幼馴染「この世界は、悪の組織に狙われているっ!」 (8)

幼馴染「何故あのテロ事件は起きたのか? あの偉人は本当にいたのか? 何故日本では地震が多いのか? 度々発見されるUFOの正体は?」

幼馴染「その全ては悪の組織の『終末計画』の布石だったのだぁ!」

男「……」

幼馴染「あ、あれ? どうしたの、反応鈍いよ?」

男「……ふぁ~あ」

幼馴染「……」


幼馴染「こっ……この世界は、悪の組織に狙われているっ!」


男「俺らさ、来年から高校三年生じゃん」

幼馴染「……はい」

男「もうさ、そういうの止めにしないか?」

幼馴染「……」

男「お前だってさ、本当はこんなことやってる場合じゃないってわかってるんだろ? 数学のテストまた赤ギリギリだったんだろ?」

幼馴染「でっでもさぁ……」

男「お前さ、俺と同じ大学に行きたいって言ったの嘘だったの? 俺、割と嬉しかったのになぁ。結局いつもと同じように口先だけだったか」

幼馴染「前回のテストはちょっと忙しかったし、平均点も低かったからセーフかなぁって……」

幼馴染「それに私は男と同じ大学に行きたいって言ったんじゃなくて、卒業してもずっと一緒に馬鹿やれたら良いなぁ~と……///」ゴニョゴニョ

男「もう止めようぜ、夜中の平和パトロールも。俺ら2人以外の隊員も散り散りになっちゃった訳だしさ」

幼馴染「え?」

男「本当は皆と同じように中二までには辞めるべきだったんだろうなぁ……」

幼馴染「……」

幼馴染「駄目だよホラ、知らないよ? 悪の組織来ちゃうよ?」

男「来ねーよ。その前に受験が来るわ」

幼馴染「悪の組織は忘れた頃にやってくるよ?」

男「地震じゃねーんだぞ。大体お前だって夜中にちょっと散歩したかっただけで、欠片も思ってはないだろうが」

幼馴染「……あるったらあるし、来るったら来るもん」

男「大体何て名前の組織だよ? あのピラミッドに目ェ付いてる奴か?」

幼馴染「フリージェイソンだっけ?」

男「そんな自由な殺人鬼はいない。フリーメイソンだよ」

幼馴染「組織名はあれだよホラ、え~っと」

猫「ニャーオ」

幼馴染「……エーテルキャット、とかどう?」

男「いや、今猫の鳴き声聞いて考えただろそれ」

幼馴染「でも結構格好良くない? 即席にしては割とイケてない?」

男「まぁアリっちゃアリだな」

幼馴染「じゃあパトロールを続行……」

男「おう、また明日な」

幼馴染「って何処に行くのさ!?」

男「家帰って寝るわ。とにかく明日からパトロールなしな」

幼馴染「ち……ちょっと待ってよ!」

男「じゃーなー」

幼馴染「バーカバーカ、根性なしの高二病! 私知ってるんだからね。男がこの前告白しようとして女さん呼び出したけど、緊張し過ぎて声が出なくなって逃げ出したこと!」

男「……」ブチッ

幼馴染「へへへ……どーだ、今ここで帰ったら学校にこの話を……」

男「あ、いい機会だから言っとくけど学校で話し掛けるの辞めてくれよ。お前ウチのクラスで話題沸騰中の電波ちゃんなんだから」

幼馴染「え……?」

猫「ニャーオ」

幼馴染「……」

…………
…………

幼馴染「え~っと、確かこの辺りから……いたいた」

猫「ニャーオ」

[拾ってください]

幼馴染「捨て猫か」

幼馴染「まるで私みたいだね」ハァ

猫「ニャーオ」

幼馴染「良いわ、拾ってあげる」

猫「ニャーオ」

幼馴染「もうちょっと鳴き声捻れよ。ニャーオしかないの?」

猫「よく我を拾う決心したな小娘」

幼馴染「うぉっ! 誰もそこまでは求めてないよ!!」

猫「……ふむ、ここまで簡単に順応されると、逆に何と返せば良いものか」

幼馴染「エヘヘ、私動物と接する時はひょっとしたら喋るかもしれないってことを常に考慮しながら生きてるから」

猫「うわぁ」

幼馴染「……そのリアクションは酷くない?」

猫「正直ドン引きですわ」

幼馴染「……」


『電波野郎』『気持ち悪いんだよ』『ほ~ら人の気持ちがわかるんだろう?(笑)』
『明日から話し掛けるな』

幼馴染「……」グスッ

猫「わ……悪かった。泣くな小娘」

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