レヴィ「ヘイ、ロック!!トリックオアトリート!!」ロック「……」(187)

レヴィ「お菓子くれなきゃその頭に穴を2つ開けて、双眼鏡にしちまうぞ?」

ロック「……持ち合わせがないんだけど」

レヴィ「んだと!?ふざけんな!!」

ロック「まさかレヴィがハロウィンに興味があるなんて思わなくて……」

ヘンゼル「トリックオアトリート!!」

グレーテル「お菓子くれなきゃ悪戯するわ」

ロック「はい。どうぞ」

ヘンゼル「わーい。姉様、次に行くよ」

グレーテル「ええ、兄様。でも、次の家はくれるかしら?」

ヘンゼル「大丈夫。そのときは殺しちゃえばいいんだから」

グレーテル「まぁ、素敵。そうしましょう」

レヴィ「……」

ロック「今日は流石のロアナプラも平和でいいな。ずっとこうならいいんだけど」

ベニー「それだと僕が困る。機材が調達できない」

ダッチ「お菓子はくれても仕事は貰えないからな」

ロック「それもそうか」

ダッチ「さて。今ので今宵のプチデビルも最後だろうな。そろそろ大人の時間と行くか」

ベニー「いいお酒でも手に入ったのかい?」

ダッチ「ご名答だ、ベニボーイ。まぁ、雇用主としてはサービスにも気を配るのさ」

ロック「ありがとう、ダッチ。頂くよ」

レヴィ「ヘイヘイ!!」

ロック「どうしたんだ?」

レヴィ「ロック。お前、あたしにホラを吹いたみたいだな。そのミルクくせえ口で」

ロック「ホラって……」

レヴィ「お菓子あるじゃねーかよ!!あぁ!?あたしの目に映ってるそれは蜃気楼か!?」

ロック「だから、これは子どもようで……」

ダッチ「グラスを持ってこよう」

ベニー「僕も手伝うよ」

ダッチ「酒の席でボーナスはでねえぞ?」

ベニー「手厳しいね」

レヴィ「まだ余ってんじゃねーかよ!!早く寄越しやがれ!!」

ロック「これは今から酒のあてにするから」

レヴィ「こんな甘ったるいもんで酒呑んだら、小便まで甘くなるぜ!!どんだけメルヘン思考なんだよ!!」

ロック「……」

レヴィ「トリックオアトリート!!!」

ロック「待ってくれ。じゃあ、せめて仮装してくれ」

レヴィ「仮装だ?おいおい、頼むぜ。ロック。あたし以上の悪魔がこのロアナプラにいるのかよ?」

ロック「どういうこと?」

レヴィ「あたしはこのままでも十分悪魔だろ?」

ロック「仮装するまでもないって言いたいのか」

レヴィ「そういうことだ。ほら、そのチュッパチャップスのコーラの奴でいいから」

ロック「駄目だ。レヴィ」

レヴィ「死にたいのか?」

ロック「銃を向けても駄目なものは駄目だ。ハロウィンは仮装した人にお菓子をあげるのがルールだからね」

レヴィ「ロック。あまり舐めてるとマジで殺すぞ?こっちは糖分が不足してて今にも引き金を引いちまいそうなんだ」

ロック「駄目だ。悪魔だっていうならせめて悪魔の羽でもつけてきてくれ」

レヴィ「この……!!」

ロック「そんなに欲しければ教会にいけばいいだろ。誰にでも配布するってエダも言ってたじゃないか」

レヴィ「あのクソ尼に乞うぐらいならケツでコーラ飲み干すほうがマシだ」

ロック「ダッチ、きいたー?」

ダッチ「おう。コーラ、あるぜ」

レヴィ「嘘に決まってるだろ。マジになんなよ」

ダッチ「なんだ。ウソか」

レヴィ「トリックオアトリート」

ロック「駄目だって」

レヴィ「なんだよ!!一個ぐらいいいじゃねーかよ!!なんでだよ!!!」

ロック「おい、レヴィ。見苦しいから」

レヴィ「一個ぐらい分けろよ!!こういうのは山分けって相場がきまってんだろーが!!」

ロック「決まってないよ」

ロベルタ「失礼いたします」

ロック「ロベルタ?」

レヴィ「てめぇ!?何の用だ、こらぁ!?」

ロベルタ「若様、ほら」

ガルシア「ト、トリックオアトリート……」モジモジ

ロック「ああ。なるほど。はい。ガルシア君」

ガルシア「あ、ありがとう!!わーい、貰えたよ!!ロベルタ!!」

ロベルタ「ほら。今日は皆が同じようにしているのです。若様も恥ずかしがらずに家を回りましょう」

レヴィ「……」

ガルシア「じゃあ、夜分に失礼しました」

ロベルタ「失礼いたしました」

ロック「バイバイ」

ダッチ「なんだ。まだリトルデビルは寝ないのか」

ベニー「もう少し様子を見ようか?」

ダッチ「そうだな。ファニーボーイやキュートガールが尋ねてきて、俺たちが酒の呑みすぎでトイレの順番待ちをしていたら締まらねえからな」

ロック「あと、1時間だけ待ってみるか」

ダッチ「それで行こう。ベニー、少しお預けだ」

ベニー「じゃあ、僕は部屋にこもるよ」

ダッチ「俺も書類の整理をしておくか」

ロック「コーヒーでも入れよう」

レヴィ「ヘイヘイヘイ!!!ロック!!!」

ロック「まだ何かあるのかい?リアルデビル」

レヴィ「あのキリングマシーンにはあげて、このレヴィ様にはお預けってなんのプレイだよ?あたしはそういうのではイケないって知らなかったか?」

ロック「知らないし、今のはガルシア君にあげたんだけど」

レヴィ「とりあえず寄越せよ!!!」

ロック「うわっ!?駄目だって!!」

レヴィ「トリックオアトリート!!!」ググッ

ロック「チュッパチャップスの箱ごと持って行こうとするな……!!」ググッ

レヴィ「コーラのやつぅ……!!」

ファビオラ「あのー……」

ロック「あ、ファビオラ。こんばんは。ガルシア君ならさっき出て行ったけど」

ファビオア「知っています」

ロック「どうかしたのかい?」

ファビオラ「ト……トリック……オア……トリート……」モジモジ

ロック「ああ」

レヴィ「はっはっはー!!残念だったな、チビ。なんの仮装もしてないと菓子はあげられねーんだよ、バァーカ」

ファビオラ「……良く見てください。メイド服を着ています」

レヴィ「……」

ロック「はい。ファビオラ。好きなの持っていって」

ロォォォォォォォォォォック!!

ファビオラ「では……この、コーラ味のを」

レヴィ「てめぇ!!!それはあたしんだぞ!?あたしの所有物を盗んで無事に済んだ奴なんてこの世にはいないってこと教えてやるよ!!!」

ロック「ほら、早く行かないと置いて行かれちゃうよ?」

ファビオラ「はい。ありがとうございました」チュパチュパ

レヴィ「あー!!!あー!!!!」

ロック「バイバイ」

ファビオラ「……」バイバイ

ロック「まだ来そうだな……」

レヴィ「ヘイヘイヘイヘイ!!!ロック!!!」

ロック「なに?」

レヴィ「もう沢山だ。てめえとは金輪際、仕事しねえ!!」

ロック「レヴィ、大人気ないぞ。そもそも仮装したらいいだけの話じゃないか」

レヴィ「うっせえ!!もう知るか!!あたしは帰って寝る!!」

ロック「あ、レヴィ」

レヴィ「糖尿病になって臭いションベン垂らしならが死ね!!」

ロアナプラ 市街地

レヴィ「ちくしょう……ロックのやろう……。渡す側だからって調子に乗りやがって……。むかつくぜ……」

ヘンゼル「姉様、いっぱい貰えたね!!」

グレーテル「ええ、兄様。返り血もいっぱい貰ったけど、これなら当分はお菓子を買わなくていいわね」

ヘンゼル「そうだね。さあ、早く帰ろう」

グレーテル「兄様、私のウィスキーボンボンは残しておいてね」

レヴィ「チッ。マッチ売りの売女もこんな気持ちだったのか……」

レヴィ「教会に行くか……?いや、エダのことだ。ロック以上に理不尽な要求をしてくるに決まってる」

レヴィ「暴力教会だけには行けねえ……」

雪緒「とっりくおあ~とり~と~」

レヴィ「ん?」

銀次「お嬢。菓子ならここに」

雪緒「銀さんからはもう頂きましたから」

銀次「しかし!!待てど暮らせどお嬢にラムネの一つも届かない有様じゃあ……!!」

雪緒「いえ、私は諦めません」

銀次「お嬢……!!」

雪緒「日本ではまだまだ馴染みの薄い文化。だから、こうして海外まで足を伸ばしたのです」

銀次「それはそうですが」

雪緒「このまま手ぶらでは帰っては鷲峰の名折れとなるでしょう」

銀次「お嬢……。そこまでの覚悟があったんですね」

雪緒「さあ、銀さん。ご一緒に」

銀次「ヘイ」

雪緒「とりっくおあ~とり~と~」

レヴィ「こんなとこで何やってんだ?」

雪緒「お菓子を恵んでください」グゥ~

レヴィ「はぁ?なんであたしが」

銀次「お嬢はもう5時間も何も食べてねえんだ」

レヴィ「それはご苦労だな」

雪緒「どうして誰も私にお菓子をくれないのか……わかりません……。きちんと和装できたのに……」

レヴィ「おばけっぽくねえからだろ」

雪緒「ジャパニーズゴーストは皆、白い着物を着ています」

銀次「お嬢の言うとおりです」

レヴィ「こっちのゴーストはかぼちゃ被ってんだよ。そんな陰険で青白い奴は病人以外にいねーよ」

雪緒「文化の違いですね」

銀次「どうしやすか?」

雪緒「銀さん。では、日本のお化けがいかほどかロアナプラのみなさんに教えて差し上げましょう」

銀次「名案です」

雪緒「いちま~い……にま~い……」

銀次「お嬢!!怖すぎて褌もはけやしねえ!!!やめてくだせえ!!」

レヴィ「まぁ、がんばってくれ」

レヴィ「……」

レヴィ(そうか。あたしも同じだな)

レヴィ(悪魔だ、ゴーストだって言ってる中で、あたしが悪魔だなんて言っても誰もそうは思わない)

レヴィ(あたしがどれだけ悪魔なのかを知らしめないと駄目だな)

レヴィ「よし」

ラグーン商会

ロック「レヴィ……」

ダッチ「どうだ?」

ロック「駄目だ。自室にも戻ってないみたいだ」

ベニー「イエローフラッグにも来てないって」

ダッチ「仮装もなしに菓子を貰いにいったのか?」

ベニー「お化けじゃなくて核ミサイルが玄関先にいるようなものだから、誰も出てくるわけないよ」

ダッチ「ちがいねえ。むしろシェルターを乞いに住人が裸足で逃げ出すな」

ベニー「はははは」

ダッチ「はははは」

ロベルタ「―――手を上げてくださいまし」チャカ

ロック「……!?」

ダッチ「わ、悪いな。手を上げたはいいが、あんたの出す問いには答えられそうもねえ」

ロベルタ「いいえ。答えられるはずです。若様の勇気を振り絞って集めに集めたお菓子はどこですか?」

ロック「え?」

ロベルタ「早く言ってください。返答次第では私は貴方たちの臓物から若様のお菓子を取り返さないといけませんから」

ダッチ「待て待て。なんのことだ?」

ロベルタ「知らないというのなら、胃袋に直接問いかけてみてもいいのですが」

ベニー「そこに訊いても何も出てこないよ」

ダッチ「昼に食ったピザも下水道を流れてる時間だしな」

ロベルタ「……死ね」

ロック「待って!!待ってくれ!!本当に知らない!!何のことだ!?」

ロベルタ「ここに住まうハイエナが若様のお菓子を奪ったのです!!!」

ロック「レヴィが?」

ダッチ「ロック、お前が頑なにレヴィにあげないからこうなったわけか」

ロック「ダッチだってレヴィが仮装するまで絶対にあげるなっていったじゃないか」

ダッチ「しらねえ」

ロック「ずるいぞ!!」

ロベルタ「墓標に飾る言葉はそれでよろしいですね?」

ロック「待ってくれ!!話し合えばわかる!!」

ガルシア「うっ……うぅ……ロベルタぁ……」ウルウル

ロベルタ「あぁ!!なんともお可哀相な若様……!!待っていてください。すぐに取り返しますから」

ファビオラ「わかひゃまのおふぁふぃ、かふぇふぃてくふぁふぁい」チュパチュパ

ロック「ガルシア君。レヴィは奪うとき、何か言っていたかい?」

ガルシア「うっ……えっと……あたしが悪魔だーって……言ってた……」

ロック「何をしてるんだ、レヴィ……」

ヘンゼル「おかしかえせー!!!」

グレーテル「かえしてー!!!」

ベニー「千客万来だ。よかったね」

ダッチ「ほらな、仕事があるときは平和じゃねえんだ」

ロック「とにかく時間をくれ!!レヴィに事情を聞かないと!!」

ロベルタ「まだいいますか!!!」

ロック「頼む!!ロベルタ、このお菓子あげるから!!」

ロベルタ「……4時間だけ待ちます」

ロック「ありがとう!!レヴィを探してくる!!」

ちょろい!

市街地

レヴィ「大量、大量」

レヴィ「よーし。そろそろロアナプラのレヴィはオーガだってことが広まってるはずだな」

レヴィ「んじゃ、早速お邪魔するか」

バラライカ「止まれ。ハロウィンにしては随分と厄介なお化けが徘徊しているようだな」

レヴィ「姉御か。丁度いい。トリックオアトリートっ」

バラライカ「鉛しかないがいいか?」

レヴィ「姉御、頭にまで硝煙が回ったか?普通は鉛じゃなくておか―――」

バラライカ「構え」

ボリス「……」チャカ

レヴィ「え……」

バラライカ「同志軍曹?」

ボリス「はい。ラグーン商会のレヴィが仮装した少年少女からお菓子を強奪したのは間違いありません。被害報告が何件も挙がっています」

バラライカ「だそうだ」

レヴィ「ま、待ってくれよ……それには事情が……」

バラライカ「今宵の祭りを台無しにして、言い訳など不要だ。レヴィ、あなたにできるのは懺悔だけよ?」

レヴィ「姉御……そんな……」

バラライカ「祈れ。そして子供たちに謝れ」

レヴィ「だって……」

バラライカ「だっても糞もあるか!!」

レヴィ「ひっ」

バラライカ「お前は子供たちから奪ったのはお菓子だけではない」

レヴィ「お菓子だけだ。金なんて盗ってねえよ」

バラライカ「違う。奪ったのは笑顔だ!!!」

レヴィ「……」

バラライカ「夢の一夜をナイトメアにしてくれた。お前は十分、悪魔だよ」

レヴィ「じゃあ、お菓子を……」

バラライカ「本物の悪魔には銃弾でいい」

レヴィ「姉御!!あたしだってお菓子ほしいんだよ?!分かってくれよ!!」

バラライカ「だからって奪うやつがあるかぁ!!!」

姉御、番外編のママンみたいになっとる

レヴィ「トリックオア……トリートぉ……」

バラライカ「今、くれてやろう」

ロック「待ってください!!」

レヴィ「ロック?!」

バラライカ「……庇うか?」

ロック「俺の所為なんです」

バラライカ「……」

ロック「俺がレヴィにチュッパチャップスをあげなかったから……こんなことに……」

レヴィ「ロック……おまえ……」

バラライカ「原因がロックにあったにせよ、実行したのはレヴィの判断。これは看過できないことよ?」

ロック「どうか……これで今日のところは許してください」

バラライカ「ふふ、賄賂とは。この世界で生きていく術を身に付けてきたか。そう言うところは好きよ?」

ロック「どうも」

バラライカ「でふぉ、れふぃをこのふぁふぁゆるふふぁけにふぁねぇ」チュパチュパ

ロック「お菓子は子どもたちに返しますから」

>ファビオラ「わかひゃまのおふぁふぃ、かふぇふぃてくふぁふぁい」チュパチュパ

>バラライカ「でふぉ、れふぃをこのふぁふぁゆるふふぁけにふぁねぇ」チュパチュパ

興奮した

レヴィ「姉御……悪かった……」

バラライカ「いふぁさふぁあやふぁられふぇも……」チュパチュパ

ロック「これ、日本のお菓子なんですけど」

バラライカ「……」ピクッ

ボリス「それは?」

ロック「うまい棒です。味はコーンポタージュです」

バラライカ「トリックオアトリート」

ロック「どうぞ」

バラライカ「同志軍曹。はんぶんこだ」

ボリス「大尉……」ウルウル

ロック「バラライカさん」

バラライカ「今回だけだ。あと、お菓子は全部返すように」

ロック「はい!!」

レヴィ「……」

バラライカ「おいしいな、これ」モグモグ

ロック「はぁ……なんとかなった……」

レヴィ「あんなもんまであったのかよ。あたしにもトリックオアトリート」

ロック「レヴィ?君は今、命を救われたんだぞ。分かってるのか?」

レヴィ「でも、あのロアナプラのサタンも結局はお菓子欲しさに出てきただけだろ?」

ロック「反省しないなら、もうお菓子はなしだ」

レヴィ「待てよ!菓子をガキどもにサンタよろしく配れば解決だろ!?」

ロック「レヴィ」

レヴィ「なんだよ」

ロック「もういいよ。俺が返すから」

レヴィ「なんだよ!?あたしが返すっつってるだろ!?」

ロック「レヴィ、お菓子なし!!」

レヴィ「な……?!」

ロック「……」スタスタ

レヴィ「トリックオアトリートォォ!!!!」

レヴィ「……なんだよ。はっ!!菓子なんているか!!あたしが欲しいのは酒だけだ、バーカ!!バーカ!!!」

レヴィ「……」

雪緒「いちま~い……にま~い……8枚たりませ~ん」

銀次「お嬢!!もうやめてくだせえ!!一人で便所にいけやせん!!!」

レヴィ「よう。まだやってたのかよ」

雪緒「ええ。もう入れ食いで」

レヴィ「!?」

雪緒「どうやら雰囲気でお化けであることを察してくれたようでして。ロアナプラはいいところですね」

レヴィ「ま、マジかよ……」

銀次「そっちの景気は悪いみてえだな」

レヴィ「ち、ちげえよ。もらったそばから食ってるから手元にねーんだよ。あたしの異名は二挺拳銃とキャンディーバキュームだからな」

雪緒「そうですか」

銀次「まぁ、互いに血を啜る者同士。この夜を楽しむが吉だ」

レヴィ「……なぁ」

銀次「ん?」

レヴィ「ト……トリックオア、トリート……」

雪緒「……」

銀次「俺に乞うとは、いよいよ崖の先にいるようだな」

レヴィ「もらえるものは全部もらうことにしてんだよ」

銀次「悪いが仮装もしていないあんたにはあげられねえ」

レヴィ「なんだと?!ロアナプラの悪魔っていったら、あたしのことだ!!」

雪緒「銀さん」

銀次「お嬢?」

雪緒「どうぞ」

レヴィ「お……」

雪緒「こんなに食べられませんし」

レヴィ「……やったぜ」

雪緒「ハッピーハロウィン!!」

レヴィ「ハッピーハロウィン!!」

銀次「お嬢の優しさは目に悪い……」ウルウル

ラグーン商会

ロック「これで全部だね?」

ヘンゼル「やったー!!」

グレーテル「チョコレートが戻ってきたー」

ロベルタ「よかったですわ。若様、数は合っていますか?」

ガルシア「うん。大丈夫!!」

ファビオラ「よふぁったでふ」チュパチュパ

ダッチ「ロック、ハロウィンに現れたデビルシンデレラはどうした?」

ロック「さぁ。その内、戻ってくるんじゃない?」

ダッチ「またか」

ベニー「ロック。レヴィの育ちの悪さは知ってるだろ?今更叱っても直らないよ?」

ダッチ「同感だ。尻を叩いても躾にはならねえ。レヴィが喜ぶだけだ」

ロック「分かってるよ」

ダッチ「探しに行ってこい。社長命令だ」

ロック「オーライ」

市街地

レヴィ「トリックオアトリート」ガンガン!!

シェンホア「……」

レヴィ「げ。ここ、お前の家かよ」

シェンホア「なにようか?アバズレ」

レヴィ「トリックオアトリートっつってんだろ」

シェンホア「あんたにあげる菓子はないね」

レヴィ「なんだと?!」

ソーヤー『タ……ダ、いマ……』

レヴィ「ゴス……!?なんだよ、その両手いっぱいの菓子は?!」

ソーヤー『あルい、てる、ダケで、くれた、ケド?』

レヴィ「……」

シェンホア「悪魔チックな服装だからね。あんたもああいう服きないと、ダメね」

レヴィ「あたしが……!?」

ソーヤー『キ、ル?カシテ、あげる……ケド』

レヴィ「んなもん、着れるかよ!!」

シェンホア「なら、誰もお菓子はくれないね」

ソーヤー「……」コクッ

レヴィ「はんっ。そう言う考えはもう古いぜ。くれる奴もいるんだよ!!」

シェンホア「そいつ、ハロウィンのこと毛ほども理解してない、ちがうか?」

レヴィ「……」

ソーヤー『キタ……ほう……が……』

レヴィ「うっせえ!!あたしはこのままでも十二分に悪魔的なんだよ!!」

ソーヤー「なら、教会に行ってみるよろし」

レヴィ「教会?」

ソーヤー「誰にでも配る教会でもあんたにはあげないね」

レヴィ「んなことあるかよ」

ソーヤー『イッテ、みれば……ワカル……』

レヴィ「……誰が行くか!!」

シェンホア「現実を知らないと霞をたべることになるけど、よろしか?」

教会

子ども「トリックオアトリート!!」

エダ「ほら。もってけ」ポイッ

子ども「ありがとう、おばちゃん!!」

エダ「鉛も持ってけ!!!クソガキがぁ!!!」

ヨランダ「エダ」

エダ「はぁ……これだから、祭りは……」

ヨランダ「教会だから仕方ないさね」

エダ「分かってますけどね。ガキの相手は性分じゃ……」

ヨランダ「ほら、また来たよ」

エダ「はいはい。最後のクッキーだよー」

レヴィ「……いいのか?」

エダ「……なんのようだい?」

レヴィ「トリックオアトリートに決まってるだろ?」

エダ「腕のいい脳外科医は知らないのよ。ごめん、レヴィ」

レヴィ「んだと?まずはてめえの脳みその色でも見てやろうか?頭かちわってよ」

エダ「あんたよりはいっぱい出てくると思うけど?」

レヴィ「あぁ!?」

エダ「自分の格好を鏡で見てごらんよ」

レヴィ「なんか、変か?」

エダ「変じゃないから菓子は出せないの」

レヴィ「いや、あたしはこのままでも十分ジャカ・ランタ-ン並の怖さだろ?」

エダ「ああ。その辺の怪物よりよっぽど怪物だね。あんたは」

レヴィ「トリックオアトリート」

エダ「帰れ。悪戯するなら機関銃で追い返す」

レヴィ「なんでだよ!!エダ!!今、てめえで認めだろ!!あたしが怪物だって!!」

エダ「あんたは365日昼夜問わずロアナプラに居る怪物。ジャカ・ランタ-ンはハロウィン・タウンのカリスマ。ナイトメアー・ビフォア・クリスマス見てきな」

レヴィ「なんだよ!!誰でも配るんだろ!!」

エダ「仮装してきたらって条件、ここに書いてる。眼科ならいい医者知ってるよ」

レヴィ「……」

レヴィ「なんだよ……みんなして……」

エダ「じゃあね」

レヴィ「ちくしょう!!!ふざけんなぁ!!!あたしだってハロウィンしてぇんだよぉ!!!」

ヨランダ「仮装してきな。話はそれからだよ、レヴィ?恫喝だけでハロウィンを楽しもうなんて……虫のいい話はない」

レヴィ「……」

エダ「まだガキが来るから、さっさと消えな」

ファビオラ「あの……トリックオアトリートしてもよろしいですか?」モジモジ

エダ「ほら」

ファビオラ「わーい」テテテッ

レヴィ「あれはいいのかよ!?」

エダ「仮装してたからね」

ヨランダ「メイド服、いいじゃないか」

レヴィ「……!!」

エダ「メイド服きて着たら、ここにあるキャンディーは全部くれてやるよ」

レヴィ「おぼえてろよ!!このやろー!!!キャンディーなんているかー!!!ファック!!」

市街地

ロック「全く、どこに行ったんだ……」

雪緒「あ、どうも」

ロック「雪緒ちゃん」

雪緒「探し人ですか?」

ロック「あ、ああ。まぁね」

雪緒「どうして仮装をさせてあげないのですか?」

ロック「……」

雪緒「彼女の性格上、絶対に自ら着る事はないって私でも分かりますよ?」

ロック「それは……」

雪緒「困る姿を見て、悦に浸っているのなら……」

銀次「この刀の錆になってもらいましょうか」

ロック「な……!?」

雪緒「今、彼女が膝を抱えていると言ったら、信じますか?」

ロック「レヴィが膝を!?」

銀次「俺にまで菓子を求めてきたときに気づくべきだった」

雪緒「素直になれない自分でもどうにかしてこの一夜を楽しもうとしている。彼女の努力。それを貴方は……」

ロック「でも、俺が言ったからってレヴィが着るとは思えない」

銀次「そうかな?」

雪緒「誰かによる一押しを欲しがっている。貴方はそれを知りながら、中立の位置で状況を楽しんでいた」

ロック「……?!」

雪緒「貴方は最低の人です。……私はあなたのこと、大嫌いです」

ロック「雪緒ちゃん……?!」

銀次「俺も」

ロック「……それはどうでもいいですけど」

銀次「え」

雪緒「とにかく、今からでも遅くはありません。彼女の元へ」

ロック「今更……どうしろって……」

雪緒「それは貴方が決めることです」

ロック「俺が……」

ロック「ちくしょう!!俺になにができるっていうんだ!!」ダダダッ

ソーヤー『マッ……テ……』

ロック「どうしろっていうんだよぉぉ!!!」

ソーヤー『ア……の……』

ロック「こっちか!?」ダダダッ

ソーヤー「……」ウルウル

シェンホア「まつよろし」

ロック「え?」

シェンホア「ソーヤー、ほらはやくする」

ソーヤー『コ……レ……』

ロック「これは……?」

ソーヤー『イマごろ……コマッ……テル、から……』

ロック「この衣装は、悪魔か」

シェンホア「丁度、あのアバズレにきせるといいね」

ロック「……分かった」

逆に考えて、銀さんはロックに好かれたかった…?

>>123
レヴィ「お前、好かれようとしたな」

銀次「しくじった」 ガクッ

路地裏

レヴィ「……はぁ」

ロットン「今晩はこんなところにもゴーストが膝を抱えているのか」

レヴィ「……」

ロットン「菓子を降らせよう。ハロウィンの銃士、ロットン・ザ・ウィザードが」バッ!!

レヴィ「……」チュパチュパ

レヴィ「―――コーヒー味なんているかよ!!」ペッ

ロットン「そうか。では、別のを用意しよう」

レヴィ「もういいか……イエローフラッグにでもいくか……」

レヴィ「あ、でもあそこも今はハロウィン仕様だっけか……」

レヴィ「むなしいな……」

ロック「レヴィ!!」

レヴィ「ん?げ?!ロック!?なんだよ?!」

ロック「ここで何してるんだ?」

レヴィ「お、おばけらしく物陰に居ただけだ!!居心地いいぜ!!ヒャッホー!!」

ロック「レヴィ……」

レヴィ「んだよ……」

ロック「悪かった」

レヴィ「え?」

ロック「本当はずっと言いたかった。でも、なんか恥ずかしくって……」

レヴィ「何がだよ?」

ロック「レヴィの悪魔コスチューム、すごく見たい」

レヴィ「……」

ロック「お前が着ればロアナプラに魅惑の悪魔が誕生する。だから、着てくれ」

レヴィ「……きて、いいのかよ?」

ロック「どうして?良いに決まってる」

レヴィ「あたしがそういう服着るのは……変じゃないのか……?」

ロック「まさか。悪魔をイメージした服なんてどれもレヴィのために誂えたものだろ?」

レヴィ「ホントか?笑わないか?」

ロック「寧ろ、見惚れるね」

レヴィ「……じゃあ、着るぜ。しかたねーなー」

ロック「そうか」

レヴィ「まいったな。そこまで言われたら着ないわけにはいかねえな」スルッ

ロック「そうだね」

レヴィ「これはロックが着ろって強く勧めるから着るんであって、あたしが好んで着るわけじゃねーからな?」

ロック「分かってるよ」

レヴィ「あたしはこんなの絶対に着たくねえんだからな」

ロック「……」

レヴィ「―――よし。完璧だ」

ロック「よく似合ってるよ」

レヴィ「トリックオアトリート」

ロック「はい」

レヴィ「やっほー!!……トリックオアトリート」

ロック「渡しただろ」

レヴィ「何回貰ってもいいだろ!?あたしはロアナプラに住む魅惑の悪魔だぜ?!」

ロック「しょうがないな」

レヴィ「うまい棒だ!!うまい棒がいい!!」

ロック「コンソメパンチしかないけど」

レヴィ「この際、なんでもいいんだよ!!くれ!!」

ロック「どうぞ」

レヴィ「よーし。あー……」

ロック「……なに?」

レヴィ「しょうがねーなー。物欲しそうな顔しやがって。ほらよ、1/3だけやるよ」

ロック「ありがとう」

レヴィ「ん……いけるじゃねーか!!これなら姉御が銃を仕舞ったのも納得だな!!」

ロック「……」モグモグ

レヴィ「袋の内側になんか粉がついてんな」ペロペロ

ロック「レヴィ、これからどうするんだ?」

レヴィ「決まってんだろ。あたしのハロウィンは今からなんだからよ」

ロットン「―――ソーダ味をもってきた……が、もう悲しみにくれるゴーストはいないか。これでまた彷徨う魂が一つ消えたか。よかった」

うまい棒にコンソメパンチはなかったな
訂正

三合会

レヴィ「トリックオアトリート!!!」

張「レヴィか。これは珍客だな。まぁ、入れよ」

レヴィ「菓子くれよ。貰ったら次行くから」

張「モノだけかっぱぐか。悪魔だな」

レヴィ「見た目通りの鬼畜だろ?」

張「昼のオーガみたいな言動よりはずっと可愛げがあるな。襲われても本望だ」

レヴィ「お世辞はよせよ。悪魔の尻尾が疼く」

張「ほら、好きなのを選べ」

レヴィ「どれにしよーかなー?」ガサガサ

ロック「ありがとうございます。張さん」

張「なぁに。レヴィのこんな姿を見られたんだ。お菓子だけじゃ申し訳ないぐらいだな」

ロック「そうですか」

張「レヴィ、一枚撮る。ポーズとってくれ」

レヴィ「可愛くとってくれよ?」

ホテル・モスクワ

レヴィ「トリックオアトリート!!!」

ボリス「……ハッピーハロウィン」

レヴィ「よっしゃ」

ボリス「……」パシャ

ロック「あれ、バラライカさんはいないんですか?」

ボリス「仕事が一息ついたからな」

ロック「そうですか」

レヴィ「ロック、次いくぜ!!」

ロック「次はどこ?」

レヴィ「イエローフラッグに決まってるだろ、バーカ!!」

ロック「はいはい」

ボリス「大変だな」

ロック「いつものことですから」

レヴィ「はやくこいよー!!」

イエローフラッグ

バオ「おうおう。すげー客がきたもんだ」

レヴィ「トリックオアトリートだ」

バオ「キャンディーかウィスキー。どっちがいい?」

レヴィ「……キャンディーくれ」

バオ「ちょっと待ってろ」

ロック「ウィスキーも無料で配ってるのか?」

バオ「まぁな。こんな日ぐらいはいいだろ」

ロック「それもそうだな」

バオ「それにバラライカはウィスキーじゃないとガキみたく地団駄ふみやがるから始末に負えねえ。アル中の客より厄介だ」

ロック「え?」

バオ「あ。今のは忘れてくれ」

ロック「……?」

バオ「ほらよ。デビルレヴィ」

レヴィ「よっしゃ。―――ろっふー、つふぃいくふぇ」チュパチュパ

教会

レヴィ「トリックオアトリート!!!」ガバッ

エダ「こら!!全部持ってく奴があるか!!」

レヴィ「全部くれるって言っただろ?」

エダ「ヘイ、待ちなって!そんなに食べちゃあ奥歯から悪い虫に食べられちゃうぜ?」

ヨランダ「せめてウィスキーは……」

レヴィ「じゃあな!!長生きしろよ、クソババア!!」

エダ「レヴィ!!」

ロック「教会でもウィスキーを?」

エダ「チョコレートのほうね」

ロック「ああ……でも、どうしてそんなに必死に?」

エダ「RPGに仮装したビッグボスが0時前に来るからに決まってる」

ロック「だ、誰が……そんな奇抜な仮装を……」

ヨランダ「エダ。仕方ない。ちょいと辛いが金庫から黄金のウィスキーボンボン出してきな」

エダ「了解」ダダダッ

ラグーン商会

レヴィ「いやー、すげー大量だぜー」

ダッチ「成果はあったみてえだな」

ベニー「すごいね。こんなに食べるのかい?」

レヴィ「あ?いや、いらねえよ。こんなに。食っていいぞ」

ダッチ「じゃあ、なんでこんなに集めた?恵まれない子どもたちに配り歩くのか?」

ベニー「海賊から義賊になったのか。ならロアナプラでは生きられないな」

レヴィ「ロビン・フットか。あたしはそんなの興味ないな。ロックは好きなんだろうけど」

ロック「俺も別に今更義賊になろうなんて思っちゃいないさ」

レヴィ「嘘つけよ。子どもに愛想と菓子を振りまいてたくせに」

ロック「できればしたい。そう思うだけ」

レヴィ「まぁ、どうでもいいや。ヘイ、ロック!!」

ロック「なに?」

レヴィ「トッリクオアトリート!!!」

ロック「はい。ハッピーハロウィン」

三合会

張「そろそろだな……」

ピンポーン

張「開いてる」

バラライカ「アールピージー!!!」

張「……よう」

バラライカ「トリックオアトリート!!」

張「RPGの仮装。似合ってるぜ?」

バラライカ「でしょ?はやく頂戴」

張「ほらよ。いつものボンボンだ」

バラライカ「確かに。では、次は教会に行ってくるから」

張「気をつけてな」

バラライカ「誰に言ってる?私はバラライカよ?―――RPG、発射!!」ダダダッ

張「毎年、この日のバラライカだけは抱ける気がする……。あとで誘ってみるか」


おしまい。

ゴキゲンでクソッタレな乙!

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