末原「こ、これが力なのか……!!」洋榎「どうしたんや恭子……」(143)

   全国大会会場にて

実況『試合終了!清澄と姫松の準決勝進出が決まりました!』

姉帯「うわああああああん!!負けちゃったああああああああああ!!」ポロポロ

霞「ふぅ疲れたわ……」

咲「お疲れ様でした」ぺっこりん

姉帯「うわあああああああああああああああん!!」ボロボロ

末原「……」

咲「また一緒に打とうね!」

姉帯「う、うん……」グジュ

末原「……」トコトコ

  姫松高校控室にて

末原「ただいま戻りました」

洋榎「ごくろうさんやで!」

絹恵「お疲れ様です!」

由子「おつかれなのよー」

漫「すごかったですやん先輩!」

末原「そ、そうですか?」

洋榎「ナイス闘牌や!これで5年連続でベスト8や!」

末原「1位でバトンをもらったのに2位で終わって申し訳ないですね」ニタニタ

洋榎「かまへんかまへん!あの面子で2位は上等や!」

末原「えへへ……」テレテレ

  ガチャン

赤阪「アミダくじ~アミダくじ~ひいて楽しいアミダくじ~♪」

絹恵「あ、代行」

赤阪「すっえはらちゃ~ん準決勝進出おめでと~」

末原「あ、ありがとうございます!」

赤阪「まさかあの面子で準決勝行けると思わなかったで~、ヒヤヒヤものやったわ~」

末原「ハラハラさせて申し訳ありません」

洋榎「でも勝ったからええやーん」

由子「そうなのよー」

赤阪「勝ったには勝ったけどホンマええのん末原ちゃ~ん?」

末原「え?なにがですか?」

赤阪「あの倍満は宮永さんのおかげやで~、末原ちゃんはあの子の手のひらで踊らされたんやで~
   なにか思うことないんすっえはらちゃ~ん」

末原「別に無いですけど……」

赤阪「え、ホンマに気にしてないん?!」

末原「ええ、まぁ」

赤阪「で、でも末原ちゃん!今回は勝ったやなくて勝たせてもらったんやで!悔しいとか思わないん?!」

末原「思いませんね、まぁ運が良かったなぁとは思いますけど」

洋榎「ラッキークッキーお好み焼きや!」

漫「そこはもんじゃ焼きでしょ」

洋榎「あんなゲボみたいなんどこがええんや!」

絹恵「汚いよお姉ちゃん……」

末原「そうだみなさん、準決勝進出のお祝いとしてもんじゃ焼きを食べに行きましょうよ、わたしがおごりますよ」

洋榎「ホ、ホンマか恭子!」

絹恵「先輩太っ腹!」

漫「ゴチになります!」

末原「ほな行きましょうか」

赤阪「す、末原ちゃん……!宮永咲を勝つための方法があるんやけど……!」

末原「間に合ってます、麻雀は時の運です、次こそは圧倒的に勝ってみせますよ」

赤阪「そ、そう……」

  もんじゃ焼き屋にて

漫「ンマーイ!」ハッシュハッシュ!

末原「うん、なかなかいけますね」モグモグ

絹恵「いくらでもいけるね!」モグモグ

由子「初めて食べるけど美味しいのよー」モグモグ

洋榎「ま、まぁお好み焼きには負けるけどなかなかやな……」モグモグ

漫「ハムッ、ハフハフ、ハフッ!!」

洋榎「漫!がっつきすぎや!少しは遠慮というものをやな……」

漫「しょうがないですやん、こういう美味いもんこういうときぐらいしか食えへんのですから……」

末原「どんどん食べてください、何ならおかわり注文しますよ」

漫「ホンマでっか!やったー!!」ハッシュハッシュ!

由子「このパリパリも美味しいのよー」パリパリ

  2時間後  宿舎への帰り道にて

洋榎「ああ食った食った!最高や!」

絹恵「満腹やね」

漫「ううう……気持ちが悪い……」

由子「食べ過ぎなのよー」

洋榎「見境なく食べるからこうなるんやで」

漫「すんません……」ウプッ

末原「準決勝のあともみんなで食べに行きましょう、もちろん決勝進出を記念して!」

洋榎「そうやな!また清澄のあいつに格の違いを見せつけたるで!」

漫「元中日の台湾人ですか……」

洋榎「その郭ちゃうわ!」

末原「ふふふ……」

絹恵「宿舎に着いたでー」

由子「ふぁああ、眠いのよー……」

  宿舎にて

洋榎「ていや!」シュッ!

漫「ギニヤ!!こういうとこの枕は固いからやめてくださいよ!」

洋榎「こういうとこでの枕投げはお約束やーん、ほれ絹!」ビュッ!

絹恵「えい!!」スパッ!

洋榎「おおナイスキャッチや、藤ヶ谷ばりの好セーブやん」

漫「それて褒めてないですやん……」

由子「のよー……のよー……」ムニャムニャ

末原「主将、もう由子が寝てますし静かにしましょう」

洋榎「そ、そうやな、ほな寝よかー」

末原「電気消しますよ」カチャ

絹恵「お姉ちゃん……」ガサゴソ

洋榎「なんやまたうちの布団に入ってくるんか、絹は甘えん坊やなぁ」

末原「漫ちゃん」

漫「入ってこなくていいですよ」

洋榎「ぐがーぐがー」

絹恵「お姉ちゃん……」ギュー

漫「く、苦しい……」

由子「のよー……」ムニャムニャ

末原「ZZZ……」

洋榎「イチロー帰ってきてや……」ムニャムニャ

絹恵「お姉ちゃん……浮気は許さんで……」ギュギュギュー!

漫「痛い……痛いです……」

由子「のよー……のよー……」

末原「ZZZ……ん……」カッ

末原「ううん……トイレ……」スクッ

丑三つ時、末原恭子はふと眼を覚ました

末原「ふぁああ……」トコトコ

  廊下にて

末原「ふぁああ……」トコトコ

末原「喉が渇いたな……」チャリン

  ガチャコン

末原「うん……」ゴキュゴキュ

末原「ぷはぁ!やっぱコーラは罐に限りますね」

  シーン・・・・・・

末原「やっぱ夜のホテルは静かですね、みんな寝てるんでしょうな」

末原「ん……」ゴキュゴキュ

末原「さてと……」カランコロン

コーラの罐をゴミ箱に放る

末原(わたしももうひと眠りしますか……)

自分たちの部屋へ戻ろうしたそのとき・・・・・・!!

『―――末原、末原よ……』

末原「え……」

『この声が聞こえるか末原よ……』

末原「だ、だれや!わたしを呼ぶのはだれですか!」

『屋上へ来るのだ末原よ……』

末原「何故ですか!あなたはいったい……!」

  シーン・・・・・・

末原「……」

末原「何やったんやいったい……幽霊か?」

末原「……」

末原「取りあえず屋上に行ってみるか……」トコトコ

どこからともなく聞こえてきた声に導かれ末原は屋上へと赴くのであった

末原(行っても大丈夫やろか……しかし……)

危険だとは思っても気になってしかたがない、見えない力で引っ張られているようであった

末原「……」トコトコ

  カツン・・・ カツン・・・ カツン・・・

末原「……」

   ガチャン

末原「う……」

湿っぽい東京の風が末原の体に吹きつける……!

末原「だれですか?わたしをここへ呼んだのは……」トコトコ

末原「どこにいるんですか……出てきてくださいよ……」キョロキョロ

  シーン・・・・・・

末原「どこや……」キョロキョロ

屋上全体を見回すが人はおろかねずみ一匹いなかった

末原「なんやだれもいないやん……気のせいか……」

末原「あ!あの代行のいたずらやな!きっと隠れてわたしをここまで寄こしたのでしょう!してやられましたね!」

末原が屋上を後にしようとした、そのとき……

末原「うわっ!なんやなんや!」

まばゆいばかりの光が突如として末原の目の前に現れたのだ……!

末原「なんやこの光は……!」ヨロヨロ

『―――末原よ……』

末原「だ、だれや!そこ光の中にりのはだれや!」

『落ち着け末原よ……』

末原「漫ちゃんやな!こんないたずらして何が楽しいんや!怒りませんからさっさと出てきてください!」

『末原よ怖がらなくていい……私は宇宙からの使者だ……』

末原「う、宇宙からの使者?なんやそれ……やっぱ夢見てるんやろか……」

『夢ではない末原よ、私はお前に力を授けにきたのだ……』

末原「力?!」

『そうだ、宮永咲を倒すための近力だ―――!!』ピカーッ!

末原「な……!」

その刹那、光が末原を包んだのだ……!

末原「なんやこれは……力が……力が湧いてくるで……そうや……これで宮永咲に勝てる……
   もう悔しい思いをしないで済むんや!」

末原「フフフ……ハハハハハハハハ!!!!!!!」

末原の笑い声が夜の東京に響いたのだった……

  そして数日後  準決勝当日 姫松高校控室にて

洋榎「ああもうとうとう恭子は戻ってこなかったで!」

絹恵「どこに行ったんやろな……」

漫「やっぱ宮永咲に負けたのがきつかったのかもしれませんね……」

由子「ああやって気を紛らわせてたのかもしれないのよー……」

洋榎「代行はまだ帰ってこないんやろか……」

絹恵「必ず末原先輩を探してきてくれるハズや……多分」

漫「いったいどこまで行ったんですか代行は……」

由子「八甲田山に行くって言ってたのよー」

漫「なんでまたあんなとこに……」

洋榎「ああもう始まるで!早く行き漫!」

漫「は、はい!」

  数時間後

絹恵「みんなごめん……」ポロポロ

洋榎「泣くことあらへんやんようやったって!」

由子「そうなのよー大健闘なのよー!」

漫「原村、ダヴァン相手によくやったと思うで」

絹恵「みんな……」

洋榎「このあとは必ず恭子が仇を討ってくるハズや!安心し!」

絹恵「お姉ちゃん末原先輩は……」

洋榎「あ、そうやった、いないんやったな……」

由子「とうとう時間が来てしまったのよー……」

漫「ホンマどこいったんですかね……」

由子「やっぱ警察に通報したほうがいいのよー……」

洋榎「取りあえず今日の試合が終わっても帰ってこなかったら警察に知らせよか……」

漫「まさか警察沙汰になるとは……」

絹恵「いったいどこにいったんやろ先輩……」ポロポロ

洋榎「絹……」

絹恵「うちもう麻雀のことなんてどうだって良い……末原先輩が無事でいてくれるなら……」ボロボロ

由子「絹ちゃん……」

洋榎「ああもう恭子いまにおるんや!」

  ガチャン

赤阪「お、おまたやで……」ブルブル

洋榎「代行!」

赤阪「遅れてごめんな……」ブルブル

絹恵「どうしたんですか代行!体中氷まみれやないですか!」

赤阪「八甲田山まで行ってきたんや……凍え死ぬかと思ったで……」ブルブル

漫「ホンマに八甲田まで行ってきたんですか……」

赤阪「でもなんとか末原ちゃん見つけてきたで……」

洋榎「恭子は!恭子はどこにいるんや!」

赤阪「も、もうすぐ来るで……」ブルブル

  カツン・・・ カツン・・・ カツン・・・

洋榎「いったいどうなったんやろ……心配やで……」

赤阪「あ、新しい末原ちゃんのお披露目やで……はっくしゅん!」

  ガチャン

末原「……」

洋榎「あ!恭子!」

絹恵「せ、先輩?!」

由子「の、のよー!?」

漫「え……」

赤阪「どうや……おかしいやろ……」ブルブル

そこでみんなが見たものは……

末原「遅れて申し訳ありません、ただいま戻りました」

白装束を来て合掌している末原の姿だった……!

洋榎「なんや恭子その格好……なんのマネやいったい……」

末原「わたしは神です」

漫「なん……やと……」

末原「……」

洋榎「な、なに言うてるんや恭子は……ハハハ……」

絹恵「ナ、ナイスジョークだね……」

末原「ジョークではありません、わたしは神の力を手に入れたのです」

洋榎「神の力……恭子は神様なんか?」

末原「はい」

絹恵「先輩……」

由子「元阪神の八木?」

漫「それは代打の神様ですやん……」

末原「清澄を倒すためにわたしは神になったのです」

洋榎「えらい胡散臭いで……」

赤阪「あ、あ、あ、頭でも打っておかしくなったんやろ……へっくしゅん!ううう……」ブルブル

絹恵「代行大丈夫ですか!早く着替えてください風邪引きますよ!」

赤阪「ごめんなぁ絹ちゃん……」ブルブル

洋榎「神様言うんやったら証拠見せてや!」

末原「わかりました、ではいまわたしの力を見せてさしあげましょう」パチン

末原が指を鳴らす、すると

赤阪「なんやなんや!急にポカポカしだしたで~」

由子「体中の氷が溶けだしたのよー!」

赤阪「ああもう心まで温かくなってきた~、ありがとうな末原神ちゃ~ん」

末原「どうです、わたしの力を信じてくれましたか」

洋榎「なんやすごいやないか……もしかしてホンマに……」

赤阪「あれ?どんどん体が熱く……!熱い熱い!なんや体中が焼けるように熱いで!あづいいいいい!!!!」バタバタバタバタバ!

漫「先輩やりすぎですよ!!」

赤阪「ハァハァハァハァ……」

絹恵「大丈夫ですか代行……」

赤阪「死ぬかと思ったで……」

末原「今まであなたが犯してきた罪に対する天罰です」

赤阪「うちがなにしてきたって言うんや……」

洋榎「恭子時間やで!はよ行かな!」

末原「わかりました、では行って参ります」

絹恵「うちらもついていきます!」

洋榎「せやな!ほな行こか!」

末原「ありがとうございます」

  トコトコトコ・・・・・・

絹恵「しかしいったいなんでそんなその……神様になられたんですか?」

末原「遠い宇宙の彼方にある銀河の星々からメッセージを授かったのです
   いまこそ清澄を倒し頂点に立てと、それと一緒に神の力を注入されたのです」

漫「胡散臭いですな……」

由子「インチキくさいのよー」

洋榎「ま、まぁ別にええやん!とにかく決勝に行くんや!」

絹恵「しかしまさか先輩が神様になるなんてね」

洋榎「せやな、うちも親友が神とは鼻が高いで!」

由子「ジーコ?」

漫「それはサッカーの神様ですやん……」

末原「会場に着きました」

洋榎「ついにこのときが来たんやな」

絹恵「そうやね……」ドキドキ

由子「あれ?なんかおかしいのよー」

ダヴァン「絶対に勝ちマス、ガイトさんの喜ぶ顔が見たいカラ」

絹恵「ダヴァンやん……なんでまたあの人がおるんや!?」

まこ「ちゃっちゃっとやって神宮でカープ戦でも見に行くかのう」ポキポキ

由子「次鋒の染谷まこなのよー?!もう試合したハズなのに何故……」

末原「歴史を書き換えました、わたしの力で一番楽に勝てそうな相手を大将に据えました」

洋榎「なん……やと……」

漫「宮永から逃げたんやな……」

末原「わたしの目標は清澄に勝つことです、宮永相手でも染谷相手でも一緒なのです」

まこ「おう早くせんかい、ナイターが終わってしまうじゃろ」

末原「では行ってきます」スタスタ

洋榎「が、頑張るんやで恭子!」

恒子『さぁついに準決勝も大詰めの大将戦に突入です!!』

野依『……!!』=3=3

恒子『野依プロも気合十分です!!この大将戦の見どころはどこですか!』

野依『みんなつよい!!』プンスコ

恒子『なーるほど!!大将戦のスタートです!!』

まこ「なんじゃその服装は、けったいじゃのう、仮装パーティーでもやるんかい」

末原「……」

ダヴァン「ハフハフ!」ズルズル!

まこ「なに食うとるんじゃわりゃあ……」

ダヴァン「カップ麺デス、日本の即席麺はまさに魔法、こんなものが簡単に手に入る日本は素晴らしいデス!」ズルズル!

まこ「ほ、ほうか……」

末原「では始めましょう」

まこ「ほいさ!」スタッ!

ダヴァン「あ、ちょっと待ってくだサイ」ズズスタッ!

まこ「試合のときぐらい食べるのやめんかい!」

恒子『さぁ試合スタートです!果たして清澄のエース染谷まこはリードを守れるのでしょうかァ!!』

野依『……!!』=3=3

恒子『現在トップは清澄、僅差で臨海女子、姫松が追っています、有珠山高校はダントツの最下位です!』

末原「……」スタッ

恒子『果たしてこの試合の展開はどうなるでしょうかねぇ野依プロ!』

野依『わからない!!』プンスコ!

恒子『実力が拮抗していてどこにでも勝つチャンスはあるとのことです!
   さぁいったいどこが勝ち上がるのでしょうかァァァ!!』

末原「……」

   11巡目

まこ「ポンじゃ!」

西西西三 カチャ!

ダヴァン「鳴き虫デスネ……」

まこ「……」カチャ

まこ(よっしゃ!テンパったのう!)

末原「……」スタッ

恒子『さぁまず先にテンパイまで持っていったのは染谷まこだ!』

まこ(まずは様子見でダマテンじゃ、果たして……)

ダヴァン「ヘイ!」スタッ!

末原「どうぞ」スタッ

まこ「(来た!!)ローンじゃ!!ホンイツのみ!!」

末原「……」

まこ「幸先がええのう」ニヤニヤ

末原「ちょっといいですか」

   11巡目

まこ「ポンじゃ!」

西西西三 カチャ!

ダヴァン「鳴き虫デスネ……」

まこ「……」カチャ

まこ(よっしゃ!テンパったのう!)

末原「……」スタッ

恒子『さぁまず先にテンパイまで持っていったのは染谷まこだ!』

まこ(早く振り込まんかい……!)

ダヴァン「ヘイ!」スタッ!

末原「どうぞ」スタッ

まこ「(来た!!)ローンじゃ!!ホンイツのみ!!」

末原「……」

まこ「幸先がええのう」ニヤニヤ

末原「ちょっといいですか」

まこ「あ、なんじゃいったい」

末原「それは役無しです」

まこ「なにを言うとるんじゃわりゃあ……どう見たってホンイツじゃろうが……」

末原「いいえこれは役無しです」パチン

恒子『おーっとどうした染谷まこ!?和了したはいいが役無しでは意味が無い!!』

ダヴァン「なにやってるんですか染谷サン……」

まこ「なにって!ホンイツじゃろこれ!おかしいのはあんたら……」

ダヴァン「ホンイツなんて役……ありませんヨ……」

まこ「はぁ?!」

末原「その通りですこの世に混一色なんて役は存在しません、たったいまホンイツという概念をこの世から消し去りました」

まこ「なん……じゃと……」

末原「麻雀が生まれてからこの日までホンイツなんて役、無いんですよ麻雀には」

恒子『これは大ボーンヘッドだァァァァ!!』

野依『ばか!!』=3=3

まこ「なんじゃと……そんな……ホンイツが存在しないなんて……」

末原「残念でしたね」

ダヴァン「大丈夫デスカ染谷サン……もしかして寝ぼけてるんデスカ?
     余ってるメガシャキでも飲みマスカ?」

まこ「いや遠慮しとくけぇのう……」

末原「では再開します」ジャラジャラ

まこ(何なんじゃいったい……ワシは夢でも見てるんか?)

恒子『さぁ気を取り直して再開です!!』

まこ(ワシの得意技を封じられてしもうた……どうすればええんじゃ……)

末原「……」

   しばらくして

まこ「てい!!」スタッ!

恒子『おーっと染谷まこ!はやくもイーシャンテンだァ!!』

まこ(ホンイツがダメならそのうえを行けばいいんじゃ!チンイツじゃ!チンイツを狙うんじゃ!!)

ダヴァン「ヘイ!」スタッ

まこ(あいつはなにやら特殊能力を持っているらしい……しかしさすがにチンイツを消すことはできんハズじゃ……!)

末原「……」スタッ

まこ(いちいちそんなことしたら麻雀の役が無くなってしまうじゃろ!)カチャ!

まこ(来た!)

恒子『おーっとチンイツをテンパイしました!』

まこ(これは行けるハズじゃ!)

末原「……」スタッ

まこ(来い!)カチャ!

まこ「来た!!ツ……」 

末原「!!」カッ!!

まこ「な……!!」

末原「……」

まこ「なんじゃ……きゅ、急に体が動かなくなったぞ……か、金縛りか?!」

ダヴァン「」

恒子『』

野依『』=3=3

まこ「どうしたんじゃ……みんな動かなく……」

末原「……」

まこ「わりゃあ……!い、いったいなにをしたんじゃ……」

末原「わたしぐらいの境地に立てば牌が止まって見えるのです」

まこ「なんじゃと……なにをする気じゃ……」

末原「こうです」カチャカチャカチャカチャ

まこ「な……は、牌を入れ替えとるじゃないか……!」

末原「……」カチャカチャカチャ

まこ「イ、イカサマじゃ……こんなの性質の悪いイカサマじゃあ……!」ギリギリ!

末原「……」パチン

まこ「は!」

ダヴァン「早くしてください染谷サン」

まこ「イカサマじゃ!こいつ牌をすり替えたんじゃ!」

末原「あまりおかしなことは言わないほうがいいですよ
   わたしが牌をすり替えた証拠などどこにもありません」

まこ「くぅぅぅ……この目で見たんじゃワシは……」

末原「……」

まこ(ワシの待ちがホンイツにすり替えられちょる……くそお……)

末原「……」

まこ「(せっかくのチンイツが……)くそっ!」スタッ

末原「ロンです、チンイツです」

まこ「な……!」

恒子『おーっと染谷!末原にチンイツを振り込んでしまったァァァァァ!!!』

まこ「何故じゃ!何故なんじゃあ」グニャー

末原「……」

  その後も末原の快進撃は続いた……

末原「ロンです、ジュンチャンリャンペーコードラドラ」

まこ「くっ!」

末原「ロン、小三元サンアンコードラドラ、倍満です」

ダヴァン「オーマイガー……」

恒子『末原恭子の快進撃が止まりません!!』

野依『こ、こわい!』ガタガタブルブル

末原「……」

まこ「何なんじゃこいつは……」

ダヴァン「こ、この人はジャパニーズモンスターデス!!」

まこ「ヒバゴンか!」

末原「……」ジャラジャラ

末原「では次行きましょう」

  そしてついに最終局・・・

まこ「くう……」

ダヴァン「なんとか2位デス」

末原「……」

恒子『ついに準決勝もラスト1局!泣いて笑ってもこれがラストです!』

野依『……!!』=3=3

恒子『現在トップは姫松、2位は臨海女子で僅差でそれを清澄が追っています、相変わらず有珠山はダントツの最下位です!!』

末原「……」

恒子『いやーしかし姫松の末原恭子は好調ですねぇ、いったいこの快進撃の要因はなんですか野依プロ!』

Σ野依『わ、わからない!!』

恒子『なるほど!なかなか斬新な答えですね、では大将戦です!』

まこ「なんとか2位抜けするんじゃ……」スタッ

ダヴァン「エイ!」スタッ

末原「……」カチャ

末原「リーチです」

恒子『おーっと末原恭子!今日初めてリーチを宣言しました!』

まこ「いまさらリーチするんか……」

末原「ただのリーチではありません」スタタタタタタッ

まこ「な……!」

末原「オープンリーチです」

恒子『おーっと末原なんとオープンリーチだァァァァ!!!』

野依『はじめてみた!!』=3=3

恒子『一応大会のルール上OKですがいやぁ珍しいですねぇオープンリーチなんて!』

まこ「何なんじゃいったい……」

末原「……」

ダヴァン「とにかく振り込まなきゃいいんデス!」カタッ

まこ「そ、そうじゃのう!」カタッ!

末原「……」

末原「……」スタッ

まこ(イーピン待ちか……まぁ振り込まなきゃええんじゃしな……)

ダヴァン「エイ!」スタッ!

まこ「早く和了したいのう……」カチャ

まこ「な……!!(イーピン掴んでしもた!)」

末原「……」

まこ(こんなときに相手の和了牌を掴むとは不吉じゃのう……オープンリーチに振り込んだら役満払いじゃしのう……)

ダヴァン「ハリーアップデス」

まこ「お、おうすまんのう!」

まこ(落ち着け!とにかくイーピンを捨てなきゃええんじゃ、他の捨てれば……)

まこ「な……」

染谷まこは目を見開いた

まこ(そ、そんなバカな……!何なんじゃこれは……)

なんと自分の手牌がすべてイーピンになっていたのだ……!

まこ「な、な、な、な……」カタカタ

まこ「目、目の錯覚か……」ゴシゴシ

まこ「う……」チラッ

が、しかし……何度見ても牌はすべてイーピンのままだった……

まこ(おかしいじゃろ……普通1種につき牌は4つじゃろ……なんでこんなにイーピンがあるんじゃ……)グルグル

ダヴァン「染谷サン?」

まこ(ワシは頭がおかしくなったんか……なんじゃ……頭が回る……)グルグル

末原「……」

まこ「ううう……」グニャー

末原「早くしてください」

まこ「くそお……」スタッ

末原「ロンです」

恒子『おーっとなにやってるんだ染谷まこ!オープンリーチに振り込んでしまったァァァ!!』

まこ「くぅ……」

改めて手牌を見ると、そこにはイーピンをツモるまでの染谷まこの待ちが並んでいた、もちろんそこにはイーピンなど1枚もなかった……

恒子『試合しゅうりょーーーー!!!姫松決勝進出です!!』

野依『すごかった!!』プップスー!

恒子『決勝に進出したのは姫松臨海女子!清澄は3位!有珠山は4位でした!!』

まこ「なぜじゃ……なぜなんじゃ……」

ダヴァン「2位抜けデス……」

末原「お疲れ様でした」スクッ

まこ「なぜ……なぜなんじゃあ……」

ダヴァン「元気出してください染谷サン」

まこ「ハァ……久になんて言えばええんじゃ……」

ダヴァン「ワタシの大好きな力うどんをあげマス……どうかこれを食べて元気を出してください……」

まこ「あ、ありがとう……」

末原「……」トコトコ

末原「……」トコトコ

末原「……」トコトコ

末原「……」トコトコ

末原「……」

末原「ククク……ウププ……」

末原「ハハハハハハ!!!勝った!勝ちました!!」

末原(やった!清澄に勝ったです!あの清澄に!!やった!)

末原(あの難攻不落と言われた清澄を倒した!わたしってすごい!)

末原(全部あの光のおかげです!ホンマにありがとう!)

末原「フフフ……!」スタタタタッ!

末原「ハハハハハハ!!勝った!みんな勝ったよ!」スタタタタッ!

   スタタタタタッ!!!

   ガチャン

末原「ただいま!みんなどうでしたかわたし!すごかったべ!」

洋榎「え……?」

末原「どうでしたかわたしの闘牌?神がかってましたでしょ?」

由子「の、のよー?」

末原「まぁ神がかってたのは神様なんだし当然なんですけどね!」

漫「……」

末原「いやぁしかし清澄はなかなか手ごわかったですね、もうちょっと楽に勝てると思ったんですけどね
   なかなかどうして、けっこう手こずってしまいましたよ」

絹恵「ひっく……ひっく……」

末原「え?なんで泣いてるんですか?勝ったんですよわたしたちは!笑いましょうよもっと!ほら!」

洋榎「あんたええ加減にせい!」ガタッ!

末原「え、え、え?ちょっと主将なにするんですか!」

洋榎「バカにするのもええ加減にしろといっとるんや!」グググッ

末原「く、苦しい……なぜ……わたしたち勝ったのに……」

漫「なに言ってるんですか……姫松高校は負けましたよ……」

末原「え……」

末原「す、漫ちゃんなに言ってるんですか……冗談きついですね……」

漫「そんなつまんない冗談言うわけないでしょ……」

末原「え……でもわたしが清澄の染谷まこを……」

由子「夢でも見てたのよー」

末原「嘘です!わたしは染谷まこを倒したんです!」

洋榎「嘘やと思うならテレビを見てみ!どっちがホンマか確かめてみーや!」

末原「絶対にわたしが勝ったハズ……」チラッ

末原「な……」

まこ『やった!勝ったんじゃ!1位通過で決勝進出じゃ!』

ダヴァン『ワタシたち臨海ハイスクールも決勝進出デス、ガイトさんに喜んでもらえマス』

末原「そんな……」

洋榎「これでわかったやろ、うちら姫松は3位で準決勝敗退じゃ」

末原「そんなバカな……おかしい……なぜ……」

赤阪「おかしいのはあなたやで……」

末原「だ、代行!な、なぜわたしたちが敗退したことになってるんですか!変ですよこれ!」

赤阪「え、えええ……変なのはあなたやで……」オロオロ

絹恵「お、お姉ちゃん……」ビクビク

洋榎「大丈夫やで絹」

末原「あ、あのどうしたんですか……なんでわたしをそんな目で見るんですか?」

赤阪「洋榎ちゃんこの子何なん……頭おかしいで……」

洋榎「きっとあまりにも負けすぎて頭のネジがぶっ飛んだんでしょう、可哀想に」

末原「そんな!わたしは勝ちました!姫松高校は清澄に逆転して1位に……!」

絹恵「いい加減にしてください!」バンッ!

末原「き、絹ちゃん?!」

絹恵「あなたなんかに絹ちゃんなんて言われたくありません!
   あなた何なんですか!急にうちらの控室に入ってきて!頭おかしいんじゃないの?!」

末原「だ、だってわたしだって姫松高校の一員ですし……!」

漫「え、あなた有珠山高校の人ですやん」

末原「え……」

末原「な、なにを言ってるんですか漫ちゃん!わたしが有珠山高校の生徒なわけないでしょう!」

洋榎「じゃあその着てる制服はなんやねん」

末原「こ、これは……!な?!」

さきほどまで着ていた白装束が消え、いつの間にか有珠山高校の制服を着ていたのだ

末原「ちが!これは違う!」

洋榎「なにが違うんや!説明してみーや!」

末原「わたしは姫松高校の末原恭子です!みんな思い出してください!由子!」

由子「は、はい!?」

末原「忘れたんですか!主将とわたしでよく三麻をやったじゃありませんか!」

由子「三麻はよくやったけど……」

洋榎「残念やけど三麻を一緒にやったのはあんたやない」

末原「じゃ、じゃあ……」

  ガチャン

セホーン「スイマセン……負ケテシマイマシタ……」

末原「だ、だれ?!」

洋榎「なにコソコソ帰ってきてんねん!」

セホーン「ブラジルカラワザワザキタノニ……ミンナノキタイニコタエラレマセンデシタ……」

由子「しょうがないのよー、清澄の染谷まこが強力すぎたのよー」

絹恵「そうですよ気にすること無いですって!」

セホーン「アリガトウゴザイマス……」

末原「なんだこの強面の外人は……」

洋榎「うちらの大将や、由子セホーンうちで3年間頑張ってきたんや」

由子「三麻楽しかったのよー」

末原「おかしい……こんなのってなまらおかしい!!」

漫「なまらおかしい……やっぱ北海道人ですやん……」

末原「いや!いまの違う……!」

洋榎「これでわかったやろ、あんたは姫松高校の生徒ちゃう、有珠山高校の生徒や」

末原「そんな……」ヘナヘナ

末原「あ……あ……」カタカタ

洋榎「しかし清澄の染谷っちゅうのごっつ強かったなぁ、ただのメガネやと思ってたのに」

由子「人は見かけによらないのよー」

漫「しかしあれですね、敗退したのが大阪と北海道ってどこぞのサッカーリーグみたいですね」

末原「ああああああ……」ポロポロ

赤阪「悔しいのはわかるけど現実を見なあかんで~、ほら立ってや」

末原「ううう……」ポタポタ

赤阪「末原さんの控室はここを出てまっすぐ行って右やで、しょうがないからわたしが連れてってわげるわ」

洋榎「なんや代行、めずらしく教師らしいことしてるや~ん」

赤阪「いくのんは教師の鑑やで~」

末原「う、うわあああああああああ!!!!」

赤阪「なんや!」

末原「うわあああああああああああああああん!!!」スタタタタタタッ!

  ガチャン!

赤阪「なんなんやもう……」

末原「ハァハァハァ!」スタスタスタスタッ!

末原(おかしい!なんかんもおかしい!わたしは姫松高校の末原恭子!有珠山の末原じゃない!)

末原「いったいどうなってるんだべ……」ポロポロ

有珠山部員1「あ!恭子ちゃん居たよ!」

末原「え!」

有珠山部員2「どこ行ってたんだよ恭子!心配したんだぞ!」

末原「く、来るな!」

有珠山部員1「どうしたんだべ恭子ちゃん!」

末原「うるさいうるさい!うわあああああああん!!!」スタタタタッ!

有珠山部員3「末原先輩待ってぇぇぇ!」

末原「なんだあいつら!わたしあんな人たち知らない……」ポロポロ

  スタタタタタタタタ!!

末原「ハァハァハァ……!」スタタタタタタッ

末原「ハァハァハァ……」

無我夢中で走っていた末原、気付かぬうちにいつの間にか大会会場の屋上に来ていた

末原「いつの間に屋上さ来てたんだろ……ハァ……」

末原は屋上の真ん中で座り込む

末原「なして……なしてこんなことに……」ハァハァ

末原「そうだ!あの光のせいであんな目に……!」

 ピュー・・・ ピュー・・・ ピュー・・・

末原「わたしがなにしたって言うんですか!わたしがなにかしましたか!」

 ピュー・・・ ピュー・・・ ピュー・・・

末原「お願いします!応えてください!お願いします!」

 ピュー・・・ ピュー・・・ ピュー・・・

末原「ぐすん……なんでこんなことに……」

と、そのとき……

『―――末原、末原よ』

末原「!!」

『この声が聞こえるかい末原よ』

末原「どこだ!どこさいるべ!」

『見ていたぞおまえの闘牌、素晴らしかったではないか』

末原「なにが素晴らしかっただ!なにが力だ!いい加減にしてください!」

『なにを怒っているのだ末原よ、一時だけでも良い思いができたではないか』

末原「でてこい!もう許さない!早くわたしを大阪人に戻せ!」

『それは出来ない相談だよ末原さん……』

そう言った瞬間、再びあの光が現れた……!

末原「出たな!!」

そして再び末原を包んでいった……!

末原「どこだ!どこさいるんだ!」

光の中、ある人物が末原の眼の前に現れた

咲「お久しぶりだね末原さん」

なんとそこにいたのは宮永咲だった……!

末原「お前は宮永咲!」

咲「どうだった神様になった気分は?楽しかったでしょ!」

末原「ふ、ふざけないでください!わたしがどんなに辛い思いをしたか!」

咲「面白かったなぁ試合中の末原さん、自分の神様だと思ってるんだもん
  本当は力なんてこれぽっちも授かってないのに」

末原「なん……だと……じゃあさっきまでのあれは……」

咲「全部わたしがやってたんだよ、最初から全部わたしがね」

末原「そんな……あれが全部宮永咲の仕業だったなんて……」

咲「わたしの手のひらで踊らされてただけだったんだよ」ニコニコ

末原「バカな……そんな……あなたはいったい何者なんだべ!」

咲「わたし?わたしはね……」




咲「わたしが神だよ」

末原「な……」

末原「宮永咲が……神だって!?」

咲「うん」

末原「なるほど……そりゃ勝てないハズですね……なんせ神様なんですから宮永は……」

咲「あれでも力をセーブしてるつもりなんだよ!」

末原「あ、あの宮永……じゃなくて神様……お願いです……わたしを大阪人に戻してください……」

咲「ごめんなさい無理です」ペッコリン

末原「なして!」

咲「一度改変した歴史はそのあと改変しちゃダメなんだよぉ
  何度も何度もやってたらこの世界がパンクしちゃうよ」

末原「そんな酷いべ!なしてそんな意地悪するんですか!わたしは……わたしは……」

咲「末原さん……」

末原「わたしはいったいどこに帰ればいいんですか……わたしの居場所は……居場所はどこに……」ポロポロ

咲「大丈夫だよ末原さん!末原さんの居場所ならちゃんとあるよ!」

末原「え……」

   数カ月後 長野県 雀荘『Roof top』にて

末原「あ、あの、なまら恥ずかしいんですけど……」

まこ「ほう、ええじゃないかめっちゃ似合うとる」

咲「すごい可愛いよ末原さん!メイド姿の末原さんも素敵だね!」

末原「そ、そうですか///」テレテレ

あの大会から数カ月、末原は有珠山高校を卒業し染谷家が経営する雀荘に就職したのだった

咲「これで毎日末原さんに会えるね!嬉しいよ!」

末原「わ、わたしもうれしいです///」テレテレ

まこ「何なんじゃあれはいったい、何故に咲はあの末原恭子を気に入ってるんじゃ?」

久「一目惚れみたいよ、最初から狙ってたみたい」

まこ「最初からねぇ……」チラッ

咲「じゃあさっそく一緒に打とう末原さん!」

末原「う、うん///」コクン

果たしてこのあろと二人がどうなったのか、この先は神のみぞ知る・・・

    末原「こ、これが力なのか……!!」洋榎「どうしたんや恭子……」    カン

以上です
読んでくれた人ダンケシェーン

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