしてゴーレムは元の姿を取り戻した。

アーチャー「やはりな」

デルフ「こりゃ、操ってるやつが近くにいるぜ相棒」

アーチャー「承知している」

デルフ「で、時間稼ぎでいいのかい?」

アーチャー「使い魔なものでな。主の顔は立てねばならんのだよ」

デルフ「難儀だなぁ……ほら、来てるぜ?」

片手では足りないとわかれば両手を振り下ろす。
アーチャーはゴーレムからわずかに離れ、躱し、その腕を駆け上がる。

その勢いで右腕を切り上げ、左腕を切り落とす。
眼前に立ち、首を跳ね飛ばす。

垂直に飛んで弓を展開。
真下を射抜き、小爆発が起こる。

ゴーレムから離れた場所にその両腕が転がった。

ルイズ「アーチャー!」

アーチャー「待ちかねた!」

ルイズ「それ、本当に魔法の杖なの!? 何にも起きなかったわ!」

アーチャー「案ずるな。そもそも杖ですらない。まして魔法なぞ」ピン

慣れた動作でピンを抜き、リアカバーを引き出し、インナーチューブをスライドさせる。

アーチャー「ファンタジーの世界に、理由もなく現代兵器なんて似合わない」カシャ

照準良し。距離も安全距離であることは明白。真後ろにいるルイズに配慮し横に動く。
ついにあきらめたか、ゴーレムは踏み潰そうと二人に迫る。
だが何の警戒もなく、愚鈍に近づいてくるゴーレムはただの的だ。

アーチャー「違うか?」カチッ

ドン!!
ゴーレムの腰に大穴があき、向こう側が見える。
やがてぼろぼろと崩れ始め、小さな土の山を残すのみとなった。

アーチャー「さて、無事に破壊の杖は回収できた。マスターのおかげで襲撃にも対応できたわけだ」

ルイズ「え、ええそうね……」ヘナヘナ

アーチャー「ッ! 大丈夫か、マスター?」

ルイズ「す、少し緊張が解けただけよ。気にしないで」

アーチャー「そうか。とりあえず、これは預けよう」

キュルケ「アーチャー! すごいわ! やっぱりダーリンね!」

ルイズ「キュルケ!」

タバサ「フーケはどこ?」

ロングビル「みなさん、無事でしたか?」

ルイズ「ミス・ロングビル! フーケはこのあたりにまだいます、破壊の杖はここに取り返しましたが」

ロングビル「そう……では、これは受け取りましょう」チャキ

キュルケ「ミス・ロングビル。何のつもり? 貴族に杖を向けるなんて」

ルイズ「ミス・ロングビル! どういうことですか!」

ロングビル「さすが破壊の杖ね。私のゴーレムがバラバラじゃないの!」

ルイズ「え、じゃあ……」

ロングビル「そう、私が『土くれ』のフーケ」

ロングビル→フーケ「おっと、動かないでね? 破壊の杖はぴったりあなたたちを狙っているわ。みんな杖を捨てなさい」

フーケ「赤いあなたもよ。妙な動きをしたらすぐに破壊の杖で、ご主人様を木端微塵にするわ」

ルイズ「どうして!?」

フーケ「いいわ、説明してあげる。私はね破壊の杖を持ち出したのは良いけど使い方がわからなかったのよ」

ルイズ「使い方?」

フーケ「ええ。この杖は振っても、魔法をかけても、うんともすんとも言わないんだもの。困っていたわ。使い方がわからないんじゃ、ただの宝の持ち腐れ。そうでしょ?」

ルイズ「ッ!!」

アーチャー「まて、マスター。言わせておけ」

フーケ「ずいぶんと物わかりのいい使い魔だこと。それで使い方がわからなかった私は、あなたたちにこれを使わせて、使い方を知ろうと考えたのよ」

キュルケ「じゃあ、全員がわからなかった場合は?」

フーケ「その時はゴーレムで全員踏み潰して、次の連中を連れてくるわ。でもその手間も省けたみたい」

フーケ「じゃあ、お礼を言うわ。短い間だけど、楽しかった。さよなら」


カチン

アーチャー「『M72ロケットランチャー』。正確にはM72A7。アメリカ海軍の採用モデルだ」

フーケ「な、どうして!?」カチンカチン

アーチャー「それは単発だ」

フーケ「単発!? どういうことよ!」

アーチャー「そもそも魔法の代物ではない。純粋に破壊のためだけに作られた『兵器』だ」スッ

フーケ「兵器……」

アーチャー「眠れ!」ガッ

フーケ「あ……ぐ……」クタリ

アーチャー「フーケの身柄・破壊の杖、ともに確保だ。任務は完了したぞ」

ルイズ・キュルケ・タバサ「アーチャー!」ガバッ

アーチャー「うぉ!?」

アーチャー「……悪くはない、か」

今回はここまでです。
気になっている方も多いと思われるオスマンとアーチャーの対談ですが、
エピローグは予定していなかったのでまだ書ききれていません。
そう日を置かずに書きますのでお待ちを……

アーチャーが呼ばれるなら四の四がそろうのはかなりやばいのでは……?
との指摘も頂きましたがそんなに深く考えて書いてないです。
vsワルドとか、アルビオンの戦いとかアーチャーにやってもらいたいんですが、
ワルド戦はともかく、アルビオンの7巻がさすがに遠い……

あと、書いてから気付いた大きなミスなんですが
>>97にて

アーチャー「この剣は……いや、正確にはこの剣の魂はブリミルが作ったものだ」

と言っていますが大嘘です。
デルフは先住魔法(ブリミルとは対立する魔法)の産物です。
私の調査不足でした。ですので>>97では

アーチャー「この剣は……いや、正確にはこの剣の魂はブリミルの使い魔が作ったものだ」

と変換してください。申し訳ありません

乙乙!

デルフ二人が面倒?人格がだいたい同じなら「「おでry」」とか

デルフ「一振りだけだと思ったか?」
デル複「俺様だよ!」

な感じで良いんじゃね?w

ふむ。世界的ヤバさはこういうヤバさなのかな?

ゼロ魔世界「え?地球にサイト居ない?マジで?ヤベーじゃん!ちょ、フェっ君助けて!」

フェイト世界「おう。分かった。あいつ応援に寄越すわ」

すいません、怒涛の忙しさにかまけて全くの放置でした。
少なくとも1巻までは完結させますのでお待ちください、
多くの人をお待たせして申し訳ない限りです。

オスマン「ふむ……ミス・ロングビルが土くれのフーケだったとはな……。美人だったもので、何

の疑いもなく秘書に採用してしまった」

コルベール「一体どこで採用されたんです」

オスマン「街の居酒屋じゃ。私は客で、彼女は給仕をしておったのだが、ついついこの手がお尻を

撫でてしまってな」

コルベール「で?」

オスマン「おほん。それでも怒らないので、秘書にならないかと、言ってしまった」

アーチャー「危機管理がなっていないな」

オスマン「あの居酒屋でわしに媚びを売っていたのも学院にもぐりこむためのフーケの手だったに

違いない」

ルイズ「」
キュルケ「」
タバサ「」

アーチャー「……」フッ

オスマン「あー、それはそれとして、君たちはよくぞフーケを捕まえ、『破壊の杖』を取り返して

きた」

オスマン「フーケは、城の衛士に引き渡した。そして『破壊の杖』は、無事に宝物庫に収まった。一件落着じゃ」

オスマン「君たち三人には『シュヴァリエ』の爵位申請を、宮廷に出しておいた。追って沙汰があるじゃろう。といっても、ミス・タバサはすでに『シュヴァリエ』の爵位を持っ

ているから、精霊勲章の授与を申請しておいた」

キュルケ「ほんとうですか?」

オスマン「ほんとじゃ。いいのじゃ、君たちは、そのぐらいのことをしたんじゃから」

ルイズ「……オールド・オスマン。アーチャーには何もないんですか?」

オスマン「残念ながら、彼は貴族ではない」

アーチャー「何も望まんよ。そもそも私は使い魔なのでね」

オスマン「さてと、今夜は『フリッグの舞踏会』じゃ。このとおり、『破壊の杖』も戻ってきたし、予定どおり執り行う」

キュルケ「そうでしたわ! フーケの騒ぎで忘れておりました!」

オスマン「今日の舞踏会の主役は君たちじゃ。用意してきたまえ。せいぜい、着飾るのじゃぞ」

キュルケ「失礼いたしますわ」

オスマン「おおそうじゃ。アーチャーといったか。君はもう少し残ってくれんか」

アーチャー「先に行ってくれればいい」

ルイズ「わかったわ」


オスマン「さて、私に聞かせてはくれないか」

アーチャー「……あの『破壊の杖』のことか?」

オスマン「そうじゃ。聞くところによると、君はあの杖の使い方を知っておったそうじゃの」

アーチャー「その前に聞かせてほしい。アレをどこで手に入れた?」

オスマン「今から三十年前のことじゃ。森を散策していた私はワイバーンに襲われての。そこを救ってくれたのが、あの『破壊の杖』の持ち主じゃ。彼は、もう一本の破壊の杖で、ワイバーンを吹き飛ばすとばったりと倒れおった。怪我をしていたのじゃ。私は彼を学院に運び込み、手厚く看護した。しかし、看護の甲斐なく……」


アーチャー「死んでしまったのか」

オスマン「私は、彼が使った一本を彼の墓に埋め、もう一本を『破壊の杖』と名付け、宝物庫に仕舞い込んだ。恩人の形見としてな……」

オスマン「彼はベッドの上で、死ぬまでうわごとのように繰り返しておった。『ここはどこだ。元いた世界に帰りたい』とな。……君は彼の世界のことを知っているのかね」

アーチャー「私はここの世界の出身ではない。おそらくその『彼』は、私と同じ世界の住人だったのだろう」

オスマン「そうじゃったか……久方ぶりに彼に、報告できるな……」

アーチャー「もっとも、私自身が異質な存在だ。ここに召喚されるのも何かしらの理由があってのことだとは思ったが、思いのほか根は深そうだな」

オスマン「しかし、君は帰らなくてもいいのかね」

アーチャー「帰る場所は無い。私は、ただ信念の下に剣を振るだけだ」


オスマン「ガンダールヴよ」

アーチャー「私のことか?」

オスマン「左手に刻まれたそのルーンは、ありとあらゆる武器を使いこなした伝説の使い魔『ガンダールヴ』のものじゃ。君が召喚されたのもそれに理由があるのかもしれん」

アーチャー「あらゆる武器を、か。まさしく私向けじゃないか」ニヤ

オスマン「まあなんにせよ。こちらの世界も住めば都じゃ。嫁さんだって探してやる」

アーチャー「そんな欲求は持ち合わせていなくてね」

オスマン「なんじゃ、若いのに枯れとるのう」

剣に拘らずに重火器投影すればこの世界なら無双できそうだな・・・

1です。トリップテストです

1巻最後までもう少しだけかかりそうなので多少の解説を。
アーチャー・ガンダールヴの話

固有結界の制限について
元来、アーチャーの扱う固有結界は世界に対する書き換えであり。故に世界側から『抑止力』が働くために必要な魔力消費は莫大なものとなります。
ですが今回、アーチャー自身が『抑止力』であること。
またアーチャーに対して『抑止力』による後押しが働いている為、固有結界の負荷は大幅に軽減されている。という設定にしています。

ガンダールヴの効果について
アーチャーの基本設定として、「投影した武器の持ち主の技量をある程度扱いこなせる」という設定があります。
作中でのガンダールヴの効果はこれにブーストをかける形で複製品の能力と同等の能力を発揮させるという設定にしています。

>>213-215 重火器について
公式の設定では「基本的に投影できるのは白兵武器のみ」とされていますので公式設定に準拠したいと思います。
というかロケランよりは「壊れた幻想」のほうが強そうです()

2巻はワルド戦が熱くなりそうなので時間を置きながら書いていければと考えています

――ホール・バルコニー

デルフ「相棒は参加しねえのかい?」

アーチャー「私はあの会場には異質だろう」

デルフ「の割には酒は飲んでるわけか」

アーチャー「嗜む程度さ」

デルフ「だけどよぉ、あのキュルケとかいう嬢ちゃん、やけに相棒に絡んでたじゃねえか」

アーチャー「パーティーが始まれば戻っていっただろう。私はその程度だということだ」

デルフ「じゃあなんでこんなところにいるんかね?」

アーチャー「マスターの護衛といったところだ」


デルフ「律儀だねえ。おや、そこの嬢ちゃんたちは相棒に興味があるみたいだね」

アーチャー「物珍しいだけだろう」

デルフ「カーッ! 相棒はお固くてかなわねえや!」

アーチャー「マスターが来るまでは暇でね。悪いがもう少しつきあってくれ」

デルフ「別にいいけどよぉ。その愛しのご主人様についてやらなくていいのかい?」

アーチャー「いざとなれば呼ばれるさ。着替えを見るなとも念を押された」

デルフ「ったく、相棒もほんとはわかってるんだろ?」

アーチャー「……私はただの使い魔だ」

デルフ「やれやれ」



衛士「ヴァリエール公爵が息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢のおなーりー」

アーチャー「……磨けば光ると思ってはいたが、ここまでとは」

デルフ「なんだ、惚れたのかい?」

アーチャー「ふっ、それこそまさかだ」


男子A「ミス・ヴァリエール。僕と踊っていただけますか?」

ルイズ「ごめんなさい」

男子B「おお、なんと美しい! まるで宝石のようだ。ぜひ僕とダンスを」

ルイズ「ごめんあそばせ」


デルフ「嬢ちゃん、大人気じゃねえか」

アーチャー「今になってその美貌に気付いたのだろう」

♪~~♪~~

アーチャー「曲が始まったようだな」

ルイズ「楽しんでるみたいね」

アーチャー「それなりには」

デルフ「馬子にも衣装じゃねえか」

ルイズ「うるさいわね」

アーチャー「マスターは踊らないのか?」

ルイズ「相手がいないのよ」


アーチャー「誘われていたように見えたが?」

ルイズ「……踊ってあげても、よろしくてよ?」

アーチャー「私のマスターは素直じゃないな」

ルイズ「あんたに言われるほどじゃないわね」

アーチャー「では一曲」

ルイズ「ねえ、アーチャー。私信じるわ」

アーチャー「なにを?」

ルイズ「その……あんたが別の世界から来たってこと」

アーチャー「あの世界を見せても信じていなかったのか?」

ルイズ「今まで、半信半疑だったけど……でも、あの『破壊の杖』……。あんたの世界の武器なんでしょう。あんなにみたら、信じるしかないじゃない」

アーチャー「頑固な主人は相変わらずということか」

ルイズ「アーチャーは、帰りたい?」


アーチャー「今日はよくそのことを聞かれるな。帰らんよ。マスターが望むまでここにいようじゃないか」

ルイズ「そ、そう? そっかぁー」

アーチャー「マスター、だらしない顔をしているぞ」

ルイズ「ふ、ふん。せいぜいこき使ってあげるんだから!」

アーチャー「覚悟しておこう」


デルフ「おでれーた! 主人のダンスの相手をつとめる使い魔なんて、初めて見たぜ! さすがは相棒だ!」

とりあえず、これで1巻分は終了です。
アーチャーさんが妙に紳士すぎたり、やっぱりバトルの中身が薄かったりするのはご愛嬌ということで。
日常部分は微妙にカットしつつ、バトルを中心にのんびりと書いていこうと思っています。
2巻以降もできればこのスレをそのまま使わせていただければと

ワルドさんに関してですが、まあ案の定謎強化か何かを施せたらなあと考えています

更新前の生存報告ついでに。

まだアーチャーは一回しか固有結界を貼ってません(しかもデルフの修復のために)
ので、一応切り札としての名目は立ってると思いたいです(しろめ)

あとアーチャーの維持ですが、サモン・サーバントで英霊の座から直接呼び出されたために、
この時点で限定的ではありますが受肉しています。(霊体化もできる)
加えて、維持のための魔力は術者の魔力(オド)ではなく、世界にある魔力(マナ)で維持されている、という設定で動いています。

第2章 アルビオンの風は赤く

ルイズは自分のベットの上で、夢を見ていた。
舞台は彼女の故郷、ラ・ヴァリエールの領地にある屋敷。

夢の中の幼いルイズは屋敷の中を逃げ回っていた。迷宮のような植え込みの陰に隠れ、追っ手をやり過ごす。

カリーヌ「ルイズ! まだお説教は終わっていませんよ!」

そういって騒ぐのは母であった。
夢の中のルイズは――実際は現実でも――出来のいい姉たちと比べられ、物覚えが悪いと叱られていた。

隠れた植込みの下から、誰かの靴が見えた。次いでルイズに同情するような召使たちの話し声。
見つかる、と思ったルイズはその場から逃げだした。

そして……彼女が『秘密の場所』と呼んでいる中庭の池に向かう。
そこは、ルイズが唯一安心できる場所だった。あまり人の寄り付かない、うらぶれた中庭……。

池に一艘だけ浮いている小さな小舟。今やルイズしか使っていない、舟遊びを楽しむための小舟であった。
夢の中の幼いルイズは小舟の中に飛び込み、用意してあった毛布にもぐりこむ。そんな風にしていると……。

中庭にかかる霧の中から一人のマントを羽織った立派な貴族が現れた。
年の頃は十六才くらいだろうか? 夢の中のルイズは六歳ぐらいの背格好だから、十ばかり年上に見えた。

???「泣いているのかい? ルイズ」

つばの広い、羽根つきの防止に隠れて顔は見えない。
でも、ルイズは彼が誰だかすぐにわかった。
子爵だ。最近、近所の領地を相続した、年上の貴族。
夢の中のルイズは、ほんのりと胸を熱くした。
憧れの子爵。晩餐会をよく共にした。
そして父と彼との間で交わされた約束……。

ルイズ「子爵さま、いらしてらしたの?」

子爵「今日は君のお父上に呼ばれたのさ。あのお話のことでね」

ルイズ「まあ! いけない人ですわ。子爵さまは……」

子爵「ルイズ。僕の小さなルイズ。きみはぼくのことが嫌いかい?」

ルイズ「いいえ、そんなことはありませんわ。でも……。わたし、まだ小さいし、よくわかりませんの」

ルイズははにかんで言った。帽子の下の顔が、にっこりと笑った。そして、手をそっと差し伸べてくる。

ルイズ「子爵さま……」

子爵「ミ・レイディ。手を貸してあげよう。ほら、つかまって。もうじき晩餐会が始まるよ」

ルイズ「でも……」

子爵「また怒られたんだね? 安心しなさい。ぼくからお父上にとりなしてあげよう」

島の岸辺から小舟に向かって手が差し伸べられる。大きな手。憧れの手……。
ルイズは頷いて、立ち上がり、その手を握ろうとした。
そのとき、風が吹いて貴族の帽子が飛んだ。

ルイズ「あ」

現れた顔を見て、ルイズは当惑の声を上げた。夢の中のことなので、いつの間にかルイズは六歳から十六歳の今の姿になっていた。

ルイズ「な、なによあんた」

帽子の下から現れた顔は、憧れの子爵などではなく、使い魔のアーチャーであった。

アーチャー「さあルイズ。おいで」

ルイズ「おいでじゃないわよ。なんであんたがここにいるのよ」

アーチャー「案ずるなマスター。君の気持ちはわかっている。みなまで言うな」

浮かんでくるちょっと小馬鹿にしたような、ニヒルな笑み。どこか勝ち誇っているように見えて苛立たしい。

ルイズ「馬鹿じゃないの! ちょっと踊ってあげたくらいでいい気にならないで!」

アーチャー「強がる姿も可憐だ。マイ・レディ。オレのルイズ」

ルイズ「誰があんたのルイズなのよ!」

アーチャーは気にせずに、ルイズを抱きかかえる。

ルイズ「やめてよ! ばか!」

だが、アーチャーはルイズを抱きかかえたまま、笑顔を浮かべるだけだ。

ルイズ「なんであんたなのよ! もう!」

ルイズはぽかぽかとアーチャーを殴りつけたが、彼は気にせずに「恥ずかしいのかい?」とルイズの顔を覗き込む。
ルイズは顔を赤らめた。なんだか、アーチャーに抱えられていると妙な気分になって、それがさらに夢の中のルイズをいらだたせるのであった。

扉の隣の壁に体を預けて、アーチャーは目を閉じていた。
これでも一応眠っている。が、徐に目を開けると、扉を開けた。

アーチャー「入るぞ」

デルフ「どうした、相棒」

アーチャー「いや、マスターがうなされているのでな。」

デルフ「いやー、ご主人様思いだね相棒は」

アーチャー「そうでもない。夢見が悪くて当り散らされるのはこりごりなのでね」

デルフ「苦労してんね」

アーチャー「もう諦めてるさ」

ルイズ「ばか……なんなのよ……」

アーチャー「マスター。起きてくれマスター」

ルイズ「ハッ」

アーチャー「ひどくうなされていた。悪い夢でも見ていたのか?」

ルイズ「なっ……」カァァァ

アーチャー「目が覚めたか。今は夜だがな」

ルイズ「なんで、あんたが私のベッドで……」ワナワナ

アーチャー「安心してくれ、ここに君を脅かすものはいない」

ルイズ「ばかーーーーーー!」バチーン

アーチャー「ぐっ」

ルイズ「出てって!」

アーチャー「あ、あぁ……その、なんだ。すまなかったな」ガチャ

デルフ「こりゃあひでえや。こりゃあひでえ」

ルイズ「知らない! ばか!」

廊下に出た後、アーチャーは一人ごちる。
アーチャー「なんでさ……」

言わなくなったはずの言葉が口からこぼれた

アーチャー「マスター、朝食だ」

ルイズ「……ありがと」

モンモランシー「ちょっと、ルイズ」

ルイズ「何?」

モンモランシー「あなたの使い魔、どうしたの?」

ルイズ「何を言っているのかわからないわ」

モンモランシー「だって、頬が真っ赤になってるじゃない? きっと誰かに叩かれたんだわ」

ルイズ「そうね」

モンモランシー「そうねって、あなた何も感じないの?」

ルイズ「知らないわよ!」

アーチャー「マスター」

ルイズ「くっ……!」

モンモランシー「なにしたの? 彼」

ルイズ「わたしのベッドに忍び込んだのよ」

モンモランシー「まあ!」

デルフ「それはちっとばかり一方的過ぎねえかい」

アーチャー「デルフ。やめておけ」

デルフ「いいや、いわせてもらうかんね。
相棒はそこの嬢ちゃんがうなされてるからってんで、夢見が悪いのはかわいそうだと思ったんだろうなあ……
んで、嬢ちゃんを一度起こしてやったんだよ」

ルイズ「ふん!」

モンモランシー「あら、ルイズってば素直じゃないのね」

キュルケ「あなたが誘ったんでしょ? ルイズ。エロのルイズ。誘ったけど、思うように乗ってくれなくて、それで八つ当たりでもしたんじゃない?」

ルイズ「だれがエロのルイズよ! それはあんたでしょーが! 私は誘ってないわよ!」

キュルケ「もう、こんなになっちゃって……、可哀想……、あたしが治してあげるわ」

アーチャー「いや、私は問題ない」

キュルケ「こんなに赤くなって……、あたしが『治癒』で治してあげるわ」

ルイズ「適当なこと言わないで。あんたに『水』系統の『治癒』が使えるわけないじゃないの。
あんたの二つ名『お熱』でしょ。病気。熱病。少しは水で冷やしなさいよ」

キュルケ「微熱よ。び・ね・つ。あなたって、記憶力までゼロなのね。
ゼロは胸と魔法だけにしときなさいよね」

アーチャー「……私は一度失礼する。
食べ終わったら片づけておくからそのままにしておいてくれ」スッ

キュルケ「アーチャー! もう! 彼、怒って行っちゃったじゃない!」

ルイズ「ふん! 自業自得でしょ! あんたはアーチャーの好みじゃないのよ!」

――屋上

デルフ「女三人集まると姦しいってのはホントだね」

アーチャー「ああ、そうだな……」

以降、こんな感じで細かく週二回更新で行きたいと思います。
土日のどっちかと、水曜(実質木曜日)のそれぞれ深夜に更新していく予定です

皆さん支援本当にありがとうございます。
ただ、地の分削っちゃってる部分が多かったり、そのせいで場面を変えてる場所があったりするので
是非、皆さんには『ゼロの使い魔』本編を楽しんでから拙作を読んでいただければと思います。(販促)
MFさんこれで黙認してくれますかね(滝汗
あとはウェールズ皇太子が死にそうにないのマジどうにかしてくれねえかな……w

コルベール「えーおほん。みなさん、本日はトリステイン魔法学院にとって、よき日であります。
始祖ブリミル降誕祭に並ぶ、めでたい日であります」

コルベール「畏れ多くも、先の陛下の忘れ形見、我がトリステインが春家ギニアに誇る可憐な一輪の花、
アンリエッタ姫殿下が、本日ゲルマニアご訪問からのお帰りに、この魔法学院に僥倖なされます」

コルベール「したがって、粗相があってはいけません。急なことですが、今から全力を挙げて、歓迎式典の準備を行います。
そのために本日の授業は中止。生徒諸君は正装し、門に整列すること」

――数刻後、王女馬車内

アンリエッタ「……はあ」

マザリーニ「これで本日十三回目ですぞ。殿下」

アンリエッタ「なにがですの?」

マザリーニ「ため息です。王族たる者、むやみに臣下の前でため息などつくものではありませぬ」

アンリエッタ「王族ですって! まあ! このトリステインの王様は、あなたでしょう? 
枢機卿。今、街で流行っている小唄はご存知かしら?」

マザリーニ「存じませんが、街女が歌うような小唄など、口にしてはなりませぬ」

アンリエッタ「いいじゃないの。小唄ぐらい。
わたくしはあなたの言いつけどおりに、ゲルマニアの皇帝に嫁ぐのですから」

マザリーニ「しかたがありませぬ。目下、ゲルマニアとの同盟は、
トリステインにとっての急務なのです」

アンリエッタ「そのぐらい、わたくしだって知ってますわ」ハァ

マザリーニ「……ワルド君」

ワルド「お呼びでございますか? 猊下」

マザリーニ「殿下のご機嫌が麗しゅうない。何かお気晴らしになるものを見つけてきてはくれないかね?」

ワルド「かしこまりました」スッ

ワルド「道に咲く花ではございますが、この可憐な花をどうか殿下に」

マザリーニ「隊長、おん手ずから殿下が受け取ってくださるそうだ」

ワルド「光栄でございます」

アンリエッタ「お名前は?」

ワルド「殿下をお守りする魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵でございます」

アンリエッタ「あなたは貴族の鏡のように、立派でございますわね」

ワルド「殿下のいやしきしもべにすぎませぬ」

アンリエッタ「最近はそのような物言いをする貴族も減りました。
祖父が生きていたころは……、ああ、偉大なるフィリップ三世の治下には、
貴族は押しなべてそのような態度を示したものですわ!」

ワルド「悲しい時代になったものです。殿下」

アンリエッタ「あなたの中世には、期待してよろしいのでしょうか? 
もし、わたくしが困ったときには……」

ワルド「そのような際には、戦の最中であろうが、空の上だろうが、
何をおいても駆けつける所存でございます。では……」

アンリエッタ「あの貴族は、使えるのですか?」

マザリーニ「ワルド子爵。二つ名は『閃光』。
かのものに匹敵する使い手は、『白の国』アルビオンにもそうそうおりますまい」

兵士「アンリエッタ姫殿下のおなーりーっ!」

キュルケ「あれがトリステインの王女? ふん、あたしの方が美人じゃないの」

キュルケ「ねえ、ダーリンはどっちが綺麗だと思う」

アーチャー「好みが別れるところだろう。君と殿下とでは美しさの方向性が違う」

キュルケ「んもう、それじゃわかんないわよ。どっち?」

アーチャー「そうやって、他人と比べようとするのは美しさのうちに入るのかね?」

キュルケ「……なるほど、ダーリンは私の美しさが比べるまでもないって言いたいのね」

アーチャー「そう取れるなら、幸せだろう」

ルイズ「……ぁ」

ワルド「」チラ

アーチャー「ほう……、貴族と言っても中々どうしていい目をする者もいるのだな」

ルイズ「……そうね」

アーチャー「マスター?」

ルイズ「……そうね」

アーチャー「やれやれ……青春なさっているようで」

キュルケ「あら、いい男。でもダーリンには敵わないわね」

タバサ「」ペラ

アーチャー「……君は相変わらずだな」

タバサ「」ペラッ

――同日、夜

???「」コンコン

アーチャー「失礼、マスターは現在、体調がすぐれない。用件なら伺おう」サッ

???「きゃあ!」

アーチャー「これは驚かせてしまい申し訳ない」

???「あなたは誰なのですか」

アーチャー「私はこの部屋の主のサーヴァントだ」

???「サーバント……使い魔……しかし、あなたは人間では?」

アーチャー「……ふむ。王女殿下をおいそれと追い返してはマスターに何を言われるかわからないな。どうぞ、お入りを」

アンリエッタ「あなたは一体……?」

アーチャー「しがない弓兵の使い魔としか」


===
本日はここまで。
まあ一応ある程度は正史に沿って進みたいとは考えています、はい。
ゼロの使い魔はラノベの中でも突出して地の分に優れてるから、
SSに直すときには苦労しますね……

アンリエッタ「ああ、ルイズ、ルイズ、懐かしいルイズ!」

ルイズ「姫殿下、いけません。こんな下賤な場所へ、お越しになられるなんて……」

アンリエッタ「ああ! ルイズ! ルイズ・フランソワーズ! そんな堅苦しい行儀はやめてちょうだい! あなたと私はおともだちじゃないの!」

ルイズ「もったいないお言葉でございます。姫殿下」

アンリエッタ「やめて! ここには枢機卿もだれもいないのですよ! 
ああ、もうわたくしには心を許せるおともだちはいないのかしら。
昔馴染みの懐かしいルイズ・フランソワーズ、
あなたにまでそんなよそよそしい態度を取られたら、わたくしは死んでしまうわ!」

ルイズ「姫殿下……」

アンリエッタ「幼いころ、いっしょになって宮廷の中庭で蝶を追いかけたじゃないの! 泥だらけになって!」

ルイズ「……ええ、お召し物を汚してしまって侍従のラ・ポルトさまに叱られました」

アーチャー「ずいぶんとやんちゃしていたようだな……
然るにマスターは姫殿下の幼少のころの遊び相手だったということか」

アンリエッタ「ええ、その通りですわ」

ルイズ「色々あったけど、姫殿下は覚えておいでなのですね」

アンリエッタ「忘れるわけないじゃない。あのころは、毎日が楽しかったわ。なんにも悩みなんかなくって」

ルイズ「姫さま?」

アンリエッタ「あなたがうらやましいわ。自由って素敵ね。ルイズ・フランソワーズ」

ルイズ「なにをおっしゃいます。あなたはお姫様じゃない」

アンリエッタ「王国に生まれた姫なんて、籠に飼われた鳥も同然。
飼い主の機嫌ひとつで、あっちに行ったり、こっちに行ったり……」

アンリエッタ「結婚するのよ。わたくし」

ルイズ「……おめでとうございます」

アンリエッタ「あらごめんなさい。もしかして、お邪魔だったかしら」

ルイズ「邪魔? どうして?」

アンリエッタ「だって、そこの男性、ルイズの恋人なのではなくて? 
さっきは私の手前召使いなんて嘘を吐いたのでしょうけど。
つい懐かしさにかまけて、とんだ粗相をしてしまったみたいね」

ルイズ「そ、そんなこと! その男は恋人なんかではありません! 使い魔です、使い魔!」

アンリエッタ「使い魔? 人にしか見えませんが……」

ルイズ「いいえ、本当に使い魔なのです。先の盗賊も彼のおかげで捕まえることができました」

アーチャー「なに。使い魔の腕もマスターの腕だ」

アンリエッタ「はあ、ルイズ・フランソワーズ、あなたって昔からどこ変わっていたけど、相変わらずね」

ルイズ「私も何故彼が使い魔になったのかわかりません」

アンリエッタ「そういえば、なぜ彼は私が王女だと分かったのでしょうか。
フードでしっかり顔を隠していましたのに」

アーチャー「僭越ながら。私はこの学院内で使い魔であると周知されている。
にもかかわらず私の存在を知らない、この学院の生徒程の年齢の女性であれば殿下だと推測した」

ルイズ「おかしな使い魔で申し訳ありません」

アンリエッタ「いいえ、大変な推察力ですわ。貴族であれば側近に取り立てたいくらいに」

ルイズ「いけません。彼は一応平民なのです。魔法は使えるといえば使えるのですが」

アーチャー「魔術だ。マスター」

ルイズ「こういって憚りません。学院としてもメイジとしては迎えられないと首を横に振っているのです」

アンリエッタ「そうなのですか……」ハァ

ルイズ「姫さま、どうかなさったんですか?」

アンリエッタ「いえ、なんでもないわ。ごめんなさいね……
いやだわ、自分が恥ずかしいわ。あなたに話せるようなことじゃないのに……、わたくしってば……」

ルイズ「おっしゃってください。あんなに明るかった姫さまが、
そんな風にため息をつくとは、何かとんでもないお悩みがおありなのでしょう?」

アンリエッタ「いえ、話せません。悩みがあるといったことは忘れてちょうだい。ルイズ」

ルイズ「いけません! 昔は難でも話し合ったじゃございませんか! 
私をおともだちと呼んでくださったのは姫様です。そのおともだちに、悩みを話せないのですか?」

アンリエッタ「ルイズ……わたくしをおともだちと呼んでくれるのね。とても嬉しいわ」

アンリエッタ「今から話すことは、誰にも話してはいけません」

アーチャー「私は外にいよう」

アンリエッタ「いや、メイジにとっては使い魔は一心同体。席を外す理由がありません」

アーチャー「了解した。だが外部に誰もいないとは限らない。確認してこよう」

ルイズ「ありがとう、アーチャー」

アンリエッタ「ディティクトマジック」

遅れましたが本日はここまでです。
今週も水曜日が忙しいため週末の更新のみになってしまうかと思われます。

楽しみにしていただいている方々には申し訳ありませんが、待っていただけると幸いです
一応、質問や意見などあれば水曜日夜にお返事したいと思います
また、誤字脱字等は見逃してください。気を付けていますが何分修正できませんので……

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年12月13日 (土) 21:16:24   ID: AnbtKxD7

おもしろい!

2 :  SS好きの774さん   2015年01月04日 (日) 13:58:01   ID: m3yBqS_G

理想卿に同じクロス作品があるんだが

3 :  SS好きの774さん   2017年05月17日 (水) 00:41:50   ID: iMsroG-6

消えたか...

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