空白は
一方通行(なンて読むんだよ)
湯婆婆「分かったら返事しな! 一(はじめ)!」
一方通行「はァい」
湯婆婆「帝! こいつを案内してやんな」
垣根「はい、湯婆婆さま」
一方通行「テメェは!」
垣根「おい、さっさと着いてこい」
一方通行「メルヘン野郎!」
垣根「誰がメルヘン野郎だ。俺の帝様と呼べ」
一方通行「ふざけンな死ね」
垣根「おい」
垣根「お前、名前は」
一方通行「一方通……じゃなくて一か」
垣根「なら一、ここでは俺のことは帝様と呼べ」
一方通行「……お前さっさと雰囲気違くねェ?」
垣根「無駄口叩くな」
一方通行「はァン? 人が下手に出てりゃァメルヘン野郎が何調子こいてンですかァ?」ドスッドスッ
垣根「やめろ殴るな顔はやめろ」
垣根「ここで働くことになった一だ」ボロッ
一方通行「よろしくお願いしまァす」
カエル顔「いくら湯婆婆さまの命令でもそれはちょっとね?」
とりまき「人くさくてかなわんわー!」
とりまき「ミサカのところにはよこさないでください、とミサカはry」
垣根「ここのものを三日も食べれば臭いは消える」
垣根「それで使い物にならなければ煮るなり焼くなり好きにしろ」
一方通行「おい勝手なこと言ってンじゃねェよ」
垣根「ワースト! どこだ!」
番外個体「ええ!? ミサカぁ!?」
垣根「一、行け」
番外個体「やってらんないよ全く!」
とりまき「はよいけ」
番外個体「埋め合わせはしてもらうかんね! フン!」
スタスタクルッ
番外個体「アンタ上手くやったじゃん!」キラキラ
一方通行「あン?」
番外個体「モヤシみたいな体してるからさあ心配してやってたんだよ?」
番外個体「ま、わかんないことがあったらこのミサカに聞きなよ」フンス
一方通行「……」
番外個体「ん?」
一方通行「足がフラフラするゥ」←モヤシ
番外個体「ここがミサカたちの部屋だよ」
グチャア
一方通行(汚ェ)
番外個体「食って寝たら元気になるっしょ。ハイ服」ポイポイ
一方通行「……」
番外個体「うーんモヤシだからなあ」ポイポイ
一方通行「おいワースト」
番外個体「んん?」
一方通行「ここに帝ってヤツは二人いンのかァ?」
番外個体「二人ぃ!? あんなメルヘン野郎が二人もいたらミサカおかしくなっちゃってるよ!」ペッ!
一方通行(どンだけ嫌われてンだよ)
番外個体「アイツは湯婆婆の手先だから気をつけたがいいよ」
一方通行「ふーン」
番外個体「お、あったあった」ポイポイ
一方通行(……まァいいか)
翌朝
モゾモゾ
垣根「……おい」
一方通行「スヤァ」
垣根「おい起きろ!」ヒソヒソ
一方通行「あァ……?」
メノマエニカキネノカオ~
一方通行「」
垣根「着いてこい。保護者にあわせてグボァ!?」バキィ
一方通行「寝床に侵入とはいい度胸だ」
垣根「待て落ちつけ静かにしろ頼むから」
垣根「テメェのせいで橋でカオナシに会うイベントがうんぬんかんぬん」
一方通行「いいから早く案内しろ」
垣根「ちっ……」
養豚所
ブーブー
一方通行「」ブワァ
垣根「!?」
一方通行「黄泉川ァ!! 芳川ァ!! ちくしょォこンな姿になっちまって」シクシク
一方通行「オレだ! 一だァ!」ウエエン
垣根「……」アゼン
一方通行「なンだこれ全然動かねェぞ生きてンのかオイ」ポロポロ
垣根「あ、ああ多分腹いっぱいで寝てるだけだと思うぜ」
豚「ブーブー」
一方通行「……」ブワァ
一方通行「黄泉川芳川絶対ェ太るンじゃねェぞ! 食われちまうからなァ!」
垣根「あっおい!」
ウエエンダッ
一方通行「」シクシク
垣根「ほら、これ」
一方通行「あァ……? 服? 捨てられたンじゃねェのか」
ガサゴソ
一方通行「こりゃァお別れにもらったカード……」
きちんと冒頭からやってりゃよかったのに
もしかして上条×美琴で、娘が出てくるss書いた人?
『一方通行
暗部卒業おめでとう
元気でね
グループ』
一方通行「一方通行……オレの名前じゃねェか」
垣根「湯婆婆は相手の名前を奪って支配するんだ」
一方通行「なるほどな。精神干渉系の能力者か……オレの名前を奪えるたァかなりの高能力者、いや特殊な能力者か……」
※そういう話じゃないです
垣根「名前を奪われると帰り道がわからなくなる」
一方通行「つまり空間に干渉する能力者の可能性もあるってことか。クカカ、面白ェじゃねェか」
※そういう話じゃないです
垣根「俺はどうしても思い出せねえんだ」
一方通行「名前が?」
垣根「ああ。だけど不思議だな。一方通行のことは覚えてた」
一方通行「」ヒキ
ガサゴソ
垣根「食べろ、朝飯まだだろ」
つ●ダークマタァァァ
一方通行「たべたくない」
垣根「一方通行の元気が出るような未元物質にしたんだ」
一方通行「たべたくない」
垣根「お食べ」グイッ
一方通行「ぐァァァァァァァァ!!」ボロボロボロ
>>38
乗っ取りなので
>>39
ちゃうよ
垣根「一人で戻れるか?」
一方通行「ウン、テイアリガトウ。オレガンバルネ」ガクガク
ハシワタリチュウ
一方通行「……あァ?」
頭上には翼の生えた龍が
一方通行「何だありゃァ……なんでもアリかよ」
??「……」ア…ア…
ボイラー室
麦野「むにゃむにゃ……ん?」
一方通行「スヤァ」
麦野「……」
伸ばしたビームの腕でざぶとんをかけてあげる麦野
一方通行「スヤァ」
麦野(やれやれ)
ザアアア…
一方通行(雨降り出してきやがった)
番外個体「どこいってたんだよー! ミサカちょっと心配したんだよお!?」
一方通行「悪ィ」
ドタバタドタバタ
ユカフキチュウ
一方通行「はァ……はァ……」←モヤシ
ポタポタ…
ゾウキンシボリチュウ
一方通行「ぐゥゥ……」
番外個体「ちょっと一、もっと力入んないわけぇ? ほんっとモヤシだねー!」ギャハハハ
一方通行「クソッタレ!!」
カエル顔「ワーストと一、今日から大湯番だよ?」
番外個体「はぁぁ!? あれはカエルの仕事でしょ!」
カエル顔「上役からの命令なんだね?」
ギャーギャー
一方通行(ぐぎぎ……)ポタポタ
ミズハコビチュウ
一方通行「クソ、水が重てェ……!!」←モヤシ
一方通行「ふぬぬ……よォし、やっと窓まで運んだぜェ」ゼェハァ
ガラガラ
ザアアア…
一方通行「よっと」バシャァァ…
一方通行「これでよし……あァ?」
カオナシ「……」
一方通行(客かァ?)
一方通行「……そこ、濡れるだろ」
カオナシ「……」
<ハジメ、ハヤクシテヨー!
一方通行「チッ、わかってンよォ!!」
一方通行「オイ、ここ開けとくからちゃんと閉めろよ」
<ハヤクゥゥー!!
<ウッセェッテノ! ゼェハァ…
カオナシ「……」
スゥゥ…
とりまき「ワースト大湯だってププ、とミサカはry」
番外個体「ほっときなさいっての」ムカムカ
オオユトウチャク
グチャア…
一方通行(汚ねェ)
番外個体「うっわぁ全然掃除してないね」
一方通行「うォォァ!?」ズルゥ
番外個体「っぎゃははは!! なにいきなり転んでんの恥っ!! はっず
う一!!」プゲラァ!
一方通行「クソッタレが……!!」クサマミレ
ソウジチュウ
一方通行「くっ……!! 全然汚れ落ちねェじゃねェかよ何だ何だよ何なンですかァ!!??」
番外個体「ここの風呂はヨゴレがなんたらかんたらで特別なのミサカもよく知らない」
一方通行「おい」
<ワーストォ! イチバンキャクガキチマウゾ!
番外個体「はぁい今すぐっつてんだろカエルめ!」
番外個体「こりゃ一回薬湯入れなきゃダメかな。一、番台行って札貰ってきてよ」
一方通行「札ァ?」
番外個体「薬湯の札!」ヒョイッポーイッ
一方通行「うおァァ!?」ズベシャァ!!
一方通行「ぐっ……行きゃァいいンだろォが行きゃァよォ!」クサマミレ
湯婆婆「……」
湯婆婆「!」ハッ
湯婆婆「何かきたね……」
ガチャ!
ザアアア…
湯婆婆「雨に紛れてろくでもないものが紛れ込んだかな」
ザアアア…ザアアア…
ズル…ズル…
ギャーギャーワーワー
番台「そんな勿体無いことはできるか!」
一方通行「あァン!? さっきから札渡しまくってンじゃねェか! さっさと一枚や二枚よこせやァァ!!」バンッ!!
番台「ヒイッ!?」
番台「い……いつまでもいても同じだ! さっさと戻れ! 手でこすればいいんだ! 手を使え、手を!」
一方通行「薬湯じゃなきゃダメだっつてンだろォがあァ!?」
番台「わ、わからんやつだな」
客「あの~」
番台「ああ、ヨモギ湯ですね。ごゆっくり……」
スウゥ…
カオナシ「……」
一方通行「あン?」(さっきの客じゃねェか)
番台「?」ウシロ?
スウゥ…
一方通行(消えた?)
ジリリリリン!
番台「電話か。はい番台です。ああはい……」
フワ…
宙を舞う湯の札
番台「あ、あれ!?」
パシッ
一方通行「あァ? なンだくれンならさっさとよこせっての。じゃあなァ」
番台「ち、違う! こら待て!」アオアオ
湯婆婆『どうしたんだい』
番台「い、いえ、何も」
湯婆婆『何か入り込んでるよ』
番台「! 人間ですか」
湯婆婆『それを調べるんじゃないか。今日は帝がいないからね』
番外個体「へえええ~~随分イイのくれたじゃん!」
一方通行「そォなのか」
番外個体「これが麦のんとこいくの」
バシュッ
番外個体「混んでないからすぐ来ると思うよ」
ガコン! ドバババ…
一方通行「すげェ色だなオイ」キタネェ
番外個体「ぎゃははっ、こんだけ濁ってればこすんなくても同じじゃない☆」
番外個体「ミサカ朝ご飯とってくるから、満杯なった紐ひいてよね」
スタスタ
一方通行「……」
スウゥ…
カオナシ「……」
一方通行「あァ?」
カオナシ「……」スルスル
一方通行「あのォ、風呂はまだなンですけどォ」
スッ…
カランッ
一方通行「あァン? 札?」
カオナシが差し出した両手には大量の湯札が。
カオナシ「ア……ア……」
一方通行「いやそれそんないらねェから」
カオナシ「ア……ア……」
一方通行「いやマジでごり押しされても困るから一個でいいあら」
カオナシ「ア……(´・ω・`)」
スゥゥ…
一方通行(なンだったンですかァ?)
一方通行「あ、湯溢れる前に止めねェと」
スタスタスタスタスタッッ!!
カエル「湯婆婆様」
湯婆婆「腐れ神(ハラペコシスター)だって?」
カエル「それも特大のお腐れ様です」
禁書「腹ペコなんだよ!」
とりまき「お帰りください、お帰りくださいとミサカはry」
とりまき「お帰りください、お帰りくださいと同じくミサカはry」
禁書「なんで止めるんだよくーるびゅーてぃー! 私はお腹いっぱいご飯が食べたいんだよ!」
とりまき「あなたが来ると湯屋の食料がもたないのですとミサカはry」
湯婆婆「おかしいね、腐れ神なんかの気配じゃなかったんだか」
寝そう
湯婆婆「来ちまったもんは仕方がない、お迎えしな! こうなったらできるだけ早く帰ってもらうしかないよ」
禁書「ごっはん♪ ごっはん♪」
<ワーストトハジメ、ユバーバサマガオヨビダ!
一方通行「はィはィなンですかァ」
湯婆婆「これから来るお客を大湯で世話するんだよ」
一方通行「はァ? でも禁書目録は飯食いにきたのになんで大湯に通すのってツッコミは「しのごの言ってると石炭にしてまうよ!」えェー……」
カエル「み、見えました」
禁書「ご飯が食べたいんだよ!!」
湯婆婆「ほら、早くご案内しな!」
一方通行「はィはィ。こちらになりまァす」
とりまき「」ガクガクブルブル
一方通行(どンだけトラウマ植え付けてンだよコイツは)
禁書「あ~~待ちに待ったご飯なんだよ! 早く案内してほしいんだよ!!」
とりまき「」ガクガクブルブル
番外個体「げえっ! 腐れ神!」リョウテニゴハン
一方通行「おォワースト」
番外個体「ちちちちょっと一なんでコイツの案内してんの!?」
禁書「あ、ご飯なんだよ!」
番外個体「はっ」
シュバッ!
両手の飯が一瞬にして消える
番外個体「飯が……」
一方通行「」
オオユトウチャク
禁書「わーおっきなお風呂なんだよ! でもお風呂よりご飯なんだよ!」ハヤクハヤクゥー
一方通行「オレはどォすりゃいいンだ」
湯婆婆「ありったけの料理を持っていきな!!」
とりまき「えっさっほいさ」
ワラワラ
上条「はあ……腐れ神様の食事配膳に回されるなんて不幸だあ……」
禁書「もっといっぱい持ってくるんだよー!」
シュバッ シュバッ
一方通行「料理が光の速度で消えていきやがる」
番外個体「前コイツが来たときは湯屋の食料という食料をほとんど食べ尽くされたからね」
番外個体「その日はもう営業できないし湯婆婆は怒り狂うしもう大変だったんだから」
一方通行「ただの疫病神じゃねェか」
禁書「美味しいんだよ! 早く持ってくるんだよ!」
シュバッ シュバッ
上条「りょ、料理お持ちしました~……」
ツルッ!!
上条「うわああ!?」
ドンガラガッシャン
禁書「」
上条「」
番外個体「わぁお見事に押し倒してるね☆」
一方通行「誰だあのバカはァ」
禁書「」カァァ~~ワナワナワナ
上条「あ、あのお腐れ神おおおおおお許しををををを」ガクガク
禁書「許さないんだよ!! 食べてやるんだよ!!」ミギテガブー!!
上条「ぎゃあああああああ!!」
ピュオーーン!←そげぶ音
上条「んん? なんか今どこかで幻想をぶち殺したような……」
禁書「」
上条「く、腐れ神様??」
禁書「……」
禁書「よきかな……」
上条「えっなにこの羽はry」
<ワートツゼンフタリトモブッタオレタゾ!
<コレハタイヘン、ハヤクジンコウコキュウヲトミサカハry
<ウウウ…
<オッジョウガメヲサマシタゾ
<ココハドコ? ワタシハダレ?
<キ、キオクソウシツー!?
一方通行「なンか向こうで新しい物語が始まろうとしてる気がする」
番外個体「まあこのミサカには関係ないし?」
コロコロ…
一方通行「ン?」ヒョイ
一方通行「なンだこの泥団子みたいなの」
その後インデックスが出した羽から砂金が出たとかで湯婆婆が大もうけしたらしいが一方通行にはあまり関係なかった。
その夜
一方通行「……」
番外個体「やっほー一、食べる?」
一方通行「ン」モグモグ
番外個体「やれやれ」モグモグ
一方通行「……帝いなかったなァ」
番外個体「また帝? アンタホモ?」
一方通行「うるせェ物語の展開上仕方ねェンだよ」
番外個体「展開上とかいうな」
番外個体「アイツ時々いなくなんのよ」
番外個体「噂じゃ湯婆婆にヤバいことやらされてるんだって。まーどうでもいいけど」モグモグ
一方通行「ふーン」モグモグ
一方通行「……街があるなァ」
一方通行(外壁がねェし、学園都市じゃねェよな……)
番外個体「ミサカはいつかあの街に行くの。こんなとこ絶対やめてやるんだから」モグモグ
一方通行「……」
一方通行(この泥団子なンか意味あンのかなァ……)
一方通行「……」モグモグ
早朝 大湯の間
コソコソ…
浜面「……」
コソコソ…
ガリガリ
浜面「おっこれ砂金じゃね?」
ガリガリ…
浜面「ちっ、これは違うか……」
カタンッ
コロコロコロ…
浜面「ん?」
浜面「これは……砂金じゃねえか!」
浜面「ん?」
カオナシ「……」
浜面「うわああ!?」ガタッ
浜面「テ、テメェ何者だ!?」
カオナシ「……ア……」
カタンッ
コロコロ…
浜面「!?」
浜面「こ、これ、砂金だ!」
浜面「これ俺にくれんのか!?」
カオナシ「ア……ア……」ジャラジャラ
浜面「く、くれっ!」
ギュムッ!
浜面「!!??」
バクッ!!
モグモグ
ゴクン…
……
兄役「誰かそこにいるのか?」
兄役「消灯時間はとっくに過ぎて……」
パラパラ
コロコロ…
兄役「こ、これは砂金……!?」
グゥゥ…
兄役「上かっ!」
カオナシ(in浜面)「兄役殿、俺は腹が減った」
兄役「そ、その声は……」
カオナシ「前金だ、とれ」
バラバラバラ
カオナシ「俺は客だぞ! 風呂にも入るぞ! みんな起こせええ!」
……
養豚所
豚「ブーブー」
一方通行「はァっ、はァっ……」
一方通行「黄泉川! 芳川ァ! 腐れ神だかかンだかよくわからンヤツからでてきた得体の知れねェ泥団子だ!」
一方通行「これを食べればきっと人間に……」
豚「ブーブー」ワラワラ
一方通行「!?」
豚「ブーブー」ワラワラ
一方通行「よ、黄泉川! 芳川! どこだァ!?」
豚「プギー!! プギー!!」
一方通行「黄泉川ァァ!!」ブワアッ
一方通行「……」ハッ
チュンチュン…
一方通行「嫌な夢見ちまったぜ……」
一方通行「夢の中とはいえ……あンな得体の知れねェ泥団子を食わせよォとするとは何考えてンだオレ」
一方通行「……あン? そォいやワースト……」
ポツン
一方通行「……誰もいねェ」
しえん
バタバタ
一方通行「何こンな朝から騒いでンだァ?」
バタバタ
ワーワー
「はやく料理をお出ししろ!」
上条「いやーよく食べるお客さんだけどインデックスには及ばないな」
禁書「く、悔しいけど反論できないかも……」
カオナシ「もっと料理持ってこーい!」バリムシャァ!!
ワーワー
番外個体「あ、一じゃん。残念~今呼びについでに寝起きドッキリしにいくところだったのに☆」
一方通行「何の騒ぎだァ?」
番外個体「すんごい気前のいい客が来たのよ。ほらみてみて本物の金もらっちゃった!」キャアキャア
一方通行「ふーン」
ワイワイガヤガヤ
とりまき「こちらにもひとまきーとミサカはry」
とりまき「こちらに今ひとまきをーとミサカはry」
カオナシ「俺は腹ペコだ! 全部持ってこい!」
バラバラバラ~
キャアキャア
禁書「ぐぬぬ、なんかキャラがかぶってるんだよ」
上条「ははは、インデックスさんのほうが可愛いから大丈夫ですよ」
禁書「えっ///」
一方通行「その客って……」
番外個体「一もきなよ。湯婆婆まだ寝てるからチャンスだよ」
一方通行「オレ麦のんとこ行かねェと」
番外個体「あーそう? でも今麦のんとこ行かないほうがいいよ」
一方通行「あァ?」
番外個体「叩き起こされて物凄ってい不機嫌だから全身ビームバチバチだよ」
一方通行「あァ……それは行きたくねェわ」
スタスタ…
一方通行「ここなら静かだな」
一方通行「はァ……」
一方通行「……黄泉川と芳川わかンなかつまたらどォすっかなァ……」ウーン
一方通行「芳川あンまり太ってたらイヤだな……」ハァ
ヒュオオ…
一方通行「あァ?」
紙に追い回される白い翼の生えた龍。
一方通行「あれは橋のとこで見た気味悪ィ龍!」
一方通行「げっこっち来やがった!!」
一方通行「帝! 絶対ェこっち来ンじゃねェぞォォォ!!」
一方通行「……ン? 帝?」
ビュオオオオ!!
一方通行「言ってるそばから突っ込んできやがった!!」
ドサァッ!!
一方通行「チィ! 仕方ねェ」
一方通行「圧縮圧縮ゥ!」
ギュウウ
龍を追って窓に飛び込もうとする式神を圧縮。
ピクリとも動かなくなる。
一方通行「こンなもンだろ」ギュッギュッ
一方通行「さァて」
振り向くと、あちこちに血が飛び散った汚部屋と、口から血を垂れ流すボロボロの翼の生えた龍がいる。
一方通行「龍だかドラゴンだか色々交じってやがるが、そのメルヘンな翼……」
一方通行「オマエ……帝だな?」
龍「……」ボトボト
一方通行「なンでそンな重傷なのかは知らねェが、オマエを追い掛けてたあの紙は圧縮した」
龍「グルルル……」
ビュンッ!!
一方通行「うおォ!?」
龍は突然窓から飛び出すと、湯屋の壁にぶつかりながら、上空へのぼっていく。
一方通行「あの野郎まさか……湯婆婆のところへ行く気か?」
一方通行「……チッ!」
カサカサ…
ピタッ
一方通行の背中に、圧縮を逃れた式神が一枚ひっつく。
しかし一方通行はそれに気付かないまま走り出した。
ワイノワイノ
「それおねだり あっそれおねだり!」
とりまき「お大尽さまーとミサカはry」
とりまき「お大尽さまこちらへーとミサカはry」
一方通行「さらに騒がしくなってやがる」
ワイノワイノ
とりまき「お大尽さまー」
とりまき「こちらへもひとまきーとミサカはry」
一方通行「くっ……邪魔くせェ!!」
木原「オラオラ、どかねぇかクソガキ。お客様のお通りだ」
一方通行「あァ?」
いつの間にか人混みを抜けて、カオナシたちの目の前に来ていた。
カオナシ「……」
一方通行「テメエは……」
木原「何してやがる。はやくどグッハァァ!?」 ポイッ
カオナシ「ア……ア……」
ジャラジャラ
とりまき「さ、砂金だ!」ゴクリ
とりまき「砂金があんなに……とミサカはry」ゴクリ
ジャラジャラ
カオナシ「ア……ア……」
一方通行「いやいらねェよ」
カオナシ「えっ」
一方通行「学園都市に戻れば金あるしなァ。借金もあるけど……」
一方通行「ンなことよりオレは急いでんだ。じゃあなァ」
カオナシ「エ……エ……(´・ω・`)」
バラバラバラッ
とりまき「砂金だーっ!」ワーッ
キャアキャアワイノワイノ
カオナシ「エ……エ……」
木原「チッ!!」
木原「テメエら静かにしろ! さっさと下がれ!」
ワアワア…
木原「申し訳ありません。新米で人間のクソガキでございまして……」ヘラヘラ
カオナシ「お前、なぜ笑う」
木原「は?」
とりまき「今のうちに砂金を……とミサカはry」コソコソ
カオナシ「笑ったな」
木原「ち、違」ギュムッ
とりまき「えっ」ギュムッ
バクッ!!
モグモグ…
ゴクン
とりまき「」
とりまき「く……く……」
「「「「「喰ったあああああああ!!!」」」」」
ギャアアアアア
ワアアア……
…
ヒュオオ…
一方通行「ここを登ってきゃいいのかァ」
一方通行「落ちると面倒だし、ここは一気に登るか」
一方通行「ベクトル変換ンン!!」
ヒョイッ ヒョイッ
一方通行「よォし……この窓から入るか」
ドンドン
一方通行「さすがに開いてねェか」
スルスル
カチッ
一方通行の背中に張り付いた式神が窓の隙間から侵入し、鍵を開ける。
ドンドン…ガチャッ!
一方通行「うおっ!?」ドサッ
一方通行「いきなり開きやがった……罠かァ?」
式神は気付かれないよう一方通行の背中に戻る。
スタスタ…
一方通行「……あ? 何だこの部屋、子供部屋……?」キョロキョロ
湯婆婆「全く何てことだろうねえ!」
一方通行「!!」(隣の部屋かァ!)
カーテン越しに耳を澄ませる。
湯婆婆「そいつの正体はカオナシだよ。そう、カ・オ・ナ・シ!」
湯婆婆「欲に駆られてとんでもない客を引き入れたもんだよ」
コソコソ…
カーテンを抜け、僅かに開いた扉の隙間から湯婆婆の姿を覗き見る。
一方通行(相変わらずクリーチャーみてェな顔してンな……)
湯婆婆「あたしがいくまで余計なことすんじゃないよ」
チンッ
湯婆婆「はーあぁ敷物を汚しちまって。お前たち、帝を片付けな」
一方通行「!!」
湯婆婆「もうその子は使い物にならないよ」
スタスタ
一方通行(げえっ、こっち来やがった!!)
一方通行(どこかに隠れねェと……チッ)ガサゴソ
一方通行が真横にあったクッションの中に潜り込む。
それとほぼ同時に湯婆婆が部屋に入ってきた。
湯婆婆「……」ガサゴソ
湯婆婆はすぐに、先程一方通行が隠れたクッションの山を漁り始める。
一方通行(クソッ気付かれたか!? 戦闘は避けてェがむぎゅっ!?)
湯婆婆「ばあ~!」
削板「見つかってしまったか。全くばあばには勝てないな!」ハッハッハ
湯婆婆「もぉ~軍ちゃんまたこんなことしてぇ」
削板「クッションの山の中で熱さに耐える特訓をしていただけのこと! 心配することはないぞ!!」
湯婆婆「そぉねごめんねぇいい子で特訓してたのに。ばあばはまだお仕事があるの」
ムチュゥゥゥ~~
湯婆婆の熱いキスを削板は頬で受けとめる。
湯婆婆「いい子にしててねぇ」
削板「任された!」
ところどころに散乱した筋トレグッツをてきとうに片付けると、湯婆婆は部屋から出ていった。
一方通行「……」
わろた
ソォォ~ト…
グワシッ!!
一方通行「うおァ!?」
一方通行「い、いてェェェ離しやがれ!!!」
削板「よう!」
一方通行「テ、テメェ匿ってくれたのは助かったが何のつもりだ」
一方通行「つゥかこのクッションの中熱ゥ! 熱っゥ!! サウナかよォ!!!」
削板「ばあば特製サウナクッションだからな」
一方通行「なンだよそれ何作らせてンだよ!!」
削板「さっき見た通りばあばは少し過保護すぎる気があってな。なかなか外に出してもらえんから、室内で鍛えれる道具を用意してもらってるんだ」
一方通行「オマエも絶対ェババコンだろ……」キストカマジムリ
一方通行「オレは急いでンだよ! いいから離せ!!」
削板「俺も連れて行ってくれ!」
一方通行「はァ!?」
削板「今より更に根性を鍛えるためにはこんなとこでくすぶってる訳にはいけねえんだ! 頼む! このとーーーーり!!」
一方通行「いやその体勢でこの通りとか言われてもいってェェェェェ!! 腕! 手! 離せ折れる!!」
削板「そんなに強く掴んでないぞ? いや確かに腕細いな、お前まさか女の子か!!」
一方通行「しまいにゃァブチ殺すぞ!!」
削板「とにかく俺は一緒に行く! いいな! わかったな!!」
一方通行「わかったからいい加減手ェ離せェェェ!!!」
ガサゴソ…
削板「根性の勝利!」
一方通行「コイツ怖い」ブルブル
削板「で、一だっか? お前何でここに来たんだ?」
一方通行「……あァァ帝! 忘れてた」イッケネ
ガチャッ!
扉を開けると、緑色の達磨のような三つの頭が、帝を床の大穴に落とそうとしているところだった。
頭「???」
削板「お?」
一方通行「帝!」
一方通行はそこそこ駆け足で帝に駆け寄ると、緑色の頭たちを追い払う。
一方通行「気ィ失ってやがる。おい、しっかりしろ!」
頭「ウイッ、ウイッ、ウイッ」
一方通行「静かにしろ気が散る」イラッ
湯バード「ギャアアアッ!」
一方通行「ぐっ!」
湯婆婆の頭をしたカラスが、一方通行の邪魔をする。
その隙に、頭たちが帝を再び地の底へ落とそうとする。
一方通行「チィッ、おい削板! こいつらをなンとか……」
削板「合点承知!」
削板「よっと」グイッ
一方通行「」
削板は帝をひょいっと担ぎ上げると、首の後ろに回した。
削板「これでいいか?」
一方通行「あ……あ、どォも」
頭「……」
湯バード「……」
婆以外でそのままなキャストきた
式神『何やってんだいあんたたち……』
一方通行「!?」ビクッ
フワ…
一方通行の背中に張り付いていた式神が離れ、削板の前に浮かぶ。
式神『あんたはちょっと自由すぎね』
削板「ああ! ありがとう!!」
式神『……』
それから地面に降り立つと、半透明の湯婆婆が床から現れた。
『やっぱりちょっと透けるわねぇ』
削板「ばあば……なのか?」
『……やれやれ、お母さんとあたしの区別もつかないのかい』
湯婆婆らしき人物が指を振るうと、削板の姿はみるみる小さくなり、ぽてっとしたネズミになってしまった。
>>154
頭たちを海原にすればよかったかなって今後悔してた
削板(ネズミ)「??」アセアセ
一方通行「」アゼン
『さてと、お前たちは何がいいかな』
再び指を振るうと、湯バードはハエのように小さなカラスに。頭たちは勝手に削板の姿になってしまった。
一方通行(ファンタジーすぎるだろォ……)アタマイタイ
『ふふふ……このことは誰にも秘密だよ。喋ったらお前の口が裂けるからね』
一方通行(怖えェェェェ……)ガクガクブルブル
一方通行「……テメェは」
『湯婆婆の双子の姉さ。お前さんのおかげでここを見物できて面白かったよ』
『さあ……その龍を渡しな』
一方通行「コイツをどォする気だ?」
『ソイツは妹の手先の泥棒龍だよ。私のところから大事な判子を盗み出した』
一方通行「帝はそんなこ………………とするかもわかんねェけどしてねェかもしれねェだろォがカスが!!」
『えっ』
一方通行「と、とにかく、それだけでコイツがこンな目にあっていい理由には、ならねェだろォが!」
『……どのみちこの龍は助からないよ。判子には守りの呪いがかけてあるからね』
『盗んだ者が死ぬようにと』
一方通行「ぐっ……!」
ビターン!!
一方通行「あァ?」
頭(削板)「ウイッ、ウイッ、ウイッ」ビッタンビッタン
ネズミ&カラス「ピィィィィィ」アセアセ
ビターン!!
ネズミ&カラス「ピィィィ」
『なんだろねこの連中は……。これお止め、部屋にお戻り』スタスタ
ネズミ&カラス「」ヨジヨジ
一方通行「ちょっっ登ってくんじゃねェよ離れろオマエら!」シッシッ
ネズミ「助けてくれ、一!」
一方通行「喋れんのかよォ!!」アアモウ
龍「…………グルルル」パチッ
『!!』
龍「シャァァッ」
一方通行「帝!」
ネズミ「うおお、龍が目覚めた!」ヒッシ
ビタン!!
『ありゃあ、油断したねぇ……』
龍の尾が湯婆婆の姉の式神を真っ二つにする。
すると本体の影も、真っ二つになって消えていく。
龍「……」ユラ
一方通行「帝! おい、落ちっ……あァァァ!!」
ネズミ「落ちるぞォォおおおおおおお!!」
ヒュオオオオ……
ヒュオオオオオオオオ…
龍の体に捕まり、一方通行たちは自由落下していく。
ネズミ「浮かぶ! 俺の体が浮かふぞ!!」
一方通行「ああもォせめてしっかり掴まってろよ!」グイッ
ネズミ「た、助かる……」
ヒュオオオオオオ……ッ!!
一方通行「広い空間に出た?」
一方通行(っつゥかこのままじゃヤベェ。最悪オレの能力を使えばいいがここじゃ地形もわからねェ)
一方通行「帝! 起きろ! しっかり……」
そう言って龍の翼を掴んだ瞬間、一方通行の脳裏になにかの光景が蘇った。
真っ赤に染まった光景……。
ネズミ「おい一! 底になにかいるぞ!」
一方通行「!!」ハッ
ウゴウゴ…
一方通行「なンだこりゃァ……!!」
黒い半透明の奇妙な「なにか」が蠢く底に突っ込む寸前。
目覚めたのかそれとも半無意識なのか、龍の体が上空へ舞い上がった。
そして迷うことなく、壁に無数に開いた穴の一つに飛び込む。
ヒュオオオオオオ…
グシャアッ!!
穴の先にあった換気扇をぶち壊し、飛び出た先は麦のんのボイラー室だった。
一方通行「ぐはっっ!!」
麦のん「はあああうわっ!?」キャッチ!
麦のん「ななななな何事よ!?」
ネズミ「一! 無事か!?」
一方通行「っ帝!」
麦のん「あっこら待て!! 待てっつってんだろうが!!」
龍「グルルル……グルァァア」
一方通行「これが呪いの効果ってやつかァ……」
麦のん「……これはヒドいわね」
龍「グルル……」ドサッ
一方通行「帝! どうにかできねェのか麦のン!」
麦のん「体中で何かが命を食い散らかしてやがる」
一方通行「体中……?」ハッ
麦のん「強い魔法ね。私にはどうにもできないわ」
一方通行「帝、これは腐れ神がだかかンだかよくわからンヤツからでてきた得体の知れねェ泥団子だが、効くかもしれねェから食え!」
ネズミ「そんな曖昧なもの食わすとか根性あるなお前!」
麦のん「それ、もしかしてニガ団子……?」
一方通行「口開けろ……! ぐぎぎぎ……だァァ面倒くせェ!!」ギリギリ
一方通行「ベクトル変換! はァ!!」
ガパッ グイッ バクッ
麦のん「うわっ面倒だからって全部ベクトル操作ですませやがった」
龍「……」モグモグ
龍「グギャアアアアアア!!!!」ビッタンビッタン
ネズミ「とんでもなく苦しがってるぞ! どんだけマズいんだ!?」
ビッタンビッタン バタンバタン ドタドタ ガッシャン
麦のん「あああ昨日せっかくきれいにしたばっかりの私の仕事場がぁぁぁぁあ!!! テメェら後で覚悟しとけよ!!!!」
龍「グエエエエエオヴェッ」ゲロッ
ネズミ「なんか吐いたぞ!」
麦のん「更に汚っっ!」ガーン
麦のん「でも……今吐いたのだわ!」
一方通行「!!」
ジュゥゥゥ……
黒い固まりが溶けて、判子と小さな虫が残る。
一方通行「判子ォ!」パシッ
麦のん「いやああああああああ虫いいいいいいいいい!!」
ボシュゥッ!
一方通行「あ」
麦のん「あ」
ネズミ「女のビームで虫が跡形もなく……」
麦のん「え……えんがちょっ☆」
アクセラレータ「あああああああああああああああああああああああああ!!!!!??????なんだこのババァァアアアアアアアア!!!!!!!!
ベクトル変化ァァァァァァアァァァァァァアァァァァ!!!!!!!!!!!!!!」キュィィィィンドゴォグシャァ
ゆばば「ああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」ドパアァッグシャァァァ
数分後
一方通行「この判子は湯婆婆の姉の判子らしい」
麦のん「銭婆の? そりゃあまたえらいものを盗んだにゃーん」
シュゥゥゥ…
ネズミ「おい、龍の姿が変わったぞ!」
垣根「……」
一方通行「やっぱり帝じゃねェか!」
麦のん「あら本当」
一方通行「まだ息はあるなァ」
麦のん「魔法の傷は油断できないわ、ちょっと待ってなさい」
ネズミ「どうやって龍に化けていたんだ……? おいカラスよ、少しつついてみるか」
カラス「プーン」
一方通行「やめろ」ヒョイッ
…
水を飲ませて、ゆっくりと垣根を横たえらせる。
麦のん「これで少しは落ち着くといいんだけど……」
一方通行「……」
麦のん「……帝はね、一と同じように突然ここにやってきて、魔法使いになりたいって言ってきたのよ」
麦のん「私は反対したのよ。魔女の弟子なんてロクなものじゃないって」
カサコソ…
頭に花を乗せたウイハルワタリが、黒い虫の消滅跡に群がっている。
そこへネズミになった削板が、カラスに吊り下げられてやってくる。
昼飯落ち
麦のん「聞かないのよ。もう帰るところはないって、とうとう湯婆婆の弟子になった」
麦のん「そのうちどんどんメルヘンになるし、目つきばかりキツくなってね……」
ワラワラ ワラワラ
プ~~ン
トサッ
スゴーイパンチ! ドゴッ!!
パチパチパチパチ
スゴーイキック!! ドカッ!!
パチパチパチパチ
一方通行「……麦のん、オレこの判子、銭婆ンとこに返してくる」
一方通行「オレが謝る義理はねェけど……」
一方通行「だから、銭婆のいる場所を教えてくれ」
一方通行に片思いの垣根書いてる人?
麦のん「銭婆のところへ? ……あの魔女は怖いわよ」
一方通行「ハッ、オマエより怖ェ女なンているかよ」
麦のん「あ゛?」
一方通行「何でもねェ」
麦のん「そうね……行けるだろうけど、帰りが……ちょっと待ちなさい」
麦のん「確かここら辺に……」ガサゴソ
一方通行「おい花頭ども、オレの服と靴頼む」
ウイハルワタリ「キュイキュイ」ワラワラ
ネズミ「どこか行くのか?」
カラス「プ~~ン」
ガラッ
番外個体「あっ一! ずっと探してたんだよ!?」
>>194
今は書いてない
一方通行「ワースト」
垣根「……」
番外個体「うわっ、帝じゃん! ……なんかあったのここ?」
プ~~ン
トサッ
一方通行「げっ」
番外個体「なにそいつら」
ネズミ「一の友人だ!!」キリッ
番外個体「うわ喋った!?」
一方通行「話ややこしくすンな根性バカ!」デコピン
番外個体「……あ、ああ! それより! 湯婆婆がカンカンになってアンタのこと探してるよ!?」
一方通行「あァ?」
番外個体「気前がいいと思ってた客がカオナシって化物だったの! 湯婆婆は一が引き入れたって……」
一方通行「……そォかも」
番外個体「本当にぃ!?」
一方通行「客と思ったからよォ……」
番外個体「 どーすんのよあの化け物もう三人も飲んじゃったんだよ!?」
麦のん「……あった、これだわ! 一、あったわよ!」
番外個体「ばば……麦のん今一はミサカと話してんの」ムゥ
麦のん「これが使える。……あとワーストテメェ今何て言いかけた」
番外個体「何にも☆」
番外個体「ていうかそれ電車の切符じゃん。どこで手に入れたのさ、そんなの」
麦のん「昔の使い残りよ」
番外個体「何年前の?」
麦のん「……昔の、使い残りよ」ピキピキ
番外個体「四十年前の?」プププ
麦のん「」ブチッ
麦のん「ワースト……後で覚えてろよ……?」ゴゴゴゴゴ
番外個体(あ、やりすぎたかも)
一方通行「……さっさと行き方教えて欲しいンですけど」
麦のん「電車で六つ目の沼の底って駅よ」
一方通行「沼の底……」
麦のん「そう、とにかく六つ目よ」
一方通行「六つ目だな」
ネズミ「俺も覚えたぞ! ムッツリメの玉手箱だな!」
一方通行「オマエはもう喋るな」
麦のん「間違えるなよ。昔は戻りの電車があったけど、今は行きっぱなしだから」
番外個体「いやんイキっぱなしとか麦のんったら淫乱☆」
麦のん「……」
一方通行(ワースト死んだかもなァ)
麦のん「……それでも行く?」
一方通行「当然だ。帰りは線路でも伝って帰ってくる」
番外個体「ちょっとちょっと、湯婆婆はどーすんの!?」
一方通行「これから行く」
一方通行「……」チラ
垣根「……」
一方通行「……死ぬなよ」
番外個体「なにがどうしたのあいつら」
麦のん「見てわかんない? 友情よ友情」
番外個体「ホモじゃなくて?」
麦のん「……なんでちょっと残念そうなんだよ」
はよ
21時ぐらいには戻ってこれると思うんでもし落ちてたら速報に立て直します
ほ
ほ
…
ドタバタ
とりまき「どんどん大きくなってるよ……」ガクブル
とりまき「ミサカ食べられたくありません……」ガクブル
とりまき「あっ、来ましたよとミサカはry」
一方通行「……」
番台「一か! よかった、湯婆婆様ではもう抑えられんのだ」
ドッタンバッタンガシャーン!!
一方通行「!」
湯婆婆「なにもそんなに暴れなくても一は来ますよ」
ガシャーン!!
カオナシ(in木原)「一はどこだぁぁぁ!!」
番台「湯婆婆様、一です」ヒソヒソ
湯婆婆「遅いっっ!!」ガラッ
湯婆婆「お客様、一が来ましたよ。ほんのちょっとお待ちくださいね」
ピシャッ!!
湯婆婆「どこほっつき歩いてたんだい、このままじゃ大損だ! あいつをおだてて絞れるだけ金を絞りだ……」
プ~~ン
ネズミ「根性!」チュウ
湯婆婆「なんだいその汚いネズミは」
ネズミ「」ガーン
一方通行「おォよしよし。……なンだわかンねェのかよ」
湯婆婆「知るわけないだろ。さあさっさといきな」
ガラッ ピシャッ!!
料理があちこちに飛び散った汚い宴会部屋に放り出される。
カオナシ「……」デーン
一方通行(思ったよりグロくなってンなあ……)ゲェ
ぶくぶくに太ったカオナシの口からは、涎がだらだらと垂れている。
カオナシ「これ食うか? 旨いぞぞ」
一方通行「……」
カオナシ「金を出してやろうか? てめぇの他には出してやらねぇことにしたんだ」
一方通行「……」
カオナシ「こっちにこい。何が欲しいんだ、一。言ってみろ」
一方通行「……オレが本当に欲しいものは、オマエには絶対ェだせねェよ」
カオナシ「ぐっ!?」
一方通行「オマエはさっさと中身吐き出して帰りやがれ。オレには用事があンだよ」
一方通行「じゃあなァ」
カオナシ「い……嫌だ」ボコボコ
一方通行「あァ?」
カオナシ「一欲しい……一欲しい……」グチャグチャ
一方通行「な、なンだコイツ……」ゾワゾワ
カオナシ「欲しがれ!!」
一方通行「ぐァ!?」ドンッ
金が溢れた手で、壁に押し付けられる。
一方通行「テ、テメェ、オレを食おうって腹積もりかァ……!」
カオナシ「とれ! とれ!」
ネズミ「ぐぬぬ……ちょっとすごーいパンチ!」ドスッ
カオナシ「ぐあああ!?」
カオナシの黒い手がそれなりにめり込む。
一方通行「おォ、助かった……ネズミになってもそれなりの威力あンのかよ」コワッ
ネズミ「根性だ!」
カオナシ「ぐぐぐ……」
一方通行「おい」
カオナシ「あぁ!?」
一方通行「オレを食うなら、その前にこれを食え」スッ
つ●タベカケニガダンゴ
一方通行「ほンとは黄泉川たちに食わせる予定だったンだが、やるよ」ポイッ
一方通行(想像以上にマズいみてェだし)
カオナシ「……」モグモグ
カオナシ「オ……オ……」
カオナシ「オエエエエエエエエーーーーーーー!!」ゲロゲロゲロ
カオナシ「オエッ、オエエエ、……ヴオエエエエェェェェ」
カオナシ「オ゛オ゛オ゛オ゛……ウエッ、オヴェッ」ビチャビチャ
一方通行「汚ったねェ……」ドンビキ
ネズミ「おぇ……」ウッ
一方通行「おいオマエ人の肩でもらいゲロなンてしやがったら愉快なオブジェにすンぞ」
カオナシ「は、はじめ゛ぇ゛……」ブルブル
一方通行「うわァ……」ヒキ
カオナシ「クソガキが、なに食わせやがったァァァウオエェェ!!」ドタドタ
一方通行「チッ」ダッ
一方通行「どけェ!」
カオナシ「待ちやがれぇぇぇ!!!!」
ダダダダダダッ!!
一方通行が廊下を曲がったところで、湯婆婆がカオナシの前に立ちはだかる。
湯婆婆「お客様とて許せぬ!」
キュイイン… バシュッッ!!
カオナシ「ぐおおっ……オエエエエエエェェェ!!」
ゲロブシヤァァァ!!!!
湯婆婆「」ドロッ…
カオナシ「はあ゛……はあ゛……オエッ」ゼェハァゼェハァ
一方通行「カオナシくゥゥゥゥゥン!!!」
カオナシ「!!」
一方通行「オイオイ、もォへばっちゃってンですかァ? なっさけねェなァァァ!!」ヒャハハハハ!
カオナシ「クソガキャァァ……!!」ビチャビチャ
一方通行「ハッ」ダッ
カオナシ「待てやぁぁぁぁぁ!!」ダダダダッ
ドドドドドドッ
一方通行を追ってカオナシは階段をくだっていく。しかしそれも一方通行の計算通りであった。
一方通行「壁にでもキスしてなァ!」
階段が終わった行き止まりまで引きつけ、一方通行は廊下に出る。勢いのつきすぎたカオナシは止まることができず、そのまま壁と正面衝突した。
ビタァァァンッッ!!!
カオナシ「ぐ、あ…………ブッ、オエッ! オエェッ!!」ゲホッゲホッ
木原「あぁ!?」ドサッ
とりまき「ミ、ミサカはいったい……」
カオナシ(in浜面)「はぁ、はぁ……ゆ、許せねぇ……」
一方通行「チッ、アレじゃ死なねェか」
ネズミ「殺す気だったのか!?」
一方通行「あわよくばなァ」
カオナシ「ぐ……オエ……」ヨロヨロ
一方通行「だがもォ体力はほとんど残ってねェはすだ」
…
一方通行「やっと外か」
番外個体「一ぇ!こっちこっち!」フリフリ
一方通行「ワースト!」
ワーストが用意した桶のような船に乗り込み、駅に向かって漕ぎ出す。
少しいったところで、カオナシが湯屋から現れた。
一方通行(よし、このまま気付かれねェよォに……)
ネズミ「おーーーーい!! こっちだぞォォおおおお!!」ブンブン
一方通行「はァァァ!? オマエ何してくれちゃってンですかァ!?」
ネズミ「呼んだほうがいいかと」
一方通行「呼んでどォォすンだよォォ!! ほンとにミンチにするぞ!!」ギリギリ
ネズミ「すまん、く、苦しい」グエ
番外個体「ミサカとしては持っていってくれたほうがありがたいけど……あっついてくるみたいだね。ご愁傷様☆」
一方通行「はァァァ……」
ボチャーーン!
一方通行を追って、カオナシが湯屋から海へ飛び込む。
カオナシ「う……う……オエッ」ゲホッ
ビチャッ
浜面「うん……? こ、ここは……」
カオナシ「……」ズルズル
浜面「ひっ!! ひいいい!」ダッ
カオナシ「ア……ア……」ズルズル
…
番外個体「こっから歩き。駅は行けばわかるってさ」
一方通行「おォ、助かった」パチャッ
番外個体「……あはっ、せいぜい無様に死んだりしないようにね?」
一方通行「ハッ、誰に向かっていってンだ」
スタスタ…
番外個体「……」
番外個体「一ーー!! あんたのことモヤシっていったけど、特別に取り消してあげるからーー!!」
一方通行「」フリフリ
番外個体「ふん///」
カオナシ「……」スゥゥ…
番外個体「カオナシぃ! ミサカの一に何かしたら許さないからね!!」
カオナシ「……」
…
一方通行「……アレか」
エキトウチャク
一方通行「丁度電車も来たみてェだな」
ザァァァ… キィィィ プシュゥゥゥ…
軽くさるさんなったし鯖の調子も悪いので書きためてます
落ちたら速報にたてます
顔の見えない運転手に、麦のんからもらった切符を渡す。
一方通行「沼の底までだ」
運転手「……」スッ
一方通行「?」ウシロ?
カオナシ「……」
一方通行「うおォォ!?」ビクッ
一方通行「オマッ、オマエ気配もなく後ろに立ってンじゃ……!!」ドキドキ
ネズミ「なあ一、コイツ一緒に行きたいんじゃないのか?」
一方通行「はァ?」
カオナシ「……」コクコク
ネズミ「切符はまだ余ってるぞ」
一方通行「……チッ、コイツも一緒に頼む」
運転手は切符をまとめて受け取ると、大きな体をまるめて、運転席に戻っていった。
ザァァァ…
ガタンゴトン ガタンゴトン
一方通行「……」
ネズミ「電車なんてはじめてだ。海きれいだなぁ」キラキラ
カラス「」キョロキョロ
一方通行「肩から落ちンなよ」
一方通行「……」チラッ
フレンダ「結局、あなたすっごい大きいって訳よ」
駒場「……そうだな」
テッラ「……」スヤスヤ
一方通行(変な乗客ばっかだなァ)
ガタンゴトン…
ガタンゴトン…
一方通行(……)
ガタンゴトン…
ガタンゴトン…
一方通行(……まだつかねェのか……)
ガタンゴトン…
ガタンゴトン…
ネズミ「」スヤスヤ
一方通行(もォ夜だぞ……)ウトウト
カオナシ「……」
ガタンゴトン…
…
垣根「……」ハッ
麦のん「ん~……」スヤスヤ
垣根(俺は……)
垣根「おい、麦のん」ユサユサ
麦のん「ん~……もっと、もっと鮭を……鰤じゃなくて……ん?」ハッ
麦のん「て、帝じゃない。気がついたのね」
垣根(何の夢だよ)
垣根「そうだ麦のん、一はどこだ? 一体何が……」
麦のん「あんた、何も覚えてないの?」
垣根「切れ切れにしか思い出せねぇんだ。闇の中で、一方通行の声が聞こえて、その声を頼りにもがいたらここにいた……」
麦のん「一方通行……。そう、あいつ一方通行っていうのね」
麦のん(これが番外個体のいってたBLってやつか……)
………
…
削板(頭)「ウィッ、ウィッ」キントレチュウ
浜面「……で、でも、俺は一のおかげで助かったんです!」
湯婆婆「おだまり! あの子は自分の親を見捨てたんだ!」
湯婆婆「親豚は食べ頃だろう。ステーキにもハムにでもしてまいな」
木原「くっ……」
垣根「待て」
浜面「帝様!」
湯婆婆「なぁんだいお前、生きてたのかい」
垣根「……まだ気付かねぇのか。大切なものがすり替わったのに」
湯婆婆「随分生意気な口をきくじゃないか。いつからそんなに偉くなったんだい」
垣根「……」
湯婆婆「……」
湯婆婆は目の前の砂金の山を見た。しかし、特に変わった様子はない。そして、隣で筋トレをする削板を見た。
削板「ウィッ、ウィッ」
湯婆婆「……」スッ
フイッ
頭「ウィッ、ウィッ」
湯婆婆「」
頭「ウィッ、ウィッ、ウィッ」バタバタ
湯婆婆「な……は……え……? あ、ああ……?」
頭「ウィッ、ウィッ、ウィッ」バタバタ
バタン!
湯婆婆「ぐ、軍ちゃん……」
ジュゥゥゥウ……
頭が削板にすり替えられていたことに顔面蒼白する湯婆婆の目の前で、砂金の山がつちくれに変わる。
湯婆婆「あああ……!!」
バシッ!!
浜面「う、うわっ! 砂金が土塊に……!?」
湯婆婆「軍ちゃぁぁぁああん!!」ダッ!!
土塊の山を放り投げ、湯婆婆は削板の部屋へ走る。
湯婆婆「軍ちゃぁぁあん!! どこなのおおおおお!?」
バタバタッ ドタドタッ
湯婆婆「返事をしてええええ!!」
ガラッ バタッ ドサッ
湯婆婆「はぁ……はぁ……軍ちゃん……」
湯婆婆「」クルッ
垣根「……」
湯婆婆「お・の・れぇぇぇええ……!!」
湯婆婆「キエェェェェェエーーー!!」ボォォオッ
口から炎を漏らす湯婆婆が、垣根の目の前に迫る。
湯婆婆「私の軍ちゃんをどこへやった……!!」ゴォォォ…
垣根「銭婆のところだ」
湯婆婆「銭婆……?」
プシュゥゥゥ…
銭婆という名前を聞いたとたん、湯婆婆の口から炎は消え、かわりに黒煙が舞い上がる。
湯婆婆「……」フラフラ
湯婆婆「……なるほどね、性悪女め……。それで私に勝ったつもりかい」クックック
湯婆婆「で! どうするんだい」
垣根「削板軍覇を連れ戻してくる。その代わり、一方通行と保護者を人間の世界へ戻してやってくれ」
湯婆婆「……それがお前の望みかい」
湯婆婆「それで、お前はどうするんだい? その後私に八つ裂きにされてもいいんかい……!?」
垣根「……」
>>324
×一方通行 ○一
…
ガタンゴトン… ガタンゴトン…
プシュゥゥゥ…
一方通行「はァァ、やっと着いたか……」
カラス「プ~~ン」
ネズミ「もうすっかり暗いな」
一方通行「この駅でいいンだよなァ」
カオナシ「……」
一方通行「よし、行くぞ」
スタスタ…
ネズミ「ん?」
一方通行「どォした削板」
ネズミ「光が近付いてくるぞ!」
バチバチッ バチバチッ
美琴「」スタスタ
一方通行「光っつゥか雷なンですけど……」
美琴「こんばんは」ペコ
一方通行「あ、どォも」ペコ
美琴「私は銭婆の家のものよ。案内するから着いてきなさい」バチバチ
ネズミ「それは助かる!」
一方通行(なンか全然初めて会った気がしねェ)
…
スタスタ…
スタスタ…
ピタッ
美琴「ここが銭婆の家よ」トウチャーク
一方通行「なンか想像と違ェな」
美琴「そう? それじゃ、私はこの辺で失礼するわね」
一方通行「あァ、助かっ」
パチパチ…
一方通行が美琴のほうを見ると、そこにはただ電灯があるだけだった。
ネズミの削板と顔を見合わせる。
一方通行「……魔法ってなンでもありなのかァ?」
削板「うーん、割と」
一方通行(ここが銭婆の家か……)
ガチャ
一方通行「!」
ドアノブに手をかけようとすると、扉はひとりでにゆっくりと開いた。
銭婆「お入り」
一方通行「……」スタスタ
バタン
銭婆「みんなよく来たね」
一方通行「……オマエに話が」
銭婆「まあお座り。今お茶を入れるからね」
一方通行「オレはコーヒー」
ネズミ「俺はプロテイン!」
銭婆「……」
一方通行「銭婆、帝が盗ンだ判子だ。返しに来た」スッ
銭婆「……」
銭婆「おまえ、これが何だか知ってるかい」
一方通行「知らねェ。でも大事なモンなンだろ」
ネズミ「帝の代わりに謝りに来た! 一は素直じゃないからな、俺が代わり謝ろう。ごめんなさい!!」
一方通行「余計なことすンな」デコピン
ネズミ「ぐぬっ」
銭婆「……おまえ、これを持っててなんともなかったかい?」
一方通行「?」
銭婆「あれぇ? 守りの呪いが消えてるね」
一方通行(守りの呪い……?)
一方通行「あの判子についてた虫なら、ババァがビームで焼き殺したぞ」
銭婆「や、焼き殺……」
銭婆「その虫はね、妹が弟子を操るために龍の腹に忍び込ませた虫だよ。それを焼き殺した……そうかい」
銭婆「とにかくお座り」
一方通行「お、押すンじゃねェよ!」アセアセ
カオナシ「……」
銭婆「あんたはカオナシだね。あんたもお座り」
一方通行「あ、そォだ。コイツら元に戻してやってくれよ」
ネズミ「?」
カラス「プ~~ン」
銭婆「ん? あんたたち、もう魔法はとけてるだろ」
一方通行「何ィ!?」
銭婆「戻りたかったら戻りな」
ネズミ「まだ遠慮しておこう! ネズミになれるチャンスなんてなかなかないしな」
カラス「」ウンウン
一方通行(まァデカいより小さい方がいいか……)
寝ます
保守支援ありがとう
…
カラカラカラカラカラカラカラ
ネズミ「根性ぉぉ!」
カラス「」ハァハァハァハァ
カラカラカラカラカラカラカラカラ
カラスとネズミが糸紡ぎに奮闘している隣で、一方通行とカオナシは銭婆とお茶の席についている。
銭婆「あたしたち二人で一人前なのに気があわなくてねぇ。ほらぁあの人ハイカラじゃないじゃない」
一方通行(ババァの話長ェ)クァァ
カオナシ「……」モグモグ ケーキウメェ
銭婆「魔女の双子なんてやっかいなものよね」カチャン
紅茶を一口飲み、受け皿に戻す。
銭婆「あんたを助けてやりたいけど、私にはどうすることもできないよ」
銭婆「この世界の『決まり』だからね」
一方通行「……」
銭婆「保護者のことも、ボーイフレンドの龍のことも、自分でやるしかないんだよ」
一方通行「テメェの尻くらいテメェで拭けってかァ……」
一方通行「おい待て今ボーイフレンドっつたか」ガタッ
銭婆「違うのかい」
一方通行「違ェよ!!」
カオナシ「……」モグモグ
一方通行「そういえばあのメルヘン野郎とオレ、ずっと前に会ったことあるみたいなンだよなァ……」ウーン
銭婆「じゃあ話が早いよ」
一方通行「?」
銭婆「一度会ったら忘れないものさ。思い出せないだけで」
一方通行「……」ウーン
銭婆「まあ今夜は遅いからゆっくりしていきな。お前たち手伝ってくれるかい」
ネズミ「任された!」
カラス「プ~~~ン」
カオナシ「……」コクコク
………
……
アハハハ…
湯婆婆「ほれ、頑張って」
カラカラカラカラカラカラ
ネズミ「うおぉぉ根性ぉぉおお!!」ハァハァ
カラス「」ハァハァ
カラカラカラカラカラカラ
カオナシ「……」イトツムギチュウ
銭婆「そうそう、うまいじゃないか。本当に助かるよ」アミアミ
銭婆「魔法で作ったんじゃなんにもならないからね」
編み物をしている銭婆たちから少し離れたところで、一方通行はじっと考えごとをしている。
一方通行「……」ウーン
銭婆「そこをくぐらせて、そう、二回続けるんだ」
カオナシ「……」アミアミ
ネズミ「ぬ、ぬぬぬ……こ、根性……」アミアミグチャァ
一方通行「……やっぱり帰る」
銭婆「?」
一方通行「こォしてる間に、帝が死ンじまうかもしれねェ」
一方通行「黄泉川たちが、ウッ食われちまうかもしれねェ……ウッウッ」シクシク
ネズミ「お前保護者のことに対してはとことん根性ないな……」
銭婆「フフ、まあもうちょっとお待ち」
パチ、パチ
銭婆「ほら、できたよ。髪留めにお使い」スッ
銭婆は、キラキラと光る白い髪留めを一方通行に手渡す。
一方通行「髪留めって……」イイケド
銭婆「お守り。みんなで紡いだ糸を
、編み込んであるからね」
一方通行「……」
一方通行「……ン」プイ
少し長めの白い髪を、銭婆から貰った髪留めで結ぶ。
ガタガタッ!!
一方通行「!」
風が吹いて、ガタガタと窓がなる。
銭婆「いいときに来たね。お客さんだよ、でておくれ」
一方通行「おォ」
ガチャ
ブワァァッ…
一方通行「……!」
扉を開くと、風が入り込んでくる。
一方通行の視線の先には、翼の生えた大きな龍がいた。
龍「……」フワァァ…
一方通行「帝!」タッ
一方通行「オマエ、怪我は? もォ大丈夫なのか?」
龍「……」
スタスタ
銭婆「フフフ、グットタイミングね」
一方通行「銭婆!」
外に出てきた銭婆に、龍はうやうやしく頭をさげる。
銭婆「帝龍、あなたのしたことはもう咎めません。その代わり、その子をしっかり守るんだよ」
一方通行「おいさっきからなンか勘違いしてねェか?」
銭婆「さあ、お前たち、お帰りの時間だよ。また遊びにおいで」
カラス「プ~~~~ン」
ネズミ「お世話になった! おかげで根性が鍛えられたぞ!!」チュッ
銭婆の鼻にキスすると、カラスに吊り下げられたネズミが一方通行のもとに戻ってくる。
一方通行「ババコン……」
支援 雑ですまん
銭婆「カオナシ、お前はここにいな。私の手助けをしておくれ」
カオナシ「ア……」コクン
一方通行「銭婆」
銭婆の目の間まで歩き、向かい合う
。
一方通行「世話になったなァ……」
ギュッ
一方通行「!」
銭婆「大丈夫、あんたならやり遂げるよ」
一方通行「……オレの本当の名前は、一方通行っていうンだ」
銭婆「一方通行。いい名だね。自分の名前を大事にね」
一方通行「あァ」ウルウル
>>399
保存した
銭婆「さあ、おいき!」
一方通行「グスッ……あァ!」
タタタッ
一方通行「銭婆、ありがとうなァ!」
ネズミ「またなーー!」ブンブン
ヒュオオオオ…ッ!!
銭婆「」フリフリ
美琴「」バイバーイ
龍が空高く舞い上がり、銭婆たちはあっという間に見えなくなる。
雲の上を滑るように、一方通行たちは風を切って進む。
ヒュオオオオ…
龍の翼のはばたきを聞きながら、一方通行の記憶が徐々に蘇っていく。
六枚の白い翼。
斬撃、爆発、閃光。
真っ赤な血。
黒い翼。
ヒュオオ…
一方通行「……帝、聞け」
一方通行「オレが学園都市にいたとき、ある人物との交渉権を巡って、争いが起こったンだ」
一方通行「オレはそのとき、ある一人の人間をブッ殺した」
一方通行「そいつはその後回収されて、脳みそバラバラにされたり冷蔵庫にされたりしたらしいンだが……」
一方通行「でも、今思い出した」
一方通行「そいつの名前は、垣根帝督」
一方通行「そいつの名は、垣根帝督」
一方通行「オマエの本当の名前は……垣根帝督だ」
龍「……!!」
シャララララララ…
一方通行「!」
龍のウロコが流れるように剥がれ、銀色の光が夜空に消えていく。
そこに残ったのは、六枚の翼をもった一人の青年だった。
バサッ…!!
自由落下していく一方通行たちの手を取り、白い翼をはばたかせて、ゆっくりと落下していく。
ヒュオオオオ…
垣根「一方通行、テメェのおかげで思い出したぜ……俺の本当の名前」
一方通行「垣根……」
垣根「そしてこれも思い出した……俺はテメェと戦い……そして負けた」
一方通行「生きてやがったのかァ」
垣根「あぁ。そしてテメェに復讐を果たすため、あらゆる手を探した。そして見つけたのがこの湯屋だった……」
一方通行「ハッ。魔法使いたァ、メルヘン野郎にお似合いじゃねェか」
垣根「あのババァに扱き使われながら、俺は必死に魔法を学んだ。全てはテメェを殺すために」
一方通行「……」
垣根「そしてその憎悪は……歪んだ愛情へと変わっていった」
一方通行「は?」
垣根「魔法を学んだ俺はそのうち、復讐だけじゃもの足りなくなっていった」
垣根「一方通行を完全に自分のものにしたいと……」
一方通行「」
ネズミ「おい、何か語り出したぞ」
一方通行「おま……脳みそイカれちまったンですかァ!?」
垣根「あぁイカれちまったよ。一方通行というに魔法にとり憑かれてな」キリッ
一方通行「」
垣根「というわけだ一方通行、オレの気持ちを受け取ってくれ」
一方通行「寄ンな!!!!!!!!!!!!!!」
垣根「ブチ殺したいほど愛してる」キリッ
一方通行「あ゛ァァァ!!!」ブワワッ
ネズミ「あまりの気持ち悪さに一から黒い翼が!!」
垣根「俺の愛に常識は通用しねぇ」バッサバッサ
一方通行「上ォォ等じゃねェか! 今度こそ絶対ェブッ殺す!!」ブワワッ
チャチャチャーチャーチャーチャーチャーチャー
ジャンジャカジャカジャーン……←感動のオーケストラ
………
……
…
チュンチュン…
ユヤノマエ
豚「ブーブーフゴッフゴッ」
湯婆婆「……」ウロウロ
番外個体「……あっ!」
番外個体「帰ってきた!」ユビサシ
浜面「本当か!」
ワーワー ザワザワ
湯婆婆「……!」
垣根&一方通行「……」バッサバッサ ボロッ
垣根「また強くなってたな、一方通行」ボロボロ
一方通行「キメェ話しかけンな」ボロボロ
番外個体「なんであいつらあんなボロボロなの……」
湯婆婆「軍ちゃんは連れて戻ってきたんだろうね!」
カラス「プ~~~ン」ポトッ
ボンッ!!
削板「削板軍覇、復活!」
湯婆婆「えっ!?」
削板「よう、ばあば!」
湯婆婆「軍ちゃあああん!! よしよし酷い目にあったねえ!」ダキッ
削板「そんなことはない。根性が鍛えられたぞ!」ハッハッハ
垣根「湯婆婆、約束だ。一方通行と保護者を人間の世界へ戻してやってくれ」
一方通行「えっ何その約束」ビックリ
湯婆婆「フン! そう簡単にはいかないよ。世の中には『決まり』というものがあるんだ!」
エー ブーブー ケチナンダヨ ガンコババァデストミサカハ
湯婆婆「うるさいよっ!!」
削板「ばあば、意地を張るのはもうよせ」
湯婆婆「ヘァッ?」
削板「外の世界はとても楽しかったぞ」
湯婆婆「ででででもさあ、これは『決まり』なんだよ? じゃないと呪いは解けないんだよぉ?」
削板「一を泣かせたらばあばのこと嫌いになるぞ」フンス
湯婆婆「そ、そんなぁ……」
一方通行「おいババア」
湯婆婆「ババア!?」
一方通行「今そっちへ行く」
スタスタ…
一方通行「掟のことは垣根から聞いた」
湯婆婆「はんっ、いい覚悟だ。コレはお前の契約書だよ」スッ
丸められたら羊皮紙を見せ、奥に進む。
湯婆婆「こっちおいで」
削板「一、大丈夫か」
一方通行「心配すンな」
豚「ブーブー」
豚「フゴッフゴッ」
豚「ブッブッブ」
湯婆婆「この中からお前の保護者を見つけな」
湯婆婆「チャンスは一回だ。ピタリと当てられたらお前たちは自由だよ」
一方通行「……」キョロキョロ
豚「ブーブートミサカハブタノマネ」
豚「フゴッフゴットミサカモブタノマネ」
豚「ブーブーナノデスヨー」
豚「ブタデアロウコトナノヨ」
豚「ブタニナルノウリョクカァ…」
一方通行「……ンン?」
一方通行「おいババア、ここには黄泉川も芳川もいねェぞ」
湯婆婆「いないぃ? それがお前の答えかい!」
一方通行「……あァ」コクン
ボンッ!!
湯婆婆「ヒェアッ!?」
契約書が破裂した次の瞬間、豚たちが一斉に変身をとく。
「「「「「大当たり~~~!」」」」」
ワアアアッ!!
麦のん「よっしゃあああ!!」
番外個体「やるじゃん!」
浜面「よ、よかったああ……!!」
木原「はっ、やるじゃねぇかクソガキ」
ワーワー ヤッター ワイワイガヤガヤ オメデトー!
一方通行「オマエら……」
湯婆婆「行きな! お前の勝ちだ。はやく行っちまいな!」
一方通行「……世話になったなァ」
湯婆婆「フン!」
タッタッタ…
一方通行「オマエら! ……ありがとなァ!」
ジャアナー! マタネー! サヨナラーー!
垣根「行くぞ、案内する」
一方通行「あァ」
タッタッタ
一方通行「黄泉川と芳川は?」
垣根「先に行ってる」
タッタッタ…
初めに通った商店街を駆け抜けて、川があった場所へ行く。
タッタッタ… ピタッ
一方通行「水がない……?」
川になっていた場所は、いつの間にか草原に戻っていた。
垣根「俺はこの先へは行けない。テメェは元来た道を戻るんだ」
垣根「でも絶対に振り向くなよ。トンネルを出るまでは」
一方通行「……オマエはどうなるんだ」
垣根「俺は湯婆婆と話をつけて弟子をやめる。心配するな、本当の名前を取り戻したんだ」
垣根「元の世界に、俺も戻るよ」
一方通行「……テメェとはまたどこかで会いそうな気がするぜ」
垣根「ああ、俺もだ」
垣根「もう行け、一方通行。振り向くなよ」
サァァ…
タッタッタ…
風がたなびく草原を、何かに背中を押されるように真っ直ぐに走っていく。
黄泉川「一方通行ぁー!」
一方通行「……!!」ハッ
黄泉川「なにてるじゃん。はやく来るじゃんよー」
芳川「」フリフリ
一方通行「……黄泉川! 芳川ァ!!」
黄泉川「駄目じゃん、急にいなくなったら」
芳川「行くわよ」
一方通行「黄泉川……なンともないのか?」
黄泉川「? 早くしないと、打ち止めが家で待ってるじゃんよ」
一方通行「……」
垣根『振り向くなよ』
一方通行「……」フルフル
芳川「一方通行、早く来なさい」
一方通行「あァ」
タッ、タッ、タッ…
トンネルの中で、足音が反響する。
ここへ来たときと同じように。
黄泉川「暗いから、足元気をつけるじゃん」
一方通行「……」
パアッ…
黄泉川「出口じゃん。……アレ?」
芳川「どうしたの?」
黄泉川「車が木の葉だらけじゃん。わっ、中もほこりだらけ」
芳川「いたずらかしら」
黄泉川「かなあ……」
一方通行「……」
振り向いて、トンネルを見る。
真っ暗闇の先は光も見えない。
芳川「オーライオーライ、平気よ」
黄泉川「よし。一方通行、行くじゃんよー!」
芳川「早くしなさい」
バタンッ
黄泉川「発車オーライじゃん」
芳川「……あら?」
一方通行「なンだよ」
芳川「君、髪留めなんてしてたかしら」
キラッ
一方通行の後ろ髪をまとめた、白い髪留めが光る。
一方通行「……」
芳川「?」
一方通行「あァ、これは……」
一方通行「もらったンだよ」フッ
ブロロロロ…
終
お付き合いありがとうございました
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