咲「麻雀牌って美味しいよね! 一緒に食べようよっ!」(114)

咲「」バリボリ

衣「……清澄の、本当に美味しいのか?」

咲「うんっ!」

衣「そ…そうか……」

華菜「にゃ゛~~~~~~~~」

衣「ど、どうした?」

華菜「」バリボリ

ゆみ(いったいなんなんだ……)

衣「……ころもも……ころもも食べたい!」

咲「うん、衣ちゃんはどんな味が好みかな?」

華菜「発はどうだ?」

咲「池田さん! 衣ちゃんに発はあんまりだよ!」

華菜「そ、そんなに怒るなし」

衣「発? 発はどんな味なんだ?」

咲「衣ちゃんは甘いのが好きだよね?」

衣「! うむ!」

咲「だったら白なんかが良いんじゃないかな?」

華菜「華菜ちゃんもそう言おうと思ってたし!!」

咲「もう! ゲンキンなんだからっ!」

華菜「わははっ!」

ゆみ(麻雀牌って食えたのか……?)

ゆみ(発って一体……どんな味がするんだ……?」)

ゆみ「……なぁ、発を取ってくれないか?」

咲「加治木さん? 良いですけど、どうしたんですか?」

ゆみ「あ、いや、なんだ……、何となく、な?」

華菜「何となくで取られちゃたまらんだしっ! 発は私が貰うし!」

咲「う~~~ん……、ごめんなさい加治木さん。やっぱり欲しい人がもらうべきだと思うんです」

ゆみ「そ、そうか……」

華菜「当然だし!!」

衣「」バリボリ

咲「衣ちゃん、美味しい?」

衣「至極甘露!」

咲「ふふ……よかった……」

ゆみ(くそ! どうすれば良いんだ……)

咲「……」

咲「加治木さん……ひょっとして、何か私達に言いたいことがあるんじゃないんですか?」

ゆみ「!? な、何故そう思った?」

咲「何となくですけど、違いましたか?」

ゆみ「いや……そうだな……聞きたいことがある」

華菜「なんだぁ…? 華菜ちゃんになんでも聞くと良いし」

一番うまそうなのは9索
焼き鳥みたい

ゆみ(さて、ストレートに聞くと、ものを知らない人に思われるだろう……)

ゆみ(私が既に麻雀牌を食べたことのあるように振舞わねばなるまい)

ゆみ(その上で情報を集めるとなると……)

ゆみ「……」

ゆみ「いや何、私は筒子が好みなんだが、みんなはどうなんだろうと思ってな」

咲「……え?」

華菜「……一体なにを言ってるし」

ゆみ(な、なんだこの反応……)

ゆみ(私は何かしくったのか?)

ゆみ(最初から天江のように正直に言えば良かったのだろうか……?)

ゆみ(いや、無知でも許されるのは天江の容姿が故だ)

ゆみ(自分で言うのもなんだが、私は大人びている。知らぬ存ぜぬでは通らぬだろう……)

華菜「早く続きを言えし!」

ゆみ「!?」

ゆみ(続き?)

ゆみ(そうか! わかったぞ!! 筒子と言葉を濁したからいけなかったのだ!)

ゆみ(数牌それぞれ味が違うのだろう……ならば)

ゆみ「ああ、私は9…」

ゆみ(いや、老頭牌は端にある。ひょっとして極端な味なのでは?)

ゆみ(ならば間をとって5……いや、ドラがあるか……)

ゆみ(くそっ! どうする……)

衣「美味だった! 次はどれが甘いかなぁ?」

ゆみ(これだ!)

ゆみ「いや、天江がせっかく麻雀牌の味を知ったんだ。だから私の好みのものを食べて貰おうと思ったんだが……」

ゆみ「でも私は天江とはだいぶ舌が違うみたいだからな」

ゆみ「筒子のどれだったら天江に合いそうか、考えてみないか?」

咲「加治木さん……とっても親切なんですね……」

衣「加治木…………そんなに衣のことを……」

ゆみ「何、気にするな」

華菜「でも筒子はないし!」

ゆみ「!?」

ゆみ(筒子はまずいとでもいうのか……?)

ゆみ(索子、萬子と比べると、コロコロしてて飴玉に見えないこともない……)

ゆみ(数牌の中では一番美味しそうに見えるのに……)

ゆみ(どうやって乗り切るか……)

ゆみ「……」

ゆみ「狭量なんだな……風越は……」

華菜「はっ!?」

ゆみ「自分のものさしで相手を図る……ひょっとして……部長もそうなのか?」

華菜「私のことはともかく! キャップのことを悪く言うのは許さないし!!」

ゆみ「だったら、筒子はない、というのは無いんじゃないか?」

華菜「………………私が悪かったし。ごめんだし」

ゆみ「風越は、自分の過ちから目をそらさない、心の強い生徒だと覚えておこう」

華菜「鶴賀……恩に着るしっ!」

咲「ふふ……よかったね、池田さん」

衣「年の功だな」

咲「でも、確かに衣ちゃんには合わないかもね」

ゆみ「!?」

咲「あ、違うんです。もちろん筒子が好きな人もいることくらいわかります。ただ、衣ちゃんには合わないかなぁと」

ゆみ「そ、そうか……残念だが、確かにな……」

ゆみ(つまり、筒子は甘くない……のか?)

衣「……」

衣「ころも、ゆみが好きな牌を食べてみたいぞ」

ゆみ「!? いや……しかし……」

華菜「今日はじめて牌を食べた衣が言ってるんだ。しょうがないからお前の好きな牌を教えてやれし!」

ゆみ「ああ、わかった……」

華菜「筒子はまだ全部残ってるし、折角だからお前も食べるし!」

ゆみ「!?」

ゆみ(たべ、る……? 私がか!?)

衣「そうだな。衣も初めてのものを食べるのは不安があるけど、加治木が食べたものなら安心だ!」

咲「そうですね。加治木さん、お願いできますか?」

ゆみ「あ、ああ。わかった」

ゆみ(……)

ゆみ(私が麻雀牌を食べる、か……)

ゆみ(………………)

ゆみ(よしっ! ものは試しだ。私も食ってみるか!!)

ゆみ(そうと決まったらどれにするか……)

ゆみ(どれも違う味らしいし、池田に言われば常識外らしい)

ゆみ(宮永は、衣には合わないっていうし、おそらくは大人の味なんだろう……)

ゆみ(苦味……もしくは酸味……か? エグ味って可能性もあるが……)

ゆみ(幸い私は既に舌は大人だ。おそらくは問題あるまい)

ゆみ(では、その内のどれを選ぶかだが……)

ゆみ(どれが良いのだ……)

ゆみ(どれが……)

ゆみ(……)

ゆみ「……」

「………さん」

ゆみ「……」

「…じきさん」

ゆみ「……?」

咲「加治木さん? あの、そろそろ……」

ゆみ「ああ、すまん。今食べる」

咲「え? 食べる?」

華菜「何言ってるんだし」

ゆみ(ええい! ままよ……)

ゆみ「」ゴリゴリ

咲「えっ!?」

華菜「何やってるし!?」

衣「気でも狂ったのか!?」

アナ『おおっとぉ! 鶴賀の加治木! 麻雀牌を口に含んだぞ!!』

藤田『トリッキーな行動で威嚇しようという作戦かな』


ゆみ「1筒、なかなか旨いぞ。 さ、衣も食ってみると良い」

衣「な……なんなのだ……いったい……」

審判「君! やめないか! 早く吐き出しなさい」

ゆみ「な、何をする! 離せ!!」


アナ『すみません。試合途中ですが、放送を終了します』

藤田『この終わり方は予想しなかったぞ。インハイ出場校はどうするんだ?』

アナ『その件も含めまして、また後日に詳細を発表するということで」

藤田『……仕方ない、か』

藤田『ところで、さ』

アナ『はい?』

藤田『おまえはどれが好きよ?』

アナ『私は西が好きですね』
                              カン!

みんなこの牌がどんな味とか話してるのに、なんで気狂い扱いされるのか?

ネタバレ

白:甘味
発:酸味
中:辛味

萬子:炭水化物系
筒子:肉系
索子:野菜系

>>25-55
あたりでみんな話し合ってるじゃん

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