六花「ゴジラ、ゴジラ、ゴジラがやってきた」(255)

六花「ギャオオオオ」

凸守「都心K地区に怪獣出現! 防衛隊今すぐ出動デース!」

六花「アンギャアアアア」

凸守「右に旋回しつつミサイルで攻撃デース!」

六花「ギャアアアアス」

凸守「くっ、ミサイルが効かない! 怪獣の進行止まらずデース!」

ガラッ
勇太「何をやってんだお前ら」

六花「あ、ゆ、ゆーた……」

凸守「何って、見て解らないデスか? 怪獣ごっこデース」

勇太「怪獣って……お前らそういうのも好きなの?」

凸守「当たり前デス、怪獣映画は日本の文化デース」

勇太「お前らが怪獣映画好きなんて初めて聞いたぞ。
   なんで今まで隠してたんだ?」

六花「引かれると思って」

勇太「今更お前の口からそんな言葉を聞くとは思わなかった」

凸守「DFMは特撮とか好きなんデスカ?」

勇太「ガキの頃はよく見てたけど……家にゴジラのビデオとかあったし。
   でもさすがに今はもう全然見てねえな」

凸守「はあ、DFMも所詮は腐れ一般人でしたか……」

勇太「腐れとか言うな」

六花「でも、昔は好きだったんだ」

勇太「ああ、まあな。友達とゴジラごっことかよくやったよ。
   六花は何が好きなんだ?」

六花「サンダ対ガイラ!」

勇太「なにそれ知らない」

六花「あう……」

六花「でも、昔好きだったのなら好都合」

凸守「え、何するデスカ?」

六花「勇太をもう一度こちらの道に引きずり込む」ガサゴソ

凸守「おお!」

勇太「引きずり込む、って言われてもな。
   高校生にもなって怪獣映画なんか見ても、って感じなんだが」

凸守「……それは我々にケンカを売ってるデスカ?」

勇太「いやいや、そうじゃない。
   お前らはオタクだろ。俺は腐れ一般人だし、そのへんの感性の違いも」

凸守「やっぱケンカ売られてる気が」

六花「勇太、そのへんは大丈夫。
   子供の頃に好きだったものをそんなにあっさり捨てされるわけがない。
   もう一度怪獣映画に触れれば、その熱はふたたび再燃する」

勇太「そーゆうもんか?」

六花「というわけでこれを見よう。『ガメラ2レギオン襲来』」

凸守「おお、それを出すデスカ」

勇太「あー、懐かしいな。ガキの頃見た覚えあるわ」

六花「ガメラ2……16年前の映画ながら未だにマニアの評価は高い。
   他に怪獣映画を見たことなくてもこれは見たことあるって人も多いはず」

勇太「確かに面白かった覚えはある」

凸守「映画として初めて日本SF大賞を受賞した作品デース」

勇太「何、そんなスゴイ映画だったの?」

六花「これを見れば勇太の怪獣熱も在りし日の時のように燃え上がるはず」

勇太「でも、見るって言ったってどこで見るんだよ」

六花「安心して。部室に32インチモニターとブルーレイプレイヤーを用意してある」バサッ

勇太「いつのまに持ち込んだ!?」

凸守「ここでマスターと誰にもバレないように特撮を鑑賞する日々……つらかったデース」

勇太「隠れキリシタンかお前ら」

六花「では早速…………」

くみん「ふにゃ……みんな何してるのー?」

勇太「く、くみん先輩! いたんですか」

六花「今日は素晴らしい映画を鑑賞する、良かったらくみんも一緒に」

くみん「映画? 見る見る」

http://www.youtube.com/watch?v=e_Lm0sn0wog

六花「再生、ガメラ2。ぽちっとな」

くみん「ガメラ? ガメラってあの空飛ぶ亀?」

勇太「しかし亀が空飛ぶって発想がアレだよな」

凸守「ウルトラQにも空飛ぶ亀出てたデスね」

勇太「ごめん知らない」

六花「静かにして、もう始まってる」

『軌道計算は……』

『衝突コース……』

『約48時間後です……』

『噂が広まれば大パニックになる……』

勇太「なんか緊張感ある始まり方だな。全然覚えてないや」

くみん「おー、なんか落ちてきたよ」

勇太「あれからレギオンが生まれるんだっけ?」

六花「まあ、そんなかんじ」

六花「あ、そろそろ問題の地下鉄シーン」

勇太「だんだん思い出してきたぞ……たしかこの先で」

くみん「富樫くん、先の展開言わないでよぉ~」

勇太「結構夢中で見てますよね先輩……」

六花「そういう勇太も」

凸守「マスターの思惑通りデスね」

勇太「う、うるさい」

ガメラ『ギャアアオオオオオオオオ』

勇太「おお、ついにガメラが出てきた」

くみん「ガメラは人間に味方してるの?」

六花「人間の味方、というか地球の守護神……
   ガメラの立ち位置については次回作のガメラ3を見ればちょっと解る」

凸守「人間のために戦っているわけじゃないけど
   人間を見捨てはしない、って感じデスかね」

くみん「なるほどー、ガメラも複雑なんだね」

勇太「昭和だと子供の味方だったな」

くみん「あ、ガメラ死んじゃったよ……」

勇太「仙台壊滅とか今じゃできないな」

凸守「結局は人の力を借りて蘇るんデスよね」

六花「そして人間との交流を断ち切るために勾玉を壊す……
   泣ける」

勇太「お、そうこうしてるうちについに最終決戦か」

くみん「自衛隊もガメラと一緒に戦えばいいのに……」

六花「大丈夫、この後……」

『火力をレギオンの頭部に集中し、ガメラを援護せよ』

勇太「おお、英断」

凸守「軍人がかっこいいのがいいデスよねーこの映画は。
   少年のハートが燃え上がるデース」

六花「巨大レギオン戦と並行して行われる
   ソルジャーレギオン殲滅作戦も良い」

くみん「ガメラに任せっきりじゃなくて人間も戦うんだねー。
   軍の人だけじゃなくて一般の人も含めて」

六花「うん、それが良い」

『ガメラの敵には……なりたくないよね……』

六花「終わった」

凸守「いやあああ、いつ見ても名作デスねぇ……
   着地→横滑りしながらの火球連発は最高に燃えるデース」

六花「勇太、くみん、どうだった?」

くみん「すっごく良かったよ~。
    レギオン倒すために頑張る人間のドラマだけでも見応えあったけど、
    ガメラもレギオンも一言も喋らないのに感情があるみたいで
    最後の戦いの時はすっごい感情移入して見ちゃったよー。
    こういうの初めて見たけど、面白いんだねー」

六花「よかったら、他にも色々貸すけど」

くみん「うん、貸して貸して!」

勇太「く、くみん先輩がそっちの道に……」

凸守「DFMはどうだったデスか?」

六花「怪獣熱は再燃した?」

勇太「んー、ま、まあそうだな……
   やっぱ大きくなってから見ると、ガキの頃とは全然印象が違って見えるよな。
   なんつーか、素直に楽しめたよ」

六花「いい意味でそう感じられる作品は名作」

勇太「俺も他にも色々見たくなってきたよ。家でゴジラのビデオ探してみるかな」

凸守「DFMもハマっちゃったデスね~」

六花「こほん……ここでひとつ提案がある」

くみん「何ー?」

六花「私と凸守の怪獣好きがバレて、そして勇太とくみんも特撮に興味を持った。
   そこで、この部活を極東魔術昼寝結社の夏から特撮研究部に改称する」

凸守「おー、大賛成デース」

くみん「昼寝部が無くなっちゃうのは残念だけど、そっちも楽しそうだねー」

勇太「うん、いいんじゃないか」

六花「満場一致で可決。というわけで、今日からここは特撮研究部になった。
   みんな、これからもたくさん特撮を見てもっと怪獣を好きになろう」

くみん「おー!」


    お       わ        り



森夏「おわり、じゃないわよ。なにやってんのよ」

勇太「おお、丹生谷」

六花「丹生谷の存在をすっかり忘れてた」

凸守「顔を見て初めて思い出したデース」

くみん「あー、誰か足りないと思ったらもりさまちゃんだったー」

森夏「えっ……私ってそんなに存在感なかった……?」

勇太「安心しろ、俺はガメラを見てる途中で
   『そういえば丹生谷いねえなー』って思い出してたから」

森夏「別に嬉しくないわよ。
   てゆーか何なのよガメラだの特撮だの……
   いつのまにここはこんなオタクくさい部活になっちゃったわけ?」

勇太「極東魔術昼寝結社も大概だろ」

森夏「あ゛ぁ?」

勇太「すみませんなんでもないです」

森夏「こんなオタな部活に所属してるなんて知れたら私の評判落ちるじゃない。
   認めないわよ、特撮研究部なんて」

凸守「ハッ……これだから腐れ一般人は」

くみん「大丈夫だよもりさまちゃん、見てみたらハマるって」

森夏「ハマりたくなんかないわよ!」

森夏「だいたい特撮って……ミニチュアの街で着ぐるみが殴りあうだけでしょ?
   そんな子供だましのを見て何が楽しいのよ」

六花「む……」

勇太「あ、怒ってる怒ってる……」

凸守「はっ、特撮をバカにするのは見てからにして欲しいデース」

森夏「見なくても解るっつってんの」

六花「いや、丹生谷……やっぱりそれは良くない。
   DVD貸すから、ちょっとでもいいから見て欲しい。はい」

森夏「ウルトラマン、ガイア……? なにこれ、見ろっての?」

六花「それが気に入らなかったら、特撮研究部にするのはやめる」

森夏「ふーん。まあいいわ、家に帰ったら見てあげる。
   高校生が見て楽しめるとは思えないけど」

凸守「いいんデスか、マスター?」

六花「構わない。森夏もこの部活のメンバーだし、やっぱり意見は聞かないと」

くみん「六花ちゃん、私にもDVD貸して~」

六花「じゃあ『獣人雪男』を」

勇太「お前DVD持ち歩いてんの?」

丹生谷家

森夏「あーあ、今日も疲れた」

森夏「晩御飯までに宿題済ませとこっと……」ガサゴソ

森夏「ん、なんか入ってる……あ、そっかDVD借りたんだった」

森夏「借りたってゆーか押し付けられたのか」

森夏「しかも全部で13巻も……」

森夏「見てくれとは言われたけど……
   興味ないジャンルの作品をこんなに貸されてもなあ」

森夏「まあ、いっか……1巻だけちょろっと見て
   つまんなかったって言って返せばいいんだし」

森夏「てゆーかみんなこういうのが好きだなんて意外だわ」

森夏「小鳥遊さんやクソ厨房はともかく」

森夏「まさか富樫くんまで」

森夏「…………」

森夏「まあいいわ、さっさと見ちゃお」

森夏「特撮研究部なんて絶対阻止してやるんだから」

『ピンチの連続~そんな時~ウルトラマンが欲しい~♪』

森夏「何このクソみたいなOP曲」

『ウルトラ……マン……?』

森夏「あ、いきなりウルトラマン出てきたわね……
   やっぱちゃっちいわね、おもちゃっぽいってゆーか」

『俺たちって歴史の証人じゃね?』

『最初の犠牲者じゃないだろうな』

『これのことか、これのことだったのか?』

『僕達が恐れていたのは、あれのこと?』

森夏「世界観がよくわからないわね」

『ピギャアアアア』

森夏「あ、怪獣が生まれた」

『なんだあの光は……』

『光の巨人……?』

『コマンダー、予期せぬ事態です』

森夏「…………」

森夏「腕からじゃなくて頭からビーム出すのね」

森夏「防衛隊の人が多くて名前覚えられないわね」

森夏「なるほど、我夢は科学者系の人間だから
   ウルトラマンガイアに変身しても戦いに不慣れなのか」

森夏「変身するときに土煙が舞い上がるのがかっこいいわね」

森夏「あ、やっともう一人のウルトラマン出てくるんだ」

森夏「えっ、敵だったの?」

森夏「ウルトラマンなのに人間を敵視してるなんて」

森夏「うわ、なんかキモい怪獣出てきた」

森夏「ふむむ……天才児たちの存在が怪獣の出現を誘発したって考えもあるのね」

森夏「なるほど普通の怪獣と根源的破滅招来体は違うのね」

森夏「地球を思うものどうし、一緒に戦えばいいのに……」

森夏「えっ、そんな……アグルは全部根源的破滅招来体に騙されてたの……?」

森夏「全部利用されていただけだったなんて……藤宮くん……」

我夢『大事なものなんて、いくらでもあるじゃないかー!』

森夏「藤宮くぅぅぅぅぅん!!!」

ガチャ
母「なに叫んでるのよ、森夏」

森夏「うわはっ、お、お母さん!? え、なに、晩御飯?」

母「はあ、何寝ぼけてるのよ、もう朝よ」

森夏「あ、朝……? え、今何時?」

母「午前6時」

森夏「えっ!?」

母「昨日晩御飯も食べずに、お風呂も入らずに……
  部屋にこもってずっと何してたのよ」

森夏「な、別に何もしてないわよ。
   ちょっと仮眠するから出てって」

母「あんたまさか、また妖精がどうとか……」

森夏「違う! 断じて違う!」

母「ならいいけど……遅刻しないようにしなさいよ」

森夏「わかってるわよ、早く出ていっててば」

母「はいはい」

森夏「うう……藤宮くん……」

学校

森夏「…………」ボケーッ

一色「どうしたんだ丹生谷のやつ。
   目はうつろだし、口半開きでヨダレ垂らして。髪もボサボサ」

勇太「カワイコちゃん選手権1位がしていい顔じゃないな」

六花「おはよう」

森夏「たったたた小鳥遊さんっ!!」ガシィッ

六花「な、何」

森夏「藤宮くんは……藤宮くんはどうなっちゃうの……?」

六花「……どこまで見たの?」

森夏「藤宮くんがアグルの力を我夢くんに渡して……
   ガイアがパワーアップしたところ……」

六花「一晩でそこまで……」

森夏「で、どうなるの?
   もうこのまま出てこないの? 教えなさいよ!」ガクガク

六花「ああぁぁぁあうあう……」

勇太「落ち着け丹生谷……」

森夏「はっ、ご、ごめんなさい……」

六花「ふ、藤宮は……まだ出番ある。
   40話くらいでまたアグルとして復活する」

森夏「ほんとに!? またアグルになるの!?」

六花「なる。アグルV2として」

森夏「よかったー、それさえ聞けばもう安心だわ……」

六花「しかもガイアと仲間になる」

森夏「え、本当!? 最高の展開じゃない!
   二人のウルトラマンが協力して根源的破滅招来体に立ち向かうなんて」

六花「最終章の熱さは最高」

森夏「帰ったら早速続き見なきゃ!
   そうだ、ガイアの映画版もあるんでしょ? それも貸して!」

勇太「おい、丹生谷……ちょっと、ちょっと落ち着け」

森夏「え、何よ?」

「えっ……丹生谷さんがウルトラマン……?」
「そういう趣味あるんだ……意外……」
「高校生にもなってウルトラマンって……しかも女子が……」ヒソヒソ

森夏「あっ」

放課後 部室

六花「丹生谷はウルトラマンガイアに夢中になった。
   というわけで満場一致、今日からここは特撮研究部とする」

くみん「わーい」パチパチパチ

凸守「まさか偽モリサマーがハマるとは……
   我々とは対極に位置する人種だと思っていたデスが」

森夏「し、仕方ないでしょ……面白かったんだから」

勇太「クラスの皆にもバレちゃったしな」

森夏「うぐっ…………」

六花「安心して丹生谷。自分という存在を規定するのは常に自分以外の存在なのだから」

勇太「慰めてるのかそれは」

六花「まあ丹生谷のオタバレは置いておくとして、
   今日もみんなで怪獣映画を見ようと思う」

勇太「何見るんだ?」

六花「日本の怪獣映画の始祖、ゴジラ作品から一本」

勇太「おお」

六花「丹生谷もくみんも怪獣映画の楽しみ方をわかってきただろうし、丁度いい」

六花「丹生谷やくみんはゴジラ見たことある?」

くみん「名前しか聞いたことないよ~」

森夏「私もその程度……昔は毎年やってたわよね」

六花「ゴジラは1954年に第1作目が公開されて、
   それから何度かの休止期間をはさみながら年1~2回新作が公開された。
   シリーズを大別すると昭和シリーズ、平成シリーズ、ミレニアムシリーズの3つ。
   2004年の『ゴジラファイナルウォーズ』までの50年間で28作品が制作された」

森夏「50年も続いてたんだ? 2004年から後はやらなくなっちゃったのね」

六花「観客動員数の低迷という如何ともし難い事情により……」

くみん「残念だねー」

凸守「再来年にハリウッドでまた新作やるデース」

六花「10年ぶりのゴジラ。楽しみ」

森夏「それより早くゴジラ見ましょうよ」

勇太「おう、そうだな。で、何を見るんだ?
   ビオランテか、機龍か? キングギドラか?
   それともやっぱり初代ゴジラか?」

六花「ゴジラ対メガロ!!」

勇太「なんでだよ!!」

森夏「何、ダメなの?」

勇太「多分シリーズで1番クソな映画だぞ……」

森夏「えー、そんなもん見せる気?」

六花「たしかに勇太の言うとおり、観客動員数はシリーズでも最低レベル。
   内容も確かに他のゴジラ作品と比べてダメかもしれない。
   しかし、こういう言葉もある」

勇太「なんだよ」

六花「ダメな子ほど可愛い」

勇太「映画に使う言葉じゃねえ……」

凸守「でもそんなに言うほどダメなわけじゃないデスよ。
   昭和後期のゴジラは若干黒歴史扱いされてる感があるデスが」

六花「そうそう。
   それにこーゆう映画はみんなでわいわい言いながら見るのが楽しい」

勇太「そういうレベルの映画じゃない気もするが」

森夏「ま、実際に見てみましょうよ。
   本当にダメかどうかは見てみなきゃわからないし」

くみん「早く見ようよ~」

六花「では再生。ぽちっとな」

http://www.youtube.com/watch?v=REMsbJMtN0Y

『197X年、アリューシャン列島のはずれで第2回地下核実験が行われた……
 その核実験の影響は遥か南の怪獣島にまで及んだ……』

森夏「何、怪獣島って」

六花「この頃の作品では、ゴジラを含めていろんな怪獣が
   怪獣島っていう場所に集められて平和に暮らしてるっていう設定」

森夏「何そのほのぼのした世界観」

勇太「好きになれないんだよなあこの設定……」

くみん「えー、仲良しなのはいいことだよ~」

六花「別に初代ゴジラがゴジラなわけじゃないし、こういうのもアリ」

『メガロ、メガロ! 目覚めよメガロ!
 ゆけ地上へ! シートピアの敵、地上人を粉砕するのだ!』

くみん「おー、これがメガロ?」

凸守「海底王国出身でカブトムシっていうのが謎デスよね」

森夏「なんか、虫の気持ち悪い部分をあえて選んでくっつけたような
   いやらしいデザインが悪趣味ね……」

勇太「カブトムシモチーフなら普通もっとイケメンになるよな……」

六花「お、そろそろ最大の見せ場、ダム破壊シーン」

くみん「おおー、水がどばーっと噴き出てるー」

森夏「メガロも一緒に流されちゃってない?」

凸守「撮り直しできなさそうなシーンデース」

六花「この映画でまともな特撮シーンはここくらいだから。
   ちゃんと目に焼き付けておくように」

勇太「どんだけ予算ねえんだよ……」

くみん「あれ、でもさっき戦車のシーンとかなかった?」

凸守「あのへんは全部他の映画からの使い回しデース」

森夏「え、そうなの?」

六花「エキストラが逃げ惑う場面もそう。
   ついでにメガロが空を飛びながら街を光線で攻撃するシーン、
   よく見てるとたまに光線が2本映ってる瞬間がある。
   キングギドラの映像から流用した名残」

勇太「マジで予算なかったんだな」

六花「この映画3週間で作ったらしい」

森夏「早っ!」

くみん「ジェットジャガーとゴジラが喋ってる~」

森夏「ボディランゲージで通じるのね……」

凸守「前作みたいにフキダシで喋らないだけマシデスねー。
   まー凸守的にはフキダシも有りデスけど」

森夏「あっ、ジェットジャガーが巨大化した!?」

勇太「巨大化の原理一切不明で押し通してるのが潔いよな逆に……」

くみん「あ、なんか違う怪獣も来たよ!」

六花「ガイガン。前作から引き続き登場」

勇太「FW版のデザインかっこよかったよなー」

くみん「あ、やっとゴジラが来たよー。ついにゴジラとメガロが戦うんだね」

森夏「このポワンポワンいうBGM、気が抜けるわね……」

勇太「まあゴジラのテーマを流しても合わないけどな……」

凸守「出た、ゴジラのドロップキック!」

森夏「え!? なにこれ、どういう技!?」

くみん「あ、メガロ自分の爆弾で自爆した!」

勇太「もうツッコミが追いつかねえよ……」

『人が作ったー♪ ロボットだけどー♪
 ジェットジャガージェットジャガー♪ やったぜジャガー♪』

六花「終わった」

森夏「なんなのこの歌……」

勇太「最後の最後まで気が抜けっぱなしの映画だな……」

凸守「いやあ、いつ見ても名作デスね」

勇太「迷作の間違いだろ」

くみん「私は結構面白かったよ~。
    ジェットジャガーもゴジラも可愛かったし」

六花「丹生谷はどうだった?」

森夏「初めて見るゴジラ映画としてのチョイスを滅茶苦茶間違えた気がするんだけど……
   よく知らないけどゴジラってアレでしょ、核兵器がどうとか、
   どっちかっていうとそういう重い作品だと思ってたんだけど」

勇太「そう、丹生谷の言うとおりだ。
   ゴジラは反戦、反核の象徴であって、恐怖の存在なんだ。
   こんなポワポワしたBGMで人間のために戦うのなんてゴジラであってゴジラじゃない」

凸守「頭固いデスねー」

六花「勇太は初代ゴジラみたいなのがあるべき姿だって言いたいんだろうけど、
   この映画も別に初代ゴジラの路線から反れているわけじゃない」

勇太「どこがだよ?」

六花「思い出して欲しい。メガロはなぜ地上に現れたのか」

くみん「核実験のせいで被害を受けたから……」

六花「そう、メガロの存在はまさに初代ゴジラと同じ。
   核兵器の被害者であり、人類へのしっぺ返し」

森夏「な、なるほど」

六花「だいたい作中で登場人物が反戦反核についてべらべら喋ってくれてるのに、
   初代ゴジラに比べてただ怪獣がプロレスしてるだけの
   メッセージ性も何もない堕落した作品だ、なんて評価を下すのはロクに見てない証拠」

勇太「いや、しかし俺が言いたいのはゴジラのキャラクター性についてであってな」

六花「それに関しても同じ。核兵器の落とし子であるゴジラと、
   同じく核兵器の被害者であるメガロ、その二体の戦いという構図。
   前面に出していないだけでこの映画はそういう皮肉を孕んでる。
   なぜゴジラはジェットジャガーの頼みを聞いてきてくれたのか?
   本当に人類を守るべく戦うためだけに来たのか?
   最後なぜメガロを殺さずに見逃したのか?
   自身と同じ境遇のメガロとの戦いでゴジラは何を思っていたのか……」

凸守「想像するだけで泣けるデース……」

勇太「絶対そこまで考えて作ってねえよ」

六花「まあ、そういう見方もできるってこと」

六花「とゆーわけで今日の部活はこれで終わり。
   各自、メガロのことを想いながら週末を過ごすこと」

勇太「嫌な週末だな」

くみん「あ、六花ちゃん、『獣人雪男』おもしろかったよー。
    でもなんか海賊版くさかったのは何で?」

六花「気にしないで」

くみん「また何か貸して~」

六花「ふむ……では『深海獣レイゴー』を」

くみん「わーい」

勇太「なんでそんな聞いたこともないような怪獣映画のDVDをパッと出せるの?」

森夏「私も早く帰ってウルトラマンガイアの続き見なきゃ」

勇太「お前もすっかり夢中になってんだな……」

森夏「なっ……い、いいでしょ別に」

六花「あ、丹生谷。これガイア劇場版のDVD」

森夏「わー、ありがと。ふふふ、これで週末はガイア漬けね……」

勇太「うっわあ、オタクくせえ発言……」

翌日 富樫家

勇太「うーん、どこだあ?」ガサゴソ

樟葉「おにいちゃーん、一緒にアーマードコア……って何やってんの?」

勇太「あー、ちょっとな」

樟葉「こんなに散らかして……黒歴史発掘大会?」

勇太「違うよ、探してるんだよ、ゴジラのビデオ」

樟葉「ゴジラのビデオ? なんで今さら?」

勇太「いや、久々に見たくなってな~。どこにしまったっけ」

樟葉「確か、いつかの大掃除で全部捨てたはずだよ」

勇太「え、そうだっけ!?」

樟葉「うん、お兄ちゃんにも捨てていいかって聞いたよ。
   そしたら『フハハハ、我にはもはやそんな幼稚な趣味はそぐわぬ……
   映画よりも激しいリアルの中で命を燃やしているからな……』って言ってたから捨てた」

勇太「地味に似てるからやめろよ胸が痛い」

樟葉「だいたい見つかっても見られないでしょ、ビデオデッキも処分しちゃったし」

勇太「あ、そうか……しゃーない、借りてくるか」

こんなSSを見に来る奴ら(褒め言葉)だろうしこのサイト教えておく

http://www005.upp.so-net.ne.jp/crank-in/nikkimenu.htm

ウルトラマン80の頃から今まで現役の操演技師さん(ワイヤー引っ張ったり火薬ドカンさせたりする人)のサイト。

特に平成ガメラ~ウルトラ8兄弟では様々な劇場版巨大特撮の現場での重鎮的存在な人なんだが
その人が撮影当時に書いていたレポートが載ってる。

後半に書かれたものにつれポエミーになっていくのは残念だったけど
ガメラ3やティガTFOなんかは必読。

某レンタルビデオチェーン店

店員「しゃせいー」

勇太(そういえば特撮とか置いてんのかな……)

勇太(もう20年近く前の映画だし、もうないかもなー)

勇太(六花も観客動員数が低迷して打ち切られたって言ってたし
   一般的な人気ももう無さそうだからな)

勇太(うーん、特撮特撮……このへんか)

勇太(仮面ライダー、スーパー戦隊……このあたりは充実してるな)

勇太(その隣にウルトラマン……うーん、明らかに面積が少ない)

勇太(そしてその横に怪獣映画……うわ、全然ねーじゃん)

勇太(初代ゴジラと、平成のがちょろっと……)

勇太(ガメラも平成三部作しかねーな……)

勇太(まあいいや、適当に借りて帰るか)スッ

森夏「あっ」スッ

勇太「あ、すみませ……って丹生谷!?」

森夏「ととと富樫くん!? なんでここに!?」

そしてほしゅ

勇太「お前こそ何で……ガイア漬けの週末じゃなかったのかよ」

森夏「土日でゆっくり見ようと思ってたんだけど、止まらなくて。
   結局ゆうべ徹夜して全部見ちゃった」

勇太「ハマりすぎだろ。引き返せなくなるぞ」

森夏「いや、でももうこれがほんっと面白かったのよ!
   アグルが復活してからは噛ませ犬になっちゃったのは残念だけど
   それでも充分かっこよかったし、毎回出てくる敵はバラエティ豊かだし、
   あと最終章がすっごいのよ、ウルトラマンとXIGと、それから地球の怪獣が
   みんな一丸になって戦うのよ、最高じゃない?」

勇太「怪獣も味方なのか?」

森夏「ふふん、ガイアの敵は根源的破滅招来体っていう未知の存在なの。
   最初は地球の怪獣とか、人類に害をなす存在全てを根源的破滅招来体として扱ってたんだけど
   物語が進むに連れて根源的破滅招来体は人類に悪意を持った
   ごく一部の存在でしかないということが分かったのよ」

勇太「はあ」

森夏「それで根源的破滅招来体と地球の怪獣たちも戦うの。
   昨日の敵は今日の友って感じよね、これで燃えなきゃ何で燃えるのって話。
   最終回のタイトルも最高だわ、『地球はウルトラマンの星』……」

子供「ママ~、あのお姉ちゃんウルトラマンの話してるー」

母「見ちゃいけません」

勇太「お前がガイア大好きなのは分かったが、何でここに?
   なんかDVD借りに来たのか?」

森夏「当たり前じゃない、その目的以外でここに来る人いる?」

勇太「そう言われるとそうだけど。で、何借りるんだ?」

森夏「昨日、みんなでゴジラ対メガロ見たじゃない?
   それで、他にもいろいろゴジラ見たくなって」

勇太「なるほど」

森夏「小鳥遊さん、ゴジラは全部で20作品以上あるって言ってたけど。
   ここ全然置いてないわねえ」

勇太「まあ、そうだな。いっぱい置いてあるところのほうが珍しいかもな」

森夏「富樫くん、ゴジラ詳しいのよね? どれがオススメ?」

勇太「え、うーん、そうだなあ……どれがオススメかと言われると……
   俺としてはやっぱり初代ゴジラを最初に抑えておくべきだと思うんだよな、
   それから昭和シリーズの中ではモスラ対ゴジラ、三大怪獣あたりが評価高いか、
   最近のやつなら機龍二部作とかあとGMKなんかも」

森夏「メガロは昭和だったから平成のにしよっと。
   ゴジラvsデストロイア……これがおもしろそうねー」

勇太「俺におすすめを聞いた意味は?」

森夏「いや、富樫くんが挙げたの初代ゴジラしか置いてないし……」

店員「7日間で200円になりまーす」ピッピッ

勇太「でもゴジラvsデストロイアって……
   それこそ初代ゴジラ見てからのほうがいいぞ」

森夏「え、そうなの? 見てないと話わからない?」

勇太「別にそんなことはないけど」

森夏「じゃ大丈夫ね」

店員「会員証お返ししまーす」

森夏「そうだ、これ一緒に見ない?」

勇太「一緒にって……どこで?」

森夏「富樫くんの家、ここから近いでしょ」

勇太「まあ、近いっちゃ近いが」

森夏「じゃ決まりね」

勇太「え、でもなんで一緒に……」

森夏「小鳥遊さんも言ってたでしょ、
   みんなでわいわい言いながら見るのが楽しいって」

店員(怪獣映画で自宅デートとか色気なさすぎだろ……でも羨ましい)

勇サマキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

富樫家

勇太「ただいまー」

樟葉「おかえりお兄ちゃん、一緒にキン肉マンマッスルタッグマッチ……」

森夏「おじゃましま~す」

樟葉「お、お、お、お、お、お、お、お兄ちゃ……その人は……」

勇太「ああ、同じクラスの……」

森夏「丹生谷森夏です、はじめまして。突然おじゃましてすみません」

樟葉「え、か、かか、かの、彼女?」

夢葉「うわきものー。わたしとはあそびだったのねー」

勇太「何いってんだよ、ちょっと遊びに来ただけだって」

森夏「そうそう、私が富樫くんと付き合うなんて
   フルータ星人が実在するくらい有り得ないから」

勇太「自分にしか解らない喩え話するのやめてもらえる?」

樟葉「あー、彼女じゃなかったんですか。じゃあどうぞ、おあがりください」

森夏「おじゃまします」

勇太「テレビ使うぞ、樟葉」

森夏「さてと、早速見ましょうか」

勇太「この映画、ゴジラ死ぬんだよなあ」

森夏「あー、なんか覚えてるわそれ。
   ゴジラ死す、ってニュースにもなってたわよねえ」

樟葉「朝のニュースでカウントダウンとかしてましたしね」

勇太「お前らいくつなの? これ17年前の映画なんだけど?」

六花「ゴジラの死が描かれたのは第1作目から実に41年ぶり」

勇太「うわっ!? どっから入ってきた!?」

六花「いつもどおり勇太の部屋の窓から入ったらいなかった。
   リビングから声が聞こえたので来た」

勇太「お前なあ、声くらいかけろよ」

六花「今かけた」

森夏「ちっ……」

勇太「ん、どうした丹生谷」

森夏「ううん、なんでもないのー。じゃあ見ましょうかー」

勇太「ん? おう」

http://www.youtube.com/watch?v=NdBFWIVqOyk

六花「始まった始まった」

勇太「ああ、そういえばバース島の消滅から始まるんだったな」

森夏「バース島? なにそれ」

六花「簡単に言えば平成版の怪獣島」

勇太「その説明はめっちゃ誤解招くからやめろ……
   ゴジラとその子供ゴジラが住んでた島だよ」

森夏「ふーん、ゴジラにも子供がいるのね」

六花「香港上陸」

勇太「ついに海外進出か。感慨深いよな」

六花「海外どころか宇宙にも行ってるけど」

森夏「オキシジェンデストロイヤーっていうのは何なの?」

勇太「初代ゴジラを倒した兵器だよ」

六花「水中酸素破壊剤。
   発明者の芹沢博士はこれが世にでることを恐れ
   製法を闇に葬ってから自分もゴジラとともに死んだ」

森夏「なるほど、やっぱ初代見てから見るのが正解だったわね」

森夏「これがゴジラの子供? あんま似てないわね」

勇太「成長の過程が謎だよなこれ……
   ベビー→リトルに成長した時点で別の生物にしか見えん」

六花「放射能で急成長を遂げるんだから
   多少生物としていびつなのは仕方ない……と思う」

森夏「デストロイア、なんか悪魔みたいになったわね」

勇太「やっと完全体のお出ましか」

森夏「あ、ちょっとジュニアがボコボコにされてるけど……」

六花「ここはさすがに残酷……」

森夏「え、ジュニア死んじゃった……
   あともう爆発寸前のゴジラしかいないじゃない」

勇太「すげえどうでもいいけどメルトダウンのイメージをこの映画で刷り込まれてたから
   福島原発事故のメルトダウンには肩透かし食らったよな」

森夏「現実のメルトダウンも取り返しつかない大事故だっつーの……」

六花「子供を殺されてマジ切れするゴジラ。かっこいい」

森夏「デストロイア自体はあっさり死ぬのね」

勇太「冷凍兵器っていう明確な弱点があるし、
   ゴジラを倒すために生かされてただけだからなー」

六花「ついにゴジラが死ぬ」

森夏「え、本当に死ぬの?
   死にそうになるけどぎりぎり助かりました的なアレじゃないの?」

勇太「ほんとに死ぬぞ」

六花「ゴジラが溶けていく」

森夏「へえ、すごく綺麗ね。対メガロとはなんかぜんぜん違うわ」

勇太「メガロと比べるな……」

六花「これ以上に美しい怪獣の死亡シーンはない」

勇太「何度見ても泣けるな……」グスッ

森夏「あれ? まだなんかあるみたいだけど……」

六花「死の次にあるものは決まってる。そう、復活」

勇太「死んだジュニアがゴジラの放出した放射能を吸収して
   生き返った上に完全なゴジラに急成長を遂げるんだ」

六花「次回作からはこのゴジラが主役……
   と思っていたゴジラファンは当時相当数いたと思われる」

勇太「いやあ、久々に見たけど良かったな。最後のジュニア復活がいい」

森夏「でも冷静に見たら死んだはずのゴジラが復活ってバッドエンドよね」

勇太「なんで女の人ってすぐそうやって現実的なこと言うの?」

森夏「えー、だってそうじゃない。
   芹沢なにがし博士だってゴジラを殺して自分も死んだんでしょ?
   そのゴジラが生きてましたーじゃ博士も浮かばれないわよ」

勇太「それとこれとは違うんだよ」

森夏「何が違うのよ?」

六花「まあ、丹生谷の言うことにも一理ある。
   ゴジラを倒して終わる映画は何作かあったけど、
   『×メガギラス』でも『GMK』でもゴジラが復活、もしくはまだ生きてることを示唆して終わる。
   初代ゴジラでも、『あのゴジラが最後の一匹とは思えない』っていうセリフがあるように
   ゴジラが生き残ってたり復活したりすることは本来ならバッドエンド」

勇太「まあ、たしかにそうだが……」

六花「でも『vsデストロイア』の場合はちょっと事情が違う。
   これは平成シリーズという流れの中にある最終作だから」

森夏「というと?」

六花「同じゴジラのシリーズを何作も続けてきたことで観客はゴジラへの思い入れができてる。
   さらに『vsメカゴジラ』からは子供ゴジラが登場して、その子供ゴジラと交流する人間もいる。
   人間の視点からゴジラに感情移入できるようにもなるし、ついでに子供が生まれたことで
   ゴジラは新たに『親』という属性を得る。親と子のドラマを展開できるようになる。
   つまりゴジラは人間の敵であると同時にジュニアの親であり、
   子をなくした親に哀れみを持ってしまうのはどんな生物であれ同じ。
   デストロイアの残虐性を強調することでゴジラを応援したくもなる」

森夏「はあ、つまりこの映画は
   ゴジラに感情移入させるのが上手かったと、そういうこと?」

六花「簡単に言うとそうなる。
   ゴジラを単なる災害のように描いたり、恐怖性だけを押し出したりせず、
   絶妙のバランスの上にキャラ付けをおこなった結果。
   過去作品からのイイトコ取りといってもいい」

勇太「そういえば、昭和ゴジラも親だよな。ミニラとかいたし」

六花「『怪獣島の決戦ゴジラの息子』では、最後ミニラと抱き合って雪に埋もれる。
   あれも親と子の絆を感じられて感動できる名シーン。
   ついでに言うと『東京SOS』も、初代ゴジラが現ゴジラを抱いて海に沈むラスト。
   まああれは親子かどうかわからないけど、
   この世界に2体しかいない同族がやっと一緒になれた、ってことで泣ける」

森夏「モノ言わぬ怪獣に、いかにドラマ性を与えるかってことね」

六花「そう。平成シリーズが成功したのはそこなんじゃないかと思ってる。
   あとミレニアムシリーズが微妙な結果に終わったのも。
   ゴジラをただの災害としてしてしか描いていなかったから、
   結局観客は人間からの視点でしか怪獣を見られなかった」

勇太「あれなんで毎回初代の続編にしたんだろうな」

六花「さあ。まあバラエティに富んで良かったという面もあるけど」

森夏「え? じゃあこの復活したジュニアが主役の映画は……」

六花「そんなものない」

月曜日 部室

六花「ギャオオオオ」

凸守「都心K地区に怪獣出現! 防衛隊今すぐ出動デース!」

六花「アンギャアアアア」

凸守「右に旋回しつつミサイルで攻撃デース!」

六花「ギャアアアアス」

凸守「くっ、ミサイルが効かない! 怪獣の進行止まらずデース!」

ガラッ
勇太「何をやってんだお前ら」

六花「あ、勇太」

凸守「何って、見て解らないデスか? 怪獣ごっこデース」

勇太「いやそうじゃなくて、そのオモチャだよ」

凸守「これは怪獣のソフビデース。800円で売ってるやつ」

勇太「そのやたらデカいキングギドラも?」

六花「これはモンスターアーツ。こっちはウルトラアクト。ジュワッ」

勇太「なんだそりゃ」

エヴァみたいって書き込むと矢島作戦みたいなのは昔からあるとかなんとか言い始める奴が出てくるんだよな

六花「モンスターアーツはバンダイから発売されてる可動フィギュアのシリーズで
   そのブランド名の通りモンスター系のキャラがラインナップされていて
   今は平成ゴジラシリーズを中心に展開している。ゴジラ、ラドン、モゲラ、メカゴジラ、
   スペースゴジラ、キングギドラ、あとは受注限定でリトルゴジラとゴジラジュニアが出てる。
   2月にはデストロイア完全体、4月にはキングコングの発売が決定している。
   ゴジラ系やキングギドラは酒井ゆうじが原型を担当している」

凸守「ウルトラアクトはバンダイから発売されてる可動フィギュアのシリーズで
   そのブランド名の通りウルトラマンを商品化しているデース。
   初代マンは勿論ゾフィーやエース、平成三部作、マックスやメビウスも出てて
   TVシリーズ主役で商品化が未定なのはもう80とコスモスくらいなのデース。
   あとウルトラヒーロー以外にも怪獣や宇宙人なんかの敵キャラクターも
   商品化されているのがポイントデースね、ゴモラやゴルザ、バルタン星人、
   さらにはマグマ星人なんかも発売されてるデース。エースキラーも発売決定してるデース。
   他にもアンドロメロス、グリッドマンなどの円谷ヒーローを出してくれるのも
   マニアにはたまらないデースね」

六花「あとウルトラエッグっていうのもある、
   こうタマゴ型になってるのを展開するとウルトラ怪獣になる、
   往年のタマゴラスみたいな感じ。ほら見て結構可愛い」

勇太「体型はデフォルメなのに顔だけリアルでキモいんだが」

凸守「最初発表された時は誰得だよと思ってしまったデスが、
   割りと売れてるみたいで関連商品も続々発売されてるデースね」

六花「ウルトラマン列伝の効果かな。1個945円で好評発売中」

勇太「何なのお前ら、バンダイの回し者?」

くぅ~疲れました
保守頼みます

>>154
帰ってきたウルトラマンのプリズ魔とかだな
http://www.nicovideo.jp/watch/sm8693200
ニコですまんがまんまヤシマなシーンがあるぞ

>>153だった

六花「別に回し者とかではない。好きなモノを応援するのはファンの義務」

勇太「さいですか」

六花「特にモンスターアーツには続いてもらわなければならない。
   ウツノイクサガミが本当に商品化されるその日まで……」

凸守「マスター、残念ながらそんな日は永遠に来ないと思うデース」

六花「くっ、公式サイトのアンケートで毎回リクエストしてるというのに!
   まだ私の愛が足りないのかっ……」

勇太「よく分からんが大変だな」

ガラッ
森夏「やっはろー」

勇太「おーっす」

森夏「おお、このオモチャの山は何?」

六花「ほら見て丹生谷、ウルトラエッグ」

森夏「へえー、なにこれ可愛い。ガイアの怪獣はないの?」

六花「ガンQがある、ほら」

森夏「おー、キモーイ。可愛いー」

勇太「か、可愛いか……?」

六花君! ワイもヤマトタケル見まくっとるで!

ガラッ
くみん「おはよー、遅れてごめんね~」

凸守「これで全員揃ったデスね」

勇太「なんか一人だけナチュラルにハブられてる気がするんだよな」

六花「ウルトラエッグの話で盛り上がったところだし、
   今日はウルトラマンの映画を見ようと思う」

森夏「おっ、いいわね」

勇太「そういやウルトラマンってまともに見たことないな」

くみん「私も~。で、何見るの?」

六花「『大怪獣バトルウルトラ銀河伝説』にした。
   ウルトラマンサーガと迷ったけど、ウルトラマンをよく知らない人も多いし」

森夏「あ、サーガって知ってる。AKBが防衛軍やってたやつでしょ?」

勇太「AKBが防衛軍って……どうなんだよ」

六花「そういう先入観を逆手に取った見事なシナリオだった。
   公開前からキャスティングを不安視する声は大きかったけど
   いざ公開されたらそういった意見は殆ど聞かれなくなったのは印象的だった」

凸守「DAIGOの主人公も意外に良かったデースね」

六花「まあサーガの話は今はいい。ウルトラ銀河伝説を見る」

http://www.youtube.com/watch?v=40_mOaffnPU

六花「始まった」

勇太「おお、なんかいきなりカッコいい……」

森夏「これなんていうウルトラマン?」

六花「ウルトラマンメビウス。公開時では最新のウルトラマン」

森夏「なんかすごいスタイリッシュね、戦い方が」

六花「この映画ではずっとこんな感じ」

『覚えているだろうか?かつて地球を守った私達のヒーローの事を……
 ウルトラマン、ウルトラセブン、ウルトラマンジャック(以下略)』

くみん「ウルトラマンっていっぱいいるんだね~」

六花「この映画では光の国のウルトラマンが総登場する。
   全編通して活躍するのはちょっとだけなんだけど」

森夏「ガイアは? ガイアとアグルは出ないの?」

六花「ガイアは光の国出身じゃないから」

森夏「あ、そう……」

凸守「同じ平成三部作のダイナは出るんデスけどね」

くみん「おー、これがウルトラマンの星なんだー」

凸守「レオの時代に比べてかなり発展したデースね」

六花「あれは黒歴史だから……」

森夏「この黒いウルトラマンが悪役?」

勇太「なんかいっぱいウルトラマンが出てきてよく分からんな?
   これ全員名前ついてるのか?」

六花「名無しのモブキャラが大半だけど、名前あるのもいる」

森夏「へえ、どれ?」

六花「これがウルトラマンゼノン、ウルトラマンマックス、こっちがユリアン、
   あとパワード、ボーイ、チャック、スコット、それからヒカリ、
   それでこっちが……」

森夏「やっぱり集中できないからいいわ」

勇太「こんな目まぐるしく動いてるのに全員の顔判別できるってどんだけだよ」

くみん「でもこのベリアルってすごく強いね~」

森夏「みんな負けちゃってるじゃない」

六花「ちなみに声は宮迫博之」

勇太「へえ」

『いけ、ゴモラ!』

森夏「あれ、なんかいきなりポケモンみたいになってるけど」

六花「これはもともと大怪獣バトルっていうゲームの映画だから。
   ついでに言うとポケモンの元ネタはウルトラセブンのカプセル怪獣で
   原題もそのものずばり『カルセルモンスター』だったりした」

凸守「ポケモンを逆輸入したのが大怪獣バトルデースね」

森夏「へえー、色々あんのね」

勇太「こういうの見てると普通に怪獣映画って感じだな。
   さっきまではウルトラマンの大群がスタイリッシュバトルしてたけど」

六花「背景は全部CGだけど、怪獣やウルトラマン自体は全部着ぐるみだから」

森夏「あ、今のドロップキック『ゴジラ対メガロ』で見た」

勇太「いいかげんメガロから離れろ……」

森夏「そんでこのポケモンマスターとウルトラマンメビウスが協力して
   ウルトラマンベリアルをやっつけるのね」

六花「後からウルトラマンダイナやレオ兄弟、ウルトラマンゼロも合流する」

凸守「キングも戦うべきだと思うデース」

六花「あんまり役に立たなそうな気もする」

『ウルトラの星の戦士たちよ……我々は正義の心を取り戻し
 再びここに立ち上がった……』

森夏「ウルトラマンキングの演説で締めなのね」

六花「ちなみに声は小泉純一郎」

森夏「え、マジ?」

勇太「まさにキングだな……」

くみん「じゃあウルトラマンエンペラーとか出たら天皇陛下が声を……」

勇太「多分永遠にないと思います」

六花「エンペラーっていう単語は敵側で使っちゃったから
   ウルトラマン側では出てこないと思う」

勇太「そういう問題ではない……」

森夏「てゆーかまだベリアル生きてるんじゃない」

凸守「ベリアルとの決着は次回の『ベリアル銀河帝国』に続くデース」

森夏「ふーん、そっちも見たいわね」

六花「それはまた今度。銀河伝説はどーだった?」

勇太「うーん、そうだな。ウルトラマンって地球で戦うイメージしかなかったから
   なんか新鮮だったな」

六花「こういうスペースオペラ的なウルトラマンは
   内山まもるの漫画とか、映像作品では『ウルトラマン物語』とかがあった。
   だから特別斬新ってわけでもないけど、原題の技術で作ったのが良かったと思う」

凸守「逆に『地球での戦いも見たい』とか言われたりもしたデスけどね」

六花「多分、それも『銀河伝説』の出来が良かったから。
   このレベルの特撮で従来通りのウルトラマンを見たいってこと」

森夏「確かに凄かったわね、なんかハリウッド映画みたいだった。
   怪獣モノの特撮ってもっと重量感あるイメージ、っていうか、
   こんなスピーディーに戦うもんじゃないと思ってた」

六花「実際、ハリウッドとタメはれるレベルを目指したらしいし」

勇太「なんか俺もウルトラマン見たくなってきたな。オススメはどれだ?」

森夏「ガイア」

勇太「お前には聞いてねえよ……」

六花「最初に見るならやっぱり初代かティガがいい。ガイアも良いけど。
   DVD持ってきてるから貸す」ガサゴソ

勇太「だからなんでDVD持ち歩いてんだよ……」

六花「勇太にはもっと色々見てもらいたいから、色々紹介するために。
   まだ性の6時間も始まっちゃいないし」

勇太「何の話だ」

銀河伝説ほど一般受けするウルトラ映画もそうそうないだろ

8兄弟はてっきり一般受け狙うもんだと思ったら無駄にノスタルジーに傾倒しちゃって・・・
そこらへんは円谷の良いとこであり、また円谷の現状を創りだしてしまった悪癖でもあるな

富樫家

『貴様は宇宙人なのか? 人間なのか?』

『両方さ。貴様のような宇宙の掟を破る奴と戦うために生まれてきたのだ』

勇太「…………」

樟葉「お兄ちゃん、またゴジラ見てるの?」

勇太「馬鹿よく見ろ、ゴジラじゃなくてウルトラマンだ」

樟葉「どっちでもいいよそんなの……
   てゆーかなんで今更そんなのに夢中になってるの?」

勇太「い、いいだろ別に……男はみんな怪獣が好きなんだ」

樟葉「はーあ、ダークフレイムマスターを卒業したと思ったら
   今度は特撮オタクか……先が思いやられるなあ」

勇太「樟葉には関係ないだろ」

夢葉「ゆめはもうるとらまんすきー」

勇太「おー、分かってくれるのは夢葉だけだ、うんうん」

樟葉「夢葉に変なこと刷り込まないでよ?」

夢葉「早くパワードとグレートのDVD出ないかな」

翌日 部室

勇太「おーっす」

凸守「ぐっ、このっ、なかなかやるデースね!」

六花「これくらい余裕。凸守が弱いだけ」

凸守「ぐぬぬぬー……」

くみん「デコちゃん頑張れ~」

勇太「今日は何をやってるんだ……」

凸守「ぱっと見てわからないとはさすが腐れ一般人……
   『ウルトラマンファイティングエボリューション3』以外のなんだというんデース」

勇太「学校にゲーム機持ってくる奴とか始めて見たぞ」

六花「そう? クラスの男子がよく休み時間にゲームしてる」

勇太「ありゃ携帯ゲーム機だろうが。お前らが今やってるのはPS2だ、据え置き機だ」

六花「最近のは小型で軽いし、余裕で携帯できる。問題ない」

勇太「確かにPS2は薄型だけど、こっちのゲームキューブは……」

凸守「取っ手があるから余裕で携帯できるデース」

勇太「馬鹿かお前……」

六花「4人揃ったから丹生谷が来るまでゲームして待とう」

勇太「これ4人でもできるのか?」

六花「FE3は2人用だから、こっち。『ゴジラ怪獣大乱闘』」

くみん「おー、ゴジラー」

勇太「なんか怪獣のグラフィックがキモいな」

凸守「アメリカ製デスからねー」

六花「中身もアメリカっぽい大雑把なゲーム」

勇太「褒めてんのか?」

六花「みんなでわいわい言いながらやるのが楽しいってこと」

勇太「そればっかりだなお前……」

六花「とにかくやろう。
   PS2はマルチタップ持ってきてないから、ゲームキューブ版で」

勇太「PS2のとどう違うんだよ?」

六花「ゲームキューブ版の続編がPS2版」

凸守「なんで続編でハード変えるんデスかね……当時私GCしか持ってなかったデスよ……」

勇太「なんか恨みごと言ってる奴がいるぞ」

勇太「これどういうゲームなんだ?」

六花「簡単に言うと格闘アクションゲーム。
   コマンドを入れて技を出して、相手を攻撃する」

くみん「私そういうゲームあんまり得意じゃないんだよねー」

六花「大丈夫、技の出し方はスマブラより単純だから」

勇太「本当に大雑把なゲームだな」

凸守「ほら、ボサッとしてないでキャラを選ぶデース」

勇太「キャラ11体しかいないのか」

六花「PS2版だともっといる。ジェットジャガーとか」

くみん「私アンギラスにしよっと」

凸守「凸守は機龍をいただくデース」

勇太「どれが強いんだ?」

六花「デストロイアか、機龍か、メカキングギドラ。
   特にメカキングギドラは相手を麻痺させたりエネルギー吸収できたりする」

凸守「まあなんだかんだ言っても一番強いのは
   そのへんに建ってるビルを拾って相手にぶつける攻撃なんデスけどね」

勇太「ほんっとうに大雑把なんだな……」

勇太「そういやモスラがいないな」

六花「モスラはお邪魔キャラで出てくる。私はラドンにする」

勇太「じゃあ俺メガロ」

凸守「メガロ好きなんデースか?」

勇太「うん何かお前らのせいで好きになりそう」

六花「じゃあ始めよう」

勇太「メガロvsアンギラスvsラドンvsメカゴジラか。
   映画にしても売れなそうだな」

くみん「どーやって操作するの?」

六花「Aでパンチ、Bでキック、Xで尻尾攻撃。
   スティックを倒した方向によって攻撃が変わる。
   AB同時押しで投げ、Zボタンで貯めてビーム。
   それだけ覚えてれば勝てる」

勇太「なんて初心者に優しいゲームなんだ……」

凸守「おらっ、何ボサッとしてるデスか! ミサイルを喰らえデース!」

勇太「うおっやべえ、いきなり体力持ってかれた」

くみん「メガロvsメカゴジラって絵的にすごいシュールだよねー」

5分後

勇太「くっ、負けた……ラドンの飛ぶスピード速すぎだろ……」

六花「メガロも地中に潜れば高速で移動できる」

勇太「そんなことできたのかよ、先に言えよ」

六花「あんまり色々言うと混乱するかなと思って」

勇太「メカゴジラも強い技多すぎだし……」

凸守「凸守に機龍使わせたら右に出るものはいないデース」

六花「もう一戦やる?」

勇太「まともにやっても勝てなさそうなんだけどなあ」

凸守「じゃあ、例のアレを使うデース」

勇太「なんだよ、例のアレって……」

六花「チートコード」

勇太「そんなんあんのか、流石アメリカ製だな」

凸守「とりあえず『全ビル投げ放題』と『常時パワーアップ状態』でいいデースか?」

勇太「嫌な予感しかしないな……」

凸守「ふははははは、連続アブソリュートゼロを喰らうデース!」

勇太「させるか、くらえ大阪城!」

凸守「なんの、こっちは大阪ドームを投げ返してやるデス!」

くみん「わー、観覧車も持てるよ~」

六花「確かその観覧車の下に海遊館が建ってる」

勇太「つーかメガロの必殺技地味すぎだろなんだこれ」

六花「光線乱射するだけのラドンに比べたらマシ……」

くみん「わー、デストロイアの必殺技すごいよー」

凸守「ちょ、やめるデス! し、死ぬデス! 一歩も動けないデス!」

六花「必殺技使い放題にしてデストロイア使ったらハメて勝てる」

勇太「雑な勝ち方だな……」

凸守「ううう、凸守が最下位で終わってしまったデス……」

森夏「終わった?」

勇太「うわっ、いつからいたんだ!?」

森夏「大阪城投げてたあたりから」

六花「丹生谷が来たのでゲームはもうやめる。
   早速なにか見ようと思うんだけど」

勇太「今日は何を用意してるんだ?」

六花「何も用意してない。何がいい?」

森夏「ガメラ。ガメラ見ましょうよ」

くみん「おおー、いいねー。
    前に見たガメラ2、すっごく面白かったもんねー」

六花「分かった。じゃあガメラにする」

勇太「で、どっち見るんだ?」

六花「どっち、って?」

勇太「いや、この前レギオン襲来見ただろ。
   今日は大怪獣空中決戦か、イリス覚醒のどっち見るのかなって」

凸守「お前は馬鹿デスカ。ガメラは平成三部作しかないと思ってるんデスカ?」

六花「凸守の言うとおり。
   勇太の腐った偏見を叩きなおすために、
   今日はみんなで『小さき勇者たち~ガメラ~』を見る」

勇太「なんでよりによってそれなんだよ……」

森夏「え、ダメなの?」

勇太「公開当時見に行ってすげえガッカリした覚えがあるぞ。
   平成三部作みたいなのを期待してたのに」

六花「期待はずれだったからってダメ認定するのは横暴」

森夏「ていうか富樫くんのダメ認定ってアテにならないわ。
   ゴジラ対メガロも別にそこまで悪いわけじゃなかったし」

勇太「ぐぬぬ……」

六花「確かにマニア受けするハード&リアルな平成三部作とは違って
   小さき勇者は大きく路線変更してはいるけど、別につまらないわけじゃない」

凸守「批判意見も大半が『平成三部作っぽくないから』デスからねー」

六花「主人公を子供にして、その父親もメインキャラに据え、
   ファミリー向け映画にしたことは間違いじゃない。
   マニアにしか受けないもの作ってもしょうがないし」

勇太「一般層にも受けたわけではないと思うが……」

森夏「何、コケたの?」

六花「……制作費15億円に対して、興行収入5億」

森夏「うわあ……」

六花「で、でも視聴者にとって予算がどうとか赤字だとか関係ない。
   売れない作品だって良いものはいっぱいあるって誰でも知ってる。
   というわけで早速見よう」

http://www.youtube.com/watch?v=qjH0aWsVpZU

くみん「おー、いきなりガメラが……」

勇太「このガメラはかっこいいんだけどな~」

森夏「これは他のガメラシリーズとは関係ないのよね」

六花「うん、独立した話」

凸守「ガメラはゴジラと違って第1作目すらも切り捨てるデスよね」

勇太「あ、自爆した」

くみん「このガメラは人間に味方してるの?」

六花「さあ。でも人間のほうはガメラに救われたと思ってる」

『透~、いるよね?』

『何?』

『なんかテンション低いな~、じゃあこれでどうだ!』

勇太「あ、夏帆だ」

森夏「何、好きなの?」

勇太「いや別に……」

くみん「あ、亀が生まれた」

森夏「この亀がガメラに成長するってわけ?」

六花「まあそんな感じ」

凸守「育てよ!カメ、デースね」

勇太「ごめん解らないから反応できない」

くみん「なんか可愛いね、本当にガメラになるの?」

六花「ガメラって言っても、平成三部作みたいな怖いガメラじゃない。
   あくまでこのカメが成長を遂げた姿だから」

勇太「それもどーなんだろうな……
   平成三部作はカメが存在しないっていう設定だったんだよな確か」

凸守「そうデスね、そうやってガメラを未知の存在にしてたデスけど。
   小さき勇者では反対に子供の手で育てたカメってことにして
   親近感を持たせることにしてるデース」

『ちょっと、何よ今の……』

『どーすんのこれ』

勇太「おお、パジャマ姿の夏帆」

森夏「やっぱ好きなんでしょ? ねえ」

凸守「そろそろジーダスの出番デースね」

勇太「あー、確かこんなんだったな」

六花「いつ見てもかっこいい」

『カツヤーっ!』

『見るなっ!』

『お前らは絶対ここ動くんじゃないぞ……』

くみん「うわあ、人食べてるよ……ううう」

森夏「どこが子供向けよ……めっちゃくちゃハードじゃない」

勇太「へ、平成三部作のほうがハードだったから……(震え声)」

くみん「ガメラも出たよ」

森夏「でもやっぱりまだ小さいわね」

凸守「橋での戦闘がまたいいんデスよね」

六花「ガメラもジーダスも他の映画の怪獣に比べて一回り小さい。
   だからこういう建造物を生かした戦いが見られるのが良い」

森夏「おー、ゼロ距離火炎攻撃……」

くみん「ちっちゃいのにすごいねー」

『お父さん!』

『いけ、透!前だけ見て走れ!』

森夏「これいいわね、ジーダスがビルの外壁をよじ登るの」

六花「うんうん、こういう新しい絵面を見られるからこの映画は良い、んだよ勇太」

勇太「はいはい……」

『死んじゃうなんて嫌だよ……』

『大好きなのに、死んじゃうなんて……』

『もう、そんなの嫌だよ……』

くみん「うう……ガメラまた自爆しちゃうの……?」グスッ

森夏「ここまできて自爆はないわよ」

六花「やはり最終決戦は燃える」

勇太「ガメラのアホづらのせいでイマイチ燃えられないんだけど」
   参考画像http://nagamochi.info/src/up123212.jpg

くみん「えー、かわいいよー」

『さよなら、ガメラ……』

くみん「あ、終わっちゃった……」

六花「どうだった? くみん」

くみん「面白かったよ~。ガメラ2とは違う感じだったけど、
    子供が育てた怪獣が戦うっていうのが良いと思った」

六花「丹生谷は?」

森夏「良かったと思うわ。子供だけじゃなくて大人の視点もあったのが良いわね。
   あと自衛隊とか防衛軍がほとんど出番なかった分、
   一般市民からの目線で怪獣との戦いを見られたわ」

六花「勇太は?」

勇太「終盤の赤い石リレーが胡散臭かった」

六花「却下」

勇太「なんだよ却下って! せめてちょっと反論して!」

六花「ガメラ2で人の祈りでガメラが復活したのを良しとして
   赤い石リレーがダメだっていうのがよくわからない」

勇太「子供ばっかりだったから嘘っぽく見えたのかも知れないな。
   ガメラ2の方はほら、大人から子供までいただろ」

森夏「子供の方が純粋な生き物なんだから、子供だけの方がいいんじゃない?」

くみん「あそこで大人が居ても余計嘘っぽくなるだけだよ~」

勇太「俺に同調してくれる人いないのかよ……」

どうも勇太の意見が作者の意見臭いぞ~w

くみん「このガメラは続編はなかったの?」

六花「大赤字だったから……」

森夏「やっぱ怪獣モノって売れないのかしらね」

六花「もう時代にそぐわないもかも知れない。
   これは2006年に公開されたんだけど、
   現状ではまともな怪獣映画はこれ以降日本では作られてない」

くみん「世知辛いねー」

凸守「でもガメラ50周年に向けて何かの企画は動いてるみたいデス」

勇太「ほー、そりゃ楽しみだな」

森夏「アンタもう怪獣映画見る目ないから見なくていいわよ」

勇太「なんでそこまで辛辣に扱われなきゃいけないんだよ……」

六花「日本ではもう怪獣映画は作られてないけど、
   アメリカの方では色々新しいのが出てきてる」

勇太「アメリカの怪獣映画って言うとハリウッド版ゴジラしか思い浮かばないな」

六花「ま、それ以外にも色々ある。明日持ってくる。
   あとハリウッド版ゴジラをマグロネタでからかう人は許さない」

勇太「いいだろ別にそれくらい……」

ジラはあれ、『モンスター』だけど『怪獣』って感じじゃなかったからな
人間でも対抗できちゃう。機龍とかなくても超人とか勇気が勝てる

>>238
>人間でも対抗できちゃう。機龍とかなくても超人とか勇気が勝てる

GFW「・・・」

富樫家

勇太「ふああ、そろそろ寝るかな」

樟葉「お兄ちゃん、一緒にエキサイトトラック……」

勇太「えー、もう寝るところなんだけど」

樟葉「あ、そう……最近付き合い悪いよね。
   なんかよく分かんない特撮とかにもハマってるし」

勇太「特撮は関係ないだろ。お前も早く寝ろよ」

樟葉「はいはい」

勇太「ったく…………」

勇太「…………」

六花「勇太!」ガンガン

勇太「うわっ、びっくりした!」

六花「開けて」

勇太「どうしたんだよこんな夜中に……寒いだろ」

六花「どうしても済ませたい用事があって」

勇太「な、なんだよ」

六花「最近のことなんだけど……勇太やくみんや丹生谷が特撮に興味を持って、
   みんなで色々見るようになった」

勇太「それがどうしたんだ?」

六花「それより前の私たちは邪王真眼とDFMの契約によって結ばれていた。
   でも最近はなんていうか……そこに丹生谷やくみんも入ってきたというか」

勇太「何が言いたいんだよ?」

六花「ゆ……勇太との特別な関係が、特別じゃなくなってきてる感じ」

勇太「特別な関係……ってお前、何言って……」

六花「だから、その……今日は勇太との関係を再構築するため……
   私の大事なものを勇太に渡しに来た……」

勇太(と、ととと特別な関係って……もしかしなくてもそういう意味だよな……
   それに大事なものを渡すって……関係を再構築って……やっぱ……)

六花「そう、これが私の大事な……」スッ

勇太「DVD?」

六花「フランケンシュタインの怪獣サンダ対ガイラ。
   名作。勇太にあげる」

勇太「……お、おう。それだけか?」

六花「え? うん」

勇太「はあ……一瞬でも期待した俺が間違ってた」

六花「何の話?」

勇太「いや……なんでもない」

六花「とにかく私のフェイバリットムービーを共有しあうことで
   私と勇太の関係は以前のように特別なものになった」

勇太「そうかい、そりゃよかったな」

六花「見る時は一人で見るように。大事な映画だから」

勇太「わかったよ」

六花「それから、このことは丹生谷やくみんには内緒で」

勇太「はいはい」

六花「絶対内緒。いい?」

勇太「そんなに念押ししなくても言わねーよ」

六花「ん……それならいい」エヘヘ

勇太「ん、どうした?」

六花「な、なんでもない。帰る。おやすみ」

勇太「はいはい、おやすみ」

翌日 部室

六花「ベムラー、スフラン、ゼットン、ミクラス、メフィラス、ウィンダム、恐竜戦車」

凸守「最後はアイアンロックスのほうが語呂いいと思うデス」

勇太「今日は何をやってるんだよお前ら」

六花「いや、『ポケモン言えるかな?』のウルトラ怪獣版を作れないかなって」

勇太「何その無駄な努力」

凸守「問題は150枠じゃ圧倒的に足りなすぎるということデスかね」

勇太「何パターンも作ればいいんじゃないのか」

ガラッ
森夏「やっはろー」

凸守「お、きたですね偽サマー」

ガラッ
くみん「おはよー」

勇太「こんにちは先輩」

ガラッ
一色「うーっす」

六花「ぶ、部外者!」

一色「部外者!? た、確かに最近は来てなかったけど
   それだけで部外者扱いは酷くないか!?
   俺だって一応この極東魔術ナントカの会のメンバーだろ」

六花「そんな部活はもう存在しない」

一色「えっ」

凸守「表の表札をよく見るデース」

一色「どれどれ……何、特撮研究部!?」

六花「そう。もう極東魔術昼寝結社の夏という部活はこの世にはない。
   あるのは特撮を愛し特撮に溺れ特撮に人生を捧げた者が集うこの特撮研究部のみ」

勇太「お前どんだけ特撮に人生かけてんだよ……」

一色「特撮なら俺も好きだぞ、仮面ライダーとか戦隊とか見てたしな。
   ライドル風車、なんかよく真似したわー」

六花「やっぱ部外者……」

凸守「部外者デスね……」

一色「え? なんでだよ、何がいけないんだ!?
   おい勇太、こりゃどうなってんだ!?」

勇太「残念ながらオタクこじらせた奴はこういう排他的な性格になる。諦めろ」

一色「ひでえ!」

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