シンジ「ど、どうしたの?カヲルくん」アセアセ
カヲル「そのままの意味さ。君の全てが欲しいんだよ」フフッ
シンジ「……」
『シンジは私だけのもの』
『碇くんがほしいの』
『私のものにならない?』
シンジ「……」
カヲル「?」
シンジ「そんなのいくらカヲルくんでも……できないよ」
シンジ「僕は誰のものでもないんだから……」
シンジ「僕は僕だけのものだよ」
カヲル「ふふ、そうだね」
カヲル「誰も他人を自分のものにするなんてことはできない」
カヲル「僕たちは相手の心に触れることも覗くこともできないんだからね」
シンジ「……」
カヲル「ATフィールドが存在する限り僕達が他者と真に交じり合うことなんてないんだ」
シンジ「そうだね…」
カヲル「?」
カヲル「どうしたんだい?元気、少ないね」
シンジ「う、うん。風邪、まだ治ってないのかな?」アハハ
カヲル「何か悩み事をしてるんだね」
シンジ「……すごいなカヲルくん。僕のことなんでもわかるんだね」
カヲル「話してみなよ。少しは楽になるかもしれない」
シンジ「とても馬鹿らしいことだからいいや。こんなことで悩むの僕だけだと思うし……」
カヲル「大丈夫。僕は馬鹿らしいなんて思ったりしないさ」
カヲル「悪いものは全て吐き出す。そうすれば君の心もきっとすっきりするはずだよ」
カヲル「僕が全て受け止めるよ」ニコッ
シンジ「カヲルくん…」モジモジ
数日前
ミサト「それじゃ、行ってくるわね」
シンジ「はい」ケホッ
ミサト「アスカが帰るまで、シンちゃん一人になっちゃうけど」
ミサト「何かあったら、遠慮せずに連絡してきてね」
シンジ「わかりました」
ミサト「ちゃ~んと、安静にしてるのよ?」
シンジ「ミサトさん」
ミサト「はいはい、そんじゃいってきま~す♪」
シンジ「いってらっしゃい」
シンジの部屋
シンジ「」ケホッ ケホッ
シンジ「もう少し…寝てよう」
シンジ「」スースー
――
―
シンジ「」パチッ
シンジ「今、何時だろ」
シンジ「まだ、お昼前か」
シンジ「」
シンジ「静かだな」
シンジ(懐かしいな。ここへ来る前まではこんな静けさ、普通だったのに)
シンジ「」
シンジ「」ケホッ
シンジ「一人になるなんて久しぶりだ」
シンジ「」ボーッ
シンジ「まだ、熱引いてないのかな」
シンジ「」
シーン
シンジ「綾波、きっと心配してるだろうなぁ」
シンジ「昨日のデート楽しかったな」フフッ
シンジ「」
シンジ「……父さんのレコーダー」
シンジ「最近は聞かなくなったな」
シンジ(アスカがここに来てから一人になることなんてほとんど無くなったし)
シンジ「アスカがここに来てから……」
シンジ「どうして僕たちはここにいるんだっけ……」
シンジ「なんで三人で暮らしてるんだろう…」
シンジ(エヴァに乗るため)
シンジ「使徒を倒すため……」
シンジ「父さんに認められたいから……」
シンジ(でも、そんなこと…もうどうてもいいじゃないか)
シンジ「僕には綾波がいるじゃないか」フフッ
シンジ「アスカだって、真希波だって」
シンジ(みんな僕を必要としてくれるんだ。認めてくれるんだ)
シンジ「それでいいじゃないか……」
――
―
シンジ「だけど……なんだか、変な気持ちで…」
シンジ「自分のことなのに……」エヘヘ
シンジ「何もわからなくて……」
カヲル「僕にはわかるよ。君のその気持ち」
カヲル「終局はもうすぐそこまで来てる」
シンジ「……カヲルくん?」
カヲル「終わりを迎えるのが怖いんだね。シンジくん」
シンジ「終わり……」
カヲル「そう。エヴァや使徒、それにセカンドインパクト…」
カヲル「その全ての因果が今の君たちの関係を築いた」
カヲル「もちろん、僕との出会いもね」ニコッ
シンジ「……」
カヲル「君が生きる今はエヴァによって繋ぎ止められているんだ」
カヲル「同時に、脅威である使徒の存在にもよってね」
シンジ「カヲルくんが何言ってるのか…僕にはわからないよ……」
カヲル「最後の使徒を倒したその先」
カヲル「エヴァに乗る必要のなくなった未来」
カヲル「そこに何が待ち受けているのか」
カヲル「君はそれを知らなくて、知りたくて、たまならなく不安なんだよ」フフッ
シンジ「……」
シンジ「…そう、そうかもしれない」
シンジ「カヲルくんの言う通りだよ」
シンジ「ねぇ!?僕はどうなっちゃうの?わからないんだよ…」
シンジ「怖いんだよ!使徒をみんなやっつけちゃったら僕はここにいちゃいけなくなるの!?」
カヲル「シンジくん」
シンジ「…あの時、僕はずっと考えなら部屋でずっと寝こんでたんだ……」
シンジ「気付いたら夕方になってて……」
シンジ「そしたら、アスカが…綾波が、学校のみんながお見舞いに来てくれたんだ」
シンジ「ただの風邪なのに…こんな僕のために」
シンジ「…その時、嬉しいと思ったんだ!ずっとここに居たいと思った!ここに居ていいんだって思ったんだ!」
シンジ「でも、それから……怖くなって」
シンジ「こんな、温もり……今まで感じたことなんかなかったから……」
シンジ「失うのが怖いんだ……ずっとそうだったんだ……今まで」
シンジ「気付いたら何もかもなくなってて」
シンジ「一人ぼっちになってて……」
シンジ「父さんは僕を捨てて……母さんだって死んじゃったし」
シンジ「もう嫌なんだよ……こんな寂しい思いをしなくちゃいけないのは!!」
カヲル「はじめから他人と距離を置けば傷つくこともない」
カヲル「そう思っているのかい?」
シンジ「カヲルくんだって言ってたじゃないか」
シンジ「終わりは近いって」
シンジ「だったら、いっそのこと一人でいるほうが楽かもしれないじゃないか」
カヲル「ファーストやセカンドはそう思わないと思うけど」
シンジ「正直…アスカや綾波が何を考えているのか僕にはわからないんだ…」
シンジ「綾波といると暖かくて心地良い…だけど、結局ボクは綾波のことを何も知らない」
シンジ「何も教えちゃくれない……」
カヲル「……僕はいいのかい?」
シンジ「…うん。カヲル君といると落ち着くんだ……」
シンジ「カヲルくんは嘘つかないと思うし、ぼくだって素直で居られるし」
シンジ「アスカや綾波と違って気を使わなくていいし」
カヲル「うれしいな。君にそう言ってもらえて」フフッ
学校
レイ「おはよう。碇君」
シンジ「おはよう」
レイ「風邪、まだ治らないの?」
シンジ「ううん、もう治ってるよ」
レイ「そう」
レイ「」
シンジ「」
レイ「ごめんなさい」
シンジ「え?」
レイ「ずっと、碇くんに謝らなくちゃって思ってたの」
シンジ「どうして?」
レイ「傘、一本しかなかったんでしょ?」
シンジ「いいよ。気にしなくて」
レイ「でも、碇くんは風邪、引いたから」
シンジ「綾波が雨に濡れなくて済んだ。僕はそれで十分だよ」
レイ「碇くん」
シンジ「……」
レイ(私は碇くんといるとポカポカする。だから碇君にもポカポカしてほしい)
シンジ「」
レイ(だけど、)
シンジ「ごめん、少し一人にしてもらえないかな」
レイ「」コクリッ
レイ(碇くんは私といてもポカポカしてくれない)
レイ「」スタスタ
トウジ「な~んか、風邪なおってからセンセ暗なったなぁ」
ケンスケ「何かあったのかな」
トウジ「ま、あったんやったら原因は一緒にすんでるアイツしかおらんやろ」
マリ「お姫様」
ヒカリ「まさか!アスカはずっと碇くんの看病してたんでしょ。嫌われるようなことなんか」
アスカ「…ぐぬぬ」
アスカ(確かに……コネメガネ達がお見舞いに来た後から)
アスカ(な~んか、妙なのよね……バカシンジ)
アスカ「」スタスタ
アスカ「ちょっと、バカシンジ」
シンジ「なに?」
アスカ「何じゃないわよ!最近のアンタなんかおかしい!」
シンジ「別に……おかしくなんかないよ」
アスカ「おかしいわよ!一緒に住んでる私言うんだから!間違いないわよ」
シンジ「」
アスカ「はぁ……どうしたの?エコヒイキと喧嘩でもした?」
シンジ「ほっといてよ。しばらく、一人になりたいんだ」
アスカ「アンタねぇ……これでも、心配してあげんてんのよ?」
マリ「はいはい、お姫様。ここはわんこ君の意思を尊重してあげよ」
アスカ「……バカ」
シンジ「僕は別におかしくなんかないよ」ボソッ
マリ「さぁ、姫行こ」
アスカ「ふん!」スタスタ
シンジ「一緒に住んでるから……何だよ」ボソッ
シンジ「僕のこと……何も知らないくせに」
アスカ「」ピタッ
アスカ「」クルッ
アスカ「」スタスタ
アスカ「」グイッ
シンジ「」
アスカ「…いい加減にしなさいよ。アンタのために心配してやってるんでしょ?」
アスカ「私だけじゃないわよ。ヒカリだってみんな、アンタの事心配してんのよ!」
シンジ「……離してよ」
アスカ「それに、何よ……何も知らないくせに?」ウルッ
アスカ「アンタのことなんか!知りたくもないわよ!!バカ!!」フンッ
シンジ「」ドテッ
ヒカリ「アスカ!!」
アスカ「」タッタッッタ
アスカ(結局…私は…シンジのこと……何も理解してなかった)タッタッタ
トウジ「偉いこっちゃ……」
レイ「碇くん」スタスタ
シンジ「大丈夫だよ」
マリ「……わんこ君」
マリ「本当にどうしたんだろ」
帰り道
マリ「結局、姫は戻ってこなかったね」
ヒカリ「アスカ……大丈夫かな」
トウジ「大丈夫やろ。怒って出ていくことなんか前もあったし」
ヒカリ「鈴原!」
ケンスケ「でも、トウジの言う通りだと思うよ」
マリ「姫は結構プラス思考だからねぇ」
ヒカリ「…でも、心配だわ……」
マリ「心配って言うと、わんこ君も心配だな~」
トウジ「あぁもう!面倒なやつやで!ほんま!」
レイ「」スタスタ
マリ「あ、あの子。お~い!!君はわんこ君と帰らないの?」
レイ「碇君、先に帰ったから」スタスタ
カヲル宅
カヲル「やぁ、来ると思ったよ。シンジくん」ニコッ
シンジ「おじゃまします……」
カヲル「今日の君はいつも異常に暗いね」
シンジ「……」
カヲル「学校で何かあったのかい?」
シンジ「ちょっとね……」
ミサト宅
アスカ「」
アスカ「もう、そろそろバカシンジのやつが帰ってくるころね」
『僕のこと……何も知らないくせに』
アスカ「アンタだって…私のこと……何も知らないじゃない!!!」ドンッ
ペンペン「……」ブルブル
――
―
シンジ「つい……カッとなっちゃって」
カヲル「後悔はしてるのかい?」
シンジ「うん……だけど」(アスカを引き止めて謝ることだってできたのに…)
シンジ「このままでもいいかなって」
カヲル「昨日言ってたことだね」
シンジ「うん…このままみんなと距離を置くのには都合がいいよ……」
ミサト宅
アスカ「遅い……」
ガチャッ
アスカ「」ドキッ
ミサト「たっだいま~」
アスカ「ちぇ……ミサトか」
ミサト「ただいま。アスカ」
アスカ「おかえり」
ミサト「あら?シンジくんは?」
アスカ「まだ」
ミサト「さては、レイのところかしら」フフッ
アスカ「それはないわ」ボソッ
ミサト「?」
ミサト「なぁに?今日はご機嫌ななめのようだけど?」
アスカ「なんでもないわよ」
ミサト「そう?ならいいけど」
アスカ「……ミサト」
ミサト「なにかしら?」
アスカ「……私の過去、知ってるわよね」
ミサト「……」
ミサト「そういう、仕事だから…」
アスカ「じゃぁ、バカシンジのことも」
ミサト「えぇ、み~んな知ってるわ」
アスカ「そう……なら!」
ミサト「教えられないわよ。シンジくんの過去」
アスカ「くっ……」
ミサト「…そんなこと聞いてどうするつもりだったの?」
アスカ「ミサトには関係ない……」
ミサト「ま、そんなこと聞くってことはシンジくんと何かあったのね」
アスカ「ふん!」スタスタ
ミサト(シンジくんの過去を知りたいなんて……)
ミサト(何があったのよ……アスカ)
ガチャリッ
シンジ「ただいま」スタスタ
ミサト「シンジくん、おかえりなさい」
シンジ「夕飯、すぐに作ります」スタスタ
ミサト「ねぇ、シンジくん?」
シンジ「なんですか?」
ミサト「アスカと喧嘩でもした?」
シンジ「……いえ、べつに」
ミサト「ほんとー?」コノコノ―
シンジ「はい」
ミサト「なーんか、アスカ機嫌よくないのよね」
シンジ「僕は関係ないですよ」
ミサト(かなり関係あると思うんだけどね……)
ミサト(2人とも相談相手は不要か……)
ミサト(中学生2人が悩んだところで……何になるってぇのよ……)
レイ宅
レイ「今日の碇くん…」
レイ「辛そうに見えた」
レイ「私がいるから?」
レイ「でも、碇くんは私だけのもの」
レイ「何かが碇くんを追い詰めてる」
レイ「私から碇くんを」
レイ「……奪おうとしてる」
次の日
アスカ「……」スタスタ
レイ「」スタスタ
シンジ「」スタスタ
マリ「おぅはっよー!」
シーン
マリ「朝から挨拶無視なんてひどいねー」
マリ「姫ー、わんこ君と仲直りした?」
アスカ「え?」
マリ「したの?してないのー?」
アスカ「……」チラッ
シンジ「」スタスタ
アスカ「そもそもあんなバカに関わんないし」
アスカ「喧嘩なんかしらないわよ」
マリ(進展なしか……)
マリ「わんこくん!最近、元気ないぞー」ギュッ
シンジ「そう?」
マリ「」チラッ
アスカ レイ「……」ウズウズ
マリ(お二人さんはまだ脈あり)
マリ(やぁっぱ、問題はわんこ君かぁ)
シンジ「そろそろ離してよ」
マリ「あ、ごめんごめん」
NERV本部
ミサト「あぁ…もう!あの子たち!何考えてんのかしら」
リツコ「難しい年頃だから」
ミサト「そんな一言で済ませないでよ」
リツコ「それにしてもシンジくんの過去を知ってどうするつもりだったのかしら」
ミサト「そこが一番引っかかるところなのよね……」
ミサト「触れてはいけないこと」
『……私の過去、知ってるわよね』
ミサト「アスカだってそれは承知してるはずなのに」
リツコ「暗黙の了解ね」
リツコ「シンジくんの過去もアスカの過去も」
リツコ「寂しさと悲しみで溢れてる」
ミサト「類は友を呼ぶって言うけど…」
ミサト「少しは大人を頼りなさいよ!子供なんだからっ!」
リツコ「ふふ」
ミサト「な、なに?」
リツコ「随分と慣れたんじゃない?そういうの」
ミサト「……」
ミサト「割り切ってるだけよ。これも仕事だし」
リツコ「そう?でも、そういうの、あの子たちなら容易に感じとるんじゃない?」
ミサト「見透かされてるのかもね……シンジくんやアスカに」
リツコ「じゃ、相談相手に売って付けの人を呼ぼうかしら」
ミサト「そんなの、うちには居ないわよ」
加持「そうか?俺はいると思うけど」
加持「ここにね」
ミサト「加持くん…」
リツコ「あら、噂をすれば」
加持「久しぶり、りっちゃん」
ミサト「なんの用?」
加持「子供たちの相談相手になってくれってね。りっちゃんから」
ミサト「はぁ……」
加持「そんな顔するなよ。うまくやるさ」
リツコ「期待してるわよ」フフッ
数日後
アスカ「加持さんとでーと♪」
加持「こんなにも、服や水着を買って」
加持「何かあるのか?」
アスカ「それはね」ニヤニヤ
アスカ「」ガサガサ
アスカ「これよ!これ!」バーン!
加持「修学旅行?」
アスカ「そう!沖縄に行くのよ!」
加持「そりゃいいな。楽しんでくるといい」
アスカ「思いっきり遊ぶんだから♪」
――
―
アスカ「はぁ~。楽しかったなぁ」
アスカ「やっぱり!加持さんといるのが一番よ!」
加持「そう?」
加持「シンジくんと買い物はしないのかい?」
アスカ「しないわよ!あんな奴!」
加持「おかしいな。シンジくんとアスカは仲が良いって聞いてたんだけどな」
アスカ「仲が良い!?ありえないわよ」
加持「キスもしたのに?」
アスカ「なっ////////」カーッ
加持「NERVの中じゃ結構有名でね」
加持「見られたんだって?葛城たちに」
アスカ「もうっ!加持さん!」
加持「悪い悪い」フフッ
加持「それで、シンジくんと、喧嘩でもしたのかい?」
アスカ「うぅ…」モジモジ
―――
――
加持「…なるほどな」
アスカ「私はシンジのことを何も知らないって」シュン
アスカ「確かに……アイツのこと知ろうだなんて思ったこと…今までになかったし」
加持「それで、葛城からシンジくんの過去を聞き出そうとした」
加持「少しでも彼を理解してやりたくて」
アスカ「……ミサトにたのまれたの?」
アスカ「…どうして、過去を知ろうとしたのか聞き出しってこいって」
加持「……」
加持「アイツも心配なんだよ。君たちのことが」
アスカ「ねぇ…どうしたら私はシンジのことを知ることができるの?」
アスカ「加持さんはシンジの過去知ってるの?だったら私に教えてよ!」
加持「……」
加持「確かにシンジくんの生い立ちは彼を知る上で重要なことかもしれない」
アスカ「私だって!辛かったこと!悲しかったこと!ママのことも全部!シンジに知ってもらいたい!」
加持「知らない記憶、他人の記憶を知ることなんて誰にもできない」
アスカ「できるわよ!手紙でもなんでもいい!言葉があるじゃない!」
加持「所詮は言葉……」
加持「それ以上の意味は持たない」
加持「アスカが今までに感じてきたことすべてをそのままシンジくんに伝えることなんかできないんだよ」
アスカ「……」
アスカ「それでも……」
加持「アスカ」
アスカ「うぅ…」
加持「過去からシンジくんを探るのは無理だ」
アスカ「じゃあ!どうすればいいのよ!」
加持「互いに今を生きる」
加持「今をシンジくんと共有し合えば」
加持「自然に彼を理解できるようになるさ」
加持「今まで通りね」
アスカ「……」
加持「出会う前のシンジくんに出会うことはできない」
加持「だけど、今のシンジくんになら」
加持「してやれることがあるだろ?」
ミサト宅
アスカ「ただいま」(今の私にできること…)
シンジ「おかえり。ミサトさん、今日遅くなるって」
アスカ「そう」
アスカ(それは……)
シンジ「」スタスタ
アスカ「ねぇ、シンジ」
シンジ「」ピタッ
アスカ「何があったのか知らないけど、無理しなくていいわよ」
シンジ「」
アスカ「辛いんなら、ちゃんと相談しなさい。私やミサトにね」
シンジ「うん、ありがと。アスカ」
アスカ「ふぅ……そっとしておくしかないわよね…」
NERV本部
リツコ「お疲れ様」
加持「疲れてなんかないさ」
加持「アスカも楽しんでくれたみたいだしよかったよ」
ミサト「で、どうだったの?」
加持「子どもらしい無邪気な悩みだったな」
加持「アスカも大分と変わったもんだよ」
加持「いい方にね」
―――
――
――
―
ミサト「過去知って、シンジくんを理解しようとした……」
リツコ「そして、自分の過去をシンジ君に伝え、自分を知って欲しかった」
ミサト「……お互い触れられたくないことだからこそ」
ミサト「あえて晒して本当の自分を知って欲しかったのね……」
リツコ「はぁ……ヘタすればそれは破綻を生むのに」
加持「アスカなりに、素直になりたかったんだろうな」
リツコ「言葉で伝えてもそれは言葉でしかない」
リツコ「シンジくんの本質そのものね」
ミサト「?」
リツコ「人は自分を他者に知って欲しいから言葉を紡ぐ」
リツコ「でも、それだけで全てが相手に伝わるわけではない」
ミサト「心そのものを見せるなんてできないってこと?」
加持「例えば俺がここでスイカが好きだなんて言ったら葛城はそれをどう捉える?」
ミサト「は?まぁ、そうなのって感じかしら」
加持「だが結局の所、俺が本当にスイカが好きかどうかなんか俺にしかわからない」
ミサト「私に嘘ついたってこと?」
加持「その可能性もあるわけだ」
ミサト「なるほどね……」
加持「だから、人はその時の状況、行動をみて発せられた言葉の本当の意味を探る」
リツコ「それでも、真偽を知ることは不可能」
リツコ「人が扱うには言語なんかまだまだ不便なものなの」
加持「シンジくんは誰よりもそこに敏感なんだ」
リツコ「相手の言葉の裏を読もうとする」
リツコ「本当の安らぎを求めてね」
加持「だが、それが不信を産む」
加持「もう諦めてるのかもなしれないな」
加持「他人から理解を得ようとすること相手を理解しようとすることに」
ミサト「シンジくんの生い立ちを考えれば無理ないわ……」
ミサト「家族すら信じることを許されなかったんだから……」
ミサト「私だってそうだった…」
ミサト「父は研究以外に関心がないって思ってた」
ミサト「それなのにあの時……」
ミサト「自分の身を犠牲にして……」
ミサト「私を助けて……」
ミサト「それ以来、誰も信じれなくなった…」
ミサト「もう、わけがわからなくてね……」
加持「葛城…」
ミサト「だけど、知らないうちにそんなことも考えなくなった」
ミサト「……シンジくんのそれもきっと時間が解決してくれるでしょうね」
リツコ「……」
ミサト「で、シンジくんとアスカの、喧嘩の原因は?」コホン
加持「あ、えっと、それは……」
ミサト「聞き出せなかったの!?」
加持「ま、まあな」
ミサト「呆れた……」
加持「おいおい、それでも収穫は大、そうだろ?」
リツコ「アスカに関してはね」
ミサト「喧嘩の原因がわからないんなら前進できないじゃない!」
加持「きっと、アスカがうまく」
ミサト「だめ!アンタが責任持ってなんとかしなさい!」
加持「はぁ……俺に責任なんてないだろ」
リツコ「ま、責任は保護監督であるミサトにあるわね」
ミサト「うぐ……連帯責任よ!」
加持「参ったな…こりゃ」
数日後
アスカ「えぇええええ!!修学旅行っちゃダメ!!?」
ミサト「あら?言ってなかったっけ?」
アスカ「初耳よ!!!」
ミサト「エヴァのパイロットはみ~んな戦闘待機」
ミサト「あなた達が沖縄に行ってる間に使徒が攻めてきたら大変でしょ?」
アスカ「えぇ!!でもぉぉぅぅぅ!!」
アスカ「ちょっと!シンジ!アンタは修学旅行行けなくてもいいの!?」
シンジ「まぁ、こうなるのはわかってたし」
アスカ「何よ!!水着も買ったのに!」
ミサト「それはちょっち悪いことしたわね」
アスカ「あぁあ、最悪……」チラッ
シンジ「」
アスカ「はぁ」(ま、シンジも行けないんだし……いっか)
次の日
ヒカリ「え?アスカ、修学旅行行けなくなったの?」
アスカ「うん……」
ヒカリ「そ、そうなんだ……」
トウジ「センセもか?」
シンジ「うん」
ケンスケ「そりゃそうさ。エヴァのパイロットなんだもん」
マリ「そうだね~。仕方がないことだよこれは」
アスカ「……」ショボーン
ヒカリ「うぅ……あ!お土産買ってくるから!」
アスカ「ありがと…ヒカリ」シュンッ
ヒカリ「あはは……」
数日後
修学旅行 当日
アスカ「あぁ!バスが!行っちゃう!!」
シンジ「」
レイ「」
マリ「お土産~!よろしくね~!」
バス ブロロロロ
アスカ「あぁ……沖縄が…ダイビングがぁ…」
シンジ「ん?」
アスカ「……」
アスカ「え?」
ヒカリ トウジ ケンスケ「」エヘヘ
アスカ「ヒカリ…」
シンジ「トウジ!」
ヒカリ「やっぱり、アスカを置いては行けないかなって」モジモジ
トウジ「そうや!センセを置いてワイらだけで楽しむなんてそんなんできるかいな!!」
シンジ「トウジ……」
ケンスケ「まぁ、トウジは最後まで沖縄に未練があったみたいだけどね」
トウジ「やかましいわ!」
シンジ「みんな……」
シンジ(どれだけ遠ざかっても……近づいてきてくれる)
シンジ(みんなを突き放そうとした……こんな僕でも)
シンジ(決して見捨てなんかしない……)
シンジ(カヲルくん……やっぱり、僕はみんなとここに居たいよ…)
シンジ「」ウルウル
シンジ(失うのは怖い……傷つくのが怖い)
シンジ(だけど……)
シンジ(それ以上に今がとても心地良いって感じるんだ)
シンジ「」グスン
レイ「碇君?」
ケンスケ「碇のやつ!感動して泣いてるのか?」
シンジ「ううん、なんでもないよ」ニコッ
アスカ「シンジ…」
アスカ「」フッ
アスカ(やっと、笑った)
マリ「あっれ~?何かやけにニヤニヤしてるね?お、ひ、め、さ、ま♪」
アスカ「は?へ?な、なんでもないわよ!」
トウジ「で、これからどうするんや?」
ヒカリ「うぅん……どうしよっか」
トウジ「なんや!何も考えてなかったんかいな!!」
ヒカリ「だって!今日決めたことだし!」
加持「お~い」
アスカ「え?加持さん!!」
ケンスケ「あ!あの人!日本海洋生態系保存研究機構の!」
トウジ「ほんまや!社会見学させてくれた人か」
加持「ありゃ?思ってたより人数多いな」
シンジ「どうしたんですか?加持さん」
加持「葛城からシンジ君達が修学旅行に行けなくなったって聞いてね」
加持「ちょっとしたサプライズを用意したのさ」
アスカ「サプライズ?」
加持「君たちも来るかい?」
トウジ ケンスケ「もちろん!!」
ヒカリ「」コクリッ
加持「よし!じゃぁ、行きますか」
――
―
日本海洋生態系保存研究機構
シンジ「ここって、前に連れてきてもらったところですよね」
トウジ「またここかいな!!」
ヒカリ「こら!!鈴原!」
ケンスケ「いやいや!なんでも見てもすごいよ!!最高だよ!!」
加持「この間のとは少し違うぞ?」
アスカ「何か嫌な記憶が」
加持「あぁ、えっと…もうわかってると思うけど」
加持「入館するまえに…ね?」
全員「……」
――
―
チーン
アスカ「もう!何よ!二度もこれを味わうなんて!信じらんない!」
マリ「そう?結構楽しかったじゃん」
アスカ「どこがよ!!」
シンジ「また、水槽を見学させてくれるんですか?」
加持「いや、もっとすごいことを体験させてあげるよ」
シンジ「すごいこと?」
加持「スキューバダイビングだよ」
ケンスケ「すごい!この青い海に潜れるの?」
加持「あぁ、沖縄の赤い海とは全然違うぞ?生き物だってたくさん泳いでる」
トウジ「早速!!潜ろうや!!」
ヒカリ「なんだか、怖いなぁ」
アスカ「大丈夫よ!私もいるし!」
シンジ「あれって…」
カヲル「」ザパンッ
カヲル「」スイスイ
シンジ「カヲルくん!」
加持「そうそう、あの子は先に着いてたみたいでな」
加持「一緒に潜るといい」
アスカ「な~んか嫌なのよね。あの新入り」
加持「さぁ、アスカも着替えておいで」
アスカ「は~い♪」
アスカ「行こ!ヒカリ」
トウジ「センセ!ケンスケ!ワシらも行くで!!」
――
―
マリ「久しぶり~」
加持「よう、無事に入国できたみたいだな」
マリ「まぁね~」
マリ「…それより、極秘入国って聞いてたのにいきなり、手の平返しちゃってさ」
マリ「何があったの?」
加持「大人の都合ってやつさ」
マリ「こっちはパラシュートで学校の屋上にダイブしたんだけど」
加持「まぁ、いいじゃないか。楽しいだろ?学生生活」
マリ「そりゃもう♪」
加持(突然のゼーレの沈黙……)
加持(奴らはNERVに全てを委ねたのか?)
カヲル「やぁ!シンジくん!」
シンジ「カヲルくん!来てたんだ!」
カヲル「あぁ。ここはいいよ、生命の臭いが漂ってね」
カヲル「生を直で実感できる」
シンジ「臭い?僕はちょっと生臭いなって感じるけど」
カヲル「ふふ、それでいいんだよ」
カヲル「そういえば、彼らは?」
シンジ「僕のクラスメイト。修学旅行、僕達のために休んでくれたんだ」
カヲル「そう。いい友だちを持ったねシンジくん」
シンジ「うん!」
アスカ「見てみて!シンジ!!」
シンジ「?」
アスカ「バックロール!エントリー!」バシャーン
シンジ「あはは……」
レイ「碇君、今日は楽しそう」
シンジ「?」
シンジ「うん、すごく楽しいよ!綾波」ニコッ
レイ「!!」
レイ「///」モジモジ
カヲル「泳いできなよ。シンジくん、それにファースト」
シンジ「カヲルくんはいいの?」
カヲル「僕は君たちが来るまでに結構潜ったからね」
マリ「いいのかな~?」
アスカ「なにが?」
マリ「わんこ君たち、2人で泳いでるよ?」
アスカ「……」ブクブク
ヒカリ「もう!真希波さん!」
アスカ「」スイスイ
マリ「お?」
ヒカリ「あぁ!真希波さんが煽るから!」
ヒカリ(がんばれ!アスカ!)
シンジ「ぷっは!」ザパァ
シンジ「やっぱり、酸素ボンベ借りてこようかな」
レイ「」
シンジ「でも、こっちの方が泳ぎやすいよね」
レイ「」コクリッ
アスカ「」スイスイ
シンジ「?」
シンジ「どうしたの?アスカ」
アスカ「泳いでるだけ」チャプチャプ
レイ(2人のじゃまをしてる…弐号機の人)
レイ「」ジーッ
アスカ「なに?」チャプッ
レイ「邪魔」
アスカ「ふん!」バシャッ
レイ「きゃっ!」
レイ「……」
レイ「」バシャッ
アスカ「わっ!」
アスカ「……やったわね!!」
シンジ「まぁまぁ!」
アスカ「」ギロッ
シンジ「な、なに?」チャプッ
アスカ「ふん!」バシャッ
シンジ「ひゃ!!」
シンジ「ちょ、ちょっと!アスカ何すんだよ!」
アスカ「べーっだ!」
シンジ「この!」バシュアッ
アスカ「きゃっ!」バシャッ バシャッ
シンジ「負けるか!」バシャッ
アスカ「ふん!!」バシャッ
キャッキャ ワイワイ
レイ「」
アスカ「きゃっ!目に入った!」
シンジ「え!?」アセアセ
アスカ「うっそ~!」バシャッ
シンジ「うわっ!!」
シンジ「ひどいよ!アスカ!本気で心配したじゃないか!!」
ハハハ
レイ「」アワアワ
シンジ「?」
レイ「」アワアワ
シンジ「そろそろ上がる?」
レイ「え?」
レイ「」コクリッ
レイ「」チラッ
アスカ「」ガッツポーズ
レイ「……」
レイ「」ギュゥ
シンジ「うわ!綾波!溺れるって!」
アスカ「な!!」
レイ「」プイッ
アスカ「え、エコヒイキのやつ…」
マリ「いやぁ、見てて飽きないね。あの三人」
ヒカリ「」チャプッ
トウジ「なんや~委員長?もぐらんのか」
ヒカリ「え?ちょっと怖いし。こうやってプカプカ浮いてるほうが」
トウジ「よっ」
ヒカリ「ひゃっ!」バシャッ
トウジ「ワイが底までひっぱたるわ!」
ヒカリ「ちょっと!溺れるって!!」
マリ「お幸せに~」
ケンスケ「……」
加持「すっかり仲直りしてるじゃないかシンジくん」
加持「俺の出る幕はない、か」
カヲル「彼らは彼ら自身で答えを見つける」
加持「?」
加持「そうだな」
加持「思う存分悩めばいい。それだって人生の楽しみの一つだからな」
カヲル「僕は君にリリンの未来を託すよ」
カヲル「碇シンジくん」フフッ
夜
トウジ「よっしゃ!ネズミ花火!3連発や!!」ジリリリリ
ヒカリ「鈴原!!火傷するわよ!!」
マリ「見てみて!姫!!綺麗でしょ!!」ブンブン
アスカ「寄るな!近づくな!!」タッタッタ
加持「どうだ?綺麗だろ?線香花火」
レイ「」コクリッ
ごはん食べきてきます
シンジ「星空、綺麗だね」ゴロン
カヲル「君に出会うまで気付かなかったよ」
カヲル「星の光がこんなにも綺麗だったなんて」
カヲル「ありがとう。シンジくん」
シンジ「この星の光って昔の星の光なんだって」
シンジ「地球からとても遠いところにあるから」
シンジ「星から出発してここにたどり着くのに何年もかかるんだ」
カヲル「詳しんだね」フフッ
シンジ「学校で少し習ったんだ」エヘヘ
カヲル「じゃぁ、僕達が今、見ている星空はもう、何年も前のものなんだね」
シンジ「うん」
カヲル「まるで、人の思い出みたいだ。ふふ」
シンジ「そうだね」
加持「お~い、そこの2人」
シンジ「は~い、なんですか」
加持「打ち上げ花火上げるから見においで」
シンジ「行こっか、カヲルくん」
カヲル「うん」ニコッ
数日後
NERV本部
冬月「ゼーレは未だに沈黙を貫いている」
冬月「老人ども…何を考えているんだ」
ゲンドウ「我々のシナリオにとっては好都合だ。問題ない」
冬月「後、二体の使徒を殲滅すれば我々の勝利だな碇」
ゲンドウ「あぁ、使徒殲滅、その先に待つのは我々の悲願」
ゲンドウ「人類の補完だ」ニヤリッ
数日後
冬月「目標は!!?」
青葉「現在、侵攻中です。駒ケ岳防衛線、突破されました!」
マヤ「第1から18番装甲まで損壊!」
日向「18もある特殊装甲を、一瞬に?」
ミサト「今回はかなり手強いわね……」
ゲンドウ「エヴァを全機発進させろ。」
ミサト「エヴァを5機を同時展開させるんですか!?」
冬月「5体のエヴァのATフィールドを持ってしてもあの使徒のATフィールドを破れるか」
冬月「怪しいところだな」
ゲンドウ「我々はいかなる手段を用いてもあの使徒を殲滅せねばならない」
ゼルエル「」ピギュン
ドゴォォォォォオオオ
初号機エントリープラグ内部
シンジ「街が……僕らの…」
アスカ『何ぼけっとしてんのよ!!!行くわよ!!!!!!』
シンジ「わかってるよ!!!!これ以上壊されるのは嫌だ!!」
ゼルエル「」シュンッ ピギーン
アスカ「なっ!早い!」
ドゴォオン
アスカ「きゃぁあ!!」
シンジ「アスカ!!!!」
ゼルエル「」ピギン
アスカ「ひっ!」
バシュンッ ドガシャーン
ゼルエル「!?」キョロキョロ
マリ「よっしゃ!命中!」
アスカ「遅いわよ!コネメガネ!!真正面から喰らうところだったじゃない」
レイ「大丈夫?碇君?」
シンジ「僕は平気だよ」
カヲル「シンジくん」
シンジ「カヲルくん!」
カヲル「この戦いが最後の戦いなんだ」
カヲル「その先に何が待ち受けるのか僕もわからない」
シンジ「カヲルくん……」
カヲル「今の日常が全て崩れ去るかもしれない。もしかしたら、君はそれを苦痛に感じるかもしれない」
カヲル「君は終局の先にある全てを受け入れる覚悟があるかい?」
シンジ「僕は……」
シンジ「失うのは怖い……」
シンジ「今がなくなるのは怖い…」
シンジ「だけど!それでも!ここで使徒に負けて!みんなが死んじゃうのはもっといやだから!!」
シンジ「何もかも全て受け入れる!!」
カヲル「それが、君の答えなんだね」
カヲル「シンジくん」
カヲル「」スッ
カヲル「さぁこれを」
NERV本部
冬月「あれは……」
ゲンドウ「カシウスの槍……」
冬月「ゼーレの連中は……何をするつもりなんだ」
ゲンドウ「あれは最後の使徒ではない……」
ゲンドウ「老人どもめ……あきらめたか」
カヲル「」タッタッタッタ
カヲル「」ガシッ
ゼルエル「」グググググ
カヲル「さぁ!シンジくん!」
カヲル「動きを止めてる間に!その槍をコアに向かって投げるんだ!」
アスカ「シンジ!!」
シンジ「カヲルくん」
シンジ「うわあああああ!!」ブンッ
ゼルエル「」グサッ
ピキッ
ドゴオオオオオオンン!!!
てす
おさるさん喰らいました(´;ω;`)
てす
シンジ「はぁはぁ……終わった…」
NERV本部
青葉「目標殲滅」
ミサト「い…一撃であの使徒を……」
冬月「碇」
ゲンドウ「シナリオに支障はない…だが、あのゼーレの少年は警戒せねば」
日向「!?」
日向「衛星軌道上に高エネルギー反応!!!!!!」
ミサト「なんですって!!?」
青葉「パターンオレンジ!」
ミサト「なんなの!?一体!!」
カヲル「時が来たね……」
カヲル「さぁ、行こう。リリンの僕達」
日向「マーク6、識別パターンが青に……」
青葉「エヴァシリーズ!!マーク6に続いて上昇開始!」
ゲンドウ「あれは……まさか」
冬月「通りで老人どもが手を引いたわけだ」
シンジ「な、なんだよ!これ!!カヲルくん!!カヲルくん!!??」
カヲル「自らの過ちを認めた創造主が再びこの星へ舞い降りた」
カヲル「彼らは僕らに終わりと始まりをもたらすのさ。シンジくん」
青葉「ターミナルドグマより、上昇する物体を確認!!!!!」
ゲンドウ「リリス……いかん!!!食い止めろ!!なんとしても!」
日向「ダメです!全ての装甲板を突破されました!!!」
冬月「人の手によって拘束された神が開放され去っていく……」
ゲンドウ「新たな生命の誕生の道が閉ざされてしまう!」
青葉「衛星軌道上の目標!主モニターに移します!」
冬月「アダムとリリス……彼らは何を考えているんだ」
ミサト「リツコ!これは一体!!」
リツコ「二種の生命の源がこの星から去っていく……」
リツコ「創造主、第一始祖民族が争いの根源を自ら回収しようとしているの」
ゲンドウ「創造主は我々に人のままでいろと言うのか……」
冬月「それが彼らの下した決断なら……仕方があるまい」
カヲル「シンジくん。君は人が人であることを望むんだね」
シンジ「カヲルくん……わからないよ!!なに言ってるんだよ!カヲルくん!!!」
カヲル「ここでお別れだ。シンジくん」
シンジ「カヲルくん?」
カヲル「旅をするんだ。長い長い道のりのね」
シンジ「いやだよ!行かないで!カヲルくん!」
カヲル「ひとつの星に2つの生命が生きることは許されないんだ」
カヲル「この星は君たちリリンに託すよ」
シンジ「そんなことないよ!!一緒にいようよ!!寂しいよ!カヲルくん!!」ウルウル
カヲル「ありがとう。その気持だけで僕は十分だよシンジくん」ニコッ
シンジ「お別れなんて…悲しいよ……もう二度と会えないなんて!!」シクシク
カヲル「悲しくなんかないさ」
カヲル「君と過ごした思い出はあの時みた星の光のようにずっと僕と君を照らしてくれるから」ニコッ
シンジ「カヲルくん!!」
カヲル「さようなら」
カヲル「碇シンジくん」
青葉「エヴァシリーズ!!消失!」
日向「アダム、リリスも同様です!!」
ミサト「子供たちは!?」
リツコ「わからない……エヴァシリーズと共に消失したのかもしれないわ…」
ミサト「そんな……」
ミサト「シンジくん!!アスカ!!」
ミサト「どうして……」ウルッ
アスカ「ここは……」
キョウコ「アスカ、アスカちゃん」
アスカ「ママ…ママなの?」
キョウコ「うん、そうよ」
アスカ「どうして?どうしてママが?」ウルッ
キョウコ「ごめんね。詳しく話してる暇はないの」
アスカ「そんな!またどこかへ行っちゃうの?」ウルウル
キョウコ「ううん、私はずっとずぅっとアスカの側にいるわ」
アスカ「ほんと!?」
キョウコ「うん!目には見えないけどね」
キョウコ「でも、私はアスカを見守ってるから」
アスカ「ママぁ」ウルウル
キョウコ「ふふ、随分と大きくなっちゃって」
キョウコ「顔も私に似てきた」フフッ
アスカ「ねぇ、行かないでママ」
キョウコ「もう、行かなくちゃ」
アスカ「ママ…」
アスカ「ママ!!!」
――
―
ゲンドウ「……」
ユイ「あなた」
ゲンドウ「!?」
ゲンドウ「ユイ……」
ユイ「体ごとサルベージされてたから」
ユイ「彼が戻してくれたのね」
ゲンドウ「そうか…すまなかったなユイ」
ユイ「確かに人類の補完は叶わなかった」
ユイ「でも、それだけが人の希望ではないでしょ?」
ゲンドウ「……」
ユイ「初めから、やりなおしましょ。家族三人でね」
ゲンドウ「……」
ゲンドウ「あぁ…そうだな」
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