京介「  が鬱になって堕ちた話」(84)


桐乃が集団強姦未遂に遭ってから3ヶ月が過ぎた
行為の直前で通報されて身体的な怪我はなかったのだが...
精神的に大きな、ホントに大きな傷を負ってしまった

桐乃「兄貴...」

京介「なんだ?」

桐乃「...死にたい」

京介「......」

桐乃「死にたい」

京介「...まずはロープを手放せ。話はそれからだ」

桐乃「うん...」

京介「...今日はどうした」


桐乃「アタシって、被害者として同情されてて、友達も心配してくれてる」

京介「ああ」

桐乃「だから、今は、怖くない」

京介「ああ」

桐乃「でも、この同情も心配も、いつかは薄れてくんだよね...?」

京介「......」

桐乃「そして、単なる被害者でしかなくなる」

桐乃「いつかは一人ぼっちになって、なりたくないのに、なって...」


桐乃「そうなる前に、アタシ...」

京介「死んでしまおう、ってか」

桐乃「......」

京介「ダメだ」

桐乃「なんで...?」

京介「ダメなものはダメだ」

桐乃「でもアタシ、将来一人になるんだよ?」

京介「一人じゃない。俺がいる」

桐乃「いないかもしれないじゃない...誰かと結婚してるかもしれないじゃないっ!」

京介「何があっても、俺がいる」

京介「...だから、死ぬな」


桐乃「...分かった。ごめんね」

京介「謝らなくていい。お前が死ななかったら、なんでもいい」

桐乃「うん......でも、ごめんね」

京介「......一人で寝れるか?」

桐乃「なに?アンタ誘ってんの?」

京介「急に戻るな」

桐乃「嘘だよ...大丈夫。ありがとう」

京介「...何かあったら、いつでも言えよ」

桐乃「うん...おやすみ」

京介「おやすみ」

ガチャ

京介「......はぁ」


医者『桐乃さんはかなり精神的に病んでいます』

医者『何か突発的なことで自らの命を絶ってしまうこともありえます』

医者『お兄さんは、できるだけ彼女の話を聞いてあげてください』

医者『例え何があっても、彼女に怒りをぶつけてはいけません』

医者『同じことを何度も言われるかもしれません。しかし、彼女が頼れるのはあなただけなのです』

医者『どうか、突き放すような言動をしないようにしてください』



京介「そう言われて、桐乃の相談に乗り続けてもう3ヶ月か...」

京介「ははっ...俺がどうにかなりそうだ...」

これこの前のSSの別ルートなのか?

>>10
昨日建てたのが途中で落ちたからもう一度しようかと
つまり自己満


京介「ほぼ毎日、死にたいと言われては、それを説得して...」

京介「心配して夜も眠れずイライラも溜まり、でも不満は言えずに...」

京介「少しでも冷たくしたら、電話で自殺未遂実況」

京介「親父は桐乃の事件にやっけになってて、お袋も今の桐乃には...」

京介「頼みのあやせも度重なる相談に最近は面倒になってきてる」

京介「そして、全部俺に回って...」

京介「疲れた、なぁ...」

京介「もう、4時か...早く寝ないと...」


京介「おはよう...」

佳乃「おはよう京介。あら、顔色悪いわよ?大丈夫?」

京介「昨晩あんまり寝てないからな...まあ大丈夫だ」

京介(ついでに言うと、今朝も早めに起きてしまったし...まだ健康な証拠だろう)
佳乃「そうなの。今日は休みなんだから、ゆっくり家で休んでなさい」

京介「ああ。でも今日は桐乃と一緒に病院に行かないとならないからな」

佳乃「ならしっかり、ご飯だけでも食べなさいよ」

京介「分かった。いただきます」


コンコン

京介「桐乃、入るぞ」ガチャ

京介「...桐乃、まずは包丁を離せ」

桐乃「...病院にいったら、また現実を告げられないとダメなんだよ?」

桐乃「もうアタシ、聞きたくないよ...」

桐乃「ねえ、いっそアタシを殺してよ...」

京介「そんなの、できるわけないだろ...」

桐乃「ウソ...兄貴だって本当は私のこと面倒に思ってるんでしょ?」

京介「...思うわけない」

桐乃「本当のこと言ってよ!めんどうなんでしょ!?だったらそう言ってよ!うわあぁん!」

京介「大丈夫、だから...俺がいるか、ら...」ギュッ


医者「調査は以上です。桐乃さん、京介さん、ありがとうございました」

京介「...あの、なんで俺もあの調査を?」

医者「両者の比較のためですよ。では桐乃さん、あちらの部屋へどうぞ」

桐乃「はい...」スタスタ

京介「じゃあ俺は待合室で...」

医者「待ってください。京介さん、少し話があります。こちらの部屋へ」

京介「えっ...?」


バタン

医者「京介さん、最近どうですか?」

京介「どうですか、と言われましても」

医者「最近、よく眠れているか。寝つき、寝起きはどうか。気持ちの変化はどうか」

京介「...おっしゃってる意味がよくわかりません」

医者「単刀直入に言いましょう」

医者「あなたは、重度の鬱症状の可能性があります」

京介「......」

無視された
全然笑えない

>>28
マジレスすると目立ちたがり屋なわけだ
要はアホ


医者「自覚はあるのでしょう?無理もありません」

医者「あのような相談を受けていて、精神に支障をきたさない方がおかしい」

医者「しかし...酷なのですが、あと少しだけ耐えてください」

京介「...俺の精神がどれだけ限界なのか、分かった上でですか?」

医者「もちろん、京介さんにも薬をお出しします」

医者「また、カウンセリングも受けていただきます。費用はいただきません」

医者「しかし、あの役目だけはあなたにしか務まらない」

医者「京介さんには判りづらいと思いますが、桐乃さんは確実に改善しています」

医者「今、あのような態度は京介さんにしか見せていないと思います」

医者「信頼してるからこそです。どうかそれをお分かり下さい」

京介「......分かりました」

医者「睡眠薬を出しておきます。夜は早めに寝てください。夜は、辛さしか生みませんから...」


桐乃「兄貴...」

京介「なんだ...?」

桐乃「いつもありがとう」

京介「どうしたいきなり」

桐乃「アタシ、どんどん改善してる、って言われた。今日から前向きに頑張れそう」

京介「そうか」

桐乃「でも多分、これからも死にたい気持ちになることがあると思う」

京介「......」

桐乃「その時はまたよろしくね」

京介「あぁ......」

京介(後少しの、辛抱...だ...)


その日から桐乃は少しずつ、だが確実に前の桐乃に戻っていった
黒猫や沙織、あやせや加奈子などと普通に話せるようになっていった

でも...それはあくまで表面の桐乃でしかない

自殺の相談は、頻度は少なくなるも、止むことはなかった
その相談の時間は決まって夜中だ
なぜだか桐乃には睡眠薬の効果があまりなく、夜はどうしても辛いらしい
そして俺は相談に乗るために睡眠薬を飲むに飲めない状況にあった
ゴトッ、と重量のあるビン
俺と桐乃、気づけば2人分の睡眠薬が減ることなく増えていった

桐乃「兄貴...」

京介「どうした...?」

桐乃「死にたい...」

京介「......」


京介「今日はなんでだ...?」

桐乃「いつも兄貴に迷惑かけるのが、もう辛くて...」

京介「大丈夫だよ」

桐乃「大丈夫じゃない...もう兄貴、ボロボロだもん...」

京介「だから俺のことは気にするな」

桐乃「でもアタシ知ってるよ!兄貴だってカウンセリング受けてるじゃん!」

京介「......」

桐乃「なんでそんなに無理するの!もう、兄貴の辛い姿見たくないよ!」


京介「......だったら」

桐乃「もう嫌だよぉ...こんな妹でごめんね...ヒック」

京介「分かってるんだったら、もう相談なんて...!」

桐乃「ごめんね...ごめんね......っ!」

京介(だめだ...それだけは言っちゃダメだ...!)

京介(言ってしまったら、きっと桐乃を壊してしまうから...)

京介「......」ギュッ

桐乃「ぅう...うぇぇん...」

京介(耐えろ、桐乃の、ために...)


事件から半年後

医者「もう大丈夫でしょう。桐乃さん、もう通院しなくても結構ですよ」

医者「この6ヶ月間、よく頑張りました」

桐乃「こちらこそありがとうございます!先生のおかげです!」

医者「いえいえ、礼はお兄さんに言ってください」

桐乃「......」

医者「...桐乃さん。目を逸らしてはいけません」

医者「お兄さんがああなった代わりに、あなたは今があるんです」

医者「今度は、あなたの番ですよ」


京介「桐乃...」

桐乃「どうしたの、兄貴?」

京介「もう俺、おかしくなっていまいそうだ...」

京介「死んでしまいたい...」

桐乃「大丈夫だよ、兄貴...」

桐乃「アタシがいるから...」ギュッ

京介「死にたい...死にたい...」

桐乃「......ごめんね」


兄貴がアタシに相談に来始めてから、1ヶ月が経った
たった1ヶ月。兄貴が私と同じ状況を過ごした6ヶ月の半分にもいかない
なのに...アタシの精神は早くもくじかれそうだった

毎晩ではない。二日に一度程度
夜中ではない。12時前には相談は終わる
自殺未遂を実況したこともない。ただ、死にたいと

なのに、アタシは早くも投げ出したくて
兄貴の頑張りを本当に凄いと思って...

いや、そんな曖昧な表現はしない
アタシは、明らかに、兄貴が負担になっていた


京介「桐乃...」

桐乃「......」

京介「桐乃...」

桐乃「そんな目で、アタシを見ないでよ!」

京介「......」

桐乃「そんなに恨むような目で見ないで...」

京介「死にたい...」

桐乃「なんで...?アタシが傍にいるって言ってるじゃない!」


京介「それが、お前に、負担になるだろ...?」

桐乃「......っ!」

京介「俺だって、お前の立場だったんだ...分かるよ...」

桐乃「それでも、アタシは兄貴の傍にいるの!」

桐乃「それでも......っ」

京介「桐乃...ごめんな...」

桐乃「...謝らないで」

京介「こんな兄貴で...ごめんな...」


桐乃「...止めてよ」

桐乃「もうアタシを責めないで...」

桐乃「もう...止めてぇ!」

桐乃「私が全部悪いんだから!」

京介「負担になって、ごめんな...」

桐乃「......」

京介「分かってるのに、頼ってごめんな...」

桐乃「...だったら」


京介「......」

京介「負担になってるって分かってるんだったら......」

桐乃「もう......」

京介「きり...」


桐乃「相談なんて、してこないで!!」


京介「......」

桐乃「あっ...!」

京介「...いや、俺も言おうとしたことがある」

京介「だから、気持ちはわかるよ」

京介「ありがとう...おやすみ...」

桐乃「あにき...っ」バタン

桐乃「......」

っていうか意外に見てくれてる人がいてめっちゃ嬉しいんだけど
ほんとうにありがとうございます


バタン

京介「やっぱり、そうなるよなぁ...」

京介「迷惑、かけてしまうよなぁ...」

京介「ははっ、ははは...」

京介「俺、どうしたら...」

ゴトッ カランカラン

京介「あっ...」

京介「あぁ、なるほど...」


桐乃「違うもん...兄貴がこんなにもなったのが...」

桐乃「...でも、こんなにもなったのはアタシのせいで...」

桐乃「そういや...」



桐乃『もう嫌だよぉ...こんな妹でごめんね...ヒック』

京介『分かってるんだったら、もう相談なんて...!』

桐乃『ごめんね...ごめんね......っ!』

京介『......』ギュッ



桐乃「あの時...兄貴は...」

桐乃「アタシと同じ状況で...」


桐乃「でも...兄貴は言わなかった...」

桐乃「なのにアタシは...」

桐乃「...明日、謝ろう」

桐乃「夜は、辛さしか生まないから...」

桐乃「それでアタシが病んだら、二人で堕ちるだけしかないから」

桐乃「...兄貴」

桐乃「...ごめんね...ヒック...うぁ...」


チュンチュン

桐乃「兄貴...起きてる...?」

桐乃「...あっ」

桐乃「ねえ、アタシまた病んじゃうよ...?」

桐乃「起きて、また相談にのってよ...」

桐乃「まだ、感謝も言ってないじゃない...」


桐乃「今度は、アタシが兄貴を助ける番だから...」

桐乃「だから、もう一度チャンス...くれなさいよ...」

桐乃「ねぇ...兄貴...」

桐乃「兄貴......」

カランッ

桐乃「お願いだから...起きてよ......っ!」


桐乃「......」

桐乃「そうだよね...」

桐乃「アタシ、言ったじゃん...」

桐乃「ずっと傍にいるよ、って」

桐乃「兄貴、寂しくなんかないよ...」

桐乃「どこまでも一緒だよ...」


ゴトッ ゴクン

桐乃「ねぇ...」

桐乃「兄貴...」

桐乃「一緒に...」

桐乃「堕ち...て...ね...」

桐乃「兄貴...」

桐乃「ありが...とう...」

桐乃「おや...す...み......」



        京介「  が鬱になって堕ちた話」   fin.


これで終わり
見てくれた方々、本当にありがとう
昨日は途中で落ちてしまっただけに、最後まで続いただけで嬉しい

ではまた皆さん、でこかで会いましょう
2013年も、よいお年を!

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