魅車「…分かりました。"かっこう"の監視を許可します」 (137)

愛里衣(やりました…数十回にも及ぶ説得の末…)

愛里衣(ようやく、"かっこう”さんの監視を許可されました!)

愛里衣(毎日のようにあんな実験に付き合わされているんですから、この位の役得は当然ですよね!)

愛里衣(さて…それでは早速…)

局員A「……」カタカタ…

局員B「……」カタカタ…

愛里衣(…ここでは、他人の目が…)

愛里衣(…仕方ありません…自室にモニターを設置してもらいましょう)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1355906199

利菜『おはよ、薬屋』

大助『おはよう、立花さん』

利菜『いつもより早いじゃない…どうしたの?』

大助『特に理由はないよ…何か、早く目が覚めちゃったんだけど、家にいてもすることとかないしね』

愛里衣(彼女、"かっこう”さんの監視対象ですよね?結構仲良く見えますけど…)

トントン

愛里衣(…?こんな早朝から、誰が…?)ピッ

愛里衣「…どうぞ」

ガチャ

寧子「C、この前借りた漫画…って、なに?そのモニター…?」

愛里衣「監視任務ですよ。他人の目があるところで監視とかしたくありませんから、ここで…」

寧子「…そうなんだ…」

愛里衣「あ、漫画は机の上にでも…」

寧子「…分かった。置いとくよ」

愛里衣「……続きはその辺りにありますから、勝手に持っていって下さい」

寧子「…うん、ありがとう」

愛里衣「……」

寧子「……それじゃあ、私はそろそろ学校だから…」

愛里衣「あ、はい…いってらっしゃい」

寧子「…Cは学校行かなくていいの?」

愛里衣「私は…ほら、監視任務の最中ですから」

寧子「そう…それじゃ、またね」バタン

タッタッタッタッ…

愛里衣「…ふぅ、行ったみたいですね。セーフです」ピッ

大助『あれ?今日、数学とかあったっけ?』

利菜『古典の先生が休みで、変更になったみたい』

愛里衣(…もう下校の時間ですか…楽しいことをしていると、時間は早く経つものなんですね…)

利菜『じゃあね、薬屋』

大助『うん、また明日…』

愛里衣(ようやく、"かっこう"さんだけに…学校にいると、誰かしら側にいますからね…)

霞王「おい、C!」ドンドン!

愛里衣「…っ!?」ピッ

愛里衣「全く…何ですか?」ガチャ

霞王「今日の数学の課題、ちょっと難しいんだよ…手伝ってくれ」

愛里衣「…小学生に助けを求めるなんて、ちょっと情けないとは思わないんですか?」

霞王「いいんだよ…って、何だ?そのモニター…?」

愛里衣「な、何でもありません!それより、課題でしょう?そっちの部屋でいいですよね?」

霞王「ああ、よろしく頼むわ」

愛里衣(…全く…)

愛里衣(…こんなことで……はぁ…)

愛里衣「はぁ…やっと終わった…」

愛里衣("かっこう"さんは、そろそろ自宅ですかね…?)ピッ

愛里衣「…あれ?いない…?」

愛里衣(まだ帰ってないのか…それとも、東中央にいるのかな…?)

愛里衣(っと…"かっこう"さんのゴーグルの反応は、っと…)ピピッ

愛里衣(あった…ここ、かな?)

愛里衣「…これ、コンビニの監視カメラ?」

愛里衣(…あ、肉まん美味しそう…)

愛里衣(……)

愛里衣「……」ガタッ

タタタタタ


愛里衣(…やっぱり、肉まん買いに行ってる間に移動してる…)ハムハム…

愛里衣(またゴーグルの位置検索からかぁ)ピピッ

愛里衣(…っと、ここか…)ハムハム

大助『ほら、これだろ?』

大蔵『ああ、すまんな…SQとは間違えなかったか…』

大助『俺もたまに立ち読みするからな…』

愛里衣("兜"さんの部屋…ですか)ハムハム

大蔵『しかし…最近、やけに任務が多くないか?』

大助『ああ、俺がアイツの監視に駆り出されてるからな。その分がまわってるんだろ』

大蔵『そういうことか…さっさとアジト、見つけてくれよ』

大助『はいはい』

大蔵『…まぁ、仕事の話はこのくらいでいいだろう…今日、課題は?』

大助『無かったよ』

大蔵『…なら、早速はじめるとしよう』スチャ

大蔵『今度は、俺が勝つぞ』

大助『どうだかな…』スッ

愛里衣(…?携帯ゲーム機?3DS、ですか)

大助『…相変わらず、先頭はヘラクロスか…』

大蔵『カブトムシだからな』

大助『いいよな…"みんみん"はテッカニンとかいるし…アイツ、どや顔で出してくるからムカつくんだよ…』

大助『あ〜あ、俺の虫もいたらな…』

愛里衣(私はバタフリーとかかな?)

大蔵『流石に、かっこう虫がモチーフは難しいんじゃないか?』

大助『そうだよな…』

愛里衣(…私も"かっこう"さんと遊びたいな…)

愛里衣(そういえば、今のポケモンって、遠距離対戦可能でしたね…今から、メールでもしてみようかな…)

こんな感じで、キャラ崩壊もまじえつつ、のほほんと進みます

…というか、今更ムシウタ分かる人って、どのくらいいるんだろう…

翌朝

愛里衣(昨日、楽しかったな…)

愛里衣(やっぱり、たまに連絡とかしようかな…)

愛里衣(違反行為だけど…私の虫なら…)

大助『兜…なんだ、その大荷物は…?』

大蔵『今日から、南西支部の手伝いだ』

大助『…そういえば、そんなことも言ってたな…てことは、ここに残る号指定局員は…』

大蔵『お前とみんみんだけ、だな…』

大助『…兜、なるべく早く帰って来れないか?』

大蔵『……善処しよう』

愛里衣(みんみんさん、やっぱり、まだ土師支部長に付きまとっているんですかね…?)

着信音「〜♪」

愛里衣「…はい、何ですか?」

研究員A『Cさん、そろそろ実験の…』

愛里衣「あ…そうでしたね。今行きます」プツッ

愛里衣「……はぁ…」

ガチャ

愛里衣「もうこんな時間ですか…全く、なんで私があんな実験……」

利菜『薬屋、漢文の課題、やってきた?』

大助『…え?そりゃあ、やってきたけど…』

利菜『よかったぁ…悪いけど、ちょっとうつさせてくれない?』

大助『立花さん、やってきてないの?珍しいね…』

利菜『昨日は色々忙しかったのよね…』

大助『へぇ…ま、いいけど…はい』

利菜『…ん。ありがと』

愛里衣(全く…仲のいい女子生徒にでも借りればいいじゃないですか…)

愛里衣(もしかして、あれですか…映画とかでたまにある、監視者に恋しちゃう、って展開…)

愛里衣(こういうのって…監視者のほうも、恋におちてる、っていうのがありきたりですけど…)ムムッ

利菜『よし、写し終わったわ。ありがとう』

大助『どういたしまして』クスッ

愛里衣(…まさか、かっこうさんに限って、そんなこと…)

愛里衣(…でも、悔しいことに、レイディーも美人ですしね…)

愛里衣(……)

愛里衣(…ああ、もう外が真っ暗に…まるで引きこもりみたいです、私…)

土師『…これは?』パチッ

大助『…っ!?』

土師『さて…どうする、かっこう?』

愛里衣(…今日は土師支部長と将棋ですか…)

大助『…ダメだな。俺の敗けだ』

土師『これで52勝3敗だね…次は、囲碁でもどうだい?』

大助『止めてくれ…この将棋でも、一番勝率の高いゲームなんだぞ…』

土師『そうかい…なら、もう一局といこうか…』

愛里衣(こういうの、鬼のように強いんだろうな、土師支部長…)

土師『そういえば、監視任務のほうはどうだい?』

大助『…まずまず、だな』

土師『期待しているよ、かっこう』

愛里衣(……監視任務…)

愛里衣(……かっこうさんは…)

翌朝

愛里衣「な、何ですか……これは…?」

大助『やば……ごめん、ちょっと一緒に来て!』

詩歌『え?あ……』

愛里衣(な、ナンパ…?あのかっこうさんが…監視対象の前で、電車を止めて、無理矢理外に出てまで…?)

愛里衣(わ、私でもなければ、亜梨子さんでも、霞王さんでも、ねねさんでもない…)

愛里衣(あんな…あんな、ポッと出の…)ジワ…

愛里衣「…ぅう…」

愛里衣「ぅあああああぁあああぁあああ!?」

わぁあああああん

霞王「な、なんだ…朝っぱらから…」

寧子「この声…Cの…?」

霞王「C?なにやってんだ、あいつ?」

寧子「…行ってみる?」

霞王「行くしかねぇだろ…ここにはアイツもかっこうもいねぇんだから、Cの面倒は、オレ様達でみてやんねぇと…」

寧子「…そうだね」

ドンドンドン

霞王「おい、C!どうした!?」

愛里衣「ぅあああああん!」ガンッガンガン

霞王「おい!何があった…開けろ!」

寧子「あのCが…物に当たるなんて…」

霞王「電気は出てねぇみたいだし、暴走してるわけじゃなさそうだが…おい、開けろって…C!」

寧子「…ダメ、みたいだね…」

霞王「チッ…仕方ねぇな…ぉらあ!」バキッ

霞王「おい、C…って、なんだこりゃあ?」

愛里衣「ね、ねねさん…霞王さん…」グズッ

寧子「C…大丈夫?」

愛里衣「かっこうさんが…かっこうさんがぁ…」ズズッ

霞王「あ、やっぱこれ、かっこうなのか…」

寧子「C…いつの間にこんなストーカーまがいなこと…」

愛里衣「ち、違います…あくまで監視任務です!…って、それどころじゃなくて!」



霞王「あん?何がそれどころじゃ…」

大助『オレ、薬屋大助っていうんだ。えっと……名前、聞いてもいい?』

詩歌『……杏本詩歌……です』

大助『杏本さん、か』

霞王「…おい、これってまさか…」

大助『それで、その……』

大助『あ、杏本さん!オ、オレと友達になってくれないかな?』

霞王「…っく」

霞王「っはははは!マジかよ?あの天下のかっこう様が、ナンパなんてしてやがるぜ!おい、C!これって、録画されてねぇのか!?」

愛里衣「わ、笑い事じゃありませんよ!」

大助『あ、いや、言っておくけどナンパとかじゃないから!なんていうか、一目見ただけで、その……
この子と話がしてみたいって思って……』

霞王「しかも今更取り繕ってやがる!なんだこれ?なんだこれ…っははははは!」

愛里衣「……ぅう…」グスッ

霞王「おいおい、落ち着けよC…んなもん、成功するわけねぇだろ?」

霞王「それより、こいつをネタにして、次会ったときにおもっきしからかって…」

詩歌『……はい』

霞王「…って、え?」

愛里衣「…うぁ…」

寧子「…流石、かっこう君…」

ここまでで…

""は、最初は全部付けるつもりだったんですが、Cにつけ忘れてるのに気付いて、面倒だし、もういいやってことに…

やっぱり、付けといたほうがいいですかね?

数日後

大助『来年、また待っていてほしい。やらなきゃいけないことができたから……それまでは会えないから……』

詩歌『……』

詩歌『うん……うん……ありがとう……』

詩歌『必ず、行くから……来年こそは、ぜったいに……』

詩歌『私、がんばるから……それまで絶対に夢を守り続けるから……だから、大助くんも……かっこうくんも、みんな……』

霞王「これで、一件落着ってとこか…流石に、レイディーが成虫化したのは焦ったぜ…」

愛里衣「……むぅ…」

霞王「…むくれんなよ、C…」

寧子「……はぁ…」

霞王「…てめぇもかよ…」

愛里衣「……まだです…」

霞王「あぁ?」

愛里衣「かっこうさんとふゆほたるの約束まで、あと一年あります」

霞王「一年っつっても、東中央で捕獲したんだから、結構な頻度で顔あわせるだろ」

愛里衣「…顔をあわせるのは、あくまで特環の局員として、です。ふゆほたるのほうは、かっこうさんの正体は分かってないみたいですし、決定的なことは、来年のクリスマスまではないとみていいでしょう」

愛里衣「それまでに、かっこうさんをおとせたら…」

霞王「はっ!ガキの我儘じゃねぇか…付き合ってらんねぇな」

愛里衣「…霞王さんだって、本当は納得出来てないんじゃないですか?」

愛里衣「そりゃあ、亜梨子さんとかだったら、私だって納得してましたよ……多分。でも、違うじゃないですか…ふゆほたるなんですよ、よりにもよって…!」

霞王「んなこと言ったってな…」

寧子「……」

愛里衣「私は…絶対に取り戻してみせますよ、かっこうさんを…」

愛里衣「霞王さんも…手伝うつもりがないんなら、せめて邪魔だけはしないで下さい!」

霞王「……C…」

翌日

愛里衣「…で、結局ついてくるんですね…」

霞王「いいだろ、別に……」

ガチャ…ギィ…

愛里衣「あ、お帰りなさい、かっこうさん!」

大助「…っ!?」

寧子「お帰り、かっこうくん」

霞王「思ったより早かったな」

大助「……どういうことだ…?」

霞王「あぁ?」

大助「どうして…お前たちがここにいる…?」

霞王「どうしてって…そりゃあ…」

霞王「オレ様がドアをぶっ壊して…」

寧子「わたしの虫で、修復した」

大助「そういう意味じゃねぇよ…大体、そのくらいなら予想出来てる」

大助「俺が聞いてるのは…どういう意図があって、ここにいるのか、ってことだ」

霞王「なんだ、そっちかよ…」

大助「普通はそっちだろうが…」

愛里衣「私達は、土師支部長のお見舞いに来てたんです」

大助「土師の…?中央本部の局員が、そんなことして大丈夫なのか…?」

愛里衣「…まぁ、ちょっとした人質をとれば、なんとかなりました」

大助「人質って……」

寧子「一応、わたしの虫も試してみたんだけど…意識までは…」

大助「…そうか…」

愛里衣「で、折角だから、かっこうさんの所にもよっていこう、ってことになりまして…」

大助「よっていくのは構わないけどな…不法侵入はやめてくれ」

霞王「いいじゃねぇか。細かいことはきにすんな、って」

大助「全然細かくねぇよ…俺にとってはな…」

寧子「…っと、そうだ…かっこうくん、これ…」

大助「……?」

寧子「新曲のCD…最近大変だったみたいだから、お疲れ様のプレゼント」

愛里衣「そ、そんなもの用意してたんですか!?」

霞王「てか、お疲れ様のプレゼントってなんだよ…普通にご褒美って言えよ…」

大助「……ありがとう」

寧子「…どういたしまいて?」

大助「あ、あぁ…それで、結局この後どうするんだ?」

寧子「わたしは…久しぶりだし、この街をぶらついてみようかな…って。かっこうくん、付き合ってくれない?」

大助「まぁ、時間はあるけど…」

愛里衣「明後日までは暇ですよね、かっこうさん」

大助「…わざわざ調べてきたのか…」

霞王「ちなみに、オレ様はこの辺でやってるっていう、ケモノマンショーをだな…」

愛里衣「私は、見たい映画があるんですけど、一緒に……」

大助「…分かった。付き合ってはやる…けどな…」

大助「あんまり、羽目を外しすぎるなよ…」

ここまでで

監視については、一巻の内容にリアクションするだけになってしまったから、すっ飛ばしました

クリスマスなんで、ちょっとした特別編を…色々とおかしいですけど…

トントン

摩理「…どうぞ」

大助「…こんばんは」

摩理「大助さん…こんばんは」

摩理「どうしたの?こんな日に…」

大助「入院患者の見舞いに決まってるだろ?」

摩理「……そう」

大助「そうだよ」

摩理「……」

大助「……」

摩理「雪、降ってるのね…こういうのって、ホワイトクリスマス、っていうのかしら」

大助「そうだな…雪が積もって、町中真っ白になってる」

摩理「…それは、綺麗なんでしょうね…」

大助「この病室の窓からでも見えてるだろ?」

摩理「ええ…でも、ただ見えてるだけよ」

摩理「そこに私はいない…モニターの映像を見ているのと変わらない…」

大助「……連れ出すか?」

摩理「連れ出す…って、この狭い病室から?」

大助「…ああ」

摩理「ふふっ…まるで、小説の台詞みたいね…素敵なお誘い」

大助「…これまでだって、散々抜け出したりしてたんだろ?」

大助「今更、一度くらい…」

摩理「そうね…とっても嬉しいわ。それに、きっと凄く楽しいんでしょうね」

摩理「でも…ダメよ」

摩理「あのころと今は違うわ…私ね、満たされてるし、幸せなの」

摩理「貴方や、亜梨子が毎日ここに来てくれて…一緒にお喋りして、笑いあって…」

摩理「そんな日々が…いつまでも、続いて欲しいと思ってる」

大助「……」

摩理「だから、寿命を縮めるかもしれないようなこと、したくないの」

大助「…そうか…」

大助「……ま、それならそれでいいけどな。雪の積もった街なんて、お前が退院した後、皆でいけばいいだけの話だ」

摩理「そうね…楽しみにしてるわ」

大助「……摩理」

摩理「…ん?」

大助「メリークリスマス」

摩理「…唐突ね」

大助「そんなに唐突でもないだろ。今日は、そういう日だからな…ほら」

摩理「…これは?」

大助「プレゼントだよ。クリスマスプレゼント」

摩理「そう…貴方、サンタクロースだったのね。知らなかったわ」

大助「馬鹿なこと言ってないで、さっさと受け取れ」

摩理「…ありがとう」

摩理「ねぇ…今、開けても?」

大助「ああ…構わない」

摩理「ふふっ…何なのかしらね?」

摩理「大助さんからのプレゼントなんて…想像も出来なかったわ」

大助「勿体振らずに、さっさと開けてくれ」

大助「リアクションを待つのも、結構怖いんだぞ?」

摩理「…そういうものなの?」パカッ

摩理「…これって…髪飾り?」

大助「ああ…どんなプレゼントがいいか、なんて分からなかったからな」

大助「知り合いに色々聞いて、その中から選んだ」

摩理「道理で…大助さんにしては、センスがよすぎると思ったわ」

大助「……どういう意味だよ」

摩理「クスッ…ありがとう」スッ

摩理「…どう?似合ってる?」

大助「ああ…似合ってるよ」

摩理「そ、そう…ありがとう…」

大助「……」

摩理「……」

摩理「…ね、ねぇ…大助さん」

大助「…ん?」

摩理「今更だけど、今日、こんなところにいていいの?」

摩理「亜梨子のことだし、盛大なクリスマスパーティーくらい企画してるんでしょう?」

摩理「サボっちゃって、大丈夫…?」

大助「…摩理、お前…本気で言ってるのか?」

摩理「……え?」

大助「あのなぁ…」

トントン

摩理「あっ…どうぞ」

亜梨子「失礼します…って、大助!?」

亜梨子「どこ探してもいないと思ったら、先に来てたってこと…?」

大助「俺は、ちゃんと先に行っとく、って言ったはずだけどな…」

亜梨子「あのタイミングで言われたら、普通は先にケーキ屋に行ってる、って意味だと思うわよ!」

亜梨子「いえ…そんなことより、摩理の顔が真っ赤なんだけど…まさか、クリスマスだからって、何か変なことしたんじゃないでしょうね、このエロ大助!」

大助「そんなわけないだろ…」

摩理「あ、亜梨子…?」

亜梨子「うん、こんばんは、摩理」

摩理「こんばんは、亜梨子…来てくれたのね」

亜梨子「当たり前じゃない!また明日、って言ったでしょ?」

摩理「でも…今日はクリスマスだったから…」

亜梨子「そんなの関係ないでしょ?というか、そういう特別な日だからこそ、大切な親友と一緒にいたいじゃない?」

摩理「……親友…」

亜梨子「そうそう!さて、それじゃあ準備しましょうか。ほら、ケーキ買ってきたのよ。勿論、プレゼントも…」

亜梨子「…っと、大助、飾り付け手伝って」

大助「はいはい…っと」

亜梨子「……ん?」ズイッ

摩理「…どうしたの?亜梨子…?」

亜梨子「…摩理、この髪飾り、どうしたの?今まではつけてなかったわよね?」

摩理「あ…これは…」

摩理「大助さんが、クリスマスプレゼントに、って…」

亜梨子「そうなんだ…似合ってるわよ、摩理」

摩理「…ありがとう」

亜梨子「…ところで…」ジロ

大助「っ!?」

亜梨子「私は、貴方にプレゼントもらった覚えがないんだけど…どういうことかしらね、大助」

亜梨子「もしかして、摩理に気があったりするの?」

大助「そういうんじゃねぇよ…」

大助「大体…ほら」

亜梨子「あら?ちゃんと私の分も用意してたのね?」

大助「そうじゃないと、後でうるさいだろ、お前…」

亜梨子「っと…もう飾り付けは終わったわね」

亜梨子「それじゃ…そこにケーキひろげていい?」

摩理「うん」

亜梨子「よし…さ、はじめましょうか」

亜梨子「メリークリスマス!!」

というわけで、大助とbugの二人のクリスマスの話でした…絶対にあり得ない光景ですが…
詩歌のクリスマスは、原作で書かれるはずなので、今回はスルーで…かわりに、正月は詩歌のターンにするつもりです

愛里衣達の話は、明日から再開します

霞王「やっぱ、面白かったよな、ケモノマン」

大助「個人的には…ヒーローショーより、跳んだり跳ねたりしてはしゃいでるお前のほうが面白かったよ」

愛里衣「かっこ…大助さんに同意です。散々私のことをガキだなんだと言いますけど、アンネさんのほうがよっぽど子供ですよ」

霞王「そいいうことを言うから、てめぇはガキだって言われんだよ」

愛里依「…いいですよ、しばらくは子供で」

大助「それより、ねねはどうした?」

愛里衣「大助さん…街中でその呼び方は…」

大助「いいだろ…明らかにおかしい俺達と違って、普通にありそうな名前だし…」

霞王「てか、優等生の演技はいいのかよ」

大助「お前たち相手にアレだと疲れるだろ…大体、それを言うならお前だって猫かぶりはいいのか?」

愛里衣「あれは正直気持ち悪いです」

霞王「んだと…って、アレじゃねぇか、ねね」

大助「アレって…あの人垣か?」

霞王「あいつ、クロール・ライヴのボーカルだろ?それなりに有名だし、サインねだられるくらいはあるんじゃねぇか?」

大助「そういえばそうだな…ただでさえ目立つ金髪のそばにいたわけだし…」

愛里衣「変装くらい、してもらっていたほうが良かったですかね?」

霞王「そうだな…ってか、どーすんだよ?」

大助「まだ確定したわけじゃないだろ」

霞王「けどよ…実際、あの人垣の原因がねねだったとして…連れ出せるか?」

大助「…間違いなくブーイングの嵐だな…男の俺が行ったりしたら、尚更…」

愛里衣「おさまるまで待ちますか?」

霞王「いつおさまんだよ…段々増えてってるぞ…」

寧子「あ…やっと見つけた…」

大助「…ねね?あっちじゃなかったのか?」

寧子「あっち…?わたしは、ずっとショーの客席にいたけど…?」

霞王「…何でだよ…?」

寧子「途中で寝ちゃって…起きたら、誰もいなかったから…」

愛里衣「あの騒音のなかでよく眠れましたね…」

寧子「眠かったから…あと、大助くん、その呼び方はNG」

大助「いいだろ、別に…」

寧子「ダメ。寧子お姉さんと呼んで」

大助「絶対に呼ばねぇ…」

霞王「…おい、なんか、見られてねぇか?」

寧子「アンネ、目立つから…」

霞王「いや、明らかにオレ様より…」

通行人A「おい、あれって…」

通行人B「クロール・ライヴの…」

大助「…まずいな…走るか」

愛里衣「やっぱり、変装してもらいましょう…」

愛里衣「どうですか?」

大助「ああ、似合ってる」

愛里衣「こっちは?」

大助「いいな」

愛里衣「これなんて…」

大助「ああ、可愛いんじゃないか」

愛里衣「…なんか、段々なげやりになってません?」

寧子「一時間以上もファッションショーを見せられたら、大助くんじゃなくてもなげやりになるよ…」

寧子「元々、わたしの変装のために入ったお店なのに…」

愛里衣「…いいじゃないですか…こんな機会、滅多にないんですから、少しくらいはしゃいだって…」

大助「いくらなんでもながすぎるだろ…かす…アンネのやつなんて、呆れて別の店行っちまったぞ」

愛里衣「…分かりました…ま、あと二日もありますし…機会なんて、いくらでも作れますよね…」

大助「それじゃ、そろそろ本来の目的を果たすか…」

寧子「わたしの変装だね」

寧子「……どう?」

大助「…似合ってるよ」

寧子「…こんなのは?」

大助「いい感じじゃないか?」

寧子「それじゃあ、次は…」

大助「なぁ、ねね…」

寧子「寧子お姉さん」

大助「…なぁ、寧子さん…確かに似合ってるんだが…それ、変装になるか?」

愛里衣「まぁ、やってることは私と同じファッションショーですよね…」

寧子「変装は最後でいいんじゃない?今は、ショッピングを楽しみたいから…」

大助「…先に変装してくれたほうがありがたいんだが…」

愛里衣「…私、寧子さんがファッションショーやってる間に、変装につかえそうなものでも探しておきます」

大助「そうだな…俺は逃がして貰えそうにないし…頼むよ、愛里衣」

愛里衣「っ!?はい!」

愛里衣(名前で呼ばれた…久しぶりに…なんか、凄く嬉しいな)

中途半端でスミマセン…今日はここまでで…

愛里衣「…ふぅ、結構買いましたね」

大助「…明らかに買いすぎだろ…二人共」

寧子「ショッピング、久し振りだったから…」

大助「だからって、自分達で持てないほど買うか?」

愛里衣「あはは…すみません…」

寧子「それより、霞王は…?」

大助「この辺りで集合のはずなんだが…」

愛里衣「あ、見つけました…あそこですよ」

大助「…ん?ああ、あれか…って…」

寧子「…ナンパ?」

大助「まぁ、見た目はいいからな、あいつ…」

霞王「…ワタシ、ちょっと待ち合わせしてマス」

男A「いいだろ、少しくらいさ…」

寧子「猫かぶってる…?」

大助「なんとか、あれでやりすごぜればいいけどな…あっちの男がしつこいと…」

男A「ねぇ、」

霞王「いい加減にしやがれ、このクソ野郎が!」ギロッ

大助「…やっぱりか…」

愛里衣「虫を出す前に、連れ出しましょう」

大助「…はぁ…」

数分後

霞王「くっそ…さっきの野郎、まだムカつくぜ…」

大助「だからって…一般人相手にキレるなよ…」

霞王「虫はだしてねぇだろ!」

大助「今にも出しそうにしてただろ…大体、お前、ナンパなんて前からしょっちゅうされてただろ」

大助「見た目だけはいいんだから、ああいうのには耐性つけとけよ」

霞王「男のてめぇにはわかんねぇよ…何回経験したって、耐性がつくもんじゃねぇんだよ」

寧子「確かに…ああいうナンパって、好みのタイプでもなければウザいだけだよ…」

寧子「さっきみたいにしつこい人だと、尚更…」

大助「…そんなもんなのか…」

愛里衣「そ、そんなことより…明日は、一緒に映画とか…」

大助「もう明日の話か…」

愛里衣「今日は二人の希望にそったんだから、明日は私の番ですよ!」

大助「分かった分かった…で、この大量の荷物は何処に持っていけばいいんだ?」

寧子「近くにホテルとってるから…そこに」

大助「ホテルか…」

霞王「ちょっとガッカリしたろ、一緒に寝る、みてぇなイベントがなくて」

大助「んなわけあるか…」

霞王「照れんなよ、分かってっから」

大助「何がだ…」

愛里衣「あの…私でよければ、是非…」

大助「…勘弁してくれ、また変な噂をながされる…」

ホテル

大助「…結構いい部屋だな」

愛里衣「普段、趣味とかにあんまりお金使えませんから…こういう機会に、使っちゃおう、って」

霞王「一人一部屋だぜ?」

大助「…贅沢な奴等だな…で、Cはこの部屋でいいんだよな。荷物は何処に置くんだ?」

愛里衣「その辺に置いといて下さい。後で整理しないといけないので…」

大助「分かった…後は、ねねの荷物だけど…」

寧子「…寧子お姉さん」

大助「それはもういい…」

寧子「…わたしの部屋はここの右隣」

大助「分かった…鍵、開けてくれるか?」

寧子「うん」

愛里衣「そうだ…かっこうさん、折角ですから、今日は私の部屋に泊まりませんか?」

大助「だから…勘弁してくれって…寂しかったら、ねねに来てもらえよ」

愛里衣「…むぅ…」

寧子「大助くん、開けてきたよ」

大助「ああ、ってか、もう普通に呼んでいいぞ…」

ここまでで…思ったより短く終わりそうなんで、もしかしたら別の話とかもやるかも

大助の部屋

大助「ったく…疲れたな」

大助(…けど…たまにはいいな、こういうのも…)

大助(今度は、詩歌と一緒に、こういうこと出来たら、な…)ウト

大助「……」ウトウト…

大助(…課題は…明日でいいか…)

大助「…zzz…」

霞王「どうよ、かっこう?」

大助「…何が?」

土師「君は本当に鈍いね」

土師「こういう時に女性が尋ねるのは、新しい服が似合ってるかどうかに決まってるだろう?」

大助「そうなのか?」

寧子「…うん」

大助「…まぁ、結構似合ってるんじゃないか、三人とも」

大助「白が黒になっただけで、随分印象が変わるもんだな」

愛里衣「……」ボーッ

霞王「…おい…C?」

愛里衣「ハッ…な、何ですか?」

寧子「…まだ、辛い?」

愛里衣「なんのことですか?」

愛里衣「私なら、なんの問題もありませんよ!」

大助「……」

土師「…休暇?」

土師「珍しいね、君が自分からそういうことを言い出すなんて…」

大助「いいだろ、たまには…」

土師「…そうだね、君も赤牧市での一件では大変だったみたいだし…」

土師「それに、そう言い出す理由も大体分かるからね…」クスクス

土師「いいよ…明日は君はお休みだ」

土師「貴重な休暇を、有意義につかってくれ」

大助「…ああ」

翌日

大助「…C、今日は時間あるよな」

愛里衣「…え?ああ、はい…」

大助「…ちょっと、付き合ってくれないか?」

愛里衣「…いいですけど…」

大助「そうか…よかったよ」

大助「…話したいことも、あるしな」

愛里衣「……?」

大助の部屋

大助「…適当に、くつろいでくれて構わない」

愛里衣「は、はい…」

大助「…ほら、紅茶でよかったか?」

愛里衣「あ、ありがとうございます」

大助「……」

愛里衣「……」

大助「…なぁ、C」

愛里衣「…何ですか?」

大助「亜梨子のこと、好きだったか…?」

愛里衣「…はい」

大助「…そうか」

大助「俺もだよ…あんなお人好しは、本当に珍しいよな」

大助「…でもな、C…」

大助「あいつはもう、いないんだよ…」

愛里衣「っ!?」

大助「俺たちの手も声も届かない場所で…俺たちのために、戦ってくれてる…」

大助「虫憑きでもなかった、あいつが…」

愛里衣「……」

大助「あいつは凄いよ…本当に…」

大助「だから…俺はあいつの思いに報いるためにも…」

大助「始まりの三匹を倒して…虫憑きの戦いを終わらせる」

大助「あいつが、笑顔で帰って来られるように…」

大助「だから…泣いてなんかいられない…立ち止まっているわけにはいかない…」

大助「強くならなきゃいけないんだよ…誰よりも…」

大助「…だから、今日が最後だ」

愛里衣「……え?」

大助「今日だけは…お前と一緒に、あいつとの別れを悲しもう…」

大助「だから…無理はしなくていい」

大助「俺たちは虫憑きだ。子供だ、なんて言い訳は通用しない」

大助「一人で戦い抜いて…一人で夢を守り続けないといけない」

大助「自分の虫に、負けないためにも…」

大助「でも、お前はまだまだガキだ…たまには、こういう時間だって必要だろ?」

大助「だから…辛かったら泣いていい…今日だけは、俺が受け止めてやる」

愛里衣「かっこう…さん?」

大助「……」ギュッ

愛里衣「…ぅあ…」ギュッ

愛里衣「ぁああぁぁぁあああああああ!」

大助「よく頑張った…よく頑張ったよ、お前は…」

大助「よく…一人で耐えてたな、C…」

愛里衣「ぁああぁぁああああああぁぁぁあ!」

霞王「…っこう、おい!…きろ」

大助「…ん?」

大助(…ああ、夢か…)

霞王「ようやく起きやがったか…」

大助「…霞王?」

寧子「はろー、かっこうくん」

愛里衣「おはようございます、かっこうさん」

愛里衣「さ、今日は映画ですよね、早く行きましょう!」

大助「…その前に、部屋のドアが粉々になってるってのは、どういうことだ?」

霞王「気にすんなよ、どうせねねが直すんだから…な!」

寧子「…任せて」ビシッ

大助「そういう問題じゃねぇよ…」

愛里衣「そういえば、朝ごはんまだですよね?何か作りますか?」

大助「…いや、いい…外で適当に食おう」

大助(…C…)

大助(もしかしたら…あの時の俺は、間違っていたのかもしれない…)

大助(結局…お前は、あの日の今日から抜け出せずに…)

大助(ずっと…俺に甘えたままだ…)

大助(今は…それでいいのかもしれない)

大助(でも…俺だって、いつまでもお前のそばにいられるわけじゃない…)

大助(そろそろ…本当に終わらせないといけないな…)

大助(お前が…ずっとすがり付いている、今日というあの日を…)

大助(お前が…一人でも生き抜いていけるように…)

愛里衣「ほら、早く行きましょう、かっこうさん!」

大助「…ああ、今行く…」

大助(亜梨子…)

大助(俺は…戦いを終わらせる…)

大助(誰よりも強くなって、始まりの三匹を倒して…)

大助(そうして…帰ってきたお前に、思いっきり自慢してやるさ)

大助(お前の相棒には、こんなに可愛い彼女が出来たんだぞ…って)

霞王「おい、いつまで写真みてんだよ、さっさとしろ!」

大助「ぁ、ああ…悪い」

霞王「ったく…朝早いからって、寝ぼけてんじゃねぇのか?」

寧子「わたしも…朝は弱い」

愛里衣「ねねさんは、昼間でもボーッとしてるじゃないですか…」

数日後

霞王「おい…これって、あいつの妹じゃねぇか?」

愛里衣「……」ジー

寧子「かっこうくん、大胆…」

霞王「こりゃ、起きたら殺されるな、あいつ…」

霞王「あのシスコンに、妹の裸を見た、何て知られたら……」

愛里衣「……」

愛里衣「かっこうさんの、バカ…」

とりあえず、これで終わりです…まさか、三桁もいかないとは…

正月に詩歌の話をやったあとは、8レスくらいの短いやつを、ちょくちょく書いていくつもりです

リクエストがあればどうぞ。もしも書けそうな内容なら書きますので…

ただし、エロは無理です…ああいうのは書けません

そうか?
少なくとも俺は大助と詩歌の二人が至高だと思ってるぞ

この二人のお互い想いあう関係が好きだ

>>72
できれば摩理の手のひらで踊らさせる大助が見たいなー

同じ考えの人見つけて驚いた

>>90

いや確かに純愛っぽくていいんだけどさ?
大助も詩歌も他人に影響与えるタイプじゃないし
恋人っていうよりも同じ夢を持つ盟友って感じかな、梨奈含め?
だから三人なら恋愛としても面白いけど二人だけだと物語の幅が少なくなりそうな気がする


>>91

大助「お、おい!いきなり脱ぎ出すなんて何考えてるんだ!」

摩理「アリスの身体ってすごく綺麗だと思わない?手も足も長いし……。女の私でも綺麗で羨ましく思っちゃうもの。そう思わない、大助さん?」クスクス

大助「ふ、ふざけるなよ!お前はアリスの親友じゃないのかよ!?親友の身体を男に見せていいのかよ!?」

摩理「もちろんアリスは私の親友よ?でもだからこそアリスにとってのアウトラインはわかってるつもりよ」ニコッ

大助「良いからさっさと服きろよ!」アタフタ

摩理「あら失礼ね。わたしはただ着替えていただけよ。勝手に部屋に入ってきたのはあなたでしょ?どうせなら正面から見せてあげましょうか?亜・梨・子・の・ハ・ダ・カ」プチップチッ

大助「っ!うるさい!亜梨子なんかの裸なんて見ても気にするか!……この性悪女がっ!」ガチャ

摩理「はいは〜い。ところで純情かっこう君は明日から亜梨子の顔を見れるのかしらね?」ニヤニヤ

大助「っ!」バタンッ

摩理「……………………」クスクス




摩理「…………顔赤くなったりしてないわよね?亜梨子……」ドキドキ


みたいなのが欲しいwwwwww
ポイントは摩理も恥ずかしがってるところでしょjk

大晦日

大助「…詩歌?」

詩歌「こ、こんばんは…大助くん」

大助「ああ、こんばんは…どうしたの?」

詩歌「あ、あの……」

詩歌「今日…泊めてくれない、かな?」

大助「……はい?」

大助の部屋

詩歌「ごめんね…いきなり押し掛けちゃって…」

大助「いや、全然大丈夫だけど…なんでまたいきなり…?」

詩歌「その…大助くんと一緒に、新年を迎えられたらな、って…」

詩歌「その…迷惑、だった?」

大助「そんなことないよ…凄く嬉しい」

詩歌「…よかった…」

大助「……」

詩歌「……」

詩歌「…いろいろあったよね、この一年…」

大助「…そうだね。オレはもっと前からいろいろあってたけど…」

詩歌「そういえば、私が欠落してた間の話、ほとんど聞いてなかったね…」

大助「ん…聞きたい?」

詩歌「大助くんが話していいなら…」

大助「…そうか…」

大助「……でも、そういう話はまた今度…今は、新年を祝おう」

詩歌「…うん」

大助「…そういえば…」

詩歌「…?」

大助「はい、これ」

詩歌「…蕎麦?」

大助「そう、年越し蕎麦…知らない?」

詩歌「…そういえば、家でそんなことしてたかも…」

大助「まぁ、オレも由来とかはよく知らないんだけどね…」

TV「〜♪」

詩歌「……あ」

詩歌「この人達…」

大助「…ん?」

大助(クロール・ライヴ?)

詩歌「バレンタインに、お世話になったんだけど…」

大助「…そうなんだ…」

大助(…なにやったんだ、ねね…)

数十分後

詩歌「…鐘、鳴り終わったね…」

大助「…そうだね、明けましておめでとう、詩歌」

詩歌「うん…今年もよろしくね」

大助「……初詣、どうする?」

詩歌「…外、寒いし…」

詩歌「明日の朝でいい?」

大助「いいけど…多分、詩歌の言う明日は、もう今日だと思うよ」

詩歌「あ…そうか…」

大助「クスッ…それじゃ、そろそろ寝ようか」

詩歌「…うん」

詩歌「…大助くん」

大助「詩歌…もしかして、布団の場所分からなかった?」

詩歌「そうじゃなくて…その…」

詩歌「い、一緒に寝たら…ダメかな?」

大助「……はい?」

詩歌「ほ、ほら…私達、恋人同士なんだし…」

詩歌「一緒に寝るだけなら、セーフ…じゃない?」

大助「……」

詩歌「ね……だめ?」

大助「…分かったよ」クスッ

大助「それじゃ、一緒に寝ようか」

詩歌「うん!」

数分後

大助(…とは言ったものの…)

大助(やっぱり…緊張するよな…)

詩歌「……」ギュッ

大助「っ!?詩歌…!?」

詩歌「……」ス-ス-…

大助「寝てる…?」

詩歌「……」スゥスゥ…

詩歌(ど、どうしよう…)

詩歌(勢いでやっちゃったけど…何か、凄く恥ずかしい…)

詩歌(…気づかない、よね?寝たふり…)

大助「…か、…し…か!…詩歌!」

詩歌「…ぅ…んむ?」パチッ

詩歌「……」ボーッ

詩歌「……」キョロキョロ

大助「詩歌…やっと起きたね…」

詩歌「…大助くん?」

詩歌「どうしたの…こんなに早く…」

大助「いや、オレ、結構ちょうどいい時間に起きたみたいだったからさ…」

大助「一緒に、初日の出、見に行けないかな…って」

詩歌「っ行くよ!」

詩歌「ちょっと待ってて…すぐに準備するから!」

詩歌「……人、多いね」

大助「まぁ、この辺りで初日の出を見ようと思ったら、ここくらいしかないから…」

詩歌「そうなんだ…」

大助「詩歌…寒くない?」

詩歌「うん、大丈夫…コート貸してもらったし…」

詩歌「まさか、これに袖を通す日がくるとは思わなかったけど…」

大助「はは…っと、見えてきた」

詩歌「うん…ちょっと眩しいね…」

大助「でも、綺麗だよ…」

詩歌「うん…」

大助「……このまま、初詣まで行っちゃおうか」

詩歌「…そうだね」

詩歌「そういえば…大助くん、年賀状出した?」

大助「まだ…来た分だけ返せばいいかな、って…クラスメートとか、同年代の人達は、大抵メールで済ませるだろうし…」

大助「多分、来るのは土師と担任と…あと、伯父さん達くらいじゃないかな?」

大助「詩歌は?」

詩歌「私は…出したい人の住所をほとんど知らなかった…」

詩歌「知ってたのは、三通だけだったよ」

大助「そうなんだ…」

詩歌「それで…はい」パラッ

大助「…ん?」

詩歌「年賀状…明けましておめでとう」

大助「…ありがとう」

大助(薬屋大助様へ…と、かっこう様へ、か…)

大助「…そういえば、もう一通は誰に?」

詩歌「その…家族に…」

大助「…そっか…」

大助(…ん?家族…?)

千晴「やっと見つけたよ、大助!」

大助「…千晴…」

大助(…そういえば…)

千晴「ね、大助…」

千晴「元旦の零時までには家に来てって言ったよね?」

千晴「初日の出、一緒に見に行こうって言ったよね?」

千晴「いつの間に、大助はお姉ちゃんとの約束を破る悪い子になっちゃったのかな?」

大助「いや…その…」

千晴「おまけに、お姉ちゃんに年賀状出してないって、どういうことかな?」

千晴「罰として、今日は1日、お姉ちゃんに付き合って貰うからね」

大助「え…ちょっ!?」

詩歌「だ、大助くん!?」

千晴「さぁ、最初は初詣からだよ!お姉ちゃんの晴れ着、見せてあげるね!」

とりあえず、正月の話を…物凄く空気の読めていない投下になってしまった…


とりあえず、次は摩理の話で…

摩理「この指、とまれ……か」

摩理「…ふふっ」

摩理(ああ…まさか、こんなに嬉しいなんて…)

摩理(ただ、指を握られただけなのに…)

摩理(こんなにも、心が弾むなんて…)

摩理「…おはよう、亜梨子…」

摩理「ごめんね…でも、あと一日だけ…私に頂戴?」

ガラッ

大助「おい、亜梨子…さっさと…って、起きてるのかよ…」

摩理「っ!?」

大助「何で鏡見てにやけてるんだ、お前…」

摩理(だ、大丈夫…覚えてるわ、対応の仕方は…)

摩理「何でもないわ…おはよう、大助」

朝食

摩理「ねぇ、大助…今日は、学校休みでしょう?」

大助「なんだ、いきなり…またろくでもないこと企んでるんじゃないだろうな?」

摩理「何でそうなるのよ…そんなに信用ない、私?」

大助「胸に手を当てて、自分の行いを振り返ってみろ」

大助「それでも、信用されてると思えるのか?」

摩理「何言ってるのよ、当たり前じゃない!」

大助「自信満々だな…本当に凄いよ、お前は…」

摩理「何それ?皮肉のつもり?」

大助「別に…それで、結局何を企んでいるんだ?」

摩理「だから、そういうのじゃないって…ただ、今日一日、あなたと遊ぼうかな、って思っただけ」

大助「俺と…?俺で、じゃなくてか?」

摩理「流石にその反応は傷付いたわ…最近、忙しそうなあなたを労おうと思っただけなのに…」

摩理「もしかして、今日一日、恵那の奴隷にでもしてあげたほうが良かったのかしら?」

大助「…わかった、俺が悪かったよ…」

大助「だから、それだけは勘弁してくれ…」

摩理「そう…なら…」

摩理「今日一日、二人で思いっきり遊ぶわよ!」

摩理(…どうしよう、タイミング逃しちゃった…)

摩理(…いつ、花城摩理です、って打ち明けたらいいんだろう…?)

摩理(…何で、咄嗟に亜梨子のふりなんてしちゃったのかな、私…)

数時間後

摩理「結局…引き分けだったわね、ダーツ…」

摩理「というか、何…その、どこかで見覚えのあるような、変なデザインのぬいぐるみ…」

大助「やっぱり、変なデザインだよな、これ…」

大助(前に恵那がとってたやつなんだけど…)

摩理「…にしても、今日は時間がたつの、早いわね…」

大助「まぁ、あれだけ色々まわったらな…」

摩理「映画にショッピング、ゲームセンター…それから、デザートバイキング」

摩理「映画の話は、よく分からなかったけど…」

大助「ああいう原作つきの映画って、原作読んでないと分からない描写とかあるからな…」

大助「それより、個人的にはショッピングのほうが変な感じだったな…」

摩理「…ショッピング?」

大助「今日はお前、やけに女の子らしい服選んでたからな…」

摩理「…どういう意味よ、それ…」

大助「……さて」

大助「次はどうする?もう暗くなってきたし、そろそろ帰るか?」

摩理「…そうね…」

摩理「でも、その前に…」

大助「…この観覧車か…」

摩理「…ええ」

摩理(退院したら、一緒に乗ろう、って亜梨子と約束してた観覧車…)

摩理(結局、果たすことは出来なかったけれど…)

摩理「…綺麗ね、街が一望出来る…」

大助「…そうだな」

摩理「……」

大助「……」

摩理「…今日一日…本当に楽しかったわね」

大助「ああ…途中、何かされるんじゃないかって、心配だったけどな…」

大助「…杞憂だったみたいだ…悪かったな、疑って…」

摩理「…謝ることないわ…騙していたのは、本当のことだから」

大助「……」

摩理「にしても…一体、どんなことをされると思ったの?」

大助「…いきなり恵那を呼び出して、二人っきりで密室に閉じ込められるってのが、俺が予想した中では最悪の展開だったな…」

摩理「……へ?」

大助「最近、あいつも洒落にならなくなってきたからな…」

摩理「…大丈夫よ、そんなことしないわ」

摩理「それに…もう、密室で二人っきりじゃない…私と、だけど」

大助「……は?」

摩理「ねぇ…私とだったら、大丈夫って思ったの?」

摩理「だとしたら…観察力が足りないわよ」

大助「…お前、本当に亜梨子か?」

摩理「…どうして、そんなことを聞くの?」

大助「いや、朝から奇妙な違和感はあったんだが…やけに色っぽいからな、今のお前…」

大助「…熱でもあるんじゃないか?」ピト

摩理「っひ…」

摩理「ひああああぁぁあああ!?」

大助「……やっぱり、お前のほうだったか…」

大助「何のつもりだったんだ、全く…」

摩理「そ、それは……」

摩理「私も…人並みの恋愛とか、してみたくって…」

大助「だからって…何で亜梨子のふりなんて…」

摩理「い、言おうとは思ってたのよ…でも、朝、咄嗟に演技しちゃったから…」

大助「……はぁ…」

大助「ったく…今度からは、起きてすぐに言えよな」

摩理「…はい」

摩理「ごめんなさい、大助さん…でも、次の機会があったら…」

摩理「今度は、亜梨子じゃなくて、摩理として…」

大助「…ああ」

大助「でも…別に今度から、じゃなくてもいいだろ?」

摩理「……え?」

大助「…まだ、花城摩理なんだろ…眠るまでは」

大助「それまでは…付き合うさ」

摩理「……大助さん…」

大助「…次は、何をしたい?」

摩理「…そうね…」

ガタン

摩理「…もう一度、乗らない?」

摩理「この、観覧車…」

ここまでで…遅くなってすみません

次は、利菜と大助の話ですね

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom