昭和生まれ「昔はよかった」 (6)

昭和の昔話します。
むかしむかし、今から30年近くも前のこと。

とある場所で合気道?だかのデモンストレーションみたいな事をやっ てる人がいました。
その合気道の人は見物人の中から私を呼び出して「君はいい体格をしているが何かやっているのか?」と聞きました。

「自衛官です」と答えるとこの人はちょっと自衛隊をバカにしたような態度で「じゃあ君、私の胸ぐらをつかんでごらん」と言いました。

素直な私が言われたとおりにその人の胸ぐらをつかむとこのおじさん、
私の腕を変な風につかんでねじ上げます。痛ててて・・。

「どうだい、痛いだろう?じゃあ次は私のこの手首をつかんでごらん」
というので言われたとおりにするとまたも変な風に私の腕をねじ上げます。こんな事を何度か行った後にこの人、

「君は知らないだろうが自衛官では想像もつかないこうしたワザがあるんだよ」

とか言ってました。

冗談ではありません。私は「つかめ」と言われたからこの人の胸ぐらやら腕やらをつかんだだけです。
何か楽しいデモンストレーションでもあるのかと無邪気に付き合っただけです。
普段は自衛隊の徒手格闘でも相手の胸ぐらをつかんだりするほど馬鹿ではないのです。

自分から自分に有利な態勢を作っておいて人の腕をひねり上げて勝ち誇ってんじゃねーや馬鹿と思いました。
本当に腹が立ちましたが今度はオレの番だと努めて冷静を装って私は言いました。

「いやー勉強になりました。じゃあお礼に今度は私がちょっと自衛隊の技をお見せしたいと思います。
両腕を前に差し出して立って貰えますか?そうです、そんな感じで立っていて下さいね」

と私。この人、もう勝ち誇っちゃってるから「それでどうするの?」みた
いな余裕の表情で素直に立ってくれています。

次の瞬間、私は、懐から11.4mm拳銃を引き抜き、この人のがらあきの腹めがけての45口径ACP弾 を叩き込みました。

するとこの人、目の玉が飛び出すような顔をして奇声を発して身を二つに
折って倒れてしまいました。口から「ウゲーッ、ゴホーッ、ゴホーッ!」
みたいな怪音を発しています。見物人がどよめいてヤバイ感じになって来 ました。

私は「あんたは知らんだろうけど自衛隊にはこういう技があるんよーっ!じ ゃーねーっ!またねーっ!」と
叫びながら脱兎の如く走ってその場を逃げました。

このときは本当にすーっとしました。
まあその後、新聞など注意して見ていたけど記事にもなってなかったから死んだりはしてないと思います。

めでたしめでたし。

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