千早「……」真「……」(143)

代行

千早「どうしたの?」

真「……」

千早「……」





真「……くしゅん!」

千早「……そんな薄着だと、風邪引いちゃうわよ」

真「……」

千早(なぜ私の家の前でうずくまってるのかしら……)

千早「入る?」

真「うん……」



ガチャ



千早「……どうぞ」

真「お邪魔します……」


千早(空気が重い……)

真「……」

千早「はい、ココア」

真「……」

千早「今お風呂を沸かすから少し待ってて」

真「ん……」




千早「……」pi

千早「もしもし、春香?」

千早「ええと、困っている人がいて」

千早「力になりたいけど、どうすればいいのかわからなくて……」

千早「……え?」

千早「うん……うん……ありがとう」pi




千早「……」

真「……」

千早「お風呂、そろそろいい頃よ」

真「うん」

真「……」ヌギヌギ

千早「……」ヌギヌギ

真「えっ?」

千早「……?」

真「いや、一緒に?」



春香『そういう時は一人きりにさせちゃ駄目だよ!』



千早「え……ええ」

千早(問題ない……はず)

カポーン


真「……」

千早「……」

真「さすがに」

千早「さす」


真「……」

千早「……」

真「せまいね」

千早「……そうね」

千早「背中、流すわね」

真「うん」


ゴシゴシ


千早「……」

真「……」

千早「このくらいでいい?」

真「うん……」

千早(こうして見ると……本当に女の子なのよね……)

千早「次は、私にお願い」

真「うん」


ゴシゴシ


千早「……っ!」

真「あ、ご……ごめん」

千早「いえ、平気よ」


千早「……ねえ」

真「……?」

千早「なにかあったの?」

真「……」

千早「言いにくい事だったら言わなくてもいい」

千早「……でも、少しでも力になりたいの」

真「……あn」

千早「くしゅん!」



真「……」

千早「……」

真「湯船に浸かろうか」

千早「そ、そうね」

千早「……」

真「……」

千早(やっぱり狭い……)




真「……あのさ」

千早「うん」

真「今日、家出してきたんだ」

千早「……そう」

真「ちょっと喧嘩しちゃって……さ」

千早「そう……」


真「カッとなって、言い合いになって」

真「家を飛び出して思い切り走ってたら」

千早「いつの間にか私の家の前にいた…?」

真「うん」

千早「……」

千早「……私には言われたくないかも知れないけど」

真「……」

千早「ちゃんと仲直りするべき、だと思う」

千早「今ならまだやり直せると思うから」

真「うん」


ぐうぅ~


真「こ、これは……その」

千早「上がったら、何か作って食べましょうか」

真「…なんかゴメン」

真「ふう、サッパリした」

千早「良かった…少しはリフレッシュになったみたいで」

真「うん、ありがとう」


千早「何か食べるものを探してくるわね」




pi


千早「もしもし、春香?」

千早「白菜と鳥肉とねぎと豆腐で出来る料理って……」

千早「……そう」

千早「ありがとう」

真「……」

真(さっきまで気にならなかったけど……)

真(殺風景だ…)



千早「あの、今日はお鍋にしようと思うのだけど」

真「え……うん、いいね」

千早「じゃあ準備しちゃうわね」



春香『この前のお鍋の残りだよね?』

春香『じゃあお鍋でいいんじゃないかな』



千早(ありがとう、春香……)

グツグツ


千早「そろそろいいかしら」

真「うん」

千早「ふーっ、ふーっ……ん」

真「あむっ……はふはふ」




真「美味しい」

千早「よかった……うまくいったみたい」

千早「芯から体があたたまるわね」

真「そうだね」

千早「……」

真「……」


千早(この沈黙も、なんだか慣れたわね)

千早(不思議な感じ)


真「……最後の鳥肉もらいっ!」

千早「あっ!」

真「ご馳走様でした」

千早「お粗末さまでした」


真「また、食べたいな」

千早「食べたくなったらまた来てもいいわよ」

千早「……でも、急に来るのはやめてね」



真「……ぷっ」

千早「ふふっ」

千早「……申し訳ないのだけど、ベッドがひとつしかないから」

真「……うん」



千早「一緒に……」

真「お邪魔しまし……」





千早「え?」

真「え?」

モゾモゾ


千早「……いいわよ」

真「うん……」



真「本当に大丈夫? 狭くない?」

千早「私は平気よ」

千早(何度か春香とこうして寝ているし…)

真「……」

千早「……」

真「明日、仲直りしてみようと思う」

千早「うん」

真「今日は本当にありがとう」

千早「困っている友達を、放ってはおけないもの」

真「友達かぁ……へへっ」

千早「……?」

真「ううん、なんでもないよ」

千早「そう?」

真「そうだよ」

千早「それじゃあ、おやすみ」

真「おやすみ」



千早「……」

真「……」

真「千早……起きてる?」

千早「……すぅ…」

真「寝てる……」

真「……」

真「……我慢我慢」





真「どうしよう……いつも抱いてるぬいぐるみが無いと」

真「眠れない……」

千早「……ふふ…っ」

真「あっ」

千早「あ…」

千早「それは困ったわね……くくっ」

真「むーっ、バカにしてるでしよ」

千早「そんな事はないけど」

真「ぶー……」



千早「でも……眠れないのは困りものね」

真「そうだね」

千早「代わりのものなんて持っていないし……」

真「うーん……」

真「……試しに」


ギュッ


千早「わ……っ!?」

真「あ、いい感じ」

千早「ち、ちょっと……まこ」


真「……へへ……zzz」

千早「と……はぁ」

千早(寝るのが早い……)

千早「……」

千早(よっぽど、疲れていたみたい)


真「……だ……めえ」ギュー

千早「っ……大丈夫、いなくならないから」

真「……えへへ」


千早(動けないけど……まあ)

千早「今日だけだからね」




……

チュンチュン


真「……んう?」

千早「……すう…」

真「!?」


真(朝起きたら千早と抱き合ってました)

真(な、なにもしてないよね……)

千早「……んん、おはよう、真」

真「え、おおおはよ!」

千早「よく眠れた?」

真「う、うん」

千早「一晩中抱かれた甲斐があったわね」






真「え、ごめん今なんて?」

千早「……?」

千早(なにか失言でもしたかしら)

真(そんな筈は……そんな筈はない!)

千早「ぬいぐるみが無いからって、私を抱き枕代りにして」

真「あ、あぁ~……」


千早「…?」

真「いやあこっちの話だよ! はは……」

千早「そう……」

真「うん、そうそう!」

真「じゃあ、そろそろ行くよ」

千早「ええ」

真「また来てもいい?」

千早「歓迎するわ」


千早「ただし」

真「事前に連絡と、ぬいぐるみを持参で……ね!」

千早「ふふ、そうね」

真「それじゃ……また事務所で!」

千早「ええ」

~後日、夕方~


雪歩「……」

千早「……」


pi


千早「もしもし、春香?」

千早「穴が空きそうなの……床とか胃とかに」




おわり

代行、支援ありがとうございました

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