菫「私は君に恋をした」(116)

ID:hjMlBrM40の代行です☆

宥「私はあなたに恋をした」
の続きやで

途中で何書いてるかよくわからなくなったから支離滅裂になってたらすまん

寒空の下、私は友人たちを待っている。
寒くてたまらないけれど、ここが待ち合わせの場所だから仕方がない。
妹はトイレに行ってしまい、今はここで一人、友人たちを待つ。

「宥、寒いだろ?あ、久しぶり」

と、声をかけられてふりかえると、背の高いあなたがいた。
とってもおしゃれなあなたは、同い年には見えないほど大人びている。

「菫ちゃん、久しぶりだね。寒いけど、でも待ち合わせ場所だし…」

「これを使えばいい。すまない、もう少し場所を考えるべきだったよ」

あなたは自分のマフラーを私にかけてくれる。
あなたの首元が寒々しいけれど、このマフラーはとても暖かい。

「あったかい…」

「それはよかった。玄ちゃんは?」

「あぁ、玄ちゃんはお手洗いに…」

「そうか、じゃあもう少し待とう。照は現地合流だ」

「そうなんだ、照ちゃん元気?」

「あぁ、相変わらずだよ」

「菫ちゃんは?」

「私も相変わらずだ」

「ふふ、そっか」

あなたと普通に話せるのがいつも不思議。
私の好きな人によく似たあなた。
あの人と話しているような気がしてぽかぽかする。

私はあの人と話すことは出来ないし触れることも出来ない。
こうして、マフラーを借りることも、当然出来ない。

だから、あなたが私に優しくしてくれると嬉しいけれど
同時に少し、悲しくもなる。
あなたとあの人がよく似ているから。

でも大丈夫、私はちゃんとあなたとあの人が違う、
別の人だとわかっている。だから混同なんてしない。

ただ少し、困惑するだけ。

「お姉ちゃんお待たせーって弘世さん、お久しぶりです!」

「久しぶり、玄ちゃん。照は、」

「現地に行ってるってメール来てました」

「相変わらず仲がいいな、君たちは」

「玄ちゃんはいつもニコニコ笑顔でメールしてるよね」

「わ、ちょ、お姉ちゃんそれ内緒!」

「じゃあ、行くか。宥、それずっとしてていいからな」

「うん、でも菫ちゃんは寒くない?」

「あぁ、平気だよ」

あなたはそう答えて、私たち姉妹に背を向けて歩き出す。

すると、隣の玄ちゃんが私に耳打ちをした。

「お姉ちゃんたちも相変わらず仲良しだね」

「そ、そんなんじゃないよ?」

「ふふん♪どうかなぁ~♪」

玄ちゃんの機嫌はいいみたい。
そうだよね、好きな人に会えるのに機嫌が悪い人はいないよね。

インターハイのとき、玄ちゃんは宮永照さんと仲良くなった。
2度対戦して、心は折れかけたけど、それでも向かってきた玄ちゃんを、
宮永さんは気に入ったそうだ。

連絡先を交換して連絡を取り合ううちに、会おうという話になって
宮永さんは大阪での取材の後、奈良のうちの旅館へ泊まった。

二人は本当に楽しそうに話していたし、見ていてあったかくなる二人だった。
お互いに惹かれあっているというのはすぐにわかったし
玄ちゃんと宮永さん、照ちゃんが付き合い始めるのはこのすぐあとのこと。

このとき、照ちゃんには同行者がいて、それはあなただった。
玄ちゃんと照ちゃんが一緒だと、私はあなたと二人でいる時間が多かった。

私はずっと複雑な気持ちだったのを覚えている。
私の好きな人にそっくりなあなたが目の前にいるけれど
確かによく似ているけれど、私の好きな人とは別の人だから。


どう接すればいいのかわからなかった。

それにインターハイのときはあなたと「あの人」が別の人だとわかって
その事実にがっかりして、虚しくなったりして
あなたに対してとても失礼なことを言ってしまった。

私はそのことを謝ってはいないし、あなたもきっといい気分ではないと思う。
決勝の卓でも、あなたは自分のクセを修正できずに私から直撃を受けていた。

だから、きっと、私はあなたに嫌われているだろうと思っていた。

でも、あなたは、

「インハイではやられてしまったなぁ、ははは」

と、笑った。

髪をかきあげながら、なんでもないというように笑いながらそう言った。

「松実さん、君は私に言っただろ?『あなたに興味はない』って」

「はい…すいません」

「いいんだ、それで私は発奮したからな。負けはしたが、
あんなに悔しくて必死になったのは久しぶりだったし、
怒ってなんていないから安心して欲しい。」

「…ありがとうございます」

あなたは優しかった。ひたすら、優しくしてくれた。
その優しさが、暖かさが正直心地よかった。

「あの人」は私に暖かさはくれない。
ううん、見ているだけで暖かくはなるけれど…
けれど、それとこの暖かさは別のような気がする。


私はあなたのその暖かさに甘えようと思った。

あなたは「あなた」ではないけれど、でも、
「あなた」に限りなく近い存在だから、きっといつか、
私の中で同一化できるんじゃないかと、そんな淡い期待ももっていた。

きっと羨ましかったんだ。玄ちゃんや照ちゃんが羨ましかった。
好きな人に触れて、言葉を交わすのが羨ましかった。


だから、そんな淡い期待をもったんだ。


その期待はなかったことになるとわかっていても
それでも、淡い期待を持たざるをえなかった。

二人がうちの旅館に泊まった夜、私は自室で「あなた」に会った。

「……」

画面の中のあなたはいつも通りの凛々しさで、美しかった。
手を伸ばして、画面の中のあなたに触れる。

暖かい。熱を持った画面は暖かい。

「ねぇ…私は、あなたが好き…」

呟くような声が漏れる。

「好きなの…ねぇ、どうしよう…」

泣きそうになっている自分に気付いてハッとした。
「あなた」に会っているのに、何故泣きそうなんだろう。

あなたに会ったせいだと思った。
あなたに優しくされたせいだと思った。

決して手に入らない「あなた」の優しさや暖かさを
あなたが与えてくれたから、悲しくなったんだ。

けれどこれではっきりと自認したことがある。

やっぱり、私は「あなた」が好きだということだ。

泣くほど、辛いほど「あなた」が好きだから
手に入らないものに嫉妬してしまうんだ。

でも私はこれをきっかけにあなたと「あなた」は
全くの別なんだと理解できた。

あなたの優しさは「あなた」の優しさじゃないんだ。
当然わかっていたはずなのに、と、自分が情けなく思えた。


同時に、もっていた淡い期待は予想通り、どこかへ消え去っていった。

でも、不思議なことだけれど、これをきっかけに私とあなたは仲良くなった。
玄ちゃんと照ちゃんのような関係ではないけれど、
あなたは私を「宥」と呼び、私はあなたを「菫ちゃん」と呼んだ。

私はあなたのことが嫌いではなかった。
優しさや暖かさはもちろんだけれど、二人で話をしているのが好きだった。
会うのをいつも楽しみにしていた。
あなたと「あなた」が違うと自分の中ではっきりさせたら
あなたの優しさに甘えることは辛いことではなくなった。

友達の一人であるあなたに甘えることはおかしいことじゃない。
灼ちゃんや憧ちゃん、穏乃ちゃんに甘えるのと同じことだから。

だから、何もおかしくはない。

それでも、会うたび少しだけ悲しくなって困惑するのは仕方がない。
そう思ってそのことはあまり考えないことにしていた。

私たちは、玄ちゃんと照ちゃんが会うたびにそれに同行した。
玄ちゃんは私と一緒だと安心すると言い、
照ちゃんは菫ちゃんがいないとすぐに迷うからという理由だった。

恋人同士なのだから二人で会えばいいのにとは思うけれど
菫ちゃんに会えると思うと、私は玄ちゃんにそう言えずにいた。


そして今日は私たちが冬休みを利用して東京へやってきた。
私たち4人が会うのはだいたい月に1度か2度で、今日で6回目だった。

3人で向かったのは大きなショッピングモールだった。
中にあるベンチに座っていた照ちゃんは、私たちを見つけると手を振った。

「玄、宥、久しぶり」

「お久しぶり、照ちゃん」

照ちゃんはいつもの物静かなテンションで声をかけてくれた。
それでも少しニヤけ顔なのは玄ちゃんに会えたから、なのかな。

「お久しぶりです、照さん」

「玄、…ちゃんと実物だね」

「わ、ちょ、ひ、人の目が…」

「会いたかった…」

照ちゃんは大胆にも、人の往来が激しい場所で玄ちゃんを抱きしめた。
ぎゅうっと力を込めて抱き寄せている。
玄ちゃんは恥ずかしがりながらも、照ちゃんの腰に腕を回していた。

見ていてあったかくなる光景。幸せそうな二人。
…やっぱり私はお邪魔虫な気がするんだけどな。

「おい照、その辺にしておけ」

「うぅ、わかった」

「照さん、一日は長いですから」

「だね…ごめん」

「ううん」

頬赤らめながら、話す二人はとっても可愛らしい。
そんな二人を見ていると沸々と、沸いてくる感情があった。

羨ましい、という気持ちだ。

好きな人と想いが通じ合って、抱きしめ合えるなんて、
なんて羨ましいんだろう…?

そんなことを考えながら歩いていたら、柱に当たりそうになった。

「ちょ、宥!当たるぞ」

菫ちゃんに声をかけられてそのことに気付く。
ハっとしたとき、菫ちゃんが腕を引っ張ってくれて
柱に激突するという惨事は避けることが出来た。

「どうした?何か考えことか?」

「あ、うん…ごめんね」

ふと前を歩く二人を見ると、手をつないでいた。
固く結ばれた二人の手は、とてもあったかそうだった。

「二人が、羨ましいなぁって」

「…宥には、手をつなぐ相手はいないのか?」

「ふふ、どうかな…菫ちゃんは?」

「私か?私は…私には…手をつないでくれる人はいないけど」

「けど?」

「手をつないで歩きたい人はいるよ」

「そうなんだぁ、どんな人?」

「放っておくと、どこかへ行ってしまいそうな人だな
こう、ふわふわ~としているような」

「よくわからないよ、それ」

「それからすごく寒がりで、一緒にいて暖めてあげたい人だ」

「えっ…」

「たまにかける眼鏡がすごく可愛いし、話していて楽しい人だ」

「……あの、えっとそれは」

菫ちゃんの言葉が一つずつゆっくりと胸に染み渡る。

そんなはずはない、そう思いながらも
私の鼓動はどんどん速くなっていっていく。

そういえば、こんなことを考えたことがあった。
あなたと「あなた」が別人だ何て思いもしないあのころのことだ。

インターハイ前、あなたに恋をした私は、
あなたに私を知って欲しいと願っていた。
名前だけでも知って欲しい、私を見て欲しいと願っていた。

でも、心のどこかではあなたに愛されたいと思っていた。
あなたと心通わせ、共に過ごす日々を考えたこともあった。

途方もない、叶うはずもないつまらない妄想だと切り捨てたけれど
そんな風に思うこともあったのは事実だ。

けれどふと気付けば、あなたは私の隣にいるし
私を「宥」と呼んでくれている。

途方もないつまならい妄想が現実になろうとしている。
あなたが「あなた」ならどんなにいいだろう。
あなたと「あなた」が別人だ何て気付かなければよかった。

そうすれば、私は、素直にあなたを受け入れて幸せになれるのに。

「宥、私は宥が好きだよ」


その言葉は、混み合うショッピングモール中なのに
はっきりと耳に伝わった。

「こんなところで、こんなときに言うのは少し迷うけれど
タイミングっていうのは大切だと思うから…」

照れくさそうに言うあなた。

「…菫ちゃん」

「宥、思えば君に『あなたには興味がない』と言われてから、
あれからずっと私は宥の事ばかり考えていたよ」

「うん」

「…君と手をつないで歩きたいんだ。照や、玄ちゃんのように…」

「うん」

「宥、答えを聞かせて欲しい」



「………ごめんなさい」

途方もないつまらない妄想は現実となった。
あなたは私を好きになってくれた。愛してくれている。

なのに私は、私は、…あなたを受け入れることは出来なかった。

「それは…どうして?」

長い長い沈黙の後、あなたは声を絞り出すかのような小さな声で聞いた。

私たちの歩みが遅いのか、玄ちゃんたちが速いのか、
玄ちゃんと照ちゃんの姿は見つけられない。

「好きな人が、いるの」

「そう…」

下を向くあなたを見ているのが辛い。
背の高いあなたがいつもよりも小さく見える。

「それは、どんな人…?」

「……」

どう答えればいいかわからない。

どんな人…

背が高くて、髪が長くて、美人で、綺麗で、凛々しくて…

そう答えるとそれはあなたになってしまうけれど
あなたと「あなた」は違うから…

「決して、触れることが出来ない人…かな」

「それはどういう意味で?」

「…そのままの意味だよ」

「それじゃよくわからないじゃないか」

「でも、それ以外に言いようがないから」

「そうか…。なぁ、宥…」

「なぁに?」

「私は、少し自惚れていたんだ。宥は私を好きだって」

「う、うん」

「…恥ずかしいよ、自分が」

自嘲気味に笑うあなたの笑顔が痛々しい。
全部私のせいだ。

「ある意味では…それも間違ってはいないけれど…」

「え?」

「う、ううんなんでもない…」

ある意味では、あなたは正しいんだ。
だって私は、あなたによく似た「あなた」が好きだから。

見た目に違うことは着ている服が違うだけ…
ただそれだけしか違いがない。


でもその違いは大きくて、私を苦しめるし、私を縛るんだ。

「宥、これからも友達でいてくれるか?」

「うん、もちろん」

「…そうか、ありがとう」

「ううん…本当にごめん」

「…けど、でも、…少し、落ち込んでもいいかな」

「…うん」

それからのあなたは一言も喋らなくなった。
ただ私の隣にいて、俯き加減で曖昧に笑ったり頷くだけ。
でもそれが自分のせいだと思うと胸が痛かった。

…菫ちゃん、ごめんね。私が変な恋をしてしまったから。
映像の中の人を好きになってしまったから。

だからあなたの気持ちに応えることが出来ない。
嬉しいと思っているのに、それができない。


…ねぇ、やっぱり、あなたが「あなた」とは違うなんて
気付かなければよかったよ…。

そのときはそう思っていた。いろんな後悔が駆け巡った。

でも、携帯電話に入れた「あなた」の動画を
ホテルの部屋で見ていると、後悔はあまり感じなくなった。

結局は別人だとはっきり思うからだ。

そう、それはまるで双子のようだと思う。
全く同じ顔だけれど、全くの別人。

例えば、双子の姉妹の姉を好きだったとして、
同じ顔の妹に告白されてそれを受け入れる?

受け入れるわけはない。だって、全くの別人なんだから。


私と菫ちゃんと「あなた」はそんな関係。

私はあなたの優しさや好意に触れるたびに

あなたが「あなた」だったらいいのに、
あなたが「あなた」とは違うと気付かなければよかったのに、

そう後悔するけれど、「あなた」に会うたびに
その後悔はどこかへいってしまう。

それを何度も何度も繰り返す。何度も何度も繰り返している。

そしたら、

結局、自分が何をしたいのかわからなくなる。

どうすればいいのか、もう何もわからない。



「宥、君の言っている意味がわからない」

あなたにそう言われたのは、東京での最後の夜のことだった。
ホテルの部屋にあなたと二人きり。
私が暖房を効かせ過ぎたのか、あなたは薄手のシャツ一枚姿。

「これ以上説明のしようがないよ…」

「いや、待ってくれ。私は私じゃないか」

「ううん、違うよ」

「違わないだろ」

「違うんだって」

さっきからこんな堂々巡りが続いている。
どうしてかと言えば、あなたが私に、
『宥の好きな人というのは誰なんだ』と聞いてきたから。

答えるつもりはなかったし、言ったところで理解されないし
言ったところで余計にあなたを傷つけるような気がしたから
曖昧にはぐらかしていた。

それでも、あなたは食い下がった。
誰かを聞くまでは帰らないと言ってこの部屋に留まった。

食い下がるあなたに諦めた私は、「あなた」のことを話した。
「あなた」の話を誰かにするのは初めてのことで
照れくさいような恥ずかしいような気持ちになっていた。

「なぁ、宥…それは宥が私を好きだということなのか?もしそうなら喜びたいが…」

「え?」

「宥は好きな人がいると言って私の告白を断ったじゃないか」

「うん」

「けど、その話を聞くだけだと…宥の好きな人は私なんじゃないのか?
こんな自惚れたようなことは言いたくないけども…」

「ううん、そうじゃないよ」

「え、でも…わからないよ、宥」

話だけは埒があかないと思って、携帯の動画を見せた。

ブレザーの「あなた」を見せるのは恥ずかしかった。
私だけの「あなた」がそうじゃなくなるのが少し寂しい気がした。

「…これはどう見ても昨年の秋季大会の私じゃないか」

あなたは動画を見て語気を強める。

「菫ちゃんは菫ちゃんだけど、でも違うの」

あなたは「あなた」じゃない。

「違わない、宥、何を言っているんだ、どうしたんだ」

どうもしてないよ、なのに、そんなこと言わないで。
自分が変なのはわかってるよ、でも、それをあなたに言って欲しくない。

あなたは、どうしても納得しない。

「意味がわからない」、そう言って、困惑して見せる。
そこから、「違う」とか「違わない」とかそんな堂々巡りが始まった。

「いいか、宥、これは私だ。宥がこの映像の人を好きと言うなら、
それは私を好きだってことじゃないのか?」

「ううん、この人と菫ちゃんは違う」

「だから、違わない。これは私だ、他の誰でもない!」

菫ちゃんは興奮しているのか、声が大きい。

「…私だって、そうならいいって思うこともある」

「は?」

「私の好きな人が菫ちゃんならいいのに、って思うけど…でも違うから」

「違わない」

「違う」

「なら、何が違うんだ?聞かせてくれ」

あなたはイライラした様子で質問を投げかけてくる。
その様子が少し怖いけれど、私のせいだから仕方がない。

「…私の好きな人は、ブレザーを着てる」

「は?」

「グリーンのネクタイをしてる、短いスカートをはいてる」

「待て待て宥、それは白糸台の冬服だ」

「知ってるよ」

「え、じゃあなにか、宥は私が制服を着ていないから別人だって言うのか?」

「…まあ、そういう風にも言えるけど、けど、そういうことじゃなくて…」

「いい加減にしてくれ、宥」

「え?」

「何が違うんだって聞いたら着ている服が違う?
なんだそれは、バカにしているのか」

「ち、ちが、そんなことしてない」

「好きな人を言いたくないからってそんなバカみたいなこと」

「バカみたいなことなんて、私はちゃんと本当のことを…」

「好きな人を言いたくない気持ちはわかる、私も強引過ぎた。反省する。
でも、…だからって…だからってこんな…」

あなたは唇を強く噛んでいる。
血が出ちゃうよ、と言おうとしたけど、あなたは怒っていて
そんなことを言える雰囲気では、なかった。

「…宥の気持ちはわかった。」

「ねぇ菫ちゃん違うよわかってないよ」

「宥はやっぱり私になんて興味がないんだ、結局あのときのままなんだ」

「そんなことないよ、ねぇ、菫ちゃん」

「私が嫌いならそう言えよ、なんでそんな言い訳するんだよ」

「嫌いじゃない、そんなこと思ってないよ、菫ちゃん誤解してる」

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