セイバー「ジョスト?ですか」(45)

聖杯戦争は終わり再びセイバーは英霊の座にいた

セイバー「相変わらずここは暇です、あちらから誰か歩いてきますね、誰でしょうか?」

?「やあ久しぶりだね、今日は君にちょっとしたご褒美があるのだけれど欲しいかい?」

セイバー「欲しいかい?と言われましても、あなたが言うご褒美がまともだとは到底思えないのですが…」

セイバーがワルロマの世界に行くお話、多分エロはなし

設定改変多々ありなので気にしない人だけ読んでください

?「…それは心外だな、まあしかしそう言われても仕方ないのかもしれないね。でも君にとって決して悪い話ではないはずだ。なにせ再び現代へ…」

セイバー「ま、マーリンその言葉に嘘はないな!」

マーリン「あ、ああもちろんだよ。だが…」

セイバー「よしわかった。あなたからの褒美とやらありがたくいただこう、早く早く。」

マーリン「(色々説明しないといけない事もあるのにがっつくなあ、まあモタモタしてたらエクスカリバられかねないし早いとこ行かせちゃうか)わ、わかったよ、目を閉じて。」

セイバー「わかりました。」

マーリン「よし、ほいっとな(まあ多少の説明はあちらの世界にいってからでも出来るし大丈夫…多分)」

セイバー「相変わらずあの魔術師はとんでもない魔法を使いますね、どうやらここは本当に現代のようです…」

「しかしどう考えてもここは衛宮邸ではありませんね、一体どこなのでしょうか。とりあえず窓でも開けてみますか。」

セイバーはすぐに気が付いた、ここは現代は現代でも現代日本ではないことに。

セイバー「な、まままマーリンの奴話が違うではないか!」 

机の上に一枚の紙切れが乗せられておりそこには無駄に可愛らしい雰囲気で「マーリンメモその1」と書かれていた

何はともあれセイバーはメモを手にとり読む事にした

「今君は話が違うではないかと思っている事だろうね、でも僕は一言も現代日本へ君を送るなんて言ってない。君が早合点しただけだ。僕に説明する暇さえ与えずに決めちゃったしね。

とは言っても何の説明もなくこの世界で暮らすのは大変だろうから時折このメモでアドバイスを送るつもりだから安心して欲しい。」

セイバー「た、たしかにマーリンの言うとおり私が早合点しただけだ…メモの続きを読もう。」

「まずここは日本ではないと言ったけれど、どこなんだと思う事だろう。ここは欧州のとある国にある都市ヘレンズヒル、そして君はそこにあるウィンフォード学園に通う生徒という設定だ。普通科よりは騎士科の方が君に向いているはずだからそこはぬかりない。」

セイバー「ヘレンズヒル?ウィンフォード学園?騎士科?全く訳がわかりません。」

「まあこんな説明じゃ理解出来ないだろうね。クローゼットの制服に着替えて学園に行ってみると良い、今日から新しく来る転校生という設定だから多少学園に不慣れでも怪しむ人はいないはずだ。さてこれを読み終えたという事はそろそろ出発しないと遅刻してしまうよ?」

セイバー「マーリンが地図もつけてくれたおかげで迷わずに学園に来れました、まずは職員室へ行けとの事でしたが…」

?「なんか困ってるみたいだけど、大丈夫か?」

セイバー「…職員室へ行きたいのですがなにゆえ転校生なので場所が…」

?「ああ、それならこれこれこう行けば良いよ、じゃあ」

セイバー「あ、ありがとうございます。(名前を聞きそびれてしまいました)」

「ここが職員室ですね、あの~」

先生「ああ今日からの転校生のえーと…」

セイバー「(マーリンメモによると名前はセイバーではまずいですね、めんどくさいならアルトリア・ペンドラゴンでもいいけど何か適当な偽名を使ってもいいよとはありましたが…咄嗟に名前を間違ってもアレですし…)

あ、アルトリア・ペンドラゴンです。よろしくお願いします。」

先生「アルトリアさんだね、そろそろ時間だし一緒に教室へ行こうか。」

セイバー「(どうやらアーサー王とは気付かれていませんねホッ)」

先生「じゃあアルトリアさん自己紹介してね。」

セイバー「えーぶり、ゴホンイギリスから来ましたアルトリア・ペンドラゴンと申します。よろしくお願いします。」

先生「アルトリアさんは騎士科への編入だけどジョストの経験はまだ浅いらしい困ってる事があったらみんな助けてやって欲しい。」

ベルティーユ「わかりましたわ先生。アルトリアさん困った時はこのベルティーユになんでも聞いてくださってかまいませんわ!」 

セイバー「あ、よ、よろしくお願いします。」

先生「えーとじゃあアルトリアさんあそこの開いてる席に。」

セイバー「(なんでも聞いてとは言ってもまさかジョストって何とは聞けない…、ん?これは)」

ポケットには紙切れが入っていた「マーリンメモその2」

「今ジョストって何って思っただろう?名前こそ聞いた事がないかもしれないが君には馴染みがあるはずさ。簡単に言ってたしまえば馬に乗って槍で戦う模擬戦みたいなものさ。馬も槍も得意分野のはずだからさして問題ないだろう。

まあ実戦とは色々違う事もあるけれどね、部屋に戻ったらジョストの入門書があるはずだから後で読むと良いよ。学園生活についてはわかない事があったら他の生徒に聞けば良い、なにせ今の君は普通の学園の生徒なんだからね、普通に友達を作って一緒に学び遊ぶ権利がある。」

セイバー「(この説明を読む限りジョストに関しては問題なさそうですね)」

?「ねえ、えーと、アルトリアさん」

セイバー「は、はいなんでしょう」

?「私ノエル、よろしくね。」

セイバー「こちらこそよろしくお願いしますノエル」

ノエル「次の時間は馬術だから更衣室で着替えてからなんだけど、その場所とかわからないでしょ?良かったら一緒にどう?」

セイバー「ぜ、是非ともよろしくお願いします。」

ちょっと休憩、ちょっとしたらまた投下します。

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再開前に設定的なものを

魔法や魔術的なものはマーリン以外出てきません

話の都合でスィーリアやノエルと言ったキャラも寮生活です

キャラは基本的に女子寮、男子寮、職員寮のいずれかに住んでいます(+街の人々

セイバー以外のFateキャラも出てきますが容姿が似ただけの別人です

魔力補正がないのでセイバーの筋力は弱いです

その他適宜話の途中で設定の説明も挟みます

馬術教官「えーとそこのちっこいの、お前よお前転校生ガハハ」

セイバー「(はっ?らっライダーいや私の事知らないようですし征服王に似てるだけでしょうか?)は、はい!」 

馬術教官「まずはお前のお手並み拝見と行きたいところだのう、転校生とはいえ騎士科の生徒馬には乗れるだろう?」

セイバー「も、もちろんです!ところで教官失礼ですがお名前は?」

馬術教官「おうすまんなワシはアレックスだ、見てのとおり馬術の教官だ」

セイバー「(やはり他人の空似か)」

アレックス「どうかしたか?」

セイバー「いえ知人に似ていたもので」

アレックス「ふむ、それより今日は自分の鎧ではなく学園の鎧のようだが馬に乗って大丈夫か?」

セイバー「ええ、鎧が違っても問題ありません。」

アレックス「よし、ではとりあえずこの練習コースを一週してくれ。」

セイバーはマーリンが用意したと思われるブロンドの毛が美しい愛馬エクスカリバーにまたがり勢いよく鞭を叩いた

セイバー「(ふふいきなり馬術で実力を見せるチャンスこれをきっかけに友達を作るチャンスともなりましょう)」

しかしセイバーの目論見は失敗、とまではいかないが上手くはいかなかった

アレックス「うーむ技術的には申し分ない、しかしまだまだ馬に乗せられておるなガハハ」

セイバーの騎乗技術そのものは騎士王時代のそれが保たれていた、が

セイバー「(そうか魔力でブーストされていないから今の私は筋力が…)」

とうなだれていたセイバーだったが

ノエル「す、凄いよアルトリアジョスト歴浅いって言ってたけど馬術は十分この学園でも上位に入れると思う」

ベルティーユ「わたくしほどではありませんがなかなかやりますわね~」

アンエマ「さっすがベルティーユ様その根拠のない自信は尊敬します。本当になんの根拠もないんですけどね」

どうやら筋力こそないものの騎乗技術は十分この学園のレベルにあったものだったようだ

その後セイバーはとりあえず無事学園生活の初日を終えた

もっともジョスト以外の勉強には多少の不安があったりはしたのだが

セイバーは寮へ戻る前になんとなく学園を一回りして色々見ておこうと思いひとまず厩舎へと向かった

そこでは一人の男子生徒が馬の世話をしていた

セイバー「あっ、先ほどはありがとうございます。」

朝、職員室の場所をセイバーに教えてくれた生徒だ

?「ああ、あの時の俺は水野貴弘」

セイバー「私はアルトリア・ペンドラゴンです。馬の世話をしているのですか?」

貴弘「ああこうして馬の世話をするのも大切な騎士の仕事だからな」

「とはいっても俺は騎士科じゃなくてベグライターだけど」

ベグライター、マーリンのメモによると騎士を補佐する役割らしい。

セイバー「私は騎士科への転校生なんです、なので今日は帰る前に学園を一回りしておこうかと」

貴弘「ああそういう事なら、案内するよ。ちょっと待っててくれ」

というと貴弘は馬の世話に使う道具を片付けにいってしまった。

セイバーはなんの気なしに馬を撫でようとしたのだが…

ヒヒーンと声をあげて暴れだしてしまった。

今の彼女には無理やり押さえ付ける程の腕力はない、なんとかおさえようとしたが走りだし、その先には…

ベルティーユ「な、なんですの?てっう馬?」

ベルティーユ「アン、エマ、こういう時こそ落ち着いて対処するのが貴族というものですわ」

アンエマ「なんだかよくわからないけど頑張ってくださいベルティーユ様!」 
しかしそのすぐ後ベルティーユたちは走って逃げ出した、が

馬に追い付かれてベルティーユはあられもない姿に…

なんとかその場は戻ってきた貴弘が馬を落ち着かせてことなきを得たかと思われたのだが…

セイバーとベルティーユはジョストで決闘する事になってしまったのだった

とりあえず今日はここまでです

週に1、2回程度のペースでのんびり進めていきますがお付き合いください。

さて美桜の出し方に困る展開になってしまいましたが…

美桜もちゃんと出てきますのでご安心ください。

次回はまだ出てきていない美桜やスィーリアを登場させつつジョスト対決の準備回として進みます。

ベルティーユとの対決は次次回ないしその次ぐらいになる予定です。

つたない文章ですが次回も読んでください。

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プロット考えただけで書き貯めはしてないので速度ゆっくりですが今から投下します

なんだか厄介事に巻き込まれたものだと思いながらもセイバーは帰路についた。

もっとも戦いは王としての彼女にとってはその本質のひとつとも言えるものだったので内心望むところだ、とも思っていたのだが。

彼女が寮の自室へと戻ると慌ただしかった朝は気が付かなかったが―十中八九あの魔術師が用意したであろう―様々なものが部屋に用意されている事に気が付いた。

勉強で使う道具一式、彼女好みの華美にならない着替え数着(その中には着慣れたあのブラウスもあった)、封筒に入れられたお金。

どうやら生活に必要なお金は毎月こうしてどこからか送られて来るようである、同封されたメモにはこの世界にも君を楽しませるに足る娯楽や食事があるはずだから休みには是非とも外出を勧める旨が書いてあった。

その他にも生活するのに必要なものが大抵は既に揃えられていた。

神話の時代の人物とはいえある意味現代での生活になれてしまったセイバーにはありがたかった。

そして最後に、クローゼットに置かれた鎧に気が付いた。

騎士王として纏っていたそれにデザインこそよく似ていたが、機能的には大分動き易さを重視しているようだった。

「この世界での騎士の戦いはあくまでも競技という事なのですね」

セイバーは一人頷いた。残念そうかと思えば、その姿はむしろ嬉しげにも見える。

「競技としてのみ騎士の戦いが残るこの世界はどうやら争いとは無縁のようだ」

またしても一人頷いていた。思えば彼女の人生はすなわち戦いの人生であった。

これはあの魔術師にもちゃんとお礼をしないとな、とセイバーは思ったがこちらからマーリンに連絡をとる手段がないし、なによりお腹が減ったのでひとまず食堂へ向かった。

食堂へとやってきたセイバーは絶句した。

食事の準備がまだ出来ていなかったからではない。

彼女はあまりにその場にあまりにふさわしくない人物を見つけたのだった。

言峰綺礼、その人である。

思わず言葉を失ったセイバーに言峰が声をかける。

「おや、まだ食事の時間には30分程あるはずだが。ああ君は今日から来た転校生か…私は言峰至礼だ、ここの寮長兼コックをしている」

どうやらまた他人の空似らしい

「はあ、私はアルトリアです。食事の時間にはまだ早かったのですね、申し訳ない」

「なにもう準備自体はほとんど終わっている。ただ君だけ先に食べる、というのはな。よし少しこの寮について説明しよう」

その後言峰は非常に滑らかに寮生活について説明してみせた、食事や風呂、門限その他簡単な説明ではあったが必要な事は全て含まれていた。

当初その姿に驚いたセイバーだったが考えれば考える程この男は寮長、女子寮の寮長に適任なのではないかと思いはじめた。

というのも、彼なら女子生徒に手を出す事はないだろうし、不審者が来ても悠々と撃退する戦闘力もある、

加えて今彼女の目前にある料理は決しておどろおどろしい色の麻婆豆腐ではなく美味しそうな中華料理である。

そんなこんな考えているうちに他の生徒が入って来た、もうすぐ食事の時間である。

食事をしながら他の生徒と会話を交わし、この寮では食事に関して3つの選択肢がある事を知った。

ひとつは今の自分のように寮の食事、次に自分で食事を用意する、つまり共用のキッチンで自分で作る、最後に外のお店で食べるという方法。

比較的裕福な生徒が多いこの学園では外食派が主流のようである。通りでベルティーユたちはいないはずである、とセイバーは内心ホッとした。

とりあえずセイバーは寮での食事を選ぶ事にした。士郎程ではないにせよ言峰の作る食事は美味しかったし、マーリンからの仕送りだけでは毎日外食は厳しい、金銭面はともかく自分で作るのはもっと厳しいとの判断だった。

部屋に戻る途中でセイバーは掲示板に目を止めた、学園生活についてやらこの街での生活について色々な情報であふれているのだがその中のひとつに彼女の興味を引くものがあったのだった。

部屋に戻ると一日の出来事を簡単に日記にまとめ、風呂に入って時間はまだ早かったが彼女はすぐ寝た。

思った以上にこの慣れない生活で疲れがたまったようだった。

この世界に来て2日目にして彼女は初めて馬上で槍を振るうのだが思いもよらず苦戦を強いられた。

剣程ではないにせよ槍の扱いにも自信はあったので多少狼狽したが考えてみれば今の自分は小柄なただの少女、大きな槍を馬上で片手で扱うのは苦労して当然であった。

前日決闘の約束をした時は面倒でこそあるが常勝不敗の騎士王に敗北などありえないと余裕を持っていたがそうもいかないようだ。

さてどうしたものか、隣の席のノエルとは既になかなか親しくなったし聞けば彼女のジョストの腕前はかなりのものだという。彼女にアドバイスを貰うべきだろうかと思ったがなんとなくプライドに障ったのかやめておく事にした。

そんな事を考えながら歩いていると聞き覚えのある声に呼ばれた。

「おーい、昨日は大変だったな。結構腕に自信ありって感じだったけどまだ経験は浅いんだろう?ベルティーユはあれで騎士としてはなかなかの腕前なんだ」

水野貴弘の問いかけについ「自信はあったのですがちょっと槍の扱いに不安が…」と本音が漏れた。

彼はベグライター専攻だが元々は騎士科だったらしくしかも相当な腕前だったらしい。訳あってベグライターになったそうだが深くは詮索しなかった。

そんな訳でなし崩し的に貴弘に師事する事になったのである。

彼はジョストに関して様々な事を知っていた。

セイバーが筋力が槍の動きについていかないという話をすると、何も振り回す訳じゃないんだからそこまで筋力は重要ではない、他の女騎士達だってムキムキって訳じゃないだろうと笑いながら話した。

でも、と彼は最後にこうつけ加えた「それでもやっぱりアルトリアはもう少し筋力頑張った方がいいかもな」

セイバーは一瞬ムッとしたが紛れもない事実だったし、槍の技術には精確にそれを扱えるだけの筋力も不可欠だと理解していた。

それからは学園の授業が終わると貴弘との特訓が日課となった。

ジョストの技術や戦術をそこで学び、家に帰ると筋トレという日々である。

女の子の青春というには多少間違っている気もしたがセイバーにはとても楽しい毎日であった。

そんな楽しい日々は時間が経つのも早くセイバーはここへ来て初めての週末を迎えた。

この日セイバーは街の郊外へと向かっていた。

以前寮の掲示板にあったイベント情報を見て以来楽しみにしていた事があった。

「さて、ここが動物園ですね」

同伴者もなく一人で来ているのだがとても楽しげだ。

彼女はチケットを買ってゲートをくぐると一目散に走り出した。

「ライオン舎はここですね。」

どうやらお目当てはライオンだったようだ。

中でも彼女が楽しみにしていたのは…

ライオンの赤ちゃんを抱っこして写真が撮れるというイベントだった

彼女のシンボルであるライオンだが、赤ちゃんライオンは特別好んでいた。というのも、彼女は昔赤ちゃんライオンを短い期間ではあるが預かって育てていたことがあったのだ。

列に並び今か今かと順番を待つその顔は紛れもなく年相応な少女のものであった。

「やはり今日はここに来て正解でした、ライオン以外にも様々な動物も見れた」

満足した彼女は帰る前におみやげを買う事にした

いくつかの種類があるライオンのぬいぐるみを物色していると、隣で熊のぬいぐるみをいとおしそうに見ている女性に気が付いた。

年は同じぐらいか少し上ぐらいだろうか彼女もまたぬいぐるみを真剣に選んでいるようだ。

ふとセイバーは声をかけてみた

「この動物園のぬいぐるみはなかなか出来が良くどれにすべきか悩んでしまいますね」

急に声をかけられ少し驚いたようだが返事が返ってきた

「ああ本当にそうだな、どれも丁寧に作られていて甲乙つけがたいが私のお気に入りは熊だ」

私はライオンが好きですと返しとくとくとライオンの魅力について話してしまった。

そうすると相手は同じようにとくとくと熊の魅力について語りだした。

この人とは仲良くなれる気がするなどと考えていたところ

思わず時間をとらせてしまったな、と言って彼女は熊のぬいぐるみを買うと店を後にしていた。

名を聞き忘れてしまいました、と少しがっかり来たがセイバーもぬいぐるみを買うと店を後にした。

そう遠くない未来彼女とは再び顔をあわせる事になるのだがセイバーはまだ知る由もなかった。

スィーリアと出会ったところで今日は終わりです。

なんか予定より進行が大分ゆっくりな気がしますが着実に進めていくので気長に読んでください。

次回は美桜登場までの予定です。

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続きはまだか!?

セイバーは悩んでいた

マーリンの送ってくれるお金だけでは明らかに足りないのだ

寮で食事が用意されるのは夕食と休日の昼食のみ、朝食も昔は用意されていたそうだが朝食は希望する生徒が多く準備が間に合わないので自然と廃止されたという過去があるらしい。

そんなこんなで朝食は毎朝途中にあるカフェで、昼食は学園の食堂でといった具合になるのだがこれを続けていてはすぐにお金が底をつきてしまうのである。

彼女としてもあまりマーリンに頼りっぱなしというのも癪なのでアルバイトの一つでもしてみようと思ったという次第である。

もっともマーリンはそんな事は予期していた上での、バイトの一つぐらいやるのもまた必要という手心だったのだが。

早速出来た友人の1人である隣の席のノエルにでも相談してみようかなどとも思ったが、思えば彼女は裕福な家の娘なのでそういう話題には疎いのではとやめておいた。

まあこれはいらぬ深読みであったのだが…

もはや日課となりつつある貴弘とのジョストの放課後特訓の際にそれとなく聞いてみたところ彼は今自分がやっている酒場のバイトを勧めてきた。

どうやら他にもこの学園の生徒がいるようである。

なお貴弘は何の気なしにアルトリアは健啖家だもんなと笑いとばした事に対してセイバーの不興を買った事に全く気が付いていない様子であった。

ちょうど今日はバイトの日だというので練習の後一緒に行ってみることにした。

そこには見知った人物がいた、ノエルである。

セイバーがノエルはバイトなどする必要などないのではと不思議そうに尋ねると単純に興味があるからやっているというなんとも彼女らしい答えが返ってきた。

そしてもう1人彼女たちと似たような年頃の女の子がいた。

「私は希咲美桜、みんなと違って普通科だけど同じウィンフォードの生徒だよ」

こちらから話しかける前になんとも親しみやすい笑顔と共に自己紹介してくれた。

セイバーも自己紹介をする。するとちょうどそこへ店のマスターがやってきた。

貴弘が彼女が新しくここで働きたがっているという事を伝えると二つ返事で了承された。どうやら人手不足で悩んでいたようだ。

それからの日々はなかなかに忙しかった。

学園の授業、貴弘との特訓、バイト、家に帰ったら帰ったで筋トレが待っている。

サーヴァントとしてであればこの程度は大した事はないが今は年相応の生身の少女としての体力しかない。

生まれて初めての筋肉痛に悩まされたが何故だかそれは心地よかった。

当初こそ苦戦していたジョストだが特訓のおかげと彼女のもつ天性の戦闘センスですっかり一角の騎士になりつつあるなという実感が少なからず自身の中にあった。

しかし貴弘によると

「たしかにかなり上達してきたし多分ベルティーユとも互角以上にやれるとは思うんだけど」

と前置きした上で

「なんていうか競技ってより本当に相手を殺すような妙な気迫というか、実際の戦いかのような荒々しさがあるんだよな」

そんな事を言われてしまった。

今彼女がやっているのは別に殺しあいの本物の戦いではないことなど頭では当然理解しているのだが、何分実戦の中で鍛えられた技術が多分を占めているからだろうか、などとセイバーは思案した。

「まあ別に悪い事ではないんだけどな、でもっ」

そこで貴弘は言葉を切ってしまった。

その続きが気になってきいてみたが、今は気にする事ではないとはぐらかされてしまった。

「とりあえず今は目先の勝負に勝つのが優先だ、なんたって初めてのジョストの試合なんだから」

その言葉には説得力があった。

セイバーの時代にも馬上試合はあったが競技化されたスポーツとしてのそれはまだ未経験だったからだ。

その後も黙々と練習に励みついに試合の日を迎えたのだった。

とりあえずここまでです。

次回は試合ですが試合そのものは手短に終わらせるつもりです。

一応ジョスト初体験から初めての試合までをイントロダクション的な感じにして、そこから様々な人物との関わりが広がりという流れになる予定です。

保守

保守

まだか

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