森夏「富樫くんと付き合う事になった」(134)

六花「ねぇ丹生谷、最近勇太が構ってくれない」

森夏「こんなにも可愛い娘なのに富樫くん勿体無いわね」

凸守「DFMに真珠デス!」

くみん「凸ちゃん単に富樫くんのこと豚だって言ってるようにしか聞こえないよ」

六花「どうすればいい? 丹生谷」

森夏「例えばどんな事で構ってくれないっていうのよ」

六花「勇太の部屋に忍び込んで勇太のパンツを盗んだのに気付いてくれなかった」

森夏「何を盗んでるのよ!一線超えたら犯罪じゃない」

六花「それを私が下着として履いても気付いてくれなかった」

森夏「そりゃ気付くわけないじゃない」

六花「それから、今度は勇太の靴下を盗んだ」

森夏「盗む以外の愛情表現がないのかしら」

六花「続けて歯ブラシも盗んだ」

六花「でも勇太は鈍いのか気付いてくれなかった」

凸守「やはり私のその策でもDFMが傾かなかったデスか……」

森夏「気を引いてもらうために人の物盗むのは良くないわよ小鳥遊さん」

六花「じゃ、じゃあ丹生谷はどうやったら気を引いてもらえると思う?」

森夏「うーん……やっぱり女の子らしくオシャレをするとかかしら」

くみん「いつもの六花ちゃんはオシャレしてると思うんだけどなぁ」

森夏「確かにあの中二病ファッションはひっくり返せばオシャレよね」

凸守「ならば私がコーディネート致しましょうか?マスター?」

森夏「あんたがしても中二病に磨きが増すだけよ!」

くみん「だったら何か料理をつくるってどうかな?モリサマちゃん」

森夏「確かに常套手段よね……。小鳥遊さんなんか料理できる?」

六花「ゆ、ゆでたまごならっ!」

森夏「これじゃ難しいね……」

六花「ゆ、勇太の好みの料理なら頑張って作るっ!」

凸守「なら私がスキヤk」

森夏「富樫くんの好みって小鳥遊さん知ってるの?」

六花「……恥ずかしながら私知ってない」

森夏「しょうがないわね。私が富樫くんにさりげなく聞いてくるから、今度の土曜日料理教えてあげるわ」

くみん「おお、モリサマちゃん太っ腹だね」

凸守「ニセモリサマーの腹部も太っ腹デス!」

森夏「牛乳ぶっかけるわよ厨房!」

凸守「ひぃいいい」

六花「本当にありがとう、丹生谷」

翌日・放課後

森夏「あー、疲れた。何よ、あの先生」

勇太「まぁその先生だって熱心に教えてあげているわけだし」

森夏「それもそうよね。生徒の評価に気付かないことだってあるだろうし。まさかあえて気付かないとかかもしれないけど」

勇太「そりゃ生徒の世話みたいなことしてるから疲れるよな。……俺もそうだし」

森夏「ん? 何か言った富樫くん?」

勇太「あ、まぁ同情してるだけだよ」

森夏「こういう時は、こうパーっとやけ食いなんかしてみたいわね」

勇太「太るんじゃないのか?」

森夏「失礼ね、女の子に向かって」

勇太「そうだったね」

森夏「そうだったねって、……これだから」

勇太「やけ食いしたいって言うのは分からんでもないが」

森夏「富樫くんは好きな料理ってあるの? 食べたら幸せになって嫌なこと忘れれるような」

勇太「うーん……強いて言うならカレーかな。やけ食いできるって考えれば何杯でも食べれる気がする」

森夏「ふぅーん。まぁ、普通ね」

勇太「母親の作るものが一番美味しいと思うけど、十花さんのも食べてみたいなぁ」

森夏「十花さんって小鳥遊さんのお姉さんの?」

勇太「そう。その十花さん。夏休みに手料理食べただろ? 結構腕は立ってると思うよ」

森夏「へぇ、小鳥遊さんじゃなくて十花さんの?」

勇太「六花はちょっと怖いんだよなぁ。トカゲの尻尾やら入れそうでさ」

森夏「いくらなんでも中二病舐めすぎよ、富樫くん」

土曜日・小鳥遊宅

ピンポーン

森夏「小鳥遊さんの家に来るのは初めてね」

六花「丹生谷、入って」ガチャリ

森夏「お邪魔します。そういえば今日富樫くんは?」

六花「夕方まで凸守が相手してる」

森夏「そっか、じゃあそれまでにパパッと終わらせないとね」

六花「よろしくお願いします」

20分後

森夏「小鳥遊さん、ニンジンのヘタ入れちゃダメって」

六花「ヘタに魔力が集中してるから」

10分後

森夏「わ、ワインは肉用なのに!」

六花「神の血は身体に染みる」ヒック

20分後

六花「ルー入れるよ」

森夏「一旦火を消してからね

六花「分かってる」

夕方

森夏「な、なんとか出来たわ」

六花「これでハートと胃袋を掴める」キリッ

森夏「後は富樫くんが来てくれるのを待つだけね」

六花「凸守からメールがあった。もうすぐ一緒に来るだって」

森夏「小鳥遊さん頑張ったのを富樫くんに知らしめるのよ」

六花「うん!」

くみん「ムニャムニャ……カレーには納豆だよぉ」Zzz

ピンポーン

六花「勇太だ!」

森夏「さぁ頑張って」

凸守「マスターちゃんと連れてきてやったデス!」

勇太「何だよ六花の家にって……ん?この匂い」

一色「お邪魔しまーす。俺も来ちゃいました。げぇ!?この匂いはもしやカレー!?」

森夏「なんであんたまで来てるのよ」

一色「いやー、勇太と中学生がデートしてたのを見つけてだな……」

六花「勇太、お腹すいた?」

勇太「あんだけ凸守に連れまわされたから腹が減ったよ」

六花「か、カレー作った。食べて」

勇太「り、六花が作ったのか?」

六花「丹生谷と一緒に」

勇太「丹生谷と一緒なら安心だな」

六花「ううっ」

一同「いただきまーす」

勇太「うん?不味くない」

森夏「当たり前よ。隠し味に面白い物が入っているからかもね」

凸守「もしや牛乳デスか!?」

六花「安心して、凸守のために入れてない」

凸守「ううっ、マスターの気配り嬉しいデス」

一色「別に入れても良かったんじゃねーか」

凸守「呪うデス!」

くみん「くぅー、やっぱり納豆が合うよ」

勇太「美味しいよ、やっぱり丹生谷が居て良かったな」

六花「ニンジン私が切った」

勇太「ゴツゴツしてるこれか? へぇー」

六花「そ、それとじゃがい」

勇太「このじゃがいも綺麗に切れてるってことは丹生谷のだな」

六花「……それも私が切った」

勇太「あ、そうなんだ。丹生谷は何したの?」

森夏「あ、その肉炒めたり? 危ない事とかは私が」

勇太「へぇー、六花の面倒と合わせてご苦労様だったね」

森夏「あ、うん」

六花「……」

一色「げぇえ!? 嫌いなニンジンが入ってるぜ……」トホホ

食事後

森夏「ねぇ富樫くんちょっといい?」

勇太「ん? なに」

森夏「なんでもっと小鳥遊さんの事褒めてあげないのよ」

勇太「そ、それは……」

森夏「カレーは小鳥遊さんが富樫くんのための頑張って作った物なのよ、もうちょっと褒めるなりしなさいよ」

勇太「面倒くさいんだってば……六花は」

森夏「本気で言ってるの?」

勇太「本気ってわけじゃないんだけどさ……」

森夏「いいからちゃんと褒めてあげなさい」

勇太「わ、分かったよ」

森夏「ちゃんと言うのよ」

勇太「あのさ、六花」

六花「……勇太?」

勇太「カレー、美味しかった」

六花「うん、ありがとう」

森夏(富樫くん、ちょっと何かあるわね……)

一色「中学生どうした!?」

凸守「ぎ、牛乳がやっぱり入ってたデース……」

くみん「それ牛乳じゃなくて生クリームだよー」

凸守「どっちも一緒デース」

翌週月曜朝

女「おはよう、丹生谷さん」

森夏「おはよう」

森夏(あれ? 小鳥遊さん今日休み?)

勇太「ああ、丹生谷。おはよう」

森夏「元気無いわね、富樫くん」

勇太「色々あってさ……」

キンコーンカーンコーン

放課後部室

森夏「ちょっと富樫くん、何があったの? 小鳥遊さん休みじゃない」

勇太「な、何でもないよ……」

森夏「何でもないわけないじゃないの」

勇太「……」

森夏「小鳥遊さん泣かせたんじゃないわよね?」

勇太「……ああ」

森夏「ちょっと何したのよ!」

勇太「怒るなよ丹生谷。どうしてお前が怒るんだよ」

森夏「そ、それは小鳥遊さんとあんたとの恋が上手くいけばって……」

勇太「もう終わりだよ」

森夏「何があったか教えて」

勇太「あ、ああ……」

勇太「昨日疲れて昼くらいまで寝ようと思ったんだ。けど、朝の7時に六花の奴に起こされたんだ」

勇太「『デート行くから支度して』と寝起きの俺に言うんだ。土曜は凸守に振り回されてしんどい上に目覚めも悪かった俺は、ついかっとなったんだ」

勇太「ちょっとキツく怒鳴ったんだ。そしたら六花は泣き出すんだ」

森夏「どっちもどっちな気がするけどね……」

勇太「それから口も利かずに今に至る」

森夏「早めに謝ったら済む話じゃない」

勇太「もういいよ、あんな奴。物は盗むわ、睡眠は邪魔されるわ……溜まったもんじゃない」

森夏「本当にそれでいいの?」

勇太「ちょっと六花とは距離をおこうと思うんだ。やり直すのはまた今度でもいい」

森夏「今すぐ謝ればいい話じゃない」

勇太「そんな簡単な話じゃないよ、丹生谷にはわからないと思うけど」

森夏「失礼ね。簡単な話じゃない……」

勇太「少しだけだよ、距離を置くのは。そしたらまた戻れるよ」

森夏(そして一週間経った。小鳥遊さんは依然学校に来ない。富樫くんは小鳥遊さんのことを避けたままだった)

凸守「ううっ……最近マスターが来ないせいでヤル気がでないデス……」

くみん「はやく元気になるといいねー」

一色「勇太もどこか元気がないように見える」

森夏「早く仲直りすればいいのに……」

翌朝

九十九「突然ですが、小鳥遊さんはお姉さん仕事の都合で海外に移住することになりました。今日が出発なのでお別れの挨拶ができなくて私も残念です」

男「マジかよ……可愛かったのになぁ」

女「残念よねぇ」

森夏「まさか……」

勇太「……」

放課後

凸守「うわあああんんん、どうしてマスターは凸守に何もなしに境界線の向こうに!」

一色「それにしてもいきなりだったよなぁ」

くみん「楽しい事が一つ減っちゃったね」

勇太「……」

森夏「富樫くん!本当にいいの?」

勇太「……別に」

森夏「結局仲直りせずままで会えなくなるんだよ?」

勇太「……どうでもいいよ」

森夏「最低ッ」

勇太「仕方ないだろっ!今日謝るつもりだったし……」

森夏「本当に謝る気あったの?」

森夏「引き止めもしなかったの?!」

勇太「メールで『さようなら』って昨日届いて、まさかこうなるだなんて……」

勇太「もし謝る事ができるなら今すぐ謝りたい」

森夏「できるわ、謝ることぐらい」

勇太「無理だよ、もう今頃」

森夏「一緒に小鳥遊さん追いかけましょう」

一色「なんだよ二人とも……どこ行く気だよ」

森夏「ちょっと小鳥遊さんの所にね」

凸守「マスターを追いかけるなら私も!!」

くみん「凸ちゃん落ち着いて落ち着いて」

一色「追いかけるにせよどこに行くんだよ。まさか空港か?」

森夏「まだこの時間なら家にいるかもしれないわ」

くみん「どうして家にいるってわかるの?」

一色「さぁ?」

団地

森夏(それから秘密結社の夏のメンバー全員で小鳥遊さんの家につめかけた。私の勘が当たりまだ引っ越しの準備の最中であった)

勇太「六花がいるかわからないかもしれないぞ」

森夏「分からないわよ、でもきっといるはず」

一色「いるのか?先に行っちゃったんじゃねえのか」

くみん「睡眠不足だよぉ」

森夏「お願い、いてちょうだい」

凸守「この気配!?マスター!?」

六花「凸守、みんな」

森夏(ちょうどタクシーに乗ろうとしてる時であった)

勇太「六花!!」

六花「……」

凸守「マスター、なぜ黙って行こうとするのデス!」

六花「……それは」

運転手「お客さん、早くしないと飛行機の時間に間に合わないよ」

森夏「小鳥遊さん、本当に行っちゃうの?」

六花「うん。黙っててごめん」

森夏「みんな心配したのよ!ずっと学校来なかったし」

六花「フランス語の勉強してたから……」

勇太「ごめん六花」

六花「勇太は悪くない」

勇太「いや、謝らせてくれ。俺は六花がしつこくてうんざりしていた。でも六花に会う事が無くなると六花が居てくれたから楽しい事があったと思ったんだ」

六花「……」

勇太「六花、ありがとう」

六花「勇太、ありがとう。みんなありがとう」

運転手「出発しますよ」

六花「じゃあね、またいつか会おうね」

タクシー「ブーン」

凸守「マスタアアアアア!!」

勇太「六花!!行くなああ!!」

タクシー「ブーン」ユウヒニムカッテキエテユク

勇太「六花……」

森夏(小鳥遊さんは富樫くんの声も虚しく、海外に行ってしまい、みんなが別れを悔やんだ)

森夏「富樫くんはこれでよかったの?」

勇太「仕方ないさ。これが運命だって事だよ。六花とはここでおしまいだったんだ」

森夏「ふぅーん、えらく悟ってる口の利き方ね」

勇太「丹生谷、ありがとう。悔いは無いよ。丹生谷のおかげだ」

森夏「でももうちょっと早くに仲直りするべきだったんじゃない?」

勇太「多分変わらなかったとおもうよ」

勇太「それに、俺はもう一つ決心したんだ」

森夏「何?」

勇太「丹生谷、俺と付き合ってくれ」

森夏「はぁ? 何言ってるのクズ!」

森夏「あ、あんたねぇ、せっかく『富樫くんと小鳥遊さんと仲直りしてめでたしめでたし』だねーってハッピーエンドで締めくくれたじゃない」

勇太「だって俺、元々入学してからずっと丹生谷のこと好きだったんだぜ。六花のこと勘違いされてるが、あれは単なる友達だっていつも言ってただろ?」

森夏「じゃ、じゃあその小鳥遊さんが構ってくれないって恋人同士のじゃなくて?」

勇太「単なる友達だってば。カレーだって美味しかったけど」

森夏「つ、付き合ってたんじゃなかったの!?勘違いだったわ……」

勇太「付き合ってくれないか?」

森夏「あの……そのいきなりは……」

勇太「こんなクズだけど、受け入れてくれると嬉しいです」

森夏「もう!こんなクズ修正してやるんだから!!」

勇太「な、何するんだよ。痛いっ、殴るなよ」

森夏「一生修正してやるんだから!!!」


モリサマー修正√END

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